国際標準化過程研究の枠組み

情報通信産業論A
- 日本の情報通信産業4
放送市場
2004年11月16日(火)
㈱情報通信総合研究所
情報流通ビジネス研究グループ
西岡 洋子
–
内 容
1.放送市場の概要
講義の目標
2.地上放送市場
3.衛星放送市場の概要
4.
5.
日本の放送市場の
概要および変化の方
向性を理解する
BS衛星放送市場
CS衛星放送市場
6.ケーブルテレビ市場
2
1.放送市場の概要
テレビ放送視聴時間の推移
( 1日当たりの週平均)
国民に大きな影響力をもつテレビ:
1日3時間半程度の視聴、約1億台のテレビ
出所:「H16情報通信白書」総務省
3
1.放送市場の概要
放送市場の変化
環境の変化
•技術変化(デジタル化)
•規制緩和
市場の変化
•多メディア化
•多チャンネル化
•通信と放送の融合
4
1.放送市場
の概要
カラーテレビ開始
■
1960年
デジタル化はカラー化
以来の大きな技術革新
インターネット商用開始1993年
ケーブルインターネット開始1996年

デジタルケーブル開始1998年
出所:「H16情報通信白書」総務省
5
1.放送市場の概要
放送・ケーブルテレビ市場規模推移
•市場全体としては、伸びは微増 - 横ばい。
•地上放送のシェアが70%程度
•広告収入の伸び悩みなどで地上系(民間)の成長がや
やマイナス傾向。
45000
40000
35000
30000
NHK
地上系放送事業者
ケーブルテレビ事業者
衛星系放送事業者
25000
20000
15000
10000
5000
03
20
02
20
01
20
00
20
99
19
98
19
97
19
19
96
0
出所:総務省「一般
放送事業者及び有線
テレビジョン放送事
業者の収支状況」NHK
資料、「平成16年度
情報通信白書」等よ
り作成
6
ビジネスモデル
有料モデル
広告モデル


広告メディアが、広告主に対して広告枠を販売
する
エンドユーザは、直接的にコンテンツの視聴に
対して料金などを支払う必要はなく、見かけ上
無料であるが、間接的に広告およびコンテンツ
代金を負担。
 代表例:地上民間放送


エンドユーザがコンテンツの利用に
対して料金などを支払う
広告も採用して価格を下げる工夫も
されている

代表例:CS放送、新聞、雑誌、
放送局
広告主
商品代金
(商品価格に
広告費も含ま
れる)
1.放送市場の概要
広告枠使用料金
商品
広告枠
広告および番組
消費者
広告の視聴
地上民間放送
(広告メディア)
番組
(コン
テン
ツ)
代金
消費者
7
1.放送市場の概要
放送とその隣接市場におけるメディア配置
総合放送・広告
通
多チャンネル放
送・有料
高
コ
ン
テ
ン
ツ
の
専
門
度
携帯向け
地上放送
放
信
送
オンデマンドのサービス
音楽
衛星モ
バイル
放送
サー
バー型
放送
C
ブロードバ
ンド放送 オンデマンドのサービス
S
プラット
フォーム
映画(VOD)
番組
124度128度
B
S
110度
地上波
キー局
トリプルプレー
協力
競争
地方局
競争・協力関係については、潜在的なものも含んでいる。
また、変化の可能性がある
低
高
低
視聴態度の積極性
出所:スカイパーフェクト・コミュニケーションズ資料を参考に作成
8
2.地上放送市場
地上放送
 日本の放送業界の中心的存在
 高い視聴率(日本市場における重要コンテン
ツ)
 キー局と地方局からなるネットワークを形成
 広告収入の減少傾向と収入源の多様化へ
 地上放送のデジタル化
 これに伴う地方局の経営悪化と統合の可能性
 BS放送へのバックアップ
9
2.地上放送市場
地上放送のプレーヤー
 NHK 54局
 民間 127社:キー局を中心とする5つのネットワーク



番組・広告流通、ニュース取材で密接に協力
マスメディア集中排除原則により地方局の資本所有に制限
キー局と地方局の格差
 地方局売上高(キー局の35分の1)
 同自社番組放送時間(10%未満が半数以上)
地方局とキー局の関係
広告制作費
媒体手数料
広告主
広
告
会
社
電波料
番組制作費
広告
キー局
広告/番組
ネットワーク料
各
地方局
ネットワーク負担金
広告枠
番組制作会社
10
2.地上放送市場
デジタル地上放送の普及目標
 2003年12月開始、全国に徐々に拡大。2011年7月に
アナログ放送の停止予定
11
2.地上放送市場
地方局に重いデジタル化投資
 広告収入の拡大は見込めない
 チャンネルが増えると番組制作のコスト増大
 地方局のデジタル化投資>1年間の経常利益
⇒経営を圧迫⇒ バックアップの必要性
⇒マスメディア集中排除原則緩和
平均売上高
平均経常利益 平均的デジタル
(
2001年度) (
2001年度)
化投資
キー局
2,470億円
286億円
150億円
地方局
70億円
7億円
50億円
マスメディア集中排除原則とは
新たな放送局を開設する場合、表現の自由を確保するために放送事業の支配を規制する考え方の総称
特定のメディアによるテレビ局支配を排除するため、省令の「放送局の開設の根本基準」第9条で原則が規定
12
3.衛星放送市場の概要
衛星放送の契約数の推移
NHK
BSが衛星放送市場をリード
デジタルBS 675万件
(2004.9)
出所「H16情報通信白書」総務省
13
3.衛星放送市場の概要
衛星放送の制度
 徐々にハード・ソフトの分離が進行
ソフト
BSアナログ放送
BSデジタル放送
ハード・ソフト一致
受託委託放送制度
電気通信役務利用放送制度
(東経110度CSは対象外)
一致
受託放送事業者
電気通信事業者
委託放送事業者
電気通信役務利用放送事業者
ハード
放送事業者
放送番組の編集主体
放送局の管理運営
放送
視聴者
CSデジタル放送
委託放送事業者
(放送番組の編集主体)
放送番組の放送を委託
受託放送事業者
(放送局の管理運営主体)
放送
視聴者
電気通信役務利用放
送事業者
(放送番組の編集主体)
電気通信役務の提供
電気通信事業者
(衛星事業者)
放送
視聴者
出所:「衛星放送の現状」総務省より作成
14
4.BS衛星放送市場
BSデジタル放送
 準基幹放送としての位置づけ
 BSアナログの成長の経験に基づき市場の成長
に期待
 予想よりも遅い普及(675万件:2004年9月)
 苦しい経営状況
 広告メディアとしては、1000万世帯が
目安
 地上局からのサポート
 マスメディア集中排除原則の緩和
 地上放送の広告と棲み分けが課題
15
4.BS衛星放送市場
BSデジタル放送の種別
広告モデルと有料モデルが混在
 テレビ 8社
 広告モデル(地上民放系:総
合)
 ビーエス朝日
 ビーエス日本
 ビー・エス・ジャパン
 ビーエスフジ
 ビーエス・アイ
■ラジオ


有料モデル(独立系)
 WOWOW
(映画)
 スターチャンネル(映画)

テレビ放送8社
ジェイエフエヌ衛星放送
 データ放送





9社



7社
日本ビーエス
メディアサーブ
メガポート
ダブリュ・エックス二十四
デジタル・キャスト・インター
ナショナル
日本データ
ビーエスデジタル放送推進協会
NHK(総合)
16
4.BS衛星放送市場
BS広告放送が地方局に与える影響
BSにより地方局が不要になる可能性あり
BS
地方局
キー局
地方局
地方局
17
CSデジタル放送の種別
5.CS衛星放送市場
 東経110度以外の市場は、軌道にのりつつある
 東経110度市場はまだまだ
しかし、BSと共用のSTBで受信可能なので、今後に期待
 プラットフォームでは、スカパーが独占
東経110度以外
東経110度
(スカイパーフェクTV!)
(スカイパーフェクTV!11
0)
加入件数
357万(2004年10月末)
17万
テレビ
183チャンネル
67チャンネル
音声
103チャンネル
20チャンネル
データ
39チャンネル
18チャンネル
開始
1996年
2002年
(2004年10月末)
チャンネルの多さにより多 BSデジタル、地上デジタル
様な趣味に対応
との共用STB、将来的成長を
期待
東経110度以外よりも一般的
出所:各種資料より作成
内容
18
5.CS衛星放送市場
CSデジタル放送のしくみ
 「プラットフォーム事業者/顧客管理代行会社
(事業者としては、㈱スカイパーフェクト・コミュニケーション
ズ」の存在が特徴である。
出所:「衛星放送の現状」総務省
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6.ケーブルテレビ市場
ケーブルテレビ
普及の拡大
経営基盤の強化
 MSO(大規模多施設事業者)の出現、広域連携
デジタル放送の再送信
 BSと地上波
通信との融合
 双方向のネットワークの利用



ケーブルインターネット
ケーブル電話
広帯域化とトリプルプレーで通信事業者と競争へ
 ブロードバンド放送(固定電気通信役務利用放
送)
20
6.ケーブルテレビ市場
ケーブルテレビの普及
 地上波再送信だけのケーブルテレビも存在
 自主放送(許可施設)732社
出所: 「ケーブルテレビの現状」総務省
21
6.ケーブルテレビ市場
ケーブルテレビの制度
 従来は、放送業務と設備が一体化した事業体である
必要があったが、規制緩和により電気通信事業者の
設備の利用が可能となった
出所:「ケーブルテレビの現状」総務省
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6.ケーブルテレビ市場
ケーブルテレビの経営
 ケーブルテレビは難視聴対策として誕生し、地域区
分に沿った経営形態でスタートしたために、規模が
小さく、形成基盤が弱かった。

1955年

市町村単位の地域独占
⇒


難視聴対策として誕生
弱い経営基盤
総務省の「新世代地域ケーブルテレビ施設整備事業」、「テレト
ピア構想」、農林水産省の「農村総合整備事業」など政府の補助
の対象となってきており、現在も各種の支援策がある
1993年

地元事業者用件の廃止/サービス区域制限の緩和、外資規制の緩和
⇒


経営の効率化
(単年度黒字70%、累積黒字30%:2003年度)
MSO(大規模多施設事業者)
 J-COM、関西ケーブルネット、ジャパンケーブルネットなど
広域連携化
 複数の事業者が協力(事業者主体、県主体のネットワークの
活用など)
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ネットワークの種別と提供サービス
双方向ネットワークを使用するケーブルテレビは、通信と同
様のサービス提供が可能であり、通信事業者との
競争が起こっている
放送
サービス種別
ネット
技術
ワーク
の種 制 放送
別 度
通信
放送
インターネット
地上
放送
BS
放送
通信
CS
放送
片方向(無線)
ケーブル
通信
テレビ
双方向(固
定)
○
X
○
○
○
X
X
○
○
○
○
X
○
X
○
X
○
○
○
○
24
6.ケーブルテレビ市場
ブロードバンド放送
 有線役務通信利用放送
 ブロードバンドを利用して多チャンネル放送
(20-30チャンネル)やVOD*(2000-4000
本)を提供
オプティキャスト
ケイ・オプティコム
BBTV
オンラインTV 光プラス
(スカイパーフェク
(NTT)
(KDDI) (ソフトバンク) (関西電力)
TV)
•従来のケーブルテレビ事業者以外が事業主体。
•電話やインターネット・アクセスも提供し、(トリプル
プレーとしてケーブルと競争も
VOD:Video On Demand双方向ネットワークを利用して、家庭にいなが
らビデオを注文、視聴できるサービス
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参考資料
「 / digital 」NHK HP
「衛星放送の現状」総務省HP
「ケーブルテレビの現状」総務省HP
「情報通信白書」総務省HP
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