第 269 回企業会計基準委員会 審議事項(2) LS - 財務会計基準機構

資料番号
第 269 回企業会計基準委員会
日付
審議事項(2)
LS 2013-4
2013 年 7 月 25 日
プロジェクト
リース
項目
IASB/FASB が 2013 年 5 月に公表したリースの改訂公開草案
- リース専門委員会における検討状況
本資料の目的
1. 本資料は、IASB 及び FASB が 2013 年 5 月 16 日に公表した改訂公開草案「リース」
(以下、
「改訂公開草案」という。)の質問のうち、主として質問 1 のリースの識別
及び質問 6 の変動リース料に関する提案内容に対して、ご意見いただくことを目的
としている。本資料においては、ご意見をいただくにあたり、これまでの IASB 及
び FASB の議論や関係者からのフィードバック等において示されてきた肯定的見解
及び否定的見解、並びに 7 月 17 日開催のリース専門委員会(資料は参考資料(1)
及及び(2)を参照)で示された主な見解を紹介している。
質問 1:リースの識別
本改訂公開草案は、リースを「資産(原資産)を使用する権利を一定期間にわたり対価と
交換に移転する契約」と定義している。企業は、ある契約がリースを含んでいるのかどう
かを、次のことを評価することにより判定することになる。
(a) 当該契約の履行が特定された資産の使用に依存するかどうか
(b) 当該契約が特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に
移転するかどうか
契約は、顧客が特定された資産の使用を指図する能力及びその使用から得られる便益を受
け取る能力を有している場合には、資産の使用を支配する権利を移転する。
リースの定義及び契約がリースを含んでいるのかどうかを企業が判定する方法に関する
第 6 項から第 19 項の要求事項案に同意するか。賛成又は反対の理由は何か。反対の場合、
リースをどのように定義するのか。リースの定義案の適用が困難であるか又は取引の経済
的実態を反映しないという結論に至ると考える具体的な事実関係があれば、示していただ
きたい。
質問 6:変動リース料
変動リース料の測定に関する提案(リース料の算定に使用される指標又は率の変更があっ
た場合の見直しを含む)に同意するか。賛成又は反対の理由は何か。反対の場合、借手及
び貸手が変動リース料をどのように会計処理することを提案するか、その理由は何か。
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財務会計基準機構のWebサイトに掲載した情報は、著作権法及び国際著作権条約をはじめ、その他の無体財産権に関する
法律並びに条約によって保護されています。許可なく複写・転載等を行うことはこれらの法律により禁じられています。
審議事項(2)
LS 2013-4
1.リースの識別に関する検討
2. リースの識別について、7 月 17 日開催のリース専門委員会では、次のような論点
が議論された。詳細については、参考資料(1)を参照されたい。
¾
論点 1 契約にリースが含まれるか否かを判定するための提案は適切か
¾
論点 2 借手についての構成部分の識別と対価の配分に関する提案は適切か
¾
論点 3 貸手についての構成部分の識別と対価の配分に関する提案は適切か
¾
論点 4 短期リースに関する提案は適切か
論点 1: 契約にリースが含まれるか否かを判定するための提案は適切か
(改訂公開草案における提案内容)
3. 以下は、契約にリースが含まれるか否かの判定に関する、改訂公開草案の提案内容
である。
契約の開始時に、企業は当該契約がリースであるか又はリースを含んだものであるのか
どうかを、次の両方を評価することにより判定する。(第 7 項)
(1) 当該契約の履行が特定された資産(an identified asset)の使用に依存するか
(2) 当該契約が特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換
に移転するか
<上記の(1):契約の履行が特定された資産の使用に依存していること>
¾ 資産は、通常は契約に明記されることにより特定される(typically be identified
by being explicitly specified in a contract)が、当該明記にかかわらず、供給
者が当該契約期間全体を通じて資産を入れ替える実質的な権利を有している場合
は、契約の履行は特定された資産の使用に依存しておらず、供給者が資産を入れ替
える実質的な権利を有していない場合は、契約の履行は特定された資産の使用に依
存している。(第 8 項)。
<上記の(2): 契約が特定された資産の使用を支配する権利を移転すること>
¾ 契約は、当該契約の期間全体を通じて、顧客が次の両方を行う能力を有する場合に
は、特定された資産の使用を支配する権利を移転する。(第 12 項)
(i)
特定された資産の使用を指図する能力
(ii) 特定された資産の使用により便益を得る能力
(i) 使用を指図する能力
- 顧客が資産の使用を指図する能力を有するのは、
当該契約の期間全体を通じ
ての当該資産の使用から得られる経済的便益に最も重大な影響を与える決
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財務会計基準機構のWebサイトに掲載した情報は、著作権法及び国際著作権条約をはじめ、その他の無体財産権に関する
法律並びに条約によって保護されています。許可なく複写・転載等を行うことはこれらの法律により禁じられています。
審議事項(2)
LS 2013-4
定を行う能力が顧客に与えられている場合である。(第 13 項)
- 開始日後の資産の使用に関して行うべき実質的な意思決定がほとんどない
契約において、
顧客が資産の使用を指図する能力をその日又はそれ以前に得
る場合がある。(第 15 項)
(ii)使用により便益を得る能力
- 顧客が資産の使用により便益を得る能力とは、
当該契約の期間全体を通じて
の当該資産の使用による潜在的な経済的便益のほとんどすべてを得る権利
を指す。(第 18 項)
- 顧客は、次の両方が生じている場合には、資産の使用により便益を得る能力
を有していない。(第 19 項)
(a)
顧客が当該資産の使用により便益を得られるのは、供給者が提供す
る追加的な財又はサービスと組み合わせた場合のみであり、それを
当該供給者又は他の供給者が別個に販売していない。
(b)
当該資産は、供給者が提供する追加的な財又はサービスとの組合せ
でのみ機能するよう設計されているため、サービス全体の享受には
付随的なものである。顧客は、一連の財又はサービスを受け取るこ
とで、契約上のサービス全体を享受する。
(これまでの議論における、本提案に対する主な肯定的見解)
4. 特定された資産の使用を支配する権利に関する提案内容は、他の基準の要求事項及
び他のプロジェクト(連結の会計基準の要求事項及び収益認識プロジェクト)の支
配の概念との整合性が高まっている。
(これまでの議論における、本提案に対する主な否定的見解)
5. 特定された資産の使用を支配する権利の移転について:
¾ 特定された資産の使用を指図する能力について:
資産の使用から得られる経済的便益に最も重大な影響を与える決定を行う能力
を顧客が有しているか否かを判定する方法について、提案が不明確である。
¾ 特定された資産の使用により便益を得る能力(第 19 項の記述について):
顧客が資産の使用により便益を得られるのは、供給者が提供する追加的な財又
はサービスと組み合わせた場合「のみ」か否か、また、資産がサービスに対し
て「付随的」か否か、を判断することは実務的には困難な場合がある。
(7 月 17 日専門委員会において示された主な見解)
6. 専門委員会では、
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法律並びに条約によって保護されています。許可なく複写・転載等を行うことはこれらの法律により禁じられています。
審議事項(2)
LS 2013-4
(1) 財務諸表作成者の専門委員からは、主に次のような意見が示された。
提案内容の考え方については、基本的に理解できるが、リースかサービスかを
区分する境界線が不明確で、実務上判定が困難な場合が多く存在すると考えら
れる(たとえば、入替権の顧客の同意の必要の程度(第 9 項(a))、稼働能力
と物理的区別の境界(第 11 項)、機器に必要な消耗品の他社供給可能性の考
え方(第 19 項(a))、消耗品は他社製も使用可能だが顧客に他社製を使うイン
センティブがない場合の扱い(第 19 項(a))、「付随的」の要件上の扱い(第
19 項(b))が不明確)。また、設例も実際の適用の場面に十分に対応しきれて
いないように見受けられる。これは、オペレーティング・リースとサービスの
会計処理が類似している現行基準では大きな問題とはならないが、新しい提案
では大きな問題になり得る。
(2) 財務諸表の利用者の専門委員からは、主に次のような意見が示された。
提案内容に賛成である。IFRIC 第 4 号の 2 要件を維持しながら、明確化を図っ
ている。実務上の適用における懸念があることは理解するが、基準においてこ
れ以上の詳細な記述は難しいと考えられる。
(現時点において考えられるコメントの方向性)
7. ASBJ スタッフは、現時点において特段の方向性は示さず、ご意見をいただきたい
と考えている。
ディスカッション・ポイント 1
契約がリースを含んでいるか否かは、(a)当該契約の履行が特定さ
れた資産の使用に依存するかどうか、(b)当該契約が特定された資
産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転す
るかどうか、を評価して判定するとする、改訂公開草案の提案内容
に同意するか。
同意しない場合、その理由は何か。
論点 2: 借手についての構成部分の識別と対価の配分に関する提案は適切か
(改訂公開草案における提案内容)
8. 以下は、借手の場合の、リース契約中の構成部分の識別と当該構成部分への対価の
配分に関する、改訂公開草案の提案内容である。
契約の中の構成部分の識別
¾
次の両方の要件に該当する場合には、資産を使用する権利をそれぞれ独立のリース
構成部分として識別する(identify each separate lease component)。(第 20 項)
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審議事項(2)
LS 2013-4
(a) 借手が、当該資産単独又は借手が容易に利用可能な他の資源との組合せのいず
れかにより、当該資産の使用により便益を受けることができる。容易に利用可
能な資源とは、別個に(貸手又は他の供給者により)販売又はリースされてい
る財又はサービス、あるいは借手がすでに(貸手から又は他の取引又は事象に
より)入手している資源である。
(b) 原資産が、当該契約の中の他の原資産に依存しておらず、高い相関もない。
¾
企業は、上記で識別されたそれぞれのリース構成部分を独立のリースとして、契約
の非リース構成部分(non-lease component)と区別して会計処理する。ただし、第
23 項(b)(ii)及び第 23 項(c)に記述している場合を除く。(第 21 項)
構成部分への契約の対価の配分
¾
契約の中のリース構成部分を識別した後に、借手は、契約の中の対価を次のように
して各構成部分に配分する。(第 23 項)
(a) 契約の各構成部分に観察可能な単独の価格がある場合:
9
対価を各構成部分に各構成部分の単独の価格の比に基づいて配分する。
(b) 契約の構成部分の 1 つ又は複数(しかし全部ではない)に観察可能な単独の価
格がある場合:
(i) まず、観察可能な単独価格がある構成部分に、当該単独の価格を配分する。
(ii) 次に、契約の残りの対価を観察可能な価格のない構成部分に配分する。
当該配分先に観察可能な価格のないリース構成部分が1つ以上ある場合
には、観察可能な価格のない構成部分全部を合算して単一のリース構成部
分として会計処理する。
(c) 契約のどの構成部分にも観察可能な単独の価格がない場合:
9
構成部分を合算して単一のリース構成部分として会計処理する。
(これまでの議論における、本提案に対する主な肯定的見解)
9. 本提案に対する主な肯定的見解は以下のとおりである。
¾
構成部分の識別の仕方について
9
販売契約での別個の履行義務の識別と、リースを含む契約での各構成部分の識
別は類似しており、双方の識別方法は類似の要件によるべきである。
¾
構成部分への契約の対価の配分方法について
9
借手は貸手の場合と違い、各構成部分の価値の情報を必ずしも持っていない。
観察可能な価格がない構成部分について、合算ベースで取り扱うこと(また、
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審議事項(2)
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どの構成部分も観察可能な価格がない場合は、すべての構成部分を合算ベース
で取り扱うこと)は、コストと便益のバランスの観点から妥当である。
(これまでの議論における、本提案に対する主な否定的見解)
10. 構成部分への契約の対価の配分方法について:
観察可能な価格がない複数の構成部分が存在するプールの中に、1 つでもリース構
成部分があれば、その中の非リース構成部分も含めて全体がリース構成部分として
会計処理されてしまう。これは、未履行の非リース構成部分も含めて、開始日にリ
ース負債と使用権資産が認識されることになり、取引の適切な描写とならない。
(7 月 17 日専門委員会において示された主な見解)
11. 専門委員会では、主に以下のような意見が表明された(論点 2 と論点 3 の意見をま
とめてここに記述する。)。
y (借手)観察可能な単独価格が分からない場合の多くは、ある資産についてリ
ースのみの契約は存在せず、リースとサービスがセットでしか契約されない場
合に生じる。そのような場合に、サービス部分も含めてすべてオンバランスに
なることに懸念する。
y (借手及び貸手)不動産の賃貸の場合、建物の空間そのもののリースの他に、
空調設備、その他サービスなどがセットで契約される。その際、借手側にとっ
てそれぞれの単独価格が分からないだけではなく、貸手にとってもそれは分か
らない。これらの賃料・サービス料は、原価を積み上げ計算をして料金を設定
しているのではなく、マーケットの需給により価格が決定されているからであ
る。実態としてはこれらは不可分であり、分離して処理するのは困難である。
(現時点において考えられるコメントの方向性)
12. ASBJ スタッフは、現時点において特段の方向性は示さず、ご意見をいただきたい
と考えている。
ディスカッション・ポイント 2
契約の中の構成部分を識別するという提案、また、その識別方法及
び識別された構成部分への対価の配分方法として改訂公開草案で
提案されている内容(借手の場合)に同意するか。
同意しない場合、その理由は何か。
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論点 3: 貸手についての構成部分の識別と対価の配分に関する提案は適切か
(改訂公開草案における提案内容)
13. 以下は、貸手の場合の、リース契約中の構成部分の識別と当該構成部分への対価の
配分に関する、改訂公開草案の提案内容である。
契約の中の構成部分の識別
借手の場合と共通である。
⇒本資料の第 8 項を参照
構成部分への契約の対価の配分
契約の中のリース構成部分を上記に従って特定した後に、貸手は、契約の中の対価を
IFRS 第 X 号[案]「顧客との契約から生じる収益」の第 70 項から第 76 項の要求事項を
用いて配分する。(第 22 項)
(これまでの議論における、本提案に対する主な肯定的見解)
14. 構成部分への契約の対価の配分方法について:
貸手は、リース構成部分と非リース構成部分のそれぞれの価格付けに関する情報を
有しているため、対価の配分を常に要求しても、得られる便益はコストを上回る。
(これまでの議論における、本提案に対する主な否定的見解)
15. 貸手の場合の契約の中の構成部分の識別方法について:
提案内容は、借手の観点に立脚した識別方法(借手が、当該資産単独又は借手が容
易に利用可能な他の資源との組合せのいずれかにより、当該資産の使用により便益
を受けることができるか否か、という観点。)を基礎としているように見える。こ
のような借手の観点によって、貸手が識別を行うことは困難な場合がある。
(7 月 17 日専門委員会において示された主な見解)
16. 本資料の第 11 項を参照のこと。
(現時点において考えられるコメントの方向性)
17. ASBJ スタッフは、現時点において特段の方向性は示さず、ご意見をいただきたい
と考えている。
ディスカッション・ポイント 3
契約の中の構成部分を識別するという提案、また、その識別方法及
び識別された構成部分への対価の配分方法として改訂公開草案で
提案されている内容(貸手の場合)に同意するか。
同意しない場合、その理由は何か。
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論点 4: 短期リースの提案内容は適切か
(改訂公開草案における提案内容)
18. 以下は、短期リースに関する、改訂公開草案の提案内容である。
短期リースの定義(付録 A)
短期リースとは、開始日において契約により可能な最大限の期間が、延長オプションも
含めて 12 か月以内であるリースである。購入オプションを含んだリースは、短期リー
スではない。
借手及び貸手の会計処理の選択
¾
借手は短期リースについて、使用権資産とリース負債の認識等の要求事項を適用す
る代わりに、リース料総額をリース期間にわたり定額法で純損益に認識することが
できる。
(第 118 項)
¾
貸手は短期リースについて、原資産の認識の中止とリース債権と残存資産認識(タ
イプ A のリースの場合)等の要求事項を適用する代わりに、リース料総額をリース
期間にわたり定額法又は別の規則的な方法のいずれかにより純損益に認識するこ
とができる。
(第 119 項)
(これまでの議論における、本提案に対する主な肯定的見解)
19. 短期リースをリース期間の定義と整合的に定義しないことについて:
これらを整合的に定義した場合、当初から借手にリースを 1 年超続ける意思があっ
ても(例、5 年間借りる意思あり)、1 年未満の基本リース期間に延長オプションを
付けた契約形態(例、6 ヶ月プラス 4 年 6 ヶ月の延長オプション)にして短期リー
スとするような取引のストラクチャリングの機会が生じることが懸念される。
(これまでの議論における、本提案に対する主な否定的見解)
20. 短期リースをリース期間の定義と整合的に定義しないことについて:
y 取引のストラクチャリングの機会を防止するために短期リースをリース期間の
定義と整合的に定義しないことは、不整合な結果をもたらし、複雑性を増す。
y 貸手にとって、解約不能期間 6 ヶ月に 4 年 6 ヶ月の延長オプションが付加され
たリースと、解約不能期間 5 年のリースは経済的実質が異なる。前者では、借
手が延長オプションを行使しないリスクに対するプレミアムがリース料に上乗
せされるからである。経済的実質が異なることから、一律に延長オプション期
間を含めた期間で短期リースを判定することは適切ではないと考えられる。
(7 月 17 日専門委員会において示された主な見解)
21. 専門委員会では、主に以下のような意見が表明された。
8
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y 短期リースの判定のための期間とリース期間を整合させないことは、矛盾と混
乱を生じさせる。これらは一致させるべきである。
y 本資料の第 20 項(否定的見解)の 2 点目の考え方に同意する。短期リース判定
のための期間に関する提案は、BC110 項1で記述していることと矛盾する。
(現時点において考えられるコメントの方向性)
22. ASBJ スタッフは、現時点において特段の方向性は示さず、ご意見をいただきたい
と考えている。
ディスカッション・ポイント 4
短期リースは、リース開始日において、延長オプションも含めて、
契約により可能な最大限の期間が 12 ヶ月以内であるリースとして
いる(購入オプションを含んだリースは短期リースではない)改訂
公開草案の提案内容に同意するか。
また、短期リースについて、原則的な取扱いとは異なった簡便的な
容認規定を設けることについて同意するか。
それぞれ、同意しない場合、その理由は何か。
2.変動リース料に関する検討
23. リースの識別について、7 月 17 日開催のリース専門委員会では、次のような論点
が議論された。詳細については、参考資料(2)を参照されたい。このうち、論点 1
について、専門委員から比較的多くの見解が示されたことから、以下では当該論点
について記述している。
¾
論点 1:借手のリース負債及び貸手のリース債権の測定にどの変動リース料を
含めるか
¾
論点 2:指数又は率に応じて決まる変動リース料の見直しを行うか
1
BC110 項は、リース期間は強制可能な期間を基礎とする提案は、解約可能条項を付ける行為を助長する
のではないか、という懸念に反論している。
「両審議会は、強制可能性をこのようにリースに適用した場合に、企業が、リースがいつでも解約できる
と記述した条項を、実務上はそうしないのを知りながら、追加することを助長するおそれがあるかどうか
を検討した。しかし、両審議会は、貸手又は借手がそのような合意をすることに対して経済的な阻害要因
があることが多いため、こうしたことにはならないと考えている。これは、このような条項を含めるとリ
ースの価格付けに影響を与える可能性が高いからである。例えば、貸手が借手は契約を解約しないであろ
うと仮定して契約の価格付けをしている場合に、こうした条項を含めると、貸手が契約の価格付けをした
際の予想よりも高い残存資産リスクに晒される危険が生じることになる。これと対照的に、貸手が借手は
契約を解約するであろうと仮定して契約の価格付けをしている場合には、借手は貸手がより多くの残存資
産リスクを負うことに対して補償するために、より高い賃料を支払わなければならなくなる可能性が高く、
そうする経済的インセンティブは、借手が契約の解約を意図していない場合には、ないであろう。」
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¾
論点 3:変動リース料の見直しの会計処理
論点:借手のリース負債及び貸手のリース債権の測定にどの変動リース料を含めるか
(改訂公開草案における提案内容)
24. 指数又は率(消費者物価指数又は市場金利など)に応じて決まる変動リース料及び
実質的な固定支払いである変動リース料を含めるが、他の変動リース料は含めない。
(これまでの議論における、本提案に対する主な肯定的見解)
25. 指数又は率と連動する変動リース料は、借手の業績等と連動する変動リース料と異
なり、借手の将来行動によって避けられるものではなく、貸手は当該リース料を受
け取る現在の権利、借手は支払う現在の義務を有することから、それぞれ、概念フ
レームワークにおける資産と負債の定義を満たすと考えられる。
26. 実質的な固定支払である変動リース料については、改訂公開草案の設例 17 で示さ
れているようなケースを前提とすれば、このうち、少なくとも借手が支払わなけれ
ばいけない金額については、ストラクチャリング(取引形態の操作)の機会への懸
念に対応する観点から、測定に含めるべきと考えられる。
(これまでの議論における、本提案に対する主な否定的見解)
27. 提案内容と異なり、すべての変動リース料を貸手のリース債権及び借手のリース負
債の測定に含めることは、次のような長所があると考えられる。
(a) 貸手が取得した権利、借手が取得した権利と発生している義務をより忠実に表
す可能性がある。
(b) リース契約全体からのキャッシュ・インフロー、アウトフローの経営者の最善
の見積りを反映することができる。
(7 月 17 日専門委員会において示された主な見解)
28. 専門委員会では次のような意見が示された。
(1) 基本的な方向性として、指数又は率と連動する変動リース料を測定に含めると
いう改訂公開草案の内容について同意できる。
(2) 契約上のリース料が、借手の業績等と連動する変動リース料のみである場合に、
測定に全く含められないことが適切なのか疑問がある。相当程度の可能性で達
成されるであろう業績に連動する変動リース料については測定に含めた方が
より適切とも考えられるが、そのような変動リース料部分が改訂公開草案でい
うところの実質的な固定支払いである変動リース料にあたるのか、明確でない
と考えられる。
(3) 上記の点を含め、改訂公開草案の本文からは、実質的な固定支払である変動リ
ース料の内容が不明確であり、この点についての明確化を求める必要がある。
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(現時点において考えられるコメントの方向性)
29. ASBJ スタッフは、現時点において特段の方向性は示さず、ご意見をいただきたい
と考えている。
ディスカッション・ポイント 5
変動リース料のうち、指数若しくは率に応じて決まるもの又は実質
的な固定支払であるものが、借手のリース負債の測定及び貸手のリ
ース債権の測定に含まれるという改訂公開草案の提案内容に同意
するか。
同意しない場合、借手のリース負債の測定及び貸手のリース債権の
測定に含まれるべき変動リース料をどう考えるか。また、その理由
は何か。
以上
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