デジタル経済の特質

資料2
情報財のビジネスモデル
2000年2月28日
慶応義塾大学ビジネススクール
國領二郎
情報ネットワーク経済の特質
(1)情報財の非物財的費用構造
開発費が大きいが、追加供給の変動費が低い。無償化の圧力。
(2)課金コスト
コピーの変動費が低い割に課金コストが高い。
(3)情報の非対称性の方向逆転
最も希少なのは顧客認知能力。
「信頼」、「プライバシー」などが鍵になる。顧客は思いのほかsticky?
顧客データに大きな価値が生まれ、ビジネスモデルの構造に影響。
(4)ネットワーク外部性・連結の経済性
使う人間が増えるほど便益が増える。
参加型の価値生産構造。
情報非物財的特性をふまえた
ビジネスモデル
*デジタル財に物財的な特性を持たせて貨幣経済にのせる。
コピー防護機能強化、
知的所有権強化、
情報の「versioning」などの手法。
*無償デジタル財
商業型:
非商業型:
広告モデル、
補完財モデル
顧客情報収集モデル
奉仕モデル(LINUXなど)
情報財だけでなく、物財の経済にまで影響。
未来を考える上でのポイント
1. ネットワークにボトルネックは残るか?残るとすると次のようなことが起こ
る?
・エンドツーエンドのグローバル寡占
・コンテンツとインフラの垂直統合
ブロードバンド化するとかえってボトルネックが顕在化する?
2.デジタルグッズ、ハードグッズ、インフラどれがより大きな収入源になるか?
より大きな産業が小さい方を無料化する?(付属図1参照)
3.有効な著作権管理・流通システムはできるか?
4.ネット配信情報財への間接税は非課税になるか?
課税されるともっとも税の安いところから発信される?かえって無償化する?
5.課金コストは高止まりするか?
これがビジネスモデル、産業構造の決定要因になる可能性あり。
6.1xN型か? Nx(N-1)型か?
主流はプロからマスへの配信?それともマイクロマーケット化する?(付属図2)
付属図1:通信は無料にできる(民間の力だけで)
E-コマースの収益力は大きい。高い収益のビジネスへの集客を狙って
無償パソコン配布や無料プロバイダサービスが始まっている。
従来の支払いの流れ
-
消
費
者
ビE
ジコ
ネマ
スー
ス
プイ
ロン
バタ
イー
ダネ
ッ
ト
通
信
イ
ン
フ
ラ
会
社
「着信課金」によってユーザの通信料は無料。
デパートに入るのに入場料がないのと同じ。
通信無料化で爆発的需要増と爆発的収入増の好循環が実現可能。
それにしても定額は必要。E-コマースビジネス側のリスクを軽減させる。
付属図2:
1.2
1xN型とNx(N-1)型
人口カバーと市場カバー
市場カバー率
1
0.8
N型産業
0.6
N x (N-1)
型産業
0.4
0.2
0
0.2
0.4
0.6
0.8
人口カバー率
1