超長期エネルギー 技術ビジョン(案)

運輸
運輸分野ロードマップ(資料2-2)
運輸分野の技術スペックの考え方
①ケース、分野共通の条件
■資源制約の条件 :想定した石油ピーク(2050年)、天然ガスピーク(2100年)までに、他のエネルギー源と互換可能な状
態とする
■環境制約の条件 :CO2排出量/GDPを、2050年に1/3、2100年に1/10以下とする
②各ケースの技術スペック
■効用(人・km、トン・km)は、GDPに比例して増大。自動車、航空機、船舶、鉄道のシェアは変わらないと仮定。
■ケースA(石炭等の化石資源とCO2回収・隔離の最大利用ケース)およびケースB(原子力の最大利用ケース)
2050年までに現在の石油から合成燃料主体に移行。 2100年には電化・水素化率100%。
■ケースC(再生可能エネルギーの最大利用と究極の省エネルギー実施ケース)
環境制約条件と需要分野間の省エネルギー可能性のバランスを考慮し、運輸分野では2100年に効用あたり70%の
省エネルギーを目指す。さらに、輸送機関別の省エネ可能性を考慮して、自動車は2100年に80%の省エネを技術ス
ペックとして設定。この技術スペックを実現するためには電化・水素化率100%が必要。
③ケースCの2050年技術スペック
①の共通条件、需要分野間の省エネルギー可能性のバランスとともに2100年技術スペックからのバックキャストを考慮し、
運輸分野全体および輸送機関別の省エネルギー技術スペックを設定。自動車の省エネルギー技術スペック実現に必要な電
化・水素化率を設定。
④2100年、2050年の条件を満たす個別条件から、バックキャストによって2030年の個別条件を設定。
(例)2050年で自動車の40%程度が電化・水素化するなら、2030年には市場で競合できる程度に普及開始が求められる。
⑤各時点の個別条件を満たすために求められる技術スペック、時期等をロードマップとして整理。
2000
2030
2100
1.5倍
2.1倍
20%削減
50%削減
70%削減
30%削減
1%以上
100 g-CO2/km(2/3倍)
60%削減
40%
50 g-CO2/km(1/3倍)
80%削減
100%
0 g-CO2/km
10~20%削減
20~35%削減
30~50%削減
1倍
効用(人・km、トン・km)
必要エネルギー量※(運輸全体)
自動車 必要エネルギー量※
電化・水素化率
CO2原単位
2050
0%
160 g-CO2/km (1倍)
航空機・船舶・鉄道
必要エネルギー量※
結果的に、1/10
以上を達成
※GDPに比例して効用が増加した場合を基準にして、転換分野からの供給が必要なエネルギー(単位当たり)の削減量
運-2
運輸分野の技術スペック実現のための技術群の考え方
技術スペック実現のためのパスは「省エネルギー」と「燃料転換」が主要な柱。省エネルギーには機器単体(車両、船舶、航
空機)の省エネルギーと、交通システム全体の連携による省エネルギーとがある。
機器単体の省エネルギーでは、i) 駆動・推進システムの高効率化、および、ii)移動体(車体、船体、機体)の軽量化が重要。
燃料転換は、i) 石油消費削減のため天然ガスや石炭を原料とする合成燃料の導入、ii) カーボンニュートラルなバイオマス由
来燃料の導入、そして究極的には、iii) 使用時にCO2を排出しない水素または電気への転換である。水素・電気への転換は、
駆動・推進システムの変更も伴うため、駆動・推進システムの高効率化と表裏一体の関係にある。水素と電気の比較では、エ
ネルギー貯蔵密度と補給速度の点で水素の方が有利であり、近距離用自動車と鉄道以外は水素の利用を想定。水素化・電
化が難しい用途は、2100年時点でも炭化水素系燃料の使用を想定。
①自動車
■2100年のエネルギー需要を80%低減を達成するために、全ての自動車を効率の高い燃料電池ハイブリッド車(燃料は水
素)や電気自動車に代替。その結果、電化・水素化率100%となり、車両からのCO2排出原単位はゼロになる。
■2050年にエネルギー需要を60%低減するため、燃料電池ハイブリッド車と電気自動車が合計で4割程度のシェア(ストック
ベース)を確保するとともに、残りの大部分は内燃機関ハイブリッド車となっていることが必要。
■自動車の主流は、「内燃機関従来車→内燃機関ハイブリッド車→燃料電池ハイブリッド車」と移り替わり、電気自動車は短
距離走行が主体の小型車を中心に使用される。内燃機関用の燃料は、2050年までに石油から合成液体燃料主体に移行
する。移行の過程では、石油系燃料と合成燃料が混合利用される。
②船舶、航空機、鉄道
■2100年までに船舶40%、航空機50%、鉄道30%のエネルギー消費削減を目指す。
■船舶のうち内航船は軽量化、動力効率改善などで省エネを進め、2050年以降、水素化による脱炭素化に向かう。
■外航船は海外のエネルギーインフラ等の問題もあり2100年時点でも炭化水素系燃料に依存するが、省エネやバイオマス
利用等を推進し、化石燃料依存は極力抑制。
■航空機は、水素・電気への転換が相対的に難しいため2100年時点でも炭化水素系燃料を使用。
■元来効率の良い輸送であり既に電化率の高い鉄道は、電化・素化率100%を前提に効率改善を徹底。
③交通システム
■交通流制御、無人運転(効率化・軽量化)といった既往システムの向上によりエネルギー効率の向上を進めることが第一。
■これに加え、自動車主体に陥りがちな交通に関し、鉄道・船舶へのシフト・組み合わせによる効率化を推進する(根本的な
モーダルシフト)。これには設備機器の開発に加え社会システムの大きな改編が必要であるが、本検討では純粋に技術
的な解決課題を対象とし、社会システムの改編によるエネルギー消費改善は含まない。
運-3
2000
運輸
2030
2050
2100
1.5倍
2.1倍
20%削減
50%削減
70%削減
30%削減
1%以上
100 g-CO2/km(2/3倍)
60%削減
40%
50 g-CO2/km(1/3倍)
80%削減
100%
0 g-CO2/km
10~20%削減
20~35%削減
30~50%削減
1倍
効用(人・km、トン・km)
転換分野からの供給が必要な
必要エネルギー量※(運輸全体)
自動車 必要エネルギー量※
電化・水素化率
CO2原単位
0%
160 g-CO2/km (1倍)
航空機・船舶・鉄道
必要エネルギー量※
※GDPに比例して効用が増加した場合を基準にして、転換分野からの供給が必要なエネルギー(単位当たり)の削減量
省エネ
自動車
(エンジン) →
エンジン/モータ
(ハイブリッドシステム)
モータ
燃料電池/蓄電池
→
軽量化による省エネ
[液体燃料]
(石油)→
燃料転換
(自動車)
合成燃料(混合)
バイオマス燃料(混合)
[水素貯蔵] 圧縮水素
→
液体水素、水素吸蔵材料
[水素供給] バッチ輸送
→
高効率オンサイト製造
[電力貯蔵]
蓄電池、キャパシタ等
[電力供給] ケーブル接続充電
→
→
パイプライン輸送(局所、地域)
ケーブルレス非接触充電
エンジン効率向上
航空機
船 舶
域内用途の超軽量小型車
0 g-CO2/km
軽量化
による省エネ
[内航船]
[外航船]
鉄 道
ハイブリッド駆動
運輸全体
運輸システム連携による省エネ
水素駆動化・超電動駆動化
大型化、低速運行システム
運-4
2000
概要
2030
2050
※燃費は現状内燃機関比を表す
(軽量化等の効果含む)
自動車
車体軽量化、エンジン効率向上、モータ・電力変換効率向上、システム制御高度化
内燃機関ハイブリッド車
燃費 1.5倍
燃料電池ハイブリッド車
CTL
エタノールまたはETBE、BDF
バイオマス燃料
BTL
FC効率向上、蓄水素部・車体の軽量化、モータ・電力変換効率向上
燃費 3倍
水素貯蔵
4倍
副生水素バッチ輸送 オンサイト燃料改質
オンサイト水電解
電池・車体の軽量化、モータ・電力変換効率向上
電気自動車(近距離用)
燃費 4倍
リチウム電池
パイプライン輸送
6倍
リチウム電池または新型蓄電装置
(手動ケーブル接続式)
電気供給
空調省エネ
5倍
太陽電池による補助給電
5倍
蓄電
軽量化
太陽電池による補助給電
圧縮、液化、貯蔵材料(無機、合金、炭素、有機)
水素供給
自動車共通技術
(燃料電池ハイブリッド車に移行)
2倍
GTL
合成液体燃料
航空機
2100
ケーブルレス自動非接触式
超高張力鋼、高張力アルミニウム、マグネシウム、チタン、複合材
ヒートポンプ効率向上、断熱、遮光
機体高性能化、ジェットエンジン効率向上
燃費 2倍
[内航船]
軽量化 電動化・プロペラ配置の分散最適化・超電導モータ
超電導モータ
大型化、航行速度最適化
船舶
[外航船]
鉄道
軽量化、モータ・電力変換効率向上、架線・電池ハイブリッド化
(非電化区間)
ディーゼル・電池ハイブリッド車
水素FC・電池ハイブリッド車
水素燃料電池船
運-5
自動車の効率向上
■ 自動車による「効用(≒台数×移動距離)」がGDPに比例して増大。
■ 必要エネルギー原単位を改善するため、動力の効率向上、軽量化等による省エネが必要。
■ 将来のエネルギー原単位改善、CO2原単位改善のためには、効率が高く走行時にCO2を排出しない燃料電池自動車または電気自動車が主流になる必要がある。
内燃機関ハイブリッド車
■
■
■
■
■
乗用車、小型トラック等の域内走行主体の自動車はハイブリッドシステム化が進み、2050年頃までに非ハイブリッド車はなくなる。
大型トラック等の遠距離走行車には、内燃機関ベースのハイブリッドシステムはメリットが小さいためハイブリッド化はほとんど進まない(従来車から直接、燃料電池車に移行)。
従来車、ハイブリッド車ともに、軽量化等による燃費向上がある。
21世紀末までに内燃機関自動車全体がなくなる。
HCCI(予混合圧縮着火)エンジンが実用化された場合、3種類共存でなく2種類(または1種類)に統合される可能がある。
※燃費は現状内燃機関との比
(軽量化等による効果も含む)
乗用車
2000
内燃機関従来車
2030
1.3倍
車体軽量化、エンジン効率向上、モータ・電力変換効率向上、システム制御高度化
(燃料電池ハイブリッド車に移行)
車体軽量化
内燃機関従来車
1.1倍
燃費 1.0倍
エンジン
ガソリンエンジン
ディーゼルエンジン
(燃料電池ハイブリッド車に移行)
2倍
燃費 1.5倍
大型トラック
2100
車体軽量化、エンジン効率向上
燃費 1.0倍
内燃機関ハイブリッド車
2050
効率向上
排気対策 乗用車への適用拡大
HCCIエンジン
ハイブリッド用電池
ニッケル水素
入出力パワー密度 1 kW/kg
Liイオン、キャパシタ
2 kW/kg
(燃料電池ハイブリッド車へも適用)
5 kW/kg
技術以外の要因
● トップランナー方式等の燃費基準
● 低燃費車に対する課税優遇、補助金
運-6
内燃機関自動車用燃料
■ 内燃機関用の燃料は、2050年までに石油主体から合成燃料主体に移行する。移行の過程では、石油系燃料と合成燃料との混合利用を想定。
■ エタノール(またはETBE)や植物油は比較的早期に導入される可能性があるが、供給量の点で制約があり、燃料の主成分とはならない。
■ FT合成油は、まず軽油混合の形で導入される可能性がある。FT合成油をガソリンエンジンに用いるには、高オクタン価基材の製造技術開発が必要で導入時期はディーゼルエ
ンジン用より遅い。天然ガス、石炭等を原料とした合成ガスからのメタノール経由の合成ガソリンも利用される可能性がある。
■ HCCIエンジン用燃料の仕様は現時点では不明。 エンジンの統合と関連して、燃料も2種類(または1種類)に統合される可能性がある。
■ その他、DME、CNG、LPG等の利用も石油代替およびCO2排出削減に寄与する。
2000
2030
2050
ガソリンエンジン用
2100
(ガソリンと混合利用)
エタノール
またはETBE
高オクタン価基材製造技術
合成ガソリン
(FT合成経由)
再生可能エネルギーとのハイブリッド製造技術
天然ガス(GTL)
合成ガソリン
(メタノール経由)
石炭(CTL) バイオマス(BTL)
高効率製造技術
ディーゼルエンジン用
(軽油と混合利用)
植物油(BDF)
合成軽油
(FT合成)
高効率製造技術
天然ガス(GTL)
再生可能エネルギーとのハイブリッド製造技術
石炭(CTL)
バイオマス(BTL)
HCCIエンジン用
HCCIエンジン用新燃料
技術以外の要因
● 新燃料に対する課税優遇
● 燃料規格の改定、排ガス規制との整合
運-7
燃料電池ハイブリッド車
■ 燃費は、 ガソリン(軽油)換算した単位水素消費量当たりの走行距離の比。水素タンク重量は、航続距離500kmを確保するのに必要な重量。
■ 車載水素貯蔵技術の性能向上が最も重要な課題。燃料電池の効率向上や車体軽量化等による燃費向上も水素タンク重量減に貢献。大型トラックに適用するには、相当に高性
能な水素貯蔵技術が求められる。
■ 水素供給は、副生水素や炭化水素のオンサイト改質から始まり、化石燃料の価格上昇とともにオンサイト水電解が主流になる。水素消費量が増えて十分な需要密度が得られ
る地域では、集中製造+パイプライン輸送も行われると想定。
※燃費は現状内燃機関との比
(軽量化等による効果も含む)
2000
2030
2050
FC効率向上、蓄水素部・車体の軽量化、モータ・電力変換効率向上
乗用車
燃費(現状ガソリン車比) 3倍
水素タンク重量 170 kg
体積 300 L
大型トラック
共通技術
3.5倍
50 kg
50 L
燃費(現状ディーゼル車比) 1.2倍
水素タンク重量 4.2 t
体積 5,000 L
2100
太陽電池による補助給電
4倍
30 kg
40 L
5倍
20 kg
30 L
1.5倍
500 kg
700 L
2倍
350 kg
500 L
耐久性向上、抵抗低減、白金代替触媒、使用温度範囲拡大
燃料電池
モータ
高効率電力変換
効率 50%
出力密度 1 kW/L
(誘導機)
55%
数kW/L
永久磁石式同期機
定格点効率 90%
インホイールモータ
超電導モータ(大型車)
95%
45nmプロセス
定格点効率 95%
出力密度 1 W/cm3
60%
SiC
GaN、AlN等 CNTトランジスタ
99%
10 W/cm3
100 W/cm3
150 W/cm3
超高張力鋼、高張力アルミニウム、マグネシウム、チタン、複合材
軽量化
空調省エネ
太陽電池ルーフ
車両重量 30%減
50%減
空調エネルギー 30%減
50%減
ヒートポンプ効率向上、断熱、遮光
セル効率30%
運-8
水素貯蔵技術
貯蔵密度 3 wt%, 17g/ L
充填時間 5 分
※貯蔵密度は
システム貯蔵密度
無機系
(Mg、Li、N)
貯蔵材料
圧縮/合金系
低温/炭素
有機系
液化水素
液化技術
9 wt%, 80g/L
2分
12 wt%, 95 g/L
15 wt%, 110 g/L
12 wt%
15 wt%
動作温度低温化、触媒開発、脱水素反応器最適化
~8 wt%
2 wt%
9 wt%
40 g/L、6 wt%
7 wt%
ガス冷凍-磁気冷凍ハイブリッド
%カルノー 30%
冷凍能力 1 t/日
磁気冷凍
50%
1~10 t/日
高圧容器化
断熱タンク(車載)
BOG
5~7%/日
放出ゼロ 0.5~1日間
0.5%/日
14日間
60%
10 t/日
70%
革新的断熱材・タンク材料の開発
<0.1%/日
30日間
水素供給技術
水素ステーション
水素製造・供給技術
オフサイト水素製造・供給
オンサイト水素製造・供給
水素の供給が可能なスタンドの割合 5%
60%
副生水素バッチ輸送
炭化水素燃料改質
100%
パイプライン輸送
水電気分解
技術以外の要因
● 公共投資による水素供給ネットワーク整備、公共的車両への積極的導入、FC車特区
● FC車および水素に対するインセンティブ(水素に対する課税優遇、FC車に対する課税優遇、駐車場での優遇、乗り入れ規制緩和、等)
● 車両および燃料に関する規格、水素充填設備に関する規格、技術基準(国際標準含む)の整備
● メンテナンス産業の育成、FC車特有素材のリサイクル体制整備
運-9
電気自動車
■ 燃費は、ガソリン(軽油)換算した単位充電電力量当たりの走行距離の比。蓄電装置重量は、航続距離200kmを確保するのに必要な重量。
■ 蓄電装置の電力貯蔵密度向上と耐用年数の伸長が最重要課題。車体軽量化等による燃費向上も蓄電装置の重量減に貢献。小さくて軽い車の方が成立しやすい。
■ モータ・電力変換技術は、一定性能の実用技術が確立済み。車両開発や充電設備・補助電源の新技術開発は、蓄電技術の見通しが立ってから始める。
■ 200km以上の連続走行ニーズには、小型電源(数kW)を必要時だけ追加車載して対応することも可能。
■ プラグイン・ハイブリッド車(燃料補給も充電も行い充電電力を優先使用、補足資料3参照)が純電気自動車に先立って実用化される可能性あり。
※燃費は現状内燃機関との比
(軽量化等による効果も含む)
2000
2030
2050
電池・車体の軽量化、モータ・電力変換効率向上
乗用車(近距離用)
太陽電池による補助給電
5倍
100 kg
燃費(現状ガソリン車比) 4倍
蓄電装置重量 200 kg
電池・車体の軽量化、モータ・電力変換効率向上
小型トラック
4倍
300 kg
燃費(現状ディーゼル車比) 3.5倍
蓄電装置重量 600 kg
共通技術
モータ
永久磁石式同期機
(誘導機)
定格点効率 90%
高効率電力変換
6倍
70 kg
太陽電池による補助給電
4.5倍
220 kg
インホイールモータ
95%
45nmプロセス
定格点効率 95%
出力密度 1 W/cm3
2100
SiC
GaN、AlN等 CNTトランジスタ
99%
10 W/cm3
100 W/cm3
150 W/cm3
超高張力鋼、高張力アルミニウム、マグネシウム、チタン、複合材
軽量化
空調省エネ
車両重量 30%減
50%減
ヒートポンプ効率向上、断熱、遮光
空調エネルギー 30%減
50%減
運-10
リチウム電池または
他の新型蓄電装置
リチウム電池
蓄電技術
貯蔵密度 150 Wh/kg
寿命 5年
電気供給
250 Wh/kg
200 Wh/kg
10年
(手動ケーブル接続式)
300 Wh/kg
ケーブルレス自動非接触式
車庫(自家用)
駐車場(共同用)
長距離走行用追加電源
太陽電池ルーフ
ケーブルレス自動非接触式
水素燃料電池
セル効率30%
技術以外の要因
●
●
●
●
公共投資による充電インフラ整備、公共的車両への積極的導入、電気自動車特区
電気自動車に対するインセンティブ(自動車用電力に対する課税優遇、電気自動車に対する課税優遇、駐車場での優遇、乗り入れ規制緩和、等)
車両に関する規格、充電システムの規格、技術基準(国際標準含む)の整備
メンテナンス産業の育成、電気自動車特有素材のリサイクル体制整備
運-11
自動車の軽量化
■ 材料の軽量化(高強度化)および乗用車の小型車シフトにより車両を軽量化
2000
2030
2050
2100
車両重量 ▲20%
▲30%
▲50%
300 kgf/m2
500 kgf/m2
700 kgf/m2
50~60 kgf/m2
150 kgf/m2
200 kgf/m2
250 kgf/m2
50 kgf/m2
150 kgf/m2
200 kgf/m2
250 kgf/m2
120 kgf/m2
300 kgf/m2
400 kgf/m2
500 kgf/m2
車両の軽量化
軽量化材料
■ 現状もそうであるように、複数の材料が適材適所に使用されていく。
超高張力鋼
強度 100 kgf/m2
高張力アルミニウム
マグネシウム
チタン
複合材(CFRP等)
各材料共通
高速成形技術
150 kgf/m2
パネル部材への適用→構造部材への適用拡大
250 kgf/m2
270 kgf/m2
300 kgf/m2
低コスト化、異種材料間の接合技術、リサイクル技術、安全設計技術、変形破壊挙動解明・シミュレーション技術
乗用車の小型車シフト
技術以外の要因
● 小型車シフトに対するインセンティブ、ユーザー意識
運-12
航空機
■ 省エネルギーのための主要技術は、機体の高度化とエンジン効率向上。両方併せて50%減が見込まれる。
■ ジェット燃料は、現在の石油系から将来は合成液体燃料に替わる。燃料インフラの追加整備を最小限に抑えるため、合成液体燃料は石油系燃料と任意の比率で混合使用でき
ることが望ましい。
■ 将来、自動車・船舶等での水素利用が一般化した場合には、航空機における水素利用の可能性も検討。
2000
2030
エネルギー消費 ▲20%
2050
2100
▲35%
▲50%
▲10%
▲15%
機体構造の軽量化・空力効率向上
機体の高性能化
ジェットエンジンの
効率向上
(エネルギー消費への寄与分) ▲5%
各要素の性能改善、制御技術
の向上、革新材料適用等
エンジン形態の改良(超高バイパス比、
インテリジェントエンジン等)
(エネルギー消費への寄与分) ▲15%
▲25%
▲35%
合成液体燃料
(天然ガス、石炭、バイオマス等から製造、石油系燃料と混合利用)
エンジン用代替燃料
技術以外の要因
● 徹底した安全性の追求
運-13
船舶
■ 各種省エネルギー技術を総合し、2100年までに40%の省エネルギーを目指す。
■ 内航船は、車載用燃料電池、水素など国内インフラを活用できるため、水素駆動・電動となる(大型水素ディーゼルの総合効率が優れているため、小型船は電動、中大型船は
水素内燃機関船がそれぞれ主流)。これらは陸運の機器開発、インフラ開発に追随する形でシフトが進む。船の耐用年数が長いため移行期間も長い(20年以上)。
■ 外航船は帰路の問題もあり化石燃料もしくは合成油による推進が基調。幹線は数十万トン級の超大型船によるハブ間輸送が主柱を占め、ローカルネットワークに引き継がれる。
大型船への混載集中を合理化できる海運システムの発達が必須。
■ なお、現在相当の割合を占める化石燃料の輸入が将来減少するのであれば、海運需要が半減するため、このセクターでのエネルギー消費、CO2排出も低下。しかしながら、バ
イオマスの大量輸入の有無による。
2000
2030
エネルギー消費 ▲10%
電化・水素化率
0%
主として内航船
2050
2100
▲20%
0%
▲40%
30%
小型船舶の軽量化
船体形状の最適化
電動化
超電導モータ
プロペラ配置の分散最適化・
ユニット標準化
複数動力最適制御
水素燃料電池船
水素利用
主として外航船
貨物船大型化
航行速度最適化
電動化
超電導モータ
多様化石燃料利用
原子力船
(原子力最大利用ケース)
運-14
海運システム
ハブ港ネットワーク
陸運との連携
大量・定常・低速運行管理
燃料
エンジン用代替燃料
合成液体燃料
(天然ガス、石炭、バイオマス等から製造、石油系燃料と混合利用)
水素
原子燃料
(原子力最大利用ケース)
技術以外の要因
● ハブ港主体の海運システム
● 港湾と鉄道・道路等の一体化整備
● 水素機器の標準化(自動車用との共用化)
運-15
鉄道
■ エネルギー消費の約9割を占める電化区間では、電車のハイブリッドシステム化(蓄電装置搭載)により、回生電力の再利用率が向上。軽量化、モータ・電力変換器の改善と併
せた省エネ率は2100年までに30%を期待。
■ 非電化区間では、ディーゼル車両のハイブリッド化とFCハイブリッド車両の導入でエネルギー消費を削減。FCハイブリッド車両の導入は、水素FC自動車の実用化の後になる。
単体の効率向上は大きいが、日本では非電化区間が少ないため量的効果は小さい。
■ FCハイブリッド車両の導入により電化・水素化率は100%となる。
2000
2030
エネルギー消費 ▲10%
電化・水素化率
90%
共 通
2050
2100
▲20%
95%
▲30%
100%
車体軽量化
電化区間
モータ・電力変換器
の損失低減
架線・電池ハイブリッド化
(回生蓄電付加)
永久磁石モータ、直接駆動
高効率電力変換素子、超電導変圧器、超電導モータ
エネルギー消費率 ▲10%
エネルギー消費率 ▲10%
非電化区間
ディーゼル・電池
ハイブリッド車
エネルギー消費率 ▲30~40%
水素FC・電池
ハイブリッド車
エンジン用代替燃料
エネルギー消費率 ▲40~50%
合成液体燃料(天然ガス、石炭、バイオマス等から製造、石油系燃料と混合利用)
水素
技術以外の要因
● 高速化ニーズの動向(高速リニアモーターカーは増エネ要因)
● 水素機器の標準化(自動車用との共用化)
運-16
交通システム体系
■ 自動車、鉄道、船舶、航空機といった個別の輸送機器の高度化に留まらず、現在とは異なる交通体系の実現によりエネルギー効率の優れた
社会を実現する。
■ カテゴリー1については技術スペックのエネルギー消費削減の内数、カテゴリー2については技術スペックとするエネルギー消費削減の外数
(追加的な手段)として位置づけ。
カテゴリー1: 陸海空それぞれの輸送体系における社会システム的な対応
【例】
自動車等の無人運転により安全設備の簡易化も含めドラスティックな軽量化を実現
ITSをさらに徹底し、域内道路交通流の最適制御の実現によりエネルギー効率、時間効率を改善
低速ではあっても定常化によるルーチン的輸送の効率化
低騒音技術等に基づく深夜輸送などにより交通流密度低減、インフラ設備の軽便化
等々
カテゴリー2:異なる運輸体系の長所・短所を補完する形で的確に組み合わせることで実現する総体としてのエネルギー効率向上
【例】
遠距離輸送を担う船舶、鉄道、大型トラックと域内輸送の合理的な組み合わせ(モーダルシフト、ハイブリッド輸送)
港湾、鉄道ターミナル等の結節点におけるコンテナ・パッケージの24時間自動仕分けシステム
運-17
1.運輸分野詳細ロードマップ作成の手順
補足説明
運輸分野2050年省エネ技術スペック
運輸分野2100年省エネ技術スペック
⑤
船、飛行機、鉄道
①
船、飛行機、鉄道
自動車2050年省エネ技術スペック
自動車2100年省エネ技術スペック
技術スペック実現に
必要なシェア構成 ⑥
⑦
2030年シェア
②
性能マイルストーン
2100年主力技術
③
現状性能
バックキャスト
自動車共通技術
性能マイルストーン
③
現状性能
ブリッジング技術
技術スペック実現のための
技術構成
要求性能
性能マイルストーン
現状性能
④
水素需要
既存技術
現状性能
性能マイルストーン
ロードマップ
電力需要
燃料需要
④
水素需要
電力需要
燃料需要
運-18
2.自動車の車種別のシェアと二次エネルギー消費構成の想定イメージ
遠距離走行車(大型トラック等)
2000
0%
2010
2020
2030
車種シェア
2040 2050
2060
2070
2080
域内走行車(乗用車、小型トラック等)
2090
2000
0%
2100
2010
2020
40%
40%
従来
60%
従来
内燃機関
ハイブリッド
60%
FC ハイブリッド
80%
80%
100%
100%
二次エネルギー消費
2070
2080
2090
2100
600
500
500
400
400
300
200
合成燃料
バイオマス燃料
石油
100
2010
2020
2030
2040
2050
2060
FC ハイブリッド/
電気自動車
二次エネルギー消費量
600
[10^12 kcal]
[10^12 kcal]
2060
20%
20%
0
2000
車種シェア
2040 2050
2030
2080
2090
200
石油
合成燃料
バイオマス燃料
100
水素
2070
300
2100
0
2000
2010
2020
2030
2040
2050
水素/電力
2060
2070
2080
2090
2100
運-19
3.エンジン車、電気自動車と各種ハイブリッド車の位置づけ
燃料
モータ
シリーズ HB
(燃料電池HB)
補給エネルギー
プラグイン
HB
レンジエクス
テンダー付EV
電気
純EV
シリーズ
パラレルHB
電池容量
車輪駆動力
パラレル HB
マイルド HB
エンジン
エンジン単独
■ エンジンとモータ、燃料と電気を組み合わせたのがハイブリッド(HB)自動車であるが、組合せ方によって様々なハイブリッド自動車が考案され、実用化さ
れている。縦軸に車輪駆動力(直接駆動力が何から得られているか)、横軸に補給エネルギー(自動車に補給するエネルギーは何か)をとって、種々の
ハイブリッド自動車とエンジン単独車、純電気自動車(純EV)を位置づけた。
■ エンジン単独車と純EVは両極端の対角に位置する。
■ パラレルHBにおいて、モータは動力面では補助の役割であるが、回生制動を可能にるすことで燃費向上に寄与する。シリーズパラレルHBはトヨタのプリ
ウスが代表的であり、パラレルHBに比べてモータのみで車輪を駆動するモードがあることが特徴である。
■ シリーズHBは、エンジン動力を全て電力に変え、車輪を駆動するのはモータだけになる。燃料電池HB車も、ここに位置づけられる。ここまでは、自動車に
補給されるエネルギーは燃料のみである。
■ 最近、米国で提案されているのがプラグインHBで、これはシリーズパラレルHBやパラレルHBをベースに、搭載している電池を増強した上で、それを商用
電力で充電して走行用エネルギーの足しにする考え方である。一般に燃料より電力の方が安価であるので、電力を優先的に使えば走行費用節約にもな
る。
■ 純EVに小型発電機を搭載して航続距離を伸ばすのがレンジエクステンダーであり、これは純EVより少し左に位置づけられる。
■ エンジン単独車から純EVに向けて、ほぼこの順番で車両効率が高くなるが、一方で必要な電池容量が増えて車両コストも高くなる。
運-20
4.水素、電力、液体燃料のエネルギー貯蔵密度の比較
①重量ベースの比較
水素
発熱量1)
28,900 kcal/kg
貯蔵密度2),3)
3w t%
15w t%
15w t%
タンク1kg当たり 5)
貯蔵エネルギー
(kcal/kg-tank)
867
4,335
4,335
ガソリンタンクに
対する比
0.09
0.47
0.47
自動車燃費倍率 6)
3
5
2
ガソリンタンクに
対する比
(燃費倍率を考慮)
0.28
2.37
0.95
②体積ベースの比較
水素
発熱量1)
28,900 kcal/kg
貯蔵密度2),3),4)
17g/L
110g/L
110g/L
タンク1L当たり
貯蔵エネルギー
(kcal/L-tank)
491
3,179
3,179
ガソリンタンクに
対する比
0.05
0.35
0.35
自動車燃費倍率 6)
3
5
2
ガソリンタンクに
対する比
(燃費倍率を考慮)
0.16
1.74
0.70
(注)
1) 燃料の発熱量は低位発熱量基準
電気
ガソリン
2) 水素と電気の貯蔵密度はロードマップ記載の現状値と最大値
860 kcal/kW h
10,150 kcal/kg 3) ガソリンの貯蔵密度は推定値
4) 電気の体積ベース貯蔵密度は電池の比重を1.6として算出
150W h/kg 300W h/kg
90w t%
5) タンクと燃料の合計重量
6) 水素の燃費倍率は、燃料電池自動車のガソリン(軽油)換算し
129
258
9,135
た単位水素消費量当たりの走行距離の比(低位発熱量換算)
電気の燃費倍率は、電気自動車のガソリン換算した単位充電
電力量当たりの走行距離の比
0.01
0.03
1
<解説>
①重量ベースの比較
発熱量ベースで比較すると、水素の貯蔵密度3wt%はガソリ
0.06
0.17
1
ンタンクの約1/10、15wt%まで向上すると約1/2になる。燃料
電池自動車では燃費が良いことを加味すると、3wt%はガソリ
ンタンクの約3割に相当する。貯蔵密度15wt%で燃費倍率が
2倍(大型トラックでの想定値)のとき、ほぼガソリンタンクと同
電気
ガソリン
等になる。
参考までに本ロードマップでは、21世紀末時点での水素飛行
860 kcal/kW h
10,150 kcal/kg
機、水素燃料電池船、水素燃料電池電車の燃費倍率は、それ
240W h/L 480W h/L
700g/L
ぞれ、2倍、1.7倍、2倍程度を技術スペックとしている(現状の
化石燃料と内燃エンジン技術を基準)。
206
413
7,105
電池のエネルギー貯蔵密度は、水素より1桁小さい。
300Wh/kgに向上し、自動車の燃費が6倍になっても、ガソリン
の17%にしか達しない。
0.02
0.05
1
②体積ベースの比較
4
6
1
水素は、体積ベースの方が値がやや低くなり、電力は、体積
ベースの方が値がやや高くなる。
ガソリン、水素、電気の相対関係は変わらない。
0.09
0.27
1
4
6
1
運-21
5.急速充電および電池交換による電力補給システムについて
電気自動車はエネルギー効率やCO2削減の面からは優れた特性を有するオプションであるが、以下に示すような急速充電、電池交換の制約
から当面は主流となり難いと考え、本ロードマップでは、長距離走行に対応できる自動車として燃料電池車(FCV)を想定した。FCVの開発普及
に伴い蓄電系の性能も向上し、それを活用することで主として近距離需要を満たす自動車として軽量な電気自動車が一足遅れて大きく普及す
るものと想定している。そして、電気自動車への現実的な電力補給としては車庫や駐車場といった停止時での充電のみを想定した。
急速充電
急速充電に必要となる電力を試算した(右表)。
10km/L相当のガソリン車で500km走行する場合、消費されるガソリンの
エネルギー量は295Mcal、燃費4倍の電気自動車であれば消費エネル
ギーは99Mcal(=115kWh)である。これを仮に5分で充電すると、充電器効
率×充放電効率=0.80と仮定して、1,700kWの電力が必要になる。燃費6
倍の電気自動車であれば、必要エネルギー量は少なくなるが、ガソリン車
と同じ補給時間(2分)を求めると、2,800kWの電力が必要になる。
こうした容量の充電設備を随所に用意することは、設備面および操作安
全面でも現実的ではない(12V・233kA~6,600V・424A!!)。
ちなみに、ガソリン給油時のガソリン流量0.42L/秒は14,000kWに、また水
素充填における水素流量200L/sec(気体)は1,800~2,800kWに相当する。
発熱量
水素
電力
ガソリン
2,580 kcal/N m 3
860 kcal/kW h
7,820 kcal/L
500km 走行に必要
M cal
なエネルギー
-
-
-
-
391
燃費倍率
3
5
4
6
1
130
78
98
65
391
500km 走行に必要 N m 3
なエネルギー
(燃費倍率を考慮) kW h
L
51
30
-
-
-
-
-
114
76
-
-
-
-
-
50
補給時間分
5
2
5
2
2
168
253
-
-
0.42
1,819
2,728
1,705
2,842
13,640
M cal
補充速度
分
L/秒
kW
電池交換
1. 電池は電気自動車の構成要素の中で、車の性能を左右する最も重要な部品であり、かつ高価である。これに対し貯蔵されている電気の価
格は、電池価格に比べて2桁程度安い(乗用車の場合、電池価格が数十万円以上に対し電気は数千円)。電池交換システムにおいては、電
気エネルギーとそれを貯めるための電池とが一体となって取引されるが、その場合、取引の主対象は高価かつ重要性が高いものになるの
が自然である。つまり電池交換は、電池を売買するビジネス(新品・中古を含む)として登場する可能性はあるが、電気のみを売買するビジネ
スとしては成立し難いと考えられる。
2.ユーザーが複数の電池セットを購入して、それらを交換して使う可能性はある。しかし、その場合でも次のような問題がある。
(1) 電池は液体燃料に比べて体積当たりのエネルギー貯蔵密度が小さく、車体の中で大きな体積を占めがちである。短時間の電池交換を前
提とすると、 電池の配置に関する設計の自由度が制限され、十分な量の電池をコンパクトに配置することの妨げになる。
(2) 交換用電池のコスト負担のために経済性が低下する。
(3) 現在の電気自動車で一般的な電圧100V以上の電池をユーザーが触れることは安全面で懸念があり、メーカーも保証の対象には含めにく
い。一方、電圧レベルを下げると、効率面、コスト面で不利になる。
(4) 遠方への長距離ドライブの際には役に立たない。
運-22
6.自動車、船舶の太陽光発電によるエネルギー補完可能性
自動車、船舶の動力エネルギーとして、発電効率、重量等著しく性能の向上した太陽光発電の利用が想定される。屋根面の活用が容易な
貨物自動車、および甲板の遊休度の高い外航大型貨物船を例に試算した。
下表に示すように、晴天時には運行に必要な出力(自動車は最大出力×0.5、船舶は最大出力×0.8と仮定)の数%~10%程度を賄える出
力を確保できる可能性がある。船舶は大型化・低速化された場合にはさらに寄与率が高くなるが、それでも他からのエネルギー供給に頼らな
い「自立化」は困難と考えられる。
(1) トラック・コンテナの屋根面に高効率太陽電池を設置した場合の
補助能力を試算
(2) 外航用大型貨物船の甲板に高効率太陽電池
を設置した場合の補助能力を試算
車種
2ton
4ton
全長(m m )
全幅(m m )
排気量(cc)
エンジン最大出力(
kW )
走行時出力(kW )
パネル幅(m )
パネル長(m )
パネル面積(m 2)
晴天時水平面日射強度
(kW /m 2)
発電出力(kW )
η:
20%
η:
30%
η:
40%
寄与率(
%)
η:
20%
η:
30%
η:
40%
6,440
2,195
4,500
96
48
2.0
5.0
10.0
8,590
2,360
7,961
147
74
2.0
7.0
14.0
10ton
コンテナ車
11,940
2,490
12,503
206
103
2.0
9.0
18.0
0.8
0.8
0.8
0.8
1.6
2.4
3.2
2.24
3.36
4.48
2.88
4.32
5.76
5.6
8.4
11.2
3.3
5.0
6.7
3.0
4.6
6.1
2.8
4.2
5.6
5.4
8.2
10.9
10万トン級
コンテナ船
トレーラー
18,000
2,490
12,503
206
103
2.0
17.5
35.0
設置面積(m 2)
300m ×60m ×80%
晴天時水平面日射強度
(kW /m 2)
主機関最大出力(kW )
航行時出力(kW )
発電出力(kW )
14,400
0.8
74,600
59,680
η:20%
η:30%
η:40%
2,304
3,456
4,608
η:20%
η:30%
η:40%
3.9
5.8
7.7
寄与率(%)
運-23
7.モーダルシフトによるエネルギー消費削減の可能性
1)旅客部門の2000年の輸送量は2.1兆人・km。輸送機関別のシェアは、自動車67%、鉄道27%、航空機6%(図2左端)。
2)貨物部門の2000年の輸送量は5,800億トン・km。自動車(シェア57%)と船舶(同40%)が大半を占める(図6左端)。
3)2000年のシェア固定のまま、2100年に輸送量が2.1倍になった場合、各機器の燃費改善(図1、図5)により、旅客部門のエネルギー消費量は約
50%減(図3) 、貨物部門は30%減となる(図7)。
4)自動車から鉄道へのモーダルシフトが進むと(旅客部門図2右端、貨物部門図6右端)、自動車と鉄道のエネルギー需要の和は約40%減少す
る(図4、図8)*1,*2。
*1旅客部門(2100年時点):
自動車から鉄道へのシフトはシェア1%につき11PJのエネルギー消費減
鉄道から航空機へのシフトはシェア1%につき21PJのエネルギー消費増
自動車から鉄道へのシフトはシェア1%につき16PJのエネルギー消費減
自動車から船舶へのシフトはシェア1%につき14PJのエネルギー消費減
鉄道から航空機へのシフトはシェア1%につき130PJのエネルギー消費増
エネルギー消費原単位 [kJ/人km ]
5
10
15
20
2000年
2100年
自動車
鉄道
航空機
図2
80%
航空機
40%
鉄道
20%
自動車
2030
2050
シェア固定
図3
2,500
2,000
1,500
1,000
500
0
2000
2030
2050
[年]
2100
エネルギー消費量 [P J/年]
[年]
3,000
図5
エネルギー消費原単位 [kJ/トンkm ]
0
5
10
15
20
25
船舶
60%
0%
2000
船舶
エネルギー消費量 [P J/年]
100%
2100
鉄道
100%
図6
80%
船舶
60%
航空機
40%
鉄道
20%
航空機
0%
2000
船舶
図4
2,500
船舶
2,000
航空機
1,500
鉄道
1,000
自動車
500
0
2030
2050
[年]
2100
自動車
2030
2050
[年]
モーダルシフト
3,000
2000
2000年
2100年
自動車
エネルギー消費量 [P J/年]
0
輸送量シェア
図1
貨物輸送
輸送量シェア
旅客輸送
3,000
シェア固定
2,500
図7
2,000
1,500
1,000
500
0
2000
2030
2050
[年]
2100
エネルギー消費量 [P J/年]
*2貨物部門(2100年時点):
2100
モーダルシフト
3,000
図8
2,500
船舶
2,000
航空機
1,500
鉄道
1,000
自動車
500
0
2000
2030
2050
[年]
2100
運-24