激変星の進化問題 ー爆発頻度の低い矮新星はどれほど寄与するかー 植村誠(広島大学)、 加藤太一、野上大作(京都大学) 激変星の進化問題 • 連星の進化は – 単独星の進化 – 連星要素間/連星外へ の角運動量の移動を 考える。 →理論的に進化経路が 予測できる 連星のpopulation synthesisで観測され る分布を再現しよう! • 例:Barker & Kolb, 2003 全然説明できない。。。 • 「最小周期」周辺の問題 – 観測される値~80分、理論値~70分 • どうやっても差を埋められない、と問題に。 – ほとんどの系は 「最小周期」を通過しているはず で、分布は「最小周期」付近に集中するはずであ る。 • 当初は一般相対論を疑う声も。 • 現在は重力波以外の角運動量抜き取りを考えるのが 主流 • 観測されている軌道周期分布をがんばって再現する 激変星の軌道周期分布 • 以前よりも短周期の天体が増えている 軌道周期に対する スーパーアウトバーストの頻度 • 短い周期の天体ほど爆発頻度が少ない • 爆発頻度の低い、短周期の矮新星で未発見のものを考慮すべき ベイズ統計的なアプローチ • 爆発が観測された矮新星=ある確率過程で得ら れたサンプル、と考える – 矮新星サンプル= 本来の軌道周期(確率密度)分布×爆発頻度 – 観測サンプルの「尤度」が定義できる – 観測期間に対して不変 • ベイズの定理から、本来の軌道周期分布のモデ ルパラメータの事後分布を推定 – 「モデル→観測」のアプローチから「観測→モデル」へ 具体的なモデル • 爆発が観測される天体の軌道周期の確率密度関数 本来の軌道周期分布を表わす 確率密度関数のモデル 爆発頻度に依存した発見確率 絶対等級に依存した発見確率 ASAS-III or VSNETからアウトバーストし た矮新星サンプルを得る • 2003年から2007年の5年間で見つかった矮新星アウトバースト – ASASで42天体 (単一の観測システム) – VSNETで146天体 (様々な観測システムが混合) 本来の軌道周期分布 • 最小周期付近に密集 モデルパラメータの事後分布 • 最小周期は観測値よりも短くなる まとめ • WZ Sge型矮新星のように、爆発頻度の低い矮新 星がどんどん増えてきて、観測された激変星の 軌道周期分布が以前のものから変化してきた • 観測された分布を再現しようとするアプローチは 再検証が必要 • 爆発が観測された天体を、爆発検出確率を考え ることで、ある確率過程で得られたサンプルとみ なして、ベイズ統計的に本来の分布を推定 • 爆発頻度の低い天体は連星進化理論が予測す る「多数の短周期天体」の候補である
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