考える筋道

カフ内圧が気管壁に及ぼす作用
諏訪邦夫
帝京大学
1999年11月日本麻酔・集中治療テクノロジー学会
考える筋道
仮定
• 気管は剛体:伸展しない
• カフの構造は球に近い回転楕円体
方法
• カフを膨らませてやっと接触している条件
(臨界接触)
と
• ふつうに十分膨らませてしっかり接触してい
る条件
とを比較
ラプラスの法則
•⊿P = T1/R1 + T2/R2
⊿P :面の両側の圧差
T1,T2
R1,R2
:面の二つの方向の張力
:面の二つの方向の曲率半径
ラプラスの法則:臨界接触
•⊿P = Tlg/Rlg + Tcr/Rcr
lg:気管長軸方向
cr:円周方向
•⊿P0 = 2T/Rt
Rt は気管内径
(ほぼ球として)
ラプラスの法則:臨界を超える
•⊿P = Tlg/Rlg + Tcr/Rcr
しっかり接触すると,接触面は円柱
Rlg
Rcr
= ∞
→ 第一項は ゼロ
= 気管内径に固定つまり
∴⊿P
Rt
= 1/2 ×⊿P0
Ptm = Pic - 1/2 ×⊿P0
結 論
弾性の大きい,硬いカフでも
• カフ壁の弾性が圧を吸収する度合
いは僅かである.
• カフが気管壁を圧迫する圧はカフ
内圧に近い.
• カフ圧測定の意義は高圧カフでも
大きい.