Nano-JASMINE計画の状況 国立天文台 JASMINE検討室 小林行泰 ○初鳥陽一 JASMINEワーキンググループ 発表内容 Nano-JASMINE概要 衛星開発状況 各種試験結果 Nano-JASMINEのデータ解析&配信 山田他が発表 Nano-JASMINEカタログ 矢野他が発表 JASMINEワークショップ 2010.2.22-23 JASMINE計画シリーズ Nano-JASMINE 2011年打ち上げ 口径5cm、日本初の位置天文衛星(世界で2番目) 衛星開発や運用プロセスを経験 精度:数ミリ秒角(ヒッパルコスと同等) 小型-JASMINE 2015年頃打ち上げ目標 口径30cm、精度:10μ秒角、小型科学衛星シリーズでの実現を検討中 科学的・技術的に中型JASMINEにつなぐ。バルジの一部を観測 JASMINE 2020年代打ち上げ目標 口径80cm、精度:10μ秒角、バルジのほぼ全域をサーベイする JASMINEワークショップ 2010.2.22-23 Nano-JASMINE JASMINE計画における最初の衛星 次世代スペースアストロメトリ(JASMINE)のための 技術的蓄積(開発・軌道上実験) 宇宙開発の一連の作業を経験。学生・若手研究者に とっても貴重な経験。 日本初のスペースアストロメトリ観測経験 世界でも二番目 ヒッパルコスと同程度の精度で観測 ヒッパルコスミッション終了から15年が経過し、カ タログ上の座標情報は劣化しつつある。 そのため、同程度の精度でも、ヒッパルコスのデー タと合わせることで、固有運動の補正ができる JASMINEワークショップ 2010.2.22-23 Nano-JASMINEの概要 衛星の仕様 衛星外形 50×50×50cm 質量 約35kg 打ち上げ 2011年 ミッション期間 2年 観測等級 z<8mag 観測波長 z-band(λ~800nm) Nano-JASMINEの想像図 開発体制 ミッション部(望遠鏡など)→国立天文台&京都大学 バス部(無線器、姿勢制御、電源など)→東京大学&東京海洋大学 JASMINEワークショップ 2010.2.22-23 Nano-JASMINEの特徴 近年発展している小型衛星技術を用いることで、 ヒッパルコスと同様の精度ながら質量は数十分の一 1. 口径5cm(f=167cm)の小型望遠鏡 2. ビーム混合鏡による2視野同時観測 ヒッパルコスと同じ観測手法 3. 近赤外で量子効率の高い完全空乏型CCD ヒッパルコスでは光電管が用いられていた 4. TDIと呼ばれる特殊な長時間露光モードの実装 5. 効率のよいデータ取得のための星像切り出し手法 6. 高精度な星像中心位置決定アルゴリズム 位置決定精度目標:数ミリ秒角(z=7.5mag) JASMINEワークショップ 2010.2.22-23 光学系 ■主鏡有効径 φ5cm ■焦点距離 167cm ■リッチークレチアンタイプ (非球面鏡2枚、平面鏡3枚) ■ビーム混合鏡による2視野同時観測 (混合鏡相対角:99.5 deg) ■全アルミ合金製(表面は金蒸着) ■視野 0.5×0.5 deg Nano-JASMINE光学系 ビーム混合鏡 ■Optical Path: Beam Combiner Secondary Mirror ★FOV1 Primary Mirror 3rd Mirror 4th Mirror 5th Mirror CCD ★FOV2 JASMINEワークショップ 2010.2.22-23 ビーム混合鏡による二方向同時観測 1方向のみの観測 2方向同時観測 天球 celestial globe 星の分布:均一 Star’s distribution: even 角速度:不均一 Angular velocity: uneven 天球 celestial globe データ observation 天球 celestial globe Star’s distribution: uneven 星の分布:不均一 Angular velocity: even 角速度:均一 星の分布:均一 Star’s distribution: even 角速度:不均一 Angular velocity: uneven observation データ 天球 celestial globe データ observation indistinguishable 区別できない Star’s distribution: uneven 星の分布:不均一 Angular velocity: even 角速度:均一 データ observation 区別できる distinguishable 二方向を同時に観測することにより、星の分布と衛星の運動の縮退 を解くことができる。 JASMINEワークショップ 2010.2.22-23 衛星の軌道 ロケットの空いているスペースに乗せてもらう 「ピギーバック」 にて打ち上げるため、正確な軌道は未定だが、 ・太陽同期軌道(軌道面と太陽とのなす角が一定) ・高度600km~1000km の軌道に投入予定 地球の周りを周回しなが ら二方向を同時に観測 (軌道一周約100分) ミッション期間は2年 JASMINEワークショップ 2010.2.22-23 TDI(Time Delay and Integration) 観測方向 観測方向 地球 Nano-JASMINEは大円にそって星の観測 を行う。 衛星は軌道周期にあわせてスピン (約100分で一周) 衛星のスピンにより、星はCCD上を動 いて見える CCDの電荷転送速度を、星がCCD上で 動く速度に一致させると、星が視野か ら見えなくなるまでの時間露光できる 8.8秒の露光を予定 TDIの技術により、衛星のスピンを 止めることなく効率よく星を観測で きる。 衛星のスピンによる星の動き JASMINEワークショップ 2010.2.22-23 星像切り出し機能 生データの発生レート: 2Mbps 地上へ落とせるデータ: 100kbps (可視時間: 数%) 生データ 切り出されたデータ 衛星から地上へ落とせるデータには限りがあるため、 星像の周りのみを軌道上で切り出して、地上へ伝送する JASMINEワークショップ 2010.2.22-23 エンジニアリングモデル JASMINEワークショップ 2010.2.22-23 望遠鏡 Beam-combiner 17 cm M1 12 cm 望遠鏡外観 (12cmX12cmX17cm, 1.7kg) 光学素子の表面粗さ計測結果 (粗さ5-8nm、損失1%以下) 小型・軽量・熱変形の影響の低減を目指した全アルミ合金製望遠鏡 表面には金を蒸着させている リッチークレチエンタイプの望遠鏡にビーム混合鏡を搭載する (主鏡5cm、合成焦点距離167cm) JASMINEワークショップ 2010.2.22-23 望遠鏡の性能測定 干渉計による性能評価 望遠鏡の波面誤差 望遠鏡全体でλ/14を達成 軌道上での運用環境を想定し、 LN2で冷却した状態でも性能を確認 JASMINEワークショップ 2010.2.22-23 感度(%) 光学系感度域 波長(μm) バンド幅0.46μm,波長帯0.595~1.055μm JASMINEワークショップ 2010.2.22-23 衛星バス部の開発 姿勢制御用リアクションホイール データ処理コンピュータと電源回路 衛星搭載無線機 衛星搭載アンテナ JASMINEワークショップ 2010.2.22-23 星像を用いた姿勢制御 切り出された星像 LSF for z axis 姿勢制御系の機器 センサ •スタートラッカ (STT) •光ファイバージャイロ(FOG) •ミッション系望遠鏡 アクチュエータ •リアクションホイール(RW) •磁気トルカ (MTQ) 角速度[rad/s] 切り出された星像を衛星の姿勢制 御系へとフィートバックする (数値解析による検証を実施) LSF for xy axis 要求値 時間 [s] 数値解析による解析結果 JASMINEワークショップ 2010.2.22-23 電気統合試験 天文台・京大担当 Nano-JASMINE電気機器の全体像 バス系 ミッション系の電気機器 -ミッション系のコンピュータ -CCD -TDIボード 東大担当 バス系の電気機器 -バス系のコンピュータ -無線機 -姿勢制御用機器 -各種センサ -電源 電気機器の統合試験により データ通信・電源のインターフェイス 確認,機器の消費電力の実測を行った CCD (箱の中) TDIボード バス系の機器 各種センサ 電源 コンピュータ 無線機 姿勢制御 JASMINEワークショップ2009.4.23 2010.2.22-23 第7回DECIGOワークショップ 熱構造モデルを用いた試験 衛星熱構造モデル(中央下) 真空チャンバーにとりつける治具 が付けられている。 熱真空試験の様子 (チャンバーを閉める直前の様子) 国立天文台の先端技術センターにある大型真空チャンバーを用いた 熱真空試験を実施し、熱設計の妥当性を検証した JASMINEワークショップ2009.4.23 2010.2.22-23 第7回DECIGOワークショップ 振動試験 振動試験前 振動試験 (東大工学部) 衛星はロケット打ち上げ時に大きな振動を受ける 振動試験後 望遠鏡の波面誤差をレーザー干渉計により測定 光学性能への影響は小さい JASMINEワークショップ2009.4.23 2010.2.22-23 第7回DECIGOワークショップ 放射線試験 Co60を用いたトータルドーズ試験 (γ線) 20krad照射 (軌道上で2年間運用として多目の量) 蒸着鏡面の反射率低下:0% フィルターの透過率低下:2-3% (許容レベル) 都立産技研Co60γ線照射室 放射線による性能劣化はほとんどない JASMINEワークショップ 2010.2.22-23 設計審査会 2009年10月1日 CDR(Critical Design Review)を実施 外部審査員(JAXA及び国内衛星開発メーカー) からは、概ね良好の評価が得られたが、いくつか 検討が必要な項目も浮かんできた。ただ、これら については、検討、設計に修正を加えた後、2009 年度中には、FM(フライトモデル)の製作に移 行できる見込みとなった。 JASMINEワークショップ 2010.2.22-23 地上局 地上からのコマンドアップリンク&データ受信 •3mアンテナ(東大) データ受信 •10mアンテナ(水沢) •キルナ局(初期運用時のみ、スウェーデン) キルナ 水沢 東大 10mアンテナ@水沢 JASMINEワークショップ 2010.2.22-23 打ち上げ ウクライナのサイクロンー4ロケッ トを用いて2011年8月にブラジ ルアルカンタラ発射場からの打ち上 げにむけて契約の締結中 アルカンタラ発射場 リオデジャネイロ サイクロンー4ロケット © SDO Yuzhnoye まとめと今後の予定 2011年の打ち上げにむけて開発中 設計審査会にて外部評価を受けたところ、 いくつか検討が必要な項目が指摘された ものの、2009年度中にはフライトモデル の製作に移行できることとなった 打ち上げの契約書についても間もなく締 結予定
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