□(1) ●地盤用語01 ●密度と単位体積重量 ●質量mと体積V ●土粒子の密度ρs ●間隙比e ●湿潤密度ρt ●間隙率n ●湿潤単位体積重量γt ●含水比w ●乾燥密度ρd ●飽和度Sr ●飽和密度ρsat ●状態量の関係 ●全重量と有効重量 ●相対密度Dr ●水中密度ρ’ ●土かぶり圧 ●計算例1,2,3 ≫TOP ●質量mと体積V 土粒子と間隙流体(水・空気)の質量mと体積Vの割合で 土の状態量を定義する。 (固相) 土粒子 (液相) 質量 水 空気 ma=0 m ≫間隙比e 体積 空気 Va mw 水 Vw ms 土粒子 Vs ≫間隙率n ≫含水比w ≫飽和度Sr Vv V ≫TOP ●間隙比(void ratio)e *定義:土粒子の体積Vsと間隙の体積Vvの比(小数) Vv e Vs ≫体積Vの割合 *解説: ・土中の間隙部分(水・空気)体積の相対的な大きさ(比率)を表す。 ・土粒子の詰まり具合を表現する指標値として使われる。 ・eが大きいほど“ゆるい(loose)”、小さいほど“密(dense)” と称す。 ・V=100m3 の土が e=0.5 のとき、Vv:Vs=1:2 だから、 間隙体積Vv≒33m3,土粒子体積Vs≒67m3 である。 ≫間隙率n ≫相対密度Dr ≫乾燥密度ρd ≫状態量の関係 ≫TOP ●間隙率(porosity)n *定義:土の全体積Vと間隙の体積Vvの比(百分率) Vv n 100 (%) V ≫体積Vの割合 *解説: ・間隙比eと同じ土粒子の詰まり具合を表す指標値であり、nが大き ければ “ゆる詰め”、小さければ“密詰め”状態を表す。 ・間隙体積Vvを直接表したり、計算したりする場合に使われる。 nとeの関係: e n n 100 (%) e 1 e 100 n ≫間隙比e □(2) ≫TOP ●相対密度(relative density)Dr *定義: 現在の砂の締まり具合(e)を、最もゆる詰めの“最大間隙比emax” と、最も密詰めの“最小間隙比emin”の相対比率で表した指標値 emax e Dr 100 (%) emax emin 0~20:非常にゆるい 20~40:ゆるい 40~60:中位 60~80:密 80~100:非常に密 *解説: ・粒径や粒度によって砂の間隙比eはかなり変動するので、同じ砂で 求めたemaxとeminの相対値を用いて締まり具合を判定する。 ・emax値は乾燥した砂を容器に静かに流し込む方法で、 emin値は突 き棒や振動を加えて締める方法で求める。 ≫間隙比e ≫TOP ●含水比(water content)w *定義:土粒子の質量msと間隙水の質量mwの比(百分率) mw w 100 (%) ms ≫質量mの割合 *解説: ・土中の間隙水の多少(湿潤状態)を表し、wが大きいほど湿潤である。 ・含水比w,質量mの土に含まれる土粒子質量msは下式で得られる。 ・例えば、w=20%,質量m=500gの土には、 土粒子 ms=417g,水 mw=m-ms=83g が含まれる。散水してw=25%に高めるとき、 m ms 1 w / 100 必要水量は mw’=417g×0.25=104g だから、散水量は21g。 ≫湿潤密度ρt ≫状態量の関係 ●飽和度(degree of saturation)Sr ≫TOP *定義:間隙水の体積Vwと間隙全体の体積Vvの比(百分率) Vw S r 100 (%) Vv ≫体積Vの割合 *解説: ・土中の間隙部分(水・空気)に占める水分の量を体積比で表した量 であり、飽和状態を表す指数として使用される。 ・地下水面下の土は、間隙が水で満たされて空気が存在しないので、 Sr=100%であり、“飽和土(saturated soil)”と呼ばれる。 ・間隙に空気が存在し、Sr<100%の通常の土を“不飽和土(partially saturated soil)”という。定義から、0%≦Sr≦100%である。 ≫乾燥密度ρd ≫飽和密度ρsat ≫状態量の関係 ≫TOP ●状態量の関係 *間隙比e,含水比w,飽和度Sr の関係 Gs w e S r ※比重Gとは、物体(質量m)と 同体積の水の質量mwとの比 ≫状態量(e,w,Sr) *土粒子の比重Gs ms Gs wVs 土粒子の質量 同体積の水の質量 ・通常、Gs=2.6~2.8 ≫土粒子の密度ρs 物体 水 質量m 体積V 同体積の水 mw=ρwV m m G mw wV □(3) ●密度と単位体積重量 ・密度(density)(g/cm3,t/m3) - 単位体積当りの質量(ρ=m/V) ≫TOP 質量m 体積V ・単位体積重量(unit weight)(kN/m3) - 単位体積当りの重量(γ=W/V) ・ρとγの関係 g ※水の密度(ρw)と単位体積重量(γw) ・ρw=1g/cm3=1t/m3 ・γw=1000kg/m3×9.80m/s2=9.80kN/m3 ≫土粒子の比重Gs ≫土粒子の密度ρs 重量W=m・g g=9.80m/s2 (重力加速度) m=1t W=9.80kN 1N=1kg・m/s2 ●土粒子の密度(density of soil particle)ρs *定義:土粒子を構成する岩石の密度(g/cm3,t/m3) ms s Gs w Vs ≫mとVの割合 *解説: ・土粒子を構成する岩石の実質密度であり、土粒子比重Gsに対応して ρs=2.6~2.8g/cm3 の値をとる。 ・表現:ρs=(土粒子の質量ms)/(土粒子の占める体積Vs) =(土粒子の比重Gs)×(水の密度ρw) ※物体の密度:ρ=m/V=(G・mw)/V=Gρw 同体積の水の質量:mw=ρwV ≫土粒子の比重Gs 質量m 体積V ρw ≫TOP ≫TOP ●湿潤密度(wet density)ρt *定義: 間隙内に水も空気も存在する湿潤状態の土(湿潤土)の密度を表す。 状態量(e,w,Sr)等と以下の関係を有する。 Gs Sr e / 100 m Gs (1 w / 100) t w w V 1 e 1 e ※式の誘導 ≫m,Vの割合 m ms mw ms (1 w / 100) V Vs Vv Vs (1 e) ※Sr=0% のとき ρt=ρd(乾燥密度) Sr=100% のとき ρt=ρsat(飽和密度) ≫湿潤単位体積重量γt ≫乾燥密度ρd ≫飽和密度ρsat 質量m 体積V ●湿潤単位体積重量(wet unit weight)γt ≫TOP *定義: 湿潤状態の土の単位体積重量を表す。 W m g t t g V V Gs (1 w / 100) Gs Sr e / 100 w w 1 e 1 e 重量:W=mg ≫m,Vの割合 *ρt の式で ρw→γw ρw=1t/m3 γw=9.80kN/m3 ≫湿潤密度ρt ≫土かぶり圧 □(4) ●乾燥密度(dry density)ρd ≫TOP *定義: 体積Vの土中に占める土粒子部分の質量を密度(ms/V)として表し たもので、間隙水が存在しない絶乾状態の土の密度とも言える。 ms Gs w t d (t )S r 0% V 1 e 1 w / 100 *解説: ・土粒子の土中に占める割合を意味するから、詰まり(締まり)具 合を密度で表した量と考えてよい。間隙比eと反比例関係にあり、 ρd大で密詰(e小)、ρd小でゆる詰め(e大)を表す。 ・ρdは土の締固めにおいて、締まり具合を表す指標値に使われる。 ≫湿潤密度ρt ≫間隙比e ≫含水比w ≫m,Vの割合 ≫TOP ●飽和密度(saturated density)ρsat ●飽和単位体積重量(saturated unit weight)γsat *定義: 地下水面下の土のように間隙が水で満たされ、空気がない飽和状態 (飽和度Sr=100%)の土の密度・単位体積重量を表す。 Gs e sat (t )Sr 100% w 1 e ≫m,Vの割合 ρwとγwの違い Gs e sat ( t )Sr 100% w 1 e ≫湿潤密度ρt ≫水中密度ρ’ ≫土かぶり圧 ≫TOP ●全重量と有効重量(水中時) ・全重量W:土粒子と間隙水の重量の和 (W=Ws+Ww) → 対応する全質量(m=ms+mw) ・有効重量W’:全重量から浮力を差し引いた正味の重量 (W’=W-γwV=(Ws+Ww)-γw(Vs+Vw)=Ws-γwVs=Ws’) → 対応する有効質量(m’=m-ρwV) 浮力:γwV W γwV 水 水 - 土粒子 有効重量W’ 全重量:W=Ws+Ww Ws W’ = γwVs (土粒子重量-浮力) Ws-γwVs (Ws’) ≫水中密度ρ’ ≫全・有効応力 ●水中密度(submerged density)ρ’ρsub ≫TOP ●水中単位体積重量(submerged unit weight)γ’γsub *定義: 単位体積当りの有効質量(重量)であり、ρsat(γsat)から浮力に 相当する水の密度ρw(単位体積重量γw)を差引いて得る。 Gs 1 m' ' (sub) sat w w V 1 e Gs 1 W' ' ( sub) sat w w V 1 e ρwとγw γ’は地下水面下の有効土かぶり圧の計算に使われる。 ≫全・有効重量 ≫飽和密度ρsat ≫土かぶり圧 ≫全・有効応力 □(5) ≫TOP ●土かぶり圧(overburden pressure) *定義: 土重量によって土中に発生する鉛直方向の圧力を表す。 土の単位体積重量をγtとして、地表から深さzの圧力σzは z ( z) t z 土かぶり圧σz(kPa) W=γtAz z *深さzに比例 σz(z)=γt z z A σz=W/A=γt・z ※筒内の土重量Wを面積 Aで受けると考える 深さ z(m) σz 土かぶり圧分布 ≫湿潤密度ρt ≫計算例1 ≫TOP ●土かぶり圧(計算例1) 例1)均質地盤の土かぶり圧分布 土かぶり圧σz(kPa) 50 γt (一定) 200 1kPa=1kN/m2 5 10 ≫土かぶり圧 150 ※1Pa=1N/m2 深さ z(m) 10m =17.2kN/m3 100 σz=172kPa (17.2kN/m3×10m) ≫計算例2 ≫TOP ●土かぶり圧(計算例2) 例2)不均質地盤の場合 土かぶり圧σz(kPa) 50 4m 100 150 200 σz=68.8kPa (17.2×4) γt1=17.2kN/m3 q=68.8kPa 6m γt2=15.7kN/m3 深さ z(m) 4 10 z’ (15.7×6) 68.8 σz=q+γt2z’ 94.2 σz=163kPa ※不均質地盤の場合は、地表面から順に(γt×土層厚)を加算する ≫土かぶり圧 ≫計算例1 ≫計算例3 ≫TOP ●土かぶり圧(計算例3-全応力) 例3)全土かぶり圧分布 (地下水面がある場合) h1=4m 土かぶり圧σz(kPa) 50 γt=17.2kN/m3 150 (17.2×4) 深さ z(m) 4 10 (18.6×6) 68.8 111.6 σz=180kPa ※地下水面下の土層にγsatを使うと、全土かぶり圧が求まる ≫全・有効応力 200 σz=68.8kPa *地下水面 h2=6m γsat=18.6kN/m3 100 ≫計算例3(有効応力) ≫計算例2 □(6) ≫TOP ●全応力・有効応力・間隙水圧 σz σz σz ’ 全土かぶり圧(σz)は土粒子の接触圧(σz’) と間隙水圧(uw)に受け持たれる σz (σz=σz’+uw) 有効土かぶり圧 σz’(粒子間接触圧) σz σz 間隙水圧 uw (例3では静水圧) ※有効土かぶり圧(深さh1+h2)の計算:以下の ① or ② ① σz’ =σz-uw=(γt・h1+γsat・h2)-γw・h2 *(全土かぶり圧-間隙水圧)で計算する γ’ ② σz’=γt・h1+γ’h2=γt・h1+(γsat-γw)・h2 *水面下で水中単位体積重量γ’を用いて計算する ≫計算例3(全応力) ≫計算例3(有効応力) ≫水中重量γ’ ≫TOP ●土かぶり圧(計算例3-有効応力) 土かぶり圧σz,水圧uw(kPa) 50 100 150 ≫計算例3(全応力) 200 ≫全・有効応力 σz=σz’=68.8kPa *水面上では uw=0 σz=σz’ 深さ z(m) 4 10 ≫水中重量γ’ *z=10mで 全土かぶり圧:σz=180kPa σz=180kPa σz’ 有効土かぶり圧:σz’=121kPa uw <σz’の計算> ①σz’=σz-uw=180-58.8=121kPa 間隙水圧:uw=58.8kPa γ’=8.8kN/m3 ②σz’=68.8+γ’z(水面下)=68.8+8.8×6=121kPa -土質力学1復習- 圧密・せん断(1)圧密 -載荷前- 載荷重:p0=20.0kPa ●載荷前の土かぶり圧 σz,uw(kPa) σz’=37.2kPa γsat=16.0kN/m3 H=6m σz 初期 有効圧 uw=58.8kPa 静水圧 飽和粘土地盤 外圧力(全応力)σz =粒子間圧(有効圧)σz’ +水圧(間隙水圧)uw ・全土かぶり圧σz=96.0kPa (=16.0×6) ・水圧uw=9.8×6=58.8kPa ・有効土かぶり圧σz’=37.2kPa (=6.2×6 or 96.0-58.8) ※載荷前の土に働く全応力(全圧力)は、有効土かぶり圧と水圧の和 -土質力学1復習- 圧密・せん断(1)圧密 -飽和土モデル- (σ) (σ’) (uw) 孔=透水性 外圧力(全応力)σ 水=間隙水 (間隙水圧uw) バネ=土粒子骨格 (有効応力σ') ・載荷前:σ=σ’+uw =全土かぶり圧 ・載荷後:⊿σ=⊿σ’+⊿uw=載荷重p0一定 (増加分:⊿) ※載荷に伴う全応力Δσが、土粒子骨格Δσ’と水Δuwで受持たれる □(7) -土質力学1復習- 圧密・せん断(1)圧密 -載荷直後(t=0)- ●載荷直後:⊿uw= ⊿σz(=p0),⊿σz’=0 ・増加外力(p0)は全て水圧⊿uwで負担、骨格への伝達なし (⊿σz’=0) p0=20kPa σz,uw(kPa) Δuw:「過剰静水圧」= 「過剰間隙水圧」 (初期水圧からの超過分) 初期 有効圧 (初期) 静水圧 20.0 σz’=37.2kPa ・Δuw消散 ・有効応力増加 58.8 uw=78.8kPa ・土の圧縮 圧密沈下 σz=116.0kPa(=土かぶり圧96.0+載荷重20.0) ※載荷直後は脱水なし → バネ収縮なし → バネ力(有効応力)はゼロ -土質力学1復習- 圧密・せん断(1)圧密 -任意時刻t- ●任意時刻 t:⊿σz=⊿σz’+⊿uw(=p0) ・脱水で過剰水圧⊿uwが減少した分、有効圧⊿σz’が増加 σz,uw(kPa) p0=20kPa 排水端 過剰静水圧 *過剰水圧の減少 → 有効圧の増加 脱水 非排水端 (岩盤等) 初期 有効圧 (初期) 静水圧 ⊿σz’ ⊿uw σz’=37.2kPa+⊿σz’ → 骨格圧縮 → 沈下 ※過剰水圧の減少の 仕方は排水端から の距離で異なる uw=58.8kPa+⊿uw σz=116.0kPa(=96.0+20.0) ※脱水 → 過剰水圧減少 → 有効圧増加 → バネ収縮 → 圧密沈下 -土質力学1復習- 圧密・せん断(1)圧密 -最終(t=∞)- ●最終状態: ⊿σz’=⊿σz(=p0=20kPa),⊿uw=0 ・過剰水圧⊿uwが全て消散 → 有効圧⊿σz’=p0 p0=20kPa σz,uw(kPa) *有効圧増加⊿σz’=p0 → 最終沈下: 初期 有効圧 37.2 20.0 σz’=57.2kPa p0 H sf E E:弾性率 H:粘土層厚 (初期) 静水圧 p0 uw=58.8kPa sf σz=116.0kPa(=96.0+20.0) ※間隙水圧は、過剰水圧の消散により載荷前の静水圧状態に戻る H -土質力学1復習- 圧密・せん断(2)圧密過程のまとめ ●圧密度U:圧密の程度を表す指標(%) s ' U sf p0 ・沈下(s)の進行程度を表す (最終沈下量(sf)と比較して) ・有効応力(バネ力)増加Δσ’を表す (全応力増加p0と比較して) ●圧密度~時間 載荷重:p0 (全応力) 最終沈下: p0 H sf E 時間 t 応 力 , 沈 下 有効応力 Δσ’→ 沈下 s 間隙水圧 Δuw 沈下s~時間t 有効応力Δσ’~時間t ※応力分担(Δσ’,Δuw)の経時変化と沈下~時間関係は相似
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