インターネットの世界の 「責任」とは ガバナンスとY2K 会津 泉 <[email protected]> アジア太平洋インターネット協会 アジアネットワーク研究所 国際大学GLOCOM ハイパーネットワーク社会研究所 問題の本質 • 最初の本格的な智のゲーム • サイバースペースの領土争い • ネティズン v.s. 既存の体制 • 「協働」できるかの問題 –ネットワークづくりが決め手 • 21世紀新システムへの模索 May 1999 インターネットの世界の「責任」とは ? 2 日本企業の関わりは? • ネット関連企業も関心低い • ルールづくり、参画が重要 • 議論をリードする人材不足 • 業界団体、不在 • 政府もローキー • アジアからの期待は強い May 1999 インターネットの世界の「責任」とは ? 3 ドメインネーム 問題の経緯 • • • • 商用利用の爆発→需要急増 NSIの課金開始→独占への批判 企業の商標との摩擦 インターネット・コミュニティの取組み – MoU(97.5)成立 • 内部批判・強い確執 • 米国政府の「干渉」 May 1999 インターネットの世界の「責任」とは ? 4 問題の所在 • 誰が責任をもって管理運用? • 法的正統性の根拠は? – ドメインネームシステム管理 – IPアドレスの割り当て – 標準プロトコルの制定 • 誰がどう意思決定するのか May 1999 インターネットの世界の「責任」とは ? 5 米国政府の戦略 • • • • • • Eコマース基本政策(97.7) 「グリーンペーパー」(98.1) 「ディジタルエコノミー」(98.4) 「ホワイトペーパー」(98.6) ICANNを条件付認知(98.9) ICANNへの移管完了(2000.9) May 1999 インターネットの世界の「責任」とは ? 6 ホワイトパーパー(98.6月) • グリーンペーパー批判に対応 – EU政府、ネティズンからの批判 • 米国中心主義 • 国際・民間・非営利組織の創出 – 法的根拠をもった組織 – オープンで透明な手続き、説明義務 – グローバルに公平な代表で構成 May 1999 インターネットの世界の「責任」とは ? 7 ホワイトペーパーの原 理 • • • • • インターネット運用の安定性の確保 競争、選択を推進 民間主導、ボトムアップでの調整 規制/国際機関ではない 実務的、グローバルな代表構成 May 1999 インターネットの世界の「責任」とは ? 8 WPの「限定作戦」 • インターネット・ガバナンス全体を対 象にはしていない • 技術分野(ドメインネーム、IPアドレス、 プロトコル標準)に限定 • ただし、Eコマース、セキュリティ、コン テンツ規制などの前例になる可能性 は高い May 1999 インターネットの世界の「責任」とは ? 9 IFWPプロセス • • • • • 業界団体が「自発的」に形成 内容と組織の枠づくりを切り離す 内容には触れない 原則オープン 「落としどころ」なし May 1999 インターネットの世界の「責任」とは ? 10 ICANNの成立 • ジョン・ポステルの死 • 役員選出の経緯が不透明と批判 – 日本からは村井純氏 • 暫定組織、暫定認定 • 一年で会員組織に(米政府の条件) • ハーバード大が実務サポート May 1999 インターネットの世界の「責任」とは ? 11 ICANN組織構成 GAC MAC RSAC Names Co 7グループ May 1999 PSO ASO DNSO (ドメインネーム) 3 IPRC 役員会 18+1 (プロトコル) 3 (IPアドレス) 3 ALM (一般会員) 9 特定地域が 過半数を越えないこと インターネットの世界の「責任」とは ? 12 ICANNシンガポール会議(99 年3月) • • • • • • アジアのプロトコルを再三無視 途上国の実態を理解していない 政府(GAC)の関わりも問題 アジア・日本からの参加、少ない DNSO合意成立 ベルリン会議(99年5月)に持越し May 1999 インターネットの世界の「責任」とは ? 13 ベルリン会議 99.5 • DNSO の承認 – 6グループがほぼ形成 • MAC大枠のみ承認 – 他のSOを待つ? • IRPCの形成 • WIPO提案一部承認 • Boardへの疑問、深まる – 基本的な方法論、意識の問題 • GAC、WIPO案支持決定(強引に) May 1999 インターネットの世界の「責任」とは ? 14 本当にグローバル? • • • • 現状は違う 意図と現実のギャップ 今後のプロセスが重要 日本の責任と権利 May 1999 インターネットの世界の「責任」とは ? 15 インターネットの Y2K問題 1 問題意識・取組みの遅れ 2 技術上の問題 3 情報の開示・共有 誰が誰に責任をもつのか? May 1999 インターネットの世界の「責任」とは ? 16 これまでの経緯 • Internet Y2K Campaign – 98年12月開始 – www.nety2k.org • FCCキヤノン氏に会う(1月) – 問題の重要性を認識 • 関係者に取組みを訴え – 郵政・通産省訪問 May 1999 インターネットの世界の「責任」とは ? 17 ワシントン非公式会議 99年2月17日 • 主催: – CIX, APIA, ISOC, CSIS, GLOCOM, ANR • 参加: – ホワイトハウス 商務省/NTIA FCC NIST – 郵政省, NTT, KDD, 富士通 IETF, ISPs, IBM, Lucent E-Commerce 協会, AMEX • 地域ISP協会から問題点の指摘 • 13 DNS ルートサーバーは大丈夫? May 1999 インターネットの世界の「責任」とは ? 18 APIAでの取組み • BoF の開催 – APRICOT/ICANN(シンガポール) • FCCキヤノン氏招待 • 「DNSルートサーバーはテストする」(委員会決 定) – APEC Tel WG 会議(宮崎) • APEC Y2K シンポジウムに提起 • 「ロードショー」の実施提案 May 1999 インターネットの世界の「責任」とは ? 19 「技術者の常識」を 疑う必要あり “UNIX は大丈夫” → BIOS,RTCは? “プロトコルは大丈夫”→実装は? “ルーターは大丈夫” → IOSv.10は? “インターネットは大丈夫” →複雑系? “インターネットの問題ではない” → では誰の問題? フリーソフト、ツールは? May 1999 インターネットの世界の「責任」とは ? 20 必要な対策 1 2 3 4 5 6 May 1999 機器一式を確認・リストアップ 評価・優先順位の決定 バグの修正 テスティング 危機対応計画 情報の開示 インターネットの世界の「責任」とは ? 21 どこがポイントか • すべての NIC (country domain) • エクスチェンジポイント (ISP同士) – 国際・国内 • すべてのISP(非営利ネットも) – アクセスポイント、専用線も • Eコマース、ウェブホスティング • 政府・自治体のホームページは? May 1999 インターネットの世界の「責任」とは ? 22 対策の進捗状況 • 主要プロバイダー:対策中 – ISP 米国に6000、日本に3300社 – DNS ルートサーバー:テストを予定 • NSIのサーバー、遅れている? • NSPIXP2:テストを予定 • 機器メーカー(シスコ、サンなど) – 情報開示まだ不十分 May 1999 インターネットの世界の「責任」とは ? 23 規模が小さいほど、 対策に遅れ • 中小企業、地方、発展途上国… • 有力顧客を優先? • 有償アップグレードも問題 • ユーザーからの問合せ待ち? • 法律問題も絡む May 1999 インターネットの世界の「責任」とは ? 24 情報の開示・共有を • 情報開示がきわめて重要 –利用者に信頼を保証するために • Y2K対策を進めるヘルプを –共通の技術ガイドラインの必要 –ハンドブック • インターネットはオープンなネットワー ク May 1999 インターネットの世界の「責任」とは ? 25 他のインフラ分野より 明らかに遅れ • 「業界」としての取組みの不在 • 個別バラバラ • 関係者多数の協調行動が必要 • 複合レベルでの取組みを •地 方 •全 国 •地 域 • グローバル May 1999 インターネットの世界の「責任」とは ? 26 時間切れ? • まだ間に合うはず • ほとんどのアプリケーション は、オフザシェル • 対策は充分可能なはず May 1999 インターネットの世界の「責任」とは ? 27 政府にも役割がある • 認識の遅れ • 独立した分野として認識されていない • インターネットは立派な社会インフラ • 多くの社会的利害がインターネット上に • 民間を「支援」することはできるはず May 1999 インターネットの世界の「責任」とは ? 28 APIA Internet Y2K アジアロードショー • アジア各国に専門家を派遣 – 意識啓発 – 技術的アドバイス – ワークショップの開催 – 情報の共有 May 1999 インターネットの世界の「責任」とは ? 29 Internet Y2K コーディネーション センター • 危機対応計画の一環として • 障害対策サポートチームを配置 • できれば一国に一カ所ずつ May 1999 インターネットの世界の「責任」とは ? 30 APIA • アジア地域のインターネット業界団体 – シスコ、アセンド、NTT、 INET – 東京インターネット、KDD、テルストラ、AMI – 設立満2年 まだまだ弱小 – もっと日本からの参加を May 1999 インターネットの世界の「責任」とは ? 31 日本の行動・支援が必要 • 今後の経済利害に大きくかかわる • 地域への貢献として – 日本のインターネットに直接影響 • ヒト、金、技術支援を • 途上国援助として May 1999 インターネットの世界の「責任」とは ? 32 「人」の不足 • 育てる仕組づくりが先決 – 新しい智のゲームのプレーヤー – 経済/情報政策の専門研究者 – 国際法律実務経験も重要 • 土俵づくり=後で効いてくる • 「教える」人がいない? May 1999 インターネットの世界の「責任」とは ? 33 Thank you www.apia.org [email protected]
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