放送(1) 放送産業の歴史的変遷と特質

放送(3)
放送ジャーナリズムの役割
1.ジャーナリズムとニュース
2.テレビニュースの流れ
3.テレビ報道は何をどう伝えるべきか
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1.ジャーナリズムとニュース
(1)ジャーナリズムとは
新聞・放送などのマス・メディアにより時事的な情報
や解説、評論を人々に伝達すること。
<広義>娯楽も含むマス・メディア活動全般
<狭義>(ニュース)報道
(2)テレビ・ジャーナリズムの機能
①情報源:我々の情報を入手したいという欲求を充
足してくれる。
②人々の「知る権利」の代行:ニュースの価値づけ、
意味づけがなされている。
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③社会環境や政権の監視:公正な立場で政治腐敗
などを追及する。
←社会的権力から自立
④社会的問題や争点の提示:マス・メディアが伝えな
いことは存在しないに等しい。
→世論形成、社会の木鐸
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2.テレビニュースの流れ(図1参照)
取材:記者・カメラマン
↓ ↑
デスク=原稿
↓ ↑
ニュース・バリューの判断、チェック
↓ ↑
①社会的影響、②視聴者の関心、
↓ ↑
③新奇性、④国民の利益
編集責任者(番組や時間帯ごとのニュースの責任者)
↓
編集・制作担当者(プロデューサー)
↓ ①原稿を放送用に、②テロップ、③音声
送
出
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3.テレビ報道は何をどう伝えるべきか
新聞報道と同様に、テレビも“公正な立場”で人々に
知らせなければならないこと、を伝える義務がある。
では、次の意見についてどう考えますか?
①戦争・事故・事件・災害などの報道においては、現場
のありのままの姿を報道すべきだ。
②戦争・災害などの際には、比較的自由に行動できる
“フリージャーナリスト”をおおいに活用すべきである。
③映像がなければ、ニュースにならない。したがって、
取材される側のプライバシーは二の次だ。
④公共の利益と個人の利益では公共の利益を重視す
べきである。
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(1)戦争報道
テレビで初めて本格的に放送された戦争は、ベトナム
戦争(1960~1975)である。
テレビが伝えた悲惨なベトナム
・「ノンフィクション劇場ー南ベトナム海兵大隊戦記」
(第1部)(1965年、NTV)
残酷なシーンを放送
→テレビは戦争の残虐さを伝えるべきか否かが議
論になった。
→第1部の再放送中止、第2部・第3部は放送され
なかった。
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・アメリカにおいてもベトナム戦争の戦況が生々しく
伝えられた。
→反戦運動のデモ
テレビ局が学んだベトナム戦争の教訓
・テレビの戦況報道は世論を動かす力がある。
→報道管制(1982年フォークランド紛争)
→メディア・コントロール(1991年湾岸戦争)
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湾岸戦争時のクリーンな報道
ナマ中継された最初の戦争
米政府の公式発表よりも25分早く、ABC、CNNが湾
岸戦争の開始を世界に伝えた。
テレビの映像は何重にも検閲を受けたもの
→“クリーンな戦争”
ハイテク技術(電話回線、衛星)を駆使し、CNNが報
道合戦に勝利した。
→“まず報道、その後に検証”というテレビの報道ス
タイルが確立された。
→視聴者のメディア・リテラシーを高める必要がある。
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(2)事件・事故報道
浅間山荘事件(1972年)
長野県軽井沢町の河合楽器保養所に連合赤軍が
管理人の妻を人質に立てこもった事件。
10日後に機動隊が突入し、人質を救出。
→テレビで中継された事件として有名。
→テレビの速報性、同時性を人々に認識させた。
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豊田商事事件(1985年)
・金の地金を用いた現物まがい商法で、被害
者は数万人、被害額は2,000億円ほど。
・1985年にこの悪徳商法が社会問題化。
・6月18日に報道陣の前で、会長の永野一男
氏が刺殺された。
・その模様と犯人への刺殺直後のインタビュー
の模様がテレビで放映された。
→「行き過ぎた報道」
現場において報道人がなすべきことは?
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参考文献
松岡新兒 (2004) 放送ジャーナリズムの課題 天野勝文・松岡
新兒・植田康夫(編著) 新現代マスコミ論のポイント 学文社
Pp. 121-138.
戸村栄子 (1995) テレビ・ジャーナリズム 戸村栄子・西野泰司
(編著) テレビメディアの世界 駿河台出版社 Pp. 123-156.
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