知識システム工学講義(第2回) 「無線通信技術の動向」 1997.4.18 情報システム工学専攻 塚本昌彦 概要 通信技術,特に無線通信技術は,柔軟性 の高い知識システムを構築する上で重要 な役割をになうものと考えられる. – いつでもどこでもコンピュータ・ネットワークが 利用できる. 無線通信プロトコル コードレス通信 無線LAN 広域系 コードレス通信 ASK(Amplitude Shift Keying) IrDA(Infra-red Data Association) ASK方式 一対一型通信 通信速度: 9600bpsから19200bps 通信距離: 0~1m シャープ書院、ザウルス、海外版電子手帳、 アップルNewtonなどに搭載 1994年よりシャープがDigital ASKライセン スとして他社に技術供与 ASK方式 500kHzの副搬送波を用いた変調方式(家 電のリモコンは38kHzのASK方式) NRZ符号化、9600bps/19200bps 雑音に強く、低消費電力 0 0 1 0 ASKプロトコルの特徴 9600bpsあるいは19200bps データ長8ビット、奇数パリティ、ストップ ビット1ビットの調歩同期 ENQ-SYN-Data-Ack方式 NACKによる失敗通知 CANによる中断通知 IrDA(Infra-red Data Association) 赤外線データ通信方式の標準化と普及促 進のために1993年に発足 ATT, NTT, Microsoft, Novell, Compaq, IBM, DELL, NEC, HP, SHARPなど100社 以上が参画 物理層、データリンク層などの規格を作成 対応商品多数: PC, PDAなど IrDA(物理層) SIR(Serial IR) – 2400bps-115200bps(RZ,3/16パルス) FIR(First IR) – 1Mbps(RZ方式) – 4Mbps(4ppm) IrDA(データリンク層) IrLAP(Infra-red Link Access Protocol) – HDLCに基づく高効率データ転送 – 局発見手順 – 4バイトのランダムアドレス – リンク開設時のデータレートの折衝 – 500msターンアラウンドを用いたMAC IrLAPの局発見手順 XID(0) XID(1) XID(2) XID応答 XID応答 XID(3) XID(4) XID(5) XID(6) XID(7) XID(FF) XID応答 IrDA(上位層) IrLMP(Infra-red Link Management Protocol) – IrLAPのリンクを多重化 – 情報アクセスサービス(IAS) IrPnP(Infra-red Plug and Play) – プラグアンドプレーのためのIASデータフォー マット TinyTP(Tiny Transport Protocol) – OSI TP2をベースにしたフロー制御メカニズム コードレス通信今後の展開 IR Plug&Play対応デバイスが続出 – モデム、プリンタ、フロッピーディスク、CDROMなど 公衆網接続が可能になる – 赤外線公衆電話 家電製品との統合 無線LAN IEEE 802.11無線LANプロトコル IEEE 802.3(イーサネット)互換無線LAN PHS LAN ワイヤレスATM AWL(Asymmetric Wireless Link), AWA(Asymmetric Wireless ATM) IEEE802.11無線LAN (物理層) DS (スペクトラム拡散) – 1Mbps:DBPSK, 2Mbps:DQPSK or OQPSK FH (Frequency Hopping) – 1Mbps:GFSK HS-FH (Higher Speed FH) IR (赤外線) – 1Mbps, 2Mbps : 4値PPM IEEE 802.11無線LAN (データリンク層) メディアに依存しないデータリンク層 DFWMAC (Distributed Foundation Wireless Medium Access Control) インフラLANとアドホックLAN CSMA/CA + Ackベース 集中制御による即時系サービス 電力管理 802.10 SDE(Secure Data Exchange) 隠れ端末問題 局1 送信局 受信局 Data Ack 局2 CSMA/CA方式 受信局 送信局 局1 RTS(Request to Send) 局2 Data Ack(オプション) NAV(Network Allocation Vector) NAV(Network Allocation Vector) CTS(Clear to Send) スーパーフレーム 集中型の即時系サービスと分散型サービ スを統合 スーパーフレーム 無競合期間 競合期間 IEEE 802.3(イーサネット) 互換無線LAN Altair J, ASTROWINK-Eなど イーサネットの一部分をコードレス化 10Mbps程度 既存のアプリケーションがそのまま使える. PHS LAN 通常のPHSカードやPHS電話をプロバイ ダを介さずに使うもの. ハードウェアが安価. ワイヤレスATM ATM方式を無線で実現するもの. 最近,AWA(Asymmetric Wireless ATM) が注目されている. AWL(Asymmetric Wireless Link) 電波を用いた非対称無線伝送システム. 駅の改札口や高速道路のパーキングエリ アなどに基地局を設置. 準ミリ波(10G-30GHz帯)を用いて下り 10Mbps/上り32kbps程度,数百メートルの 範囲で通信を行う(東芝案). 無線LAN今後の展開 IEEE 802.11準拠の製品が続出.イーサ 互換LANとしばらくは共存するが,最終的 にはどちらかに統一される(たぶん802.11). 高速のものに徐々に置き換えられていく. 広域系 セルラシステム PHS ページャ 衛星通信システム(CS, BS) ビットキャスト セルラシステム 9.6kbpsから28.8kbps程度 サービス範囲が広い反面,通信料金が高 い. PHS PIAFS(PHS Internet Access Forum Standard)が制定.NTTパーソナルなど, 97年4月からサービス開始.32kbps. αデータ.DDIポケットの独自方式. 14.4kbps. ページャ 96年12月より高速ポケットベル(FLEX-TD 方式)がサービス開始.6.4kbpsの通信が 可能. 双方向ぺージャ,音声ページャなどの動き もある. 衛星通信システム JIC 1.5Mbps (96.10) SCC 6Mbps (97.1) ダイレクトインターネット 400kbps いずれも上り回線にはISDNなどの有線回線 を使う. 衛星放送システム パーフェクTV! (96.9) ディレクTV (97.9) JスカイB (98.春) BS4 ビットキャスト テレビ電波の隙間を使ってデータ放送を行 う. 上りには電話などを用いる. 番組連動型のデータ放送サービスが検討 されている. 広域系無線通信の今後 PHSを用いたデータ通信は今後急速に展 開する. – 専用PDA,サービスが充実する. ビットキャスト・衛星放送等,「放送」を主体 としたサービスの展開. 無線通信今後の展開 PHSが急速に展開 IEEE802.11電波LAN, IrDA, IEEE802.3 互換LANが棲み分け 高速(Gbpsオーダ)のデバイス、プロトコル データリンクプロトコルの自動判別技術 異なるメディア間のハンドオーバ 非対称トポロジが重要 – 無線だけでなく,ADSL, FTTH(BTTH), CATV など.
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