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学習評価について
1.学習評価の現状と目的
2.学習評価の基本的な考え方
3.観点別学習状況の評価の在り方
4.学習評価の進め方
5.効果的・効率的な学習評価
学習評価の現状と目的
現状と課題
4観点の評価は
定着してきている
出典:平成21年度文部科学省委託調査
「学習指導と学習評価に対する意識調査」
学習評価の現状と目的
現状と課題
資料収集や分析を
負担に感じている
出典:平成21年度文部科学省委託調査
「学習指導と学習評価に対する意識調査」
学習評価の現状と目的
現状と課題
授業改善,個に応じた指
導の充実に
つなげられていない
出典:平成21年度文部科学省委託調査
「学習指導と学習評価に対する意識調査」
学習評価の現状と目的
学習評価の意義・目的
○ 学習評価を通じて,学習指導の在り方を
見直すことや個に応じた指導の充実を図る
こと,学校における教育活動を組織として
改善することが目的
(指導と評価の一体化)
学習評価の現状と目的
学習評価の意義・目的
○ 学習指導と学習評価のPDCAサイクルは,
日常の授業,単元等の指導,学校におけ
る教育活動全体等の様々な段階で繰り返
されながら展開することが重要
学習評価の現状と目的
Plan
・年間指導計画・評価計画の作成
・各単元(題材)の目標の設定
・各単元(題材)の評価基準等の設定
・単元指導計画(評価計画を含む)や指導案の作成
Action
Do
・授業改善
・個に応じた指導
・指導計画等の改善
・指導計画を踏まえた
教育活動の実施
Check
・児童の学習状況の評価
・授業や指導計画の評価
学習評価の現状と目的
学習評価の意義・目的
○児童生徒や保護者にとっても学習評価は重要
【児童生徒】
自らの学習状況に気づき,その後の
学習や発達・成長が促される契機
【保護者】
家庭における学習を児童生徒に促す契機
学習評価の基本的な考え方
3つの基本的な考え方
各教科における観点別
学習状況の評価と評定
について「目標に準拠
した評価」として実施
(きめの細かい学習指導の
充実と児童生徒一人一人の
学習内容の確実な定着)
新しい学習指導要領で
示された学力の3つの
要素と評価の観点とを
整理
学校や設置者の創意工
夫を生かす現場主義を
重視した学習評価の推
進
観点別学習状況の評価の在り方
観点別学習状況の評価の在り方
学力の3つの要素
学校教育法 第30条(略)
② 前項の場合においては、生涯にわたり学習
する基盤が培われるよう、基礎的な知識及び
技能を習得させるとともに、これらを活用し
て課題を解決するために必要な思考力、判断
力、表現力その他の能力をはぐくみ、主体的
に学習に取り組む態度を養うことに、特に意
を用いなければならない。
観点別学習状況の評価の在り方
「基礎的・基本的な知識・技能」の評価
「課題を解決するために必要な
思考力・判断力・表現力等」の評価
「主体的に学習に取り組む態度」の評価
観点別学習状況の評価の在り方
各観点の趣旨及び評価における配慮事項
(1)【関心・意欲・態度】
◎ 各教科が対象としている学習内容に関心をもち、
自ら課題に取り組もうとする意欲や態度を児童生
徒が身に付けているかどうかを評価する。
ア 我が国の児童生徒は学習意欲に課題がある。
(「全国学力・学習状況調査」より)
イ 他の観点に係る資質や能力の定着に密接に関係
している。
観点別学習状況の評価の在り方
各観点の趣旨及び評価における配慮事項
(2)【思考・判断・表現】
◎ それぞれの教科の知識・技能を活用して課題を解決すること等のために
必要な思考力・判断力・表現力を児童生徒が身に付けているかどうかを
評価する。
ア 新学習指導要領において、思考力・判断力・表現力等を育成するため、
言語活動の充実が求められたことから、新たに設定
イ 言語活動を中心とした表現に係る活動や児童生徒の作品等と一体的に
評価することを明確にした。
ウ 自ら取り組む課題を多面的に考察、観察・実験の分析や解釈を通じ
規則性を見いだすなどの基礎的・基本的な知識・技能を活用しつつ、
各教科の内容等に即して思考・判断したことを、説明、論述、討論
といった言語活動等を通じて評価する。
観点別学習状況の評価の在り方
各観点の趣旨及び評価における配慮事項
(3)【技能】
◎ 各教科において習得すべき技能を児童生徒が身に
付けているかどうかを評価する。
ア 今回新たに「思考・判断・表現」を設定することから、
従来の「技能・表現」の観点の「表現」との混同を避
けるため、「技能」に改める。
イ 教科によって違いはあるものの、基本的には、これま
での「技能・表現」で評価している
内容は、引き続き「技能」で評価する。
観点別学習状況の評価の在り方
各観点の趣旨及び評価における配慮事項
(4)【知識・理解】
◎ 各教科において習得すべき知識や重要な概念等
を、児童生徒が理解できているかどうかを評価
する。
学習評価の進め方
1.単元(題材)の学習目標を設定す
る。
学習指導要領に示された各教科等の目標や内容のうち,
その単元(題材)がどの部分を担うのかを考慮
その単元(題材)に関する児童の実態を把握した上で,
学習目標を設定
文部科学省の通知(平成22年5月11日)に示され
た「各教科等・各学年等の評価の観点等及びその趣
旨」を踏まえ,観点別に学習目標を設定
学習評価の進め方
2.評価規準を単元計画に位置づける
学習内容を吟味し,児童の意識の流れを想定しながら,学習内容
と児童とを効果的にかかわらせる学習内容を組み立てる。
児童の反応を予測した上で,ねらいを達成することができるよう
支援や指導を想定。その際,個人差を考慮し,個に応じた手だて
を準備する。
それぞれの評価の観点について,評価する場面と評価規準,評価
方法を明確にする。その際,1時間ごとの評価基準を児童の具体
的な姿で設定する。
学習評価の進め方
3.様々な方法で評価する
◎学習評価の方法
筆記による評価
表現に係る活動や児童の作品などによる評価
(パフォーマンス評価)
客観テストによる 自由記述によ
評価(選択回答式等) る評価
作品による評
価
実演(実技)に
よる評価
プロセスに焦点
を当てる評価
・正誤問題
・多肢選択問題
・組み合わせ,
並べ替え問題
等
・製作品等
・絵,図表,
ポスター
・作文,詩,
感想文,
論文
・レポート
等
・音読
・口頭発表
・音楽実技
・体育実技
・実習
等
・活動の観察
・ノート
・質問紙
・自己評価
等
・記述式問題
・短答問題
(文,説明,
図表など)
・作問法
等
学習評価の進め方
3.様々な方法で評価する
評価方法の一つとして有効だが,ペーパーテストの結果が,目標に準拠
した評価における学習状況の全てを表すものではないという認識が必要。
「知識・理解」の評価だけでなく,「関心・意欲・態度」「思考・判
断・表現」「技能」の評価にも活用可能。児童の資質や能力を多面的に
把握できるよう工夫が必要。
「思考・判断・表現」等の評価に効果的だが,思考・判断の結果だ
けでなく,その過程を含めて評価することが大切
学習評価の進め方
3.様々な方法で評価する
児童個々の学習状況について即時的な評価と即時的な指導が可能
「知識・理解」の評価のみならず「関心・意欲・態度」等の評価も
可能
子ども一人一人が自分の学習を振り返り,次の学習活動を主体的
に進める上で有効
相互の気づきから,本人に成就感や自己肯定感を持たせることが
可能。互いに信頼し,認め合える関係の中でこそ成立する。
学習評価の進め方
4.評価結果をまとめる
○評価結果のA、B、Cの個数の組み合わせで総括する方法
名
○
○
太
朗
時
\
観
1
関
A
2
3
A B
技
A
A
5
6
7
8
9
A B
思
知
4
10
総括
B
A
B
B
B
C
B
B
B
B
B
A,B,Cが混在する場合の判定について
あらかじめ基準を決めておくことが大切
学習評価の進め方
4.評価結果をまとめる
○評価結果を数値に置き換えて総括する方法
・平均値による判定
A
A
B
C
3 2 1
点 点 点
平均値≧2.5
C
2.5>平均値>1.5 1.5≧平均値
・得点率による判定
A
得点率≧83%
B
B
83%>得点率>50%
C
50%≧得点率
評価の信頼性を高めるためにも,判定の基準値について
学校単位で検討し,根拠を明らかにすることが大切
学習評価の進め方
4.評価結果をまとめる
○評価結果のA、B、Cの個数の組み合わせで総括する方法
観点別評価
評定
A,A,A,A
A,A,A,C
A,A,A,B
A,A,B,B
3
A,A,B,C
A,B,B,C
A,A,C,C
A,B,C,C
A,B,B,B
B,B,B,B
B,B,B,C
2
B,B,C,C
B,C,C,C
A,C,C,C
C,C,C,C
1
判定の基準については,事前に校内で
十分に検討し,共通理解を図ることが大切
学習評価の進め方
4.評価結果をまとめる
○評価結果を数値に置き換えて総括する方法
A
B
C
3 2
点 点
1
点
・合計値による判定
3
10点以上
・平均値による判定
3
平均値≧2.5
2
1
7~9点
6点以下
2
1
2.5>平均値>1.5
1.5≧平均値
観点別評価を用いて評定へ総括する際,安易に観点に
よる重み付けをしないようにすることが大切
学習評価の進め方
5.評価を生かす
○PDCAの「A」(Action)にあたる授業中の児童の反応を見な
がら学習指導の在り方を見直したり、個に応じた指導を図る時
間を設けたりすることが求められる。
○学年単位や学校単位で指導計画等の改善や授業の改善につなげ
ることが大切
○学習の結果に対する評価のみならず、学習指導の過程において
も評価を行うことが大切
○学習指導の過程の評価をもとに、補充的な学習や発展的な学習
を取り入れるなど個に応じた指導の工夫が必要
効果的・効率的な学習評価
1.一単位時間当たりで評価する観点は
1~2つ
○あまりにも多くの評価観点を設定したり,多
くの評価方法を組み合わせたりすることは,
評価を行うこと自体が大きな負担
→無理なく児童の学習状況を的確に評価できる
ように評価規準を設定し,評価方法を選択す
ることが必要
効果的・効率的な学習評価
2.組織的・計画的な学習評価の推進
○学習指導の改善や学校における教育課程全体
の改善に向けた取り組みと効果的に結び付け、
学習指導に係るPDCAサイクルの中で適切に
実施
○学習評価の妥当性、信頼性等の向上を図ると
ともに、教師の負担感を軽減するための、組
織的・計画的な学習評価の推進
効果的・効率的な学習評価
○校長のリーダーシップの下での各学校の組織
的・計画的な取組
・新しい学習指導要領に対応した評価規準や
評価方法の充実を図るとともに、学校内に
おいてこれらの一層の共有を促進
・評価結果について教師同士で検討
・実践事例を着実に継承
・授業研究等を通じ教師一人一人の力量を向上
効果的・効率的な学習評価
3.保護者の理解の促進
○評価規準や評価に関する仕組みについて
事前に説明
○評価結果や課題克服への具体的な方策など
の説明を充実
効果的・効率的な学習評価
4.情報通信技術の活用
○個人情報保護条例などとの整合性を図る
など学習評価に関する情報の適切な管理
に配慮しつつ、情報通信技術の活用によ
る事務の改善を検討していくことも重要
参考
【参考資料】】
・中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会
「指導生徒の学習評価の在り方について(報告)」(平成22年3月)
・国立教育政策研究所 教育課程研究センター
「評価規準の作成,評価方法等の工夫改善のための参考資料」(平成23年11月)
・鳥取県教育課程研究集会総則部会配付資料(平成22年)
・財団法人日本システム開発研究所研究所
「文部科学省委託調査『学習指導と学習評価に対する意識調査』」(平成22年1月)
・岡山県総合教育センター
「学習評価ガイドブック~小学校編~」(平成23年2月)
・香川県教育センター
「思考力・判断力・表現力等を育成する指導と評価」(平成23年2月)
・辰野千尋,石田恒好,北尾倫彦 監修
「教育評価事典」文化図書 (2006)