杏林大学割り箸事件 経緯とその背景 杏林大学割り箸事件被告人支援の会会長 脳神経外科専門医 「いのげ」医師 医療崩壊の原因因子 刑事 業務上過失致死・傷害 医師法21条(事故死亡例届出義務) 民事訴訟 (損害賠償請求・期待権) 労働条件問題 (長時間労働・業務の増加・待遇改善) 刑事裁判用語 検察VS被告人 当事者主義+職権主義 精密司法 証拠能力と証明力 証人と鑑定人 冒頭陳述⇒本人尋問⇒ 証人尋問(主尋問+反対尋問) ⇒論告求刑⇒最終弁論⇒判決 検察側に立証責任 (公判前整理制度) 過失犯 過失傷害罪(209条)・過失致死罪(210条) 業務上過 失傷害罪・業務上過失致死罪(211条) 失火罪(116条) 過失激発物破裂罪(117条2項) 業務上失火等罪(117条の2) 過失建造物等浸害罪(122条) 過失往来危険罪・業務上過失往来危険罪(129条) (過失傷害罪は親告罪 他に道路交通法規定に多数) 過失犯処罰の責任主義 ・刑法38条第1項 故意に基づかない行為は処罰しない ⇒例外的処罰類型 ・法益保護目的 無過失行為は処罰対象外 ・故意犯⇒直接的規範 自己の違法を認識する機会あり 過失犯⇒間接的規範 注意すれば犯罪事実の認識が可能 過失の構成要件(=必要条件) 予見可能性(≒診断) 旧過失論 (因果関係のみ重視)故意犯同様 新過失論 (リスクを認容:客観的注意義務) 新々過失論(危惧説) 修正旧過失論(実行行為性で範囲を限定) 結果回避可能性(≒救命可能性) =因果関係証明 十中八九判決 新過失論と修正旧過失論 新過失論 違法性=社会的相当性を逸脱した法益侵害 実行行為=客観的注意義務違反 注意義務=回避と予見 回避に動機付ける予見 ふぐの肝の毒⇒肝の毒を認識⇒結果回避措置が可能 修正旧過失論 違法性=法益侵害(ないしその危険性) 実行行為=法益侵害の実行行為 注意義務=予見のみ 責任批難を基礎付ける予見 ふぐの肝の毒⇒障害結果の可能性⇒認識不可能 医療水準:最高裁判例 医師の注意義務の基準 一般的には診療当時の 臨床医学の実践における医療水準 医療水準は注意義務の基準(規範) 平均的医師が現に行っている医療慣行とは 必ずしも一致するものではない 、医師が医療慣行に従った医療行為を行ったか らといって、医療水準に従った注意義務を尽く したと直ちにいうことはできない。 事件番号:平成4(オ)251 裁判年月日:平成8年01月23日 最高裁判所第三小法廷 判例集巻・号・頁:第50巻1号1頁 割り箸事件の特徴 小児後頭蓋窩穿通性脳損傷 専門外の病態を含む 前例の無いきわめて稀な受傷機序 疾患特異性の低い症状 乏しい問診 重大な結果 一部ミスリードを含む乏しい情報 アンダートリアージ 時間外診療 経験浅い医師 判断における過失の有無 判決による事件の経緯 Aちゃん 4才 発育発達正常 1999年(平成11年)7月11日(土)夕 母 次兄と共に自宅近くの区立障害児施設 の夏祭りに参加 ボランティアの出店から割り箸付綿飴をもらう 母親はチケットを貰うために子供から離れる 午後6時10分ころ直後に前方へ転倒・受傷 直後の目撃者 受付嬢:離れた位置から眼鏡を外していたので 細かいところは見えないが 数歩 歩いて前方へ転倒するのを見た 職員の母:転倒した次の瞬間から目撃 左手で何かを抜く様な仕草をした 救急隊員に同様の情報を話したのは 別人 施設職員に事件後に緘口令 現場施設勤務看護婦 祭りなので浴衣を着用していた 受傷2~5分後に駆けつける 意識状態半昏睡 舌根沈下を認める 下顎挙上で泣き出す 看護室へ搬送 ぐったりしていた 経緯を救急隊員へ引継⇒隊員聞いていない 救急隊長 救急救命士資格所持 収容時点では声かけにて自然に開眼 咽頭部刺創あり耳鼻科受診の必要があると判断 救急車中激しい嘔吐一回 ぐったり 声掛けに返事な し 報告書記載:バイタル正常 意識清明 神経症状なし 嘔吐あり 「割り箸がのどに刺さって抜いた」 重症と認識していたと証言(ぐったり) 数ヶ所の総合病院耳鼻科に電話連絡 杏林大学病院が受入れ 管理当直医 皮膚科講師 電話連絡のみ担当 24時間拘束 救急連絡を各科に割振り 電話連絡で「箸でのどを突いた」 ⇒頚部外表面外傷と解釈 連絡内容から軽症と判断 ⇒形成外科一次二次相当と判断・連絡 N医師(当時31歳) 事件当時卒後3年目 研修明け2ヶ月目 杏林大卒 杏林大病院 独協大越谷病院で研修 事件当日一人当直 事前連絡なし 父 元裁判官弁護士 叔母 弁護士 兄 民法学者 救急部夜勤看護婦 終始ぐったりしていたが重症という感じではなかった 救急外来で患児を処置台に寝かせることなかった 来院時かろうじて開口 医師・患児・母親と供に耳鼻科外来へ移動 診察室へ移動中嘔吐一回 看護婦がその場を離れている間に帰宅指示⇒帰宅 翌日急変後に自主的に記録を作成 JCS-1 母親証言 終始開眼体動なく「昏睡状態のような感じ」 開口できないので後から手を添えて開けた 「こんなにぐったりしてるのに大丈夫なんです か?」⇒「呼吸もしてるし、大丈夫」 午後6時40分一次二次救急室到着 形成外科担当表示⇒耳鼻科受診希望 ⇒N医師コール 6時50分引継ぎ 隊長が刺創部をライトで示す 自発的開口 N医師から隊長への自発的質問なし 隣接する大学病院耳鼻科外来へ移動 「どうしました?」 「転んで箸でのどを突きました」 (「割り箸はありますか?」⇒未だ発見されず) 診療録内容(医師記載分1 of 2) Chief complaint : 口の中をハシでつついた History of Present Illness 7/10 PM 6:15頃 おハシをくわえてころび軟 口蓋にささった 救急車内で嘔吐1回 Past History: Asthma(-) Family: History : 出血性素因については不明 Status Presens: PM6:50 N医師・救急車にて来院 開口命令に対し開口OK 意識レベル Ⅰ-2 と思われる。 髄膜刺激症状なし (手描き図) 裂傷 出血(-) 0.7cX0.5cm ケナログBep ハシはすでにぬけていたため深さについては不明 BW)16Kg Rp)メイアクト(DS)160mg)3X 2TD ポンタール(Sy)9ml 7/12(月)再⇒N医師 逢合するかどうか決める 意識レベルの低下 出血の増強した時には再度来院を指示 髄膜炎の可能性も有るので抗生物質を投与 帰宅 「こんなにぐったりしているのに大丈夫ですか?」 「呼吸もしているし、大丈夫」 ⇒自宅へ連絡:午後7時ちょうど 父が車で迎え、母はけやき園に寄って自転車を 回収 抗生剤内服させるも嘔吐した その後嘔吐なし 母親は隣の部屋にて徹夜で試験の採点 翌朝急変、死亡 翌7月11日(日)朝6時 呼びかけに頷く 7時30分 兄が急変に気付く CPA 7時44分救急車着⇒杏林大病院へ搬送 ⇒蘇生処置 救急科T医師対応 耳鼻科カルテ取り寄せ N医師も駆け付ける ⇒AM9時2分死亡確認 院内ルーチンでLP ⇒血性髄液⇒家族の同意を得てCT&Xp 死亡後の病院対応 10時半耳鼻科教授救急科講師説明 N医師同席 出血原因は不明 鑑別診断としてAVM 前日診察に過誤は無いと説明 ⇒メモ なぜ入院させてくれなかったんですか?⇒反駁なし 警察へ届出⇒検死⇒司法解剖 警察はChild Abuseの可能性も取調べ カルテ等も同日午前中に押収 翌12日司法解剖 割り箸遺残を発見 ⇒父親に説明 母親には伏せる旨希望 情報漏洩! 割り箸遺残をテレビ報道 ⇒母親が知り激怒「病院による証拠隠滅」 ⇒患者団体と連携 ⇒病院との折衝不調 ⇒民事訴訟 病院とN医師に各々約4200万 母親が手記を出版 裁判の経緯 1999年7月11日 事件発生 2000年7月上旬 書類送検 この間 民事訴訟 約8400万賠償請求 2002年7月上旬 起訴 2ちゃんねるで活発な議論⇒支援の会結成 2002年11月28日初公判 公判44回 関係者証人10人 医師証人14人 2006年3月28日 一審無罪判決 支援の会方針 精神的援助 医学的検討を行う 支援活動は刑事に限定 患者・家族を批難しない 原則匿名 毎月一回ネット会議 支援の会HP⇒IRC 2ちゃんねる医労連 判決の概略 事実関係の評価 予見可能性(診断)について は検察側の主張を全面的に認める 救命可能性については弁護側の主張を認める (根拠は司法解剖鑑定書) 「過失」が有ったと認定 「急変後にカルテを書き加えた」と認定 検察側の主張なし 実行段階の検証なし 「改ざん」という言葉は判決文にはない 過失の構成要件 予見可能性(≒診断) ⇒頭部CT撮影又は脳神経外科紹介すべき 結果回避可能性(≒救命可能性) 証人耳鼻科医 O医師 元東邦大耳鼻科助教授・開業医 I 医師 新潟大学耳鼻科教授 H医師 K医師 杏林大耳鼻科教授 千葉県立こども病院耳鼻科部長 来院時症状 ぐったり 発語なし 嘔気持続 自力歩行なし 救急隊:0 看護師:1 N医師:Ⅰ-2 母 「昏睡状態のような感じ」 看護婦エプロンの紐握る 吐物に血混ざり 開口指示に従う(母が後から支えた?) 瞳孔異常なし 下部脳神経症状なし 転倒・咽頭部刺創 「刺さったが抜いた」 検査方法 問診 VITAL SIGN 神経学的所見 局所診察 経鼻ファイバースコープ 頭部単純写真 頭部CT 頭部MRI ⇒拡散強調画像の普及は翌年 裁判所の判断 具体的な刺入+可能性程度も含め 除外診断 救急隊意識状態報告があっても医師も意識状態評価 裂傷と救急記録に記載⇒深さを疑っていない 顕著な所見なし⇒血管損傷が無いこととは限らない ⇒注意義務違反・過失あり 過失の構成要件 予見可能性(≒診断) 結果回避可能性(≒救命可能性) 死因 検察側 後頭蓋窩急性硬膜下出血による脳ヘルニア ⇒開頭血腫除去にて90%以上救命可能 弁護側 左S状静脈洞血栓⇒静脈還流障害⇒脳浮腫 ⇒外科的再建はほぼ不可能 死亡後CT所見 1 厚さ約1cmの後頭蓋窩急性硬膜下血腫 血腫による数ミリの脳幹圧排(左⇒右) 2 微量の気脳症 3 頚静脈孔からの方向に一致して直線状に連 続した小脳半球内のair density 4 軽度の脳室拡大(水頭症) 5 四丘体槽の狭小化 司法解剖:死亡翌日施行 割り箸遺残7.6cm 頸静脈孔から後頭蓋窩内出血 24ml 高度の脳浮腫 脳重量1510g 脳ヘルニアなし 救命可能性は約50% 診察は不適切 頸静脈孔の解剖と割り箸の経路 注:この骨格標本は成人です 参考文献:臨床のための脳局所解剖学 (中外医薬社) 顕微鏡下手術のための脳神経外科解剖 (微小能神経解剖セミナー) 上方から見た後頭蓋窩 頸静脈孔 ↓ 後頭蓋窩 ↓ 頸静脈孔⇒ ↑延髄 ←小脳半球 右 後頭蓋窩を上方より見た図 おにぎり型に陥凹している部分 が小脳の位置する後頭蓋窩 左 頚静脈孔レベルのMRI 頸静脈は頸静脈孔内を 内後上から外前下へ走行する 割り箸穿通外傷の再現 頸静脈孔⇒ ↑延髄 後頭蓋窩を上方より見た図 割り箸はこの方向で刺入した 赤矢印が想定される割り箸の方向 延髄の位置より外側であり, と思われる 損傷は小脳半球に限定される。 下方から見た頭蓋底 ↑ 左頸静脈孔 直下方から頭蓋底を見る 解剖学の教科書でみかけるのは 主にこの図である。 頸静脈孔の内腔は見えない ↑ 左頸静脈孔 やや前下方から見ると 走行に沿うので 後頭蓋窩内が見える 割り箸穿通外傷の再現 ↑ 頸静脈孔 ↑ 頸静脈孔 口腔から頸静脈孔を経て 小脳半球に達する割り箸の 方向はこの図の方向に ほぼ限定される。 割り箸穿通外傷の再現 午後6時40分一次二次救急室到着 ↑ 頸静脈孔 弁護側証人口腔外科医 によると硬口蓋に当たって 折れ、口蓋に平行に刺入 ↑ 頸静脈孔 咽頭 小脳半球 前方からの図 大脳の静脈還流は主として 上司状静脈洞を後方に 交会部に至り両側の 横静脈洞に二分して S状静脈洞を経て 頸静脈孔を通り 頸静脈へ還流する 両側の急速な頸静脈閉塞は 致死的な脳浮腫をきたす 緩徐な場合は側副血行路 の拡大が生じて致死的には 至らない 司法解剖鑑定書 血栓形成の範囲 穿通性脳損傷 8~15才又は4才以下に多い(文献によって異なる) 止血 創処置 感染の防止が治療の原則 MRIが有用 脳損傷は限局されている 死因としては大きな脳内血腫 異物抜去時の大出血 偽性脳動脈瘤の破裂 脳幹部穿通など多様 生命予後は比較的良好であり感染による死亡例は少ない 小児頭部外傷(医学書院) p95 54例中43%に感染症の合併 54%が予後良好であった (Domingo Z :Low velocity penetrating craniocerebral injury in childhood , Pediatr Neurosurg 21;45~49,1994) 判決の概略 事実関係の評価 予見可能性(診断)について は検察側の主張を全面的に認める 救命可能性については弁護側の主張を認める (根拠は司法解剖鑑定書) 「過失」が有ったと認定 「急変後にカルテを書き加えた」と認定 検察側の主張なし 実行段階の検証なし 「改ざん」という言葉は判決文にはない カルテ改ざん認定の根拠 咽頭刺傷から髄膜炎になる例は稀 髄膜炎なら治療として内服薬は不適切 小児の意識レベルの正しい測定は困難なJCS を見当職障害があったような記載をしたことが 疑問 裂傷と診断しているのに深さについて記載する のは不自然 Past History: Asthma(-) Family: History : 出血性素因については不明 Status Presens: PM6:50 N医師 救急車にて来院 開口命令に対し開口OK 意識レベル Ⅰ-2 と思われる。 髄膜刺激症状なし (手描き図) 裂傷 出血(-) 0.7cX0.5cm ケナログBep ハシはすでにぬけていたため深さについては不明 BW)16Kg Rp)メイアクト(DS)160mg)3X 2TD ポンタール(Sy)9ml 7/12(月)再⇒N医師 逢合するかどうか決める 意識レベルの低下 出血の増強した時には再度来院を指示 髄膜炎の可能性も有るので抗生物質を投与 カルテ改ざん認定の根拠 咽頭刺傷から髄膜炎になる例は稀 髄膜炎なら治療として内服薬は不適切 小児の意識レベルの正しい測定は困難なJCS を見当職障害があったような記載をしたことが 疑問 裂傷と診断しているのに深さについて記載する のは不自然 判決文結語 本件でAちゃんが遺(のこ)したものは「医師に は眼前の患者が発するサインを見逃さないこと をはじめとして、真実の病態を発見する上で必 要な情報の取得に努め、専門性にとらわれるこ となく、患者に適切な治療を受ける機会を提供 することが求められている」というごく基本的な ことだ。 医療刑事裁判制度 結果重視⇒Retorospective Biass 世論の影響は少ない 政治的配慮? 証人医師の不足(熱意・客観性・説得力) Cross Talk Discussion が無い非効率 論点が複雑な場合特に長期化 問題点の自覚はある 公開性は本当にあるのか? 日本国憲法第82条 1項 裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれ を行ふ。 2項 裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩 序又は善良の風俗を害する虞があると決した 場合には、対審は、公開しないでこれを行ふこ とができる。但し、政治犯罪、出版に関する犯 罪又はこの憲法第三章で保障する国民の権利 が問題となつてゐる事件の対審は、常にこれを 公開しなければならない。 検察の立場 政治家からの影響はほとんど無い マスコミ・世論の影響を受けやすい 医師を敵視している訳ではない 正義感・使命感が強い 能力高い 秘密主義・情報漏れは非常に少ない 無罪判決には厳しい内部処分:負けを恐れる 自白重視 取り調べに多少はダーティな手法を使う 再発予防に貢献しない 警察の立場 政治家からの影響を受けることもしばしば マスコミ・世論の影響を受けやすい 医師を敵視している訳ではない 届出・告発を受けたら取り調べざるを得ない 情報漏れはしばしば有る 判断力は低い 送検して検察任せ 自白重視 応用・判断は苦手 命令完遂能力は高い 検察ほどの主体性は無い 司法の自白重視主義 当事者でなければ知りえないことが多い 自白をすることが本人の更生に必要不可欠 佐々木知子元検事参議院議員 いくら裁判で否認しても最後に自白を出せば状況がき ちんと書いてあれば信用できる 日本の裁判の有罪率が高いのは調べのなかで自白 があるからだ 自白していないというのは情が悪い 堀田力元検事 被疑者としての医師の立場 心理的環境としては圧倒的に孤立 弁護士含めて面会に制限 取調べの重圧には強くない 医学的知識は圧倒的に優越 弁護士の支援が絶対に必要 一般医師の支援は勾留中は限定的 社会アピール等に留まり本人には届かない 勾留は最長でも21日に留まる可能性が大 マスコミの立場 空間的守備範囲は広い 時間的守備範囲は狭い ⇒「半可通」にならざるをえない ⇒専門性が高い問題の理解は苦手 活動の最大動機は商業主義 正義感は有る 判断力は低い 報道に対する裁判外紛争処理機関 BRO:放送と人権等権利に関する委員会機構 日本新聞労働組合連合報道被害相談窓口 法務省人権擁護局・(地方)法務局人権用語課 日本弁護士連合人権擁護委員会 日本雑誌協会雑誌人権ボックス(苦情転送のみ) ⇒低コスト 正式な対応は不起訴のみ 一定の効果 割り箸事件に関する報道 ワイドショー 女性週刊誌 新聞 大々的 予見可能性に関する検証なし 患者側からの情報中心 (一部でバッシングの自覚あり) 医師でも報道に疑問を抱かなかった人多数 医師の自律性が必要 危険な医師を除外する努力 医道審改革 リスクマネジメント・再発予防 事故発生時の患者に対する配慮 医師免許更新制度 ↓ 医療不信解消 再発予防 情報のフィードバックが絶対に必要 失敗を罰する文化は失敗を助長する 実例をパターン解析 医療事故防止の技術 Fool Proof な対応の推進 医療崩壊の原因因子 刑事 業務上過失致死・傷害 医師法21条(事故死亡例届出義務) 民事訴訟 (損害賠償請求・期待権) 労働条件問題 (医師不足:長時間労働・待遇改善) 医師法21条問題 広尾病院最高裁判例 積極説 異状がある時の積極的届出義務を認定 法医学会ガイドラインには触れず 大野病院事件とは経緯が異なる とにかく届出ておくのが無難 診療録記載 事故後の改ざん・廃棄は危険・不利 所見記載・説明内容は詳しく 評価記載は誤診の証拠となる危険性? SOAP ⇒ SOP 医療崩壊の原因因子 刑事 業務上過失致死・傷害 医師法21条(事故死亡例届出義務) 民事訴訟 (損害賠償請求・期待権) 労働条件問題 (長時間労働・業務の増加・患者問題) 医師賠償責任保険の落とし穴 発生主義ではなく,発見主義 保険会社は患者と 直接交渉しない 刑事事件は補償対象外 (賠償金・弁護士費用) 慰謝料の基準なし 日本の医師賠償責任保険は すでに財政的に破綻 医事紛争:民事訴訟 第三者調査機関設置 裁判外解決制度 産科医療に重大な影響⇒無過失保障制度 患者が訴訟を起す権利は否定できない 事故後の説明 折衝が重要 過失の自覚が有る場合は率直に謝罪した方が 結果的に穏便な場合も多い 再発予防策を公表 加藤医師陳述 「A子さんと遺族に対して申し訳ない 哀悼の意を表したい 通常通りの手術を行って 結果は申し訳ないとしか言えないが 自分はベストを尽くしやるだけのことをやった 結果は本当に申し訳ないと本当に思っております 以上です」 年代別判決 時期 有責 無責 有罪 無罪 計 05-45 26 17 5 7 55 46-55 1 5 2 6 14 56-65 24 26 5 20 75 66-75 56 70 13 30 169 実数 106 118 25 63 313 % 47.6 52.4 28.4 71.6 医療崩壊の原因因子 刑事 業務上過失致死・傷害 医師法21条(事故死亡例届出義務) 民事訴訟 (損害賠償請求・期待権) 労働条件問題 (医師不足:長時間労働・待遇改善) Fight or Fleight? 勤務医の団結 ⇒任意団体 労働組合 批判の矢面となる? 立ち去り型サボタージュ(逃散) ⇒医療荒廃・崩壊 崩壊後再建は困難 医師法19条1項 「診療に従事する医師は,診察治療の求めが あった場合には,正当な事由がなければ,これ を拒んではならない」 個人には罰則なし 法人には過失・民事有責と見なされる可能性 診療拒否の正当事由 1)医療報酬が不払であっても直ちにこれを理由として診療を拒むことはできない。 2)診療時間を制限している場合であってもこれを理由として急を要する患者の診療 を拒むことは許されない。 3)特定人たとえば特定の場所に勤務する人々のみの診療に従事する医師であって も,緊急の治療を要する患者がある場合においては,その近辺に他の診療に従事 する医師がいない場合には,やはり診療の求めに応じなければならない。 4)天候の不良等も,事実上往診の不可能な場合を除いて診療の求めに応じなけれ ばならない。 5)医師が自己の標榜する診療科名以外の診療科に属する疾病について診療を求 められた場合も,医師が自分の専門外の領域であることなどを理由に診療を拒否し た場合,患者がこれを了承すれば,一応正当の理由と認め得るが,了承しないで依 然診療を求めるときは,応急の措置その他のことをしなければならない。 厚生省は「医師が来院した患者に対し、休日夜間診療所、休日夜間当番医などで 診療を受けるよう指示することは、医師法第19条の規定に違反しないものと解され る」と回答している (昭和49.4.16医収412)。 病気は可 少々の疲労では不可 参考文献 医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か 小松 秀樹 (著) ¥ 1,680 (税込)朝日新聞社 「改革」のための医療経済学 兪 炳匡 (著) ¥ 1,995 (税込) メディカ出版 「割り箸が脳に刺さったわが子」と「大病院の態度」 杉野 文栄 (著) 小学館文庫:絶版 失敗学のすすめ 畑村 洋太郎 (著) 講談社
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