組織における権力の理解 ジェフェリー・プフェファー 長岡技術科学大学 経営情報システム工学専攻2年 学籍番号 06537085 氏名 山田和博 職歴の管理 1. 長期雇用の影響 (1/12) • “人はすぐに政府が組織であると決め付ける。「組織 は政府である」というのは確かに正しいが、そんなこ とはめったに考えたりしない” by 政治学者 ノートンロング 3 1. 長期雇用の影響 (2/12) • 現代人は何事にも無気力で、以下の2つの特長に よって定義される – 自分のためなら夢中になれる – 論争は誤解が大きくなったもので、もっとコミュニケーショ ン能力があれば社会問題は全て解決されるだろうと信じ ている 4 1. 長期雇用の影響 (3/12) • “優秀な人間はリーダーシップに関する訓練なしで、 孤独であっても事を成し遂げる” by ジョン・ガードナー • 組織の影で優秀な人間が頑張っていて、とても満足 していたとしても、その人が周りに与えられる影響に は限界があり、大きな成功を収めるためには相互依 存の行動が必要である。 5 1. 長期雇用の影響 (4/12) • 組織が縮小されている – 製造業だけでなく、全体として組織が縮小されている – 人間関係や権力闘争に疲れた中間管理層が会社を辞め ている – 正社員ではなく、契約社員やアルバイトを用いて経費を 削減している – アメリカの経済成長を支えている要因である 6 1. 長期雇用の影響 (5/12) • 大きな組織の権力にも問題はあるが、小さい組織 のほうが、生存確率が低いため、大企業の権力闘 争をうまく扱って生きていかねばならない • 縮小化していき、組織における権力を学ぶことを止 めてしまっては、社会プロセスと権力をうまく扱うた めの管理者教育の機会を失う 7 1. 長期雇用の影響 (6/12) • ショッピングセンターの店舗家賃が8,000ドルで、 2,000万ドルという平均より遥かに多くを稼ぐストア マネージャは店舗の出店を希望したが、統括の上 司に反対されて、参加することができなかった。 → 中央集権、トップダウンの典型的な災害例である → このことから学ぶことがたくさんある 8 1. 長期雇用の影響 (7/12) • 中央集権、トップダウンの典型的な災害例である – 彼にはたいした権力が与えられていないのに、店舗に関 する責任は彼にある。 – 「上司の命令には従います。ただ、私はじっと機会を伺っ ているだけなんです。」 9 1. 長期雇用の影響 (8/12) • 権力とは – ある意図された結果を引き起こす能力である – 善良な市民にとって、最も響きがよくない言葉である – 民主主義においては、特殊な目的のために人間に付与さ れる • ここで大事なのは 1、権力を獲得するためにどんな手段を用いるのか 2、どのように権力を行使するのか 3、何の目的で権力を行使するのか 10 1. 長期雇用の影響 (9/12) • 組織が効率的に生産をおこなうために、またはリー ダーシップを理解する道具として、権力に注目し始 めている • これは以下のような理由で少々間違いである – 権力は考えを現実にするために必要な基礎的なエネル ギーである 11 1. 長期雇用の影響 (10/12) • 今日の組織における大問題は、権力を振りかざすこ とではなく、むしろ逆で、権力を正しく行使しないこと である 12 1. 長期雇用の影響 (11/12) • 権力は歴史を築き上げるためのチャンスで、出世を 気にする人間には多少の満足感をもたらす。 • 幸せを探すということは、権力を時間をかけて手に 入れるものでもなければ、もし手に入れたとして、そ れをうまく使えないことでもない。 13 1. 長期雇用の影響 (12/12) • 良い結果を出すリーダーは尊敬できても、その手段 まで尊敬できないときがある • 子供にも良いリーダーになってほしいと願っても、そ の手段までは習って欲しくないと思う • リーダーの評価は実益があるかどうかである 14 組織構造と変革の管理 2. 権力への不信感 (1/3) • “権力はアメリカで最も汚い言葉である。人々はお金 の話を頻繁にするが、それよりもSEXに関する話題、 さらに権力に関する話題のほうが多い。しかし、有 能な経営者には権力が必要である” by ロザベスガンナー 16 2. 権力への不信感 (2/3) 項目 同意数 職場での権力闘争はほとんどの組織に共通していると思う 93.2% うまくいっている幹部社員は良い政治家であると思う 89.0% 職場で上にいけば行くほど政治的になっていくと思う 76.2% より強い経営者ほど政治的であると思う 15.7% あなたは、組織で成功するために政治的でなければならないと思う 69.8% 上層部は組織の中で政治を取り除こうとするべきだと思う 48.6% 政治は組織を効率的に機能する助けになると思う 42.1% 組織が非政治的であることは、たくさんの政治があるより幸せであると思う 59.1% 組織政治は能率性に対して最も有害であると思う 55.1% 17 2. 権力への不信感 (3/3) • なぜ権力に不信感を抱くのか – 望む結果を出すために、憎らしい相手が同じ手段を用い るかもしれない – 学校で習う基本的な学習が、権力に対する正しい理解を 得るための邪魔となる – 意思決定の是非を判断する考え方が、社会において常に 正義を行うとは限らない 18 3. 忘れられるべき教育 (1/3) • • • • • 学校教育が間違っている 教室内での協力は不正行為と見なされる 相互依存が最小化されている 学校での成功は個々のスキルや成果、努力による スポーツに例えるとゴルフである 19 3. 忘れられるべき教育 (2/3) • 組織においては個々の能力はそれほど重要ではな い • 人的資源を如何に有効利用するかが組織的な成功 を導く • スポーツに例えるとフットボールである • 権力は個々の利益を、価値のある目的を達成する ための連携活動へと導く 20 3. 忘れられるべき教育 (3/3) • 正解と不正解がハッキリしている • 正解への計算方法が示されると、答えが正しいこと が自明になる • 偉い人の行いには妥当性があり、その意思決定プ ロセスが正しいと信じている • 現実には解のない問題がいくつもあり、解法がいく つも存在するものばかりである • 時には、事実からずっと遅れて解法が見つかること もあり、その時にでさえいくつかの曖昧さがある 21 4. 意思決定に対する異なる見解 (1/12) • 意思決定そのものでは何を変えるわけでもない – 禁煙する、ダイエットする、健康的な食事をする という意思決定は結果が出る前に失敗に終わる – “決定科学”に関する知識と合わせて“実現科学”を学ぶ 必要がある 22 4. 意思決定に対する異なる見解 (2/12) • 意思決定を行った瞬間に、その決断が正しいかどう かを判断することができない – 実行した結果を測定することでしか、意思決定の良否は 判断することが出来ない 23 4. 意思決定に対する異なる見解 (3/12) • 意思決定を行うよりも、実行して結果を測定するま での方が遥かに時間がかかる – 意思決定の判断の良否は、実施策をどうやって、うまく実 行するかにかかっている 24 4. 意思決定に対する異なる見解 (4/12) • 良い管理者というのは、良い意思決定と分析を行う だけの存在ではない – 良い管理者は意思決定の結果を心配することに時間を 費やすよりも、良い結果が出るように努力することに時間 を使う – 昨日の事は昨日の事と割り切り、明日しなければならな いことに注力する 25 4. 意思決定に対する異なる見解 (5/12) • オイルサービスの会社であるシュランベルジュによ るフェアチャイルドセミコンダクターの買収 – シュランベルジュ社はもっと精巧な探索装置を発展させた かった、そして電機技術をオイルのドリル装置に取り入れ たかった。 – ところがうまくいかなかった 26 4. 意思決定に対する異なる見解 (6/12) • 買収によるケーススタディ – 買収の後で予期できない障害がいつか発生する – シナジー効果と問題の両方が存在する – 利益のために他の会社の獲得を行う会社は、時間的神 経が鈍い – 合併相手の選択と契約条件に力を入れすぎて、その後に 起こる合併症を疎かにするケースが多い 27 4. 意思決定に対する異なる見解 (7/12) • 新製品の開発と販売に関する意思決定 – 新製品の販売が利益・損益をもたらすかは決定時点に分 かることではない – その選択の実施如何に依存する – 製品の再設計や流通チャネルの変更、価格の調整 28 4. 意思決定に対する異なる見解 (8/12) • ホンダのスーパーカブ – 1959年にアメリカに子会社を作って以来、7年で55万ドル から7700万ドルへと売上を伸ばした – シェアは63% – パスカルは「誤算と才能、組織的学習の賜物」と表現した – “Success against all odds”という文化 29 4. 意思決定に対する異なる見解 (9/12) • ホンダのスーパーカブ – 広告“you meet the nicest people on a Honda” – UCLAの学生によってデザインされた広告 – スーパーカブの成功にはいくつかの状況の組み合わせ があった 30 4. 意思決定に対する異なる見解 (10/12) • ホンダは決定解析と戦略的計画を使用 しなかった – ホンダがどのような意思決定を行ったのか、誰にも分から ないが、ホンダはそれが正しい意思決定であるかのよう に振舞った – どんなピンチにおいても責任者を追及することよりも改善 するほうに時間を割いた 31 4. 意思決定に対する異なる見解 (11/12) • 学校教育で学ぶものとホンダのケースは違う – 学校はテスト用紙を提出したらゲームオーバー – デザインよりも、失敗と試行錯誤を繰り返す不屈の精神 – 困難に直面した時に、どのように状況を変えるかを判断 する洞察力 32 4. 意思決定に対する異なる見解 (12/12) • 最も重要なスキルは、意思決定を実行しそれを管理 する技術である • どんな行動も取るのが難しい組織では、批判力こそ が、実行する能力であるかもしれない 33 5. 物事を成し遂げる方法 (1/8) • 物事を成し遂げるのは何故難しいのか – 実現の過程における権力の役割と影響を、物事を成すい くつかの方法から学ぶ 34 5. 物事を成し遂げる方法 (2/8) • 階層的組織の権力の役割を通して学ぶ – 多くの人は権力が単に形式的権威の行使であると考える が、それよりもっと奥が深い – よりアッパーレベルでは部下を評価し報酬を与える、部下 に指示を与える、雇いクビにする権力を持つ – 組織に勤めることが人生の一部であると誰もが考えるの で、階層的な命令は合法であるとみなされる 35 5. 物事を成し遂げる方法 (3/8) • 階層構造には物事を成し遂げる上で障害になる問 題が3つある – 時代の流れについて行きにくい – 権力が、今いるポジション(何の仕事でどのような目的を もっているか)に事実上由来する、外部の協力なしに何も することが出来ない – 最高権力者がダメ人間ならどうしようもない 36 5. 物事を成し遂げる方法 (4/8) • 別の方法 – ビジョンと組織文化の共有をより強くすること • 同じ目的を持ち、何をどのように達成するかを共有し、同じ言葉を 話すことで協調性が増す。これにより、命令や階層的権威はこれ ほど重要ではない • 上司からの命令なしに協調行動を起こすことができるようになる 37 5. 物事を成し遂げる方法 (5/8) • アップルはオタクによって設立された – Apple1の発売で利益を手にした – 82年の終わり、一人一台というのが企業戦略として名案 だと思われるようになった – その頃から、ネットワークへの接続が増え始めて、データ の互換性や共有といった問題は大企業にとって重要な課 題だった – 一人一台というビジョンは、アップルにとって互換性を難し くする結果となった 38 5. 物事を成し遂げる方法 (6/8) • Apple2でさらに莫大な利益を得た • その後IBMが市場に参入してきて、大きくシェアを奪 われた – 「IBMを買う人でクビになるやつはいない」ということわざ がある 39 5. 物事を成し遂げる方法 (7/8) • アップルの強すぎるビジョンはApple3という新製品 の失敗を起こす引き金となった – 一人一台だけでなく、誰でも自由に設計でき、改造し改良 できる – OSはユーザーとコンピュータの間に立ちはだかる壁だ – OSはコンピュータスキルをひけらかすのに妨げとなる – PCは人々への権力を示す – OSは権力を弱める存在だ 40 5. 物事を成し遂げる方法 (8/8) • Apple3に搭載されたOS(SOS)はMicrosoftのMSDOSに実に良く似ていた – AppleはOSのスタンダードを目指そうと慎重になっていた – その結果、多くの商売の機会を逃した 41 6. プロセス管理: 権力の考え方 (1/5) • 権力と影響の観点から、実施のステップは以下の一連の流 れのようになる – 目的を決める、それを達成するために何をするか考える – 目的を達成するために、影響力があるのが誰かを分析する – 彼らの考え方には何か傾向があるのか?あなたの考え方をどのよう に思うか? – 彼らの権力の元は何か?あなたと彼らどちらに決定権が多いか? – あなたの権力と影響力の元は何か?どこまで影響力を強めることが 可能か? – 目的に対して最も有効で適切な戦略と戦術を考える 42 6. プロセス管理: 権力の考え方 (2/5) • まず、目的を明確にすることが大事である – しばしば目的が明確でないビジネスが存在する – 目的がないのに、予定だけは埋まっていく – 目的がない以上、それを達成することは不可能である • 次に影響力を持っている人間を分析する – 彼らがどのようなことを考えているのかを分析する – 影響力のある人間と敵対した場合、大きな障害となる 43 6. プロセス管理: 権力の考え方 (3/5) • ゲーム感覚を養う – ゲーム、プレイヤー、ポジションを常に把握する感覚は重 要である • 「バスケットボールのユニフォームを着て、フットボールの試合に 出ようものなら大怪我をする」 – ゲームの明確なビジョンがあるときには、自分のパワー の源を知るのと同様に、相手のそれを知ることも重要であ る • パワーの元を理解することは、組織で起こることを 診断して、行動をとる準備をするのに非常に重要で ある 44 6. プロセス管理: 権力の考え方 (4/5) • 多くの戦術を慎重に考える – より少ない条件下で、かつ実行可能な戦術 • より権力と影響力を駆使することは、敵対する人間 が権力を不当行使するのに対抗することができる 45 6. プロセス管理: 権力の考え方 (5/5) • 権力とは – 物事の流れを変える – 抵抗を克服する – 人々がしないことをさせる 影響力を及ぼす潜在的な能力と定義することができる 46 7.権力を管理することが何を意味するのか (1/4) • 全ての組織には、異なった関心が存在することを認 めることである – 好みが広く分布する – 全員が自分の意見に賛同するわけではない – 全員が自分の友人になるわけではない • 組織における関心のクラスタを知り、誰が属するの かを知る必要がある 47 7.権力を管理することが何を意味するのか (2/4) • 私達の関心ごとに対して、個々人がどのような視点 や考え方を持っているのかを理解することである – 組織において、自分と全く同じ考えを持った人間と仕事を するのはまれである – 目的を成し遂げる秘訣は、必要なスキルを持った人間 (意見が異なるor好きではない相手)と仕事をすること 48 7.権力を管理することが何を意味するのか (3/4) • 反対組織に対抗し、目的を達成するためにどれだけ 権力が必要で、それをどこから得るか、どこまで強く することができるかを理解することである – 人は戦略的、あるいは意図的に権力を手に入れたり行使 することを嫌う – ベストを尽くせば何事も、何とか成し遂げられると考えが ちである – 組織で目的を達成するためには、ベストを尽くすだけでは 不十分である – 権力を理解し、それを得なければ望んだ結果は出せない 49 7.権力を管理することが何を意味するのか (4/4) • 組織における権力の行使と、その発展を通して戦術 と戦略を理解すること – 機会の重要性 – 構造、体制の利用 – 人間関係の構造や心理 50 8.終わりに (1/3) • 人生を壮大なドラマとしたとき、我々は悪役になるよ りは、正義の主人公であることを望む – 権力を手にすることは、常に魅力的なプロセスとは限らな い – 悪人が善行をすれば驚くが、善人が悪行をしてもそんな に驚きはしない 51 8.終わりに (2/3) • 無力であることは簡単で快適である – 何もしなければ、敵対相手が少なく、当惑も少なくて済む – 「自分には権力がないから、何もできない。本当にそれを したいなら、大金をもらってる彼らに責任を取らせればい い!」 :現代においてすごくありふれた光景である :何もできない個人、組織にとって一時的な処方箋でしか ない 52 8.終わりに (3/3) • 目的を達成するためには、権力と影響力を強くする スキルが必要である • 権力と影響力は汚いヒミツはなく、成功へのヒケツで ある 53 残念でした
© Copyright 2025 ExpyDoc