●モールの応力円 (土質力学編) (圧縮正) ・土中応力=土かぶり圧(γz)+ 荷重qによる伝達応力 ・土中の1点(の微小要素)に着目して、 応力の作用方向と値を調べる 構造物 目 次 ▼ ・応力状態をモールの応力円で表し、任意 面上の応力(σ,τ)を作図で求める 鉛直 土かぶり圧 深さ z γz σ2 z σ1=σv=γz σ2=σh x 荷重q σ1 水平 土かぶり圧+伝達応力 σ1 σ1 σ 1 σ2 σ2 σ2 σ2 σ1 σ1 σ2 σ2 σ1 ●直角座標応力成分 ●モール円の極 ・応力記号の約束 ・2次元応力状態 ・応力の正負(圧縮正) ・応力の正負(引張正) ●モール円作図 ●任意面上の応力 ・主応力 ・最大せん断応力 ●モールの応力円 ・モール円(主応力) ・モール円(xz面応力) ・主応力と任意面応力 表紙≪ ●地盤内応力 ・地盤内応力とすべり ●三軸圧縮試験 ・地盤内応力のモール円表示 ・モール円表示例 ・試験手順とモール円 ・一軸・三軸圧縮試験 □□□目次□□□ ≫直角座標の導入 ≫TOP ●直角座標の導入 ・土中に微小四角形要素を考え、これに働く応力成分を調べる ・土中に直角座標(x,z)導入 地盤 p σ z+面 x-面 z-面 x z面=z軸に垂直な面 τ τ x+面 z x面=x軸に垂直な面 p σ ・x面,z面は各2つある 正方向の面 → 正(+) 負方向の面 → 負(-) ・合応力pは垂直・せん断成分 に分解できる p=p(σ,τ) 目次≪ ≫応力記号 ≫TOP ●応力記号の約束 ・x,z面に働く(σ,τ)に2つの添字を付けて識別する ・同じ添字は垂直応力(σ)、異なる添字はせん断応力(τ) 応力の作用方向 σxx 作用面の方向 σz ← (σzz) τzx z +面 z ・x面に働くx方向の垂直応力 σxx → σx (略記) ・z面に働くz方向の垂直応力 σzz → σz (略記) ・x面に働くz方向のせん断応力 σx ← (σxx) τxz x+面 τxz ・z面に働くx方向のせん断応力 τzx x xz面≪ ≫2次元応力状態 ≫TOP ●2次元応力状態 ・x,z面内の1点の応力状態は(σx,σz,τxz)で表される σz ・4種の成分(垂直2、せん断2) σx σx τxz τxz τzx z x xz面≪ (σx,σz,τxz ,τzx) τzx 応力記号≪ σz ・モーメント釣り合い (τxz=τzx ) ・独立な応力成分(2次元) ( x , z , xz ) ≫応力の正負(圧縮正) ≫TOP ●応力の正負(圧縮正=土質力学) ・正(負)の面に働く負(正)の方向の応力を正とする σz ・圧縮の垂直応力を正 τxz x-面 z +面 σx z x+面 τxz x σz → 「圧縮正」の約束 「土質力学」 σx ・せん断応力の正 z-面 z x ※対応して、「収縮」変形を正とする 応力記号≪ 2次元応力状態≪ ≫応力の正負(引張正) ≫TOP ●応力の正負(引張正=構造力学) ・正(負)の面に働く正(負)の方向の応力を正とする σz ・引張の垂直応力を正 τxz x-面 z +面 σx x+面 z τxz x σz → 「引張正」の約束 「構造力学」 σx ・せん断応力の正 z-面 z x ※対応して、「伸び」変形を正とする 2次元応力状態≪ 圧縮正≪ ≫任意面上の応力 ≫TOP ●任意面上の応力 ・直角座標応力成分(σx,σz,τxz)と任意面上の応力(σ,τ) σx τxz α Δz σ τ Δs Δx z τxz ・α面上の応力(σ,τ) x z x z cos 2 xz sin 2 2 2 z x sin 2 xz cos 2 2 σz x ・αを変えて(σ,τ)の変化を調べる → 主応力、最大せん断応力の誘導 応力の正負(圧縮正)≪ ≫主応力 ●任意面上の応力(計算例) (σx,σz,τxz)=(50,20,15)kPa σ,τ 60 σ~α (kPa) 40 50kPa α τ σ 20 σm σm σ1 τmax 0 15kPa 30 τ=0 20kPa 60 90 σ2 120 τ=0 α(°) 150 180 τmax -20 τ~α ※τ=0 の面(主面/互いに直交)で、σが最大・最小(主応力) ≫TOP ●主応力 ・面αを変えて(σ,τ)を調べると、τ=0の面(主面)が存在する ・主面に働く垂直応力を「主応力」という 1 x z 2 2 x z 2 xz 2 2 ・主応力(主面)は互いに直交する 2次元 (σ1,σ2) σ2 σ1 任意面上の応力≪ σ1 σ1 σ2 3次元 (σ1,σ2,σ3) σ2 σ2 σ3 σ1 ≫最大せん断応力 ≫TOP ●最大せん断応力 ・面αを変えて(σ,τ)を調べると、τが最大になる面が存在する ・τの最大値を「最大せん断応力」τmax という ・τmax の作用面には平均垂直応力σmが働く x z 2 max xz 2 x z 1 2 m 2 2 2 1 m max 2 任意面上の応力≪ 主応力≪ *主面と(σm,τmax)の 作用面は45°交差 σ1 σm σm τmax σ2 τmax σ2 σ1 ≫モール円(誘導) ≫TOP ●モールの応力円(誘導) ・任意面上の応力(σ,τ)は円上の1点(応力点)で表される 任意面上の応力(σ,τ) x z 2 x z cos 2 xz sin 2 2 x z sin 2 xz cos 2 2 τ 半径 (σ,τ) τmax 中心 σm 任意面上の応力≪ 主応力≪ *α消去 ( m )2 2 ( max )2 中心: m σ 半径: max x z 2 x z 2 2 xz ≫モール円(主応力) 2 ≫TOP ●モールの応力円(主応力) ・主応力(σ1,σ2)と最大せん断応力τmaxを表す応力点 ↑τ=反時計回りを正 τ 最大せん 断応力 ・(σm,τmax) は2頂点 ・(σ1,0), (σ2,0) は2端点 (σm,τmax) (σ,τ) τmax 主応力 主応力 σ2 σm σm 最大せん (σ ,τ ) m max 断応力 主応力≪ モール円(誘導)≪ σ1 σ 1 m max 2 → σ=圧縮を正 ・反時計 回りのτ ≫モール円(xz面) ≫TOP ●モールの応力円(xz面応力) ・x,z面上の(σ,τ)もモール円上の応力点で表される τ(kPa) ・2点A,Bを通る 200 50 100 (応力円) 50 100 B(σz,τxz) 50 100 50 z (z面に働く応力) σz=200kPa τxz=50kPa(反時計) 0 50 x 200 例:(σx,σz,τxz) =(100, 200, 50)kPa 任意面上応力≪ モール円(誘導)≪ 100 200 σ(kPa) 50 A(σx,τxz) (x面に働く応力) σx=100kPa τxz=50kPa(時計) ・A-B線とσ軸の 交点が円の中心 ≫主応力と任意面応力 ≫TOP ●主応力と任意面応力 ・主応力(σ1,σ2) ~ 任意面上の(σ,τ) 1 2 1 2 cos 2 m max cos 2 2 2 2 1 sin 2 max sin 2 2 τ σ 実平面 τ α τ σ2 σ1作用面から反時計回り角α τmax モール円 2α σ2 σ1 モール円(xz面)≪ σ σ1 σ σm → σ1点から反時計回り角2α ≫極の性質1 ≫TOP ●極の性質1 ・実平面の応力(σ,τ)とモール円上の応力点の関係 -(実平面で)面Aとθ隔たった面Bの応力は、モール円上で面Aに 対応する応力点Aから中心角2θ隔たった応力点Bで表される- τB σB 面B θ B(σB,τB) O τA σA 2θ 面A A(σA,τA) 実平面 主応力と任意面応力≪ モール円 ≫極の性質2 ≫TOP ●極の性質2 ・モール円上の応力点とその作用面の関係から「極」を定義する -モール円上の応力点A(or 点B)から、その作用面A(or 面B) に平行に引いた直線がモール円と再び交わる点を「極」という- τB σB 面B θ θ B(σB,τB) O τA 2θ σA 面A 実平面 極の性質1≪ 面Bに平行 極P 面Aに平行 A(σA,τA) モール円 ≫極の性質3 ≫TOP ●極の性質3 ・「極」が知れると、作図により応力点や作用面の方向が知れる ①作用面が既知の場合:極からその面に平行に引いた線と応力円 の交点が、その面上の応力を与える ②応力点が既知の場合:極からその応力点に引いた線の方向が、 その応力の作用面の方向を与える 面Dに平行 極P D(σD,τD) σC 面C 面Cに平行 σ 時計 τC σD τD 面D 反時計 C(σC,τC) 極の性質1≪ 極の性質2≪ ≫作図例1 ≫TOP ●モール円作図1・・・ 直角座標応力(σx,σz,τxz)が既知 ・任意面AC上の応力(σ,τ)をモール円の作図で求める τ(kPa) A 100 σx= 100kPa σ α ①極を求める ・AB面に平行 ・BC面に平行 BC面応力 極P (σy,τxz) 50 τ 100 B τxz=50kPa z C σz=200kPa x モール円(xz面)≪ 50 AB面応力 200 σ(kPa) AC面応力 (σ,τ) (σx,τxz) ・AC面に平行 ②AC面上の応力を求める 極の性質3≪ ≫作図例2 ≫TOP ●モール円作図2・・・ 主応力(σ1,σ2)が既知 ・(σ1,σ2)の応力点から各主面に平行に引いて極を求める ・主面とτmax面は45°交差する AB,CD面 σm σ2 τmax B A D τ σ1 τmax C 主面(σ2) 主面(σ1) 極P 45° 45°45° σm σ2 (σm,τmax) ・極を求める ・極を求める σ2 σm σ1 σ σ1 ・τmaxの作用面を求める 最大せん断応力≪ 作図例1≪ (σm,τmax) BC,AD面 ≫作図例3 ≫TOP ●モール円作図3・・・ AA面上の応力(σ,τ)を求める(1) 2.50σ0 τ σ1=3σ0 σ2=σ0 σ0 A 0.866σ0 A A A σ0 30° 2σ0 主面(σ2)方向 σ AA面 P σ0 3σ0 主面(σ1)方向 ※主応力(σ1,σ2)の応力点は、作用方向に関わらず モール円がσ軸と交差する2つの端点で表される (τ=0 だから) 作図例2≪ ≫作図例4 ≫TOP ●モール円作図4・・・ AA面上の応力(σ,τ)を求める(2) τ A σ0 σ0 σ0 反時計回り σ0 P x面 σ0 60° 60° σ0 A 時計回り AA面 引張 ※土質力学では・・・ z面 0 σ0 圧縮 σ0 A σ 0.5σ0 0.866σ0 A ・垂直応力は、圧縮が正、引張りが負 ・せん断応力は、反時計回りが正、時計回りが負 作図例3≪ ≫作図例5 ≫TOP ●モール円作図5・・・ 一軸圧縮試験(1) ・一軸供試体のα=0~90°面上の応力(σ,τ)を求める σ1 σ τ α ・正規化表示 1.0 σ/σ1 τ/σ1 α面 τ P 2α α σ σ/σ1 30 1 (1 cos 2 ) 2 1 sin 2 2 τ/σ1 15 σ1 σ σ1 0. 5 作図例4≪ 中心:σ1/2 τ 半径:σ1/2 45 60 75 90 α(°) ≫作図例6 ≫TOP ●モール円作図6・・・ 一軸圧縮試験(2) ・供試体の方向によって極の位置が異なる σ1 τ σα τ α σ1 α σ1 τβ σβ σα σ1 σβ τα β面 τβ β P α σ1 σ α面 β 作図例5≪ ≫地盤内応力 ≫TOP ●地盤内の応力状態 ・土の自重(γz)や地表面の載荷重qにより地盤内応力が発生 座標応力(σx,σz,τxz)または主応力(σ1,σ2)で表示 紙面に垂直 q=Q/A σ1 σ2 τxz 作図例6≪ σ2 σ1 σ2 すべり面 σx x (σ1>σ2=σ3) *荷重中心では対称 σz z *3次元 σ1 σ2 σ1 *一般に(σ1,σ2)は傾斜する ≫地盤内応力とすべり ≫TOP ●地盤内応力とすべり ・主応力(σ1,σ2)とすべり面上の(σ,τ)の関係 「垂直応力σ」:すべり面を押さえ付ける応力(拘束圧) ~ すべり抵抗応力τfに寄与する(τf=c+σtanφ) 「せん断応力τ 」:すべりを起こす応力(滑動応力) ※τ≧τf → 「すべる」 σ1 σ1 τ σ2 地盤内応力≪ σ2 σ2 σ τf σ すべり面 τ τf すべり面 σ2 σ1 σ1 (σ2=σ3) ≫地盤内応力の再現 ≫TOP ●三軸圧縮試験1・・・ 地盤内応力の再現 ・土の「強さ」・「硬さ」は周囲から受ける圧力(拘束圧σ)に依存する ~ 深い所(z大)では、拘束圧σ大で、強度τf が大きい σA zA A σB zB B 軸圧σ1 *深さ: zB>zA ↓ *拘束圧:σB>σA 側圧σ3 ↓ *強度:τfB>τfA (σ2=σ3) σ3 σ1 ・「三軸圧縮試験」:3方向から圧力を加える圧縮試験 周囲から側圧(拘束圧σ3)を負荷し、軸圧(σ1)で圧縮 (軸圧σ1,側圧σ3)の組合わせで応力状態を表示 地盤内応力とすべり≪ ≫地盤内応力のモール円表示 ≫TOP ●三軸圧縮試験2・・・ 応力状態のモール円表示 ・軸圧σ1と側圧σ3を主応力とするモール円で、極Pはσ3点 σ1 軸圧σ1 τ A(σ,τ) 極P 側圧σ3 α α σ 側圧σ3 σ3 σ1 軸圧σ1 σ3 A τ σ3 α σ1 A σ σ1 B σ τ B(σ,τ) ※AA面とBB面上の応力(σ,τ)は大きさが等しい τの作用方向(反時計,時計)が異なる 地盤内応力の再現≪ σ3 σ3 α σ1 B ≫モール円表示例1 ≫TOP ●三軸圧縮試験3・・・ 試験手順とモール円 ・試験は、①側圧(σ3)負荷、②ピストン圧(σ1-σ3)負荷の2段階 σ3 軸圧σ1 σ3 側圧σ3 τ σ3 σ1 σ1-σ3 ① σ3 A(σ,τ) σ3 + σ1 σ3 σ = τ α ② A σ1-σ3 A σ3 σ1 ピストン圧 拡大 極P (主応力差) ・側圧一定、ピストン圧増加 → 破壊 α 側圧σ3 モール円表示≪ モール円表示例1≪ 軸圧σ1 σ ≫一軸・三軸試験 ≫TOP ●三軸圧縮試験4・・・ 強度定数(c,φ)の決定 ・側圧σ3を幾つか変え、ピストン圧を加えて破壊 軸圧σ1 ・破壊時のモール円を描き、包絡線を引く → c,φ 主応力差:(σ1-σ3)f σ3 側圧σ3 τf=c+σtanφ τ 摩擦角φ 破壊モール円 σ1 モール円の拡大 粘着力c 側圧σ3 モール円表示≪ モール円表示例1≪ (σ1-σ3)f 軸圧σ1 σ 試験手順とモール円≪ ≫TOP ●三軸圧縮試験5・・・ 破壊の判定(安全性の評価) ・AA面(α面)に沿って破壊する(すべる)か、否か σ1 σ3 σ A σ3 τ α A ・モール円: τ m 1 3 1 3 max 2 τf=c+σtanφ 2 φ σ1 m max cos2 max sin 2 モール円表示≪ c モール円表示例1≪ 半径τmax 極P σ3 α τ f Fs τf 2α 中心σm σ1 σ σ 試験手順とモール円≪ ●三軸圧縮試験6・・・ 一軸・三軸圧縮試験のモール円表示 ・一軸圧縮試験 ・三軸圧縮試験 軸圧σ1 軸圧σ1 *σ2=σ3 =0 *σ2=σ3 =σ0 σ 側圧σ0 (無拘束) 0 σ1 τ 軸圧σ1増加 σ1 τ モール円拡大 極P σ3=0 ≫TOP (拘束圧) ピストン圧増加 モール円拡大 極P σ1 σ σ3=σ0 σ1 σ (試験中一定) モール円表示≪ モール円表示例1≪ 試験手順とモール円≪
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