拡大中東・北アフリカ構想 1.背景・問題意識 ① この地域の平和と安定は、世界の安定と繁栄に直結。本地域の産油国の2002年の原油埋蔵量は世界の約7 0%、生産量は約34%。天然ガス埋蔵量は約41%、生産量は約14%。わが国の同地域への依存度は、原油 の86%、天然ガスの21%(2002年)。 ② 同地域では、急激に増大する若年層の高失業率が社会不安の一因。 ③ 地域の中長期的な安定のためには、政治・経済・社会面での改革が必要。 2004年5月のアラブ首脳会議にお いて採択された「アラブの開発と近代化に関する宣言」(改革、民主主義、女性・青少年、経済改革、教育などに 言及)など、同地域自身から改革の動きあり。 2.2004年の動き ① 6月のシーアイランド・サミットにおいて、政治的、経済的および社会的分野における拡大中東・北アフリカ地域諸 国の自発的な改革努力をG8が支援するものとして「拡大中東・北アフリカ構想」に合意。また、同構想を具体化す る場として「未来のためのフォーラム」の設置につき合意。具体的な改革支援策は次のとおり。 A) 政治側面:自由で透明な選挙の実施、議会能力の向上、女性の政治・社会参加の促進、司法改革、表現の自 由の保護など。 B) 社会・文化側面:教育の質の向上、教科書へのアクセス機会の向上、デジタル知識の向上など。 C) 経済側面:職業訓練の実施、中小企業の育成、海外からの送金の円滑化、投資障壁除去、WTO加盟支援等。 ② 9月のNY準備会合を経て、12月にラバト(モロッコ)において「未来のためのフォーラム」第1回会合が開催。 3.日本の対応 ①シーアイランド・サミットにおいて、向こう3年間で教育・識字分野で10万人、職業分野で1万人が裨益する支援を 表明。また中小企業支援のため国際金融公社(IFC)に設置される基金に最大1,000万ドルの拠出を表明。 ②「未来のためのフォーラム」第1回会合において、新たな改革支援の取組として、2005年にヨルダンと共同で「職業 訓練に関するワークショップ」を開催することを表明。
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