樹脂成形部品の 残留応力評価技術の開発 2009年5月14日 ポリプラスチックス株式会社 R&D Division, Polyplastics Co., Ltd. Technical Solution Center 発表内容 1. 開発背景 2.開発内容 3.総括 R&D Division, Polyplastics Co., Ltd. Technical Solution Center 発表内容 1. 開発背景 2.開発内容 3.総括 R&D Division, Polyplastics Co., Ltd. Technical Solution Center 1. 開発背景 ~ 当社の取り組み ~ プラスチックの成形品において残留応力は、時間を経るごとに部品形状 の変形や応力集中部での破壊の原因となる。 簡便かつ定量性のある残留応力測定方法・評価技術が必要だが、 結晶性樹脂に関しては、適切な手法が知られていない。 金属分野で実績のあるHole-Drilling Methodを応用し、逐次算出法によっ て結晶性樹脂で初めて残留応力分布を評価する方法を開発した。 (弊社 DURACON® M90-44に関して) R&D Division, Polyplastics Co., Ltd. Technical Solution Center 発表内容 1. 開発背景 2.開発内容 2-1. 残留応力の概要 2-2. 新規開発技術 ( Hole-Drilling Method ) 2-3. 測定事例の紹介 3.総括 R&D Division, Polyplastics Co., Ltd. Technical Solution Center 2-1. 残留応力の概要 樹脂成形品に発生する応力 Case 1 残留応力 Case 2 加工(外部負荷)に起因 残留応力とは、外から力を加えなく ても内部に生じる応力 表層 内層 溶融した樹脂は固化収縮を起こす ため、内部が固化する場合、先に 固まった外部を引張る力が生ずる。 成形品を加工する際に、熱や外力 などを受けることで、内部の応力状 態が変化する。 R&D Division, Polyplastics Co., Ltd. Technical Solution Center 2-1. 残留応力の概要 残留応力が問題となるケース 破壊 ・・・ 応力によるダメージの蓄積 成形直後 膨潤 ・・・ 応力部への膨潤促進 残留応力が内在 変形 ・・・ 応力緩和に伴う後変形 R&D Division, Polyplastics Co., Ltd. Technical Solution Center 2-2. 新規開発技術 ( Hole-Drilling Method ) Hole-Drilling Method 原理 穴は変形しない 無応力下 応力存在下 穴が変形 測定目的箇所に専用ひずみゲージを貼付。 ひずみゲージを貼り付け中央部をドリルで穿孔し、穿孔前後でのひずみを測定。 R&D Division, Polyplastics Co., Ltd. Technical Solution Center 2-2. 新規開発技術 ( Hole-Drilling Method ) 試験機器 データ読取機 穿孔用 ドリル 試料 R&D Division, Polyplastics Co., Ltd. Technical Solution Center 2-2. 新規開発技術 ( Hole-Drilling Method ) 試験機器 データ読取機 穿孔部位 穿孔用 ドリル 穿孔用ドリル 試料 プラスチック成形品 (DURACON® M90-44) R&D Division, Polyplastics Co., Ltd. Technical Solution Center ひずみゲージ 2-2. 新規開発技術 ( Hole-Drilling Method ) 従来法と樹脂への適用課題 Hole-Drilling Methodは、金属材料における残留応力の測定技術として 実績を有する手法であり、ASTM E837において規格化されている。 金属材料では残留応力を均一と見なすが、樹脂成形品は固化収縮が大き く表層部に大きな残留応力を残す。(不均一な応力分布) 精密な測定と解析方法(逐次算出法)により、弊社DURACON® M90-44に 関して、表層近傍から内層への残留応力分布を評価する方法を開発した。 R&D Division, Polyplastics Co., Ltd. Technical Solution Center 2-2. 新規開発技術 ( Hole-Drilling Method ) 新規開発技術 ( 逐次算出法 ) 1. 一定厚みずつ試料を穿孔する。 2. 各穿孔層で測定されたひずみの値から残留応力を算出する。 3. 算出された残留応力をグラフ化して応力の分布を求める。 穿孔 成形品 表層 引張応力 残留応力 ひずみ ゲージ 穿孔深さ 圧縮応力 成形品 内層 R&D Division, Polyplastics Co., Ltd. Technical Solution Center 2-3. 測定事例の紹介 成形品形状の影響 製品設計への利用 成形条件の影響 最適な製造条件の決定に利用 後加工の影響 最適な二次加工手法・条件の決定に利用 R&D Division, Polyplastics Co., Ltd. Technical Solution Center 2-3. 測定事例の紹介 ~成形品形状の影響~ 「製品設計」への利用 残留応力 (N ・mm -3) 製品形状 と残留応力の関係 20 平板 中央部 0 0 .0 平板中央部 0 .2 0 .4 0 .6 0 .8 1 .0 -20 -40 箱型 コーナー部 -60 穿孔深さ (mm) 平板中央部 肉厚中心部 箱型コーナー部 箱 型 コー ナ ー 部 成形品の形状による残留応力の違いを評価することにより、残留応力の低 い製品形状を提案する。 R&D Division, Polyplastics Co., Ltd. Technical Solution Center 2-3. 測定事例の紹介 ~成形品形状の影響~ 「製品設計」への利用 残留応力 (N ・mm -3) 製品形状 と残留応力の関係 20 平板 中央部 0 0 .0 表層の残留応力の関係平板中央部 0 .2 0 .4 0 .6 0 .8 1 .0 形状 残 留 応 力 (N ・m m -3 ) -20 平板中央部 - 3 1 .6 (1 .0 ) 箱 形 コー ナ ー 部 - 4 3 .6 (1 .4 ) -40 箱型 コーナー部 -60 穿孔深さ (mm) 平板中央部 肉厚中心部 箱型コーナー部 箱 型 コー ナ ー 部 成形品の形状による残留応力の違いを評価することにより、残留応力の低 い製品形状を提案する。 R&D Division, Polyplastics Co., Ltd. Technical Solution Center 2-3. 測定事例の紹介 ~成形条件の影響~ 「最適な製造条件の決定」への利用 成形条件 ( 金型温度 ) と表層の残留応力の関係 金 型 温 度 (℃ ) 残 留 応 力 (N ・m m 50 - 5 7 (1 .3 ) 80 - 4 4 (1 .0 ) 120 - 3 0 (0 .7 ) -3 ) 残留応力が低減 成形条件による残留応力の影響が定量評価できることで、製造における最 適条件を提案する。 R&D Division, Polyplastics Co., Ltd. Technical Solution Center 2-3. 測定事例の紹介 ~後加工の影響~ 「最適な二次加工手法・条件」への利用 熱処理と表層の残留応力の関係 熱処理 残 留 応 力 (N ・m m 無し - 3 4 (1 .0 ) 有り - 2 1 (0 .6 ) -3 ) ⊿40 % 後加工による影響も評価できるため、最適な二次加工(熱処理、組立)の 手法・条件を提案する。 R&D Division, Polyplastics Co., Ltd. Technical Solution Center 発表内容 1. 開発背景 2.開発内容 3.総括 3-1.報告総括 3-2.今後のスケジュール R&D Division, Polyplastics Co., Ltd. Technical Solution Center 3-1. 報告総括 金属分野にて適用実績のあるHole-Drilling Methodの樹脂へ の応用を検討し、樹脂特有の不均一な残留応力の評価を逐次 算出法によって達成した。 今回開発した評価技術は、樹脂成形部品の形状設計、製造、 二次加工、故障解析など製品メーカーの幅広い分野において活 用できる。 Hole-Drilling MethodをCAE技術と融合することで、高精度の 予測技術を確立し、顧客支援へ展開していく。 R&D Division, Polyplastics Co., Ltd. Technical Solution Center 3-2.今後の発表スケジュール 高分子学会 第58回 年次大会 5月28日 神戸国際会議場・神戸国際展示場 プラスチック成形加工学会 第20回 年次大会 6月4日 タワーホール船堀 ポリプラスチックス 2009年度イノベーションショー 6月17、18日 テクニカルソリューションセンター (静岡県富士市) R&D Division, Polyplastics Co., Ltd. Technical Solution Center
© Copyright 2024 ExpyDoc