岐阜市城田寺における ケリ分布の季節変化

岐阜市城田寺における
ケリ分布の季節変化
水利環境学研究室
兼島香織
背景
圃場整備
水田地帯の環境は大きく変化
減反政策
<研究目的> 水田の減少、休耕田の増加
担い手不足
水田地帯におけるケリの分布状況を把握し、
水田を利用する生物の減少
ケリが分布を拡大している要因を検討した。
水田は水鳥の生息地として重要な湿地環境
ラムサール条約
ケリ
“生物多様性の場”として世界的に評価
水田は重要な生息場所
分布が拡大
調査対象種
ケリ【Vanellus cinereus】
 チドリ目チドリ科
 留鳥
 採食方式
“run-stop-peck”:つつき採食
視覚に頼った採食方式
 食性
昆虫類,カエル類,
イネ科・タデ科の植物種子など
ケリ【Vanellus cinereus】
調査地
 岐阜市城田寺
農耕地約91ha
N
上城地区
水田(57%)
休耕田(13%)
畑(一般畑)
ムギ畑
畑
岐阜市城田寺
(12%) ダイズ畑
コスモス園
果樹園(16%)
その他(2%)
(一般畑)
下城地区
300 m
土地利用状況
調査方法
調査終了
• 2008年3月~同年11月
(週1回、計38回)
• ルートセンサス
N
調査開始
<調査道具>
 双眼鏡 (8倍)
 データシート
(調査項目を記入)
 調査地地図
(個体の場所をプロット)
 カメラ
(記録写真撮影用)
300 m
往路
調査ルート
復路
調査項目
(1)発見場所の状況
土地利用区分
水田・畑(一般畑)・ムギ畑・ダイズ畑・
コスモス園・休耕田・果樹園
農作業の状況
耕起・水入れ・代掻き・中干し・収穫
個体の位置
内部・畝・畦畔
(2)発育ステージの判別
(3)行動
幼鳥 or 成鳥
抱卵・威嚇・採食・育雛など
調査結果
利用率
資源選択性の検討
4/8
4/16
4/23
4/28
3/5
5/6
3/10
3/18
5/12
3/25
5/19
3/31
5/26
4/8
4/16
6/2
4/23
6/9
4/28
6/16
5/6
6/23
5/12
5/19
6/30
5/26
7/6
6/2
7/14
6/9
6/16
7/21
6/23
7/28
6/30
8/4
7/6
7/14
8/11
7/21
8/22
7/28
8/25
8/4
9/1
8/11
8/22
9/8
8/25
9/22
9/1
9/29
9/8
9/22
10/9
9/29
10/14
10/9
10/21
10/14
10/21
10/28
10/28
11/4
11/4
11/11
11/11
11/18
11/18
11/24
11/24
利用率
70%
利 60%
用 50%
率
40%
30%
期
間
(
1
)
水田
100
水入れ
中干し
期
間
(
2
)
休耕田 普通畑
休耕田 水田普通畑
ムギ畑
期
間
(
3
)
ムギ畑
収穫
90
80
100%
100
90%
90
80%
8060
70
期
間
(
4
)
ダイズ畑 果樹園 個体数
ダイズ畑
果樹園 個体数
7050
個
60 体
40
50 数
(
羽
4030
)
3020
20%
20
10%
10
0%
0
10
0
4/8
4/16
4/23
4/28
3/5
5/6
3/10
3/18
5/12
3/25
5/19
3/31
5/26
4/8
4/16
6/2
4/23
6/9
4/28
6/16
5/6
6/23
5/12
5/19
6/30
5/26
7/6
6/2
7/14
6/9
6/16
7/21
6/23
7/28
6/30
8/4
7/6
7/14
8/11
7/21
8/22
7/28
8/25
8/4
9/1
8/11
8/22
9/8
8/25
9/22
9/1
9/29
9/8
9/22
10/9
9/29
10/14
10/9
10/21
10/14
10/21
10/28
10/28
11/4
11/4
11/11
11/11
11/18
11/18
11/24
11/24
100
期間(1)
水田
水入れ
中干し
休耕田 普通畑
休耕田 水田普通畑
ムギ畑
耕作地全体での分布
ムギ畑
収穫
利 60%
用 50%
率
40%
ダイズ畑 果樹園 個体数
ダイズ畑
果樹園 個体数
90
80
100%
100
90%
90
80%
8060
70%
7050
70
30%
個
60 体
40
50 数
(
羽
4030
)
3020
20%
20
10%
10
0%
0
10
0
4/8
4/16
4/23
4/28
3/5
5/6
3/10
3/18
5/12
3/25
5/19
3/31
5/26
4/8
4/16
6/2
4/23
6/9
4/28
6/16
5/6
6/23
5/12
5/19
6/30
5/26
7/6
6/2
7/14
6/9
6/16
7/21
6/23
7/28
6/30
8/4
7/6
7/14
8/11
7/21
8/22
7/28
8/25
8/4
9/1
8/11
8/22
9/8
8/25
9/22
9/1
9/29
9/8
9/22
10/9
9/29
10/14
10/9
10/21
10/14
10/21
10/28
10/28
11/4
11/4
11/11
11/11
11/18
11/18
11/24
11/24
100
期間(2)
水田
水入れ
中干し
休耕田 普通畑
休耕田 水田普通畑
ムギ畑
水田を中心とした分布
ムギ畑
収穫
利 60%
用 50%
率
40%
ダイズ畑 果樹園 個体数
ダイズ畑
果樹園 個体数
90
80
100%
100
90%
90
80%
8060
70%
7050
70
30%
個
60 体
40
50 数
(
羽
4030
)
3020
20%
20
10%
10
0%
0
10
0
4/8
4/16
4/23
4/28
3/5
5/6
3/10
3/18
5/12
3/25
5/19
3/31
5/26
4/8
4/16
6/2
4/23
6/9
4/28
6/16
5/6
6/23
5/12
5/19
6/30
5/26
7/6
6/2
7/14
6/9
6/16
7/21
6/23
7/28
6/30
8/4
7/6
7/14
8/11
7/21
8/22
7/28
8/25
8/4
9/1
8/11
8/22
9/8
8/25
9/22
9/1
9/29
9/8
9/22
10/9
9/29
10/14
10/9
10/21
10/14
10/21
10/28
10/28
11/4
11/4
11/11
11/11
11/18
11/18
11/24
11/24
100
期間(3)
水田
水入れ
中干し
休耕田 普通畑
休耕田 水田普通畑
ムギ畑
休耕田を中心とした分布
ムギ畑
収穫
利 60%
用 50%
率
40%
ダイズ畑 果樹園 個体数
ダイズ畑
果樹園 個体数
90
80
100%
100
90%
90
80%
8060
70%
7050
70
30%
個
60 体
40
50 数
(
羽
4030
)
3020
20%
20
10%
10
0%
0
10
0
4/8
4/16
4/23
4/28
3/5
5/6
3/10
3/18
5/12
3/25
5/19
3/31
5/26
4/8
4/16
6/2
4/23
6/9
4/28
6/16
5/6
6/23
5/12
5/19
6/30
5/26
7/6
6/2
7/14
6/9
6/16
7/21
6/23
7/28
6/30
8/4
7/6
7/14
8/11
7/21
8/22
7/28
8/25
8/4
9/1
8/11
8/22
9/8
8/25
9/22
9/1
9/29
9/8
9/22
10/9
9/29
10/14
10/9
10/21
10/14
10/21
10/28
10/28
11/4
11/4
11/11
11/11
11/18
11/18
11/24
11/24
100
期間(4)
水田
水入れ
中干し
休耕田 普通畑
休耕田 水田普通畑
ムギ畑
水田を中心とした分布
ムギ畑
収穫
利 60%
用 50%
率
40%
ダイズ畑 果樹園 個体数
ダイズ畑
果樹園 個体数
90
80
100%
100
90%
90
80%
8060
70%
7050
70
30%
個
60 体
40
50 数
(
羽
4030
)
3020
20%
20
10%
10
0%
0
10
0
調査結果
利用率
資源選択性の検討
資源選択性の検討
資源=土地利用区分
カイ2乗検定(X2検定)
観察値と期待値が一致しているかどうかを調べる。
期間によって、ケリの分布場所が変化しているか。
カイ2乗検定(X2検定)
帰無仮説
期間によってケリの分布場所は変化しない。
カイ2乗統計量 X2
(|130-128.4|-0.5)2
(|35-52.7|-0.5)2
+
X2=
52.7
128.4
(|2-1.7|-0.5)2
+ ・・・・ +
=474.00 >26.30
1.7
カイ2乗分布表
期間によってケリの分布場所は変化する。
X20.05(16)=26.30
資源選択性の検討
残差分析
調整化残差Z´
どの程度分布場所が変化したか。
(資源の分布傾向)
資源利用の変化の検討
残差分析
調整化残差Z´
22.0
20.0
18.0
16.0
14.0
12.0
10.0
8.0
6.0
4.0
2.0
0.0
-2.0
-4.0
-6.0
-8.0
-10.0
-12.0
-14.0
-16.0
-18.0
-20.0
-22.0
有意に選択(+)
水田
休耕田
普通畑
ムギ-ダイズ畑
果樹園
有意に選択(-)
ムギ
期間
(1)
期間
(2)
ダイズ
期間 期間
(3) (4)
残差分析
調整化残差Z´
22.0
20.0
18.0
16.0
14.0
12.0
10.0
8.0
6.0
4.0
2.0
0.0
-2.0
-4.0
-6.0
-8.0
-10.0
-12.0
-14.0
-16.0
-18.0
-20.0
-22.0
有意に選択(+)
水田
休耕田
普通畑
ムギ-ダイズ畑
果樹園
有意に選択(-)
ムギ
期間
(1)
期間
(2)
ダイズ
期間 期間
(3) (4)
残差分析
調整化残差Z´
22.0
18.0
14.0
10.0
6.0
2.0
-2.0
-6.0
-10.0
-14.0
-18.0
-22.0
期間(3)
(中干し~収穫前)
水田 イネ丈が高い
少ない
期
間
(
3
)
中干し
休耕田 視覚的に狭い環境
普通畑
土壌が乾燥
ムギ-ダイズ畑
水田
水田
果樹園
休耕田 採食に適さない環境
休耕田
耕起
普通畑 ゲンゲの枯死
多い
普通畑
ムギ-ダイズ畑 ダイズの作付け
ムギ-ダイズ畑
果樹園
果樹園 視覚的に広い環境
採食に適した環境
残差分析
調整化残差Z´
期間(4)
22.0
18.0
14.0
10.0
6.0
2.0
-2.0
-6.0
-10.0
-14.0
-18.0
-22.0
(収穫以降)
期
間
(
4
)
水田
収穫
多い
休耕田
視覚的に広い環境
普通畑
採食に適した環境
ムギ-ダイズ畑
水田
果樹園
休耕田
少ない
普通畑
ムギ-ダイズ畑
水田へと分布が移動
果樹園
採食に適さない環境
まとめ
(分布の傾向)
季節的な変化
ケリが分布を拡大している要因・・・
中干しの時期に採食場所となる休耕田の存在
水入れ前 耕作地全体
・中干しの時期に採食場所となる休耕田の存在
昆虫類、カエル類、イネ科・タデ科の植物種子など多
水入れ時期 水田が中心
・昆虫類、カエル類、イネ科・タデ科の植物種子など
岐に渡る食性
 中干し時期 多岐に渡る食性
休耕田が中心
 イネ収穫時期 水田が中心
休耕田の増加がケリの分布域を拡大している
休耕田の増加がケリの分布域を拡大している
要因のひとつ
要因のひとつ
ご清聴ありがとうございました。