KASTフォーラム3 「光触媒の最新動向’07 ~世界動向の理解から新しいR&D戦略へ」 光触媒分野における研究開発 ~特許・科学論文から見た産学公連携の興味ある動き~ 馬場 靖憲 七丈 直弘 東京大学先端科学技術研究センター 東京大学大学院情報学環 神奈川科学技術アカデミー 2007年2月1日 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 1 光触媒におけるR&Dの分析 1.データの紹介と分析への誘い 2.研究事例 企業の知識調達戦略~大学・公的研究機関と の連携について 産学連携が大学の研究活動に果たす効果 コア研究者が果たす知識生産性向上への効果 ~科学ベース産業領域での産学連携の影響 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 2 参考文献 七丈直弘・馬場靖憲、「産学連携が大学の科学研究に与える影響:アドバンスト・マテリアル 分野の実証研究」、後藤晃・馬場靖憲編、「産学連携の実証研究」東京大学出版会, (2007 年刊行予定) Naohiro Shichijo, Satoko Asai, Kazuhito Fukuchi, and Yasunori Baba, "The integrative study of co-inventor and co-author networks: an application of social network analysis into innovation", Proceedings of International Sunbelt Social Network Conference XXVI, Vancouver, BC, April 24-30, 2006, p.133. Yasunori Baba, Naohiro Shichijo and Yuichi Nagahara, "The Role of Core Researchers for Increasing Firms' R&D Productivity: the Evidence of University-Industry Collaboration in Science-based Industry", International J. A. Schumpeter Society 11th ISS Conference, Sophia-Antipolis, 22-24 June 2006 Naohiro Shichijo, Satoshi Shimizu, Kazuto Nakajima, Yasunori Baba,"Knowledge Procurement Strategy on Firms: Collaboration with Public R&D Institutes", Proceedings of IEEE International Conference on Serice Operations and Logistics, and Infomatics, pp.913-918, Shanghai, 21-23 June 2006 Y. Baba, M. Yarime, Y. Nagahara and N. Shichijo, "The Evolution Co-inventor Networks in Advanced Materials: Explaining the Technological Impact on Industrial Transformation", DRUID Tenth Anniversary Summer Conference, Copenhagen Business School, Denmark, 2005 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 3 光触媒のR&Dをいかにして観測するか? ~データの種類とアクセス方法・あなたにもできるR&D分析~ 特許データベース JPO(日本)、USPTO(米国)、EPO(欧州連合) などの公的機関が公開するデータベース 論文データベース Web of Science (トムソン・サイエンティフィク社) CiNii(国立情報学研究所) (多くのものが有料だが、無料で利用できるものも ある) 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 4 特許データベースの使用例 (http://www.ipdl.ncipi.go.jp/) 公報テキスト検索⇒特許明細の 記載事項での検索 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 5 500件以下でないと出力でき ません。検索対象とする期間 を限定し、500件以下になるよ う調整します。 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 6 発明人・出願者の情報: ① 氏名・組織名 ② 住所 発明者・組織の特定 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 7 【特許権者】 【発行国】日本国特許庁(JP) 【識別番号】000004307 【公報種別】特許公報(B2) 【氏名又は名称】日本曹達株式会社 【特許番号】特許第3868405号(P3868405) 【登録日】平成18年10月20日(2006.10.20) 【住所又は居所】東京都千代田区大手町2丁目2 番1号 【発行日】平成19年1月17日(2007.1.17) 【発明の名称】雨筋汚れ防止性に優れたテント用防汚【発明者】 【氏名】鈴木 博 性シート 【住所又は居所】埼玉県北葛飾郡松伏町ゆめみ 【国際特許分類】 野1丁目16-14 B32B 27/30 (2006.01) B32B 27/20 (2006.01) 【発明者】 【FI】 B32B 27/30 101 B32B 27/20 Z 【氏名】四十物 暢高 【請求項の数】6 【住所又は居所】埼玉県草加市神明2丁目7-17 【全頁数】17 【出願番号】特願2003-202482(P2003-202 【審査官】平井 裕彰 【参考文献】 482) 【文献】特開平10-217383(JP,A) 【出願日】平成15年7月28日(2003.7.28) 【文献】実開平01-074129(JP,U) 【分割の表示】特願平11-349280の分割 【文献】特開平09-207289(JP,A) 【原出願日】平成11年12月8日(1999.12.8) 【公開番号】特開2004-58673(P2004-5867 【文献】特開平07-171408(JP,A) 【文献】特開平07-186342(JP,A) 3A) 【文献】特開平09-216498(JP,A) 【公開日】平成16年2月26日(2004.2.26) 【審査請求日】平成15年7月28日(2003.7.28) 【文献】国際公開第97/000134(WO,A1) 【文献】特開平02-253883(JP,A) 【優先権主張番号】特願平11-316863 【文献】特開平10-264299(JP,A) 【優先日】平成11年11月8日(1999.11.8) 【文献】特開2001-199014(JP,A) 【優先権主張国】日本国(JP) 【調査した分野】(Int.Cl.,DB名) B32B1/00【特許権者】 43/00 【識別番号】000239862 【氏名又は名称】平岡織染株式会社 【住所又は居所】東京都荒川区荒川三丁目21番2- 1403 登録特許については引用文献が掲載され ている。 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 8 欧州特許庁のデータベース http://ep.espacenet.com/ 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 9 光触媒関連の特許として 11,225件が検索された。 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 10 国際出願を行っている場合に は、「パテントファミリー」(同一 特許であって複数国で出願さ れたもの)が出力される。 藤嶋・橋本・石原産業・東陶が韓 国で出願した特許 (分割等を含めて)34件の特許か ら構成される特許ファミリーを形成 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 11 特定の特許(JP7171408)を引用した特許を出力することができる。 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 12 論文データベースの利用例 (Thomson scientific Web of Science) 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 13 タイトル・抄録・キーワー ドに「光触媒」で検索 11,764本の論文が適合 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 14 藤嶋先生が書かれた 光触媒関連の論文 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 15 本多・藤嶋効果論文 Nature, Vol. 238 (1972) 2000件超の 引用を受けている。 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 16 書誌学的に見る本多・藤嶋効果:論文の波及効果 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 17 光触媒分野で出版された論文の数 光触媒分野で出版された全ての論 文が引用された回数 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 18 光触媒分野の特許について 平成15年度特許出願技術動向調査報告「光 触媒」などのように、特許動向を分析した報 告書は多数存在する。 研究を行う上では、組織(企業・大学・公的機 関を含む)が、能力形成を行う過程をミクロレ ベルで観察することが必要であり、特許庁が 公開するデータベース(公報データ)を基に、 詳細なデータベースを自ら作成した。 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 19 光触媒関連の日米欧特許の出願・登録件数 光触媒に関する日米欧特許の出願・登録件数 900 800 700 出願・登録件数 600 日本(出願) 米国(登録) 欧州(出願) 500 400 300 200 100 0 1980 2007/02/01 1985 1990 出願年 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 1995 出典:特許庁特許マップ 20 特許出願数と新規参入発明人 Patent Applications and New Inventors Number of New Inventors/Patent Applications 1200 1000 800 New Inventors 600 Patent Applications 400 200 0 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2007/02/01 (c) YasunoriYear Baba and Naohiro Shichijo 21 組織種別ごとの光触媒に関する出願傾向 組 織 種 別 ご と の 出 願 数 所属組織数 出願特許数 4500 大学 60 4000 総数:6171件 公的機関 44 (1993-2003公開) 3500 3000 2500 発明者の割合 2000 1500 1000 民間企業 712 500 0 大学 2007/02/01 公的機関 民間企業 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 不明 22 光触媒における共同出願によって形成さ れたネットワークの成長過程 1995 1997 1999 2001 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 23 超親水性発見後の光触媒R&Dブーム 250 200 Number of newcomers 新 規 参 入 組 織 の 数 Industry Uni ve rsi ty-Publ ic All 150 全体 100 企業 50 大学等 0 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 Year 【国際公開番号】WO96/29375 【発行日】平成9年(1997)8月26日 【発明の名称】基材の表面を光 触媒的に超親水性 にする方法、超親水性の光触媒性表面を備えた基材、および、その製造方法 【優先日】平7(1995)3月20日 ~平7(1995)12月22日 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 24 産学連携から企業間アライアンスへの変化 Number of Patent Application 200 企業間アライアンスの数 150 100 50 産学連携の数 0 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 Year 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 25 新規参入者はどのような連携相手を選んでいるか? ~連携相手の次数に見る戦略の変化~ (a)企業→企業 (b)企業→大学等 (c)大学等→企業 (d)大学等→大学等 9 相手方の次数の平均値 8 7 6 5 4 3 2 1 0 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 Year 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 26 光触媒分野の論文について 大学や公的機関のみならず企業研究者までもが、 光触媒の学術研究を行っている。 学術研究を行う上で、企業との連携が大学研究者 が果たす役割を分析する上では、企業と大学の連 携をできるだけ網羅的に知ることが必要。 系統的にデータを入手するため、論文共著関係、特 許共願関係から連携を確認する ISI(トムソンサイエンティフィク社)のデータベースS CI EXPANDEDを利用して分析を行う。 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 27 光触媒関連の科学論文の動向 (「経済産業省技術調査レポート」より) 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 28 6000 4000 2000 0 0 200 400 600 800 Impact ( Citation weighted number of papers ) 1000 8000 パフォーマンスの年次変化 1970 1975 1980 1985 1990 Year 1995 2000 2005 1970 1975 論文生産量 2007/02/01 1980 1990 1985 Year 1995 2000 2005 科学的インパクト (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 29 論文を出版した組織の構成 100% 80% 7 60% 49 103 151 365 678 1037 1473 76 119 200 114 177 308 40% 0 20% 3 0% 2 7 9 13 14 17 38 37 1970-1974 1975-1979 1980-1984 1985-1989 1990-1994 1995-1999 2000-2003 Firm 2007/02/01 Govt 全期 Univ (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 30 400 U-U Collaboration Papers 学学連携論文 0 200 N. of Papers 600 連携パターンごとの論文出版総数の推 移 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 1985 1990 1995 2000 2005 1985 1990 1995 2000 2005 20 30 U-I Collaboration Papers 産学連携論文 0 10 N. of Papers 40 1970 5 1975 1980 I-I Collaboration Papers 産産連携論文 0 N. of Papers 10 1970 1970 2007/02/01 1975 1980 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 31 順位 組織名(論文数) 組織名(被引用数) 1 OSAKA UNIV (240) 1 UNIV TEXAS (6790) 2 CHINESE ACAD SCI (202) 2 UNIV TURIN (3885) 3 UNIV TOKYO (191) 3 UNIV TOKYO (3228) 4 UNIV OSAKA PREFECTURE (177) 4 CALTECH (3159) 5 UNIV TURIN (146) 5 OSAKA UNIV (3101) 6 UNIV TEXAS (133) 6 CONCORDIA UNIV (3035) 7 TOKYO INST TECHNOL (131) 7 UNIV OSAKA PREFECTURE (2812) 8 CONCORDIA UNIV (113) 8 TOKYO INST TECHNOL (2417) 9 KYOTO UNIV (103) 9 UNIV NOTRE DAME (2310) 10 ECOLE CENT LYON (98) 10 ECOLE CENT LYON (1917) 順位 国名 論文数 順位 国名 被引用件数 1 JAPAN 1873 1 USA 29327 2 USA 1269 2 JAPAN 22394 3 PEOPLES R CHINA 735 3 GERMANY 6579 4 GERMANY 407 4 ITALY 6422 5 FRANCE 379 5 FRANCE 5276 6 ITALY 374 6 CANADA 4527 7 SPAIN 302 7 SPAIN 3203 8 INDIA 294 8 UNITED KINGDOM 3197 9 SOUTH KOREA 248 9 PEOPLES R CHINA 2511 222 10 AUSTRALIA 1699 10 CANADA 2007/02/01 順位 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 32 企業の知識調達戦略: 大学・公的研究機関との連携について (研究事例①) 光触媒分野で盛んに行われている産学連 携とその成功の間に地理的属性が影響を 及ぼしているだろうか? 地域クラスター政策・地域振興策が企業の知 財形成に対し、具体的な成果を上げている か? 成功する連携と地理的属性(とりわけ距離)の 間に関係があるか? 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 33 研究手法 –特許共願相手との距離をいかにして計測するか?- “Address” → “longitude” →“latitude” “Address Matching” provided by Center for Spatial Information science, the university of Tokyo Distance “longitude” “latitude” → “Distance” 34 ‹#› 21.06.2006 Knowledge Procurement Strategy of Firms: Collaboration with Public R&D Institutes 2006 IEEE International Conference on Service Operations and Logistics, and 解析結果 被説明変数を特許共願から測定した知識形成の量とした場 合の、各変数が与える影響。 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 35 推計結果 大学研究者の場合、2組織が同一県に属すること は特に効果を持たない。 研究者の経験が多い場合、同一県での連携である かは効果を及ぼさない。 公的研究機関に対しては、連携組織間の距離が知 識生成を阻害する要因になっている。 大学研究者に対しては、距離は連携の阻害要因に はなっていない。 大学研究者の場合、コア研究者は共同での知識創 出にプラスの影響を及ぼすが、公的機関研究者の 場合、プラスの効果は無い。 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 36 産学連携が大学の研究活動に果たす効果 (研究事例②) 産学連携が大学の研究能力に及ぼす影 響は必ずしも良いとは限らない。 光触媒の分野でも、企業との連携を進める 大学とそうでない大学がある、連携が大学 の基本パフォーマンス(基礎研究)に与え る影響はいかなるものか? 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 37 産学連携の双方向性 産学連携による大学から企業への貢献とは研究者 間にアイディアが流れ、大学から企業へイノベーショ ンの機会が提供されることでなく、関係者が共に学 習することによってイノベーションによって利益を得 る能力を形成することとして理解する(Breschi and Lissoni 2001)。 産学連携による能力形成を分析する場合、連携に よって大学が企業に及ぼす効果に加え、企業が大 学に及ぼす効果を分析する必要がある。 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 38 産学連携が大学の研究パフォー マンスに果たす効果を日米で比 較。 日本においては有意な効果があ る。 米国においては産学連携は効果 がない。 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 39 論文共著による産学連携(7.1, 7.3)と、特許共願による産学連携 (7.2, 7.3)が果たす効果を比較 特許共願よりも論文共著の方が 研究パフォーマンスに高い影響 を及ぼしている。 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 40 企業との特許共願の有無による、 論文共著関係の効果を測定 企業との特許共願がある組織の 方が、論文共著による産学連携 の成果をより多く享受している 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 41 大学・公的研究機関と企業との 関係の親密度(Intimacy)は研究 生産性に効果があるか? 親密度が高くなるほど、研究生 産性が向上している 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 42 コア研究者が果たす知識生産性向上への効果 科学ベース産業領域での産学連携の影響 (研究事例③) 異なる組織間で連携を行うことにより、知 識生産は活性化され、知識生産性が向上 する。 組織が行うR&Dの効果は、連携の質に よって大きく異なることが考えられる。 連携によりより多くの効果を享受するため の条件は何であろうか? 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 43 バイオテクノロジー産業の特徴: サイエンス型産業のイノベーションにおける線形モデル バイオ分野における科学の商用化 大学研究者から企業研究者への知識移転 企業が受けた知識量を示す指標 企業研究者との共著による学術論文の数 (スターサイエンティストの発見) (Zucker and Darby 1996, 1997, 2001; Darby and Zucker 1999) 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 44 先端材料分野の特性: 科学と技術の共進化、ユーザニーズの重要性 先端材料分野における科学の商用化 双方向インタラクションモデル (Meyer-Krahmer 1996, Meyer-Krahmer and Schmock 1998) 企業が獲得した知識の量 双方向の知識流量の把握が必要 暗黙知(科学的知識)の大学から企業への流れ 暗黙知(ノウハウ的知識)の企業から大学への流れ 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 45 仮説 先端材料領域で企業が獲得した知識 企業におけるコア研究者の形成 企業内におけるコア研究者の誕生 企業の知識生産性(R&D)への有意な効果 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 46 コア研究者の定義 (1) 大学研究者との学術共同研究による論文共 著 人的交流等による (Zucker and Darby 2001; Hicks et.al. 1995) 社会的に深い関 係の構築 大学 2007/02/01 科学的暗黙知 企業 ノウハウ的暗黙知 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 47 コア研究者の定義(2) 共同でのR&Dの成果としての特許共願 多様な企業との共同研究経 験から問題解決能力が形 成される 大学 2007/02/01 (Pavitt 1998; Salter et.al. 2000) ノウハウの提供 (コンサルティング等による) (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 企業 48 コア研究者の定義(3) 多量の特許を出願(10件以上) 外的知識の行使を可 能とする能力の形成 Cohen and Levinthal 1998 強力なプロジェクトリーダーの 誕生 Clark and Fujimoto 1991 2007/02/01 企業 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 49 コア研究者の定義 (i) (ii) (iii) 大学研究者と共著で学術論文を出版した 経験があること。 大学研究者と共同で特許を出願した経験 があること。 企業において10本以上の特許を申請した 経験があること。 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 50 日本での「特許」が持つ意味について 特許出願の有無 共同でのR&Dの指標, 知識生産の成果でない 特許が成立したか? 知識生産の成果を示す 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 51 ポアソン回帰モデルによる企業のR&D生産性 への影響の推計 CollabEff CollabQual CollabExp Star Core CollabCent Intercept Observations LR chi2(3) Pseudo R2 Log likelihood Model 1 Model 2 Model 3 Model 4 Model 5 Model 6 0.057(0.004)*** 0.056(0.004)*** 0.046(0.005)*** 0.045(0.005)*** 0.057(0.004)***0.048(0.005)*** 0.001(0.001) NS 0.006(0.002)** 0.000(0.001) NS 0.165(0.020)*** 0.188(0.021)*** 0.148(0.020)*** -0.696(0.190)*** 0.723(0.169)*** 0.005(0.002)** -0.001(0.001) NS-0.002(0.001) NS 0.174(0.022)*** 0.173(0.020)***0.158(0.020)*** -0.715(0.189)*** 0.739(0.167)*** 0.627(0.169)*** 7.806(1.484)***7.520(1.487)*** -0.529(0.127)*** -0.612(0.133)*** -0.446(0.128)***-0.538(0.134)***-2.536(0.418)***-2.390(0.420)*** 192 192 192 192 192 192 566.5 581.57 582.84 598.99 607.64 620.18 0.3429 0.352 0.3528 0.3626 0.3678 0.3754 -542.74743 -535.21506 -534.58175 -526.50719 -522.17855 -515.91162 The effect ofsignificant Core-researcher and of Collaborator is The effect patenting activity ofsignificantly is positive and The effect ofofofstar is negatively and that ofCentrality “core” is significant. positively significant. The effect of star scientist is negative The effect “core” researchers iscollaborator significantly positive. simultaneously positively significant. 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 52 スター研究者の有無、コア研究者の有無による 企業での知識生産性要因の推計結果 Model 7 (7a) star = 0 (2) CollabEff Model 8 (7b) star = 1 0.117(0.018)*** 0.044(0.005)*** (8a) core = 0 (8b) core = 1 0.131(0.014)*** 0.0431(0.007)*** (3) CollabQual 0.003(0.004)NS 0.005(0.002)** -0.001(0.002) NS 0.026(0.010)** (4) CollabExp 0.171(0.026)*** 0.165(0.038)*** 0.193(0.022)*** 0.071(0.069) NS (5) Star -0.380(0.196) NS -2.089(0.994)* (6) Core Intercept 0.867(0.244)*** 0.698(0.223)** -0.702(0.182)*** -1.195(0.341)*** -0.794(0.144)*** 0.087(0.636) NS 182 10 164.48 182.04 Observations LR chi2(3) 133 101.58 59 459.14 Pseudo R2 Log likelihood 0.1158 0.6352 0.149 0.7677 -387.814 -131.866 -469.763 -27.54 •For both “star” and “non-star” collaborations, existence of core-researcher effects R&D Productivity. •The effect of star scientist is not significant (in non-core case) or negative (in core case) in this field. 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 53 結論 コア研究者の誕生によって、企業のR&D生産性(登録特許 数によって計測)は向上する。 企業がスター研究者と連携すること自体は、先端材料領域 においては負の効果が認められる。 コア研究者が果たす効果は以下の通り: 大学との間で、相互に暗黙知(科学的知識とノウハウ的 知識)をやり取りする上での媒介者・導管としての役割 強力なプロジェクトマネージャーとしての役割 R&Dコミュニティの中心近くに位置する大学研究者と連携し ようとする企業はR&D生産性の向上が期待できる。 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 54 連携の影響 企業 論文執筆 主要活動 での連携 連携の影響 副次的活動 での連携 特許出願 連携の深度 特許出願 大学 連携の深度 論文執筆 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 55 大学 能力形成 企業 知識創出 能力移転 能力形成 市場形成 研究成果 収益 公的機関 成果評価 連携支援 2007/02/01 (c) Yasunori Baba and Naohiro Shichijo 56
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