会社の機関構成に関する改正

会社の機関構成に関する改正
・社外取締役の役割
・3つの経営システム
・重要財産等委員会
・委員会等設置会社
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社外取締役の重要性
 期待されるチェック機能
取締役会が仲間主義に陥ることを阻止する
 人材確保のための責任軽減
社外取締役に関する責任限定契約(H13改正):監
査役の同意を得て定款変更
 社外取締役の要件(188条2項7号ノ2)
社外監査役の要件との比較
 社外取締役の義務付け
重要財産委員会設置会社・委員会等設置会社につ
いてのみ義務付け
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3つの経営システム
(商法特例法上の大会社)
 委員会等設置会社(監査役会廃止)
大会社・みなし大会社→企業統治の強化
 重要財産委員会設置型(監査役会は存置)
大会社・みなし大会社で取締役が10人以上、
かつ社外取締役が1人以上いる会社→経営
上の意思決定の迅速性重視
 監査役設置型(従来型)
大会社・みなし大会社、中会社、小会社
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重要財産委員会(1)
 従来の商法上は、重要な財産の処分や譲受、多額の
借財等の重要事項は取締役会の決議が必要とされ、
代表取締役や他の機関に委譲できなかった。
 取締役の人数が多い会社では機動的な経営判断が
できない。そのため、実質的な経営判断は常務会や
経営委員会といった上級取締役らで決定し、形式的
に取締役会を開いて決議を行うという実務が行われ
ていた。
 常務会に法的位置付けを与え、社外取締役を要件と
することで、チェック機能を確保しようとした。
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重要財産委員会(2)
 重要財産委員会の構成:特例法1条の3~
・取締役会で指名された3名以上の取締役
 取締役会に対して報告義務を負う
 運営方法:取締役会の運営に準じる
 定足数:過半数、決議:出席取締役の過半数
 監査役には取締役会に対するのと同様の出
席義務、意見陳述義務などの監督権が与えら
れる
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委員会等設置会社(1):
執行役と各委員会
 組織:執行役、代表執行役、取締役会(指名
委員会・監査委員会・報酬委員会)
→監査役は置くことができない:監査委員会へ
 執行役・代表執行役は取締役会が選任する
→取締役は執行役を兼任することができる
 取締役会はそれぞれ3名以上の取締役で構
成され、過半数は社外取締役からなる3つの
委員会を通じて執行役らを監督する
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委員会等設置会社(2):
取締役の責任
 過失責任の原則が明確化(特例法21条の17等)
→違法配当、利益相反取引などの場合に無過失
責任を負うことはなくなった(従来から無過失責任
と解釈することに対する批判も強かった)
 取締役・執行役の責任免除は総株主の同意が必
要(責任限度額の規定は準用される)
 任期:就任後1年以内の最終の決算期に関する定
時株主総会の終結の時まで→最大約1年間
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委員会等設置会社(3):
執行役・代表執行役
 選任・解任は取締役会決議で
 任期・1年
 代表訴訟の対象にもなり、取締役についての規定の
多くが準用される
 任務懈怠が取締役会決議に基づいて行われた場合
に決議に賛成した取締役がその行為をしたものとみ
なす規定などは準用されない
→執行役はそれぞれ分担した業務に専念
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委員会等設置会社(4):
監査委員会
 組織構成:当該会社およびその子会社の執行役、
支配人その他の従業員、その子会社の業務執行取
締役以外の取締役
 権限:①取締役・執行役の職務の執行の監査、②株
主総会に提出する会計監査人の選任・解任、会計
監査人を再任しない議案等の内容の決定(特例法2
1条の8Ⅱ)、③計算書類の監査
 違法行為の取締役会への報告義務・差止請求権
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委員会等設置会社(5):
指名委員会
 権限:株主総会に提出する取締役の選任・解
任に関する議案の内容の決定(特例法21条
の8Ⅰ)
 代表執行役は指名委員会の社内取締役が兼
任することもできる→兼任を禁ずる規定があ
る監査委員会とは異なる
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委員会等設置会社(6):
報酬委員会
 権限:取締役および執行役が受ける個人別の
報酬の内容の決定(特例法21条の8Ⅲ)
→商法269条の適用はない
 確定金額の場合:個人別の金額
 不確定金額の場合:個人別の具体的算定方
法
 金銭以外の報酬(社宅等):個人別の具体的
内容
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