会社を不当な残業代請求から 守る残業代対策 平成23年4月21日 弁護士法人よつば総合法律事務所 代表社員弁護士 大澤一郎 よくあるトラブルを招きやすい事例(1) 「うちの会社は年俸制なんだよね。月額50万の年俸600万。毎月50万を支払ってるん だよ。だから残業代の問題はそもそも発生しないんだよ。計算しやすくて便利だろ。」 →従業員が争ってきたら年俸制でも支払義務が発生してしまいます。計算が簡単な分手 間が省けてより大事な仕事に取り組めるということは大切なことです。他方,請求された 場合のリスクもありますので,きちんとした仕組みを作りましょう。 (解説) ・年俸制であったとしても1日8時間以上働いた時間や土日祝日夜間の勤務は残業代が 発生します。 ・残業代発生を防ぐには,例えば年俸600万円のうち450万円は基本給。150万円分 は残業代として労働契約書や毎月の給与明細にきちんと記載することが必要です。 2 よくあるトラブルを招きやすい事例(2) 「うちの会社は部長以上は管理職だから残業代は支払っていないんだよ。管理職以上 は残業代を支払わなくてよいってインターネットに書いてあったし,管理職に残業代を支 払うなんておかしいよね。残業代なんて一般社員だけの問題だろ。」 →管理職は一般社員と比べて手当が多かったり,より給与が高いと思われます。給与額 の高さをうまく使うべきです。具体的には基本給部分と残業代部分を分ける方法がお勧 めです。 (解説) ・管理監督者(労働基準法第41条)に部長が該当すれば残業代の支払は不要です。 ・管理監督者とは「労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意であり、名称 にとらわれず、実態に即し判断される」 ※ 使用者側で勝手に管理監督者の範囲を定めることはできず、あくまでも労働基準法 に従って該当するか否かは判断される。 (判断要素) ① 重要な権限 ② 出退勤の自由があること ③ 地位にふさわしい待遇 3 よくあるトラブルを招きやすい事例(3) 「うちの会社は営業マンには残業手当は支払っていないよ。基本給20万円のみ。ただし、 営業マンには別途営業手当という手当を月5万円支払っているんだ。今までこれで問題 になったことはないよ。」 →考え方の方向性は正しいと思います。営業手当という名称を改め「みなし残業代」「残 業代相当額」等の名称に変更すべきです。 (解説) ・直行・直帰が多く,タイムカードで全て管理しきれない営業マンであったとしても1日8時 間以上の労働をしていれば残業代が発生します。(実際に管理がしにくく難しい問題で す。)日報を書かせて勤務時間を把握する等の努力,残業届を出させて時間を把握する 努力,タイムカードをできるだけ押させる等の努力が必要です。 4 よくあるトラブルを招きやすい事例(4) 「うちは家族的経営で社員とは信頼感が有るから大丈夫だよ。残業代を請求してくる社 員なんているはずないよ。ここ30年間で残業代のトラブルなんて一回もないしね。面倒く さい計算なんて不要だよ。」 →従業員を信頼することは大切です。しかし,法律にしたがった仕組みをきちんと作って 解決することも大切です。 5 労務問題の現状について訴訟・労働審判の現場から ・弁護士の実感として労務問題が増加しているという印象 ・従業員の知識の向上に比べて会社の対策が不十分という偏った現状(インターネット の普及により従業員の知識レベル向上) ・労働審判が平成18年4月1日から開始されたことにより事件が増加 ・労働審判は訴訟と比べて裁判所での短期間の解決が可能 ・労働組合等の団体運動は減少傾向,個別労働事件が増加傾向 ・弁護士増員の影響? 6 敵を知れば残業代請求は怖くない! (1) 参考 残業代請求の専門サイト 7 敵を知れば残業代請求は怖くない! (2) 参考 YAHOO検索結果 8 敵を知れば残業代請求は怖くない! (3) 1 残業代請求の分析 残業をしているのはどんなパターンか? ①会社の命令による場合 → 支払わないわけにはいかない ②自発的労働による場合 (ex 職人気質でエクセルの表のセルの幅を1時間残業して直している) → 放置した場合には黙示の業務命令を認定されるリスク大 どこまでを業務としてやってもらうかを判断し,それに従ってもらう ③特にやることもないのにだらだらしている場合 → 断固阻止する必要がある ・原則は1日8時間を超える分については1.25倍の賃金支払必要。休日は1.35倍の 賃金支払必要。夜間は1.25倍の賃金支払必要。 8時間超え時間外+深夜は1.5倍,休日+深夜は1.6倍。 8時間超え時間外+休日は1.35倍 9 敵を知れば残業代請求は怖くない! (4) 1 残業代請求の分析 (1)請求されるタイミングは? 様々な不利益をおそれ,在職中に請求をしてくるパターンはほとんどない。(在職中に 請求する従業員はその後,労働関係法規に基づいた様々な請求をしてくる可能性があ るので要注意!労働組合に加入したり,労働組合の支部を結成する可能性もあり。) 実際は,退職後に請求してくるパターンが圧倒的に多い。特に多いパターンとしては最 後の給与や退職金が支給されてから,時効中断のために内容証明が届くパターン。2年 で時効。 (2)請求するのはどんな人か? ①在職中から請求を検討している請求者 今のところ請求する人は,このパターンが多い。 何らかのきっかけで会社に対して恨みをもったりすることで請求を起こす決意をされる パターンが多い。 だらだら残業や水増し請求に注意が必要。 中には時効期間である1年半から2年程度の間に退職・請求を繰り返す人もいる。 ②退職後唆される請求者 ハローワークで隣にいた人(事件屋?)から長時間労働をなくすために請求しなければ いけない!と言われて請求してきた実例 近い将来「退職金少なかったし,年金も少ないし,老後は心配だよね?在職期間中の 残業代は支払ってもらえることがあります。」などというテレビCMが現れるかもしれない。 10 敵を知れば残業代請求は怖くない! (5) 2 残業代請求のパターン (1)請求されてしまう場合のパターン 解決(和解) ※4 退職 ※1 ※2 ※3 ※4 給与・ 退職金 支給 内容証 明到達 ※1 交渉 ※2 あっせ ん等 訴訟・ 労働 審判 ※3 判 決 内容証明を受け取ったときのポイント 交渉におけるポイント 裁判所からの呼出状を受け取ったときのポイント 和解合意書作成のポイント 11 敵を知れば残業代請求は怖くない! (6) 2 残業代請求のパターン ※1 内容証明を受け取ったときのポイント(資料1) ①支払期限についてはあまり気にする必要はない ②確認すべきポイントは, ・請求額に間違いがないかどうか(付加金・遅延損害金の請求の有無,消滅時効の 対象部分の請求の有無)→過大請求が極めて多い。 ・書面の作成名義(本人名義か代理人名義か)→本人名の場合,その後無視してい れば何も請求してこないこともある。 ・具体的な労働時間の資料等の送付の有無(資料がなければとりあえず請求してい るだけかもしれない。)→資料なしの場合過大請求のことが多い。 ※2 交渉におけるポイント ①支払金額の減額,被害拡大の防止という二つの利益のバランスをどう考えるか 会社としては,解決金として支払うことで,未払い残業代の存在を認めないで済むこと, 守秘義務を負わせることが和解での最低ラインとなってくる ②実際に訴訟になってしまった場合の,請求額の立証の見込み(労働時間と賃金)と 会社からの反論が認められる見込みをふまえて解決のポイントを探る ③労働組合からの通知(資料2)の場合,労働組合の求める日時・場所で団体交渉を 行う必要はない。外部の会議室(小さめの部屋)を借りるのがよい。1回目の交渉は相手 12 の要求を聞くにとどめる。労働組合作成の「議事録」「覚書」にはその場でサインしない。 敵を知れば残業代請求は怖くない! (7) 2 残業代請求のパターン ※3 裁判所からの呼出状を受け取ったときのポイント(資料3) ・焦る必要はないができるだけ早く弁護士にアポイントをとって依頼する ・特に労働審判の場合には期日までに十分な準備が必要であるし,弁護士が期日に出 席できるかも重要(会社に届いて直後(1週間前後)であれば期日変更もあり得るが,時 間が経ってからでは変更は認めてもらえない)なので急ぐことが必要。 ・通常の訴訟の場合には,指定された第1回の期日は出頭する必要なし ※4 和解書作成のポイント(資料4,資料5) ① 解決の範囲を全面的なものにするのか,個別的なものにするのか,を意識する。 ② 解決金とすることで未払い残業代の存在は認めていない形にする ③ 守秘義務を負わせること(見返りとして会社としても今後不利益な情報は出さない ことを確約することがバランス上有用) ④ 労働基準監督署への申告等も行わないことも明示しておくことが望ましい 13 敵を知れば残業代請求は怖くない! (8) 2 残業代請求のパターン (3)裁判の傾向 ●判決では会社側の言い分はなかなか認められにくい。 ・どのような弁護士に依頼すればよいか? ●裁判所からの和解案は,事件の内容にもよるが,ある程度の証明がお互いにある事 案では,現状では概ね平均7割程度で提案されることが多い ・ただし,今後は和解水準も高額化していく可能性あり ・裁判所がタイムカードに基づいた形式的な運用をする可能性あり 14 残業代請求対策の視点 1 対策を考える上での基本的ポイント ① 100%確実な対応策は,全額払うか勤務時間外に働かせるのを辞めるかしかない →労働時間短縮等,そもそもの残業代削減に向けた取り組みも絶対に必要 その上で,次のような視点から対策を考える。 ●和解での減額を目指せる事情(合理的な反論)をできる限り増やす ●そもそも請求されるリスクを減らす ② 対策によってかえって傷口を広げないように 少なくとも現状では退職後に請求してくる元従業員は,就業期間中の会社からの対応 について,何かしらか納得できない気持ち(恨みのような気持ち)を持って請求してきてい るパターンが多い。 →対策をとったことによってかえって恨みをかってしまったら元も子もない 15 残業代請求対策の視点 2 残業代請求への防衛策 (1)防衛策についての考え方 基本的には法律上は支払義務がある以上,払わなければならない。 そのため,ここまで述べてきたように労働時間の短縮を目指し,かつ法律上認められて いる対策は全て行うことが絶対に必要である。 ただ,そうはいっても,対応にも時間がかかるし,すべてを対策だけで解決するのも困 難なのが現実。 そこで,応急処置として(次善の策として)5つの防衛策を利用していくことを検討すると いう視点が重要。 (2)5つの具体的防衛策 ① 天秤戦術 ② 蛍の光戦術 ③ 手続戦術 ④ 軟着陸戦術 ⑤ 一挙解決戦術 16 具体的防衛策 :(1) 天秤戦術 現状の分析 総人件費(予算)=基本給+手当+残業代+賞与 総 人 件 費 残業代 基本給 賞与 手 当 17 具体的防衛策 :(1) 天秤戦術 残業代請求されてしまうと 総人件費(予算)<基本給+手当+残業代+賞与 総 人 件 費 残業代が大きくなっても 天秤を水平にする方法はないか? 残業代 基本給 賞与 手 当 18 具体的防衛策 :(1) 天秤戦術 天秤を水平にする方法 ① 総人件費を増やす →それができないからこそ困っている ② 基本給を下げる → 労働条件の不利益変更の問題 ③ 手当を下げる → 労働条件の不利益変更の問題 ④ 残業代を下げる → 労働時間の短縮によることは大事な対策だが,単に払わないと言うだけなら対策 になっていない ⑤ 賞与を下げる → 賃金規定や労使慣行から,具体的な金額の請求権となっていない限りは,支給額 が減ってなければ違法な労働条件の不利益変更とならない ※権利になっているかはまずは規則の定めによる 1)毎年6月と12月に,基本給額の2ヶ月分の賞与を支給する→権利 2)毎年6月と12月に賞与を支給する→権利とは言えない 3)毎年6月と12月に,業績及び本人の勤務状況等を勘案し,賞与を支給することがあ る→権利とは言えない 19 具体的防衛策 :(1) 天秤戦術 残業代を払った分賞与を減らすと, 総人件費(予算)=基本給+手当+残業代+賞与 総 人 件 費 残業代 基本給 賞与 手 当 20 具体的防衛策 :(1) 天秤戦術 天秤戦術とは・・・ 時間外手当を支払った分,賞与を減額することで,総人件費の増加を伴 わずに,未払い残業の問題を解決する防衛策 《具体例》 基本給20万×12ヶ月 賞与80万円(夏冬各2ヶ月) 未払い残業代年間0円 基本給 20万円×12ヶ月 賞与40万円(夏冬1ヶ月) 未払い残業代 40万円 〈ポイント〉 ① 賞与が権利として認められていないことが実施の前提条件となる。 ※賞与が権利となっている場合に就業規則を変更した上で導入できるかの問題あり。 ② 就業規則(賃金規定)等の変更が不要で運用だけで実現できるため,導入が容易 で,かつ労働条件の不利益変更の問題を回避できる ③ 賞与減額に伴いモチベーションの低下を懸念されることが多いが,短時間労働が 実現すれば賞与も支給されることを告げて,労使の協力関係を築くことにもつながりや すい 21 具体的防衛策 :(2) 蛍の光戦術 蛍の光戦術とは・・・(資料6,資料7,資料8) 従業員に対し,残業を明示的に禁止し,現実に残業が必要な対策も具体的に講じる ことによって,残業代の請求を免れる防衛策 〈趣旨〉 現実に残業代請求されてしまった場合に,「残業など命じていないのに勝手に残って いるだけだ!」という反論がされることはかなり多い。 ただ,この場合でも,黙示的に指示したと認定されてしまうケースがほとんどで,現実 に反論が認められるのは非常に厳しい。 しかし,実際に「特に仕事もないのに早く帰ってくれなくて困る」という状況にある場合 には,黙示の指示も出していないことを積極的に立証できないと,請求が認められてし まう危険性があるので,それを防ぐことが主目的となる。 22 具体的防衛策 :(3) 手続き戦術 手続き戦術とは・・・(資料9,資料10,資料11,資料12) 残業代について,定額を支払い,未払い分があったとしても少額とすることで,残業代 を請求されるリスクを軽減する防衛策 EX 今までは基本給30万円,残業代の支給なし →規定を変更して,基本給25万円,残業代を5万円に変更 〈注意点〉 適法かつ適切な形で導入することは必須! 〈ケース〉 所定労働時間は1日8時間×20日で160時間 月30時間の時間外労働(深夜・休日なし)を行った。 ①月30万円を支給(基本給25万円,時間外手当相当分5万円のつもりだけど区別なし) ⇒ 請求 7万0312円 ∵基礎賃金1875円(30万円÷160時間)×30時間×1.25 ②25万円を支給(基本給のみ)+5万円を毎月の定額の残業代として支給 ⇒ 請求 5万8593円 ∵基礎賃金1562.5円(25万円÷160時間)×30時間×1.25 23 具体的防衛策 :(3) 手続き戦術 定額残業代の支給として認められるためには。 基本給部分と時間外手当相当部分が明確に区別され,判別できることが必要 〈定額残業代に関する裁判所の考え方〉 (出発点)支払総額が本来の計算より少なくなってはいけない ⇒ 基本給部分と時間外手当の部分が明確に区別されて初めて定額残業代として認め られる。不足分については別途支払わなければならない金額がいくらなのかが明確にわ かることが必要である。 時間外手当 = 基準賃金 × 労働時間 × 割増率 時間外 手当 基本給 (基本給+除外されない諸手当) ÷所定労働時間 総額 総額方式 区別方式 総額方式だとそもそも基本給が いくらなのかはっきりしない! 24 具体的防衛策 :(3) 手続き戦術 ● 導入に当たってのポイント (1)固定の残業代を支払えば,何時間働かせてもかまわない(支払義務がない)という 制度ではない。 ⇒ 労働時間短縮の取り組みは必須 (2)現在支給中の総額を変えない場合には,労働条件の不利益変更の問題を生じさせ ないよう注意が必要 ⇒基本的には個別的に同意書を取り付けることが必要 (3)給与明細書,賃金規程,雇用契約書,雇用条件通知書等の改訂作業が必要 (4)手当として時間外手当相当分を支給している場合には,名称や規定などから時間 外手当として支給していることを明確化し,運用上も矛盾のない制度にしておくこと 25 具体的防衛策 :(4) 軟着陸戦術 ● 軟着陸戦術とは・・・(資料13,資料14) 残業代請求については退職後に行われるリスクが高いことから,退職直前 の2年間について未払い残業代を減らしていくことで,請求リスクを軽減する 防衛策 ● 対象 定年退職者など,退職時期が定まっている人 ● 具体的方法論 ・退職前の一定の時期に役職を外すとともに画一的に給与を下げる 就業規則等で取扱を明確化しておく 労働条件の不利益変更とならないよう注意が必要 ・定年後も嘱託で再雇用しつつ,時間外労働を禁ずる ※消滅時効の主張を権利濫用とする反論が認められた裁判例は不見当 ※民法の債権法改正の動向には注意が必要! 消滅時効期間を統一する方向で議論が進められており,労働債権の時効期 間が延びる可能性があります。現在は給与支払日から2年で毎月分が時効 26 具体的防衛策 :(5) 一挙解決戦術 ● 一挙解決戦術とは(資料15) 退職に当たって,従業員に対して割増退職金の支給や有給休暇の買い上げ等,特別 の給付を行った場合に,清算条項入りの退職合意書を作成することによって,退職後に 残業代請求された場合に,和解により清算済みであるとの反論を行えるようにする防衛 策 ● 想定される特別の給付 特別退職金の支給,有給休暇の買い上げ,離職票の退職理由を会社都合とする,再 就職先のあっせんなど ● 注意点 従業員にとってメリットもないのに清算条項入りの和解書を作成させた場合,無効を主 張されるだけでなく,慰謝料請求の対象ともなりかねないので注意が必要 ⇒ 和解合意書の記載内容には細心の注意を払うこと 27 具体的防衛策 :(5) 一挙解決戦術 ● 和解書作成上のポイント ①従業員の「自由な意思」に基づいて作成されたものであることを書面上から明らかにわ かるようにする。 →従業員側の得た特別の利益が何かを書面を一読してわかるようにしておく ②清算条項は全面的なものにしておく必要がある。 ③仮に横領など,予期せぬ問題が後に発覚した場合,会社の請求権が保持されるよう注 意する ● 和解が無効であると主張して請求された場合 仮に無効ならば,和解全体が無効であるとして,既に行った給付の返還を請求すること になる。 ● 残業代対策のために最近多く取られている方法が退職時の合意書作成。ただし,効 果について明確に判断した判例はないので,今後の判例に注意する必要あり。 ● 合意書を作成しているという事実があるので,事実上従業員が残業代を請求してこ ない可能性が高いという意味で効果極めて大。従業員側弁護士も合意書があると請求 を躊躇するのが一般的。 28 残業代請求のまとめ ① 今後,(程度の問題はあるにせよ)残業代請求が増えることは確実なので,事前に対 策を講じることは必須。 ② 対岸の火事ではないことを認識すること 特に,うちはしっかりしている!と,誤解してしまっている会社が一番危ない。 ③ 労働時間の短縮に向けて最大限の取り組みを行っていくこと 特に,景気が悪い今は労働時間短縮の絶好のチャンス ④ 法律上の規定や裁判例について正確に理解し,適切な施策・運用を行うこと。 中途半端な知識に基づいて行うとかえって火の粉が大きくなってしまう危険があるので 注意すること。 ⑤ 対策を講じることによって従業員の反発を招く結果になってしまうと本末転倒。 労使間で十分な協議を行い,労使一体となって(Win-Winの関係を構築できるように)問 題に取り組んでいくことが最も重要。 29 最近のセミナ-・取材実績 ○2003年1月14日 あさひ・狛法律事務所所内研修会 「ジョイントベンチャーと金庫株の利用方法について」 ○2004年1月16日 千葉県弁護士会松戸支部支部内研修会 「改正民事執行法について」 ○2007年11月16日 千葉県弁護士会主催 「裁判員制度,刑事訴訟法改正について」 ○2009年10月22日 千葉県税理士会松戸支部主催 「そんなとき,顧問先の問い合わせに即対応できる税理士が知っておきたい倒産・廃業時の実務」 ○2010年3月28日 船井総合研究所主催「独立開業セミナー」 「弁護士のための独立開業セミナー」において,パネルディスカッションを担当しました。 ○2010年4月21日 千葉県社会保険労務士会東葛支部の先生方との勉強会講師 「顧問先の満足度を高める解雇紛争実務」 ○2010年9月15日 千葉県社会保険労務士会東葛支部の先生方との勉強会講師 「会社を不当な残業代請求から守る残業代対策~会社・従業員間の信頼関係構築を目指して~」 ○2010年11月12日 当事務所主催 修習生向セミナー(計6回開催) 「一人前の弁護士に成長するための環境がここにはある」 ○2010年12月7日 千葉県税理士会柏支部主催 「税理士が知っておきたい労務問題・法律問題」 ○2011年1月19日 千葉県社会保険労務士会東葛支部の先生方との勉強会講師 「知らなかったでは済まされない。65歳までの雇用延長制度。改正高年齢者雇用安定法Q&A」 ○2011年1月22日 船井総合研究所主催 福岡会場 「法律事務所の時流と経営」 ○2011年2月5日 船井総合研究所主催 大阪会場 「法律事務所の時流と経営」 ○2011年4月6日 TKC柏主催 「残業代不払い請求等の労働問題から関与先を守る」 ○2003年4月26日 週間ダイヤモンド 「早期退職制度について」の記事を執筆しました。 ○2009年12月5日 朝日新聞社会面(全国版) 「不況を乗り切る11・借金」の取材を受け,記事を監修しました。 ○2010年3月10日 FUNAIMENBERS PLUS 「地域最大クラスの法律事務所へ成長」の取材を受けました。 ○柏法人会会報 「よつば総合法律事務所の法律広場」連載中 30 顧問契約のメリット (1)すぐに弁護士事務所に相談できる(メール・電話での即時の対応可能) (2)業務内容や内情の理解が得られる (3)迅速な対応が期待できる (4)よりよい契約交渉や紛争解決が期待できる (5)信頼関係を構築しやすい (6)法務コストの削減(法務部社員を採用するより低コスト) 特に,以下のような会社には顧問契約がお勧めです。 (1)売掛金の未回収が多い会社(少額・多数の売掛金の未回収が発生する可能性があ る会社等) (2)従業員と紛争になる可能性が高い会社(労働組合が強い会社等) (3)株主間での調整が必要な会社(少数株主から訴訟を起こされる可能性がある会社 等) (4)継続的に法律問題(訴訟等)が発生している会社 (5)建物明渡訴訟・交渉が多い会社(不動産管理会社等) (6)契約書のチェックが随時必要な会社 →事業を行っていない個人の方の場合には,顧問契約ではなく,個別に弁護士にご 依頼された方がよいかとおもいます。他方,会社の場合や,事業を行っている個人の場 合には,弁護士への相談は,大きなトラブルになる前に早めに信頼できる気心の知れた 弁護士に相談するのが一番です。 31 弁護士費用の目安(1) 通常の費用 企業法務に関する法律相談 30分10,500円 但し、柏・松戸、及び周辺地域の企業様の初回相談は、無料とさせて頂いております。 また,当事務所では,企業様のご相談の場合には顧問契約をお勧めしておりますので,顧問契約の費用も併せてご参照下さい。 *なお,柏法人会会員様の場合には,初回相談料が無料となります。 民事事件(民事訴訟・交渉等) ●経済的利益が300万円までの場合 ・着手金 請求額・請求された額の8.4% ・報酬金 獲得額又は減額できた金額の16.8% ●経済的利益が300万円から3000万円まで ・着手金 請求額・請求された額の5.25%+94,500円 ・報酬金 獲得額又は減額できた額の10.5%+189,000円 ●経済的利益が3000万円以上の場合 ・着手金 請求額・請求された額の3.15%+724,500円 ・報酬金 獲得額又は減額できた額の6.3%+1,449,000円 注1 着手金とは、事件終了までの委任弁護士の労務に対する対価として、事件着手時にお支払いいただくものです。 注2 報酬金とは、事件等の性質上、委任事務処理の結果に成功・不成功があるものについて、その成功の程度に応じて受ける委任 事務処理の対価のことを言います。 注3 顧問契約を締結いただいた場合には、事案の性質等によりまして、上記費用額から相当額の減額をさせていただきます。 注4 着手金の最低金額は10万5000円とさせていただいております。 32 弁護士費用の目安(2) 通常の費用 契約書作成、チェック ●契約書作成 10ページ未満 15万7500円~ 最初に起案するのが相手方ではなく、貴社である場合、当事務所の弁護士が一から貴社に相応しい契約書を作成いたします。費用 は、全体の枚数、契約内容、相手方等、難易度により、前後することがございます。 ただし、顧問会社様に関しましては顧問料の範囲 内で作成が可能なこともございます。 ●契約書チェック 10ページ未満 10万5000円~ 相手方が作成し、案文として出してきた契約書案について、内容を審査し、アドバイスを行います。 1ページあたりの費用は、全体の枚数、契約内容、相手方等、難易度により前後することがございます。 ただし、顧問会社様に関し ましては顧問料の範囲内で作成が可能なこともございます。 費用の詳細につきましてはお気軽に当事務所までお問い合わせ下さい。 33 弁護士費用の目安(3) 顧問契約 顧問契約 10,500円~(/月) ●顧問契約 料金表 月上限活動時間 通常相談 優先相談 電話相談 緊急相談 メール相談 社長のご家族相談 御社従業員の相談 顧問表示 他士業紹介 ニュースレター配信 メールマガジン配信 社内研修講師 御社へのご訪問 簡易内容証明郵便作成 簡易契約書作成・チェック 着手金無料・減額 報酬割引 月額費用(税込) 1時間 ○ ○ ○ × ○ × × ○ ○ ○ ○ × × × × × 5% 10500円 4時間 ○ ○ ○ × ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ × × ○(月1通まで) ○(月1通まで) × 20% 31500円 8時間 15時間 20時間 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ × ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ × ○(年に1回まで) ○(年に3回まで) × 月に1回まで 月に3回まで ○(月2通まで) ○(月5通まで) ○(月10通まで) ○(月2通まで) ○(月5通まで) ○(月10通まで) ○ ○ ○ 30% 40% 50% 52500円 105000円 210000円 34 弁護士費用の目安(4) 顧問契約 ●通常相談 通常30分10,500円となっています会社関係の法律相談につきまして顧問契約の範囲で無料で行うことができます。 ●優先相談 顧問契約を締結していない方と比較して,事務所業務時間内に優先的に弁護士との相談が可能になります。貴重なお時間を無駄に することなく,本業に専念できます。 ●電話相談 顧問契約を締結されていない方の場合,お電話でのご相談は承っておりません。顧問契約を締結することで,法律問題について電話 にて担当弁護士がご相談を承ります。来初時間,待ち時間を節約し,本業に専念することができます。 ●緊急相談 夜間や休日など,事務所の通常業務時間外で対応が可能となります。トラブルが発生してすぐにご相談をお受けし,素早い解決をサ ポートいたします。 ●メール相談 顧問契約を締結されていない方の場合,メールでのご相談は承っておりません。顧問契約を締結することで,法律問題について電話 にて担当弁護士がご相談を承ります。来所時間,待ち時間を節約し,本業に専念することができます。 ●社長のご家族相談 顧問先経営者様のご家族の法律相談につきましても,個別の顧問契約の設定時間内であれば無料とさせていただいております。 ●御社従業員の相談 顧問先企業様の従業員の方の個別の法律相談に応じるものです。個別の顧問契約の設定時間内であれば,相談料は無料となりま す。(なお,労働問題など顧問先企業様との利害対立が生じるケースは除きます。) ●顧問表示 当法人が顧問弁護士となっていることを,取引先,役員様や従業員の方の名刺,パンフレットなどに掲示し,外部に表示頂くことが可 能です。「顧問弁護士がついている」ことをアピールできると,取引先や顧客・金融機関の信頼が増したり,違法要求等を牽制したりす ることができます。 35 弁護士費用の目安(5) 顧問契約 ●他士業紹介 当法人が提携する税理士・司法書士・土地家屋調査会社・社会保険労務士・行政書士・不動産会社・経営コンサルタントなど,他の専 門家をご紹介することが可能です。当法人を通じ,多くの他士業の方などと繋がりを持つことができます。 ●ニュースレター配信 社長のお役に立てる情報や息抜きのネタ満載です。原則として月に1回配信します。顧問先の皆様,地元の企業様,税理士・司法書 士・社会保険労務士の先生等に配信しています。 ●メールマガジン配信 顧問先限定の特別に役に立つ情報の配信です。顧問先の皆様限定なので,内容についても弁護士が本音で書く相当突っ込んだ内 容となっています。今のところ発行は不定期です。 ●社内研修講師 当事務所の弁護士が従業員向けの社内研修の講師を行います。従業員の福利厚生・従業員のコンプライアンス意識の向上の効果 があります。 ●御社へのご訪問 顧問担当の弁護士が訪問し,法律問題についてヒアリング・相談を実施いたします。実情を把握した上での法的アドバイスが可能で す。 ●簡易内容証明郵便作成 売掛金請求等,簡易な金銭請求等について内容証明郵便を作成します。逐一弁護士に着手金を支払う必要がありません。 ●簡易契約書の作成・チェック 定形的で分量が多量でない日本語の契約書のチェックを行います。逐一弁護士に着手金・報酬金を支払う必要がありません。 ●着手金無料・減額 着手金が無料又は減額となります。(詳細は事件によって異なりますので担当弁護士との打合せの際にお問い合わせ下さい) ●報酬割引 当法人の基準費用から報酬が割引されます。 36 弁護士費用の目安(6) 顧問契約 ●その他 当事務所が提携している様々な会社・団体・事務所に関して,割引価格での業務の提供の案内をさせていただきます。(不定期) 当事務所では企業の皆様には顧問契約をお勧めしています。顧問契約をするメリットがあるかどうかについて,今の会社の状況や 発生している問題点を踏まえて詳しく確認したいという場合,無料相談のご予約を受付しておりますので当事務所までお電話又はメー ルにてお気軽にお問い合わせ下さい。 37 講師略歴 大澤一郎 弁護士法人よつば総合法律事務所 代表社員弁護士 千葉県柏市柏1丁目5番10号 水戸屋壱番館ビル4階 電話番号 04-7168-2300 FAX番号 04-7168-2301 メールアドレス [email protected] ホームページアドレス 柏・松戸中小企業法律相談 http://www.yotsubasougou.jp/ 平成8年 千葉県立東葛飾高校卒業 平成13年 東京大学法学部卒業 平成13年 司法研修所入所 司法研修所55期 平成14年 弁護士登録 千葉県弁護士会所属(登録番号29869) 平成20年度弁護士会松戸支部幹事,同支部法律相談運営センター委員,千葉 県弁護士会新人弁護士等支援委員会委員 地元企業を中心に20社以上の顧問弁護士として活躍中。また,会社側にたっ て常時労働問題のトラブル解決に関わる。 38
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