スライド 1 - 太陽系科学研究系

Estimation of the radial diffusion
coefficient of REE-associated
ground Pc 5 in the radiation belt
宇宙科学研究所
宇宙プラズマ研究系 松岡研究室
プロジェクト研究員 藤本 晶子
2/32
九州大学で学部~博士課程
 地上磁場観測
– 磁力計の国内外への設置
– データ収集システム構築
 九州大学小型衛星開発
– 科学ミッション搭載磁力計
沿磁力線電流
200 [Haraguchi et al, 2004]
Ba
[nT]
-200
0635
0640
0645
3/32
修士~博士課程における研究活動
博士論文
放射線帯相対論電子異常増加に関する地上Pc 5脈動から
導出した動径方向拡散係数の推定と関数モデル構築
Pc 5脈動
◎周期: 150-600秒
◎一般的に高緯度(60-70
度)で観測.
◎磁気嵐時: 数百nT.
衛星電子
地上磁場
3ヵ月
[Rostoker et al., 1998]
1.はじめに
4/32
放射線帯
◎磁気圏磁場に最高エネルギー(MeV)の粒子が捕捉されている
◎多数の人工衛星が飛翔する領域.
内帯(~2Re)
外帯
(3.5Re~7Re)
太陽風の影響を受けて,劇的に変動する放射線帯(紫色部分)
出典: http://svs.gsfc.nasa.gov/vis/a000000/a003000/a003052/index.html
1.はじめに
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放射線帯
1958年
: Van Allenが発見
1990年代後半:衛星観測により,放射線帯ダイナミクスな変動が明らかに.
「あけぼの」衛星による観測 2.5MeV以上の放射線帯電子フラックス
8
消失
電子フラックス大
増加
6
L値
(地球中心から
の規格距離)
外帯
4
2
Dst index [nT]
(磁気嵐指標)
電子フラックス小
内帯
0
-100
磁気嵐の発生
30
60
90
120
day of year, 1993
150
180
出典: [宇宙科学最前線 ISASニュースNo.302]
いつ,どこで,どのようにして
放射線帯の高エネルギー電子は増えるのか?
1.はじめに
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放射線帯形成機構
電子の加速(外部供給と内部加速)と消失の競合過程
電子
電離圏へ
電子
消失
磁気圏外へ
消失
内部加速
外部供給
放射線帯
MeV電子の軌道
EMIC
VLF
MeV電子加速を担うのは:
(1)外部供給では電磁流体波動
(2)内部加速ではプラズマ波動
Pc5
動径方向への
MeV電子輸送
プラズマシート
[Reeves, 2007]
1.はじめに
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放射線帯粒子の輸送・加速機構
MeV電子の加速・輸送機構において,
外部供給と内部加速のどちらが支配的なプロセスかは明らかでない
電子
内部加速
地
球
外部供給
可能性として:
外部供給 or 内部加速 or
内
部
外
部
or
内
外 部
部
本研究では,外部供給を担う断熱輸送過程について
どちらが支配的なプロセスかを解明するためには,「外部供給」・「内部加速」
地上磁場観測の立場から輸送を担い得るPc
5脈動
を担い得るPc
5脈動,プラズマ波動の空間分布を明らかにする必要がある
について研究を行った.
1.はじめに
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放射線帯電子運動を決定する断熱不変量
反射点
磁力線
N
② バウンス
(~ 1 sec)
L値
③
電子
ドリフト
(~103 sec)
地球中心から
の規格距離
S
磁気圏Pc 5脈動が
電子の輸送を担う有力な候補
① 放射線帯電子
旋回軌跡
(~10-4 sec)
[Modified Baumjohann and Treumann, 1997]
第1断熱不変量: 磁気モーメント不変量
第2断熱不変量: 磁力線に沿った粒子の運動量積分不変量
第3断熱不変量: 磁気フラックス不変量
1.はじめに
9/32
放射線帯粒子の輸送・加速機構
どのようにしてMeVまで加速するか?
◎外部供給
プラズマシートで大きな磁気モーメント(μ)をもつ電子が,
断熱的に内部磁気圏に輸送され,放射線帯を形成.
断熱加速=磁気モーメントを保存
電子
断熱輸送
地
球
P2
E

   一定
2mB B
プラズマシート
電子の輸送時:
a  b
Ba Bb
(位置a)
(位置b)
Ba
Bb
磁場
Ea Eb
B

 Eb  b Ea
Ba Bb
Ba
Bb
 1  Eb  Ea
Ba
1.はじめに
10/32
外部供給に関する理論研究
- 1960年代に基本描像が確立。磁気圏の電磁場の擾乱で輸送が起こる。
1990年代後半に、周期数分のグローバルなプラズマ波動(MHD波動)が、
ドリフト共鳴で、輸送を引き起こすことができることが理論的に発見。
MHDシミュレーション中での粒子の軌跡 (Elkington et al.,[2004])
1.はじめに
11/32
放射線帯電子と地上Pc 5脈動
相対論電子異常増加時
非相対論電子異常増加時
磁気嵐回復相開始時刻
地上Pc 5脈動の放射線帯電子増加との強い関連性
1.はじめに
12/32
先行地上観測研究からわかっていること
①
③
②
②
①
磁気嵐回復相以降
①高速太陽風中に数十時間継続するAlfvénic変動
②磁気圏でPc5脈動が数十時間継続して卓越
⇒ ③静止軌道高エネルギー電子フラックス異常増加
③
2.研究目的
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外部供給に関する問題点
◎観測的・定量的に,動径方向拡散による外部供給過程
はほとんど実証されていない
◎外部供給を担う地上Pc 5脈動として,理論・観測研究と
もに実際の波動特性・分布は考慮されてこなかった
動径方向拡散モデル
◎広帯域周波数特性
◎内部磁気圏に一様分布
◎経度方向の波動モード数:小
明らかにすること
◎どの領域(緯度方向,地方時)
◎どのような特性のPc 5 脈動
(周波数特性,経度方向波数)
Pc 5
によって,外部供給過程が発動しているか?
2.研究目的
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外部供給過程の実証要件
どの領域(緯度方向,地方時)で,
動径方向拡散が起きているかを明らかにする
位相空間密度の時間変化の直接観測
内部加速過程
外部供給過程
位
相
空
間
密
度
位
相
空
間
密
度
2
f (μ, K, L)
L
8
2
L
8
[Green et al, 2004]
どのような特性のPc 5 脈動が
寄与しているか?
2.研究目的
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動径方向拡散係数を用いた外部供給過程の検証
現在,放射線帯粒子の位相空間密度の時間変化を
測定するのに適した衛星観測は行われていない
動径方向拡散係数(=拡散効率)を多点地上磁場観測から推定し,
Pc 5脈動が動径方向拡散による電子の断熱輸送過程を担い得る
かどうか,定量的に評価する.
動径方向輸送モデル:
f
  D f 
 L2  LL
  loss
2
t
L  L L 
f は位相空間密度
動径方向拡散係数の式: [Brizard and Chan, 2004]
L6
E
DLL ( f , L) 
PSD
( f , L)
eq
2 2
8RE Beq
磁気圏赤道電場の
パワースペクトル密度
3.解析
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観測データ
1.
磁場データ
南北成分 (地上H成分)
東西成分 (地上D成分)
2.
太陽風データ
ACE 衛星
:太陽風速度,動圧,
惑星間空間磁場
4.
磁気嵐指標
Dst指数
5.
ACE衛星
放射線帯MeV電子
GOES 衛星2MeV以上電子フラックス
3.
地上磁場
観測網
観測期間
2008年の磁気嵐
計12イベント
GOES
衛星
多点地上磁場観測網
3.解析
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磁気嵐イベント選定
REEイベント閾値
静止軌道高エネルギー電子フラックスが
磁気嵐回復相開始後3日までに
104[cm2/sec/str]を超える場合
↑
回復相開始時刻
REE磁気嵐は12イベント見つかった
(右図●)
3.事例解析 (March, 2008)
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事例解析: 2008年3月磁気嵐イベント
小規模な磁気嵐 (3/26 ~ )
・CIR (共回転相互作用領域)に起因
・初相 : 01UT ( + 6 nT) ~ 10UT (+25 nT)
・主相 : 10UT (+25 nT) ~ 19UT (- 41 nT) : 大きさ66 nT
・回復相 : 19 UT ~
コロナホール起源
高速風
磁
気
嵐
規
模
26, March 2008
地
磁
気
活
動
度
3.事例解析 (March, 2008)
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磁気嵐時のPc 5脈動活動
磁気嵐前 主相
回復相
強
南北成分
Pc 5 ※Pc5脈動周波数帯
活 (1.67-6.67mHz)の
動 パワースペクトル
度 積分値
東西成分
弱
電子フラックス
Universal Time
•磁気嵐前
: L>5・昼側でPc 5脈動卓越
•磁気嵐期間: 静穏時に比べて低緯度(L~4)側までPc 5脈動が侵入
3.統計解析
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Pc 5脈動の周波数特性
Narrow-band or broad-band ULF wave?
←
ス
ペパ
クワ
トー
ル
狭帯域の条件: Q値 = Δf / fo << 1
FHCU(L=7.42)
GLY(L=3.38)
Δf
h
h/2
→
fo 周波数
南北・東西成分共に,L値に依存せず狭帯域Pc 5 脈動であった.
3.統計解析
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Pc 5脈動の継続時間(1): 同定方法
(2)静穏時
Pc5脈動
(1) 1時間のパワースペクトル
(2)静穏時パワースペクトル
磁気嵐前の静穏な2日間における
周波数-パワースペクトル平均値
Pc 5脈動活動 = (1)と(2)の差分
nT2/mHz
脈動継続時間算出方法
1.67
mHz
◎f1=1.67, f2=2.5mHzの場合:
ノーマライズした
パワースペクトル
積分値の時間変化
ΔT
(1)
Pc 5脈動活動
半値幅
Δf
f1
f2
Pc 5脈動範囲
6.67
mHz
3.統計解析
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Pc 5脈動の継続時間(2): 結果
様々なスペクトル積分範囲
Pc 5脈動の継続時間の特徴
積分周波数範囲・緯度に
関係なく,2時間程度であった.
3.統計解析
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経度方向波数の空間分布
◎同定方法
26 March 2008, 0900-1000UT
(1)
(1) 2観測点の磁場データのCross
power spectral densityを計算
(2) 相互相関係数が0.6以上を選択
(2)
(3) 波数 (m) =位相/経度差
ABK
KEV
緯
度
(3)
m~1
経度差
18.82
27.01
経度
3.統計解析
24/32
Pc 5脈動の経度方向波数の空間分布
◎結果
南北成分: 波数m ~ 1 - 3
東西成分: 波数m ~ 2 - 4
↓
波数(小)のPc 5 脈動が
支配的
南
北
成
分
東
西
成
分
局在化構造
◎考察
(~200º)
グローバルPc
5 脈動なのか?
(~10º)
異なる地方時でPc 5 脈動がコヒーレントである
地方時が離れた2観測点のPc 5脈動は相関が悪い
3.ここまでのまとめ
REE発生時のPc 5 脈動の特性
REE-associated Pc 5 の特性
・Pc 5強度: 静穏時に比べて低緯度側(L<4)でも発達していた
・周波数特性: 狭帯域 (Q値 << 1)
・Pc 5の継続時間: ~2時間
・経度方向波数: 波数小 ~4  断熱輸送過程を担いうる
これまでは
電子の断熱輸送過程において本質的な役割を果たすと
考えられてきたPc 5脈動の時空間分布は一様であると
の仮定の下に様々な評価がなされてきた.
Pc 5
本研究において
地上に於けるPc 5脈動分布は時空間的な非一様性が
究めて高いことが地上磁場観測から明らかになった.
REE-associated Pc 5脈動に関する動径方向拡散係数 の推定
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4. 動径方向拡散係数の推定
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地上磁場から磁気圏赤道電場への投影
動径方向拡散係数の式: [Brizard and Chan, 2004]
L6
E
DLL ( f , L) 
PSD
( f , L)
eq
2 2
8RE Beq
磁気圏赤道電場の
パワースペクトル密度
地上磁場データから磁気圏赤道電場の推定が必要
投影手法
地上磁場
↓ ・・・ (1)
電離圏磁場
↓ ・・・ (2)
電離圏電場
↓ ・・・ (3)
磁気圏赤道面電場
Bi (2)
Ei
(1)
Bg
電離層
(3)
Eeq
磁力線
4. 動径方向拡散係数の推定
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地上磁場から磁気圏赤道電場への投影手法
投影におけるPc 5 脈動仮定
・Ozeke et al., 2004, 2009の応用
・Alfvén guided モード
・fundamental 周波数
・電離圏高度: h ~ 100km
観測点における
磁場観測データ
卓越周波数
磁場振幅
波数
L値
fob [mHz]
δB [nT]
m
Ls
f ob  δE eq  ion
 i δB
δEeq 
3[mHz] δB 
12
2


1
4

h 
2

δB[nT]  2 exp m LS 
2




[
rad
]
 RE 

磁力線共鳴の空間幅(~400Km)
4. 動径方向拡散係数の推定
28/32
動径方向拡散係数の評価
動径方向輸送モデル
f
  D f 
 L2  LL
  loss
2
t
L  L L 
動径方向拡散時間
L 
加速効率大
加速効率小
拡散係数(DLL)
大
小
拡散時間(τLL)
小
大
2
 LL 
2DLL
[Schultz and Lanzerotti, 1974]
100
[Lyons and Schulz, 1989JGR]
(
ド
リ 24
フ
ト 10
周 6
期
時 1
間
)
0.1
1
f は位相空間密度
2
3 4 5 6 789
L値(地球地心距離)
ス対
ケ流
ー時
ル間
効加
か速
な
いに
時動
間径
ス方
ケ向
ー輸
ル送
加
速
に
効
く
6時間以上
6時間以下
4. 動径方向拡散係数の推定 (事例解析)
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投影磁気圏赤道電場に基づく拡散時間
例: 高緯度側
RABB(L=6.53)
Pc 5: 2.97mHz
[hour]
遅
拡
散
時
間
対流時間スケール
→加速に効かない
動径方向輸送時間スケール
→加速に効く
磁気嵐
電
子
フ
ラ
ッ
ク
ス
速
静止軌道高エネルギー電子フラックス増加期間には,拡散時間は動径方
向輸送時間スケールが支配的.
Pc 5 脈動(L~6)が高エネルギー電子の動径方向への輸送に寄与する
4. 動径方向拡散係数の推定 (統計解析)
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動径方向拡散係数の緯度方向分布特性
Pc 5脈動(2.97mHz)の拡散時間
磁気嵐12イベントの統計解析結果
[電子フラックス]
・t=0-1.5 days: 増加し始める
・t=2.0 day : REE閾値到達
[Pc 5脈動 ]
・t=0-0.5 days: 両成分において
L~5付近まで加速に効く
・t=0.5 days以降:
L>6では加速に効く
L<6では加速への寄与小
※Epoch Day = 0 : 回復相開始時刻
4. 動径方向拡散係数の推定
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結果
地上磁場観測に基づく動径方向拡散係数の見積り
・静止軌道高エネルギー電子フラックスの増加時
太陽方向
発生率
南北成分
東西成分
電子動径方向
拡散に効く
高緯度側(L>5)
動径方向拡散時間スケール支配的
加速に効く
低緯度側(L<5)
対流時間スケール支配的
加速に効かない
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まとめと今後
まとめ
■地上に於けるPc5脈動分布は時空間的な非一様性が究めて
高い(狭帯域,~2時間,波数小~4)
■高緯度(L>5)領域で電子の動径方向拡散に寄与している
放射線帯電子の種となる数百keVの電子の輸送に寄与?
今後の課題
■地上・衛星観測の利点融合
ULF波動モード構造マップ
地上から磁気圏内ULF波動のモニタリング