平歯車、遊星歯車によるギヤボックス技術 モータを使うすべての場合、それぞれ用途に応じたトルクと速度があります。大 きなトルクを、しかし遅いスピードで必要な場合に大きなモータで大きなトルクを 出すのは経済的ではありません。またシステム全体の効率を考えると得策でも ありません。 直線運動 P=Fv 回転運動 P=ωT P[W] P[W] F[N] ω[rad/s] v[m/s] T[Nm] このような時に賢明な方法はモータと負荷の間に減速機構を使うことです。減 速機はモータを、負荷に、速度にまた慣性に適合させることができます。モータと ギヤボックスを組み合わせることによって、より大きな効率をより経済的に作り出 すことができます。 全体の長さが問題になるような用途の場合は、減速機をビルトインしたギヤモー タをおすすめいたします。 平歯車構造のギヤボックスの原理 半径r1、歯数z1の入力ピニオンギヤで初段歯車の半径r2、歯 数z2の歯車をまわすと、ギヤトレイン当たりの減速比“i”はz2: z1になり、r2:r1にも等しくなります 平歯車構造 遊星歯車構造のギヤボックスの原理。 歯数“S”枚の太陽歯車Sで、“P”枚の歯数を持って遊星板に固定されている遊 星歯車Pをまわします。“a”枚の歯を切った固定環A、一段当たりの減速比i= (a:s)+1になります 構成の説明 モータの特性 用途に適した利点 平歯車の組合わせ 一段当たり1点の伝導 ギヤトレイン当たりの摩擦は小 さい 設計者の意図次第で何段にで もできる 入出力軸を一列にする必要な し 出力軸二本も可能 高い効率、一段当たり0.9 小径で長いタイプ、大径で短い 製品が作れる 出力軸の位置に関係なくモータ の取付場所が選べる センサ、ポテンショメータ等の取 付 高品質プラスチックで 作った初段ギヤ 高い回転数のモータ入力によ る メカノイズの軽減 静かな運転 遊星構造: 一段当たり3~4点 の伝導 一段当たりの減速比は大きい が 摩擦も大きい 大きなトルクの伝達ができる 一段当たりの入力出力の回転 方向が同一 バックラッシュが小さい 必要な減速比が少ない段数で 得られ、効率も一段 当たり0.85 と高い 極めてコンパクトで必要な特性 が得られる ギヤトレインの段数に関係なし にモータの入力回転 方向と同じ回転方向が得られる モータの回転方向の急速な転 換にも殆どショックを感じない 遊星歯車 最も単純な遊星歯車機構は図2.1のように、太陽歯車A、遊星歯車B、内歯 車C、キャリアDの4つの基本要素から成り立っています。 この遊星歯車機構は、入力軸と出力軸を同一軸上に配置できる とか、2個以上の遊星歯車にて負荷を分担するので装置をコンパ クトに設計できるなどの特長があります。 その反面、構造の複雑さとか、内歯車の干渉の問題というむずか しい点もあります。 図2.1の遊星歯車機構は2K-H形と呼ばれているもので、太陽歯 車と内歯車とキャリアの3つが基本軸になっています。 遊星歯車の解析1 Zc Za Zb 回転数比=A:B=1:ーZa/Zb Zb 回転数比=B:C=1:+Zb/Zc 回転方向の+、-に注意 内歯車Zc=48 遊星歯車の解析2(キャリア固定) (c)スター型 一般化した解析を行うため各歯車の 歯数をZa=12,Zb=18,Zc=48とする。 機械的構造上 Za+2Zb=Zc (直径)の 必要がある。まずキャリアを固定する キャリヤD 太陽歯車Za=12 遊星歯車Zb=18 キャリア固定 太陽 衛星 内歯車 キャリア 歯数 12 -12 ー12 0 回転数 1 -12/18 -12/48 0 一般化 1 ーZa/Zb ーZa/Zc 0 従って回転数比は太陽:内歯車=1:-Za/Zc (c)スター型 内歯車Zc=48 キャリヤD 遊星歯車の解析3(内歯車固定) (a)プラネタリ型 キャリア固定 太陽 衛星 内歯車 キャリア 歯数 12 -12 ー12 0 回転数 1 -12/18 -12/48 0 一般化 1 ーZa/Zb ーZa/Zc 0 太陽歯車Za=12 遊星歯車Zb=18 + 全体を固定してZa/Zcだけ左回転 回転量 Za/Zc Za/Zc 結果 1+Za/Zc ーZa/Zb 0 +Za/Zc Za/Zc Za/Zc Za/Zc (a)プラネタリ型 従って回転数比は太陽:キャリア=(1+Za/Zc):Za/Zc=(Zc+Za)/Zc:Za/Zc =(Zc+Za):Za=1:Za/(Zc+Za)=1:1/(1+Zc/Za) 内歯車Zc=48 キャリヤD 遊星歯車の解析4(太陽歯車固定) (b)ソーラー型 キャリア固定 太陽 衛星 内歯車 キャリア 歯数 12 -12 ー12 0 回転数 1 -12/18 -12/48 0 一般化 1 ーZa/Zb ーZa/Zc 0 太陽歯車Za=12 遊星歯車Zb=18 + 全体を固定して左1回転 回転量 -1 -1 -1 -1 結果 0 ーZa/Zb ー1 ーZa/Zc ー1 -1 (b)ソーラー型 従って回転数比は内歯車:キャリア=(1+Za/Zc):1=1:1/(Za/Zc+1) 遊星歯車のまとめ 結局、遊星歯車の歯数Zbは速度比に無関係であ ることが分かった Za Zb Zc (a)プラネタリ (b)ソーラー ©スター 16 16 48 1/4 3/4 -1/3 12 18 48 1/5 4/5 -1/4 12 12 (a)プラネタリ型 表2.1 プラネタリ型の速度比の計算 No. 説明 1 キャリアを固定し 太陽歯車Aを1回転する 2 全体を糊づけにして 回転する 3 (1)と(2)を合計する 太陽歯車A za 遊星歯 車B zb 内歯車C zc +1 キャリ アD 0 0 (固定) 入力軸と出力軸の回転方向は同じです。 たとえば、z a = 16、z b = 16、z c = 48のときの速度比は1/4となります。 (b)ソーラ型 これは太陽歯車Aを固定するタイプです。 このタイプで内歯車Cを入力軸、キャリアDを出力軸とす るときの速度比を求めます。 No. 太陽歯車A za 説明 1 キャリアを固定し 太陽歯車Aを1回転する +1 2 全体を糊づけにして 1回転する -1 3 (1)と(2)を合計する 0 (固定) 遊星歯車B z b 内歯車C z キャリアD c 0 -1 -1 -1 -1 入力軸と出力軸の回転方向は同じです。 たとえば、z a = 16、z b = 16、z c = 48のときの速度比 は1/1.33333となります。 (c)スター型 (a)スター型 これはキャリアDを固定するタイプです。 このスター型においては遊星歯車は自転のみで公転しませんから、厳密には遊星歯 車機構とはいえません。 このタイプで太陽歯車を入力軸、内歯車を出力軸とするときの速度比は 要するに、遊星歯車は遊び歯車として機能しています。 入力軸と出力軸の回転方向は反対です。 たとえば、z a = 16、z b = 16、z c = 48のとき、速度比は-1/3となります。 箱1 箱2 遊星歯車組み立 て1 遊星歯車組み立 て2 遊星歯車組み立 て3 遊星歯車の特 長 ■軸が同一直線上にある ■同じものを積み重ねることにより、大幅な回転数比が得られる。 ソレノイドコ イル
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