3.著作権 (1)著作権とは Copyright 工業所有権などとともに知的財産権(知的所有 権)を形成する 著作物を創作した著作者に認められる権利 著作権 著作者人格権 著作者の精神的利益を守る 著作財産権 著作者の財産的利益を守る (1)著作権とは(続き) 著作者人格権の内容 ①公表権(著作物を公表するかどうかの権利) ②氏名表示権(著作物を公表するとき、氏名を付す かどうかの権利) ③同一性保持権(著作物の内容や題名を著作者 の意に反して改変されない権利) (1)著作権とは(続き) 著作物の種類 ①小説、脚本などの言語の著作物 ②音楽の著作物 ③舞踏または無言劇の著作物 ④絵画、版画、彫刻などの美術の著作物 ⑤建築の著作物 ⑥地図または図面などの図形の著作物 ⑦映画の著作物 ⑧写真の著作物 ⑨(コンピュータ)プログラムの著作物 (1)著作権とは(続き) 以下の著作物にも著作権が与えられる ①2次的著作物 翻訳や、小説をもとにした映画など ②編集著作物(部品の寄せ集め) 百科辞典、新聞、雑誌などの編集物でデータや 記事の選択または配列により創作性があるもの ③データベースの著作物 データベースでその情報の選択または体系的な 構成により創作性を有するもの (1)著作権とは(続き) 著作権の種類(著作財産権の支分権) ①複製権(印刷、複写、録音、録画など、最も基本 的な権利) ②上演権・演奏権(公に上演したり演奏したりする) ③上映権(映画の著作物を公に上映する) ④公衆送信権(放送、有線放送、自動公衆送信) ⑤口述権(言語の著作物のみ) ⑥展示権 (1)著作権とは(続き) 著作権の種類(続き) ⑦頒布権(映画の著作物のみ) ⑧譲渡権(映画以外の著作物) ⑨貸与権(映画以外の著作物) ⑩翻訳・翻案権(翻訳、編曲、映画化など) ⑪2次的著作物の利用権 著作権の把握の仕方 著作物と著作権の種類(支分権)の2軸で把握 著作物の種類 支 分 権 言語の著作物 複製権 上演・演奏権 上映権 公衆送信権 展示権 頒布権 譲渡権 音楽 絵画 映画 著作隣接権 実演,レコード,放送,有線放送といった手段に よって著作物を広く一般公衆に伝達する者は、 著作物の創作者ではないので著作権は有しない が、こういった行為を行う者にも、著作権に準ず る権利が与えられる→著作隣接権 著作隣接権を与えられる者 ①実演家 ②レコード製作者 ③放送事業者および有線放送事業者 (2)著作権の発生 方式主義 パンアメリカン条約加盟国 著作権が発生するためには、何らかの方式(手続 き)が必要 無方式主義 ベルヌ条約加盟国(1886~) 何らの方式(手続き)も必要としない 両者の橋渡し 万国著作権条約 (マルC表 示) アメリカも1989年にベルヌ条約に加盟。現在有力 な方式主義国は、ほとんど存在しない (3)著作権の保護期間 著作者の死後50年間 団体著作物の場合は、公表後50年間 (ただし、映画の著作物は公表後70年間) 欧米諸国の保護期間は70年間が主流 現在70年に延長するための検討が行われてい る (4)著作権の制限 以下のような場合には著作権が制限される ①私的使用のための複製 個人的、または家庭内において使用する場合 ②図書館等における複製 ③引用 一定の範囲。出典の明示が求められる ④教科書等への掲載 (4)著作権の制限(続き) ⑤学校教育番組の放送等 ⑥学校その他教育機関における複製 ⑦試験問題としての複製 ⑧点字による複製等 ⑨聴覚障害者のための自動公衆送信 ⑩営利を目的としない上演等 法38条 (5)著作権と図書館との関わり 1.図書館における複製 著作権法31条 「公衆の利用に供することを目的とする図書館そ の他の施設においては、一定の条件のもとに利 用者の求めに応じて著作物を複製することが出 来る」 前提として、司書または司書に相当する職員の 存在が必要 図書館とは、国立国会図書館、図書館法で定め る図書館(公共図書館)、大学図書館、その他学 術研究のための図書館をいう 1.図書館における複製(続き) 次の場合に複製が認められる ①利用者の求めに応じ、その調査研究の用に供す るために、公表された著作物の一部分(発行後相 当期間を経過した定期刊行物に掲載された個々 の著作物にあっては、その全部)の複製物を1人 につき1部提供する場合 ②図書館資料の保存のために必要がある場合 ③他の図書館等の求めに応じ、絶版その他これに 準ずる理由により一般に入手することが困難な図 書館資料の複製物を提供する場合 1.図書館における複製(続き) 問題点 学校図書館や専門図書館 →法31条の図書館に含まれない 調査研究の用に供するため →公共図書館での問題点 他の図書館からの文献複写依頼 →著作者団体との交渉で了承 録音図書の作成 2.点字図書と録音図書 点字図書 著作者の許諾なしに誰でも点字化ができる (ただし公表された著作物) 録音図書 点字図書館等、盲人の福祉施設で、もっぱ ら盲人向けに貸し出しする場合に限り著作 者の許諾無しに録音図書を作成できる 2009年の法改正により公共図書館でも可 2.点字図書と録音図書(続き) 点字図書と録音図書に関する著作権法の改正 点字図書の電子データおよび録音図書データを、 許諾なしにインターネットをとおして送信できる (自動公衆送信権の制限) 例えば視覚障害者が日本点字図書館の録音図 書配信サービスに登録すれば、いつでも自由に 録音図書を聞くことが出来る 3.公貸権(公共貸与権) 書籍と雑誌に対する貸与権の設定 ・1984年に貸与権が設定されたが、書籍と雑誌は 当面の間適用除外 ・2005年からは、書籍と雑誌にも適用されることに 図書館における貸出 映画の著作物以外は、非営利・無料であれば貸 与権は適用されない →図書館での貸出は問題なく行える 3.公貸権(公共貸与権)(続き) 欧米諸国における公貸権 ・欧米先進国の多くで、図書館における貸出に公貸 権が設定 ・日本でも近い将来、公貸権が設けられる可能性 ・ヨーロッパ諸国における公貸権は、必ずしも著作 権という枠組みとは合致しない ・特に北欧諸国では、自国語文化の保護という意 味合いから設けられている ・ヨーロッパ諸国における公貸権と、著作権法に基 づく貸与権とを同一視することはできない 3.公貸権(公共貸与権)(続き) 映画の著作物 ・映画の著作物→譲渡権と貸与権とを一緒にした 頒布権が設定 ・非営利無料であっても適用→ビデオやDVDは自 由に貸し出すことはできない ・公共図書館の場合は、補償金を支払えば貸出が 可能。許諾は必要ではない ・現状では、ビデオ協会と日本図書館協会との間で 協定し、協定ずみビデオに関しては貸出可能 (4)著作権の集中的処理機構 法31条で認められていない図書館(企業におけ る専門図書館、資料室等) ・資料を複写することは認められない ・複写するためには、著作権者の許諾、および金銭 の支払いといった手続きを必要とする ・こういう一連の過程を集中的に処理することを目 的として、著作権の集中処理機構が設けられた ・日本複写権センター(JRRC) 1991年設立 ・学術著作権協会 ・日本著作出版権管理システム
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