1.管理・指導料 (1)救急医療管理加算 ①施設基準に適合した保険医療機関において、緊急に入院を必要とする重症患者に 対して救急医療が行われた場合、入院した日から起算して7日を限度として算定す る。 ②耳鼻咽喉科疾患ではめまい症、扁桃周囲膿瘍、急性喉頭蓋炎、鼻出血、緊急手術 を要した症例などを対象とし、算定する際には「経口摂取不能による脱水で全身状態 不良」、「上気道狭窄による呼吸不全状態」、「出血によるショック状態」などの算定理 由を示す注記が必須。 (2)耳鼻咽喉科特定疾患指導管理料:150 点 ①15 歳未満の滲出性中耳炎で、疾患の反復や遷延がみられるものに対して、外来で 計画的な医学管理を継続して行い、かつ、療養上必要な指導を行った場合に、月1回 にかぎり算定する。中耳炎既往が 3 回以上、3 か月以上の症例に限る。 ②初診日や初診から1ヶ月以内に行った指導は、初診料に含まれるため算定できな い。 ③入院中や、退院後1ヶ月以内に指導を行った場合は、入院基本料に含まれるため 算定できない。 ④癒着性中耳炎の病名では認められない。 (3)退院時リハビリテーション指導料 ①急性疾患で短期入院(1 週間程度)では算定できない。 ②入院中にリハビリテーションの算定がない場合でも、病名からみて、リハビリテーショ ンの対象になり得る症例については算定できる。 ③めまい症、顔面神経麻痺、悪性腫瘍, 中耳、副鼻腔手術症例などへの算定が望ま しい。1 週間以内の入院のチューブ留置、接着法、扁桃摘出、ラリンゴ、口腔内小手術 などへの適応は望ましくない。 ④単なる感染症に対する切開術、抗生剤点滴などは算定の対象にならない。 (4)高度難聴指導管理料 伝音性難聴では両耳とも聴力レベル 60dB 以上の規定があるが、混合性・感音性難聴 では指導管理が必要な症例で認める。経過中に症状が変動しても算定は1回に限ら れる。 2.検査 (1)聴力検査 ①突発性難聴など、気導・骨導差がない場合、初診時に標準純音聴力検査を行った 後は、必要な回数の半分程度を標準純音聴力検査により、残りを簡易聴力検査による のが妥当。特殊な例については注記のこと。 ②外耳道炎、耳垢等で標準純音聴力検査は請求できない。気導純音聴力検査は初 診時であれば可。(難聴疑いなどの病名必要) ③鼓膜音響インピーダンス検査はチンパノメトリーと一緒に請求不可。 ④急性中耳炎、難聴(の疑い)、めまい症においては、初診時に必要な場合は標準純 音聴力検査、チンパノメトリー、耳小骨筋反射の3つが全て認められるが、3者を画一 的に併施するのは好ましくない。再診時には急性中耳炎、難聴の疑いで耳小骨筋反 射は認められず、めまい症ではチンパノメトリー、耳小骨筋反射が認められない。 ⑤心因性難聴のスクリーニングで連続音と断続音による聴力検査を行った場合、一連 の検査と解釈されるので、純音聴力検査 1 回の算定。 ⑥感音難聴におけるワ氏反応の実施はルーチン検査として不適当。必要性の注記が 望ましい。 ⑦パッチテストで標準純音聴力検査と気導純音聴力検査を連続して行った場合、中 耳機能検査で算定のこと。 ⑧グリセロールテストはメニエール病で認める。 (2)補聴器適合検査 進行性難聴や変動性難聴などで補聴器を装用後、一定期間経過したのちに難聴の 状況が変化したため、新たに補聴器を作成し適合検査を行った場合は「1 回目」で再 算定できる。ただし、症状変化の状況や適合検査を再度施行した理由を注記のこと。 (3)重心動揺計検査 平衡機能検査(標準検査)なしでの算定は不可。 (4)平衡機能検査 視標追跡検査はメトロノームなどの定量的刺激方法により計測した場合、視運動眼振 検査は電気式装置又はそれに準じた定量的刺激を行った場合、温度眼振検査は眼 振の観察と客観的評価が可能な場合には、いずれも ENG がなくても算定を認める。 画一的にセットで算定するのは望ましくない。 (5)嗅覚検査 慢性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎の病名のみでは認められない。嗅覚障害がある旨 を記載。 (6)ENoG, NET 顔面神経麻痺に対して、ENoG は誘発筋電図、NET は電流知覚閾値測定で算定可。 (7)鼻汁喀痰中好酸球検査 ①副鼻腔炎では初診時のみ算定可。 ②アレルギー性鼻炎では、重症度の指標や治療効果判定の指標にならないことから、 毎月の検査は不可。治療途中での再検査は必要性の注記が必要。 ③好酸球性中耳炎を疑い、耳漏や中耳貯留液のスメアを行った場合も準用可能。コメ ントかアレルギー性鼻炎の病名をつけること (8)扁桃誘発試験 ①扁桃誘発試験を行う場合は、慢性扁桃炎の他に二次疾患病型(IgA 腎症、掌蹠膿 疱症など)を記載し、扁桃誘発試験であることを注記。 ②白血球数、血沈、CRP(血清アミロイド A 蛋白精密測定に代替可)、尿の2回検査は 認められるが、採血料は1日につき1回。 ③腎疾患に関連する場合は尿蛋白定量も認められるが、腎病名が必要。 (9)細菌検査 ①細菌同定検査と感受性検査は別項目で記載のこと。 ②細菌培養同定検査で、両耳よりそれぞれ検査を行った場合、両側の病名が必要。 (「右1、左1」などコメント付記。「細菌培養」×2だと、異なった日に培養検査を2回実 施したと解釈される恐れあり) ③細菌培養同定検査を月末に行い、菌検出の報告が翌月になった場合で、翌月患 者が受診しなかった時の請求は、受診実日数を「0日」として細菌薬剤感受性検査の みで算定可。この場合、前月に細菌培養同定検査を行ったことを注記。 ④同一月で実日数「1日」の場合でも細菌培養同定検査、細菌薬剤感受性検査及び 検体検査判断料の算定は可能。「菌検出後施行」と注記。ただし受診日が月末日の 場合は不可 ⑤急性中耳炎の細菌培養同定検査においては、嫌気培養加算を傾向的に算定しな いこと。 ⑥急性中耳炎で上咽頭培養を行った場合、咽頭炎などの適応病名が別に必要。耳 漏と上咽頭など、複数の場所から培養を行う場合、画一的にならぬよう注意のこと。 (10)血液型 術前検査もしくは輸血の必要がある際にのみ施行すること。単なる入院時検査では不 可。また、同一施設で既に検査してある場合は認められない。本人希望で算定する場 合は保険診療と分けて自費扱いにすること。 (11)RA 慢性扁桃炎の病巣感染症のうちリウマチ性疾患(リウマチ熱、リウマチ性関節炎)を疑 った場合に算定可能。ただし必要性がわかるように病名をつけるか、注記が必要。急 性炎症や慢性咽喉頭炎の病名では認められない。 (12)血清銅 味覚障害の原因となる血清亜鉛の推移を見る場合に血清銅の算定を認める。 (13)外来迅速検体検査加算 A 群β溶連菌迅速試験、アデノウイルス抗原精密測定、特異 IgE 迅速検査、鼻汁喀痰 中好酸球検査ではいずれも加算できない。 <A 群β溶連菌迅速試験について> A 群β溶連菌迅速試験と細菌培養同定検査とを同時に実施した場合は、A 群β溶連 菌迅速試験の所定点数のみを算定。A 群β溶連菌迅速試験の結果が陰性のため、 引き続いて細菌培養同定試験を実施した場合であっても、A 群β溶連菌迅速試験の 所定点数のみ算定。A 群β溶連菌迅速試験を治癒確認のため経過中に2回算定する ことは認めない。 (14)サイトケラチン 19 フラグメント精密測定(CYFRA21-1) 頭頸部領域悪性腫瘍において、サイトケラチン 19 フラグメント精密測定は診断目的の 腫瘍マーカーの検査として認める。しかし診断確定後の測定では悪性腫瘍特異物質 治療管理料を算定できない。(SCC 抗原精密測定は算定可) (15)X線検査 デジタル映像化処理加算・電子画像管理加算(点数早見表を添付) (ア)耳単純 ①同じ撮影が行われても、片耳疾患と両耳疾患では算定方法が異なる。 ②両側別々に算定する場合は、両側疾患の病名が必要。 (イ)食道造影 ①食道造影でバロス、ガスコンドロップを使用する場合は胃疾患(疑い)病名が必要。 同薬剤を使用していない場合は、従来どおり下咽頭腫瘍(疑い)でも認める。 (16)小脳橋角部 MRI 突発性難聴、めまい、感音難聴、耳鳴で小脳橋角部 MRI を撮影する場合は、「聴神経 腫瘍(疑い)」など、検査理由が明確になる病名が必要。 (17)超音波検査 甲状腺癌や転移性頸部腫瘍に対する超音波検査でパルスドプラ加算は認めない。 めまい症のみでパルスドプラ加算は認めない。 (18)内視鏡 中耳、喉頭、鼻咽腔の各ファイバースコピーの算定回数は、外来で週1回、入院では 週2回を上限とする。(それ以上は必要理由を明示すること) ①中耳ファイバースコピー 慢性穿孔性中耳炎、外傷性鼓膜穿孔などで鼓膜に穿孔があり、中耳腔の観察が必要 なもの。 真珠腫性中耳炎、鼓膜の陥凹が著しい滲出性中耳炎、癒着性中耳炎など鼓膜の詳 細な観察が必要なもの。 術後開放乳突腔障害、外耳道狭窄、外耳道真珠腫など外耳道深部の観察が必要な もの。 急性中耳炎では急性乳様突起炎を合併し、外耳道後壁が腫脹したもの、鼓膜切開術 後に鼓膜穿孔をきたしたもの。 滲出性中耳炎ではチューブ留置後に合併症を生じたもの。 急性中耳炎、滲出性中耳炎で鼓膜切開、鼓膜チューブ留置術を行った月には算定 可(急性中耳炎、滲出性中耳炎で算定する場合は注記が必要) ②喉頭ファイバースコピーの適応 逆流性食道炎の病名だけでは算定できない。(喉頭病名が必要) 反回神経麻痺、咽喉頭異常感症では認められる。 甲状腺腫瘍では検査理由が理解できるような病名追加あるいは注記が望ましい。 睡眠時無呼吸症候群は診断過程において算定可。(その後も必要な場合は喉頭病 名が必要) 嚥下障害では内視鏡下嚥下障害検査で算定のこと 副鼻腔病名では算定不可 ③鼻咽腔ファイバースコピー アレルギー性鼻炎では初診時に認められるが、連続する算定は手術症例などに限ら れる。咽頭病名があれば算定可能、喉頭病名だけでは算定不可 (19)細胞診 細胞診検査の算定には「悪性」または「悪性疑い」病名が必要。(単なる耳下腺腫瘍、 甲状腺腫瘍などでは認められない) 耳下腺穿刺細胞診を行った場合の手技料はリンパ節等穿刺又は針生検で算定する こと。 (20)鼻腔通気度検査 当該検査に関連する手術日の前後3ヶ月以内に算定できる。睡眠時無呼吸症候群の 診断目的にも適応あり。ただし、睡眠時無呼吸症候群がすでに確定している場合は、 検査を必要とする神経性(心因性)鼻閉症の病名を求める。 (21)ヘルペスウィルス抗体価 水痘・帯状疱疹ウィルス、ヘルペスウィルス1型、ヘルペスウィルス2型の計3つに関し て、同一検体でのウィルス抗体価は 80 点x3で算定可。グロブリンクラス別ウィルス抗 体価精密測定はこの中の2つの組み合わせ 230 点x2で可能。(3項目の場合は2項目 に査定) 3.投薬 (1)一般的留意事項 疑い病名では投薬(治療)しないこと。 例:インフルエンザ疑いでタミフルの投与は査定 効能・効果、用法・用量に違いのある後発医薬品は、適応外の薬剤として査定の扱い となるため、再審査に際しては医療機関から適応のある先発品を処方したことがわか るようにして請求を行うこと。 (2)抗生剤 1回の処方では3〜5日分が妥当。やむを得ぬ場合でも 10 日分を原則とし、14 日を超 えた場合、超過分は査定とする。 初診日から 3 か月以上経過した急性疾患病名に対する抗生剤の投与は査定。 マクロライドの尐量長期療法はおよそ 3 か月まで認めるが、常用量では 14 日まで。そ れ以上は査定になる。 (3)抗アレルギー剤 原則として同一系統の薬剤は1剤とする。(例:アレロック、タリオンの同時処方は必要 性の注記を行う) 作用機序の異なる抗アレルギー剤については2剤まで併用を認める。 キプレス、シングレアのチュアブルや細粒にはアレルギー性鼻炎の適応なし。 キプレス、シングレアチュアブルは 6 歳未満に投与不可。 (4)ビタミン剤の点滴・静注 アフタ性口内炎など本来の適応以外で使用する場合、経口摂取ができない、術後で あるという程度では査定の対象。 (5)抗ウイルス剤 ウイルス性疾患の病名が必要。単純疱疹と帯状疱疹では投与量が違うことに留意。 例:バルトレックス(バルトレックス錠 500、バルトレックス顆粒 50%) 単純疱疹:成人は1回 500mg を1日2回経口、5日間 帯状疱疹:成人は1回 1,000mg を1日3回経口、7日間 例:アラセナ A(ビダラビン) [注 射]単純へルペス脳炎、免疫抑制患者における帯状庖疹 [外皮用]帯状庖疹、単純庖疹 バルトレックスとアラセナ A 軟膏の併用は認める。 (6)漢方薬 ①使用には効能、効果を確認。 ②2剤併用した場合は症状、愁訴につき注記。 ③咽喉頭異常感症や口腔乾燥症のように症状名のみで良い場合もあるが、漢方薬の 効能を病名として記載するのが望ましい。浮腫、体力低下など (7)プロスタグランディン 突発性難聴で使用する際には、新鮮例で、かつ通常の治療に反応しない高度で難治 障害であることを注記すること。原則的には入院患者のみ算定のこと。 (8)神経障害での投薬 低分子デキストランLは単なるめまい(症)、顔面神経麻痺、突発性難聴などの病名で の投与は適応外。 メニエール病に対してグリセオール注は認めない。 めまい、あるいは感音難聴でイソバイド投与は認めない。メニエール病、内リンパ水腫 などの病名が必要。低音障害型感音難聴だけでは不可。 メチコバール錠は「末梢神経障害によるめまい」であることが理解できる病名(耳性め まいなど)を記載すること。 抗不安薬で心身症に適応のある薬剤は、めまい、耳鳴、咽喉頭異常感症の病名での 投与を認める。(例:デパス、リーゼ、セレナール、セルシン、ワイパックス、セディ−ル、 他) 抗うつ剤に分類される薬剤の投与では、うつ病、うつ状態、パニック障害、強迫性障害 などの病名が必要。 催眠鎮静剤(通称「睡眠薬」)の投与では、不眠症などの病名が必要。 プリンペラン、ナウゼリンはめまい症病名だけでは不可。嘔吐症など必要 (9)生食点鼻 耳管開放症の病名で生食の算定は可能だが、点鼻を行った旨を注記すること。 (10)注射用抗真菌剤 外耳道真菌症に対しての外用使用は認められない。例外的に使用する場合には注記 が必要。 (11)ブロー液耳浴 薬剤の算定使用した分に関して可能。テーカイン麻酔液や、耳垢水に準じて、成分価 格で算定すること。ただし尐量では低薬価のため点数にならない。 (12)その他 嗅覚障害、味覚障害、反回神経麻痺でATP製剤、循環障害改善剤(ナイクリン、カル ナクリン、ユベラニコチネート等)は内服、点滴とも認められない。メチコバールのみ認 める。 逆流性食道炎等の診断で、PPI と H2ブロッカーの内服の併用は認められない。ただし、 両剤の移行期には2〜3日間のみ認める。 ゼスラン錠は第2世代抗ヒスタミン薬であるため、急性上気道炎では認められない。 セレスタミンも不可、テルギン G、ポララミンは可 放射線障害による口内炎に対して4%キシロカイン液、あるいはキシロカインビスカス の投与を認める。 4.処置 (1)一般的留意事項 中耳炎、外耳道炎など両側の処置の場合は必ず傷病名に「両側」と明記。 (2)耳鼻咽喉科処置 ①耳処置 耳浴及び耳洗浄を含む。(点耳や簡単な耳垢除去は基本診療料に含まれることから、 耳垢の病名のみでは耳処置は算定できない) ②鼓室処置 耳処置との同時算定を認める。鼓膜切開術との同時算定は認めない。滲出性中耳炎 で算定する場合は、鼓膜切開後や鼓膜チューブ挿入後など、鼓室に対する処置であ ることを明記のこと。 鼓膜切開術後や鼓膜チューブ留置術後の創傷処置の代わりに認める ③耳管処置 急性中耳炎、混合難聴、耳鳴でそれぞれ認める。急性中耳炎、慢性中耳炎で耳処置 と鼓室処置と耳管処置は併施可。滲出性中耳炎で耳処置と耳管処置は併施可。 ④耳垢栓塞除去(両側) 傷病名は「両側耳垢栓塞」とし、両側とも完全に除去した場合に月1回にかぎり算定し、 転帰を治癒と記載する。 一側毎に別々に除去した場合には傷病名欄を左右別に記載し、耳垢栓塞除去(片側) の処置欄にも患側を明記した上、それぞれ別個に算定が可能。算定した月のレセプト に転帰を記載すること。なお、取り切れなかった場合の耳処置の算定は不可?。 外耳道炎病名があれば耳処置の算定可 ⑤耳介血腫 耳介血腫を穿刺した場合、創傷処置 45 点での算定が適当で、陰嚢水腫穿刺の準用 は不可。血腫を切開、除去し、縫合処理が必要な場合は耳介血腫開窓術で算定。 ⑥鼻処置 鼻吸引、単純鼻出血及び鼻前庭の処置を含む。(鼻洗浄は基本診療料に含まれる) ⑦副鼻腔自然口開大処置 3歳以上で算定可。2 歳以下は査定になる。 ⑧扁桃処置 慢性扁桃炎のみでは認めないが、慢性扁桃炎の急性増悪(膿栓がある場合)、急性 腺窩(陰窩)性扁桃炎、扁桃周囲炎または扁桃周囲膿瘍などで算定可能。口腔咽頭 処置との同時算定は不可だが、鼻疾患の病名があれば鼻処置との同時算定は可能。 ⑨間接喉頭鏡下喉頭処置 1歳以上で算定可。急性咽頭喉頭炎で咽頭処置と間接鏡下喉頭処置は併施可。急 性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎の複数病名で扁桃処置と間接鏡下喉頭処置は併施可。 鼻処置との併用可 ⑩ネブライザー 適応は副鼻腔炎,アレルギー性鼻炎,喉頭炎,気管支炎,喘息である。単なる鼻炎, 扁桃炎,咽頭炎,上気道炎,感冒では認められない。 超音波ネブライザーは喉頭炎で認めるが、上気道炎では認められない。副鼻腔炎で の使用も望ましくない。 ネブライザー用薬液の溶解には外用の適応がある生理食塩水あるいは吸入用呼吸器 官用剤の溶解剤であるアレベールを使用し、注射用蒸留水や滅菌精製水は使用しな いこと。 耳浴、ネブライザー薬の算定は正式な商品名での記載が求められるため、旧商品名 や請求書記載名(略号)は避けること。 アレルギー性鼻炎ではネブライザー薬液に抗生剤の使用は認められない。 副鼻腔炎、喉頭炎病名だけではネブライザー薬液に抗アレルギー剤の使用は認めら れない。 (3)術後創傷処置 他の医療機関で手術を受けた患者に術後創傷処置を請求する場合は、手術名と手 術日を注記。 ①鼓室形成術、鼓膜形成術 J000-1 創傷処置 45 点、術後 14 日間。 J002-2 ドレーン法 25 点、術後7日間。 両側手術の場合も同じく 45 点+25 点。 入院以外の患者では、一側の手術後の処置と同時に他側の耳処置が必要な場合、 両者とも別に算定可。創傷処置 45 点+耳処置 25 点。各々の処置側を明記のこと。 ②鼓膜切開術、鼓膜チューブ挿入術 創傷処置 45 点、術後5日間。 両側の場合も同じく 45 点。 外来で術後処置を行った場合は、創傷処置の代わりに J095-2 鼓室処置(片側)55 点 での算定も可。術後5日間。両側では別個に認められる。ただし、鼓室洗浄及び鼓室 内薬液注入の費用は、所定点数に含まれる。 ③鼻内副鼻腔手術 術後処置に伴う出血が多量で、鼻出血に準ずる程度の場合、J108 鼻出血止血法(ガ ーゼタンポン又はバルーンによるもの)240 点での算定を認める。術後5日間まで。両 側でも 240 点。 その後 10 日目まで J100 副鼻腔手術後の処置 45 点、一側ごとに算定可。ただし J097-2 副鼻腔自然口開大処置は別に算定できない。 一側の手術後の処置と同時に、対側の鼻処置、副鼻腔洗浄などが別に必要な場合に は、両者とも別個に認められる。各々の処置側を明記のこと。 ④副鼻腔手術(口唇下あるいは外切開) 鼻内副鼻腔手術に準じて算定。 口唇下あるいは皮膚切開部の創傷処置は別に算定できない。 副鼻腔炎手術翌日以降に出血多量で、再び術創を開く場合は、K352-3 副鼻腔炎術 後後出血止血法 5,120 点で算定する。 K349 上顎洞開窓術の術後も同じ。 ⑤鼻腔粘膜焼灼術、下鼻甲介切除術、鼻茸摘出術 J108 鼻出血止血法(ガーゼタンポン又はバルーンによるもの)240 点、術後5日間まで。 両側でも同じ。(鼻腔粘膜焼灼術後の鼻出血止血法の算定は難治例に限ることとし、 その旨の注記が望ましい) その後 10 日目まで創傷処置 45 点は一側ごとに算定可。 対側の鼻処置等の同日算定も可。 ⑥鼻中隔矯正術 J108 鼻出血止血法、術後5日間。 その後 10 日目まで創傷処置 45 点。 ⑦鼻骨骨折徒手整復術 創傷処置 45 点、術後7日間。 ⑧扁桃摘出術 創傷処置 45 点、術後 14 日間、片側・両側でも同じ。 アデノイド切除術を併施した場合も同じく 45 点。 扁桃摘出術を行った当日の止血については算定できない。 扁桃摘出術を行った翌日以降の後出血で、全麻下に止血術を行った場合は、K367 咽後膿瘍切開術 1,460 点に準じて算定する。 いびきに対する軟口蓋形成手術を行った場合も、扁桃摘出術に準じて算定する。 ⑨アデノイド切除術 創傷処置 45 点、術後7日間。 ⑩扁桃周囲膿瘍切開術、口腔内手術、声帯ポリープ切除術、喉頭腫瘍摘出術 創傷処置 45 点、術後7日間。 ⑪顔面、頸部手術 創傷処置 45 点(範囲により 55 点)、術後7日間。 ドレーン法を行った場合 25 点(持続吸引なら 50 点)を追加できる。術後7日間。 皮膚切開術でも同じく算定できる。 ⑫気管切開術 気管切開術後、カニューレを入れた 14 日間の処置は、創傷処置 45 点で算定する。 入院ではそれ以後算定できない。 J018 喀痰吸引(1 日につき)48 点が必要な症例では、創傷処置と併せて算定できる。 気管切開口肉芽の処置は、鼻腔粘膜焼灼術を準用せず、創傷処置で算定すること。 (4)その他 皮膚科軟膏処置は算定できない。 皮膚科光線療法は皮膚疾患が適応であり、中耳炎病名では算定できない。 5.手術 (1)副鼻腔手術 副鼻腔手術と鼻甲介切除術、鼻中隔矯正術はそれぞれ病名があれば認める。 副鼻腔手術と鼻茸摘出術は同一術野とみなされ同時算定は不可。 (2)扁摘、声帯ポリープ等の手術 一側か両側か(×2)を明記。 (3)軟口蓋形成術と扁摘の併施 いびきに対する軟口蓋形成術と、扁摘は別個に請求できるが、傷病名に睡眠無呼吸 症候群と慢性扁桃炎を明記すること。 (4)新設された手術項目 ① 副咽頭間隙腫瘍摘出術 経頸部によるもの 20,000 点 経側頭下窩によるもの(下顎離断によるものを含む)32,000 点 ② 副咽頭間隙悪性腫瘍摘出術 頸部によるもの 30,000 点 経側頭下窩によるもの(下顎離断によるものを含む)50,000 点 ③嚥下機能手術 輪状咽頭筋切断術 14,470 点 喉頭挙上術 14,130 点 喉頭気管分離術 21,700 点 喉頭全摘術 21,700 点 (5)病理 副鼻腔炎:一側毎に1臓器(上顎洞粘膜・篩骨洞粘膜・ポリープを含めて)。 扁桃:両側で1臓器。ただしアデノイドは別算定可。 声帯結節(ポリープ):両側で1臓器。 良性腫瘍:1臓器 悪性腫瘍:1臓器(上顎癌、舌癌、咽頭癌、喉頭癌など) 所属リンパ節は一側毎に1臓器(悪性腫瘍手術に伴う頸部郭清術の場合も一側毎に1 臓器)。ただし、郭清術のみの場合、所属リンパ節の他に、腫瘍近接部位として算定 可。 扁桃や喉頭ポリープでも左右が別々の疾患である等の特別な理由が注記されている 場合は×2で算定可。 喉頭癌の疑いで生検する際は、両側から採取しても1臓器。 (6)その他 ①コブレーター(高周波粘膜下減量硬化療法)によるいびきの手術は K426 いびきに 対する軟口蓋形成術 7,800 点に準じるのではなく、K331 鼻腔粘膜焼灼術 900 点で算 定。 ②K311 鼓膜穿孔閉鎖術(一連につき)1,580 点は、閉鎖部位が再び穿孔を起こし、3 か月以上を経過した後に同手術を再び施行した場合には新たに算定できる。 ③K939 画像等手術支援加算の1ナビゲーションによるものについて。鼻副鼻腔手術、 耳・鼻・眼窩領域の腫瘍手術において、術式によりやむを得ずレジストレーションを再 設定する場合は 2,000 点x2で算定可能。ただし詳記が必要。 ④皮下埋込型ポートを摘出する場合には、K000 創傷処理 4,470 点で算定。ただし、 ポートを摘出した旨の注記が必要。 ⑤耳下腺腫瘍に対する組織採取は K626 の1、リンパ節摘出 1,200 点で算定。 ⑥外来において鉗子などで除去可能な外耳道真珠腫の場合は、K286 外耳道異物除 去術の2複雑なもの 790 点で算定。開放乳突腔障害において堆積した痂皮を完全に 除去した場合も同様。 ⑦咽喉食摘術後で再建空腸の頸部モニターを、手術室で局麻下に切除した場合は 創傷処理1で算定。 6.リハビリテーション 下記の病態では、施設基準を満たせば H001 脳血管疾患等リハビリテーション料の算 定が可能 ①舌癌での言語訓練。 ②下咽頭癌などで長期間気管カニューレ管理を行った症例で、発声や構音の訓練。 ③音声疾患(声帯ポリープ、声帯結節、声帯溝症等)に対する発声指導。 ④喉頭全摘後の食道発声指導、喉頭全摘後のグロニンゲン人工声帯装着後などの 訓練。 ⑤言語習得後に生じた両側感音難聴の聴覚リハビリとコミュニケーション訓練。 ⑥補聴器訓練
© Copyright 2025 ExpyDoc