寒竹 郁夫

日本の医療・介護を世界に
「医療の倫理と企業の論理の融合」を理念に、訪問歯科診療から
スタートして、歯科・医科・介護のワンストップサービスの提供
を行う日本最大の歯科医療グループを形成。中東やアジアなどグ
ローバルに展開するDSヘルスケアグループの寒竹郁夫代表にお
話をうかがいました。
談話室
Vol.140
DSヘルスケアグループ
寒竹 郁夫
「医科」
「介護」の新たなる再出発~
~「歯科」
経営
代表・CEO
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夢シティちば 2015年₆月号
「まだまだ、
『これまで』を振り返る余裕はない。今も『これから』のことしか考えていない。先のことを考えるの
が好きなタイプです」と語る寒竹代表。
<DATA>
出身。
日本大学大学院卒業。
歯科医師・歯学博士。
株式
千葉市美浜区中瀬1-3
幕張テクノガーデンD棟17階
☎043(213)7977
会社が訪問歯科診療をフルサポートするという、
日
点とし、
医科・介護もグループに取り組む。
国内外に
活動領域を広げ、
医療の産業化を目指す。2015(平成
27)
年₄月DSヘルスケアグループ代表・CEOに就任。
高齢社会を見据え、
り組んでみては」と言われたこと
が、訪問歯科診療について考え始
めたきっかけです。高齢社会を踏
まえてニーズの高さも感じていま
した。初回の訪問歯科診療では珍
しさから新聞社の同行取材が入り、
紙面に掲載されると反響が大きく、
近隣県から引き合いが絶えない状
況となりました。
訪問歯科診療での保険適応範囲
はクリニックから ㎞以内と定め
られているため、次々にクリニッ
クを増設していき、同時にサポー
トする株式会社も拡大させていく、
という怒濤の日々でした。
訪問歯科診療の対象になる方は、
何らかの病気をお持ちの方。歯科
診療のリスクも高くなります。リ
スクが高いと思われていたため、
慎重にならざるを得ません。行政
の後ろ盾があって行うのが一般的
であったため、診療の申し込みが
あっても問診や事前調査などにか
なりの時間が費やされる状態でし
た。
ですが、自分が取り組んでみて
分かったのは「通常の診療をきち
迅速な対応のために
専門チームを
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んと行えば、それほど高リスクで
はない」ということです。であれ
ば、痛みや不便を訴えている患者
さんを待たせずに、すぐに訪問で
きる体制を整えようと、専門チー
ムをつくりました。
今は北海道から九州まで、グ
ループ全体で毎月、何万人もの患
者さんを診ていますが、重篤な事
故は皆無ですし、患者さんの主治
医との綿密な連絡も含め、準備に
は万全の体制で臨んでいます。ノ
ウハウが蓄積できた今も、日々マ
イナーチェンジは続いています。
訪問歯科診療の道を切り開く
需要に応えて
訪問歯科診療の拡充
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事業内容:歯科・医科訪問診療およびサポート、歯科技工、企
業向け歯科検診、開業支援・事務代行、セミナー・
研修、居宅介護支援・訪問介護・通所介護、住宅
型有料老人ホーム運営、訪問看護、フィットネスなど
本初のビジネススキームを構築する。
歯科医療を原
歯科クリニックからの
スタート
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私は歯科医の父のもとで育ち、
大学院を卒業後、1987(昭和
)年5月に稲毛海岸で歯科クリ
ニックを開業しました。歯科医
師として診療を行うかたわら、
(平成元)年にMS法人として歯科
技工を行う株式会社アイ・ケー・
コーポレーションを設立。(平成
)年、社名をデンタルサポート
株式会社とし、株式会社による訪
問歯科診療サポートを行うという、
日本で初のビジネススキームを開
始しました。まだ介護保険もなく、
在宅医療も一般的ではなかった頃
です。
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10
訪問歯科診療とは、お身体が不
自由、高齢で寝たきりなど、歯科
医院に通院できない方のご自宅や
施設などに、歯科医師・歯科衛生
士が伺って歯科診療をする仕組み
です。
知り合いの看護師から「医療を
受けられず困っている人はたくさ
んいる。外来ばかりではなく、取
夢シティちば 2015年₆月号
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かんたけ・いくお 1957(昭和32)
年、
東京都吾妻橋
Qカラオケの十八番は?
A 谷村新司「 群青 」、五木ひろし
「契り」。
式会社の社長を経て、2015
(平成 )年4月に、
すべての事
業を統括するDSヘルスケアグ
ループの代表となりました。自
分の中ではまだまだこれからと
いう思いが強いです。ようやく
ベースの部分を築くことができ
て、考え方もまとまってきたと
ころ。
試行錯誤はこれからも続くと
思いますが、自分の本(もと)
を忘れず、夢を持って前に進ん
でいきたい。自分自身の事業ス
テージも変化し
た今年のスロー
ガンは「新たな
る再出発」と決
めました。日本
のため、世界の
豆の長九郎山、八ヶ岳連峰の赤
岳)
、自転車。体を動かすのが好
きです。
ためになることを成し遂げたい
と思っています。
Q座右の銘は?
A 中国の故事で「小医は病を癒し、
中医は人を癒し、大医は国を癒す」。
Qとっておきのストレス解消法は?
A サンドバックにパンチすること!
歯科を軸足にグローバル展開
トップレベルです。口腔内の
歯科・医科・介護の
データをデジタルでやり取りす
ワンストップサービス
ることにより、世界中から注文
2 0 0 8( 平 成 )年、縁
を受け、日本の技術を輸出する
あってある会社から事業を引き
ことが可能になります。ドバイ
継ぎ、介護サービスも開始。高
にある歯科・医科のクリニック
齢者専用賃貸住宅(※当時の名
や、JICAでODAのプログ
称) 棟からのスタートです。
同
ラムを行っているミャンマーな
じ年、医科の訪問診療も開始し、 どとの連携も考えています。
グループ内に歯科・医科・介護
歯科技工は、国が提唱してい
がそろいました。 (平成 ) る医療の産業化のための突破口
年からはリハビリに特化したデ
に成りえます。まずは技工が世
イサービス「トータルリハセン
界に出ていくことで、そこに必
ター」も展開しています。
ず機材、材料、薬剤、本体の医
歯科からスタートしたグルー
療が後に続きます。
プですが、高齢社会に貢献する
今年のスローガンは
には医科・介護との連携は必須
「新たなる再出発」
です。歯科を軸足にそれぞれの
事業の強みを活かし、歯科・医
開業医、
医療法人の理事長、
株
科・介護のワンストップサービ
スの提供を新たな目標として掲
げました。今はその拡充をして
いきたいと思っています。
歯科技工が
Qやる気の源は?
A 仕事のビジョン、戦略、夢を語る
ボクシング歴5年。八千代の三谷大和スポーツジムに週2回は通っています。
こと。 アドレナリンが出て元気が
出ます。
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Q仕事以外でハマっていることは?
A ボクシング、山登り(この春は伊
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グローバル展開の突破口
Q愛読紙・愛読書は?
A 新聞は日経、千葉日報。 読書は
歴史作家が好きで、司馬遼太郎、
津本陽、山岡荘八。生き様に魅
かれるのは織田信長。
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歯科医療の世界は急速にデジ
タル化が進んでいます。システ
ム化されたインプラント治療、
そして歯科技工に関係した分野。
日本の歯科技工技術は世界でも
Q &A
寒竹社長
3
Q朝の習慣は?
A 朝6時に起床。自宅から海へ、そ
こから川沿いのサイクリングロード
を6km程、早足で歩いてから出社。
医療の産業化に取り組む
ぐるっと房総100キロウォーク 一緒に参加したグループスタッフと。
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夢シティちば 2015年₆月号