DIANA User`s Manual リリースノート Release9.5 日本語参考資料

リリースノート(Release Notes) Release 9.5
日本語参考資料
2014 年 10 月
JIP テクノサイエンス株式会社
2014 年 10 月
目
次
はじめに
1
第1章
解析機能
2
1.1
DIANA9.5
2
1.1.1
要素ライブラリ
2
1.1.2
材料ライブラリ
2
1.1.3
解析手法
7
第2章
2.1
第 3 章
DIANA9.5
11
12
ユーザマニュアル
3.1
構成
12
3.2
マニュアルのフォーマット
12
3.3
第4章
11
プレ・ポストプロセッシング
3.2.1
オンラインアクセスのための QHC(Qt Help Collection)フォーマット
12
3.2.2
PDF(Portable Document Format)
12
12
互換性
非互換性
13
4.1
13
DIANA9.5
4.1.1
バッチコマンド
13
4.1.2
要素ライブラリ
13
4.1.3
材料ライブラリ
15
4.1.4
解析手法
18
20
参考文献
-i-
DIANA9.5 Release Notes
日本語参考資料
2014 年 10 月
はじめに
本資料は、DIANA9.5 の新機能について概説しています。第 1 章では DIANA9.4.4 から DIANA9.5
へのバージョンアップで追加された新しい解析機能の概要について、第 2 章ではプレ・ポストプロセ
ッシングに関する機能について、第 3 章では DIANA9.5 ユーザマニュアルの構成について、第 4 章で
は DIANA9.4.4 と DIANA9.5 の非互換性について記述しています。
本資料は、DIANA9.5 正式ユーザマニュアルである”DIANA User’s Manual Release Notes Release 9.5”
の内容を日本語で補足する参考資料といたします。
-1-
DIANA9.5 Release Notes
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2014 年 10 月
第1章
1.1
解析機能
DIANA9.5
1.1.1
1.1.1.1
要素ライブラリ
解析的に統合された平面シェル要素
解析的に統合された 3 節点三角形平面シェル要素 T18FSH が利用可能になりました。この要素は特
に不安定理論[§1.1.3.15 p.7]に基づく後座屈解析や非線形振動解析に適しています。加えて、この要素
は積層複合材料や幾何学的非線形挙動を考慮することができます。
1.1.1.2
合成面要素
合成面要素が追加されました。この要素は有限要素モデルにおいて力の伝達に寄与せず、モデルの
断面力と曲げモーメントの算出およびチェックに使用されます。断面力および曲げモーメントという
ものが、荷重および拘束条件が正しく入力されているか、もしくは、非線形解析が要求した精度に達
しているかどうかのチェックに使用することができます。この要素では、要素面と垂直な線上にある
分布荷重および曲げモーメントが、ソリッド要素やこの垂直な線と交差しているソリッド要素中の鉄
筋要素の主たる Cauchy 応力から計算されます。なお、この要素では 1 次、2 次、3 次の三角形および
四角形が用意されています。
1.1.2
1.1.2.1
材料ライブラリ
インターフェース要素
インターフェース要素において、異方性の非線形弾性挙動が利用可能になりました。この挙動はイ
ンターフェース要素のタイプ[Element Library 参照]に依存し、第 2 垂直方向または第 2 接線方向の異
方性剛性がマルチリニア型の曲線で定義されます。
【マニュアル『材料ライブラリ(Material Library)』SIGDI2、TAUDI2 参照】
さらに、インターフェース要素のノーテンション挙動を表現するために、法線方向の相対変位が定
義された値を超えた場合に法線方向の剛性を低減させることが可能となりました。せん断方向の剛性
低下についても法線方向の相対変位が基準値を超えた場合に同様に定義することが可能です。
【マニュアル『材料ライブラリ(Material Library)』NOTENS NOSHTE NOSHT2 参照】
いくつかのインターフェース要素の材料では、剛性 D は空間における材料の位置に依存しています。
典型的な例は、深度により剛性 D が変化する地盤にある杭基礎です。このような依存性をモデル化す
るために、周囲の影響を無視した位置依存の剛性が利用可能となりました。
【マニュアル『材料ライブラリ(Material Library)』DSNGRD DSTGRD 参照】
1.1.2.2
モデルコードライブラリ
次のモデルコードが追加されました。
・CEB-FIP Model Code 2010 [2]
・Eurocode 2 EN 1992-1-1 [9]
・American Association of State Highway and Transportation Officials (AASHTO) [1]
・Korean Concrete Instisute (KCI) 2007 [7]
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DIANA9.5 Release Notes
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2014 年 10 月
さらに、次のモデルコードが拡張または更新されました。
・日本コンクリート工学会(JCI)[4]
・日本土木学会(JSCE)[5]
・MEN 6720/A4 [8,12](CUR Aanbeveling 97 [3]含む)
なお、モデルコードにより事前定義されたコンクリート材料特性は、材料ライブラリ(Material
Library)の第 10 章に記載されています。
1.1.2.3
Tresca もしくは Von Mises 塑性則
Von Mises および Tresca 塑性則の定義において、次の 2 種類のマルチリニア曲線による入力が追加
されました。一つ目は全ひずみとヤング係数に対応した剛性比(EPSRAT)、二つ目は全ひずみと降伏
応力(EPSSIG)の関係です。
【マニュアル『材料ライブラリ(Material Library)』EPSRAT、EPSSIG 参照】
1.1.2.4
Von Mises 塑性則
Von Mises 塑性則で移動硬化則が入力できるように拡張されました。これにより、等方硬化則、移動
硬化、もしくはそれらの組み合わせにより塑性則を定義できます。一方、降伏曲面に移動する一定応
力を決定することが可能となります。
【マニュアル『材料ライブラリ(Material Library)』背景理論参照】
1.1.2.5
Drucker-Prager 塑性則
Drucker-Prager 塑性則で移動硬化則が入力できるように拡張されました。これにより、等方硬化則、
移動硬化、もしくはそれらの組み合わせにより塑性則を定義できます。
【マニュアル『材料ライブラリ(Material Library)』背景理論参照】
1.1.2.6
Rankine-Hill - 異方塑性則
Rankin-Hill 異方塑性モデルが L.J van der Meer の研究[13]に基づいて改良されました。改良点は基本
的に元の Rankine-Hill の降伏曲面の特異点の丸めとサブステップスキームの手法の中に含まれていま
す。
【マニュアル『材料ライブラリ(Material Library)』参照】
1.1.2.7
粘塑性 Egg Cam-clay モデル
Egg Cam-clay モデルで粘塑性の影響を考慮できるように拡張されました。この拡張された粘塑性モ
デルは固められた砂岩の時間依存挙動を表現することができます。
【マニュアル『材料ライブラリ(Material Library)』背景理論参照】
1.1.2.8
Dodd-Restrepo 塑性則
Dodd-Restrepo モデルは鋼材の繰り返し挙動を表現するための特別な塑性モデルです。Dodd-Restrepo
モデルはひずみ硬化領域以前の降伏安定を定義しますが、除荷と再載荷で別々の係数をもっており、
除荷および再載荷時にはバウジンガー曲線が用いられます。なお、Dodd-Restrepo モデルは埋込み鉄筋
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DIANA9.5 Release Notes
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2014 年 10 月
要素でも利用可能です。
【マニュアル『材料ライブラリ(Material Library)』DODDRE 参照】
1.1.2.9
全ひずみひび割れモデル
全ひずみひび割れモデルにおいて、骨材の大きさに基づいたせん断保伝達が利用可能となりました。
ひび割れ箇所のせん断剛性はひび割れがさらに進展することで減少します。すべての接触が一度失わ
れると仮定すると、ひび割れはひび割れを統合した大きさの平均値の半分よりも広く開きます。また、
Decay 機能により接触密度、せん断変形および接触密度、せん断変形のための前川モデルの機能が全
ひずみひび割れモデルでも利用可能となりました。
【マニュアル『材料ライブラリ(Material Library)』AGGREG、MAESHR、MAEDEC 参照】
Thorenfeldt 曲線のピーク後におけるスケール変数が利用可能となりました。
【マニュアル『材料ライブラリ(Material Library)』LTHORE 参照】
脆性引張、線形引張軟化、指数引張軟化、Hordijk の引張軟化曲線において、大ひずみ領域における
残存引張強度を決定することが可能となりました。
【マニュアル『材料ライブラリ(Material Library)』RESTST 参照】
Thorenfeldt 曲線による圧縮挙動および双曲線による圧縮挙動において、大ひずみ領域における残存
圧縮強度を決定することが可能となりました。
【マニュアル『材料ライブラリ(Material Library)』RESCST 参照】
図 2.2.5 に示す 2012 年制定日本コンクリート工学会(JSCE)のモデルコード[6]に示されている横方
向ひび割れによる圧縮強度の低減が利用できるようになりました。
さらに、全ひずみひび割れモデルにおいて前川ひび割れコンクリートモデルの曲線が利用できるよ
うになりました。これにより、圧縮荷重下における前川モデルの曲線(圧縮軟化曲線)と引張軟化曲
線を組み合わせられるようになりました。また、圧縮破壊において前川ひび割れコンクリートモデル
が選択される場合、引張および圧縮下において除荷および再載荷の曲線として自動的に前川ひび割れ
コンクリートモデルが適用されます。
1.1.2.10
埋込み鉄筋の挙動
埋込み鉄筋要素において、Von Mises 塑性モデルで次の 2 種類のマルチリニア曲線による入力が追
加されました。一つ目は全ひずみとヤング係数に対応した剛性比(EPSRAT)、二つ目は全ひずみと降
伏応力(EPSSIG)の関係です。
【マニュアル『材料ライブラリ(Material Library)』EPSRAT、EPSSIG 参照】
さらに、日本土木学会(JSCE)のコンクリートコード 2012[6]による式 2.3.1 から式 2.3.4 に関する
鉄筋の硬化曲線が利用できるようになりました。
【マニュアル『材料ライブラリ(Material Library)』REJSCE 参照】
1.1.2.11
付着すべり
付着すべり埋込み鉄筋要素において、コンクリートと鉄筋間の付着特性として島モデルが利用可能
となりました。島モデルはせん断応力 tt とせん断すべり量⊿ut の関係で記述されます。
【マニュアル『材料ライブラリ(Material Library)』BONDSL 参照】
-4-
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2014 年 10 月
1.1.2.12
日本の土木学会(JSCE)引張軟化モデル
日本の土木学会(JSCE)における引張軟化モデルが利用可能となりました。JSCE の引張軟化モデ
ルは、(0.75Gf/ft , 0.25ft)が折れ点となるバイリニアの曲線です。なお、ひび割れひずみが 5Gf/ft の時
に応力は 0 となります。このモデルは多方向固定ひび割れモデル、全ひずみひび割れモデル、修正前
川コンクリートモデル、離散ひび割れモデル、強度低減解析で利用可能です。
1.1.2.13
日本土木学会(JSCE)引張硬化モデル
日本の土木学会(JSCE)における引張硬化モデルが利用可能となりました。このモデルは多方向固
定ひび割れモデル、全ひずみひび割れモデル、修正前川コンクリートモデル、強度低減解析で利用可
能です。
1.1.2.14
Eurocode 火災荷重曲線
鋼鉄筋で Eurocode2(EN 1992-1-2§3.2.3[10])の表 3.2a および 3.2b に示す温度依存による弾塑性硬化
曲線が利用可能となりました。
火災荷重下でのコンクリートの圧縮破壊において、Eurocode2(EN 1992-1-2§3.2.2.1[10])および
Eurocode4(EN 1994-1-2§3.2.2[11])で定義される曲線は全ひずみひび割れモデルで定義されます。また、
この曲線のすべての入力パラメータに対して温度依存性を設定することができます。この曲線に関し
て、Eurocode2(EN 1992-1-2§3.2.2.1(7))や Eurocode4(EN 1994-1-2,Appendix 3)による冷却後の強度の回
復、もしくは強度の完全回復のどちらかを選択することが可能です。なお、この圧縮曲線は温度依存
性がないものとして剛性適応解析でも利用可能です。
1.1.2.15
温度膨張係数に依存した成熟度
温度膨張係数αに依存した成熟度が利用可能となりました。
【マニュアル『材料ライブラリ(Material Library)』MATALP 参照】
1.1.2.16
各層における異方性材料特性
繊維強化された合成材料による積層シェル要素では、各層における繊維方向角度θは MATERI テー
ブル内の ORIENT パラメータによって決定されます。このパラメータは特にシェルの構造が曲面であ
る場合(例えば円筒形や円錐形、球形など)に有効です。また、この角度は既存の要素座標系(XAXIS)
の代わりに定義することができます。
1.1.2.17
修正 Mohr-Coulomb
修正 Mohr-Coulomb 塑性モデルにおいて、引張およびダイレイタンシーのカットオフが利用可能と
なりました。
【マニュアル『材料ライブラリ(Material Library)』修正 Mohr-Coulomb 塑性モデルの TENSTR、
DILCUT 参照】
1.1.2.18
粘着力の初期応力への適合
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2014 年 10 月
Drucker-Prager モデルや Mohr-Coulomb 塑性モデル、インターフェース要素の Coulomb 摩擦モデルに
おいて、初期応力が降伏曲面の外側にある状態で非線形解析の初期状態を評価する場合、粘着力を初
期応力へ適合することができるようになりました。この方法は粘着力の値が未定であるモデルにおい
て、一定の初期状態を得る場合に有効です。
【マニュアル『材料ライブラリ(Material Library)』FITCOH 参照】
1.1.2.19
修正 UBC-SAND モデル
液状化解析に適している砂モデルとして修正 UBC-SAND モデルが利用可能となりました。修正
UBC-SAND モデルの公式は、British Columbia 大学で開発された元々の UBC-SAND モデルの特別な特
徴に適合できるように修正を行った修正 Mohr-Coulomb モデルに基づいています。しかし、元々の
UBC-SAND モデルとは異なり修正 UBC-SAND モデルは 3 次元への適用が可能です。修正の大部分は、
境界面へのアプローチ時における繰り返し載荷の間の混合等方移動硬化則を伴っています。このモデ
ルは材料パラメータのように簡単に手に入る Mohr-Coulomb モデルを使用し、静的および動的解析で
使用されます。
【マニュアル『材料ライブラリ(Material Library)』参照】
1.1.2.20
ユーザサブルーチンによるばね挙動
一軸の並進および回転ばね要素では、相対変位と力またはモーメントの関係はユーザサブルーチン
により定義されます。このユーザサブルーチンは挙動依存の履歴が定義されるようなステータスパラ
メータの使用をサポートします。
【マニュアル『材料ライブラリ(Material Library)USRSPR 参照】
1.1.2.21
修正前川コンクリートモデル
修正前川コンクリートモデルで、全ひずみひび割れモデルと同様に横方向ひび割れによる圧縮強度
の低減を考慮できるようになりました。また、2012 年制定日本の土木学会(JSCE)の図 2.2.5 に示さ
れるモデルコード[6]による横方向ひび割れによる圧縮強度の低減も、修正前川コンクリートモデルで
考慮できるようになりました。
さらに、圧縮強度 fc と一軸載荷条件における圧縮ひずみε0 からヤング係数を算出する機能が追加
されました。この機能は全ひずみひび割れモデルにおける前川ひび割れコンクリートモデルの圧縮曲
線でも利用することができます。
【マニュアル『材料ライブラリ(Material Library)ENORM 参照】
1.1.2.22
修正武田モデル
修正武田モデルが class-I の 2 次元梁要素 L6BEN で利用可能となりました。修正武田モデルは曲げ
モーメント MZ と曲率 kz の非線形履歴関係を定義します。修正武田モデルは繰り返し載荷における鉄
筋コンクリート部材の破壊を定義するために使用されます。なお、修正武田モデルは力と伸び量間に
おける一般化された応力-ひずみダイアグラムとの組み合わせで定義されます。
【マニュアル『材料ライブラリ(Material Library)背景理論参照】
-6-
DIANA9.5 Release Notes
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2014 年 10 月
1.1.2.23
非排水挙動
非排水挙動において、Skempton の B パラメータによる非排水圧縮係数 Kf,num と多孔率 n が算出可能
となりました。
【マニュアル『材料ライブラリ(Material Library)SKEMPB 参照】
1.1.3
解析手法
1.1.3.1
モデル情報
有限要素モデル全体に対して考慮されるパラメータが MODEL テーブルで定義されます。具体的に
は次のパラメータを MODEL テーブルで定義することができます。
・重力加速度(GRAVAC)
・重力方向(GRAVDI)
・流体密度(DENSFL)
・全水頭の参照点(REFHEA)
・Rayleigh 減衰のパラメータ(RAYLEI)
MODEL テーブル内の重力に関するパラメータは土水連成解析において、圧力水頭から間隙水圧へ
の変換や地下水流れ-応力解析、地盤解析における初期応力 K0 の算出に使用されます。
MATERI テーブルで流体密度や Rayleigh 減衰パラメータが明確に定義される場合、これらの値は
MODEL テーブルで定義される値の代わりに使用されます。よって、モデル全体に対してこれらのパ
ラメータを定義することで材料特性を上書きすることが可能です。
1.1.3.2
非線形解析のためのソルバー設定
非線形解析(*NONLIN)において、解析全体を通して使用されるすべての線形方程式ソルバーを設
定することができます。これらの設定は EXECUTE ブロックおよび初期状態において、既存のソルバ
ーコマンドで上書きされます。
【マニュアル『解析手法(Analysis Procedures)』SOLVE 参照】
1.1.3.3
自動タイイング
自動タイイング機能を使用する際に、すべての梁要素を平面応力要素やソリッド要素と結合するこ
とが可能となりました。さらに、平面シェル要素および曲面シェル要素をソリッド要素と結合するこ
とが可能となりました。対して以前のバージョンでは、自動タイイングは Class-III の梁要素のみを平
面応力要素やソリッド要素と結合したり、曲面シェル要素のみをソリッド要素と結合したりするのみ
でした。
1.1.3.4
複素荷重
モード振動数応答解析や直接振動数応答解析では、複素荷重、例えば非ゼロ位相角をもつような荷
重のような複素荷重は、FREQLO テーブルにおいて荷重の実数部および虚数部からなる振動数-荷重ダ
イアグラム、もしくは振動数-振幅ダイアグラムおよび振動数-位相ダイアグラムのどちらかの入力に
より定義されます。
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DIANA9.5 Release Notes
日本語参考資料
2014 年 10 月
1.1.3.5
強制回転加速度
既に利用可能な強制並進加速度に続いて、強制回転加速度が過渡動的解析(*NONLIN)の荷重とし
て利用可能となりました。強制加速度は不均一な節点加速度を有するモデル化で使用され、LOADS
テーブル内の ACCELE サブテーブルで入力可能です。
【マニュアル『解析手法(Analysis Procedures)』Prescribed Accelerations 参照】
1.1.3.6
動水圧
HFTD モジュールを用いたハイブリッド振動数時間領域(HFTD)解析で、流体構造インターフェー
ス要素の動水圧が出力できるようになりました。なお、出力項目 FSPRES はモーダル応答解析や直接
応答解析、過渡解析で既に利用可能です。
【マニュアル『解析手法(Analysis Procedures)』FSPES 参照】
1.1.3.7
節点結果に基づく解析中断手法
線形過渡、構造非線形、強度低減解析において節点結果に基づく解析中断手法が対応可能となりま
した。ひずみや応力に基づく解析中断手法に加えて、変位、速度、加速度、節点力、節点要素力が解
析中断手法の基準として使用できます。
【マニュアル『解析手法(Analysis Procedures)』STOP 参照】
1.1.3.8
エンジニアリング液状化解析(3 次元液状化流動解析、ALID)
エンジニアリング液状化解析(3 次元液状化流動解析、ALID)(*ELIQUE)が利用可能となりまし
た。この機能は液状化発生前後の変位を予測した静的非線形解析に基づく簡素化されたアプローチを
使用します。しかし、この現象が生じる時間スケール上における情報は何も得られません。エンジニ
アリング液状化解析は、追加の変形を生じさせる低減係数 SHRRED(液状化による地表面のせん断係
数)を指定することで実施します。
【マニュアル『解析手法(Analysis Procedures)』参照】
1.1.3.9
エンジニアリングクリープ解析
エンジニアリングクリープ解析(*ECREEP)が利用可能となりました。この機能はクリープ発生前
後の変位を予測した静的非線形解析に基づく簡素化されたアプローチを使用します。しかし、この現
象が生じる時間スケール上における情報は何も得られません。エンジニアリングクリープ解析は、初
期値よりも小さい長期ヤング係数 YOUNLT および長期ポアソン比 POISLT を指定することで実施しま
す。これはクリープの影響による追加の変形を引き起こします。
【マニュアル『解析手法(Analysis Procedures)』参照】
1.1.3.10
埋込み鉄筋要素と母要素の間のせん断応力
出力項目 STRESS SHEAR により、バータイプの埋込み鉄筋要素と母要素の間のせん断応力を算出
することが可能となりました。
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DIANA9.5 Release Notes
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2014 年 10 月
1.1.3.11
Janssen 材料モデルの出力結果
シェル要素に対して使用されるインターフェース要素に Janssen 材料モデルが定義されている場合、
平均相対変位や相対回転、対応する分布力および分布モーメントが出力可能となりました。これらの
出力結果は局所座標系におけるインターフェース要素の節点結果として出力することができます。
【マニュアル『解析手法(Analysis Procedures)』JANFOR、JANMOM 参照】
1.1.3.12
変位、速度、加速度ベクトルの長さ
静的線形、過渡動的、ハイブリッド振動数時間領域、構造非線形解析において、変位や速度、加速
度ベクトルの長さが出力可能となりました。変換の期間のみこれらのベクトルのノルムを計算するた
めに使用されます。これらのスカラー結果はいくつかの出力形式によって荷重ケースを精査するため
に使用されます。
【マニュアル『解析手法(Analysis Procedures)』NORM 参照】
1.1.3.13
最小および最大値
安定熱流れおよび地下水流れ解析において、選択した境界ケースの最小および(または)最大値が
出力可能となりました。また、過渡熱流れおよび地下水流れ解析において、選択したステップの最小
および(または)最大値が出力可能となりました。
1.1.3.14
オイラー安定解析
積層シェル要素でも後座屈および連続解析が使用可能となりました。
非線形解析(*NONLIN)により得られた変形形状を引き継いでオイラー安定解析を実行することが
可能となりました。
【マニュアル『解析手法(Analysis Procedures)』NLPREB 参照】
本バージョンでは NLPREB コマンドが指定されるとき、曲面シェル要素のみに対して非線形解析に
続いて起こる後座屈および連続解析に対して非線形解析の結果が引き継がれます。
後座屈および連続解析では、UNCPL コマンドにより指定された 2 次モードとそれに対応した後座
屈係数のみが計算されます。これにより計算時間を大幅に短縮でき、重要な座屈モードの選択に関す
る検討を行うことができます。
【マニュアル『解析手法(Analysis Procedures)』参照】
連続解析において DYBUCK コマンドが指定されるとき、追加の動的係数が計算されます。この係
数は動的荷重下における構造物の動的座屈荷重の評価に使用されます。
【マニュアル『解析手法(Analysis Procedures)』参照】
1.1.3.15
非線形振動解析
大振幅非線形自由振動解析(*VIBRAT)が利用可能となりました。この機能は大きい刺激係数下に
おいて大振幅振動が発生する場合に、幾何学的非線形の影響を含むような構造物の動的解析に適して
います。構造物の自然振動数では、非線形性は軟化もしくは硬化の影響によるものです。例えば、固
有振動数は振幅の増加により減少もしくは増加します。DIANA では構造物の振幅-振動数の関係を推
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DIANA9.5 Release Notes
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2014 年 10 月
定するためにある振動方法が使用されます。
【マニュアル『解析手法(Analysis Procedures)』参照】
1.1.3.16
正規化累加ひずみエネルギー
全ひずみひび割れモデルおよび修正前川ひび割れコンクリートモデルにおいて、正規化累加ひずみ
エネルギーを計算そして出力することが可能となりました。このエネルギーは材料が抵抗しうる最大
圧縮応力に対して標準化されます。
【マニュアル『解析手法(Analysis Procedures)』STATUS ENERGY 参照】
1.1.3.17
せん断容量および静水圧容量
インターフェース要素において、クーロン基準に反する応力のせん断応力容量および静水圧容量の
出力は線形地盤解析で簡単にチェックできますが、この機能が通常の線形静的解析や線形過渡解析、
スペクトル応答解析、ハイブリッド振動数時間領域解析、非線形解析で利用可能となりました。
【マニュアル『解析手法(Analysis Procedures)』CAPACI 参照】
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DIANA9.5 Release Notes
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2014 年 10 月
第2章
2.1
プレ・ポストプロセッシング
DIANA9.5
2.1.1
Mesh Editor
新しい Mesh Editor が利用可能となりました。新しい Mesh Editor では解析コマンドが完全に統合さ
れたため、これまでの Mesh Editor および DIANA_W に置き換わるプログラムとなります。新しい Mesh
Editor では DIANA の入力データや FX+ for DIANA のモデルデータ、Nastran データを読み込み可視化
することが可能です。また、材料モデルや境界条件を定義することが可能です。結果処理にも対応し
ており、コンター図やベクトル図、変形図を新しい Mesh Editor で直接表示することが可能です。Mesh
Editor 上でのすべての操作は Python スクリプトでログファイルに保存されますが、これをそのまま利
用したり編集して利用したりすることが可能です。
新しい Mesh Editor は Windows および Linux 環境の両方に対応しています。将来的には FX+ for
DIANA の機能をすべて含むように拡張する予定です。
【マニュアル『はじめに(Getting Started)』参照】
2.1.2
2.1.2.1
FX+ for DIANA での動作
節点加速度荷重
FX+ for DIANA において、過渡動的解析(*NONLIN)のための荷重として規定された並進加速度が
利用可能となりました。規定された加速度は不均一な節点並進加速度のモデル化に使用され、LOADS
テーブルの ACCELE サブテーブルで入力されます。
【マニュアル『解析手法(Analysis Procedures)』Prescribed Accelerations 参照】
2.1.2.2
ドリル回転を考慮した曲面シェル要素
ドリル回転を考慮した曲面シェル要素が FX+ for DIANA で利用可能となりました。これらの要素は
既存の一次および二次要素に対してドリル回転として付加的な回転φz を有する要素として作成され
ます。要素が節点に関してほぼ同一平面上にある場合、ドリル回転を考慮した曲面シェル要素の利用
は全体剛性マトリクスの組み立てにおいて悪条件を回避できるため、非常に効果的です。
【マニュアル『要素ライブラリ(Element Library)』T18SH、Q24SH、CT36S、CQ48S 参照】
2.1.2.3
インターフェース要素の非線形弾性材料
FX+ for DIANA で、インターフェース要素の異方性非線形弾性挙動を定義することが可能となりま
した。インターフェースの要素タイプ[要素ライブラリ参照]により、第 2 法線方向もしくは第 2 接線
方向の異方性剛性を定義するために 2 つ目のマルチリニア曲線を指定することができます。
【マニュアル『材料ライブラリ(Material Library)』SIGDI2、TAUDI2 参照】
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DIANA9.5 Release Notes
日本語参考資料
2014 年 10 月
第3章
3.1
ユーザマニュアル
構成
DIANA9.5 ユーザマニュアルは以下のように構成されております。
・ はじめに(Getting Started)
・ 要素ライブラリ(Element Library)
・ 材料ライブラリ(Material Library)
・ 解析手法(Analysis Procedures)
・ iDIANA
・ FX+ for DIANA
・ 解析例題(Analysis Examples)
・ 地盤解析(Geotechnical Analysis)
・ コンクリートとレンガ造の解析(Concrete and Masonry Analysis)
・ 索引(Cumulative Index)
なお、DIANA9.4.4 にございましたアプリケーションモジュール(Application Modules)は、解析
手法(Analysis Procedures)内に含まれております。
3.2
マニュアルのフォーマット
DIANA9.5 では、QHC(Qt Help Collection)フォーマットと PDF (Portable Document Format)でマ
ニュアルを提供させていただきます。
3.2.1
オンラインアクセスのための QHC(Qt Help Collection)フォーマット
QHC を利用するためには、DIANA インストールプログラムに含まれている Qt Assistant program が
必要となります。Qt Assistant を用いることで、簡単にオンラインで全てのユーザマニュアルにアクセ
スすることができます。このフォーマットは、iDIANA や Mesh Editor といった GUI 上の Help 機能か
らもアクセスすることができます。また Windows 版のオンラインマニュアルは、DIANA のインスト
ールフォルダから簡単にアクセスすることができます。
3.2.2
PDF(Portable Document Format)
このフォーマットは、プリント出力やマニュアルの一部を製本様式で表示することに適しておりま
す。アドビシステムズ社から PDF へのアクセスが可能な Acrobat Reader が提供されており、Adobe
web-site(http://www.adobe.com.)から無料でこのプログラムをダウンロードすることができます。
3.3
互換性
DIANA9.5 マニュアルは、DIANA code Release 9.5 と互換性があります。
- 12 -
DIANA9.5 Release Notes
日本語参考資料
2014 年 10 月
第4章
4.1
非互換性
DIANA9.5
4.1.1
バッチコマンド
4.1.1.1
データファイルの変換
DIANA9.5 リリース版に付属しているユーティリティープログラム d95dat により、DIANA9.4、
DIANA9.4.2、DIANA9.4.3、DIANA9.4.4 用のデータファイルを DIANA9.5 用に変換することが可能で
す。d95dat プログラムは UNIX フィルタのように動作します。すなわち標準入力として以前のバージ
ョンのデータファイルを読み込み、標準出力として DIANA9.5 のデータファイルを書き出します。
UNIX のリダイレクションのように、入力コマンドは以下のようになります。
d95dat
< old.dat >
new.dat
もし何らかのデータが適切に変換されなかった場合は、エラー出力ファイルのメッセージを詳細に
確認し、データファイルを直接修正する必要があります。
4.1.1.2
コマンドファイルの変換
DIANA9.5 リリース版に付属しているユーティリティープログラム d95dcf により、DIANA9.4、
DIANA9.4.2、DIANA9.4.3、DIANA9.4.4 用のコマンドファイルを DIANA9.5 用に変換することが可能
です。d95dcf プログラムは UNIX フィルタのように動作します。すなわち標準入力として以前のバー
ジョンのコマンドファイルを読込み、標準出力として DIANA9.5 のコマンドファイルを書き出します。
UNIX のリダイレクションのように、入力コマンドは以下のようになります。
d95dcf
< old.dcf >
new.dcf
もし何らかのコマンドが適切に変換されなかった場合は、エラー出力ファイルのメッセージを詳細
に確認し、コマンドファイルを直接修正する必要があります。
4.1.2
4.1.2.1
要素ライブラリ
合成ソリッド要素
合成ソリッド要素は、合成線要素や合成面要素[§1.1.1.2 p.1]でその機能がすべて満たされるため、
本バージョンでは利用不可となりました。
4.1.2.2
インターフェース要素
次のページの表 4.1 に示すように、過剰に多い積分点を避けるためにインターフェース要素のデフ
ォルトの積分スキームが変更されました。
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DIANA9.5 Release Notes
日本語参考資料
2014 年 10 月
表 4.1
4.1.2.3
積分点数の変更
線-平面間のインターフェース要素
線-平面間のインターフェース要素では、材料パラメータ DSTIF によって線形剛性が指定されます
が、材料ライブラリに記述されている通り DSTIF の一つ目の数値は法線方向の剛性を表し、二つ目の
数値は接線方向の剛性を表します。しかし、DIANA9.4.4 では不具合のため法線方向と接線方向の数値
が逆となっていました。
4.1.2.4
線-シェル間のインターフェース要素
線-シェル間のインターフェース要素では、材料パラメータ DSTIF によって線形剛性が指定されま
すが、材料ライブラリに記述されている通り DSTIF の一つ目の数値は法線方向の剛性を表し、二つ目
の数値は接線方向の剛性を表します。しかし、DIANA9.4.4 では不具合のため法線方向と接線方向の数
値が逆となっていました。
4.1.2.5
点/線-平面/シェル/ソリッド間のインターフェース要素
付着すべり埋込み鉄筋や杭(要素ライブラリ参照)を使用する場合、L12IF と CL18I を除く全ての
点-平面、線-平面、点-シェル、線-シェル、点-ソリッド、線-ソリッド間のインターフェース要素は内
部で生成されます。よって、これらのインターフェース要素はユーザによって明確に指定する必要が
ないため、要素ライブラリから削除されます。具体的には以下の要素タイプです。
T8IF、Q10IF、CT14IF、CQ18IF、T18I、Q23IF、CT33I、CQ43I、TE15IF、TP21IF、HX27IF、
CTE33I、CTP54I、CHX63I、T10IF、Q12IF、CT18IF、CQ22IF、T21IF、Q26IF、CT39I、CQ49I、
TE18IF、TP24IF、HX30IF、CTE39I、CTP54I、CHX69I
4.1.2.6
付着すべり埋込み鉄筋と杭基礎
付着すべり埋込み鉄筋と杭基礎に関して、矩形、ボックス、円筒形、パイプ形状の梁断面において
直径もしくは周長の指定が不要になりました。杭基礎においては、杭の支持力と先端の挙動を定義す
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DIANA9.5 Release Notes
日本語参考資料
2014 年 10 月
ることができます。さらに、追加の材料モデルが利用可能となりました。これらの修正によりいくつ
かの構文(データの記述フォーマット)が変更されました。
【マニュアル『要素ライブラリ(Element Library)』、『材料ライブラリ(Material Library)』参照】
4.1.2.7
合成線要素
合成線要素において、曲げモーメントによる符号設定は通常の梁要素と同様となりました。
DIANA9.4.4では合成線要素の曲げモーメントに対して異なる符号設定が使用されていました。そのた
め、DIANA9.4.4の初期バージョンで合成線要素の曲げモーメントに違いが見られます。
4.1.2.8
水圧による水頭
水圧による水頭が、ELEMEN POTENTに代わり’LOAD’テーブルのELEMEN HEADにより定義さ
れるようになりました。
4.1.2.9
地下水流れ要素
外的な水頭が、ELEMEN EXTPOTに代わり’BOUNDA’テーブルのELEMEN EXTHEAにより定義さ
れるようになりました。
4.1.3
4.1.3.1
材料ライブラリ
環境もしくは時間依存の材料特性
様々な環境や要素材齢、時間依存の材料項目に関する構文が変更されました。以前のバージョンで
は 2 つのパラメータによって指定されていた単一の依存性が、新しい材料パラメータ 1 つで定義でき
るようになりました。なお、複数の依存性についての変更はありません。変更された材料項目の概要
を表 4.2 に示します。ユーティリティープログラム d95dat[§4.1.1.1 p.13]により、以前のバージョンの
データを本バージョンのデータに変換できます。
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DIANA9.5 Release Notes
日本語参考資料
2014 年 10 月
表 4.2
4.1.3.2
変更された材料項目
Von Mises 塑性モデル
Von Mises 塑性モデルにおいて、線形弾性応力-ひずみマトリクスの代わりに塑性ひずみと一定接線
剛性マトリクスを計算する際に、せん断弾性係数が直接的に使用されます。一般的に違いはありませ
んが、シェル要素および梁要素では線形弾性応力-ひずみマトリクスを修正するためにせん断低減係数
が使用されるため、以前のバージョンに対して微小な数値誤差が生じる可能性があります。
4.1.3.3
修正 Mohr–Coulomb モデル
修正 Mohr–Coulomb モデルの改善により、以前のバージョンと比較して結果に微小な差異が生じる可
能性があります。
エンジニアリング入力による修正 Mohr–Coulomb モデルにおいて、キャップ硬化および弾性の上限に
よる等式の種類はべき乗数のパラメータmに依存したユーザ定義による応力レベルの力に依存します。
応力レベル依存のべき乗数パラメータmが 0 の場合、指数関数による硬化および弾性の上限が適用さ
れます。他の場合は力の低減による硬化および弾性の上限が適用されます。
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DIANA9.5 Release Notes
日本語参考資料
2014 年 10 月
4.1.3.4
Rankine–Hill - 異方性塑性モデル
Rankine-Hill 異方性塑性モデル[§1.1.2.6 p.2]の改善により、以前のバージョンと比較して結果に微小
な差異が生じる可能性があります。加えて、Rankine-Hill 異方性塑性モデルにおいて収縮ひずみを生じ
させる湿度との組み合わせが利用不可となりました。
4.1.3.5
一般化された応力-ひずみ曲線
Class-Ⅰの梁要素と平面シェル要素において、すべての一般化されたマルチリニア型の応力-ひずみ
関係を公式化する必要がなくなりました。ユーザは応力-ひずみ関係を直接マルチリニア型の曲線で指
定することが可能です。一般化されていない応力-ひずみ曲線が一般化された応力成分とそれに依存す
るひずみ成分のために与えられる場合、線形弾性挙動が仮定されます。
4.1.3.6
Janssen モデル
Janssen モデルの入力パラメータ、すなわちシェル要素に対する線インターフェースにおけるインタ
ーフェースの曲げモーメントと回転開きの非線形関係の定義が変更されました。ヤング係数(YOUNG)
およびポアソン比(POISON)を指定する必要はありませんが、他のインターフェース要素の材料モ
デルと同様に初期剛性(DSTIF)は指定する必要があります。また、以前のバージョンでは不可能で
したが、本バージョンではせん断 2 方向(平面内および平面垂直方向)に異なる係数を入力すること
が可能となりました。
4.1.3.7
Westergaard 分布質量
Westergaard 分布質量の構文(データの記述フォーマット)が変更されました。流体密度ρf および
重力方向を材料パラメータ WESTER で定義する必要はありません。流体密度ρf は’MATERI’テーブル
の DENSFL もしくは’MODEL’テーブルのモデル情報から読み取られ、明確に定義されます。また、重
力方向は’MODEL’テーブル[§1.1.3.1 p.5]で定義されます。
4.1.3.8
ユーザサブルーチンによる結果抽出
USRBEA や USRSHL といった結果抽出のためのユーザサブルーチンの引数リストに、現在の荷重ケ
ース番号およびポアソン比が追加されました。
【マニュアル『材料ライブラリ(Material Library)』参照】
4.1.3.9
流体-構造相互作用
重力対流マトリクス(自由面波)および放射対流マトリクス(Sommerfeld 放射線)の構文(データ
入力フォーマット)が変更されました。負のバネ挙動の原因となっていた放射対流と底面吸収マトリ
クスにおける不具合が修正されました。さらに、放射対流マトリクスで使用される音速は振動数およ
び深度に依存しなくなりました。
【マニュアル『材料ライブラリ(Material Library)』参照】
4.1.3.10
地下水流れ
地下水流れにおける透水係数の材料パラメータの名称が、規則的な地下水流れ要素では CONDUC
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DIANA9.5 Release Notes
日本語参考資料
2014 年 10 月
から HYDCND、地下水流れインターフェース要素では DFLUX から DHYDCN に変更されました。ま
た、圧力水頭に依存した透水係数は地下水流れインターフェース要素におけるパラメータ HEADHC
により定義されます。
4.1.4
4.1.4.1
解析手法
単位
GUI で例えば材料プロパティや出力結果の確認など、単位系を幅広く使用するため、長さ、質量、
力、時間、温度の単位はその名前を用いて常に定義すべきです。オフセットやファクターの形式によ
って長さ、質量、力、時間、温度を代わりに定義しても認識されません。
【マニュアル『解析手法(Analysis Procedures)』参照】
4.1.4.2
死荷重
死荷重(WEIGHT)の構文(データ入力フォーマット)が変更されました。すなわち、死荷重の方
向と重力加速度は’MODEL’テーブル[§1.1.3.1 p.5]により定義されます。この変更により異なる方向に
複数の死荷重を適用できなくなることに注意する必要があります。しかし、代替として他の方向の死
荷重のために等価な加速度荷重(EQUIAC)を使用することができます。
【マニュアル『解析手法(Analysis Procedures)』参照】
4.1.4.3
過渡解析
構造線形および非線形過渡解析における通常の時間積分法が、Euler Backward の 1 次精度からγ=
1/2、β=1/4 による Newmark の 2 次精度に変更されました。このγおよびβの設定によりアルゴリズ
ムの安定性が保証されます。
4.1.4.4
ハイブリッド振動数-時間領域解析
ハイブリッド振動数-時間領域解析が再構成されましたが、構文に変更はありません。しかし、塑性
ポイントやひび割れ、反力、モーメントに関するログ情報のコマンドが追加されました。
【マニュアル『解析手法(Analysis Procedures)』参照】
4.1.4.5
幾何学的非線形解析
幾何学的非線形における Class-Ⅰおよび Class-Ⅱの梁要素の改善のため、幾何学的非線形を考慮し
た解析結果に微小な差異が生じる可能性があります。
4.1.4.6
非線形解析-地盤に関する出力
地盤解析機能に関する圧力結果(PRESSU)が非排水状態の過剰間隙水圧だけではなく、要素にお
けるユーザ定義の圧力や前述の地下水流れ解析で計算した圧力においても利用可能となりました。さ
らに、有効応力と全応力の両方が出力可能となりました。ただし、以前のバージョンでは STRESS TOTAL
による出力項目は有効応力であることに注意してください。
4.1.4.7
混合解析-出力
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DIANA9.5 Release Notes
日本語参考資料
2014 年 10 月
DIANA9.5 では、混合解析による DISPLA PRESSU の結果は節点での全孔圧力 p(PO)と過剰間隙水圧
pe(EX)を含みませんが、節点での孔圧力ポテンシャルφ(PH)を含みます。混合要素において、PRESSU
による結果は要素レベルにおける全孔圧力(PO)と過剰間隙水圧(EX)を出力することが可能ですが、
全孔圧力ポテンシャル(PH)を出力することはできません。さらに、有効応力と全応力の両方を出力
することが可能です。ただし、以前のバージョンでは STRESS TOTAL による出力項目は有効応力である
ことに注意してください。
4.1.4.8
地下水流れ解析
地下水流れ解析における出力項目は、地盤工学における一般的な慣習に一致した方法で再定義され
ます。すなわち流れおよび流束に続いて、水頭および間隙水圧が出力可能となりました。ただし、水
頭を出力するための構文が変更されたことに注意してください[§4.1.2.8]。なお、間隙水圧は流体密度
の材料パラメータにより要素の結果として計算されます。
固定した節点水頭が’FIXPOT’テーブルの代わりに’FIXHEA’テーブルで定義されるようになりまし
た。
設定した節点水頭が NODAL P の代わりに’BOUNDA’テーブルの NODAL H で定義されるようになり
ました。
4.1.4.9
Reynolds 流れ-潤滑解析
潤滑解析において、節点圧力を出力するための構文(データの入力フォーマット)が PRESSU から
PRSNOD に変更されました。
4.1.4.10
ユーザサブルーチン
DIANA9.5 では、ユーザサブルーチンは外部ライブラリを使用することでのみ提供されます。コマ
ンドファイルに直接含まれているもの、もしくは外部ファイルによるソースコードの提供には対応し
ていません。
【マニュアル『解析手法(Analysis Procedures)』参照】
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DIANA9.5 Release Notes
日本語参考資料
2014 年 10 月
参考文献
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[2] CEB-FIP. CEB-FIP Model Code 2010 – Final draft, vol. 1. Comit´e Euro-International du B´eton, 2012.
[3] CUR. Hogesterktebeton. Tech. Rep. Aanbevelingen 97, CUR, Gouda, The Netherlands,2004.
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[5] JSCE. Japan Concrete Specification. Tech. rep., Japan Society of Civil Engineers,1999. in Japanese.
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Japan Society of Civil Engineers, 2012.
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Korea Concrete Institute, 2007.
[8] NEN. TGB 1990 Regulations for concrete – Structural requirements and calculation methods.
Tech. Rep. NEN 6720, Nederlands Normalisatie-instituut, 1995.
[9] NEN. Eurocode 2: Design of concrete structures – Part 1-1: General rules and rules for buildings.
Tech. Rep. NEN-EN 1992-1-1, Nederlands Normalisatie-instituut, 2007.
[10] NEN. Eurocode 2: Design of concrete structures – Part 1-2: General rules – Structural fire design.
Tech. Rep. NEN-EN 1992-1-2, Nederlands Normalisatie-instituut, 2007.
[11] NEN. Eurocode 4: Design of composite steel and concrete structures – Part 1-2
: General rules - Structural fire design.
Tech. Rep. NEN-EN 1994-1-2, NederlandsNormalisatie-instituut, 2007.
[12] NEN. Regulations for concrete – TGB 1990 – Structural requirements and calculation methods.
Tech. Rep. NEN 6720/A4, Nederlands Normalisatie-instituut, 2007.
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DIANA9.5 Release Notes
日本語参考資料