INFORM - ジュンク堂

世界の本屋さん
vol.41
UAE
ドバイ
WHスミス店
大きさ位の国である。首都はアブダビだが、
UAE︵アラブ首長国連邦︶は北海道の
書店の主力商品は勿論本であることは間違
店、エグゼクティブタワー店である。この
ター店、ホテルマリオット店、ワフィモール
ノセ事務所
能勢
仁
有名度で言えばドバイである。二十年前は
スミス書店ならではの商品構成のノーハウ
いないが、多くの地域に出店している W H
がある。一言でいえば地域密着型便利書店
一漁村にすぎなかった村が、今や超高層ビ
である。ドバイのスミス書店の品揃えは 新
ル群を擁する最先端国際都市となった。人
口は二一〇万人で、外国籍の人は八十七%、
聞十紙︵日本紙はない︶
、
ベストセラー、
フィ
ク シ ョ ン、 ノ ン フ ィ ク シ ョ ン、 ビ ジ ネ ス、
地元の人は十三 %しかいない。第二次世界
書店ではイギリスの色合いが残ってい
大戦まではイギリスの支配地であった。
袋物、化粧品、アクセサリー、洗剤、水、コー
ある。土産品、絵葉書、地図、額絵、磁器、
こ れ 以 外 の 商 品 が W Hス ミ ス の 真 骨 頂 で
もう一つ有名なことは ISBN︵国際標準
ラ、アイスクリーム、ガム、スナック菓子、
こどもの本、絵本、マップ、雑誌である。
図書番号︶を発明したことである。自社で
チョコレート、タバコ、おもちゃ等楽しい
る。 WHスミスは一七九二年創業の老舗書
使 用 し て い た S B Nが 一 九 七 〇 年 に 国 際 機
品物ばかりである。本と生活用品を合わせ
店で、世界初のチェーン書店の元祖である。
関に採用され、一九七四年に全世界共通の
店タイプである。
持った演出は独特である。日本にはない書
ISBNとなった。
ドバイに WHスミスは六店ある。ドバイ
モール店、モリーナモール店、オアシスセン
(表紙題字・陳舜臣)
5月
目に青葉山ほととぎす初鰹
と だ れ も が 知 ら ぬ 人 の な い こ の 俳 句 が 生 れ た、
江 戸 時 代 の、 あ る 時 期 に は、 初 ガ ツ オ を 食 べ る
の が イ キ で 粋 で、 江 戸 ッ 子 な ら、 だ れ で も 着 物
世界の本屋さん
月
著書を語る
○ ﹃元・宝塚総支配人が語る
﹁書標﹂歳時記
5 41
1
﹁タカラヅカ﹂の経営戦略﹄
森下
信雄
2
然
科
書
書
芸
術
学
学
︿世界史﹀の哲学 イスラーム篇﹄ほか
自
書標・書評
﹃
特集
﹁先生﹂とわたし
特集
新生活のごはん
今月のおすすめ
コ ン ピ ュ ー タ
学
書
医
社 会 科
人 文 科 学
文 学 ・ 文
文 庫 ・ 新 書
芸
用
書
地 図 ・ 旅 行
実
童
語 学 ・ 辞 典
児
読者から
インフォメーション
本屋うらばなし
﹁叙々苑焼肉弁当の味﹂
※表示価格はすべて本体価格です。
−1−
を 質 入 れ し て ま で、 初 ガ ツ オ を 買 っ て 食 べ よ う
としたらしい。
だ か ら、 そ の 値 段 も 法 外 な 高 値 を よ ん で、
いまなら一本数万円ぐらいになっていたようだ。
檀
一雄著
﹃檀流クッキング﹄︵中公文庫︶より
27 26 24 22 19 17
4
6
11
28 26 25 23 20 18
30 29
517
著書を語る
○
︱︱
﹃ 元・宝塚総支配人が語る﹁タカラヅカ﹂の経営戦略﹄
感 し た 結 果 に あ り、 宝 塚 歌 劇 の ト ッ プ ス タ ー と は 彼 ら 自 身 が 創 造
森下
信雄
本書は二部構成を取っている。
した唯一無二の神格化された存在なのである。
二 つ の テ ー マ ⋮⋮ 執 筆 時 点 で 重 点 を 置 い て い た の は 実 は 後 者 の
前半は文字通り宝塚歌劇の経営戦略についての解説で、その要諦
方 で、 歌 劇 の 経 営 戦 略 論 は、 宝 塚 歌 劇 を ご 存 じ な い 方 向 け の 簡 単
は﹁創って作って売る﹂一気通貫の﹁垂直統合型システム﹂を採用し
ていることが、浮き沈みの激しいエンターテイメント業界において
な﹁レクチャー﹂のつもりで書いていた。
略論に傾き、このタイトルとして世に出ることとなった。従って、後
らにはメイン読者層であるサラリーマン層に響くよう前者の経営戦
しかしながら、編集者と企画を詰めていくに従い、新書であるか
一〇〇年もの長きにわたって存続した根拠であると示すことにある。
ぶ の は、 ト ヨ タ や パ ナ ソ ニ ッ ク と い っ た 我 が 国 を 代 表 す る 製 造 業
M・ ポ ー タ ー の 言 う﹁ 垂 直 型 統 合 シ ス テ ム ﹂ で す ぐ に 思 い 浮 か
であろうが、タカラヅカにおいてもこのシステムが一〇〇年前︵ ! ︶
グループを濱野智史氏らの先行
販 売 や 広 報 宣 伝 並 び に 劇 場 の 経 営︵ 売 る ︶ を 担 当 す る 阪 急 電 鉄 ㈱
る ︶ し、 劇 場 で の 公 演 運 営 を 行 う ㈱ 宝 塚 舞 台、 そ し て チ ケ ッ ト の
作品を制作︵創る︶する宝塚歌劇団、大道具・衣装等を製作︵作
テムの存在にある。
に 触 れ た よ う に﹁ 創 っ て 作 っ て 売 る ﹂ 一 気 通 貫 の 垂 直 統 合 型 シ ス
さ て、 宝 塚 歌 劇 の 経 営 戦 略 論 で あ る が、 そ の 大 き な 特 徴 は 冒 頭
者の比較文化論編には大量のカット↓未掲載部分が存在している !
の﹁比較文化論﹂を展開する。
に小林一三によって想起され、粛々と実行されてきたのである。
後半は一転して宝塚歌劇とAKB
メ ン ト シ ー ン を 牽 引 す るAK B
そのポイントは共に独特の﹁︵ファン︶コミュニティ﹂生成・拡大・
が 宝 塚 歌 劇 の﹁ 聖 地 ﹂ タ カ ラ ヅ カ に 勢 ぞ ろ い し、 一 つ の 事 業 カ テ
交 え て 明 ら か に す る と と も に、 こ の シ ス テ ム を 採 用 す る メ リ ッ ト
ゴリの中で統一的な物差しで経営されている実態を私の実体験を
という本書の﹁キーワード﹂となる。
﹁シロウト﹂とは、ウマい、ヘタという従来の固定的な評価概念
ま た、 演 劇 事 業 で 大 き な 利 益 を 上 げ る た め に 必 須 な 興 行 形 態 で
いて具体的事例を挙げて解説してみた。
塚 歌 劇 独 特 の 美 意 識・ 世 界 観 を 表 現 す る こ と が 可 能 と な る 点 に つ
と し て 顧 客 情 報 の 共 有、 三 者 そ れ ぞ れ の 専 門 性 を 活 か す こ と で 宝
の 範 疇 に は 入 ら な い、 一 言 で 言 え ば﹁ 未 完 成 を 良 し と す る ﹂ 状 態
宝 塚 歌 劇 が 一 〇 〇 年 継 続・ 発 展 し て き た 要 因 は、 そ の フ ァ ン・
を指している。
コ ミ ュ ニ テ ィ が﹁ シ ロ ウ ト ﹂ 劇 団 員 が 一 歩 ず つ 彼 女 た ち の 究 極 の
目 標 た る﹁ ト ッ プ ス タ ー﹂ の 座 を 目 指 す﹁ 未 完 成 ﹂ プ ロ セ ス に 共
−2−
517
筆 者 が 経 験 し た タ カ ラ ヅ カ の 世 界 観 と、 今 の 我 が 国 エ ン タ ー テ イ
48
継 続 ⋮⋮ 戦 略 に あ り、 そ れ を 一 言 で 表 す と﹁ シ ロ ウ ト の 神 格 化 ﹂
研究を参考にしながら比較してみた。
48
由 と、 そ れ を カ バ ー す る た め に 取 ら れ る 対 策 を わ が 国 の 文 化 施 策
あ る﹁ ロ ン グ ラ ン 公 演 ﹂ を 宝 塚 歌 劇 が 採 用 し な い︵ で き な い ︶ 理
の受け取りパターンを無限にする仕掛けを施すことなのであろう。
クセス﹂改善︶﹂にあり、一回性・唯一性の創出により受け取る側
そのカギは﹁偶然性のコントロール・マネジメント︵﹁心理的ア
側・制作側がマネジメント・コントロールしている︶ことの重要性
コミュニティ︶に全ての決定権がある︵ように見せかけて、実は経営
うが、情報化の時代にはより効果的であるのだ。即ち、顧客︵ファン・
なまま開示して、受け手それぞれの勝手な解釈を﹁拡散﹂させるほ
逆説的だが、
こうしたコミュニケーションを強化するには﹁未完成﹂
の脆弱性と絡めて紹介している。
﹂との比較論である。
そ し て 後 半 で は 宝 塚 歌 劇 と﹁ シ ロ ウ ト の 神 格 化 ﹂ と い う 共 通 項
を持つ存在として﹁AKB
双方とも宝塚・秋葉原という﹁聖地﹂を抱えていること。そういっ
﹁近接性と結界﹂
﹁偶然性と必然性﹂
﹁開放系と閉鎖系﹂⋮⋮また、
た キ ー ワ ー ド で 両 者 の 比 較 を す る こ と に よ り、 宝 塚 歌 劇 とAK B
の ビ ジ ネ ス モ デ ル は、 今 後 の エ ン
を再認識せねばならない。まさに秋元康プロデューサーの方法論だ。
タ ー テ イ メ ン ト 業 界 の み な ら ず、 ポ ス ト 資 本 主 義・ 工 業 化 社 会 で
つ ま り、 宝 塚 歌 劇 とAK B
の 間 に 意 外 に も 強 い 親 和 性 が あ る こ と を 明 ら か に す る。 そ れ は 即
一 般 的 に 通 用 す る﹁ 普 遍 の 真 理 ﹂ だ と い う こ と を 示 す こ と が 本 書
ち﹁ 未 完 成 を 未 完 成 な ま ま ﹂ 追 い か け る﹁ シ ロ ウ ト の 神 格 化 ﹂ と
い う 共 通 の コ ン セ プ ト 及 び、 そ こ か ら 導 き 出 さ れ る 独 特 の コ ミ ュ
じられるかもしれないが、私の歌劇団プロデューサー時代のエピソー
本書は新書でしかも﹁経営戦略﹂というタイトルの為に重々しく感
の最終的な狙いなのである。
ド︵NHKうたのおねえさん﹁はいだ しょうこ さん﹂抜擢秘話等︶を
の比較論、い
ずれも初出であろう。読者の皆様からの様々なご意見を承りたい。
宝塚歌劇の経営戦略、そしてタカラヅカとAKB
織り交ぜ、読み物としても楽しんでいただけるものと思っている。
今後も変えることなく﹁回し続ける﹂
﹁循環させ続ける﹂ことが、﹁次
然 性 ﹂ ⋮⋮ と い っ た 宝 塚 歌 劇 に と っ て の 不 変 の 真 理・ シ ス テ ム を
こ の﹁ シ ロ ウ ト の 神 格 化 ﹂﹁ 強 固 な フ ァ ン・ コ ミ ュ ニ テ ィ﹂﹁ 必
ニティ生成のドキュメントなのである。
48
の一〇〇年﹂に向けての宝塚歌劇事業の競争力即ち差別的優位性
の源泉であり続ける。
しかしながら、
﹁偶然性﹂﹁近接性﹂に裏打ちされたいわゆる﹁心
が展開する様々なマーケティング施策がこれから大
との比較を通じて、
48
『元・宝塚総支配人が語る
「タカラヅカ」の経営戦略』
角川 one テーマ 21・800 円
理的アクセス﹂の改善について宝塚歌劇は未だ手探りの状況にあ
り、AK B
以 上 の 宝 塚 歌 劇 に 関 す る 分 析 並 び に AK B
は華麗に花開く可能性が高いこと。
ニケーションそのものを売る﹂︵広義の︶エンターテイメント領域
過 度 に﹁ 個 ﹂ 化 が 進 ん だ ポ ス ト 資 本 主 義・ 工 業 化 社 会 に﹁ コ ミ ュ
成 品 ︶ が 売 れ な い、 ま た 情 報 化 の 進 展 で コ ミ ュ ニ テ ィ が 崩 壊 し、
まず、いくら機能を強化、差別化して完成度を高めてもモノ︵完
この本の結論として以下の点を導き出す。
48
−3−
48
いに参考になるだろうと思っている。
48
対視するイスラーム世界で先行した︵一
原動力となる。古地図が持つ各時代の空
うとする人間の衝動こそが、地図製作の
りも正確に地図を読み解き、クライアン
気は歴史そのものであり、今日もクライ
資本主義が、その成立に不可欠と思え
トの求める地図を熟知し、いつでも最高
方イエスは、律法を破壊しにこの世界に
るそうした背景を持つイスラーム世界で
級の地図を買い付けた。だからこそ人々
アントとディーラーの間では一枚数十万
二 〇 一 五 年 は、﹁ イ ス ラ ー ム 国 ﹂ に よ
はなく、キリスト教世界で生まれ、発達
は疑問に思った。卓越した知識と熱意で
来た︶。軍隊はとてつもなく強かったし、
る日本人捕虜虐殺のニュースと共に幕を
したのは、一体何故なのか?
クライントの心を惹きつけて成功した
ギリシャの学問を直接受容、蓄積、発展
開けた。悲惨な事件に衝撃を受ける余り
﹁謎﹂を解く鍵は、イエスの降臨である。
ディーラーであるスマイリーが、なぜ彼
講談社・二〇〇〇円
イスラーム教徒=テロリストと見なすこ
イエスの降臨こそが、即ち一旦歴史が終
大澤真幸著
﹃︿世界史﹀の哲学 イスラーム篇﹄
と は 勿 論 ナ ン セ ン ス だ が、﹁ イ ス ラ ー ム
幕したことが、逆説的に永続性の概念を
本書は、地図と歴史の密接な関係とス
フォーブス・スマイリー三世は、誰よ
原理主義は、本来のイスラームの教義と
の最も愛する地図を盗み、人々の信頼を
ドルで古地図が売買されている。
は関係がない﹂と言って済ませることも、
許容し、資本の無限蓄積を可能にしたの
裏切るような真似をしたのだろうか。
させたのは、イスラームの方なのだ。
﹁本来のイスラームの教義﹂が何である
だ、と大澤は解く。
マイリーの半生を織り交ぜながら、彼の
犯した地図の大量窃盗に繋がる経緯、そ
の理由と事件の顛末を探る。大金が動く
中 で 起 こ る デ ィ ー ラ ー の 妨 害、 コ レ ク
ターの際限ない欲望、暗黙の内に横行す
スト教世界で生まれ、発達したか、であ
義が、何故イスラーム世界ではなくキリ
すが、未だ到達していない場所について
見や測量方法の改良で地形は正確さを増
の起源やその道筋の縮図だ。新航路の発
青土社・三六〇〇円
古地図は国家の盛衰や政治情勢、戦争
ションビジネスの闇がそこにある。︵傘︶
リーだけの問題ではない、複雑なコレク
マイケル・ブランディング著
史上最大の古地図盗難事件の真実﹄
﹃古地図に憑かれた男
キリストのミステリー﹂
なのである。
︵フ︶
﹁世界史のミステリー﹂は、
﹁イエス=
かを知らないでは、何の意味も持たない。
イスラーム世界との接点が少ないぼく
らにとって、本書は格好の参考書である。
読者は、イスラームの専門家ではない大
澤と同じスタートラインに立ち、大澤の
イスラームについての理解を深められる。
﹁謎﹂の発見と﹁謎解き﹂に随行しつつ、
る。資本主義への憎悪こそが、イスラー
は想像力を羽ばたかせるしかない。未知
る 盗 品 売 買。 犯 罪 に 手 を 染 め た ス マ イ
ム過激派のテロリズムの源泉だからだ。
と既知の境界線上で世界の空白を埋めよ
最大にして最重要な﹁謎﹂は、資本主
イスラーム教の根本には、商人の倫理
阿部
了/写真
阿部直美/文
木楽舎・一四〇〇円
﹃おべんとうの時間︵3︶﹄
が あ る。﹁ 法 の 支 配 ﹂ も、 コ ー ラ ン を 絶
−4−
この本の帯に書いてあるコメントで
﹁愛ってこういうことだったんだ﹂
れだけ大切でどれだけ素敵かを伝えてく
自分以外の誰か。その人を想うことがど
事だ。
を握るのがプロダクションデザインの仕
観客を物語の中へ誘っていくか、その鍵
ではなく、ましてや不特定多数に自慢す
弁当は、誰かに見せる為に作られたもの
て そ う 多 く な く て 良 い。 蓋 を 開 け た 時、
えたら当たり前です。おかずの種類だっ
色いのです。日持ちや味付けなんかを考
本当に美味しいお弁当は、だいたい茶
これまで携わってきた作品における監督
れ る。 現 在 活 躍 し て い る デ ザ イ ナ ー は、
ロダクションデザイナーの仕事が紹介さ
本書では、過去から現在二十一人のプ
れたように思います。
るためのものでもない。食べる相手を想
す。まさにその通り。ここに登場するお
い、大切な人の血や肉になる事を願った、
との関係づくりや舞台装置の設計、ロケ
地決め、予算の制約の中での工夫を通し
作ってくれた人の顔が浮かぶのが良い。
﹃ 映画美術から学ぶ﹁世界﹂のつくり方
請 け 負 っ た ネ イ サ ン・ ク ロ ウ リ ー な ど
美術界に変革をもたらしたケン・アダム
士の異常な愛情﹂のデザインをし、映画
て、それぞれの仕事への意識を語る。﹁博
プロダクションデザインという仕事﹄
様 々 な 経 歴 を 持 つ デ ザ イ ナ ー が い る が、
︵風︶
ごく当り前で、それでいてとても大切な
日常の表れだと思います。
の茶色っぽいお弁当。働くことの尊さも
フィオヌラ・ハリガン著
石渡
均訳
フィルムアート社・二八〇〇円
いろんな場所の様々な職種の老若男女
教えられました。なぜだか読むと涙がこ
これから見る映画を選ぶ際に、その理
や近作で言うと﹁インターステラー﹂を
ちな今の世の中で、本当の意味での人と
ぼれます。多分、便利すぎて勘違いしが
人とのつながりが感じられたからでしょ
登場するみなさんが、仕事の合間のほ
映 画 製 作 に は 美 術 部、 演 出 部、 撮 影 部、
だろう。ただ、意識して見ておらずとも、
えにもある。完成した映像とそのロケ中
図版を全てカラーで掲載している見応
るということである。
彼らの映画製作の裏話を読んでいて感じ
んのひと時に見せる最高の表情。お弁当
編集部、衣装デザインなど多くの部門の
の写真、デザイナーによるデッサンなど
るのは、映画という物語が作られる過程
の時間。そんな空気を切り取れる撮り手
人々が携わっている。その中でもプロダ
豊 富 な 図 版 は 見 て い る だ け で も 楽 し い。
由となるのはどのような点だろうか。恐
の 安 部 さ ん の 人 柄 が 想 像 で き そ う で す。
クションデザイナーは監督のイメージを
これまで見た作品の背景を知り、新たな
う。そんなぬくもりがどの写真からも伝
そんな人をパートナーに選んだ書き手で
把握し、決められた予算や日数の中で美
視点で作品を見直したくなる、そんな一
に多くの人の情熱と彼ら自身の物語があ
ある奥さんの優しさも。
術セットを建て込むため部下である美術
冊だ。
らく、監督や主演俳優、予告やあらすじ
巻末に﹁お弁当を取材しながら常に家
部を指揮する。映画の世界はフィクショ
に惹かれてその映画を見たい、と思うの
族について考えてきたように思います﹂
ンである。そこにいかにリアルさを与え、
わってきます。
という一文がありました。ああ、なるほ
︵齊︶
本書の注目すべき点は、多くの映画の
ど。だから泣けるんだ。一番身近に居る
−5−
早くも憂鬱な気分になっておられる人も
ら ん で い る 方 も 多 い で し ょ う し、 逆 に、
で新たな出会いがあり、期待が大いに膨
新学期も始まって一ヵ月。そこかしこ
ではなく、良き師に出会い、その生き様
いう場では、知識を単に身につけるだけ
クアップされました。すなわち、大学と
企画につながるテーマをもつ書物がピッ
その関連する書物を選ぶ過程で今回の
と が 重 要 な 要 素 の 一 つ な の で は な い か、
に強く感化されて自らが変わっていくこ
そして、そうした体験が語られた書物か
さまざまな出会いはその後の生活、長
いらっしゃるでしょう。
くは人生全般にわたって大きな影響があ
らそのことの本質を少しでも探ってみた
二四〇〇円︶は、まさに大学という場で、
尾崎俊介﹃S先生のこと﹄︵新宿書房・
ここから始めてみます。
い、と考えました。最初の書物の紹介を、
るだけに、誰にとっても重要な関心事で
そのなかでも、﹁良き師﹂との出会いは、
あると思います。
その後の人生を左右することもあるくら
の楽園では、そのさまざまな出会いのか
い、とても大切なものです。今回の愛書家
たちを追いかけてみようと思い立ち、﹁
﹁先
著者の人生に大きな影響を与える師に出
かと批判にさらされている﹁大学﹂をテー
この企画をつくる前、当初は、昨今なに
す。第六十一回の日本エッセイスト・ク
験が非常に美しい文章で語られるもので
たことについて、深く寄り添っていく経
人生の苦悩、絶望、希望への契機、といっ
会い、その師との関わりのなかで、師の
生﹂とわたし﹂と題して企画されました。
マにしようと考えていました。一部の有
ここでの師は、須山静夫先生。明治大
ラブ賞を受賞しているのも当然の、すば
学で長く教鞭をとり、ウィリアム・フォー
力大学を除いては、実務に役立つことを
とって何が重要なのかをいま一度真剣に
クナーの﹃八月の光﹄やフラナリー・オ
らしい著作です。
考えたい、そして、そのことをいくつか
コナーの﹃賢い血﹄などの翻訳者として
教えればいい、という乱暴な意見が公の
の書物から、大学本来の役割というもの
場で語られるのをみて、大学という場に
を追求してみたい、と考えていました。
−6−
夫氏と一面識もない読者である私も、本
思わず﹁先生﹂と書きましたが、須山静
る、アメリカ文学者です。
も高名で、また小説も何作か書かれてい
一九九九年︶として結実︶。
ル ︱︱ 聖 地 に お け る 詩 と 巡 礼 ﹄ 南 雲 堂、
で 十 五 年 の 歳 月 を 要 し ま し た︵﹃ ク ラ レ
に よ る﹃ ク ラ レ ル ﹄ の 翻 訳 作 業 は 全 体
以上にわたって続けるのです︵須山先生
てくれるのが、私が所属する東京大学出
と思います。そんなことを具体的に示し
も、魅せる人が大学に数多いのも事実だ
る場所に必ずいるわけではないけれど
かと思います。もちろん、大学のあらゆ
ければと思いますが、
﹁大学﹂というもの
ついては本書をぜひ読んで感じていただ
ある尾山先生との関わりのすばらしさに
に至りました。須山先生と本書の著者で
追 想 ﹄︵ 講 談 社 学 術 文 庫・ 一 〇 〇 〇 円 ︶
中谷先生による﹃寺田寅彦︱︱わが師の
そんな中谷先生の師匠は、かの寺田寅彦。
躍 さ れ、 数 々 の 名 文 を 書 か れ て い ま す。
名な中谷宇吉郎先生。随筆家としても活
雪の結晶の研究や人工雪の開発等で有
とも主題なのですが、大学で教える研究
要なスキル︵まさに技法︶を説明するこ
︵一五〇〇円︶です。
学 教 養 学 部﹁ 基 礎 演 習 ﹂ テ キ ス ト ﹄
康夫・船曳建夫編﹃知の技法︱︱東京大
版会最大のベストセラーとなった、小林
書 を 読 ん だ あ と は﹁ 須 山 先 生 ﹂と し か 書
との関連という視点から、本書を読んで
者が自分の研究の面白さを本気で魅せる
けないような、心からの尊敬の念を持つ
感銘を受けたエピソードを一つ紹介いた
を読んでも、須山先生と尾崎先生との関
なっており、それを追っていくと、自然
︵文章で表現する︶ことも重要な要素と
理解している人は、かくも簡潔かつ適切
ける業績の解説もとても楽しい。本当に
中谷先生による寺田寅彦の物理学にお
師に出会うまでの距離はあとわずかです。
なると尾崎先生や中谷先生のような良き
引き込まれていく感じになります。そう
に そ の 魅 力 に 感 染 し て し ま う と い う か、
本書は、大学という場で学ぶために必
します。
係に勝るとも劣らない、羨むべき関係が
著 者 が 大 学 四 年 の と き、 須 山 先 生 の
感じられます。
大 な 詩 の 作 品 が 取 り 上 げ ら れ ま す。 こ
に説明できるのだ、ということもよくわ
授業でハーマン・メルヴィルの﹃クラレ
の難解と言われる作品を輪読していく
かります。
ル﹄という総行数約一万八〇〇〇の長
さまは、まさに大学という場の良心とい
学者の生き様という点では、大変評判
う べ き も の で す。 教 師 と 学 生 が、 一 語、
す る ﹂。 著 者 は﹁ そ の 面 白 さ た る や ! ﹂
しかし火花の散るような読み合わせを
そのうえで授業の九十分間、
﹁物静かに、
物がいるということが大きいのではない
組み、それを見せつけてくれる本物の人
えると、一生をかけて本気で物事に取り
てこうも魅力的なのか、ということを考
大学という場で紡がれる関係はどうし
エッセイ﹃生半可な學者﹄
︵白水Uブック
い教養を展開してくれる柴田元幸先生の
ていながら言葉の端々にユーモアと楽し
三六〇〇円︶は必読文献ですし、飄々とし
肖 像 ︱︱ 評 伝・ 富 士 川 英 郎 ﹄
︵ 新 書 館・
になった、富士川義之﹃ある文人学者の
と書かれています。こうした読み合わせ
一 文 を 解 釈 す る た め に 十 分 な 準 備 を し、
の作業を著者と須山先生はじつに七年
−7−
るわれわれにとって重要なものなのでは
橋本先生の考え方は、彼の単著﹃伝説
ないでしょうか。
の灘校教師が教える 一生役立つ学ぶ力﹄
ここでも橋本先生による一語、一文に
道﹂と表現される多彩な話題へのつなが
対するこだわり、そこから導き出され﹁横
りが見て取れます。それは橋本先生の深
にまとめられています。こちらも参考に
︵ 日 本 実 業 出 版 社・ 一 三 〇 〇 円 ︶ に 簡 潔
歳か
[ さ ら に も う 一 冊 ] 宮 台 真 司﹃
い教養と日々の膨大な準備によってつく
多感な時期だからこそ、その体験はより
のは大学だけではありません。思春期の
時間をかみしめる、そうした経験をする
そこに参加した人は後々までその大切な
き 師 の も と で ス ロ ー リ ー デ ィ ン グ す る、
先に述べたような、ひとつの作品を良
で、その背後に大きく広がっている概念
ま す。﹁ あ る 一 つ の 言 葉 に こ だ わ る こ と
のやり方と似ています﹂と述べられてい
味 が あ っ た ﹂﹁ 大 学 で 原 書 講 読 を や る 時
生 の 授 業 に 対 し て、﹁ い つ も 言 葉 に 真 実
れていますが、そこで濱田先生は橋本先
かにも濱田先生のインタビューが掲載さ
らっしゃいます。ここに挙げた書物のな
に、前東京大学総長の濱田純一先生がい
そんな授業を受けられた生徒の一人
その私でも加藤先生のことを知っている
す。 私 は サ ッ カ ー を や っ て い ま し た が、
代工業の礎を築いた方が加藤廣志先生で
秋田県の能代工業高校。そのバスケの能
日 本 の 高 校 バ ス ケ ッ ト ボ ー ル の 名 門、
一二〇〇円︶/佐伯 胖﹃﹁学び﹂の構造﹄
のきみへ﹄︵冨山房インターナショナル・
談社・一二〇〇円︶/日野原重明﹃十歳
池先生の﹁ことばシャワー﹂の奇跡﹄
︵講
[ さ ら に 参 考 と な る 本 ] 菊 池 省 三﹃ 菊
いっそう重要な意味を持つ。そのことを
や 感 覚 や 考 え 方 と、 つ な が っ て く る ﹂、
田にはプロバスケットボールチームの秋
くらい、とても有名な方です。現在、秋
していただければと思います。
描いてくれる書物が、伊藤氏貴﹃奇跡の
そしてそういうことで﹁言葉が、社会の
えることによって本当に豊かな時間が形
教室︱︱エチ先生と﹃銀の匙﹄の子ども
現 実 の 中 で ど の よ う な 位 置 に あ る の か、
こと橋本武先生。この授業はテレビ番組
み 込 む 授 業。 そ の 主 人 公 は﹁ エ チ 先 生 ﹂
中勘助の﹃銀の匙﹄を三年間かけて読
持っているのか、そういう全体的な構造
的 に ど う い う 背 景 を、 あ る い は 意 味 を
どう絡んでいるのか、それが例えば歴史
﹁生涯の恩人はいっぱいいますけどね、
てはありえません。
れは能代工業高校バスケ部の存在なくし
田ノーザンハピネッツがありますが、こ
生涯の恩師というのは、加藤先生ひとり
の中で情報をじっくりと捉えていく﹂と
いう指摘は、まさにいまこの現代を生き
でも取り上げられてとても有名なものな
︵東洋館出版社・一四五六円︶
たち﹄︵小学館文庫・四九五円︶です。
成されます。
られ、さらに中学生の瑞々しい感性が応
ス・九五〇円︶もぜひ読んでみてください。
らの社会学﹄︵ちくま文庫・六八〇円︶
14
のでご存知の方も多いかと思います。
−8−
『奇跡の教室』
動的で羨ましくもあります。少し長くな
第一章で語られる加藤先生との関係は感
の彼の来し方を決定づけられた。本書の
そこで加藤先生に出会ったことでその後
川 氏 は 能 代 工 業 高 校 の バ ス ケ 部 に 入 部、
のなかに、このコメントはあります。友
るって言ってみろ﹄︵白水社・一九〇〇円︶
さ れ た、﹃ 友 川 カ ズ キ 独 白 録 ︱︱ 生 き て
カズキ氏です。彼のインタビューで構成
詩人であり、画家としても活躍する友川
だろうな。﹂と述べるのは、歌手であり、
本書の本質を突く、お見事なものです。
たりとする言葉が思い浮かばないぐらい、
時々、思い出すべし﹂は、これ以上ぴっ
葉﹁ 腹 を く く っ て 読 み 流 せ ! そ し て
かれている作家の西村賢太氏の推薦の言
がちりばめられています。本書の帯に書
らゆる部分に宝ともいうべき名言の数々
で語られる言葉も見事ですが、本書のあ
思います。この加藤先生との関係の部分
﹃友川カズキ独白録﹄は大変な名著だと
けいるのでしょうか。
せられる大人。いまそういう人はどれだ
いのは、いまだ私自身の理解が不十分で
でいます。
﹁学びました﹂と過去形ではな
ある﹁言葉﹂そのもののとらえ方を学ん
考え方、そしてそれと不即不離の関係に
でも有名ですが、私は彼から、ものの見方、
家でもあり、シェイクスピア作品の翻訳
在を挙げるとすると、福田恆存です。
多くあります。そのなかで一人重要な存
ことでしょう。私にもそのような存在は
生﹂を、多くの方は持っていらっしゃる
れ﹁心の師﹂として強い影響を受ける﹁先
コートに突っ立ってる加藤先生が、巨大
てくれたんです。ガキの私にとってはね、
とも左とも全部わかったような気にさせ
んかカチンとハマっちゃうというか、右
育館に立っているのを見るだけでね、な
校生がさ、加藤先生が背筋を伸ばして体
﹁世の中の右も左もわからない田舎の高
恩師﹂﹄︵東方出版・九七一円︶/早乙女
﹃1 0 0 人 の プ ロ に 聞 く 野 球 人 生﹁ わ が
[さらに参考となる本]西本忠成
い書物です。
こちらもぜひ若い方々に読んでもらいた
私﹄︵幻冬舎・一七〇〇円︶があります。
描いたものとして、佐藤優氏の﹃先生と
高校時代を中心に多彩なエピソードを
教室で行われた講義のいくつかをまとめ
書は国民文化研究会の全国学生青年合宿
義 ﹄︵ 文 藝 春 秋・ 一 五 〇 〇 円 ︶ で す。 本
も の の 考 え 方 ︱︱ 学 生 た ち へ の 特 別 講
田逸・国民文化研究会編﹃人間の生き方、
ここで紹介する本は、福田恆存著/福
ているからで、いまだ学びの途中です。
あり、事あるごとに福田の言葉と格闘し
福田恆存は、文芸評論家でもあり、劇作
りますが、印象に残る個所を引用します。
な他者であり、巨大な社会だったんです
だ け に﹁ 近 代 化 ﹂ や﹁ 自 由 ﹂﹁ 歴 史 ﹂ と
たもので、サブタイトルにあるように若
いうことについて、かなり噛み砕いて説
い聴衆に向けて語られたものです。それ
ここまでは師と直接の関わりを持つこ
明されており、福田の考え方の入門とし
貢﹃わが師 山本周五郎﹄︵第三文明社・
とを中心に紹介してきましたが、もちろ
て 最 適 な の で は な い か と 思 い ま す。﹁ 福
よ。生まれた村で平々凡々と暮らしてい
の世界そのものだったの。その未知の世
ん 人 生 の 師 は そ れ だ け で は あ り ま せ ん。
一四〇〇円︶
界の中で、何もかも全部教えられた気が
書物や映像などを通じて、大いに感化さ
るだけでは、決して知り得ない大きな外
立っているだけで﹁巨大な社会﹂を見
する﹂
︵同書、第一章、三十二頁より引用︶
。
−9−
だと思われがちな彼の代表的作品を読む
わかりやすく伝わってくる書物で、難解
一三〇〇円︶も、小林の考え方がとても
れた、小林秀雄﹃学生との対話﹄
︵新潮社・
同様の学生向けの講演をベースに編ま
て本当に尊敬する存在です。
まさに私の心の中では﹁福田先生﹂とし
たちはそこに行くことによって、自分に
何万もの良き師を抱える学校であり、私
えると、図書館や書店は、何百・何千・
ぞれ大切なものを持っています。そう考
は中原中也の詩集であったり、と、それ
談本であったり、友川カズキ氏にとって
であったり、彼が子どもの頃に読んだ講
で あ り、 橋 本 先 生 に と っ て は﹃ 銀 の 匙 ﹄
聖書やメルヴィル、フォークナーの作品
冒 頭 で 紹 介 し た 須 山 先 生 に と っ て は、
たい書物ばかりです。
できれば小学生のうちに出会ってもらい
と て も 自 然 な リ ス ト に 思 え て き ま す し、
いますが、本文を読んだあとで眺めれば、
学生が読めるかな、という書物が並んで
お き た い 一 七 〇 冊 ﹂。 一 見、 こ ん な の 小
られている﹁小学生のうちにぜひ読んで
﹁第七章おすすめブックリスト﹂に掲げ
す。 本 書 の な か で 特 に 素 晴 ら し い の が、
田 ﹂ と 敬 称 を 略 し て 書 い て き ま し た が、
前に、ぜひ目を通してみてもらいたい著
次 に﹃ 本 屋 図 鑑 ﹄︵ 得 地 直 美・ 本 屋 図
作です。
つけ、少し含みをもたせていたのでした。
の意味もあって﹁先生﹂にカギかっこを
のが自然にあったのかもしれません。そ
には、﹁﹁本﹂とわたし﹂ともいうべきも
マを立てて考えようと思ったことの背景
結局、﹁﹁先生﹂とわたし﹂というテー
書店がなくなると、それだけ良き師に出
全 国 の 丸 善& ジ ュ ン ク 堂 書 店 さ ん に も。
街の本屋さんに行きましょう。もちろん、
と思いますが、ぜひ周辺の方々を誘って
段から書店に足を運ばれる機会が多いか
この文章をお読みいただいた皆さまは普
し た 場 所 が 減 っ て 行 っ て い る の も 事 実。
鑑 編 集 部 著、 夏 葉 社・ 一 七 〇 〇 円 ︶。 本
そこで最後に、多くの師︵すなわち本︶
屋好きにはたまらない一冊ですが、こう
ここまで挙げてきた書物のなかでも重
と出会うきっかけとなる書物を紹介し
合った、もしくは思いがけない師に出会
要な役割を果たし、そして労せずしてか
中 島 克 治﹃ 小 学 生 の た め の 読 解 力 を
て、この拙い文章を閉じたいと思います。
さぶるような経験をさせてくれる書物の
え方を変えてくれる、存在そのものを揺
そのものです。自分のものの見方や、考
導かれた、読書の重要性を強調する本で
である著者による、さまざまな実践から
円︶は、麻布学園中学・高校の国語教師
つける 魔法の本棚﹄︵小学館・一三〇〇
日までフェア展開中です。
タ 前 と 福 岡 店 三 階 に て、 五 月 十 日 ∼ 六 月 九
ご 紹 介 し た 書 籍 は、 池 袋 本 店 一 階 エ レ ベ ー
*愛書家の楽園・特集﹁﹁先生﹂とわたし﹂で
︵東京大学出版会・黒田︶
力は実に大きいのではないかと思います。
− 10 −
うことになります。
けがえのない何人もの師に出会うことの
会う機会が減ってしまうのですから。
できるものがあります。そう、書物、本
『人間の生き方、
ものの考え方』
春の嵐が過ぎ、風薫る五月がやってき
た。この春から新生活を始めた人もある
だろう。新しい環境の中で忙しくて外食
ひとりごはん
ん生活﹄
﹃行 正 り 香 の は じ め よ う ! ひ と り ご は
だ け 手 軽 に 作 れ る 料 理 ﹂。 洗 い 物 が 少 な
どれも簡単で、全部おいしい﹁一人分
︵朝日新聞出版社・一三〇〇円︶
なっていたり、毎日同じようなものを食
が続いていたり、食事の時間が不規則に
べていたり⋮⋮なんていうのはよく聞く
うな一人分は難しそうに思えるものまで
レシピが満載。周りで一人暮らしを始め
くて助かる丼もの、カレーや根菜汁のよ
る人にプレゼントするのもよさそう。
話である。生命維持に必要なエネルギー
調に合わせて栄養バランスも考え、しっ
さえ摂れていればいいわけではなく、体
かり食事にも時間をかけることは、睡眠
﹁自炊したいけど、なかなか続かない﹂
、
︵新星出版社・瀬尾幸子著・一二〇〇円︶
﹃一人ぶんから作れるラクうまごはん﹄
一人分でも、簡単においしく作って食べ
こ の ペ ー ジ で は、 時 間 の な い 人 で も、
と同じく大切なことだ。
られる書籍をご紹介しよう。誰でも最初
ア イ デ ア を 盛 り 込 ん だ レ シ ピ 集。 お 肉、
人に向け、簡単に作れる時短・手間なし
魚介類、野菜をたくさん美味しく食べら
﹁できるだけ手間はかけたくない﹂という
また、住む場所が今までとは遠く離れた
れるバランスのいい献立が盛りだくさん。
から料理が上手いわけではないし、調味
地域だと、食材を買いに出ても見慣れな
料 や 道 具 が そ ろ っ て い る わ け で も な い。
い野菜や魚が並んでいたりして、戸惑う
﹃自炊本﹄
こともあるかもしれない。だが、料理は
やってみれば不器用であってもある程度
︵ベターホーム出版局・九五二円︶
味しそうな写真とていねいな解説を眺め
一〇四点も掲載されていて、材料が一人
なんと十分で作れるというレシピが
るベターホームが﹁自炊レシピ﹂を提案。
五十年、全国で料理教室を開催してい
できるもの。自分の食べたいものを自分
ていると、意外にできるような気がして
で作って食べられるのも気楽でいい。美
くるだろう。
− 11 −
とつの鍋や電子レンジで作れる一人暮ら
分の分量で書かれているのも嬉しい。ひ
ナブルに美味しく成功させる人気メ
しっかり汲み取ってくれていて、リーズ
と、すべてをきっちり使い切るのは至難
次に使うかも⋮⋮と大きい袋で購入する
で売られているものは割高になりがちで、
調
・ 理法で
節約にもつながるなど、いいことがいっ
炊き方から、シンプルですぐ作れて、み
本をわかりやすく解説。おいしいご飯の
今さら人に聞けない、美味しく作る基
セット ! 時間がない、手間がかかって
リセットひとりごはん﹄
﹃作って食べてスッキリ元気!
おいしく作るお役立ちレシピ。
まうことも。シンプルな材料
が大変だし、食べきれなくて腐らせてし
一人暮らしだと材料をたくさん揃えるの
︵西東社・武蔵裕子著・八五〇円︶
﹃少ない素材でおいしい ! 楽うまごはん﹄
調理法で使い切る方法も紹介している。
てしまう方は必見 ! 残った材料を別の
のワザ。そんな材料を余らせがちになっ
ニューがたくさん。
おうちごはん入門書﹄
﹃初めてでもできる一汁二菜
みたくなるごはんレシピ。
で大人気の﹁ぼく﹂さんのイ
Twitter
ラストがかわいい、簡単で思わず作って
︵ワニブックス・ぼく著・九二六円︶
しく作れるアイデアたっぷりの レシピ﹄
﹃ ぼくのごはん 簡単&時短 ! 誰でもおい
しの強い味方 !
﹃冷凍おかず節約レシピ﹄
ぱい。定番おかずまとめ作りからの冷凍・
んな大好きなメニューまで。献立の組み
面倒、などの理由からなかなか食生活に
︵講談社・河野雅子著・一四〇〇円︶
解 凍 法・ ア レ ン ジ を わ か り や す く 解 説。
合わせもマスターできて、日々作るうち
まで配慮するのは難しいもの。
ンスの取れた食事をひとりで調理できる
がちな栄養素も摂れるレシピなど、バラ
繊維たっぷりのヘルシーレシピ、不足し
家庭料理研究家・奥薗壽子さんが提案
活のスタートには欠かせない一冊。
する﹁おくぞの流﹂は簡単調理法。食物
一人ごはんを作るとき、食材が一人分
︵高橋書店・河野雅子著・一一〇〇円︶
おき基本レシピ﹄
﹃﹁おいしかった﹂と必ず言われるつくり
外食続きで不健康な食生活を自炊でリ
︵海竜社・奥薗壽子著・一三〇〇円︶
夕飯に、おつまみに、お弁当にといろい
に、自然と手順が身についてくる。新生
冷凍庫を上手に使えば、調理の時短や
︵日本文芸社・岩崎啓子著・一二〇〇円︶
54
ろ大活躍間違いなしのお財布にやさしい
おかず集。
﹃友だちが来る日のおもてなし﹄
︵大和書房・みなくちなほこ著・一四〇〇円︶
一人暮らしでも﹁今日は気合を入れて、
おもてなし料理を作りたい ! ﹂という
場面もあるかもしれない。そんな気分も
− 12 −
『自炊本』
﹃花のズボラ飯うんま∼いレシピ﹄
テレビやネットで大ブームの﹁おにぎ
ちゃってチキンライス、チンじゃがポテ
ニ ュ ー で あ る。 シ ャ ケ ト ー ス ト、 な ん
と は 言 っ て も﹁ ジ ャ ン ク ﹂ で は な い メ
ラ飯﹄
︵秋田書店︶のレシピ集。﹁ズボラ﹂
ドラマ化もされたコミック﹃花のズボ
九五二円︶
たのだが、子どもが自分で好きなものを
保育所の朝食おすすめレシピとして知っ
べてみるのも楽しい。十年ほど前、ある
楽しく、華やか。類書も多いので、見比
チのように切って盛り付ければ見た目も
や野菜などの具材が使えて、サンドイッ
上にご飯を広げて具を包んだもの。お肉
おにぎり﹁おにぎらず﹂は、焼きのりの
らず﹂がよくわかる本。握らない新感覚
サラなどなど、花が﹁うんま∼∼い ! ﹂
包んで食べるのが気に入って、わが家で
ように提案している。
と食べていた究極のズボラ飯は、時間が
︵主婦の友社・久住昌之監修・水沢悦子画・
﹃小林カツ代のお料理入門﹄
枝元なほみ著・一二〇〇円︶
﹃禁断のレシピ﹄︵NHK出版・多賀正子・
寄りレシピとしてもおすすめ。
もちろん朝食だけでなく、お弁当や持ち
も 定 番 メ ニ ュ ー だ っ た こ と を 思 い 出 す。
なくても作りたくなる。
り、 買 っ て き た お 惣 菜 を す ぐ﹁ お か ず ﹂
ひとりすき焼きやオムライスにはじま
︵文春新書・小林カツ代著・九二〇円︶
にする一工夫など、一人分から簡単に作
調味料、ちょっとしたコツ、手を抜いて
﹁これだけあれば大丈夫﹂な調理器具や
を具現化したレシピ集。実際に食べたら
一箱使いきりのクッキー⋮⋮万人の欲望
ビーフ、ピーナッツバター一瓶とバター
一キロもの塊肉を丸ごと揚げたフライド
で き る、 怒 涛 の 一 〇 六 〇 二 〇kc a l。
もおすすめ。市販の素を使って、超お手
腹持ちの良いポテト料理は朝ごはんに
︵三才ムック・高橋ゆうみ著・一二〇〇円︶
作るレシピ100﹄
﹃ 簡 単! お い し い! マ ッ シ ュ ポ テ ト で
誰にも叱られないひとり暮らしだから
一人ごはんの醍醐味は、誰にも気を使
軽 に 作 れ る。 今 話 題 の エ ッ グ ス ラ ッ ト
れ て お い し く 食 べ ら れ る レ シ ピ が 満 載。
わなくていい、一番おいしいところをお
どうなるか想像できるオトナは、見て楽
いいところがよくわかる。
いしいときに食べられること。そして料
︵ マ ッ シ ュ ポ テ ト を 容 器 に 入 れ、 卵 を の
﹃おにぎらず﹄
︵文藝春秋・高山かづえ著・一三〇〇円︶
﹃作りおきスープの素﹄
せて加熱した料理︶も紹介。
しむだけにしたい。
︵宝島社・しらいしやすこ著・九八〇円︶
朝ごはん、夜ごはん
理はハードルの高いものではなく、こん
ツ代ちゃんは教えてくれる。まさに目か
なに簡単でいいんだ ! ということをカ
ら鱗。
− 13 −
『リセットひとりごはん』
イーストなし、発酵なし、オーブンな
﹁バターを塗った食パンにレーズンと
︵技術評論社・たかはしみき著・九五〇円︶
だ
+ いすきもちもち
﹁ストック具材﹂﹁調味料﹂を熱湯で混ぜ
しでも焼ける簡単パン。焼きたてのパン
ナッツをのせてトースト﹂など、食パン
パン﹄
﹃まいにちトースト
るだけ ! 忙しい朝でもあったかいもの
が食べられる朝は、忙しい毎日でも豊か
を使って取り上げるレシピは八十種類以
︵扶桑社・ヤミー著・一三〇〇円︶
をお腹に入れると元気が出る。スープの
な気持ちになれそうだ。パンを焼く片手
上。﹃ こ げ ぱ ん ﹄ の 作 者、 た か は し み き
簡 単 に 作 り 置 き で き る﹁ ス ー プ の 素 ﹂
素六種で六十レシピに展開。
間にできる野菜たっぷりのスープもバリ
全部まとめてラップに包んで、おべん
﹃朝食おやつ﹄
イ。パン好きにはたまらない一冊。
さんのトーストレシピイラストエッセ
エーション豊富。
とうのお供にも。
﹃オープンサンドレシピブック﹄
︵誠文堂新光社・一三〇〇円︶
しておいた﹁朝食おやつ﹂があれば、一
などを氷と一緒にミキサーにかけた
ムージーでも。スムージーは果物、野菜
日、なんだか調子が悪い日は、せめてス
ホットサンドメイカーがなくてもフラ
新光社・鈴木理恵子著・一三〇〇円︶
レンチトースト100レシピ﹄︵誠文堂
﹃フ ラ イ パ ン で で き る ホ ッ ト サ ン ド と フ
させないバリエーションを紹介。ぜひで
も作り方は簡単。簡単な作り方と、飽き
実はパンケーキもエッグベネディクト
︵主婦の友社・若山曜子著・一二八〇円︶
﹃パンケーキ&エッグベネディクト﹄
− 14 −
バ ゲ ッ ト の ス ラ イ ス に 野 菜 や ハ ム、
日が軽快にスタートできそう。気軽に作
糖分は大事なエネルギー源。作り置き
ティーヌ﹂といって朝食の定番。人気ベー
れて、時間がない中でもサクッと食べら
︵文化出版局・磯谷仁美著・一四〇〇円︶
カリーとカフェ七店が提案する、食べた
れる、朝にふさわしい﹁おやつ﹂のレシ
ジャムやクリームなど様々な具を載せた
い時にちゃちゃっと作れてオシャレな
オープンサンドは、フランスでは﹁タル
﹃からだに効く100のスムージー﹄
シャーベット状の飲み物で、野菜を丸ご
イ パ ン で 気 軽 に 焼 け る ホ ッ ト サ ン ド と、
きたてを味わってみて下さい。
ピを紹介。
オープンサンドを作ってみませんか。
と加えるので食物繊維もたっぷり。少な
人気のフレンチトーストのレシピ。オー
い素材で作れるのも魅力的。
﹃発酵いらずのパンとすぐできるスープ﹄
ザートまで。
ソドックスなものから各国料理、甘いデ
忙しくて朝ごはんを作る時間もない
︵新星出版社・牧野直子著・一二〇〇円︶
『作りおきスープの素』
インスタグラムで二十万フォロワーを
﹃ TODAY'S BREAKFAST
﹄
︵主婦の友社・山崎佳著・一三〇〇円︶
ものは、作りやすい分量で載せてくれて
ただし、多めに作ったほうが作りやすい
青 山 有 紀 さ ん。 分 量 は 基 本 的 に 一 人 分。
の一冊。
か続けられない﹂という人にもオススメ
いるのも嬉しい。
仕事で疲れて帰った時。無視するのは
﹃終電ごはん﹄
﹃
真を見ているだけでよくわかる。
超える人気アカウント @keiyamazaki
さ
んがつくる、美しい朝ごはんの記録日記。
何だか寂しい呑み会後の空腹感。自分や
当レシピ﹄︵新星出版社・クックパッド
﹃クックパッドのおいしい厳選 ! お弁
素 敵 に 見 え る 盛 り 付 け や、 豊 富 な メ
誰かを少し労わりたい時に、十分以内で
料理・九五二円︶
手 軽 に 作 れ て、 洗 い 物 も 少 な め で 済 む、
プレミアムサービスの会員だけが検索
監修・一〇〇〇円︶
︵ 幻 冬 舎・ 梅 津 有 希 子 / 文・ 高 谷 亜 由 /
GRAND HYATT TOKYOと っ て お き
の朝食レシピ﹄︵パルコ出版・ダヴィッ
あっと驚く簡単・便利な六十のレシピを
ニ ュ ー は 見 て 癒 さ れ る こ と 間 違 い な し。
ド・ブラン監修・一六〇〇円︶
紹介。使い切れず、余りがちな野菜を上
お弁当
満載 ! 一九五万品超のレシピから、主
菜と副菜のバリエーションなど九十五の
い方は必見の一冊。帰ってきたらパッと
忙しくても、ちゃんとごはんを食べた
︵飛鳥新社・青山有紀著・一二三八円︶
できるつくりおきお総菜のバリエーショ
ら⋮⋮という悩みを解消。一週間保存も
変、このスペースにあと一品何かあった
毎日お弁当のおかずを考えるのが大
弁当﹄︵扶桑社・小田真規子著・七六二円︶
している間においしいスープに仕上げて
を切ってお湯を注ぐだけ。あとは仕事を
摂りたいもの。スープジャーなら、具材
一日のうち、どこかでたっぷり野菜は
七八〇円︶
︵角川SSCムック・ももせいづみ監修・
﹃スープジャー野菜たっぷり3分レシピ﹄
レシピを厳選。
作れて、夜に食べても安心。更に作り置
間 を か け ず 簡 単 に で き る の で、﹁ な か な
ンを二〇〇以上も紹介。忙しい朝でも時
− 15 −
大切なのは効率だけではないことが、写
五つ星ホテル﹁グランドハイアット東
手に活かしたメニューが多く、重宝する。
帰りが遅くて疲れていても大丈夫 !
を収載。エッグベネディクトをはじめと
する卵料理やフレンチトーストなど、幸
せなモーニングタイムを自宅で。
きレシピも載っている。著者は﹁身体も
﹃つくりおきおかずで朝つめるだけ !
心も元気になる﹂青家のオーナーシェフ・
﹃忙しい人でもおいしく作れる夜ごはん﹄
できるランキング上位のお弁当レシピが
京﹂の、一度は食べてみたい朝食レシピ
『朝つめるだけ! 弁当』
も使えるレシピ。
カロリー別になっていて、ダイエットに
く れ る か ら、 失 敗 知 ら ず で 安 心 で き る。
と白いごはん、見た目に走らず何度食べ
シピを集めた。昔ながらの茶色いおかず
理人・笠原将弘さんが作る和食の弁当レ
味しさ。現在、日本料理界で大人気の料
抗 期 の 高 校 生 で あ る 娘 を 想 う が ゆ え に、
者のブログが書籍化されたもの。絶賛反
元々はお弁当の写真を載せていた著
︵三才ブックス・tt kk著・一〇〇〇円︶
﹃今日も嫌がらせ弁当﹄
スープだけじゃなく、リゾットなどの
と面白い。異国ならではのスタイリング
史と文化。日本の﹁お弁当﹂と比較する
﹁お弁当﹂から見え隠れする異国の歴
︵河出書房新社・服部直美著・一五〇〇円︶
﹃世界のお弁当﹄
る過程も非常に秀逸。嫌がらせ弁当レシ
娘との大事なコミュニケーションとな
ん、その愛情溢れるお弁当が、反抗期の
すぎるキャラ弁のクオリティはもちろ
た、爆笑の食エッセイ。あまりにも面白
し て 嫌 が ら せ を、 な ん と 三 年 間 も 続 け
めに、毎日お弁当、しかもキャラ弁、そ
或いは彼女の反抗に不満にぶつけるた
ても飽きない味のお弁当。
ごはんものや麺類、煮物も作れるレシピ
と写真は眺めて楽しい内容。世界の国と
ピ付き。
ログ﹄
﹃スープジャーでつくる感動レシピカタ
集。作るときは必ずジャーを温めて、分
地域の食材を使ったお弁当の数々に好奇
︵成美堂出版・井原裕子著・一〇〇〇円︶
量を守れば失敗しない。
心がそそられる。
﹃サラメシ﹄
﹃ジャーで作るサラダべんとう﹄
﹃ジ ョ エ ル・ ロ ブ シ ョ ン の お い し い お べ
︵エイムック・結城寿美江著・一〇〇〇円︶
ジャーサラダとは、ガラス瓶にドレッ
NY発ジャーサラダをお弁当に。
て 食 べ る サ ラ ダ。 冷 蔵 庫 で 五 日 間 も 保
う。 フ ラ ン ス 料 理 界 の 巨 匠 が 提 案 す る
いまフランスで流行っているおべんと
パ リ ジ ャ ン、 パ リ ジ ェ ン ヌ に 人 気 !
︵ATパブリケーション・一五〇〇円︶
る。番組に登場したランチの雰囲気と共
分にもちょっと頑張る気持ちが湧いてく
個性的な物語があり、読むとなぜだか自
のランチ﹁サラメシ﹂には、それぞれに
NHKの人気番組の書籍化。働く大人
存できるうえ、野菜のシャキシャキした
フ レ ン チ & 和 食 の お べ ん と う レ シ ピ は、
に、食べる人の人柄が伝わってくるエピ
︵学研パブリッシング・一三〇〇円︶
食 感 も 持 続 す る と い う。 見 た 目 も き れ
手 に 入 れ や す い 食 材 で 作 り や す く、 普
ソードがたっぷり。
んとう﹄
いで持ち運びしやすいのでランチにも
段の食事やおもてなしにも使えるメ
シングと野菜を詰め、食べるときに混ぜ
ぴったり。
ニュー。
︵福岡店・実用書担当︶
﹃和食屋の和弁当﹄
簡単でシンプル。でも、バツグンの美
︵主婦の友社・笠原将弘著・一二八〇円︶
− 16 −
エンジニアの教科書
Web
人工知能は人類を超えるか
に新しいが、 IoT
開発にはIT・組込み
エンジニアリング両方の知識が必要とな
取 り の こ と。 AppleWatch
の登場が記憶
んだ機器による通信を介した情報のやり
株式会社NTTデータ
河村雅人他著
とは Internet of Things
︵モノのイ
IoT
ンターネット︶の略で、センサを組み込
で お き た い、 そ ん な 技 術 も 少 な く な い。
業務では使用しないが知識としては学ん
ン ジ ニ ア 編。 一 口 に
○ ○ ○ 円 ︶ の 姉 妹 本 で、 今 回 は
一昨年の発売以来ロングセラーの﹃イ
ディープラーニングの先にあるもの
る。本書はセンサデバイスとスマートフォ
佐々木達也他著
松尾
豊著
著者は東京大学の准教授で、メディア
エンジニアに向けて、
本書はそんな Web
様々な技術を最新動向も含め網羅的に紹
絵で見てわかる
/センサの仕組みと活用
IoT
への登場も多い人工知能研究の第一人者。
ンの連携から収集したデータの分析まで、
二○○○円
ドまで、その領域は多岐にわたる。担当
エンジニアと
Web
いってもフロントエンドからサーバサイ
エ
Web
ン フ ラ エ ン ジ ニ ア の 教 科 書 ﹄︵ 同 社・ 二
本書では人工知能への注目がふたたび高
介している。
C&R研究所
Scala関数型デザイン&プログラミング
ポール・キウザーノ、ルナー・ビャルナソン著
ドウェアやソフトウェア、コンパイラに
ミングとして書き方を制約することを提
しかし本書はあえて純粋関数型プログラ
はオブジェクト指向型と関数型
Scala
の 特 徴 を 併 せ 持 つ プ ロ グ ラ ミ ン グ 言 語。
− 17 −
コンピュータ
まりつつある現在を第三次AIブームと
コンピュータシステムの理論と実装
全体をカバーする一冊となっている。
IoT
二六八○円
翔泳社
呼ぶ。まず第一・第二次ブームの際に主
流だった技術と当時の限界に触れた上で、
ノーム・ニッサン、サイモン・ショッケン著
第三次ブームの核心であるディープラー
ニングについて、どんなブレイクスルー
OSといった要素で構成されていること
唱する。モジュール性が高まり、テスト
株式会社クイープ訳
に変わりはない。本書はこれらの構成要
と化した現在のコンピュータ。しかしハー
素をひとつずつ組み上げゼロからコン
や 再 利 用 が 容 易 に な る か ら だ。 Java
や
Cでの開発経験があり、関数型プログラ
三九○○円
ピュータを作ることで、コンピュータシ
インプレス
ス テ ム の 本 質 を 理 解 し よ う と い う も の。
三六○○円
ミングに関心を持つエンジニアが対象。
オライリー・ジャパン
たしかな地力を養うのに最適の一冊だ。
急速な進化を遂げ、ブラックボックス
斎藤康毅訳
一四○○円
を起こし得る技術なのかを述べている。
KADOKAWA
コンピュータ
自 然 科 学
生物学の﹁ウソ﹂と﹁ホント﹂
団地を楽しむ教科書
暮らしと。
東京R不動産・UR都市機構著
学 校 が 終 わ る と、﹁ 団 地 の 子 ﹂ た ち は
一軒家に住む私には、彼らの放課後が
いそいそとみんなで帰宅していく。
ションして、思い思いの暮らしを実現し
が 訪 れ て い る と い う。 自 由 に リ ノ ベ ー
最 近 は、 若 い 人 に ま た﹁ 団 地 ブ ー ム ﹂
ない彼らのワンダーランドに思えた。
ている。それは私にはとうてい踏み込め
ときどき彼らの家に招かれると、同じ
なんとも秘密の味わいがした。
生
棟に住む同級生たちが出たり入ったりし
生物進化の謎﹂、﹁Ⅱ
池田清彦著
現在研究されているもの
から、八十八項目ほどピックアップして
分野は﹁Ⅰ
分野別に解説されている。
環境と
命とは何か︱︱遺伝子と細胞の謎﹂、﹁Ⅲ
♂と♀︱︱性と生殖の謎﹂、﹁Ⅳ
生態の謎﹂、﹁Ⅴ
ヒトの謎﹂の五つ。話
題 と な っ たS T AP 細 胞 の 真 偽 問 題 や、
ている。
ともに紹介されている。
ドキドキする暮らしぶりが美しい写真と
本書には、そんな団地を愛する人々の
オス・メスといった性についてなど掲載
されている。
タイトルを挙げると﹁シーラカンスは
なぜ進化しないのか﹂、﹁﹃女心と秋の空﹄
ときにモダン、ときにノスタルジック。
一五〇〇円
不思議な不思議な団地の魅力。
あなたも虜になるはず。
青幻舎
新種の冒険
クエンティン・ウィーラー、
自分が今見ている世界は思っているよ
サラ・ペナク著
りもちっぽけなものだった。世界は未知
グリーン、部屋、コミュニティー、子
﹁年に数日しか地上に姿を現さないカ
る書籍である。
にあふれていることを思い出させてくれ
が移ろいやすいのはなぜか﹂といったも
ども、ごはん、商店⋮⋮各章に、生き生
エル﹂など、普通に学校や仕事に行くよ
の。一つのトピックが見開きでまとめら
特 に 私 が 心 を 打 た れ た の は、﹁ ず っ と
きとした団地ライフがあふれている。
うな生活からは想像もつかない生きもの
二八〇〇円
友達﹂という項目だ。団地で育った女子
朝日新聞出版
たちの姿がこの本には詰まっている。
しに心が躍る。
﹁ 現 在 十 六 歳、 友 達 歴 十 六 年 ﹂ の 見 出
二人の友情が微笑ましく綴られている。
れているのでサックリ読めるし、空いた
時間に少しずつ読み進めていきやすい。
一三〇〇円
生物学が現在どこまで謎を解明出来て
いるのか、いないのか。
読む価値は十分あります。
新潮社
− 18 −
自然科学
医
﹁トシ、
明日あなたの医療英単語で
パリを救いなさい。
できなければ離婚よ﹂
佐々木敏の栄養データはこう読む !
疫学研究から読み解くぶれない食べ方
健康やダイエットに関する情報は次か
佐々木敏著
疾患の場合がある。主訴からの適切な診
が、実は簡単に帰してはいけない重篤な
崎山
弘・本田雅敬編
初め大したことはないと思った症例
始 ま る。 今 回 二 人 に 課 せ ら れ た 課 題 は、
ンス・パリに降り立つところから物語は
六年後、ソフィーと結婚したトシがフラ
題をクリアした主人公トシ。本作はその
ソフィーとのレッスンを経て見事その難
ければ解雇すると通達され、同僚の美女
間で医療英単語の知識を一〇〇倍にしな
前作では所属するラボのボスから一週
やさしく詳しく解説してあり、楽しく学
慣病に関する話題をデータや論文を基に
︵カバーにも意味があるらしい︶。生活習
れていて、読みたい気持ちが湧いてくる
〝はじめに〟でとてもていねいに説明さ
はずである。難しそうな内容に見えるが、
えをもって︿健康な食事﹀が実践できる
を学べば、情報に踊らされず科学的な考
のだが、この本の﹁根拠に基づく栄養学﹂
なのか分からないまま試してみたりする
書
断が重要になるが、子ども︵乳幼児︶は
医療英単語オリエンテーリング大会﹁エ
べる。月刊﹁栄養と料理﹂連載の中から
学
症状を表現できないため親の説明に頼ら
スカルゴ杯﹂で優勝すること。ソフィー
ら次へと出てきて、本当に効くのか安全
ざるを得ず、小児科医は苦労し神経を使
の母親から﹁できなければ離婚よ﹂と通
田淵アントニオ著
う。本書は、一見風邪のような症状を見
抜粋、加筆・再構成したもの。
という新しいスタイルで好評を博したシ
− 19 −
帰してはいけない
小児外来患者
せ る 急 性 心 筋 炎・ 腹 痛 の 症 状 が 腸 重 積
告され、トシとソフィーは再び医療英単
リーズの第二弾。長いタイトル、医学書
二五〇〇円
だったなど四十の症例を紹介し、正しい
にすれば見過ごさないかに力点をおいて
とは思えない装丁だが、独自の勉強法は
女子栄養大学出版部
語の習得に挑戦する⋮⋮。
考 察 す る。 一 つ ひ と つ の 症 例 を 吟 味 し、
一読の価値有り。さあ、トシと共にパリ
小説を楽しみながら専門知識を学べる
診 断 に 至 っ た〝 転 機 〟〝 教 訓 〟 を 基 に 最
思考力・判断力を培い、診断の精度を上
を救おう。そして、物語の先に待ちうけ
終診断までの経過をたどって、どのよう
げよう。小児外来で帰してはいけない対
一八〇〇円
象疾患を﹁死の合図に該当﹂の語呂にま
SCICUS
る二人の運命とは。
三六〇〇円
とめているので覚えておくとよい。
医学書院
医学書
日本郵政
ラムをまとめたもので、著者は、一昨年
に中公新書﹃大阪﹄でサントリー学芸賞
りよくしていくことで、良い政治家が選
言及されている。そして、選挙制度をよ
社 会 科 学
本 書 で は、 政 党 の 進 化 に 焦 点 を 絞 り、
を受賞した新進気鋭の政治学者。
その政党を構成する政治家を選ぶ選挙制
度を海外の事例を含めて、多面的に考察
日 本 郵 政 は 今 年 秋 に 株 式 を 上 場 す る。
ばれ、正解は難しくても﹁納得﹂する政
している。加えて、議会制度についても
しかも、郵便事業、ゆうちょ、かんぽの
井手秀樹著
三社が同時に上場という一大イベントと
一六〇〇円
治が行われることを希求している。
官民連携恊働事業のつくり方
政策コンサルタントが教える
東洋経済新報社
なっている。このタイミングで刊行され
た本書は、その巨大グループを様々な角
特徴的なのはフラットな視点とわかり
度から分析した内容。
や す さ だ。 歴 史 や、 民 営 化 時 の 舞 台 裏、
一五〇〇円
な長期的な視点と合理的な判断だという。
幻冬舎
稲盛流コンパ
この本のように、マネジメントの書籍
北方雅人・久保俊介著
でくそ真面目にコンパ︵飲み会︶に関し
業施設︵KITTE︶も含めた不動産事
経験から﹁政策コンサルタント﹂の仕事
ありながら、行政との協働や政策提言の
著者はエコハウスを設計する建築家で
フィロソフィ経営といった手法で有名だ
ついて度々語っている。アメーバ経営や
氏は、著書や日頃の発言の中でコンパに
京セラやJ ALの経営者である稲盛和夫
か し そ れ ほ ど コ ン パ は 重 要 な の で あ る。
て論じるケースは非常にまれである。し
業の展開など、あらゆる方面の情報が詰
を行っている。本書の前半では公共事業
が、本書を読むと人間くさいコンパ経営
善養寺幸子著
まっている。国民生活とかかわりの深い
の考え方、行われ方の持論を展開し、役
銀行や保険の他社との比較、さらには商
企業だけに、多くの方に読んでいただき
人 の 意 識 改 革 を 迫 っ て い る。 後 半 で は、
従業員の心を熱くし、団結して会社を良
というのも柱の一つであると理解できる。
一六〇〇円
たい本だ。
行政と民間企業などがどうすればうまく
東洋経済新報社
﹁連携﹂して﹁協働﹂できるのかを、著者
くしていくための秘訣が凝縮した一冊。
民主主義の条件
の実体験を踏まえて提言している。その
一六〇〇円
砂原庸介著
手本にしているのはデンマーク人のよう
日経BP社
﹁週刊東洋経済﹂で連載されていたコ
− 20 −
社会科学
早大を出た僕が
入った3つの企業は、
すべてブラックでした
﹁ポッキー﹂はなぜ
フランス人に愛されるのか?
んだ。働くことはもちろん進学も上手く
いかず、社会から事実上の抹消を受ける。
三田村蕗子著
を集めている。実父の事件関与を認める
は多いだろう。本書ではそんな日本のお
てレベル高いなぁと思ったことのある人
外国のお菓子を食べて、
日本のお菓子っ
オウム真理教が起こした地下鉄サリン事
で も 否 定 す る で も な い、 当 事 者 の ア ー
件から二十年後の今年、事件は再び注目
若者の就職難が問題になり始めたのは
菓子の海外への進出状況をレポート。
小林拓矢著
一九九〇年代半ばから。一九七九年生ま
チャリーが自分の目で見たことを記した
でどう受け入れられているのか。それぞ
柿ピー⋮⋮おなじみのお菓子がどんな国
ハイチュウ、ポッキー、ヨックモック、
貴重な告白である。
一四〇〇円
れで、一浪一留したのち社会に出た著者
講談社
は、まさにそういう時代のど真ん中を駆
け抜けてきた。教育学部卒で新聞記者を
きる。メーカーも代理店任せを脱し、ここ
るだけの実力があるということは実感で
れに戦略やドラマがあり、成功も失敗も
志したものの不採用が続き、就職できた
権力とは財布を握っていることであ
数年で売上を数倍にしているものも多い。
ある。でも日本のお菓子は世界で愛され
る。歴史の大きな変わり目を探ると、実
日本のお菓子が世界を席巻する日も遠く
帳簿の世界史
詳細に語られ、あまりに生々しい内容だ。
は帳簿を駆使する会計士たちの姿が見え
ジェイコブ・ソール著
ブラック企業という言葉が世間に広く認
てくる。たとえば、オランダが東インド
のはSE、FX投資会社、物流の業界紙。
知されるようになったのは、やはりそう
ないかもと思うと、ワクワクしてしまう。
− 21 −
応募の段階から退職に至るまでの過程が
い っ た 会 社 が 多 数 実 在 す る か ら だ ろ う。
会社を中心とした世界貿易で富を得た
隠されてきた国家財政を開示し、国民の
一五〇〇円
現代日本の闇の部分を抉った野心的作品。
怒りを買ったことで引き起こされた。歴
日本実業出版社
きっかけは、複式簿記を取り入れたこと
ンス革命は、ルイ十六世から財務長官に
にあると言われている。あるいは、フラ
一〇〇〇円
講談社
止まった時計
本書は、オウム真理教の教祖・麻原彰
史学と会計学を学んだ著者が暴く、未開
任命された銀行家・ネッケルがそれまで
晃の後継者とも言われたアーチャリー正
松本麗華著
大師・三女松本麗華の自伝である。当時
一九五〇円
拓の歴史研究である。
文藝春秋
十二歳の彼女は事件後、大人達の権力闘
争に巻き込まれ、世間からの偏見に苦し
社会科学
人 文 科 学
グローバリゼーションと
惑星的想像力
下河辺美知子著
仏陀の癒しと
心理療法
えることができるのだろうか? 人文学
れらの圧倒的な現実に対し、人文学は応
﹁グローバリゼーション﹂と﹁テロ﹂
。こ
どのように作用するのか、いくつかの事
中道、縁起などの仏教の思想が心の病に
さ れ て い る の で あ る。 本 書 で は、 四 諦、
めるが、実際に心理療法の現場でも活用
数出版され、多くの人がそこに癒しを求
昨今、ブッダの教えを説いた書籍も多
平井孝男著
だ か ら で き る こ と が あ る と 著 者 は 言 う。
例をもとに検証していく。心理学だけで
い ま 世 界 を 席 巻 し て い る 二 つ の 言 葉、
筆者はグローバリゼーションとテロに対
利休切腹
豊臣政権と茶の湯
利休が切腹したのは京都なのか堺なの
し、
﹁惑星的想像力﹂と憎しみの連鎖から
中村修也著
者は茶の湯研究者だが文章は読みやす
か、そもそも本当に切腹したのか? 著
二七〇〇円
なく、仏教に興味ある人にもぜひ。
ネイチャーエデュケーション
法蔵館
の脱却法をもって応える。政治的な力は
三八〇〇円
世界宗教の発明
長谷部雅一著
ド満載で、楽しく読めて役に立つ。身近
富な知識、園児とのふれあいのエピソー
著者ならではのユニークな視点と、豊
ント。
験指導に力を入れてきた活動のドキュメ
が、十年来、保育園や幼稚園での自然体
世界一周の旅を原体験に持ち、主にア
ウトドア関係でマルチに活躍する著者
西洋中心主義的なものの見方はしばし
増澤知子著
ヨーロッパ普遍主義と
多元主義の言説
みすず書房
なくとも、これこそ今必要な知性である。
く、謎解きが楽しめる。
歴史は史実というがその確実性は担保
しづらく、後世の情勢や気運によって史
料自体が表現を変え、ついには史料が曲
げられて伝わることもあるのかもしれな
二四〇〇円
い。それを踏まえての謎解きこそが歴史
研究の醍醐味である。
洋泉社
ば 批 判 の 対 象 と な る が、 そ れ は﹁ 宗 教 ﹂
西洋における﹁世界宗教﹂についての認
なちょっとした自然も、遊び・学びの場
概念についても例外ではない。本書では、
識の転換を通して、西洋の自己認識の遍
一三〇〇円
歴を探っていく。日本の宗教言説を見直
みくに出版
となる。著者自身のイラストも魅力的。
六八〇〇円
すヒントともなる一冊。
みすず書房
− 22 −
人文科学
テレビに出ることを夢見て、試行錯誤
お笑い界の裏側。
するも、同期や後輩芸人たちに追い抜か
れていく日々。焦燥感はあるはずなのに、
の情景なのだが、そこにただ楽しくやり
過ごすだけではない人生の光と影が鮮や
一九〇〇円
痛いほどの感受性で紡がれた全二十
かに切り取られている。
四篇。
孫物語
文学・文芸
どこかあきらめムードのような暗いもの
天才だと感じ、たくさんの事を学ばせ
白水社
てもらった先輩芸人︵師匠︶の転落人生
が漂っている。
夏目漱石俳句
笑う漱石
南伸坊編・絵
しわしビールを呑むイメージが浮かんで
の面々と海辺や川辺で焚火を見ながらわ
シーナさんといえば、あやしい探検隊
椎名
誠著
るのだと、身につまされる。
文藝春秋
モラスでおかしみのある句が並ぶ。イラ
の 名 を 初 め て 知 っ た の は、 フ レ イ ム の
ド の 作 家、 ジ ャ ネ ッ ト・ フ レ イ ム。 そ
没後十一年を迎えたニュージーラン
﹃ 孫 物 語 ﹄ っ て、 小 説? と 手 に 取 っ て
じさんだと思っていた。
トレかビールで乾杯をしている元気なお
ろんなことをしていて、仕事の合間に筋
一二〇〇円
が、お笑い界だけでなく、誰にでも起こ
夏目漱石作・二十八の俳句に南伸坊が
イラストを添えた﹁絵本﹂。
菜の花の中に糞ひる飛脚哉
潟湖
ストも適度な力の抜け具合で、言葉に彩
自伝をジェーン・カンピオンが映画化し
みれば、なんとエッセイなのである。
筆、映画や写真、などなど、なんだかい
くるのだが、もちろん小説やエッセイ執
りを添え、読み手の想像を膨らませてく
た﹁エンジェル・アット・マイ・テ︱ブ
三児の父ということにも驚かされた︵冷
− 23 −
長けれど何の糸瓜とさがりけり
むっとして口を開かぬ桔梗かな
れ る。 ま だ 小 説 家 で も な い﹁ た だ の 人 ﹂
ル ﹂ だ っ た が、 本 作 は そ の デ ビ ュ ー 作
ジャネット・フレイム著
だった頃の漱石の自由なことば遊びを楽
﹃ 岳 物 語 ﹄ の 岳 く ん が、 い つ の ま に か
伸坊さんが厳選しただけあって、ユー
しめる、ひとつひとつ口に出しながら暗
である。
静 に 考 え れ ば、﹃ 岳 物 語 ﹄ は も う 三 十 年
そのシーナさんが、七十歳。
唱したくなってくる本だ。
早すぎた姉の死や、祖母が死ぬまで話
一二〇〇円
も前の本なのだ︶。
七つ森書館
さなかった曾祖母の秘密。精神病院で過
一三〇〇円
ご し た 日 々 ⋮⋮。 自 身 の 体 験 に 基 づ き、
新潮社
火花
カルに描かれているのは、何げない日常
現在と過去を行きつ戻りつしながらリリ
お笑い芸人、又吉氏の経験を生かした、
又吉直樹著
文学 ・ 文芸
迷宮
中村文則著
文庫・新書
きれいなものがゆがむとなぜこうも蠱
れない。
惑的なのだろう。
に記録された、貴重なノンフィクション
く、関係者への詳細な聞き取り調査を元
り、ヒグマの襲撃の恐怖におびえながら、
でその場に居合わせているかのようであ
その一部始終の迫力ある描写は、まる
の傑作である。
気持ちになり、読了後は中村文則作品を
深淵を覗き込んだような、心もとない
もっと知りたくなっている。
文庫化に際し、著者自身の経験も含め
しかしページをめくる手が止まらない。
た他のヒグマと人間の遭遇事件をまとめ
四六〇円
た章を収録した。
新潮文庫
学生だった少女だけが生き残るという未
密室状態の家で両親と兄が殺され、小
解決事件にかつて﹁僕﹂はずっと惹かれ
と身近に存在しており、いたずらに嫌っ
認識の一助になる知識と、ヒグマは意外
この本には、ヒグマについての正しい
そんな﹁僕﹂が事件の遺児だった女性
たり恐れたりするのではなく、うまく共
ていた。
と知り合ってしまったのは、運命だった
道三毛別の開拓地でヒグマが人家を襲い、
文春文庫
著者の願いがこめられている。
六一〇円
存していける社会になるようにと考える
のだろうか。
社 会 に 適 合 し て 生 き て い く た め に は、
北海道三毛別・
慟哭の谷
必要がないものがたくさんある。もしそ
の必要がないものを、たくさん抱えてし
死者八名の大惨事となった。吉村昭
﹃羆嵐﹄
一九一五年︵大正四年︶十二月、北海
木村盛武著
史上最悪のヒグマ襲撃事件
まったら、そしてそれをうまく手放せな
かったとしたら、その人はいったいどう
やって生きてゆけばいいのだろう。
に生きようとしていても、ふとした瞬間
をはじめ多くの小説や漫画、演劇のモデ
たとえうまく隠したつもりでも、上手
ひとの皮一枚下には、整理のつかない
林務官として事件を後世に語り継ぐべ
ルとなったこの事件から一〇〇年。
に感じる違和感を他者は敏感に感じ取る。
ものが主張するように蠢いていて、けし
てその不都合なものを忘れさせてはく
− 24 −
文庫・新書
動機も手法もさまざまだ。だが作品には
い れ ば、 退 職 後 か に 描 き 始 め た 人 な ど、
ンフィクションである。
た鈴木アラン勝を追いかけた初めてのノ
曲﹁ 東 京 ブ ギ ウ ギ ﹂。 そ の 作 詞 を 手 掛 け
い。というのも、セレブリティな二世で
拙であることは今日あまり知られていな
彼の父が近代日本の知の巨人、鈴木大
どれも尋常ではないエネルギーが感じら
つい引き込まれてしまう。近頃の﹁悟り
端 整 な 顔 立 ち だ っ た ア ラ ン 勝 は、﹁ 東 京
れるし、どことなくピュアで、見ていて
世代﹂や﹁草食系﹂と呼ばれる若者とは
ブギウギ﹂で世を風靡したのち、凋落し
術
対照的な﹁ジイさん﹂たちの姿。ここに
芸
シルバ∼アート
来たる高齢社会のヒントがある気がして
人文書院
二三〇〇円
ない親子の縁が二人を翻弄する傑作。
奔放な息子。相容れないがなかなか切れ
てしまうからである。偉大で厳格な父と、
一七〇〇円
美術評論家福住廉氏の﹁シルバーアー
ならない。
老人芸術
鞆の津ミュージアム監修
広島県福山市の﹁鞆の津ミュージアム﹂
で 行 わ れ た﹁ 花 咲 く ジ イ さ ん ∼ 我 が 道
ト入門﹂は必読。
朝日出版社
− 25 −
を行く超経験者たち﹂という展覧会を元
に製作された一冊。
NHKテレビテキスト
日 本 の 総 人 口 一 億 二 千 万 人 の う ち、
六十五歳以上は三千万人以上。実に日本
橋本麻里と旅する日本美術ガイド
国宝に会いに行く
4︲5月号
人 の 四 人 に 一 人 は 高 齢 者 と な っ た 現 代、
見 る こ と の で き る 国 宝 を 中 心 に ご 紹 介。
放送期間中の企画展や常設展示などで
その深さを知る旅に出かけませんか?
国宝の背景を知り、そのスゴ技に酔い、
ほとんど﹁若さ﹂と同義である﹁新しさ﹂
が過度に求められる芸術の世界にあって
も、﹁ 高 齢 者 の 芸 術 ﹂ は も は や 一 定 の 位
本書で紹介されているのは﹁裸身で最
置を占めつつある。
会う旅﹂付き。
NHK出版
一一〇〇円
とじ込み付録として﹁テーマ別国宝に
してみたくなる一冊です。
これをきっかけにして、実際に見て体感
東京ブギウギと
鈴木大拙
れ続けている、戦後日本を代表する歌謡
今も多くのミュージシャンにカバーさ
山田奨治著
前衛を走り続ける伝説の芸術家﹂こと糸
井貫二氏︵ダダカン︶や、増殖するもへ
じを描き続ける軸原一男氏、段ボール箱
に天子を描く長恵氏から、テレビ等でお
幅広い。若いうちから芸術を志した人も
なじみの蛭子能収氏、ドクター中松氏と
芸術
実
用
書
地図・旅行書
一九四四円
ることができない方はぜひご一読を。
ニューヨークのレストランの裏側で
は、何が起こっているのか。完璧に計算
されて道具が配置されたキッチンの中
で、傷だらけの屈強な人々が目まぐるし
ソル・メディア
インドよ !
り上げていく様子は、まるで戦場のよう。
スラングが飛び交い、荒々しく料理を作
く動き回る。様々な言語での専門用語や
そこは想像を絶する特殊な世界なのだ
ガイドブックに載っていない、リアル
東京スパイス番長著
なインドを知ることができる本。すてき
と、 数 々 の 修 羅 場 を 経 験 し て き た 現 役
理由
なチャイ屋の選び方や、インドで一番ト
シェフが言うのだから、間違いない。
ルイス・スアレス自伝
レ ン デ ィ な 髪 型 な ど 生 き た 情 報 が 満 載。
ルイス・スアレス著
マラドーナの魂は国境を越えてこの男
また、インドの伝統音楽やクリケットと
時には身の毛もよだつ業界の裏話を
に引き継がれたようである。幼少期から
FCバルセロナへの移籍までの半生とと
赤裸々に︵そして喜々として︶語る本書
料理への表現や、粗野だが人間味溢れる
いった芸能・スポーツにも言及されてお
同職人達の描き方など、著者の文体は大
もに、W杯での噛み付き事件をはじめと
童が覗いたインド﹄や、沢木耕太郎さん
胆 か つ 危 険 な 魅 力 に 満 ち て い る。 ノ ン
は、二〇〇一年に刊行された同名タイト
普通の選手ならもっともらしい言葉で
﹃ 深 夜 特 急 ﹄ な ど 名 著 も 多 い。 そ ん な 中
フ ィ ク シ ョ ン で あ る と 分 か っ て い て も、
り、 ま さ に か ゆ い 所 に 手 が 届 く 内 容 と
世間に許しを請うだろうが、良くも悪く
毎年必ず渡印するという著者たちならで
現実離れしたエピソードの数々に、ドラ
した数々のスキャンダルの﹁理由﹂が語
も愚直な悪童は思いのままに綴ってしま
はのフレッシュな情報と、近すぎず遠す
マの話ではないのかと勘違いを起こし
ルの新装版である。情熱が伝わってくる
う。それゆえ言い訳にしか思えないもの
ぎず心地よい距離感を感じさせる文章が
なっている。インドに関する紀行文は数
も多い。しかし、単純な道徳観で彼を否
良い味を出している本書は、インドを旅
多く出版されており、妹尾河童さんの﹃河
定し得るだろうか。駆け巡るアドレナリ
られる。
ンと積み重なるプレッシャー。尋常なら
そうだ。
訳 者 の あ と が き に よ る と、 世 界 各 地
する人にとって新たなバイブルとなるだ
の 料 理 人 を 訪 ね た 同 著 者 の ル ポ 集﹁
土曜社
一八五〇円
﹂ の 日 本 版 が、 近 く 刊 行 予
Cook's Tour
定であるとか。今から発売が待ち遠しい。
A
ろう。
一八〇〇円
ざる勝利への執念。本能的なゴールへの
アンソニー・ボーデイン著
キッチン・コンフィデンシャル
マイルスタッフ
閃きと表裏一体の、自己をコントロール
できない危うさ。そして、欧州のリーグ
を目指したあまりにも純粋な若き日の想
い。それらを目撃して魅入られずにいら
れようか。嫌悪感を抱きつつも目を背け
− 26 −
実用書/地図・旅行書
かつて﹃チョイス﹄という名の
英文教材があった
英文法用語の底力
一緒にドラマを演じてみることで、自
ことができるのだ。
りしながら少しずつ成長する様子を見る
がリアルに言い間違えたり言いよどんだ
学べるのはもちろんのこと、英語学習者
が演じている。つまり使えるフレーズが
は英語ネイティブではなく日本人の俳優
人公のみ台本無し。もちろんこの主人公
収録したもの。このドラマではなんと主
礎英語﹂のドラマパートの映像と台詞を
本書はNHKの語学番組﹁しごとの基
を直訳しても意味がなく、それが示すも
なる。全訳せよという設問に対してこれ
﹂という副詞がある
を表す﹁ objectively
が、あるパッセージでこの単語がキーと
分 た め に な る の だ。 例 え ば﹁ 客 観 的 に ﹂
知っておきたい教養や背景知識として随
だけ日本語で読んでも英文を読む以前に
が入る。この考察が面白く、むしろこれ
の全訳と語句の解説、そして著者の考察
ではいかないものばかりで、そこへ本文
う。直訳して内容を理解するには一筋縄
生だった方にはなじみのある作家だろ
文がとりあげられており、その当時大学
リオット、グレアム・グリーンなどの英
たもの。サマセット・モームやT.
S.エ
われていたチョイスという教材を改編し
五十年前に駿台予備校の英語授業で使
あいまいになっているかもしれない用語
い。しかし復習も兼ねてはじめから読み、
は良く理解していないという場合が多
いる人が多く、理解しているつもりで実
る用語である。だからこそ、読み流して
めていくのがおすすめだ。
ろんできるが、まずははじめから読み進
用語を索引で調べるという使い方ももち
などを念頭にまとめている。分からない
験や自身であいまいに理解していた用語
著者が、生徒に聞かれて返答に困った経
予備校で二十年以上英語を教えている
いて、理解を深めるための用語集である。
のにつまづきやすい﹁英文法用語﹂につ
本書は英語そのものではなく、日本語な
り、 戸 惑 っ た 人 は 少 な く は な い だ ろ う。
参考書によって違う定義の用語にぶつか
田上芳彦著
英語の参考書を読んでい
て分からない用語に出会ったり、または、
分との表現や発想の違いを感じることが
のを後続する内容から拾ってこなくては
を理解し更に深めていけば、英語の学習
斎藤雅久著
できる。あるいはもう少し客観的に見て
ならないのだが、そのための背景知識を
効率が上がり、英語上達につながってい
語学・辞典
なぜ間違えてしまったのか、どうすれば
講 ず る。 非 常 に 味 わ い 深 い 英 文 が 多 く、
NHK
しごとの基礎英語
改善できるのかを考えることで自分自身
類書があまり無いのでぜひ手に取ってみ
一五〇〇円
詞も文型も英語参考書には頻繁に出てく
プレイス
− 27 −
大西泰斗監修
の勉強法のヒントも見つかるだろう。ビ
第一章は﹁品詞と文型﹂について。品
ジネス英語についての書籍だが、英語学
一六〇〇円
くだろう。
游学社
てほしい。
一九〇〇円
習者全般に役立つ書籍と言える。
宝島社
語学・辞典
児
庭をつくろう
ゲルダ・ミュラー作
ふしみみさを訳
童
書
もし自分の庭があったらどんな植物を
植 え て み よ う か、 何 を し て 過 ご そ う か。
始めます。本来捨てられそうになったか
は何とかイスに戻ってもらおうと思案し
り回されっぱなしのマーシャとサイモン
嫌みを言いながら騒動を起こすボスに振
講談社
物語です。
ながらも、その答えを見つけ出していく
期真っ只中の彼女たちは傷つき涙を流し
い い 〟 と は、〝 自 分 ら し さ 〟 と は、 思 春
一四五〇円
わいそうなイスに同情するところなので
子どもはみんな問題児。
著者が十七年間保母として勤めた経験
中川李枝子著
から子どもの姿を描いています。
児童書にもSNS関連本が出版されて
ても納得できます。四十五の短い文で一
ろ思いが浮かびますが、読んでいくとと
ん?﹂などのタイトルを見ると、いろい
一七〇〇円
すが、そうはいかないお話の流れに作者
らしさを感じました。
徳間書店
雲をつかむ少女
きました。物語の中にSNS問題が取り
﹁ い い お 母 さ ん っ て、 ど ん な お 母 さ
が再刊されました。庭のある家に引越し
あげられたこの本で、ネット社会で生き
章ずつ出来事が書かれており、子育て中
藤野恵美著
てきた一家の暮らしが庭の四季とともに
の忙しい親でも読みやすい、元気になれ
思わずそんな想像をしたくなる庭の絵本
美しく描かれています。
ている子どもたちが見える気がしまし
一五〇〇円
どにコンプレックスを抱きながら、家族
中学二年生の少女四人が、顔や容姿な
一〇〇〇円
た。親の方が理解してないかもしれない
あすなろ書房
されるはずだったイスに魔法の液がか
や恋人、友人同士での人間関係の中で自
新潮社
る本です。
かもしれません。
講談社
かってしまったことから少し卑屈な性格
分 の 在 り 方 を 懸 命 に 模 索 し ま す。〝 か わ
河合二湖著
向かい風に髪なびかせて
一四〇〇円
ネット社会。親子で距離をうめられる本
ぼろイスのボス
ダイアナ・ウィン・ジョーンズ作
野口絵美訳
佐竹美保絵
マーシャとサイモンの家の居間にある
のイス人間のボスが出来上がってしまい
薄汚れたボロボロのひじかけイス。処分
ま し た。 燃 や さ れ そ う に な っ た 恨 み か、
− 28 −
児童書
お は な し ﹂ を 読 み ま し た。 子 供 の 頃 に 何 回 も 読 ん で い
書標一月号で紹介されていた﹁アラビアン・ナイトの
力 を 感 じ ま す。 一 九 九 〇 年 に 亡 く な ら れ た 赤 羽 末 吉 氏
た で す。 宮 殿 や 素 直 な 王 女 の 人 柄 に 作 者 の 豊 か な 想 像
せられます。﹁空飛ぶ木馬﹂は全く知らなくて楽しかっ
岸本
隆子
る は ず な の に、 覚 え て お ら ず、 ど れ も ハ ラ ハ ラ ド キ ド
の色あざやかな優しい絵もこの本の良さをひきたてて
﹁アラビアン・ナイトのおはなし﹂
キ ワ ク ワ ク し な が ら 頁 を め く り ま し た。 お 子 様 向 け な
います。子供の本に二千円は高いかなとも思いますが、
こ の シ リ ー ズ は 豊 か な 心 を 育 む も の ば か り。 少 子 化 の
の で 私 の よ う な 老 眼 の も の で も、 す ぐ 読 め ま す。 そ れ
に し て も 有 名 な﹁ ア リ バ バ と 四 十 人 の と う ぞ く ﹂ は 子
今こそ揃えてあげたいものです。
正文ぶん、赤羽末吉え・二〇〇〇円︶
*﹃ア ラ ビ ア ン・ ナ イ ト の お は な し ﹄︵ の ら 書 店・ 中 川
︵五十三歳・主婦︶
供に読ませてよいのかと思うほどの残酷な場面もいく
つ か あ り、 こ ん な 話 だ っ た ん だ と あ ら た め て 驚 い た も
の で す。 モ ル ジ ア ナ の な ん と 美 し く、 か し こ く、 魅 力
的 な こ と。 く び れ た ウ エ ス ト で 踊 る 姿 が 目 に 見 え る よ
う で す。 デ ィ ズ ニ ー で 有 名 に な っ た﹁ ア ラ ジ ン と 魔 法
のランプ﹂も指輪の精とか忘れていた精に救われてピ
ン チ を 脱 出 す る ア ラ ジ ン。 魔 法 や 魔 術 が 身 近 な も の に
なっていて本当に昔はこんな事ができたのかもと思わ
− 29 −
A
A TT II O
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− 30 −
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定休日については、お手数をおかけしますが弊社 HP または直接各店までお問い合わせ下さい。
− 31 −
〔営業時間〕10時∼ 21時
│
五九五六 六一〇〇
丸善ジュンク堂書店特急便係
東京都豊島区南池袋二 一五 五
〇三
五九五六 六一二〇
〇三
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い つ も﹁ 書 標 ﹂ を ご 愛 読 い た だ き ま し て
以下の通りです。
ありがとうございます。本誌定期購読料は
本にまつわるエッセイ、など本に関するもの。最近読んでおも
☆読者の皆様の投稿を募集しています。最近読まれた本の感想文、
定期購読料
年間一二三〇円︵送料込︶
現金書留もしくは八十二円切手十五枚で
│
お申し込み先
しろかった本、感動した本、考えさせられた本を教えて下さい。
四〇〇字∼六〇〇字程度で、おすすめの本のタイトル、出版社、
掲載分には二千円の図書カードを差し上げます。なお、原稿はお
〒
1710022
住所、氏名、年齢、職業を明記の上、お送り下さい。
六一一一
│
編集後記
│
返しいたしませんのでご了承下さい。
東京都豊島区南池袋二 一五 五
五九五六
FAX TEL
☆尚、本誌掲載と同時に、ホームページにも掲載させていただきます。
〒
〇三
丸善ジュンク堂書店﹁書標﹂編集室係
│
TEL
│
│
店と名古屋本店、ジュンク堂
は練馬区の大泉学園店がそれ
ぞ れ オ ー プ ン い た し ま し た。
お客様に末永くご愛顧いただ
けますよう、従業員一同努め
てまいります。皆様のご来店
︵緒︶
をお待ちしております。
− 32 −
│
│
│
この春、丸善は高島屋大阪
PC ・スマートフォンから
ᛩ
Ⓜ
൐
㓸
1710022
会でもある為だ。注文欄に、とても強い
かれたぼくが、その後どんな顔をして写
そして、去る二〇一五年四月二十八日、
真に写っていたかは知る由もない。
表紙のカバーは、三白眼気味のモデル
気持ちの入った数を入れねばなるまい。
迎えた二〇一五年の二月半ば、ぼくは大
映画﹁ビリギャル﹂の撮影が大詰めを
は、ビリギャルちゃんの塾講師が書いた
ち運びが便利になった。ちなみにこの本
り、実に華やかだ。文庫版はたいそう持
女の芯の通った力強い眼差しは、品があ
演の有村架純バージョンが加わった。彼
のスローガンを掲げ、読者に喜んで頂け
E N ﹂ と し て、 新 た に﹁R E B O R N ﹂
であるように、﹁丸善﹂は、﹁MARUZ
て も、﹁ 角 川 映 画 ﹂ の ス ピ リ ッ ツ が 健 在
る。﹁KADOKAWA﹂に標記が変わっ
気力、体力、十分のスタッフがお迎えす
か ら 一 四 〇 年、 路 面 に 戻 っ た 弊 店 に て、
﹁ 叙々苑焼肉弁当の味﹂
泉の東映東京撮影所を目指していた。K
本 で あ る こ と は 意 外 と 知 ら れ て お ら ず、
オープンを迎えた。名古屋の栄地区出店
ADOKAWA営業のU氏にお声かけ頂
ビリママこと、お母さんも本を出したが、
M ARU ZEN 名古屋本店はグランド
NHK朝ドラ﹁あまちゃん﹂で小泉今
き、約束の昼十二時に駆けつけるためだ。
ご当人は一切書いていないことに、少し
が 挑 発 的 な 視 線 を 向 け て お り、 話 題 と
日 子 の ア イ ド ル 時 代 を 演 じ た 有 村 架 純、
なった。冬服・夏服の制服姿二種に、主
いまや﹁チーム・バチスタ﹂シリーズの
書店員には、稀にこうした役得がある。
さんばかり、軽快に浮き足立っていた。
やねんけど﹂と、仰った気がした。いや、
という時に、口を開いた甘木氏が﹁異動
居た。このあと、主演の二人と写真撮影
屋メンバーの中に、上司である甘木氏が
ところで、最初に通された控え室の本
までいる。
味を、ぼくはどうしても思い出せないま
撮影の時に出たお弁当の肉の柔らかさや
かれるよう、店の船出を願いつつ、あの
映画﹁ビリギャル﹂公開ヒットにあや
る店づくりを目指す所存である。
伊藤淳之、主演二人が揃い踏みの現場に
だけ驚く。
但し、タダより怖いものはない。都内の
確かにそう聞こえた。完全に無防備で浮
立ち会えるとのことで、寒風を吹き飛ば
本屋が集められたのは、五月公開に先立
653- 1600013 0008
︵坂︶
ち展開される、この映画の原作本の商談
二〇一五年五月五日発行
﹁書 標
第 号
ほんのしるべ﹂
頒価五十円︵本体四十六円︶
編集・発行人
工
藤
恭
孝
発 行 所
㈱丸善ジュンク堂書店 〒 東京都新宿区三栄町二十九 ニューフィールドビルディング
印 刷 所
㈱七
旺
社
〒 神戸市長田区一番町二丁目一
438