水文学概論

自然地理学特講
第8回
水文学概論
水文学とは?
• 地球上の水の循環を明らかにする学問
– 存在量・移動量の定量化
– 水移動のメカニズムの解明とそのモデル化
– 循環過程における水の質的変化
存在量 (km3)
( % )
移動量 (km3yr-1)
( % )
海
洋
1,349,929,000
(97.5)
418,000
(40.4)
氷
雪
24,230,000
(1.75)
2,500
(0.24)
湖
沼
219,000
(0.02)
8,500
(0.82)
河
川
1,200
(0.00)
35,000
(3.38)
地
下
水
10,100,000
(0.73)
12,000
(1.16)
土
壌
水
25,000
(0.00)
76,000
(7.34)
水
蒸
気
13,000
(0.00)
483,000
(46.7)
水の循環
降水
蒸発
蒸発散
浸透
河川流出
地下水流動
水収支
• 土層の水収支
(鉛直1次元)
P−E−Gr=ΔSsoil
• 湖沼の水収支
P+Ri+Gi−E−Ro−Go=ΔSlake
• 流域の水収支
P−E−Ro−Go=ΔSbasin
流域という概念
恋瀬川
川又川
小桜川
流域界
地形図で
確認しよう
地中の水の状態と分類
三相分布
圧力分布
気相
降雨時
懸垂水帯
不飽和
毛管水帯
飽和
毛管水帯
地下水帯
乾燥時
土
壌
水
地下水
液相
固相
−
0 +
降雨に対する地中水の応答
平常時
地下水面
河川・湖沼
降雨時
ハイドログラフと流況曲線
流量
ハイドログラフ
時間
流量
流況曲線
豊水量
平水量 低水量 渇水量
95
185
日
275
355
地下水の動き
自噴井戸で地下水が自然
に湧き出るのはなぜ?
地表面
深井戸(掘り抜き井戸)
地下水面
浅井戸
圧力水頭 帯水層
浅層地下水 (不圧地下水)
難透水層
位置水頭 帯水層
深層地下水 (被圧地下水)
難透水層
水理水頭
帯水層
基準面
水質
• 電気伝導度
溶存物質量の指標。滞留時
間、地質、汚染状況などに
よって変化。
• pH
水素イオン濃度。降水水質、
滞留時間、地質などに依存。
• 水温
流動経路、涵養標高・時期な
どに依存。
• 一般水質
– Na+,K+,Mg2+,Ca2+
– Cl-,SO42-,NO3-,HCO3-
• 硬度
Mg2+とCa2+の総量を反映。主に
地質に依存。
• 重金属
鉄・マンガン・アルミなど。汚染状
況や流域の酸性度などに依存。
• 硝酸性窒素
硝酸態・亜硝酸態・アンモニア態
の窒素総量。過肥料投入によ
るノンポイントソース汚染。メト
ヘモグロビン血症を引き起こす。
蒸発散の制御要因
• Penman-Monteith式
LE =
ΔR * + ρc p (esa − ea ) / ra
Δ + γ (ra + rc ) / ra
• 有効放射量
– 日射量、地表面の反射率・熱的特性によって変化
• 飽差
– 気温と湿度によって変化
• 空気力学的抵抗
– 地表面の凹凸(植生の高さ・密度)に依存
• キャノピー抵抗
– 植生の生理活性、土壌水分状態に依存