労組基礎(スライド

労働組合の基礎講座
労働組合について
労働組合とは
①「労働者が主体となって自主的に労働条件
の維持改善その他経済的地位の向上を図る
ことを主たる目的とする団体またはその連合
体」(労組法2条本文)
②但し、2条但書き1号:「利益代表の加入」、2
号:経費援助を受けている、3号:福利厚生の
みを目的、4号:政治・社会運動のみを目的、
に該当するものを除く。(労働組合の要件)
労働者・労働組合の権利
「労働三権」(憲法28条)
①団結権
②団体交渉
③団体行動権
労働組合の権利関係
区 分
団結権
団体交渉権
争議権
救済手段
警察・防衛庁等
禁止(国公法108の2⑤他)
その他職員
職員団体制度(国公法108の
2)
交渉権はあるが、協約締結権
なし(国公法108の5)
禁止(国公法98
②)
現業職員(郵政
等)
労働組合制度(公労法4①)
協約権有り(効力に一定の制
限、公労法16)
禁止(公労法17
①)
警察・消防等
禁止(地公法52⑤)
その他の職員
職員団体制度(地公法52①)
交渉権は有り(地公法55①)、 禁止(地公法37
協約締結権なし(地公法55②)、 ①)
書面協定権有り(55⑨)
人事委員会、公
平委員会への不
服申立て
病院(地公企法全
面適用)
労働組合制度(地公労法5
①)
団交権有り(地公労法7)、協
約権有り(効力に一定の制限、
地公労法8∼10)
禁止(地公労法
11)
地労委(労組法
27)
病院(地公企法一
部適用)
その他の職員と同じ
独
法
公務員型
労働組合制度
団交権有り、協約権有り
争議権なし
中労委
独
法
非公務員型
労働組合制度
団交権有り、協約権有り
争議権あり
地労委
国
家
公
務
員
地
方
公
務
員
地労委(労組法
27)
労働条件の最低基準
(憲法27条2項)
「賃金、就業時間、休息その他
の勤務条件に関する基準は、
法律でこれを定める」
生存権(憲法25条第1項)
すべて国民は、健康で文化的
な最低限度の生活を営む権利
を有する。
生存権(憲法25条2項)
国は、すべての生活部面につ
いて、社会福祉、社会保障及び
公衆衛生の向上及び増進に努
めなければならない。
団結の重要性
①「錐ガエル」「樽ヘビ」「ざるド
ジョウ」の訓え
②3本の矢の訓え
不当労働行為
労組法7条
①経営者が労働組合を弾圧したり、労働
組合に加入し、活動したことを理由に不
利益な取扱いをすることを『不当労働行
為』として禁止している。
不当労働行為制度は団結権の具体
化といえます。
②7条1号、2号、3号、4号
不当労働行為との闘い
①職場での反撃
機敏で断固とした反撃の重要性
①情報網の確立(些細なうごきも見逃さない)
②メモ運動(誰が・何時・何処で・何を)
③断固とした姿勢で抗議(芽のうちに摘み取る)
②地労委への救済申請
解雇
制限
根拠等
解雇制限の内容
労働基準法
(1)業務上の傷病による休業期間及びその後30日間の解雇
(労働基準法第19条)
(2)産前産後の休業期間及びその後30日間の解雇(同条)
(3)国籍、信条等を理由とする解雇(第3条)
(4)監督機関への申告を理由とする解雇(第104条)
(5)客観的かつ合理的理由を欠く解雇(18条の2)
男女雇用機会均
等法
(1)解雇について女性であることを理由として男性と差別的取扱
いをすること(均等法第8条)
(2)女性労働者が婚姻し、妊娠し、出産し、または産前産後休業
をしたことを理由とする解雇(第8条)
育児介護休業法
労働者が休業申出をし、または育児休業や介護休業をしたことを
理由とする解雇(育児介護休業法第10.16条)
労働組合法
不当労働行為に当たる解雇の禁止(労組法第7条)
民事裁判
正当な事由のない解雇は、無効。
あるいは、解雇権の濫用であるから、無効。
就業規則違反の
解雇
・就業規則に違反する解雇は無効。
・就業規則に制限的に列挙された解雇事由に反する解雇
労働協約の
解雇同意約款、ま ・解雇は労働者の待遇に関する「基準」であるから、これに違反
する解雇は無効、とする見解が有力。
たは解雇協議約
款
整 ①人員削減の必要性(特定の事業部
門の閉鎖の必要性)
理
解 ②人員削減の手段として整理解雇を
選択することの必要性(解雇回避の
雇
ために配置転換等をする余地がない
の
こと)
四
要 ③解雇対象の選定の妥当性(選定基
準が客観的、合理的であること)
件
④解雇手続の妥当性(労使協議等を
実施していること)
労働条件の決定
労働条件の原則
(労働基準法第1条1項)
「労働条件は、労働者が人たる
に値する生活の必要を充たす
べきものでなければならない」
労働条件の原則
(労働基準法第1条2項)
「この法律で定める労働条件は
最低のもの」であり、経営者と
労働者は「その向上を図るよ
うに務めなければならない」
労働条件の決定
(第2条)
①「労働条件は、労働者と使用者が、
対等の立場において決定すべきも
のである」
②労働者及び使用者は、労働協約、
就業規則及び労働契約を遵守し、
誠実に各々その義務を履行しなけ
ればならない」
労働条件の明示義務
書面の交付による明示事項
口頭の明示でもよい事項
(1)労働契約の期間
(2)就業の場所・従事する業務の内
容
(3)始業・終業時刻、所定労働時間
を超える労働の有無、休憩時間、
休日、休暇、交替制勤務をさせ
る場合は就業時転換に関する事
(4)賃金の決定、計算・支払いの方
法、賃金の締切り・支払いの時
期に関する事項(5)退職に関す
る事項
(5)退職に関する事項、解雇の事由
(1)昇給に関する事項
(2)退職手当の定めが適用される
労働者の範囲、退職手当の決定、
計算・支払いの方法、支払いの
時期に関する事項
(3)臨時に支払われる賃金、賞与な
どに関する事項
(4)労働者に負担させる食費、作業
用品その他に関する事項
(5)安全・衛生に関する事項
(6)職業訓練に関する事項
(7)災害補償、業務外の傷病扶助
に関する事項
(8)表彰、制裁に関する事項
(9)休職に関する事項
就業規則
①常時10人以上の労働者を使用している
事業所(単位は事業所)→就業規則を
作成、監督署への届出(労基法89条)。
②就業規則は法令や労働協約に反して
はならない(92条1項)
③違反就業規則の行政官庁(監督署長)
による変更命令(92条2項)
④法令及び就業規則の労働者への周知
義務(106条)
就業規則の作成・変更手順
就
就
業
業
規
規
則
則
作 成
変 更
労働者代表の
意見の聴取
①過半数組合
②労働者の過半数代表者
労働者代表
労働者への周知
労働者への周知
(第106条)
(第106条)
労働者代表が「労働者の過半数代表者」の
場合は、
①法第41条第2号の監督または管理の地位
にある者でないこと。
②就業規則について労働者を代表して意見
書を提出するものを選出することを明らかに
して、実施される投票、挙手等の方法による
手続きにより選出された者であること。
の要件を満たす必要がある。
意
見
書
を
添
付
所轄労基署
所轄労基署
への届出
への届出
就業規則
必ず記載しなければならない事項
(1)始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、
休暇並びに交替制の場合には終業時転
換に関する事項
(2)賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金
の締切り及び支払の時期並びに昇給に
関する事項
(3)退職に関する事項
解雇の事由
定めをする場合は記載しなければなら
ない事項
(1)退職手当に関する事項
(2)手当・賞与・最低賃金額について定
める場合には、これに関する事項
(3)食費・作業用品等を負担させる場合
には、これに関する事項
(4)安全・衛生に関する事項について定
める場合には、これに関する事項
(5)職業訓練に関する事項について定
める場合には、これに関する事項
(6)災害補償・業務外の傷病扶助につ
いて定める場合には、これに関する
事項
(7)表彰・制裁について定める場合には、
これに関する事項
(8)上記のほか、当該事業場の全労働
者に適用される事項について定める
場合には、これに関する事項
労働契約と労働基準法、就業規則との関係
業務
務命
命令
令
業
労働
働契
契約
約
労
就業
業規
規則
則
就
法
法
法
法
令
令
労働
働協
協約
約
労
憲
憲
労働時間の原則
1日の3分割
休息に8時間
仕事に8時間
8時間ソング
おれたちがやりたい
ことに8時間
各国の法定労働時間
日本
フランス
ドイツ
オランダ
1週40時間
法定労働時間
(特例措置あり)
1週35時間
法定労働時間
1週35時間
産業別協定時間
1週36時間
標準労働時間
※商業、映画演劇業、 ※欧州の主要国では1980年代から労働時間の短縮が進
保健衛生業、接客娯
められており、賃金も原則的にカットされていない。
楽業の10人未満の事
業所は、特例措置によ
り、現在も、週44時間
労働制です。
時間外割増賃金
AM9:00
PM5:00
7時間
PM6:00
1時間
所定労働時間
通常賃金
PM10:00
7時間
4時間
法定 法定時間外残業
時間内
割増賃金
残業
25%以上
AM9:00
AM5:00
深夜の法定時間外残業
割増賃金
50%以上
PM10:00
PM12:00
12時間
2時間
休日労働
休日労働+深夜労働
割増賃金
35%以上
割増賃金
60%以上
時間外労働の規制枠
一般の労働者の場合
期間
限度時間
対象時間が3カ月を超える
1年単位の変形労働時間制
の対象者の場合
期間
限度時間
1週間
15時間
1週間
14時間
2週間
27時間
2週間
25時間
4週間
43時間
4週間
40時間
1ヵ月
45時間
1ヵ月
42時間
2ヵ月
81時間
2ヵ月
75時間
3ヵ月
120時間
3ヵ月
110時間
1年間
360時間
1年間
320時間
過労死に至る3要素
①長時間労働
②不規則勤務
③深夜労働
時間外労働の規制・割増賃金の国際比較
時間外労働の規制
日本
・時間外労働には36協定が必要
・時間外労働の限度は年間360時間
手当の割増率
25%(労働日)
50%(夜業)
35%(法定休日)
フランス
・週35時間から39時間までの時間外労働については、従業員21
人以上の企業の場合、割増率が2001年で25%
・年間割当枠は130時間
(これを超えた場合、すべての時間外労働に等価の補償の権
利が生じる)
50%
オランダ
・1日9時間、週45時間を上限。ただし、3ヶ月平均で40時間を超え
てはならない。
・非常時には1日11時間、週54時間まで引き上げることができる。
・また労働協約によって1日12時間まで引き上げることもできる。
・従業員は労働時間の調整(増加や減少)を使用者に要請できる。
25%(労働日)
50%(夜業)
75%(土曜日)
100%(日曜日)
韓国
アメリカ
・時間外労働の限度は週12時間
50%
・連邦法に規程はない
・公正労働基準法(FLSA)では週40時間以上は時間外労働として
いる
50%
労基法違反には刑事罰
第119条(6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金)
1.第3条(均等待遇)、第4条(男女同一賃金の原則)、第7条(公民権の保
証)、第16条(賠償予定の禁止)、第17条(前借金相殺の禁止)、第18
条(強制貯金)第1項、第19条(解雇制限)、第20条(解雇の予告)、第
22条(退職時の証明)第3項、第32条(労働時間)、第34条(休憩)、第
35条(休日)、第36条(時間外及び休日の労働)第1項ただし書、第37
条(時間外等の割増賃金)、第39条(年次有給休暇)、第61条(深夜
業)、第62条(危険有害業務の就業制限)、第64条の3(妊産婦等の危
険有害業務の就業制限)から第67条(育児時間)まで、第72条、第75
条(療養補償)から第77条(障害補償)まで、第79条(遺族補償)、第
80条(葬祭料)、第94条(寄宿舎生活の自治)第2項、第96条(寄宿舎
の設備及び衛生)又は第104条(監督機関に対する申告)第2項の規
定に違反した者
2.第33条(災害時等の時間外労働)第2項、第96条(監督上の行政措置)
の2第2項又は第96条(寄宿舎にかかわる行政措置)の3第1項の規
定による命令に違反した者
3.第40条(労働時間等の特例)の規定に基づいて発する命令に違反した
者
4.第70条(職業訓練に関する特例)の規定に基づいて発する命令(第62条
又は第64条の3の規定に係る部分に限る。)に違反した者
労働組合の歴史
年
日本における
労働組合の
歴史
代
事
件
1868年
明治維新
1872年
高島炭坑暴動
1886年
山梨県甲府市の雨宮製糸工場で日本初のストライキ
1894年
日清戦争(戦後に物価上昇、経済変動)
1897年
労働組合期成会結成・鉄工組合結成
1898年
日本鉄道矯正会結成
1899年
活版工組合結成
1900年
「治安警察法」(17、30条で労働3権を禁止)注1)
1904年
日露戦争
1912年
友愛会結成
1914‐18年
第1次世界大戦(重化学工業の発達、独占資本主義へ)
1917年
ロシア革命
1918年
米騒動
1920年
第1回メーデー
1921年
日本労働総同盟(総同盟)と改称
1925年
男子普選実施。治安維持法制定
1926年
「治安警察法」17、30条廃止 注2)
1940年
産業報国会結成
1945年
敗戦/労働組合法
1946年
日本国憲法制定(労働3権の保障)
1946年
労働関係調整法
1947年
労働基準法
労働者とは
①「水戸黄門」には出てこない労働組合
(歴史性)
*労働者の二つの自由
*資本主義経済=商品生産経済→労働力の
商品化、労働者とは?
②現住所労働者、本籍地農民
(社会の多数派)
③烏合の衆との違い:
数+目的性、組織性
労働組合の生い立ち①
①個人的抵抗
盗み、サボタージュ、雇い主への報復
②集団的抵抗
機械打ち壊し→ストライキ→労働組合組
織→法的保護の獲得
労働組合の生い立ち②
弾圧に抗して育って行った(労働者は
自覚し立ち上がる→階級性)
1900年「治安警察法」(17、30条で労働3権を禁
止)
1925年男子普選実施。治安維持法制定
1926年「治安警察法」17、30条廃止
1928年治安維持法に最高刑として死刑が明文
化
労働組合の権利の確立
1945年敗戦/労働組合法
1946年日本国憲法制定(労働3権の保障)
①刑事免責
②民事免責
合理化の手法
①搾取強化の3つの方法
②「長糞・長小便」の禁
③オトメ(乙女)ーションと
エリザベス女王
医労連運動の歴史
日 本 医 労 連 の 闘 う 歴 史
1957年
8月結成
1960年
1968年
1989年∼
病院スト
夜勤制限闘争
看護婦闘争
30,850人
77,220人
86,594人
21世紀の
新たな産別闘争へ
1992﹁看護婦確保法﹂、
﹁基本指針﹂の制定。﹁お礼
奉公﹂の廃止
1987連合体化
夜勤手当や職場保育所への
国庫補助、夜間の車送り、
基準看護加算 の引き上げ
1965人事院判定
大幅賃上げ・
診療報酬
の改定
安保反対闘争
貧困と飢餓、
医療破壊の克服へ
前史 1946年
月、全医協結成
4
メーデー決議
1946年5月1日 17回東京地方メーデー
一、保守反動政権反対、社会党を首班とする民主人民政府を即時樹立せよ
一、戦争犯罪人を根こそぎ追放しろ
一、食糧人民管理、働けるだけ食わせろ
一、隠匿物資の摘発、大邸宅を開放せよ
一、生産管理弾圧絶対反対
一、罷業権、団体交渉権の確立
一、労働関係調整法絶対反対
一、生産即時再開、失業者に食を与へよ
一、クビキリ絶対反対、工場閉鎖反対
一、失業手当法、失業保険法の制定
一、七時間労働、週休制の確立
一、働く母性を保護せよ
一、同一労働、同一賃銀
一、生活費を基準とする最低賃銀制の確立
一、勤労所得税を即時撤廃せよ
一、戦災者、引揚者に仕事と住宅を与へろ
一、人民の手による人民の憲法
一、民主的平和日本の建設
(一部省略)
日本医労連綱領
1、われわれは、組合員の団結によって、働くも
のの生活と権利を守り、医療労働者の社会
的・経済的地位の向上のためにたたかう。
2、われわれは、広範な労働者・国民と連帯し、
国民医療の改善と社会保障制度の拡充のた
めにたたかう。
3、われわれは、資本からの独立・政党からの
独立・一致する要求に基づく共同行動を基礎
に、平和と民主主義を守るためにたたかう。
医労連のシンボルマーク
全
労
連
日本医労連
日本医労連
県 労 連
県医
医労
労連
連
県
︵
四六
六︶
︶
︵
四
地域労連
地場組合
全 国 組 合
全
全医
医労
労、
、全
全厚
厚労
労、
、全
全日
日
赤、健保労組、全労災、
赤、健保労組、全労災、
公共労、国公病組
公共労、国公病組
全国組合単組・支部
新・労働組合の三つの基本任務
①経済闘争⇒総合的生活改善
・闘争の合理化(春に一本化+恒常的協議)
・安定・働きがい・理念に基づく民主的経営
②政治闘争
・制度政策闘争⇒社会的認知
・選挙闘争⇒政党支持自由の超克
③思想闘争
・情勢論⇒制度・実務
労働組合の課題
①理念の(再)確立
ルールある社会確立の主体
②組織の(再)確立
専従・非専従の組合せ
横と縦の関係の統一