91号 - 滋賀県立安土城考古博物館

91
平成27年(2015年)3月31日
滋賀県立安土城考古博物館
平成 年春季特別展
主な展示資料
(◎は重要文化財 △は県指定文化財)
川中島合戦図屏風(和歌山県立博物館蔵)
戦国合戦の か た ち
─川中島合戦から大坂の陣まで─
「戦国合戦と民衆」
関連行事 ◆記念講演会
※屏風は左右隻を前期・後期で入れ替えます
△常高院画像(小浜市常高寺蔵)
△豊臣氏五奉行連署状(真田宝物館蔵)
◎朝倉義景書状(長浜市宝厳寺蔵)
◎織田信長書状(文化庁蔵)
(福井県教育委員会蔵)
関ヶ原合戦図巻(岐阜市歴史博物館蔵)
◎一乗谷朝倉氏遺跡出土資料
姉川合戦図屏風(福井県立歴史博物館蔵)
賤ヶ岳合戦図屏風(大阪城天守閣蔵)
びょう ぶ
戦国時代には、各地の戦国大名どうしが勢力
を競って合戦を繰り返し、その様子は江戸時代
になると、さまざまな屏風絵等に描かれました。
しかしながら、その合戦のあり方は一様ではあ
りません。はじめの頃は、それぞれの国を守る
戦国大名が、領土拡大に伴い国境で紛争に及ぶ
けん しん
ケースが多く、雌雄を決するような決戦になる
しん げん
ことはまれでした。信玄と謙信の間で繰り返し
行われた川中島合戦などがそのよい例です。
出現を契機として、中央
その後、織田信長の
せい ひつ
権力を戴いて「天下静謐」を掲げる一方の勢力
そして、信長や秀吉の政権が国内支配において
日時:四月二六日(日)
が、他方を従えようとする傾向が現われます。
圧倒的な存在になるにつれ、合戦はその政権内
での権力闘争の場となり、片方を滅ぼすか従え
講師:黒田基樹氏(駿河台大学教授)
「戦国合戦図屏風の世界」
しず が たけ
るかの一大決戦に変わっていくのです。賤ヶ岳
日時:五月二四日(日)
関連行事 ◆城郭探訪
講師:高橋修氏(茨城大学教授)
※定員一四〇名 当日先着順 資料代五〇〇円
合戦、関ヶ原合戦を経て、大坂の陣で豊臣家が
滅びると、ついに権力闘争に決着がつきました。
また、戦禍を被っていると思われがちな民衆
も、戦争への参加や略奪を利用して生きぬいて
いた側面があったことも忘れてはなりません。
定員三〇名(要予約・有料)
「観音寺城を歩く」日時:五月三〇日(土)
「安土城を歩く」 日時:五月 九日(土)
歴史資料をもとに、「戦国時代」のあり方を改め
定員二〇名(要予約・有料)
展覧会では、合戦を描いた絵画資料や、戦争
の状況や思惑を読み取ることのできる古文書や
て問い直していきます。
「あの遺跡は今!Part 」を
開催します
平成二七年二月一五日に、整理調査成果と作
業室を公開する「あの遺跡は今!Part 」を
20
印象的でした。
に集中 没
・ 頭し
て行く様子が
た方々が次第
で、参加され
人から子供ま
いました。大
体験してもら
き写す作業を
真をもとに書
を実寸大の写
書かれた文字
また、整理作業体験では、塩津港遺跡から出
土した木簡に
り上げました。
調査員は、出土状況写真と実物を指し示しな
がら熱いトークで来場者を引きつけ、会場を盛
関津遺跡・狛氏館遺跡の3件を報告しました。
を語るというスタイルで2回行い、上御殿遺跡・
物 の 遺 物 を 前 に し て 、「 調 査 員 の 気 に な る モ ノ 」
説を行いました。さらに報告会は、整理室で本
今回は、「古代のくらし」をテーマとして、今
年 度 整 理 調 査 を 行 っ て い る 一 〇 遺 跡 の 展 示・ 解
開催し、二〇二名の方にご来場いただきました。
20
27
公益財団法人 滋賀県文化財保護協会 調査整理課通信 ❷
しゃえん
収蔵資料紹介
◇山ノ上古墳出土
斜縁二神二獣鏡
(古墳時代前期(四世紀)
)
直径一八 一
・㎝
山ノ上古墳は、栗東市安養寺に所在した古墳
です。昭和三五年に名神高速道路建設の事前発
現です。獣形は、白虎と青龍を表現しています。
顔を正面に向けているのが白虎で、顔が斜めを
内区の周囲には銘文帯が巡ります。「吾作明竟
向いて表現されるのが青龍です。
幽澟三商 競徳序道 曽年益寿 子」と読め、
子孫繁栄を祈る吉祥句です。その周囲には、櫛
歯文、鋸歯文、複線波文、鋸歯文が巡り、外周
突線を経て、緩やかな斜縁に続きます。
博物館講座とトピック展示のご案内
●トピック展示
日(木)~7月1日(水)
第一常設展示室
「古墳時代の鏡」
会期:4月
関連博物館講座
「鏡面から見た近江の古墳」
日時:5月 日(日)
講師:細川修平(当館学芸課長)
第二常設展示室
「摠見寺の寺宝」
こうした特徴を持つ鏡は、中国の後漢時代末
期頃に造られたと考えられますが、鋳上がりが
鈍く、文様が不鮮明であることから、西晋など
日(木)~7月
日(水)
日(土)
日(土)
日時:7月4日(土)
講師:高木叙子(当館学芸課)
③「仏像はここを見ろ!」
日時:6月
講師:細川修平(当館学芸課長)
②「古文書の見方・楽しみ方」
日時:6月6日(土) ①「入門!博物館 銅鐸の謎を見る」
●連続入門講座「もっと楽しむ博物館」
講師:松下浩氏(滋賀県教育委員会)
日時:6月
関連博物館講座
「織田信長の虚像と実像」
会期:5月
後の時代に踏み返し技法で作られた可能性も考
えられます。
なお栗東市内からは、近接する安養寺大塚越
古墳からも、直径一四・二㎝の斜縁二神二獣鏡が
出土しています。
(細川修平)
29
掘調査によって確認されました。
しかし、この時すでに墳丘は大きく削平され
ており、古墳の規模や形状については明らかに
されていません。そのため、安養寺丘陵に存在
する他の古墳と同様とし、直径三〇から四〇m
程度の円墳と考えることが一般的になっていま
す。また、埋葬施設についても粘土槨が確認さ
れていますが、これも詳細は明らかではありま
せん。
今回紹介する斜縁二神二獣鏡は、この粘土槨
の中央付近から鉄剣、玉類とともに出土したも
のです。若干の錆やひびが見られますが、良好
な状態の鏡面と言えます。
内区は四つの乳文によって四等分し、それぞ
れに神像もしくは獣像を描きます。神像は二体
ずつ描かれているようにも見えますが、主神は
東王父と西王母で、それぞれに侍仙が付属する
23
17
28
13
20
*連続入門講座は三回まとめての事前申込制です。
講師:山下立(当館学芸課)
❸
表現です。不鮮明な部分が多いのですが、東王
父は三山冠を戴き、やや首をかしげたような表
山ノ上古墳出土 斜縁二神二獣鏡
博物館の主な催し
企
画 第1常設 第2常設
展 示 室 展 示 室 展 示 室
月
4
26日(日)
春季特別展記念講演会 「戦国合戦と民衆」
講師:黒田基樹氏(駿河台大学教授) 13時30分~
【有料】
2日(土)〜
親子写生大会
6日(水・振休) 10時~16時【参加無料】
城郭探訪 「安土城を歩く」
案内:当館学芸員 【要予約・有料】
月 日(土)~5月 日
(日)平成 年春季特別展
「戦国合戦のかたち─川中島合戦から大坂の陣まで─」
9日(土)
4
25
10日(日)
春のお茶会
10時~ 定員100名 【お茶・お菓子代】
16日(土)
31
博物館講座 「鏡面から見た近江の古墳」
講師:細川修平(当館学芸課長) 13時30分~【有料】
春季特別展記念講演会 「戦国合戦図屏風の世界」
講師:高橋修氏(茨城大学教授) 13時30分~【有料】
30日(土)
1
日
(水)
24日(日)
27
23
日
(木)
~7月
月
17日(日)
4月
13時~【有料】
5
トピック展示「古墳時代の鏡」
うつけ茶屋
城郭探訪 「観音寺城を歩く」
案内:当館学芸員 【要予約・有料】
6日(土)
連続入門講座① 「入門!博物館 銅鐸の謎を見る」
講師:細川修平(当館学芸課長) 13時30分~【要予約・有料】
13日(土)
博物館講座 「織田信長の虚像と実像」
29
日
(水)
月
6
28
日
(木)
~7月
【要予約・有料】
トピック展示「摠見寺の寺宝」
体験学習 「忍者になってみよう!」
5月
31日(日)
講師:松下浩氏(滋賀県教育委員会) 13時30分~
【有料】
20日(土)
連続入門講座② 「古文書の見方・楽しみ方」
講師:高木叙子(当館学芸員) 13時30分~【要予約・有料】
※講座の会場はすべて当館セミナールームです。※事情により行事内容や日時が変更になることがあります。最新の情報は当館ホームページでご確認ください。
おおてみち 第 91号
平成27年(2015年)3月31日発行
編集・発行 滋賀県立安土城考古博物館
〒521ー1311 滋賀県近江八幡市安土町下豊浦6678 TEL0748ー46ー2424
E-mail:[email protected] URL:http://www.azuchi-museum.or.jp
❹