宮古諸方言の音韻の問題点 *1 - Thomas Pellard

Thomas Pellard ― 宮古諸方言の音韻の問題点
第二回琉球語ワークショップ ― 2007/09/09 京都大学
Thomas Pellard ― 宮古諸方言の音韻の問題点
第二回琉球語ワークショップ ― 2007/09/09 京都大学
琉球語の中でも特殊な音韻体系を持っていることでよく知られているが、
今までの研究の多く1が音素目録の設定や「琉球方言」と「国語」との音韻
対応のリストだけを目的にしており、未解決の問題・未研究の点がまだ多く
残されている。
宮古諸方言の音韻の問題点*
宮古諸方言の音韻の問題点 1
Thomas Pellard(トマ・ペラール)
EHESS-CRLAO
本発表では比較的に均質な音韻体系を持っている宮古本島の諸方言を主
な対象にし、データは基本的に宮古島の与那覇方言のもので発表者の臨地調
査(2007 年 3・4 月)による。平良方言や保良方言の資料も参考にした。
(社会科学高等学院・東アジア言語研究所)
要旨:宮古諸方言の舌先母音・中舌母音という未解決問題、また
今まであまり問題とされなかった音節とモーラについて音素目録
を目標とする古典音韻論のアプローチから離れて最近の音韻理論
の成果を取り入れて類型論的な観点から考察を行う。
1. 宮古の特殊音(中舌母音・舌先母音)の問題
宮古の特殊音(中舌母音・舌先母音)の問題
中舌母音のような音色をして音節の中核に立ちながらも摩擦騒音を伴う
特殊な音が宮古諸方言の有名な特徴である。従来中舌母音/ï/と記述されてき
たが、舌先母音または成節的な摩擦音などと、その実態に関する論争がいま
だに続いている。
0. 序:宮古
序:宮古諸方言
宮古諸方言
例:
宮古諸方言とは南琉球の宮古諸島(宮古島、来間島、大神島、池間島、
伊良部島、下地島、多良間島、水納島)で話されている諸方言を指している。
“pagzï”
“bzï:”
“kɫïɴ”
足
座る
着物
1.1. 音声学的な特徴
1.1.1. 調音的な特徴
崎山(1963)、上村 (1997)、かりまた(2005)などが舌が s・z と同じ位置で
調音される音だと指摘し、舌先母音[ɿ]と規定されている。確かに舌先が持ち
上がって歯茎に接近して発音される音で、舌背のみで発音される中舌母音で
はない。[s]や[z]の純摩擦音と異なるのが、摩擦が弱い、または摩擦が生じる
ほどの狭めばがないということである。IPA では摩擦音[z]よりゆるい狭めの
音を[z̞]と補助記号を使って表記できる。
1.1.2. 音響的な特徴
大野他(2000)が示すように音響分析ではひびき音の特徴であるフォルマ
ントが現れていることが確認できる。そのフォルマントの値が中舌母音に類
似しており知覚的に中舌母音の音色が感じられるのは確かだが、音響的な特
徴から調音の仕方を断定するのが困難で、調音的な特徴を無視して中舌母音
と記述できない。また、弱まっていく摩擦音の特徴的な高周波数のノイズが
音節の中核で観察される。
このように音響的な特徴からひびき音と言うことができ、調音的な特徴
1
* 本発表は下地理則氏との議論から出発したもので、色々なコメントや教示をしてくださ
った氏に大変感謝している。
1
1
他の琉球語についても同じことが言える。
2
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と合わせて考えると舌尖歯茎接近音と記述できる。記号として[z̞]や[ɹ̟]、また
は IPA にはないが[ɿ]で表記できる。
拳
あなた
1.2. 音節主音の類型論
音節主音の類型論1
Laver (1994: 319)が指摘するように、通常舌尖が消極的な状態で母音が発
音されるが、r 音化(またはそり舌化)母音[ɚ]では舌尖が積極的に歯茎また
は硬口蓋に向かって持ち上がっている。[ɚ]は成節的な接近音の[ɻ̩]と同じで
ある。このように舌尖母音(舌先母音)の可能性が想定される:
世界の諸言語の中で syllabic consonant(成節子音)をもつ言語が数多く報
告されている(Bell 1978, Jakobson & Waugh 1979, Laver 1994)。
例: 英語 button [bʌtn̩], bottle [bɒtl ̩]
チェコ語 prst 「指」
ルガンダ語 /m.pa/ 「下さい」
It is physiologically possible in the production of a vocoid
for the tip/blade to be raised to the point where it
contributes an audible colouring to the perceived quality of
sound produced, but where the degree of stricture remains
one of open approximation, at the alveolar place of
articulation.[...] It would not be suprising if there were a
good deal of free variation between the vocoid and the
fricative type of segment in such circumstances. (Laver
1994: 319-320)
ただしほとんどの場合はそれがひびき音(鼻音か流音)であり(Bell 1978:
153, Laver 1994: 240)、宮古諸方言のように摩擦を伴う音が音節の中核に立つ
言語はそれほど多くない。そもそも理論上摩擦音などが音節主音になるのが
想定されない場合もある:
the feature “vocalic” might be replaced by a feature
“syllabic” which would characterize all segments
constituting a syllable peak. Obstruents would by definition
be excluded from forming syllabic peaks. (Chomsky &
Halle 1968: 354)
1.1.3. 様々な異音
ひびき音から摩擦音にかけて、様々な異音で実現している1:
環境
異音
例
無声子音の後
C[-voiced]___
ˢɿ
[kˢɿn] 着物
無声子音間
C[-voiced]___C[-voiced]
ˢɿ ̥ ~ s̩
[pˢɿtʊ
̥ ~ ps̩tʊ] 人
有声子音の後
C[+voiced]___
ɿ ~ zɿ
[kabzɿ ~ kabɿ] 紙
母音の後
V___
ɿ~z
[aɡaɿ ~ aɡaz] 東
母音の前
___V
z
[zzʊ] 魚
しかしひびき音以外の子音も音節の中核に立つことが実際可能である。
子音の長い連続や無声子音だけから成る語や文を許容し成節的な破裂音を
持っている北西アメリカ・インディアン諸語やベルベル諸語が極端な例とし
てよく知られている:
1.2.1. ベラ・クーラ(Bella Coola = Nuxálk; Baghemil 1991, Hoard 1978)
例: q̍’ps̩t ̩ʰ
味わう
s̩c’̩ q̍ʰc̩ʰtx̩
あそこにあるのは私の脂だ
k’xɬɬcxʷsɬχʷtɬɬc 私が通路を通っていたのをあなたが見ていた
特殊音の前に摩擦的なわたり音がよく観察されるが、義務的に現れるも
のではないし、その音声的な特徴を環境から予測できる:無声子音の後ろで
は無声の[s]、それ以外の場合は有声の[z]が現れる。つまり音声的な現象でし
かない。
1.2.2. Tashlhyit ベルベル語(Dell & Elmedlaoui 2002, Ridouane 2003)
例: t-ss-kʃf-t=stt
s-fqqs=t
t-fss
強い摩擦を伴う音と摩擦のないひびき音の異音が現れる点は/v/→[v ~ ʋ]2
と同じである:
例:
1
蛇
[tiʋtsɿm]
[vva]
あなたがこれを汚した
彼を怒らせろ
彼女は静かだ
宮古諸方言のように摩擦を伴う音が普通の母音と同様に音節の中核と成
り得る言語がアジアやアフリカに分布している。その解釈もやはり成節摩擦
音(syllabic fricative)と摩擦母音(fricative vowel)とで分かれる。
[paʋ]
接近音の異音を便宜上[ɿ]と表記する。
話者によって/f/も/v/も両唇音([ɸ]・[β] ~ [β̞])で発音されることがあるがあるが表記を唇
歯音に統一した。
2
3
諸言語の例の表記は基本的に元資料のままにしたが声調・アクセントの表記は省略した
場合もある。
1
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mɿ
ɿ
迷・泥・米
礼・梨・離
1.2.3. アフリカ
1.4.4.3
レンドゥ語 (Lendu; Demolin 2002, Kutsch-Lojenga 1989)
1.4.3.1
/v/が音節の頭子音としても中核としても機能している:
舌先の摩擦音とふるえ音が音節の核心となり得る :
例:
sś
tsš
dzz̄
例:
靴
食べる
泣く
音響的に同時に摩擦音と母音の特徴が観察され、それが摩擦音と母音の
調音が重なった(overlap of articulatory gestures)結果と解釈され、舌先母音
と捉えられている。
1.4.4.4
Cʑ͜i ~ Cʑ͜ɨ と Cv͜ɯ のような音節を持っており、音声学的な特徴に基づい
て両方とも/Cɨ /と解釈され/ɨ /が fricative vowel、つまり摩擦性という二次的調
音を持つ母音とされている。
例:
ebʑ͜i
bʑ͜in
ʃʑ͜i
fv͜ɯ
etv͜ɯ
kv͜ɯ
訊く
山羊
面
例:
穴
短い
湖
1.4.4.5
例:
中国語北京方言等 (Duanmu 2003)
四 sì
日 rì
[sz̩]
[ʐʐ̩]
~
~
例:
[sɿ]
[ʐʅ]
このような語における音節中核の音が音声的に摩擦音[z̩]・[ʐ̩]か舌先母音
[ɿ]・[ʅ]か、音韻論的に/i/の異音かと論争が長らく続いている。Ladefoged &
Maddieson (1990: 117)では fricative vowel とされている。確かに母音と同じよ
うに機能していて、子音としては機能していない。
1.4.4.6
中国語合肥方言 (Héféi; 侯 1997、北京大学 1989)
1.4.4.2
pɿ
頭子音
vu
vɑ
phɛ vu
胃
代名詞
粥
ナシ語(Naxi、納西語; Michaud 2005, 和&姜 1985)
:
中核
lv̩ bv̩
he kʰv̩
fv̩
孫
イヤリング
毛
頭子音
ve tsa
vi zi ~ vɯ zi
蚊帳
鳥
サニ語(Sani、撒尼語;馬 1951)
中核
pv̩
tv̩
kʻv̩
bz̩
pʻz̩
ɬz̩
頭子音
ve
væ
vɑ
zɑ
ze
zɤ
教える
直す
焼く
与える
平
皮
猪
左
雪
子供
下
用具
ウイグル語(Uyghur; Hahn 1998)
高母音の/i/と/u/が無声化することが多く、その際摩擦的なわたり音が生
じて、母音が完全に子音に変化することもある。
宮古諸方言とよく似た音を持っているが、舌先母音[ɿ] = /ɿ/とされ、北京
方言と同様に母音としてしか機能していない。
例:
魚
蛇
虫
2 種類の fricative vowels を持ち、次のような音節が現れる:
pv̩ pʻv̩ bv̩ fv̩ v̩ (vv̩) tv̩ tʻv̩ dv̩ kʻv̩ ɡv̩ qv̩ qʻv̩ tsv̩ tv̩ tɬv̩ dlv̩ ɬv̩ lv̩
pz̩ pʻz̩ bz̩ fz̩ vz̩ tsz̩ tsʻz̩ dzz̩ sz̩ z̩ (zz̩) tɬz̩ dlz̩ ɬz̩ lz̩
1.2.4. アジア
1.4.4.1
中核
ŋv̩
khv̩
tsv̩
v̩ pʰv̩ pv̩ bv̩ mbv̩ mv̩ tʰv̩ tv̩ ndv̩ lv̩ nv̩ ʈʂʰv̩ ʈʂv̩ ɖʐv̩ ɳɖʐv̩ ʂv̩ ʐv̩ fv̩ kʰv̩ kv̩ ɡv̩ ŋɡv̩
ŋv̩ v̩ のような音節を持っている。摩擦音の/v̩/が他の母音と同じ働きをして
いるが、頭子音としても機能している。音節主音の場合は摩擦がだんだん弱
まっていって、また摩擦音ではなく接近音の[ʋ]と実現することが多い。
マンビラ語 (Mambila; Connell 1997):
1.4.3.2
バイ語(Bai、白語;徐 1984、王 2001):
例:
彼・鄙・比
5
ikki
it
[ʔʃkˈke]
[ʔʃt]
二
犬
uka
üčün
[ʔɸˈkʌ]
[ʔɸɥtʃɤn]
弟
-のために
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1.2.5. その他
1.3.2. 名詞形態音韻論
その他にもノス語(Nosu、諾蘇語)
、ロロ語(Lolo = Yi、彝語)、スウェ
ーデン語の方言や Burushaski 語などについても fricative vowel が報告されて
いるが詳細を確認できなかった。
名詞形態音韻論において/z/が母音と違う行動を示していて、子音と同様
に重複される現象が見られる:
1.2.6. 起源と生成過程
多くの場合、fricative vowels・syllabic fricatives が歴史的に狭母音に遡っ
て(Bell 1978)
、その変化の課程の音声学的な説明もされている(Ohala 2005)
。
つまり母音に近い性質を持っている。
-V
-C
-C
-C
➪
➪
訳
これ
蛇
海
犬
米
紙
基本形
kuri
pav
im
in
maz
kabz
主題化形
kurjaa
pavva
imma
inna
mazza
kabzza
Fricative vowels や syllabic fricatives を正しく把握するには音声学的な観点
だけでは不十分で、音韻論的にどのように位置づけるかが問題である。
1.3.3. 動詞形態音韻論
1.3. 音韻論1
-i で始まる動詞接尾辞の前で、z で終わる動詞語幹が s などと同様に口蓋
化される:
1.3.1. 音素配列
宮古諸方言の特殊音/z/は音節の頭部・中核・末尾にも立ち得る。音素配
列から音節の中核にしか立たない母音より子音の m n v に近いと言える:
➪
V
m
n
v
z
頭部
*
mii 目
num 飲む
vva あなた
zzu 魚
中核
tii 目
mm 芋
n.kjaan 昔
vv 売る
bzz 座る
➪
末尾
*
im 海
ban 私
kuv 蜘蛛
iz 西
訳
見る
➪
➪
1
2
命令形
[kaɾaɕi]
[matɕi]
[bʑ̍ʑi]
[aʑʑi]
書く
読む
叱る
語幹
-V
mii-C
kakjumzz-
受動態
-rai
mii-rai
-ari
kak-ari
jum-ari
zz-ari
1.3.4. 無声化
しかし半子音とは均質なカテゴリーではない:音節主音の z の両側に頭
子音と末尾子音が立つことが可能な点は z と m n v との根本的な違いであっ
て、その点では母音に類似している。
*
*
*
kan
kzn
語幹
karasmatbzaz-
また、z で終わる動詞語幹が他の子音語幹動詞と同じ接辞をとっている:
こ れ を 重 視 し て か り ま た (2005) や Shimoji (2006) が 半 子 音
(semi-consonants)というカテゴリーを設立し、音節の中核と周辺部両方に立
ち得る m n v z2を半子音とまとめている。
CmC
CnC
CvC
CVC
CzC
訳
貸す
待つ
座る
言う
一方、子音の無声化が一般的に見られないのに対して/z/がかなり規則的
に無声化していて、母音に近い性格を示している。
例:
蟹
着物
人
朝
/pztu/
/sztumuti/
[pˢɿtʊ
̥ ~ ps̩tʊ]
[s̩tʊmʊti]
しかし宮古諸方言における無声化が音韻論的か音声学的な現象か今のと
ころ断言できない。
特殊音の音韻表記として Shimoji (2006)などにならって便宜上/z/とする。
Shimoji (2006)は伊良部方言を扱っていて、/r/も半子音にしている。
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1.4. /sz/・
・/tsz/・
・/dzz/における
における/z/
における
-C
-C
-C
➪
➪
≠
/sz/・/tsz/・/dzz/に現れる/z/が特別な性格を持っており、他の環境に現れ
る/z/とはことなる。
1.4.1. 音声
まずは無声化または完全な消失が見られる:
例:
牛
朝
下
/usz/
/sztumuti/
/szta/
訳
蛇
犬
海
牛
道
紙
基本形
pav
in
im
usz
mtsz
kabz
主題化形
pavva
inna
imma
ussa (*uszsa)
mttsa (*mtszsa)
kabzza
/mtsz/「道」の ts が重複されるのに対して「紙」/kabz/の場合は/z/が重複
される。したがって基底形として/z/を含まない/mts/や/us/を立てないと上の
現象が説明できない。
[ʊsɿ] ~ [ʊs̩]
[stʊmʊti]
[sta]
しかし上の解釈では有声音を含む[usɿ]や[m̩ tsɿ]などの語形も現れること
が説明されていない。したがって/z/の挿入現象を想定しなければならない。
その/z/を音韻規則によって補充される音素と見る。ベルベル語(Dell &
Elmedlaoui 2002, Ridouane 2003)のように子音間や語末に現れるような、音素
でない transitional vocoid としない主な理由は長音化現象である。
多くの研究者がこれを無声化現象と解釈し、例えば[usï̥]・[sï̥ta]と記述し
ているが(平山 1983 など)
、音響的に無声化した[sɿ]と成節的な[s̩
]を区別す
̥
ることができない1のがまず問題である。同じく/dzz/を成節的な[dz̩]と考える
こともできる。
また、有声音の前では上述の無声化が起きないと言われているが、実は
必ずしも有声音の[ɿ]が現れるわけではない。聴覚的には確かにそう感じられ
るが、音響分析では摩擦音から直接有声子音に移ることがあるのがわかる。
➪
例:舌 /szda/
小さい
赤い
暑い
語根
imi
aka
atsz
重複形
imii imi
akaa aka
atszz atsz
音韻規則の適応を受けていることから音素であると断定できる。
しかし摩擦音・破擦音の後に現れるすべての z が epenthetic でない可能性
も、またその一部が音素でない可能性も考えることができ、今後の研究課題
とする。この問題の解明には音節・モーラの構造と音素配列の詳細な分析が
必要である。仮に Ø と交替する z と、禁止されている子音連続の間に現れる
z を基底形にない epenthetic な分節音と見ておく。
ではなぜ/z/が挿入されるだろうか。ひびき音でない/s ts dz/が単独で音節
を形成しにくく、同じ素性を共有しているひびき音の/z/が挿入され代わりに
音節主音となる。
Feature Geometry 理論では、
不完全指定の slot が挿入され1、
摩擦音の調音点素性(PLACE features)が音節の中核に割り振られる、つまり中
核が頭子音の延長であると見られる2:
σ
Onset
|
s
|
1.4.2. 音韻論
音韻論的にもこれらを単独の子音と考える根拠がある。名詞形態論にお
いて/s/や/ts/の後ろに/z/がないかのように、子音で終わる語と同じく重複が見
られ、C[-cont.]+z で終わる名詞とは別の変化を示している:
PLACE
1
1
Nucleus
2
Tsuchida (1997)を参照。
9
Steriade (1995)を参照。
Dell (1994)や San (2003)が中国語などに見られる似た現象に対して同じ解釈をとっている。
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一般的に成節子音を持たないのにも関わらず/sz tsz dzz/のように音節中
核が摩擦音の延長だと見られる言語が存在するのが/sz tsz dzz/の特殊な性格
を裏付ける。また池間方言などでは一般的に/z/が失われてしまったのに/sz
tsz dzz/だけが残っているのもこれで理解できる。
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聴覚的に[u]のような音色が感じられるが、実際母音[u]が実在していない。
1.5. /f/の問題
の問題
従来/fu/と解釈されてきた音節が上の sz との類似点が多い。まず音声的
に母音が現れないことがある:
「草」/fusa/ [fs̩ a ~ fu̥sa]
かりまた(2005: 86-87)が指摘するように「[fs̩ a]において[f]と[sa]のあい
だに宮古諸方言に特徴的な円唇の母音[u]は観察されない」。確かに f から s
にかけて円唇が見られず、摩擦が止まらずに唇歯音から直接歯茎音に移って
発音され調音的にもにも音響的にも[u]または[u̥]が観察されず、したがって
そこに/u/の存在を認めがたい。
また/sz/と同様に形態論から見れば、
/fu/を単独の/f/と考えた方が説明しや
すい現象がある:
➪
≠
訳
豆腐
物
基本形
toofu
munu
主題化形
tooffa
munaa(平良方言 munoo)
しかしゆっくりな発音では確かに有声音はっきり聞こえるし、また語末
の位置でも聞こえる。では上述の/sz/と合わせて考えてみると、それが/u/で
はなく/v/という可能性がある。つまり/sz/の場合と同じく、頭子音の延長と
いう考え方も可能である。
ただし例えば「黒い」ffu が ffoo ffu という広母音化した重複形になるこ
とがあり1、そこにおける ffu の u を母音/u/と認めざるを得ない。
このような成節的な/f/の説に対して仲原(2001: 1211)は有声音の前では
[u]が現れていると記述し、それを根拠に成節的な/f/を認めず/fu/と解釈して
いる。しかし仲原が例えば/fumu/(
「雲」)と解釈している語を音響分析して
みると、母音[u]が観察されない。唇音性をもつ[f]と有声の鼻音の変わり目が
仲原は保良方言を対象にしているが宮古本島の他の諸方言も大体同じ音韻体系を示して
いる。
1.6. 残る問題
/z/に関する問題が他にもある。同じ/z/とされている音素でも、その音韻
形態論的な振る舞いが異なる場合もある:
1
11
1
「白」ssu > ssoo ssu を参照。
12
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≠
訳
紙
息
基本形
kabz
ikz
主題化形
kabz.za
ikz.sa
たしかに[ˢɿ ̥ ~ s̩]と[zɿ]が相補分布をなしているが、上のような形態論にお
ける違いが問題となる。
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*(C)V
*C
(C)VV
(C)VC
CC
CCV
(C)VCV
mii
in
mm
ffa
saki
uu
kam
vv
ssu
tida
目
犬
芋
子
酒
いる
神
売る
白
太陽
つまり音韻論的にはこれらの構造は同じ長さととられている。重複子音
も長母音も末尾子音も CV の単音節も同じようにカウントされる:
2. 音節とモーラ1
宮古諸方言の音韻の研究の中に韻律の研究が少なく、特に韻律構造とそ
の単位に関する詳細な論考がほとんどない。
自明かのようにモーラを数える言語とされたり(狩俣 1997, かりまた
2005)
、標準日本語のようにモーラを形成する拍音素が設定され「拍表」が
示されたり(平山 1987、仲原 2001)する。しかし宮古諸方言においてモー
ラが妥当な単位か、またどういう風に音節と関係しているかという問題を扱
った研究が見られない。
2.1. モーラについて
モーラについて
ここでモーラを音節より小さい長さと音節量の単位という定義でとらえ、
近年非線状自立分節音韻論の枠組みで発展した Moraic Phonology (Hayes
1989, Broselow 1995)の成果を利用して記述を試みる。
(穴)
(山)
≠
≠
anna
jaama
2
(C)V
(C)V
C
C
(C)V
-
V
C
C
CV
CV
-
1
mi
i
m
f
sa
-
2
-
i
n
m
fa
ki
-
目
犬
芋
子
酒
それをモーラと解釈できる:
µ µ
||
(C) V V
µ µ
||
(C) V C
µ µ
||
C C
µ µ
| |
CCV
µ µ
| |
CVCV
要するに宮古諸方言に語が最小2モーラでなければならないという制約
が働いている:
このような体系がモーラを数える言語の典型的な例である。短母音と成
節的な単子音と重複子音がそれぞれ1モーラと数えられ、末尾子音も weight
by position の原理によって1モーラと数えられ、長母音や成節的な長子音が
2モーラと数えられる。また Moraic Phonology が説くように、単子音の頭子
音が無量でモーラを形成しないことが確認できる。
(祖母)
(八重山)
2.1.2. 韻律最小性(prosodic minimality)とモーラ性(moraicity)
宮古諸方言では、(C)V や C の1音節だけからなる自立語が存在しない。
次のような最小構造が認められる:
1
-
これは世界の諸言語の中で広く見られる制約である(フィジ語:Hayes
1989;エストニア語、日本語京都方言、ラディル語:McCarthy & Prince 1986;
標準日本語の派生語:Itô 1990)
。
母音や子音の長さの区別がモーラの数の区別の反映とされている。
宮古諸方言は短母音と長母音、短子音と重複子音を区別している:
ana
jama
例:
1
Min[WORD] µµ
2.1.1. 長さの区別
例:
*(C)V
*C
(C)VV
(C)VC
CC
CCV
(C)VCV
2.1.3. 代償延長(compensatory lengthening)
共時的な代償延長を量・長さ、つまりモーラの数を保存するために起る
現象と考えられ、一般的にモーラを数える言語だけに見られる。モーラと連
音節を σ、モーラを µ、長母音と重複子音を字母を二重して表す。
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結されている分節音が消去される結果、そのモーラが自由になり隣接する分
節音と再連結すると考えられる。
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また v と z が母音の前では通常重複の形で現れるのは、
v と z が underlying
レベルで moraic であるためと解釈できる:
宮古諸方言では次のような交替形が観察される:
uz ~ uu 「いる」
µ
µ
これを代償延長と解釈できる:
µ
|
u
µ
|
z
µ
|
u
→
µ
Ƣ
z
σ
σ
µ
µ
v
z
V
→
µ
µ
|
u
(= uu)
→
v
z
V
2.2. 音節
また Glide formation による代償延長も見られる :
例:saki-u → sakjuu
µ µ
||
s a ki
µ
|
u
→
宮古諸方言においてモーラが有効でかつ重要な韻律単位であることを確
認できたが、音節に関しても同様に考察が必要である。ここで音節 (syllable)
を音素配列の基本単位で sonority(きこえ度)の原理に基づいて分節音を編
成する韻律単位と考える。
「酒-ACC」
µ µ
|Ƣ
s a ki
µ
|
u
→
σ
|
µ
|
sa
σ
|
µ
ki
(= sakjuu)
µ
|
µ
|
u
2.1.4. 子音の振る舞い
Moraic phonology では、重複子音をモーラを形成する単分節音とし、母音
の前にある成拍子音が二つの韻律位置に連結されると考えられる。つまり成
拍子音が母音の前に来ると、重複子音となる。
σ
|
µ
|
V
µ
|
C
→
→
σ
|
µ
µ
|
|
C
V
(=CCV)
子音で終わる語に母音で始まる助詞が付く重複現象がこのように解釈さ
れる:
σ
µ
σ
µ
σ
µ
µ
σ
µ
µ
宮古諸方言の音節に関する研究があまり見られないが、かりまた(2005)
では成節的な子音が記述され、音節とモーラによるリズム構造の一覧表があ
る。しかしかりまたが例としてあげる[kan̩](蟹)
、[kuv̩](昆布)
、 [f̩fa](子)
などにおける「成節子音」は一般的に言われる「きこえ」のピークをともな
う音節を形成していない。逆に sonority scale に反するものである。CVV の
語は2モーラの1音節で上の語は2モーラ2音節と記述されているが、その
根拠が示されていない。かりまた (1977)ではそのような語を2モーラ1音節
の語とされているが、解釈が一変した理由が不明である。これらの「成節子
音」は上で見たようにモーラを形成しても、必ずしも音節を形成しない。
Shimoji (2006)1は伊良部方言の音節構造と音素配列を扱っているが、参考
になるものが多い。しかし CVCCV の語を CV.CCV と音節を区切って(例:
/ku.vva/「脹脛」
)その理由を economy と simplicity としているが、もっと積
極的な根拠が必要である。この解釈では VC.-V → V.CCV(例:
「海」im →
i.mma)のように再音節化の規則が必要となって経済性と簡潔性に優れてい
るとは必ずしも言えない。
まず音声的な音節の主観的な記述だけではなく、音韻論的な単位として
の音節の実在を証明しなければならない。音韻論的な音節とその実際の音声
実現との間にずれが生じる場合もあるのである(Blevins 1995: 233)。音節の存
在の根拠として Hyman (1990: 176)は次の基準を挙げている2:
→
i
n
a
1
最近下地氏は考え方を変えて、音節という用語を用いながらもモーラしか認めていない
そうである(下地氏による私信)。
2
Blevins (1995)も参照。
i
n
a
(= inna「犬.TOP」
)
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3. まとめ
a. prosodic features assigned to the syllables[...];
b. distribution of specific C’s and V’s according to syllable structure;
c. phonological rules conditioned by syllable structure;
d. morphological rules (or allomorphy) conditioned by syllable structure;
e. phonological or morphological rules “counting” syllables.
残念ながらこれらの現象が宮古諸方言でまだほとんど研究されておらず、
今後の研究成果をまたなければならない。
2.2.1. 音素配列制約
音素配列に関する制約が通常音節構造と深く関わっていて、音節が音韻
論的な単位であることを示唆する。
例えば許される末尾子音はひびき音と重複子音の前半だけである:
C]σ
[+sonorant]
.]σ
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本発表では宮古諸方言に現れる特殊な音に関するいくつかの問題点を考
察した。音声学の観点から一種の接近音と認め、類型論的にはいわゆる
fricative vowel に類似していると見て、先舌母音説に近い考え方をとった。
一方、音韻論の観点から母音よりひびき音の子音に類似していることを指摘
し、半子音説に近い立場をとった。
またその特殊音/z/の一部が基底形になく、音節化によって挿入される
epenthetic な分節音であることを音声学的な根拠と音韻論的な根拠に基づい
て提案した。従来/fu/と解釈されてきた音節についても同じように考えるこ
とが可能であると述べた。しかし、問題が多く残されて、音素配列と韻律構
造の詳細な研究の必要性が明らかとなった。
その韻律については、宮古諸方言でモーラが有効な単位であって、かつ
重要な役割を果たしていることを示し、音節も有効な単位である可能性につ
いていくつかの指摘をした。しかし疑問点がまだたくさんある。
σ[.
C
日本語を始めとして、多くの言語が同じような制約をもっている。しか
し Shimoji 2006 の言うように CVCCV のような連続を CV.CCV という音節に
区切るのが正しければ最後の制約が不必要となるかもしれない。1
今後の課題として、実験音声学(特に音響分析)がもっと利用されるこ
とが望ましいと思われる。また、音韻論の問題点の鍵が形態論と韻律の詳細
な記述にあると見られる。音素を個別に見るのではなく、音韻体系全体、ま
た言語体系全体から見るべきであろう。類型論的な観点と類型論に基づいた
理論も役立つことがたくさんあるに違いない。
2.2.2. 超分節現象との関連
宮古諸方言の殆どがいわゆる一型アクセント・無アクセントの方言であ
り、そのピッチパターンの詳細かつ体系的な記述がほとんどなく、今度の研
究成果を待たざるを得ない。しかし Shimoji (2006: 26)では音節が音韻論のな
かで重要な役割を果たしていると示唆する興味深い記述が見られる :
Pitch may rise between syllable boundaries, but not within a syllable.[...]
Pitch may fall between syllable boundaries; pitch may fall within a syllable
only if that syllable is word-final
しかし超分節的特徴に関する報告がまだ断片的で、音節とモーラとの関
係が解明できない。また方言によって異なる可能性もある。
1
ただし伊良部方言と違って与那覇方言などでは重複子音の tt が語中でしか許されておら
ず tt-で始まる語がないのが問題である。
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