INFORM - ジュンク堂

世界の本屋さん
vol.40
スペイン・マドリッド
カサ・デル・リブロ書店
面積は五十万平方キロメートルで、日本
位置する。スペインは人口四三四〇万人、
首都マドリッドはスペインの真ん中に
り場が凄い。人体骨格標本が置かれてい
にはエレベーターか階段でゆく。階段踊
用スライド蔵書棚と同じである。上層階
スライド式二重書棚で、丸善製作の家庭
ノセ事務所
能勢
仁
の 一・三 倍 あ り、 ヨ ー ロ ッ パ で は フ ラ ン
てハッとした。
書店の一番店はカサ・デル・リブロ書
芸術・建築・医学書。地階は辞書・教科
階は人文・社会科学・理工学書、四階は
文芸書、二階は子どもの本・マンガ、三
売場は、一階は新刊・ベストセラー・
ス に つ い で 大 き い。 マ ド リ ッ ド は 人 口
店で、街の中心地グランビア通りにある。
三二〇万人である。
大通りに面したこの書店の外観は派手
書売場である。
二十一時半と長い。好立地なので終日こ
に 混 ん で い る。 営 業 時 間 は 九 時 半 か ら
地下の辞典売場の充実は素晴らしく、カ
四 〇 〇 坪、 十 四 万 冊 の 本 が 輝 い て い た。
の 貫 録 十 分 な 総 合 書 店 で あ る。 売 場
は三十六店舗、グランビア本店は旗艦店
創業一九二三年の老舗で、チェーン店
で、すぐにリブロだとわかる。リブロの
の混雑は続くのであろう。店の入り口に
サ・デル・リブロは国際書店だと思った。
前はバス停で混みあい、一階は読者で更
一階文芸書棚が変わっていた。それは
はガードマンが立っていて威圧された。
(表紙題字・陳舜臣)
4月
松井さんは、じぶんまで、はじめて
車 に の っ た 日 の よ う に、 こ こ ろ が ほ
かほかしてきました。
いなかから、この町に、はじめてで
て き た の は、 や っ ぱ り、 こ ん な に よ
く晴れた四月でした。ぴかぴかひかっ
た 大 き な 車 に の っ た と き、 や っ ぱ り
こ ん な に 声 を だ し て わ ら い そ う で、
がまんするのにこまりました。
世界の本屋さん
月
﹄ほか
GO WILD
コ ン ピ ュ ー タ
自
然
科
学
書
医
社 会 科
人 文 科 学
文 学 ・ 文
文 庫 ・ 新 書
芸
用
書
地 図 ・ 旅 行
実
童
語 学 ・ 辞 典
児
読者から
インフォメーション
1
濱崎
崇
2
︱︱写真集〝あと乃あと〟発刊にあたって﹂
著書を語る
○ ﹁﹃庭土を汲む﹄
﹁書標﹂歳時記
4 40
書
書
芸
術
学
学
特集 大冊を読む
お厚いのはお好き?
人に聞きました!
はじめての海外文学フェア
今月のおすすめ
書標・書評
﹃
516
本屋うらばなし
﹁鯉の季節﹂
※表示価格はすべて本体価格です。
−1−
4
6
12
28 26 25 23 20 18
30 29
あまんきみこ著
﹃新装版
車のいろは空のいろ
白いぼうし﹄
︵ポプラ社︶より
27 26 24 22 19 17
50
著書を語る
○
︱︱
が す っ ぽ り と 抜 け 落 ち て い る こ と も あ る。 忘 れ る と い う 行 為
ることもある。また、細部はとても鮮明なのに、時間や場所
て い る こ と が あ る し、 つ い 昨 日 の こ と さ え す っ か り 忘 れ て い
記憶というのはあいまいなもので、ひどく昔でもよく覚え
やってきて格下の服を着る破目になった。その日は、あるい
せられたような。そして、それに慣れたころ、また月曜日が
ろ感じていた。自分では決して選ばないすこし上等な服を着
ちがいないのだけれど、なにかしらの違和感があるとそのこ
休 日 と い う の は、 文 字 ど お り 休 み の 日 だ か ら う れ し い 日 に
﹃庭土を汲む﹄ ︱︱写真集〝あと乃あと〟発刊にあたって
濱崎
崇
は、人間の能力のひとつかもしれないけれど、忘れることの
は そ う で は な く、 ス イ ー ト ポ テ ト を 平 日 の 夕 方 に い つ も 食 べ
休日の午後、家族は皆出払っていた。理由はよく思い出せ
小学校高学年だったから一九八〇年を過ぎたころだろうか。
の 家 は、 山 を 切 り 崩 し て 造 成 さ れ た 住 宅 街 の 一 角 に あ っ た。
まわすと、一瞬すべてが色を失ったような気がした。もとも
失ったような葉を提げている。ふっ、と思い部屋のなかを見
ア越しに外を見ると、昼間にしては暗い。隣家の樹が、色を
のなかは静かになった。庭に面しているリビングのガラスド
つけっぱなしでいたテレビのスイッチを切ると、途端に家
りでいたせいで余計にそう感じたのかもしれない。
て い た せ い で そ う 思 っ た の か も し れ な い し、 家 の な か に ひ と
できない、いや忘れてはならないことは確かにある。
季 節 は お そ ら く 秋 だ っ た。 雨 は 降 っ て い な か っ た け れ ど、
ない。私はひとり留守番をしていた。母が手製のスイートポ
陽も射していなかったと思う。地方都市のそのまた郊外。私
テトを、おやつに用意してくれていた。それは俵型で格好は
こに居座っているように感じた。どこかで製造され、小売店
と動くはずのないソファや本棚、テーブルや椅子たちが、さ
に運ばれ、さらに我が家へやってきたのではなく、あたかも、
らにいっそう絶対に動くことのない物体として、永遠に、そ
友だちとの約束もない。暇でしょうがないので、テレビを
昔からその場所にずっと居続けているかのように。永遠。そ
少 し 不 細 工 だ っ た け れ ど、 市 販 の ス ナ ッ ク 菓 子 が あ ま り 好 き
見たり、本やマンガを読んだり。すぐにそれも飽きてしまい、
ではなかった私にとって好物のおやつのひとつだった。
おやつに手をつけた。なんだか、落ち着かなかった。
−2−
516
けれども、なにかしら時間の概念のようなものを、自らの身
なくほんとうの言葉としてわかった気になった。おそらくは。
ん な 言 葉 を す で に 知 っ て は い た の だ ろ う が、 単 な る 記 号 で は
あるポートレート集だ。
と﹄は、そういった家々のひっそりとした、けれど気高くも
とアノニマスな家々に。このたび上梓した写真集﹃あと乃あ
きの缶。そして、新聞広告を半分に破り、裏の白紙に鉛筆で
リキの缶をとり出した。切手が入るくらいのちいさな、蓋付
私はスイートポテトを食べてしまうと、おもちゃ箱からブ
なのだろうかと考えたことがある。そのときに思い出したのが、
だらけだ。凝りもせず続けているこの作業を、自分はなぜ好き
ないし、手も荒れる。準備や後片付けまで考えると随分と手間
い、自分で現像して、暗室で焼き付ける。薬品代も馬鹿になら
近年とても高騰してしまったモノクロフィルムを大切に使
なにかを書きつけ、なんども折り、缶に押し込んで蓋をした。
あの庭土を汲んだ手触りだった。フィルムは時間を封じ込める。
体で感じたことは確かだった。
大きなサンダルを履き庭に出て、ひきずるように歩いて、花
その作業には、自分の手を汚さなければならない。
はどうやらかないそうもない。それにしても、私は新聞広告
い つ か ブ リ キ の 缶 を 掘 り 出 さ な け れ ば、 と い う 仄 か な 願 望
の い な い 花 壇 へ た ど り つ い た。 膝 を つ い て 両 手 で 地 面 を ひ っ
の裏にいったいなにを書きつけたのだろう? ひょんなこと
−3−
か き、 土 を 汲 む。 持 っ て き た ブ リ キ の 缶 を そ の 穴 に 入 れ る。
そして、土を被せて缶を埋める。爪先は土まみれ。いつのま
ると、よみがえらなくてもいいことなのかもしれない。
で記憶がよみがえることを楽しみにしたいけれど、もしかす
にか、肌寒く、周りは暗くなっていた。
一、二 年 は そ の ブ リ キ の 缶 を 埋 め た 場 所 に 目 を や る こ と も
あったけれど、やがて気に留めることも少なくなり、やがて
私は子どもではなくなった。
高校を卒業すると、関西に出て神戸阪神地区の大学へ進学
した。卒業を間近に控えたころ、あの大きな震災に遭う。住
ん で い た 木 造 の ア パ ー ト は 全 壊 し た。 ち ょ う ど 二 十 年 前 の 出
来事。同じころ、実家のもいろんな事情が重なって住むこと
ができなくなってしまった。私は二つの家をいちどに失った。
八 年 く ら い 前 か ら 六 甲 や 摩 耶 を 撮 り 歩 く よ う に な っ て、
木々や草花よりも廃れた家に関心がむかったのは自然のなり
ゆきだったのかもしれない。それも、廃墟の聖地と言われる
摩 耶 観 光 ホ テ ル の よ う な シ ン ボ リ ッ ク な 建 物 で は な く、 も っ
『あと乃あと』
冬青社・2,800 円
﹃
﹄
GO WILD
を動かそう。激しい天候に凸凹道など自然
食生活だけではない。再び自然の中で体
くの扉のどれひとつも選択できなくなる
い う 牢 獄 ﹂ の 中 で、 目 の 前 に 現 れ た 数 多
し て 自 由 主 義・ 資 本 主 義 が 勝 利 を 宣 言 し
か ら で あ る。 大 澤 の タ ー ム で 言 え ば、 選
覚を研ぎ澄まそう。野生的生活を取り戻せ
た の と 並 行 し て、 ナ シ ョ ナ リ ズ ム や エ コ
択を可能にする第三者の審級=内なる他
ばうつや肥満等の現代病とは縁遠くなり、
ロジーが台頭してきたのは決して偶然で
は容赦ないが、その分澄んだ空気や野山の
NHK 出版・二二〇〇円
健康で幸せな毎日が送れる、と提案する。
はなく、
人類が直観的に﹁自由という牢獄﹂
風景などの恩恵を受けたときの脳の喜びは
私 た ち 人 類 の 食 事 に お い て、 砂 糖 類 は
このような生活が理想だと知っていな
それゆえ、
︿普遍的公共性﹀を実現する
人々を束縛してしまうからだ。
遂にはそれがむしろ不可欠なものとして、
すればするほど、
﹁内なる敵﹂を生み出し、
共 性 は、 自 由 で 開 放 的 な も の に な ろ う と
か な い。 両 者 と も に 実 現 し よ う と す る 公
二 十 世 紀 の 終 盤、 社 会 主 義 世 界 が 崩 壊
摂ってはいけない。脂肪はいい、肉や野菜、
が ら、 実 行 で き て い る 人 は 稀 だ ろ う。 こ
の中での閉塞を回避しようとしたのだと
者を、失ってしまうからである。
ナッツ、多種多様なものを食べよう。炭水
言 え る。 だ が、 そ れ ら は 決 し て う ま く い
ひとしおだ。そして十分な睡眠をとり、感
化物は分解されて糖になるからごはんやパ
の 本 を 読 む と、 今 の ラ イ フ ス タ イ ル を 根
ジョン・J・レイティ著
ン、イモ類もダメだ。加工食品はどんなも
本から変えたくなるかもしれない。
︵ミ︶
岩波書店・二四〇〇円
自 由 は、 間 違 い な く 、 近 現 代 史 を 駆 動
大澤真幸著
責任・公共性・資本主義﹄
﹃自由という牢獄
のであってもダメだ。今、低炭水化物の食
生 活、 糖 質 制 限 ダ イ エ ッ ト が 流 行 っ て い
る。︱︱人間の体は変わらないのに健康法
やダイエットには流行があるのはおかし
い、とこの文章に疑いを持った人は冷静な
人だと思うが、流行があるのは、今までの
やり方でうまくいかなかった人が新しい方
級 ︱ を 言 わ ば、 空 無 と し て 所 有 す る こ と
準を与える超越的な他者︱第三者の審
た め の 鍵 は、 わ れ わ れ の 行 為 と 体 験 に 基
だ が、 自 由 が 拡 大 す れ ば す る ほ ど、 社
に こ そ あ る、 と 大 澤 は 言 う。 そ し て、 空
してきた中心的な理念である。
会は閉塞感に包まれていくように見える。
法に期待を寄せるからだろう。
では、人類の進化の過程からみたらどう
自由と表裏一体である責任を明確にすれ
立 さ せ る の は、 強 さ で は な く む し ろ 弱 さ
そ の 結 論 は、 納 得 で き る。 公 共 性 を 成
は、
﹁未来の他者﹂である、と。
だろうと検証し、現代人を苦しめるものの
そ れ は、 も し も 目 指 さ れ て い る 自 由 が
根本的要因はブドウ糖だ、と断言したのが
束 縛 か ら の 全 き 解 放 だ と し た ら、 そ れ が
無としての第三者の審級の一つのあり方
の食料はほとんど食べられておらず、現在
完 全 に 成 し 遂 げ ら れ た 時、 人 は﹁ 自 由 と
ばするほど、責任は空洞化していく。
のように栄養の八割を炭水化物で摂り始め
本書だ。農業革命までの社会で高炭水化物
たのはつい最近のことなのだそうだ。
−4−
であり、﹁未来の他者﹂は、ある意味で最
出 来 な い 出 来 事 が 起 こ る。 し か し そ こ は
う よ り も 立 ち 向 か う し か な い の だ。 常 に
間 が 描 か れ て い る。 い や 立 ち 向 か う と い
れている短編集であるが、確かに作品中で
家である。本書は三十八篇の作品が収めら
賞も受賞した、多彩な才能を持つ異色の作
同で映画を監督してカンヌ映画祭新人監督
本書の著者エトガル・ケレットは妻と共
ル人作家の小説を紹介したい。
人 間 は〝 電 車 道 〟 な の だ。 息 遣 い ま で 聞
テロ行為も起こり、現在の中東紛争を反映
まさに〝電車道〟
。一直線に立ち向かう人
こ え て く る か の ご と く、 誠 実 に そ し て 緻
している部分もある。しかしパレスチナを
︵フ︶
密 に 描 か れ て い て、 確 か に 自 分 が こ の 目
も弱 い 存 在 だ か ら だ 。
電 車 が 好 き な 人 は 多 い だ ろ う。 私 も そ
で見て体験した時に感じる胸に刻まれる
﹃電車道﹄
の ひ と り で あ る。 と は い っ て も 電 車 に 詳
批判する言葉や自国の政治的主張を声高に
乗車時間が好きといったほうが正確な気
が、 と に か く 読 ん で い た だ き た い。 決 し
言い表すことができないのが歯痒いのだ
途轍もない壮大な物語でうまく言葉で
ま れ て し ま う だ ろ う。 ひ ね く れ た 笑 い と
物 語 が 多 く、 読 者 は 奇 妙 な 世 界 に 引 き 込
新潮社・一六〇〇円
し い わ け で も、 写 真 を 撮 っ た り す る わ け
ような感覚を与えてくれた。
が す る の だ が、 と に か く 電 車 が 好 き な の
不条理な展開を持つ小説は現在の世界文
磯﨑 憲 一 郎 著
で も な く、 電 車 に 乗 っ た と き に 過 ご せ る
だ。 電 車 に 乗 っ た と き の 至 福 の 時 間 は な
て消え去ることのないこの胸に刻まれた
各作品とも奇想天外で不思議な日常の
叫ぶなど野暮なことは書かれていない。
にも の に も 代 え が た い も の が あ る 。
学 の 潮 流 で も あ る。 ア メ リ カ の セ ス・ フ
リ ー ド や ブ ラ イ ア ン・ エ ヴ ン ソ ン な ど 注
ら、 一 筋 縄 で は い か な い 珠 玉 の 物 語 で あ
複 雑 な 思 い も あ る の だ が、 こ の 国 の 小 説
東情勢の中心にいるイスラエルに対して
常にパレスチナとの紛争問題を抱え、中
エトガル・ケレット著
母袋夏生訳
新潮社・一九〇〇円
かれていて素直な感動を呼び起こす。繰り
儀のいい子﹂は父の息子に対する愛情が描
成 功 し て い る。
﹁ チ ー ム を 組 む ﹂ や﹁ お 行
ない強引な展開でシリアスと笑いの融合に
下古栗の作品を思わせる常人には思いつか
︵羊︶
目の作家と共鳴する文学的資質がエトガ
る こ と は 想 像 し て い た の で は あ る が、 そ
に は 興 味 が あ る。 イ ス ラ エ ル を 代 表 す る
返し読めば新たな驚きと発見がある作品集
﹃突然ノックの音が﹄
支えてくれると思う。
も の は、 き っ と 知 ら な い と こ ろ で 自 分 を
そ ん な 電 車 好 き な 私 が 惹 か れ た 本、 書
名は﹃電車道﹄。きっと電車が出てきてほ
のぼのと楽しい物語なのだと思って読み
始 め た ら、 い や は や 想 像 を す ん な り 超 え
物 語 は あ る 高 台 の 町 が 舞 台 と な り、 鉄
作 家 と い え ば デ イ ヴ ィ ッ ド・ グ ロ ス マ ン
に出会えたことを喜びたい。
︵加︶
本書の一篇﹁チーザスクライスト﹂は木
道 開 発 を 背 景 に、 日 本 の 近 代 か ら 現 代 ま
や ア モ ス・ オ ズ だ が、 私 は 読 ん だ こ と が
ル・ケレットの根底にも潜んでいる。
での百年の時間を親子孫の三代を軸とし
ないので最近翻訳された注目のイスラエ
て き た。 も ち ろ ん 磯 﨑 氏 の 小 説 で あ る か
て 繰 り 広 げ ら れ る の だ が、 百 年 と い う 年
の想 像 す ら 越 し て き た の で あ る 。
月は長くその時代その時代に抗うことの
−5−
蓮實重彥﹃﹃ボヴァリー夫人﹄論﹄︵筑摩
今月の﹁愛書家の楽園﹂は﹁大冊を読
はなぜか妙に分厚い本が多く出されまし
出版不況が叫ばれて久しいなか、昨年
︵﹃広辞苑﹄︶
が 大 き く て 厚 い 書 物。 大 冊 子。 大 巻。
たい︲さつ︻大冊︼紙数の多い書物。形
む﹂です。
た。 蓮 實 重 彥﹃﹃ ボ ヴ ァ リ ー 夫 人 ﹄ 論 ﹄
書房・六四〇〇円︶
空間﹄︵七四四ページ︶、トマ・ピケティ
世紀の資本﹄︵七二八ページ︶などが
に で も わ か る よ う に 読 み 解 こ う と い う、
夜番組がありました。難しい思想書を誰
された﹁お厚いのがお好き?﹂という深
十年ぐらい前にフジテレビ系列で放映
いリアル本の魅力ではないでしょうか。
めることができるのが、電子書籍にはな
ての文字を踏みしめ、その迫力を受け止
﹁ 踏 破 ﹂ す る よ う に、 物 理 的 な モ ノ と し
破﹂も、読書の醍醐味のひとつ。山々を
手軽に読める文庫本もいいですが、﹁読
ぎ 出 さ れ る。 そ の 勢 い は 実 に 圧 倒 的 で、
意味で豊饒かつ刺激的なことばがつむ
屈 き わ ま り な い 条 件 設 定 の 下 で、 真 の
ん な 批 評 が 成 立 す る の か。 こ の 一 見 窮
の 情 報 を す べ て 遮 断 し た と こ ろ で、 ど
えないところから出て来るテクスト外
見えているもの以外は一切信用せず、見
む と ど う な る か を 実 践 し た 書 物 で あ る。
説 の テ ク ス ト を、 厳 密 か つ 徹 底 的 に 読
が本当には熟視したことのない長編小
とく、誰の目にも見えていながら、誰も
は ま さ に、 こ の 逆 説 を 実 現 す る か の ご
学 の 役 割 だ と 述 べ た こ と が あ る。 本 書
いるものを見えるようにする﹂のが哲
かつてミシェル・フーコーは﹁見えて
︵八五〇ページ︶、松浦寿輝﹃明治の表象
﹃
なかなか野心的な企画でしたが、今回の
その代表でしょう。
趣旨も、ちょっと似ているかもしれませ
ことか﹂と、本書を含めて、あらゆる書
﹁ 結 局、 読 む こ と と は、 最 後 は こ う い う
︵S︶
ん。それでは、並々ならぬ﹁お厚い﹂本
の数々を︱︱。
−6−
『『ボヴァリー夫人』論』
21
︵T︶
物に向き合う者を粛然たる思いに至ら
しめる。
ず、現在を生きる私たちに向けて突きつ
えるために必読のものであるのみなら
けられた刃として、今もなお重く、鈍い
煌めきを放ち続けている。
マック・セネット、石野たき子訳、新野
吉田広明﹃亡命者たちのハリウッド︱︱
敏也監訳﹃︿喜劇映画﹀を発明した男︱︱
帝王マック・セネット、自らを語る﹄︵作
歴 史 と 映 画 史 の 結 節 点 ﹄︵ 作 品 社・ 四 六
二十年足らずの間に、中上健次は多くの
盛夏に四十六歳の若さで急逝するまでの
て芥川賞の候補となってから、九二年の
一九七三年に﹃十九歳の地図﹄で初め
サーが、自らの映画人としての足跡、波
リウッドを代表する超大物プロデュー
めて登場させたアイディアマン。初期ハ
着アイドル、道化役としての警官隊を初
コメディ映画にカスタードパイ投げ、水
ラ ら を 自 ら の ス タ ジ オ か ら 輩 出 し た 男。
∼七〇年代に共産圏東欧から亡命した
て米映画にとって模索の時代である六〇
エンドフィールド、J ・ロージー。そし
逐われたE・ドミトリク、J・ベリー、C・
終焉を迎えた五〇年代に赤狩りで米国を
サーク、R・シオドマク。その古典期が
から逃れ米国に流入したF・ラング、D・
た古典期の劈頭である三〇年代にナチス
スタジオシステムが円滑に機能し始め
〇〇円︶
品社・四六〇〇円︶
グリフィスに映画作法を学び、チャッ
作品を遺したほか、膨大な発言を行なっ
乱に満ちた生涯、たった一度の人生を賭
プリン、クロズビーを見出して、キャプ
てきた。それらはすでに二〇〇〇年以前
もとより映画産業勃興期の青春群像物
した名女優との悲恋を余さず語り尽くす。
高澤秀次編﹃中上健次[未収録]対論集成﹄
に集英社から二冊の、第三文明社から六
が、この八冊やその他の単行本/全集に
丁寧に訳註で指摘したことで、本邦訳は
トの事実誤認や意図的な﹁脚色﹂を懇切
語として超一流の読み物であるが、セネッ
我々はそこに、あらゆるものを飲み込み、
画 に 与 え た 変 化 と は 何 か を 詳 述 す る。
に何をもたらしたのか。彼らの到来が映
本書は、亡命という経験が彼らの映画
M・フォアマン、R・ポランスキー。
冊の浩瀚な書物となって纏められている
収められることのなかった、四十九人と
映画史の資料としても重要な価値を持つ
柄谷行人、吉本隆明、石原慎太郎らと
録﹁銀幕喜劇人小辞典﹂も非常に貴重。
一冊となった。日本オリジナルの巻末付
部としていくハリウッドという巨大なシ
吐き出しつつ、それらすべてを自らの一
〇五年刊行の本書である。
の三十九の対談/座談を集成したものが
︵作品社・六八〇〇円︶
『〈喜劇映画〉を
発明した男』
の白熱する議論は、中上健次の文学を考
−7−
『中上健次
[未収録]対論集成』
の鵺のような強靭さを見るだろう。
ステムの、ひいてはアメリカという国家
注目を集め、版を重ねることとなった。
生誕百年に伴う様々な催しとともに再び
三四∼四五年。
二 四、一 九 二 九 ∼ 三 六 年、 四 巻 は 一 九
︵以上、A︶
柳瀬正夢全集刊行委員会編﹃柳瀬正夢全
集﹄第一巻、第二巻︵三人社・一五〇〇
マヴォ︵Mavo ︶をはじめとする大
〇円、一八〇〇〇円︶
正アヴァンギャルド運動、プロレタリア
小林淳﹃ゴジラの音楽︱︱伊福部昭、佐
一九四五︶の全貌を明らかにする全集
拮 抗 し た 漫 画 家 柳 瀬 正 夢︵ 一 九 〇 〇 ∼
マンスの地下水脈﹄
︵ グ ラ ム ブ ッ ク ス・
1960年代・日本美術におけるパフォー
黒 ダ ラ イ 児﹃ 肉 体 の ア ナ ー キ ズ ム ︱︱
芸術運動のなかで、激動の時代と社会に
藤勝、宮内國郎、眞鍋理一郎の響きとそ
和という時代の象徴のひとつでもあるこ
本の諸相をも見はるかすことにより、昭
また、それらが生み出された同時代日
映画音楽評論家による渾身の長篇評論。
品 の 読 解 を も と に そ の 全 貌 を 解 析 す る、
関係者たちへの懇切な取材と徹底的な作
に彩られていたのか。本書は、作曲家や
ジラ・シリーズ十五作は、いかなる音楽
﹁メカゴジラの逆襲﹂にいたる昭和期ゴ
誌表紙絵、単行本装丁を収める。二巻は
参 加 し た 大 正 期 の 漫 画、 詩・ 評 論、 雑
点 ﹂。﹁ 種 蒔 く 人 ﹂﹁ 文 芸 戦 線 ﹂ の 運 動 に
ン ギ ャ ル ド 運 動・ 漫 画 家 と し て の 出 発
一巻は、一九一六∼二七年﹁大正アヴァ
羅し、四つの時代に分けて収録する。第
もとにした発表形態別の編集により網
物 と し て 発 表 さ れ た 著 作 を、 発 行 年 を
な 分 野 で 活 躍 し た。 本 全 集 で は、 印 刷
似 顔 絵、 本 の 装 丁、 舞 台 装 置 な ど 多 彩
の 政 治 漫 画 や﹁ 読 売 新 聞 ﹂ の 議 会 漫 画、
キーな肉体表現は、五十年前は、こんな
ダダ﹂
﹁クロハタ﹂
﹁ゼロ次元﹂らのアナー
たる口絵写真に見る﹁九州派﹂や﹁ネオ・
その歴史的意味を問う。十六ページにわ
﹁反芸術パフォーマンス﹂としてとらえ、
﹁社会史﹂からも無視されてきた実践を、
為 は 何 だ っ た の か? ﹁ 美 術 史 ﹂ か ら も
政治的表現にも芸術表現にも見えない行
て、 決 し て 組 織 化 さ れ た 運 動 で は な く、
一九六〇年代初頭から七〇年頃にかけ
の 直 接 行 動﹁ 反 芸 術 パ フ ォ ー マ ン ス ﹂。
美術でもない、アートでもない、裸形
四二〇〇円︶
れら作品群の読解に、複眼的な強度が与
一 九 二 八 ∼ 三 三 年、 三 巻 は 一 九 二 〇 ∼
歳で院展に入選し、油絵、
﹁無産者新聞﹂
えられている。二〇一〇年に刊行されて
一九五四年の﹁ゴジラ﹂から七五年の
の時代﹄︵作品社・四六〇〇円︶
︵ 全 四 巻 + 別 巻 一 ︶。 柳 瀬 正 夢 は、 十 五
『柳瀬正夢全集』
話題を呼んだ本書は、一四年に伊福部昭
−8−
『ゴジラの音楽』
注も索引も充実している。
あ て た 著 者 の 熱 い 情 熱 が ほ と ば し る 書。
かけていたパフォーマンスの歴史に光を
した﹃山海評判記﹄に関わる文章と福永
は、新発見の草稿、鏡花と雪岱が書き残
挿絵すべてを収めた豪華美麗本。別冊に
に小村雪岱が描き下ろした三〇〇点近い
評判記﹄の新聞初出テキストと、連載時
泉鏡花晩年の傑作幻想長篇小説﹃山海
共和国・オリエンタリズム﹄につづく近
著﹃ヨーロッパ文明批判序説︱︱植民地・
プなテクスト分析を通して描き出す。前
化へと接近していく過程を緻密でシャー
政治との緊密な関係を解かれ、宗教が文
医師か。姦通を罰したのは宗教か民法か。
き、人間の最後をみとったのは聖職者か
教と国家がせめぎあう時代になったと
の渾身の書。フランス革命の後、霊的な
清沢洌、編集・解説・注/橋川文三﹃暗
武彦﹁﹃山海評判記﹄再読﹂、種村季弘﹁三
代ヨーロッパの批判的考察。文学研究の
権力と世俗の権力の棲み分けが始まり宗
黒日記︱︱戦争日記1942年12月∼
人の女﹂の先駆的作品論も収録。布張り
射程の広さを実践した快著。著者は、﹁こ
泉鏡花作・小村雪岱画﹃初稿・山海評判
1945年5月﹄︵評論社・六六〇二円︶
表紙で函入り。帯や函にも雪岱の絵があ
こともやれていたのだという感慨すら覚
国際感覚のあるリベラルなジャーナリ
り、鏡花のファン以上に雪岱ファンには
記﹄︵国書刊行会・一四八〇〇円︶
スト清沢洌の戦争日記。清沢は、日記執
の本も、わたしなりの、思いきり迂遠な
論︱︱姦通小説・ナポレオン法典・政教
工 藤 庸 子﹃ 近 代 ヨ ー ロ ッ パ 宗 教 文 化
高 山 宏﹃ 新 人 文 感 覚1
風 神 の 袋 ﹄︵ 羽
鳥書店・一二〇〇〇円︶、﹃新人文感覚2
−9−
える。今は赤瀬川原平もいない。埋もれ
筆の動機について﹁現代史を後日書くた
たまらない。
る。清沢は﹁敗戦によって果して日本国
分離﹄︵東京大学出版会・七八〇〇円︶
雷神の撥﹄︵同・一三〇〇〇円︶
てみよう﹂とあとがきに記す。
﹃ボヴァリー夫人論﹄なのだとつぶやい
めに記録を止めおかんとするにすぎず﹂
と記し、日記には、新聞記事の切抜きが
丹念に貼付されていた。解説の橋川文三
は、日記の中に﹁しばしば﹃すべては教
育の問題である﹄という意味の感想が述
に含まれる巨大な暗愚のシステムを、根
べられているが、清沢は日本の戦争指導
源的には﹃教育﹄の歪みから生れたもの
民はより賢明になるであろうか?﹂とも
﹁小説を学際的に読む﹂とこれだけの
と考えていたようである﹂と指摘してい
記 し て い る が、 清 沢 の 疑 念 を、 敗 戦 後
ことができるというフランス文学研究者
『新人文感覚1
風神の袋』
七十年の今、どう受け止めるべきか。
『初稿・山海評判記』
の。古今東西、時空をもとびこえて縦横
小文、批評を集成し二分冊にまとめたも
十五年分︵一九九五︱二〇一〇︶の論考、
学魔高山宏の
﹃ブックカーニバル﹄
以降、
てこそ、この本を評価すべきだろう。
全四部十六章・七〇〇ページを読み解い
られているだろうが、その論拠を支える
べし、という結論は読んでない人にも知
を定式化し、国境を超える資本税を課す
五〇〇〇円︶
松 浦 寿 輝﹃ 明 治 の 表 象 空 間 ﹄︵ 新 潮 社・
している。
に立ち会う驚きと喜びが、ここには横溢
き言葉の変容、民権・国権などの政治思想、
度、刑法典、漢文体から言文一致への書
う野心的な試み。その分析対象は行政制
節点に重点を置きつつ素描しよう﹂とい
トワークを、幾本かの力線、幾つかの結
象﹂がかたちづくっていた意味作用のネッ
日本の明治時代において、
﹁種々の﹁表
無尽に語りつくす著者の魅力がたっぷり。
風神の巻ではピクチャレスクをテーマに
したテクストを中心にまとめ、雷神の巻
はマニエリスムにかかわるテクストを集
める。
﹁観相学やら聖俗学やらを、語源風
神が吹き飛ばす。高山見ずして、
本読むな﹂
︵松岡正剛︶
。初出時掲載の図版もそのま
博物学と言語学、社会進化論の影響、教
樋口一葉、幸田露伴の文業にまで、多岐
マルクスを連想させる書名だが、ベルリ
大な実証データの集積を通じて斬り込む。
差﹂という経済社会永遠のテーマに、膨
前半屈指のベストセラー。
﹁富の分配﹂﹁格
でもあったその論考は、ユニークかつ正
大マルクス哲学者・廣松渉の最後の高弟
者・熊野純彦のマルクス論。日本最後の
カントの大著を翻訳するスーパー哲学
史を見渡す著作を刊行し、ハイデガーや
グラフをものし、西洋哲学史、日本哲学
して為しえた輝かしい読み物。
− 10 −
ま収録され、著者の特徴、
﹁画文共振﹂が
にわたる。
﹁都電が姿を消してゆく東京に
育 勅 語 と 近 代 天 皇 制、 さ ら に 北 村 透 谷、
熊野純彦﹃マルクス
︵せ
資本論の思考﹄
りか書房・五八〇〇円︶
暮らしながらエッフェル塔の美しさの分
︵以上、H︶
トマ・ピケティ、山形浩生・守岡桜・森
﹁ マ ル ク ス を 読 む と は、 世 界 を 読 み と
実現されている。
世紀の資本﹄︵みすず書房・
析を企てるフランス文学者﹂松浦寿輝に
ンの壁崩壊時に十八歳だった世代に属す
る。﹁ことばが世界をとらえるその瞬間﹂
統的とでも言うべき特異性を帯びてい
r>g
る著者は、オールド・ファッションな共
今さら説明の必要はなさそうな、本年
五五〇〇円︶
本正史訳﹃
メルロ=ポンティ、和辻哲郎などのモノ
くことである﹂。ヘーゲル、レヴィナス、
『21 世紀の資本』
産主義体制にはいささかの共感ももって
いない。格差拡大の根本的な不等式
『明治の表象空間』
21
の対比で述べられてきた折口の独自の
二の到達点。これまでつねに柳田國男と
一貫して折口信夫と格闘してきた安藤礼
デ ビ ュ ー 作﹃ 神 々 の 闘 争 ﹄ 以 来 十 年、
〇円︶
安 藤 礼 二﹃ 折 口 信 夫 ﹄︵ 講 談 社・ 三 七 〇
ング。音楽で言えばスタジオ録音に対す
チューリングなどとのやりとりがスリリ
シ ュ タ イ ン の 講 義 録 も、 聴 講 し て い た
学生のノートが元だったし、ウィトゲン
る。ソシュールの﹃一般言語学講義﹄も
﹁講義録﹂は独特な出版ジャンルであ
七二〇〇円︶
︵ ジ ャ ッ ク・ デ リ ダ 講 義 録 ︶
﹄︵ 白 水 社・
礎を解明しようという試みである。第一
音響学の本ではなく、音楽の生理学的基
邦訳。サブタイトルにあるように単なる
学者︶ヘルムホルツの古典的名著の初の
礎﹄︵銀河書籍・二九八〇円︶
訳﹃音感覚論︱︱音楽理論の生理学的基
ナント・フォン・ヘルムホルツ、辻伸浩
島 論 ﹂﹁ 詩 語 論 ﹂ か ら な る。 今 後 の 折 口
宙﹂を考察する各章、そして補論的な﹁列
するキーワード﹁乞食﹂
﹁天皇﹂
﹁神﹂
﹁宇
試みる。後半は折口古代学の核心を構成
に秘められたいくつかの﹁謎﹂の解明を
口の生涯に焦点を合わせ、特にその生涯
的に読みかえ、主権概念の伝統的な規定
がら、獣と主権者の古典的対立を脱構築
蛇、鷲⋮⋮多種多様な動物をとりあげな
はその邦訳第一弾。﹁狼、狐、獅子、子羊、
半世紀をかけて刊行されるという。本書
言葉﹂の哲学者デリダの膨大な講義録が、
そして何と﹁エクリチュール=書かれた
る ラ イ ブ 盤 の 魅 力 の よ う な も の が あ る。
て音楽美学との関係まで、すべて実験で
不協和音といったさまざまな現象、そし
共鳴、聴覚、音色、うなり、和音、音階、
数 学 註 的 な﹁ 付 属 書 ﹂ か ら な る。 振 動、
性 音階と調性﹂に分かれる全十九章と
和 音 と 不 協 和 音 ﹂、 第 三 部﹁ 楽 音 の 親 近
時 に 鳴 る 音 の 妨 害 結 合 音 と う な り。 協
部﹁振動の合成 倍音と音色﹂、第二部﹁同
十九世紀の知の巨人︵生理学者、物理
かにせんとする未曾有の試み。前半は折
研究は、もはや本書を抜きにしては語れ
たたえている。
︵以上、S︶
︵三省堂・瀧本、作品社・青木、羽鳥書店・
羽鳥、NTT出版・柴︶
*愛 書 家 の 楽 園・ 特 集﹁ 大 冊 を 読 む ﹂ で ご 紹
介 し た 書 籍 は、 池 袋 本 店 一 階 エ レ ベ ー タ 前
と 福 岡 店 三 階 に て、 四 月 十 日 ∼ 五 月 九 日 ま
でフェア展開中です。
− 11 −
﹁古代学﹂のパラダイムと全体像を明ら
ないだろう。
確認し、精緻な論理で検証している。音
『音感覚論』
ヘルマン・ルートヴィヒ・フェルディ
響学の古典というにとどまらない魅力を
を問いなおしてゆく。﹂
亀 井 大 輔・ 佐 藤 朋 子 訳﹃ 獣 と 主 権 者 Ⅰ
ジャック・デリダ、西山雄二・郷原佳以・
『獣と主権者Ⅰ』
﹃
人に聞きました ! 老いも若きも
まずはこの1冊から
はじめての海外文
学フェア﹄全国二十六店舗で開催
海外の本が子どものときから大好き
いう方々に、ぜひもう一度チャレンジし
ていただけないかと思い、今回この企画
﹃
人に聞きました ! 老いも若きも
を考えました。
まずはこの1冊から
はじめての海外文
学フェア﹄
内容は、もうシンプルに翻訳家、編集
で、よく親しんできました。
者、出版社営業、そして書店員と普段か
でからは⋮⋮とその方にとってのはじめ
で も、 実 際 に 書 店 員 に な っ て か ら は、
ての一冊をあげてくださった方も︶にこ
ら海外文学に親しんでいる方々︵中には
他のお店を参考までにとのぞいてみて
れぞと思うはじめての一冊を選んでいた
海外文学ってこんなにも売れないのだと
も、参考にするどころか海外文学の棚さ
だき、コメントを付けていただくという
本当は苦手だったんだけど、これを読ん
え見つからないことも多々あり、これは
いうことを知り、なんとかならないだろ
全体的に売れなくなってしまっているの
ものです。
うかと考えてきました。
ではと危機感をつのらせました。特に町
気持ち的にもとてもさびしく、なんとか
ろんな人に声をかけたのは、自分ひとり
いや、実は本当のことを言うと⋮⋮い
の 書 店 か ら 海 外 文 学 が 消 え て ゆ く の は、
ならないだろうかという気持ちは日増し
でやる自信がなかったからでした。
そ こ で、 海 外 文 学 っ て 難 し く て な ー、
とてもダメなのではないかと思いました。
るほど読んでいないのではないかと感じ
ですが、自分も人に胸をはって勧められ
したら売れるのかずっと考えてはいたの
で、売れないことを嘆いていたし、どう
というのも、海外文学はもともと好き
に強くなりました。
一回読んだけど挫折したよ⋮⋮とか、翻
や は り 新 し い 読 者 を と り こ ま な い と、
訳 の 文 体 が 苦 手 な ん だ ⋮⋮ と 思 っ て し
ていたからです。
だから入門フェアを考えるにあたっ
まっていて、遠ざけてしまっている方々、
日本の小説は読むけど海外はなぁ⋮⋮と
− 12 −
50
50
て し ま う に 違 い な い、 そ う だ そ う に 決
説得力に欠ける面白くないフェアになっ
願いいたしました。︶
た の で、 ギ リ ギ リ の こ の 値 段 で お
︵苦 手 な も の に 高 い お 金 は 払 え ま せ
ん。でも文庫だけにもしたくなかっ
て、 こ れ は わ た し 一 人 で 選 ん だ の で は、
まってると思いました。だったらどうす
いる方におすすめですという、日本
いる人むけに、こういう本を読んで
方のみ、普段は日本の小説を読んで
人作家さん、または作品を提案して
三.こちらは全員ではないですが可能な
完 全 な る 他 力 本 願 パ ワ ー で ⋮⋮ そ う だ、
外文学読みがいるじゃないか ! という
いただきました。
る か、 そ れ で も 入 門 フ ェ ア は や り た い。
たのんじゃおー。ということになったの
待てよ、まわりにたくさん素晴らしい海
であります。
てご紹介いたします。
していただける方が増えて、このような
ぞれの異なる想いと、おそらくそこは重
集まってみると、五十人が五十人それ
人公と一緒にハラハラドキドキ、泣いた
た主人公の脱出行。痛快な逆転劇で、主
無実の罪で矯正キャンプに放り込まれ
田敦子訳・六〇〇円︶
﹄
﹃穴 HOLES
︵講 談 社 文 庫・ ル イ ス・ サ ッ カ ー 著・ 幸
大変大きなものにすることが出来た次第
なる海外文学への愛がぎっしりつまった
それがあれよあれよという間に、賛同
です。
り笑ったりしているうちに、こちらも元
読み好みに合いそうなもの、気になった
です。ですので、一つ一つのコメントを
海外文学の何が苦手って翻訳が苦手だ
井よし子訳・一九〇〇円︶
︵講 談 社・ レ イ チ ェ ル・ ジ ョ イ ス 著・ 亀
礼の旅﹄
﹃ハ ロ ル ド・ フ ラ イ の 思 い も よ ら な い 巡
︵丸善
津田沼店
小松原俊博︶
あさのあつこが好きな人に。
気になれるような本です。
素晴らしいラインナップになったのでは
決まりはありません。ご自身の好みに合
入門編は簡単じゃなきゃいけないって
パッと見て思うかもしれませんが、何も
初 心 者 に は 難 し い ん じ ゃ な い の? と
ないかと思っております。
さて、メンバーに選書をしていただく
にあたってお願いしたことが三点あり
ます。
一.従来の入門フェアに入るような古典
︵対 象 を 完 全 な る 初 心 者 と い う よ り
ものを選んでいただければと思ってお
うかどうか、それが一番大事だと思うの
は、 一 度 読 ん で 以 来 ダ メ で 海 外 文
的なものは避けること。
学を避けてきている方々とした
ります。
以下いくつか選書とコメントを抜粋し
かったので︶
二.値段は本体価格二五〇〇円まで。
− 13 −
『穴 HOLES』
るように、足を前に前に出す。ただそれ
に自分の足でしっかり歩いてきたと思え
す。誰にもある人生の後悔。最後のとき
は一歩一歩足を踏みしめて進んでゆきま
ません。行動は突飛だけれど、ストーリー
う物語。ただの感動話ではまったくあり
もの道のりを手ぶらで歩きはじめてしま
に会うため、一人の老人が一〇〇〇キロ
てしまうことでしょう。死の間際の友人
むうちにそんなことは頭から離れていっ
という人にこそ勧めたい ! きっと、読
わず喝采を叫びたくなること請け合い
正義感に大いに共感し、総括弁論には思
の弁護士ベン・ゴードンの勇気と機転と
外文学を敬遠している方でも、新進気鋭
ぼるように読んだのですから、普段、海
た高校生の私でさえ、時間を忘れてむさ
サスペンス﹂という言葉すら知らなかっ
知 識 が 無 い の は 勿 論 の こ と、﹁ リ ー ガ ル
た ︶。 ア メ リ カ の 法 体 系 や 陪 審 員 制 度 の
向 け の 翻 訳 文 学︵ 当 時 は 文 春 文 庫 で し
多分、初めて自分の意志で買った大人
家編も出ています︵講談社さんの回し者
た こ の タ イ ミ ン グ で、 ぜ ひ ! 日 本 人 作
取っ払ってくれた一冊です。文庫になっ
あ ⋮⋮ と い う、 食 わ ず 嫌 い の 身 構 え を
と ⋮⋮ 自 分 と は 隔 た り の あ る も の だ な
くれる岸本さんの訳。海外文学はちょっ
壁を越えてそこにやすやすと触れさせて
ら真理のような︶もの、そして、言葉の
ら感じるおかしみみたいな︵もしかした
らしみ出てくる、人間の、いとおしさす
性を煮詰めきったような各短編、そこか
たり病んでいたり色々、個々の作家の個
短篇。
日本でも愛読されてきたチェーホフの
すめ。
戯曲が有名ですが、まずは短篇がおす
翻訳でつかえることもありません。
が多いけれど、チェーホフなら大丈夫。
ロシア文学の名作は長くて手強いもの
チェーホフ著・沼野充義訳・一六〇〇円︶
﹃新訳
チェーホフ短篇集﹄
︵集 英 社・ ア ン ト ン・ パ ー ヴ ロ ヴ ィ チ・
︵河出書房新社
山本晴日︶
ではありません。笑︶
です !
恩田陸
﹃夜のピクニック﹄
が好きな人に。
︵丸善
津田沼店
沢田史郎︶
﹃変愛小説集﹄
タイトル通り、変てこな恋愛ものの短
︵講談社文庫・岸本佐知子編訳・八〇〇円︶
『変愛小説集』
編集です。もう、SFだったりグロかっ
− 14 −
だけのことが、こんなに胸を打つとは !
︵丸善
津田沼店
酒井七海︶
﹃復讐法廷﹄
中野圭二訳・九〇〇円︶
︵ハヤカワ文庫・ヘンリー・デンカー著・
『ハロルド・フライの
思いもよらない巡礼の旅』
時 に 哀 し く 可 笑 し く、 時 に 切 な く 愛
しい。
読めば大切にしたくなる話が詰まって
います。
渡辺淳一﹃仁術先生﹄が好きな人に。
︵みすず書房
嶋田政義︶
︵光文社古典新訳文庫編集長
解説をぜひ !
駒井
稔︶
﹃肉体の悪魔﹄
︵新 潮 文 庫・ レ イ モ ン・ ラ デ ィ ゲ 著・ 新
二十歳で早逝した天才小説家ラディゲ
庄嘉章訳・四三〇円︶
が十代で書いたという作品。ここまでリ
が恥ずかしくなって、正直読む気にもな
﹁ 恋 に 恋 す る ﹂ レ ベ ル で、 読 ん で い る 方
い。 十 代 の 若 者 が 描 く 恋 愛 小 説 な ん て、
アルに、そして冷徹に男性の恋愛心理を
旧 ユ ー ゴ ス ラ ビ ア の 作 家 ダ ニ ロ・ キ
崎佳代子訳・九〇〇円︶
れないと思っていたが、長年読み継がれ
描いた小説はいままでに読んだことがな
シュ。彼が送った過酷な少年時代を、ア
﹃若き日の哀しみ﹄
イロニーと美しい言葉で描き出す至極の
た。男性の、女性に対する残酷さと純粋
の﹁国民作家﹂かもしれません。
すが、ひょっとするとチェーホフは日本
百 年 以 上 前 に 亡 く な っ た こ の 作 家 は、
短編集。中でも必読は
﹁少年と犬﹂。訳
者も、編集者も、校正者も、そして営業
まさに恋愛小説の金字塔といえる傑
さの両方を痛いほど克明に描いている。
人に。
︵彩流社
春日俊一︶
村上春樹﹃ノルウェイの森﹄が好きな
作
る傑作とのことで、試しに読んだら驚い
登場人物はロシア人ですが、まるで私
いまなお日本人の心を捉えてやみません。
も泣いた、この一編だけでも必ずお読み
︵東京創元社
営業部
小野木常幸︶
な人に。
小川洋子﹃博士の愛した数式﹄が好き
力がここにあります。
ください ! 時代・場所をこえる文章の
お話しがずらり。
沼野充義先生の新訳が作り出す世界
は、現代小説を読んでいるような圧倒的
な迫力があります。
初めての読者は、各短編についている
!
!
− 15 −
『肉体の悪魔』
︵創 元 推 理 文 庫・ ダ ニ ロ・ キ シ ュ 著・ 山
『若き日の哀しみ』
たちの日常を描いたような現実味のある
プーシキンはロシアの﹁国民詩人﹂で
『新訳
チェーホフ短篇集』
﹃スイート・ホーム殺人事件﹄
は ミ ス テ リ の 文 法 に の っ と っ た 大 傑 作。
でも追加が追いつかないほどの売れ行き
店頭での反響も上々で、丸善津田沼店
ました。
を得ることができました。海外文学、ま
それでいて子どもたちの愛らしさにニ
ヤ ニ ヤ す る 事 間 違 い な し。 ぜ ひ ご 賞 味
り 出 し た り も ! ︶ に よ っ て、 警 察 は 振
の 証 言 は 当 た り 前。 架 空 の 容 疑 者 を 作
イプリル、アーチー。三人の悪知恵︵嘘
のリストを見ていただければ読みたい本
で見ることが出来なかったとしても、こ
ているので、もし今回このフェアを店頭
て、五十点全リスト全コメントを公開し
UNKUDOのネットストアのサイトに
から。
本以外の国の書物はみんな海外文学です
海外文学は広くて深いです。なんせ日
きればこれ以上ない喜びです。
へまたその次へとつなげてゆくことがで
そして選んだ一冊目がおもしろく、次
です。
そんな場所にすることがわたしの目標
ないものすごい作品に出会える、書店を
で買いやすくすること、まだ出会えてい
少しでも海外文学の棚を増やし、書店
だまだ希望はあると思います。
あれ。
宮部みゆき﹃ステップファザー・ステッ
プ﹄が好きな人に。
︵西村書店
箱守
剛︶
この他にもたくさん魅力的な本がリス
トに入っており、コメントもそれぞれ面
白くてそれを読むだけでも楽しめると思
︵ハ ヤ カ ワ 文 庫・ ク レ イ グ・ ラ イ ス 著・
羽田詩津子訳・九〇〇円︶
います。
り 回 さ れ て ば か り で ⋮⋮。 何 よ り 捜 査
三月末ごろからはMARUZEN&J
隣家の奥さんが殺された ! 捜査に乗
の 動 機 が 素 敵 な ん で す。 女 手 一 つ で 三
が見つかるかもしれません。ぜひそちら
り出した三人の子どもたち、ダイナ、エ
人を育てているミステリ作家のお母さ
もご覧ください。
決 し、 そ の 手 柄 を お 母 さ ん の も の に し
してしまいましたが、開催当初SNS等
現在はほぼすべての店舗で開催終了
も ! ︶お祈り申し上げます。
りますことを︵みなさんにも、わたしに
くさん受けてください。よい出会いがあ
て、脳天から稲妻が走るような衝撃をた
これからたくさんいい本とめぐり合っ
もったいないもったいない。
た っ た 数 冊 で 放 り 投 げ て し ま っ て は、
ん。 も し 三 人 が 警 察 よ り 早 く 事 件 を 解
たら? お 母 さ ん は 有 名 に な っ て 、 本 が
で呼びかけたところ非常に反響が大き
︵丸善
津田沼店
酒井七海︶
く、最終的には北は北海道、南は九州ま
でチェーンも飛び越えて全二十六店舗
すべてはお母さんに楽な生活をさせた
さまざまな書店で開催することができ
売 れ る 事 は 間 違 い な い の で す ! そ う、
る ほ の ぼ の 話 と 取 ら れ が ち で す が、 実
いという純粋な子心︵?︶から ! 単な
− 16 −
『スイート・ホーム
殺人事件』
コンピュータ
あるいはその心理学
ディープラーニング,
ビッグデータ,機械学習
Python
プロフェッショナルプログラミング 第2版
株式会社ビープラウド著
ドだが本書は単なる流行語解説ではなく、
習のテクニックの一つ。今流行のキーワー
き 直 し、 三 章 分 の 書 き 下 ろ し を 追 加。
バージョン、一般的な作法に合わせて書
解説というよりも、 Python
を使ってどう
開発するかに主眼を置いている。現在の
人 気 の 実 務 者 向 け Python
解 説 書 が、
三年ぶりに改訂した。本書は言語自体の
文系理系を問わず技術の根底が理解でき
で数多くの開発を行ってきたプロ
Python
フェッショナル集団による、個人の開発
ディープラーニングとは、人の脳神経
浅川伸一著
る内容を目指した。ディープラーニング
細胞のネットワークを参考にした機械学
アンドルー・ホッジス著
には心理学、特に視覚的情報処理に基礎
上
土屋
俊、土屋希和子訳
この春話題の映画﹁イミテーション・
化している。本書はウェブだけでなくサ
れぞれの作品実現するために使われてい
の真鍋大度氏をはじめ、今
Rhizomatiks
注目のプロダクションやクリエイターの
− 17 −
エニグマ
アラン・チューリング伝
ゲーム﹂の原作。アラン・チューリング
にもチームでの開発にも役立つ技術書。
二八〇〇円
を置く技術が用いられているとして、心
近 年 イ ン タ ラ ク シ ョ ン デ ザ イ ン は、
庄野祐輔・塚田有那・岩城知子他編集
インタラクションデザイン
秀和システム
はコンピュータの概念を理論化し、コン
二四〇〇円
理学的背景との関係についても解説する。
プログラミング言語
新曜社
ピュータ科学の祖といわれるイギリスの
天才数学者。解読不能といわれたドイツ
の暗号システム﹁エニグマ﹂を攻略した
第4版
C++
ビャーネ・ストラウストラップ著
ことでも名高い。本書はそこに焦点を当
てつつ、チューリングの波瀾に満ちた生
イネージや舞台演出など、幅広く集めら
様々な手法やデバイスの登場により多様
涯を丁寧に描いた。下巻は今夏刊行予定。
れた国内外の作品約二〇〇例を紹介。そ
二七〇〇円
柴田望洋訳 の開発者自らが書
C++
く、 C++11
の 完 全 解 説 書。 C++
言語の
すべての言語機能と標準ライブラリコン
勁草書房
ポーネントを解説した、一〇〇〇ページ
る ツ ー ル を 表 示 し て い る 点 も 興 味 深 い。
インタビューも掲載している。
三〇〇〇円
ビー・エヌ・エヌ新社
ための必読書。翻訳は多数の名著を出版
八八〇〇円
している柴田望洋氏。
SBクリエイティブ
験者が、より優れたプログラマを目指す
を 越 す 大 作。 す で に C++
を仕事で使っ
ている方や他言語でのプログラミング経
コンピュータ
自 然 科 学
未来の奇妙な動物大図鑑
ズームイン、服 !
坂口恭平著
他人の内面というものを考えても、そ
起源と未来
生命創造
こうとしている。それは〝生命は創るこ
わたしたちはある究極の問題にたどりつ
生 物 学 の 黄 金 期 と い わ れ る 今 の 時 代、
アダム・ラザフォード著
ない。だが、その人が着ている服には明
れは想像でしかなく確かなことは分から
らかに生きざまがにじみ出ている。
登場人物は三十人。友人・知人からの
に坂口恭平が連載したコラム集である。
了し、虜にしてきた。ついに、今わたし
巧なものとして、多くの研究者たちを魅
生命は奇妙で不思議で、それでいて精
今からさかのぼる事、約四十六億年前。
情 報 を 元 に つ な が っ た 人 々 だ。 猟 師 や
たちはその生命を創ろうとしている。そ
とができるのか?〟
地球上には考えられないような姿・形の
の技術とアイデアには目を見張るものば
本書はファッション誌﹁POPEYE﹂
生き物が暮らしていた。そこから現在に
ギャラリスト、工務店社長など多彩な人
川崎悟司著
至るまで、生き物たちは様々な進化を遂
ちの未来の方向性を決めてしまうものな
かりだ。そして、その行為は、わたした
たちの着こなしが紹介される。
春時代の試行錯誤をクローズアップ。
内容も、登場人物たちの幼少時代や青
げて生き延びてきた。じゃあ、この先の
未来では一体どんな進化している
服の話ではないのに、彼らの服選びが
の?⋮⋮という夢にお答えしているのが
ひときわ愛おしく感じられるのが本書の
の物語を天地さかさまに書いているので
DNAの二重らせんにたとえ、この二つ
フィールドワークから出発した著者
で心地よい驚きを、ぜひ体験してほしい。
きるとは何か﹂にたどり着く。この愉快
読める本書。あなたは、過去と未来、ど
論の入門書である。前からも後ろからも
うな錯覚に陥るスリル満点の新しい生命
ある。まるで、SF小説を読んでいるよ
筆 者 は、 生 命 の 起 源 と 生 命 の 未 来 を、
のか。
ウジャ載っている。個人的にはアフロヘ
コノ本 ! 奇妙な姿の動物たちがウジャ
﹁服﹂に対する解像度を上げると、﹁生
魅力だ。
一三八〇円
アの鳥がなんとなくお気に入り。
宝島社
が、原点回帰ともいえる手法で﹁服﹂と
ちらから読みますか?
ディスカヴァー・トゥエンティワン
二〇〇〇円
いう暗号の解読に挑んだ。
一五〇〇円
﹁ 観 察 の 冒 険 ﹂ を 見 事 に 果 た し た、 生
きる勇気の出る一冊。
マガジンハウス
− 18 −
自然科学
看護師になる上で避けて通れないのが
者 の 今 ま で の 日 常 が 書 か れ た 本 書 だ が、
しかねない。そんな日々を生きてきた著
と、コミュニケーションにも障害をきた
ていたか、にも考えをめぐらせるとなる
く、接触する相手が数時間前に何を食べ
しなかった。自身が気をつけるだけでな
変な毎日を送っているとは今まで想像も
食物アレルギーをもつ人達がこんなに大
になるという事実は、かなりショックだ。
る人にとっては死をもたらしてしまう毒
小さな女の子の死が
ジョージィの物語
講談社
﹁話す力﹂の基本が習得できる。
返し声に出して読んでみよう。﹁聞く力﹂
する。自然に言えるようになるまで繰り
くかわされる英語表現を会話形式で紹介
現を診療科目ごとに解説し、病院内でよ
業務に必要な医療専門用語・基本医療表
チーム医療に携わる医療従事者が、医療
書
臨地実習。出会ったばかりの患者さんと
ユーモアを交えたありのままの文章には
学
向き合い、コミュニケーションをとった
悲壮感はなく、常に前向きで勇気づけら
医
り、その患者さんに合った方法で援助を
田中美穂/蜂ヶ崎令子著
看護学生のための実習前に読む本
行うことは難しく、簡単なことではない。
れる。食物アレルギーに対する正しい理
医療にもたらした大きな変化
ソレル・キング著
実は交通事故より
もずっと多いという医療事故。多くの人
にとって身近な事ではなく、普段それほ
ど関心はないかもしれない。しかし、そ
− 19 −
ニ四〇〇円
実習記録や勉強など、実習中にやるべき
ニ五〇〇円
解を広げていくことが大切だ。
国書刊行会
ことは山のようにある。実習前に緊張や
不安があるのは誰しもが体験することで
の悲劇は突然襲いかかる。著者ソレルの
あり、先生や実習先のベテランナースも
チーム医療のためのメディカル英語
場合もそうだった。世界トップクラスの
病院で治療を受け、退院間近だった一歳
みんな通ってきた道。そんな不安を少し
だ。これはその娘の死からソレルが辿っ
基本表現100
高木久代・小澤淑子編著
た深い苦悩と葛藤、そしてやがては医療
でも軽減する為に書かれたのが本書であ
矢田
公・西村
甲・小林由直著
来院する外国人患者の訴えを聞き、診
安全の為に立ち上がり再生してゆく姿を
一八〇〇円
半の娘の命が医療事故により奪われたの
察・診断・治療方法を英語で説明できる
自ら克明に描いた魂の記録である。母は
一五〇〇円
増えており、英語力、とりわけ英語によ
だろうか? 医療現場では外国人患者が
願う。
﹁病院関係者全員に何かを学んでほ
る。実習の極意を学び、
乗り切りましょう。
るコミュニケーション能力が﹁必要不可
しい﹂と。
英治出版
医学書院
お誕生日も命がけ
食物アレルギーと
生きる詩人の物語
欠﹂なスキルになってきている。本書は、
いつもなにげなく食べている物が、あ
サンドラ・ビーズリー著
医学書
美貌格差
社 会 科 学
トすべきか勉強すべきか﹂というテーマ
では機会費用や会計の概念や知識を駆使
し、与えられた条件に応じて学生がバイ
トか勉強のどちらを選択したほうがよい
のかを説明している。このように日常生
活がどれだけ経済学と密接につながって
開していく。経済学的思考は日常でも﹁使
門的知見を披露しながらわかりやすく展
いるのかを各テーマ、様々な経済学の専
だれでも美しい見た目でありたいと願
ダニエル・S・ハマーメッシュ著
う。アメリカでは服飾・美容の個人支出
岩波書店
アルバムのチカラ
二六〇〇円
だれの物かも不明である。本書は編集者
の表面には泥がつき、どこから来たのか、
東日本大震災後、津波に襲われた被災
藤本智士/文・浅田政志/写真
玄田有史著
東日本大震災を労働とい
う側面から研究した本。
の藤本智士と写真家の浅田政志が、泥だ
一五〇〇円
える﹂ことを訴えかけている。
日本経済新聞出版社
が国全体で年間四〇〇〇億ドルにのぼる。
本書では、美形とブサイクの経済格差と
いう興味深い問いが検証されている。
被災地東北は、農業や漁業に従事する
らけの写真を洗浄する人々の活動に二年
地には多くの写真が散らばっていた。そ
するにも美形はお得か、反対にブサイク
人の割合が高い地域で、津波や原発事故
危機と雇用
は法律で保護すべきなのか。あらゆる可
で多くの方が働く場を失った。あれから
美形は利益にどう影響するか、CEO
能性を加味した結果、生涯年収の差は実
間密着した取材を記録している。
がイケてるほうが業績は良いのか、借金
に 二 七 〇 〇 万 円 に も 及 ぶ こ と が わ か る。
四年経ったが、元の職や生活に戻ること
して、様々なデータを収集・解析し、次
市民や企業にアンケート調査を行ったり
学者である著者は、現地に足を運んだり、
の関わり合いがうかがえる貴重な一冊で
浄して持ち主を捜す、写真を通した人々
なく、写真のアルバムだった。写真を洗
で必死に探したのは、通帳でも紙幣でも
一六〇〇円
にまた大災害が起こるときに向けて、わ
赤々舎
ある。
れている。
たしたちは何を準備すべきか提言してく
多くを失った被災者が変わり果てた家
美形のお得度を労働経済学者が真面目に
ができない人がまだたくさんいる。経済
一八〇〇円
測った史上初の本。
東洋経済新報社
経済学的にありえない。
佐々木一寿著
著者は日常生活のよくある一場面を経
済学的に分析する。例えば﹁学生はバイ
− 20 −
社会科学
﹁プライバシーフリークの会﹂メンバー
鈴木正朝・高木浩光・山本一郎共著
通じる部分があり、なるほどと感心させ
ぎつける場面など、職場や日常生活にも
力は抵抗する。周囲を説得して実現にこ
に対して、まだピンときていない反対勢
で役員になれる環境、分野は絞りつつ世
センチにもなる恋コンバイブル。三十代
書フォーマットや女心を研究した厚さ一
テンツ作り、アイデアを磨き上げる企画
ニッポンの個人情報
によるプライバシーフリークカフェで行
一三〇〇円
百年以上
KADOKAWA
業には理由があることを痛感させられる。
界に打って出る戦略⋮⋮成長を続ける企
二〇〇〇円
られた。
朝日新聞出版
われた鼎談を書籍化したものである。著
者達はそれぞれ情報法の大学教授、サイ
バーセキュリティの専門家、ITコンサ
同時多発
続いている会社はどこが違うのか?
ルタントとして活躍中。9・
テロ以来、テロ対策として個人情報保護
非常に大きな影響を受けた。二百年以上
年 の 歴 史 が あ る 富 山 の 薬 売 り に 出 会 い、
著者は前職で富山に赴任した時、三百
田中真澄著
理解が十分に得られていない中で、企業
がいかにして事業を発展させてきたかの
ントツのトップである。富山の売薬にし
は日本だ。それも全体の半数以上で、ダ
続いている会社の数が世界で最も多い国
エゴも入り混じる。そのような個人情報
てきた。しかし、個人情報そのものへの
の普及と進化により、法制度が整えられ
の重要性が意識され、日本でもIT技術
﹁胸キュン﹂で100億円
上阪
徹著
恋愛ゲーム。ニッチな市場と思いきや、
秘訣が本書にはまとめられている。時代
一八〇〇円
をめぐる問題点を論じている。
業界トップの恋愛ゲーム専門会社ボル
の変化により経営が悪化することもあ
翔泳社
テージは年商百億円の一部上場企業。ユー
る。今まさに危機に出くわし、それを乗
致知出版社
冊だ。
一六〇〇円
例も紹介されていて、読み応えのある一
ろ、三井、住友、大丸松坂屋など、老舗
一九五八年に誕生したNASAは常に
ザー数は累計二六〇〇万。オタクに限ら
り越えようとしている地方の老舗の具体
NASA式最強組織の法則
時代の先端を駆け抜けてきた。予算とス
ず広く女性に支持されるクオリティの高
ロッド・パイル著
ケジュールという条件の中で、リスクを
い作品を、十年以上も出し続けている。
と完成度をもつ。映画製作に学んだコン
似できないほどの労力をかけたこだわり
ヒットを続けるしくみは、すぐには真
回避しながら次々にイノベーションを生
く解説してくれている。
未踏の領域を切り拓く斬新なアイデア
− 21 −
11
んできたその手法を、著者はわかりやす
社会科学
安然と日本人の自然観
草木成仏の思想
クラスのつくり方
勉強ができる !
記録された記憶
で初めて草木成仏思想について論じた天
はどのように展開されてきたのか。日本
いている自然観であるが、ではこの思想
に由来するものではなく日本仏教に根づ
想がある。それは日本古来のアニミズム
それは可能だからだ。その方法を語るの
境、子ども同士の関係などが整ってこそ、
授業指導はもとより生活習慣や教室環
的に、協同・探求のできる発展学習まで、
標と言える。というのも、基礎から段階
学力も伸びるクラスづくりは、最大の目
小学校の学級担任にとって、どの子の
大前暁政著
東洋文庫からひもとく世界の歴史
台密教の思想家・安念などに触れ、この
人 文 科 学
末木文美士著
東洋文庫は、三菱第三代社長の岩崎久
に今、最もふさわしい一人、大前先生に
仏教には﹁草木が成仏する﹂という思
彌によって設立された、東洋学の専門図
思想を紐解きながら、私たちの自然との
東洋文庫編
書館である。古今東西の日本・東洋に関
二二〇〇円
よる、現時点での集大成的な学級経営論。
東洋館出版社
向き合い方を問い直す一冊。
二〇〇〇円
ジェームズ・ファロン著
サイコパス・インサイド
イコパス特有の特徴がみつかったとした
労働と思想
サンガ
する書物を広くあまねく収集してきたそ
の成果を、フルカラーで美しく紹介する。
とかく西洋に偏りがちな我々の世界へ
市野川容考・渋谷
望編著
資本主義が根づいた現代では、労働が
のイメージを、無理なくやさしく東洋へ
押し拡げる、ダイジェストなのに美麗な、
生きる条件となっているが、それは本当
山川出版社
普通の人生を送っていた著者の脳を調
もし、自分の脳のスキャン画像に、サ
二〇〇〇円
ら⋮⋮。
大変興味深い本。
に絶対の条件なのだろうか。本書に挙げ
られる様々な思想家の﹁労働﹂について
ている事が発覚。自分はサイコパスなの
べてみると、何と連続殺人者のものと似
か。個人的経験と科学的分析を重ねてい
の論考は、そのような価値観から少し離
くことで、次第に明らかになっていく事
れてみるきっかけを与えてくれる。資本
主義社会に行き詰まりを感じる現代の
二八〇〇円
人々にとって、資本主義へのオルタナティ
金剛出版
実。一度読み始めると止まらない一冊。
三五〇〇円
ブを探すヒントとなるであろう一冊。
堀之内出版
− 22 −
人文科学
文学・文芸
かったことにも反省至極だった。アメリ
トーリーに入り込める。
が、この作品もまた何の違和感もなくス
諸々の事情で、鎌倉のお父さんとお母
カの方がこれだけ知っているのに⋮⋮。
さん︵人間︶のもとへやってきて、兄弟
平和な世界を作るためには、やはり犯
してしまった戦争について知ることはと
デブを捨てに
春風社
一五〇〇円
などもあり、本当に楽しい一冊。
人間界を観察、分析。猫の長歌やラップ
をずらしたり、連続させたりして楽しく
ら、同じエピソードをちょっとずつ時間
のように暮らす三猫それぞれの視点か
一六〇〇円
ても大切なことなのだと感じた。
現代思潮新社
星か獣になる季節
最果タヒ著
若手人気詩人の最果タヒさんの、初小
説。詩人さんだけあって、選ぶ言葉も文
現実社会のどこかで起こっていそうな
平山夢明著
は、最後まで救われないのだが、四編目
﹁ド底辺﹂の短編四本。三つめの短編まで
主人公とデブに降りかかる試練、登場人
物たちの、えげつない仕打ち、どこを読
んでもがっかり感満載。
しかし、﹁がんばれ ! きっと大丈夫﹂
と、読み進むうちに応援してしまう。
九二六円
元気のないときに読みたい一冊。
文藝春秋
− 23 −
章のリズムも独特な気がする。
主人公はアイドルおたく、かなり重た
あることと、あるかもしれないなぁこう
い事件とその後の話なのだが、横書きで
い う こ と も ⋮⋮ と い う か、 こ ん な こ と
表題作の﹁デブを捨てに﹂は、はしばし
紅蓮の街
アメリカ人でありながら、日本語で東
あってはならないんだけど⋮⋮という奇
に明るさや希望のかけらが感じ取れる。
フィスク・ブレット著
京大空襲の小説を書かれたフィスク・ブ
妙なリアリティのせいか、するすると読
一三〇〇円
姥 捨 て な ら ぬ デ ブ を 捨 て に 行 く 道 中、
レット氏。小説の中でも登場人物のやり
み進められる。
筑摩書房
今後の最果タヒさんに要注目だ。
と り が あ る が、 戦 勝 国 と 敗 戦 国 の 人 々、
それぞれの思いを埋めるには、お互いを
知ることしかないのだな、と深く考えさ
鎌倉三猫物語
せられた。私は被爆地出身なので、原爆
ソーントン不破直子著
のは漱石先生のおかげかは分からない
猫が喋ることになんの抵抗も持たない
については子どもの頃から教育を受けて
知ってはいても、ちゃんと学ぼうとしな
こ と は、︿ 東 京 大 空 襲 ﹀ と い う 出 来 事 は
きたが、東京でこれだけの被害があった
文学 ・ 文芸
文庫・新書
歌うダイアモンド
近年、日本での再評価が進んでいるア
ヘレン・マクロイ著
メリカの作家ヘレン・マクロイの短篇集。
SF、ミステリー、サスペンスと多彩な
作品を堪能できる。
第 二 次 世 界 大 戦 の 終 戦 直 後 か ら、
古田式・ワンランク上の
プロ野球観戦術
追われた主人公瓜生新兵衛は、病床にあ
る最愛の妻である篠から、故郷の散り椿
想いをよせ、新兵衛の友人でもあった采
を見に戻ってほしい、そして篠がかつて
プロ野球ファンがひいきチームの勝敗
古田敦也著
妻を看取った後、十八年ぶりに帰藩し
た新兵衛は甥の坂下藤吾とともに藩主代
女を助けてやってほしい、と頼まれる。
替わりに伴う対立に巻き込まれていくこ
に一喜一憂する季節がやってきた。勝敗
を見る目を養えば、もっとプロ野球観戦
だけでなく、もう一歩進んだ、深く野球
が楽しくなる。名捕手・古田敦也流観戦
一枚花びらが散っていく椿のことであ
まるごと落ちる普通の椿とは違い、一枚
タイトルにもある﹁散り椿﹂とは花が
ととなる。
解説を聞いて、なんとなく疑問に思って
る。本文中に﹁散る椿は、残る椿がある
球場で観戦する際、あるいはテレビの
術が、この本には詰まっている。
いたけど今更聞けない、そんな悩みはこ
と思えばこそ、見事に散っていけるもの
の本を読めば解決するだろう。
例えば、ピッチャーの投げ方の違いに
一九六〇年代にかけて執筆されたこれら
の収録作品は、当時のアメリカの世相︵栄
だ﹂という台詞があるが、この言葉に秘
を 愛 す る と は こ う い う こ と な の か、 と
められた二つの意味を知ったとき、ひと
はっとする思いだった。
よるメリット・デメリットはどのような
フォークボールはなぜ打てないのか。
光の五〇年代、朝鮮戦争からキューバ危
マー君やダルビッシュは何がすごいの
ことがあるのか。
し か し な が ら こ れ ら の 作 品 に 描 か れ た、
機ぐらいまで︶が色濃く反映されている。
異文化とのコミュニケーション、便利に
自分にとっても大切なものだ、と、嫉妬
愛 す る ひ と が 大 切 に し て い る も の は、
に身を焦がしながらもそう言い切った者
か?
選手と監督、二つの立場でプロ野球の
と、たとえ誤解をまねこうとも愛するひ
なった消費社会に生きること、といった
内容は、そのまま現代の我々にも通じる。
世界にいた著者が、ファンにもわかりや
角川文庫
震える時代小説だった。
六八〇円
それぞれの生き様に、思わずこころが
とを守り抜きたいと願った者。
すく解説してくれる。
七二〇円
葉室
麟著
上役の不正を訴え、藩を
散り椿
朝日新書
その特徴は特にSF 作品に顕著であ
り、五十年以上経っても我々は何も進化
一一六〇円
していないのではないか?と心を揺さぶ
られるのである。
創元推理文庫
− 24 −
文庫・新書
絶対に逃れることができない要素。この
に刊行された作品集の復刻版である。
ター、ペーター佐藤。本書は一九八七年
者 は 言 葉 で で き て い る ﹂ を 大 幅 加 筆 し、
本書は﹁週刊ポスト﹂の人気コラム﹁役
提示するのである。本書において澤田は、
とんど全ての可能性を、彼女は作品内で
女性が社会の中で身に纏う﹁外見﹂のほ
る自らの姿を、澤田は写真に収めていく。
メイクや衣装でありとあらゆる姿に変わ
ポ ー ト レ ー ト 作 品 を 制 作 し 続 け て い る。
中一貫して、自身を被写体としたセルフ
澤田知子である。澤田は、そのキャリア
表紙に使われた、子どもたちの笑顔のイ
と に、 改 め て 気 づ か さ れ る。 だ が 実 は、
と非常にマッチングするものだったこ
ていくプロセスにおける華やかな気分
八〇年代という、日本が消費社会化され
驚く。そして彼のそんな作風は、七〇∼
めてみると、その軽やかさ、鮮やかさに
レーションだが、改めて作品の数々を眺
スト等で広く知られる彼のイラスト
ミスタードーナッツのパッケージイラ
﹁外見﹂という問題をテーマに作品を制
書籍化したものである。
﹁外見﹂のいわば最も核となる部分にあ
ラストのような素朴な世界観が、意外に
作し続けている写真家が、本書の著者・
﹁役者のインタビューはしない﹂という
彼 の 本 質 で あ っ た の で は な い だ ろ う か。
術
ポリシーを持ち、日本映画界の裏方に取
たる、﹁顔﹂をテーマにしている。表情・
時代の寵児と謳われた彼の作品を、いま
芸
材を重ねてきた春日太一。そんな著者が
メイク・髪型等で何十通りにも変化する
ゆっくりと眺めることで、そんな風に思
役者は一日にしてならず
たったひとりの俳優とのインタビューを
夥しく並ぶ澤田の﹁顔﹂たち、それぞ
彼女の顔が、ひたすら羅列されていく。
れから私たちが読みとれるものは、きっ
玄光社
わされた。
− 25 −
春日太一著
華やかな世界に生きるまさにスター達
へのインタビュー。そこには想像してい
と﹁顔﹂ごとに異なっている。全て同じ
一八〇〇円
経て、そのポリシーを捨てることになる。
た華やかさよりも、職人気質な戦う男た
﹁ 顔 ﹂ と は、 私 た ち に と っ て 一 体 何 な
澤田の﹁顔﹂であるはずなのに。
のか。ページを捲るごとに、澤田の問い
三國連太郎とのたった六分間のインタ
ちの魂の言葉があった。
ビュー。その間に交わされた言葉に、魂
五〇〇〇円
一九九四年に亡くなったイラストレー
ポートフォリオ ペーター佐藤作品集
青幻舎
かけが聞こえてくるように思う。
一五○○円
がふるえた。
小学館
FACIAL SIGNATURE
澤田知子著
﹁外見﹂。人間である以上、
芸術
お茶の味
渡辺
都著
享保二年、京都の町なかで一保堂茶舗
海上自衛隊の
極旨カレー・レシピのひみつ
て在り続け、現在は宇治製法で作られた
級レシピが放送され話題となり、毎年開
いだろう。某料理番組ではその最高機密
品だという評判を耳にした人は少なくな
ここ数年で、海上自衛隊のカレーが絶
PHP研究所編・海上自衛隊協力
お茶を中心に取り扱っている。本書はそ
催される﹁護衛艦カレーナンバーワング
実
用
書
地図・旅行書
御朱印でめぐる全国の神社
んな一保堂に嫁いだ渡辺都さんの、京都
ランプリ﹂では売り切れ続出の大盛況と
は創業された。以来日本茶の専門店とし
開運さんぽ
新聞と雑誌﹁考える人﹂での連載を纏め
﹁地球の歩き方﹂編集室著
て女性を中心に注目されているのが、御
なっている。そんな楽しみ方の一つとし
ど、別の楽しみを兼ねて訪れる方が多く
るまでに至るのに、私達がそれらに対し
統を築き上げ、今では日本文化を代表す
う記録が残されている。それから長い伝
で遡り、遣唐使が帰国時に輸入したとい
言ではない。毎週金曜日は﹁カレーの日﹂
る。唯一の楽しみが食事だと言っても過
ない世界でプライベートも制限されてい
員は日々休みなく働き、携帯電波も届か
けて丁寧に作る﹂これに尽きる。艦艇乗
そ の 美 味 し さ の 秘 訣 は、
﹁手間ひまか
なっている海自カレー。
朱印集めである。
て持つ知識は案外乏しいようにも思え
となっているが、専門の料理指導を受け
日本茶の始まりは古く平安時代初期ま
たエッセイ集。
近頃、寺社に参拝するだけでなく、仏
御朱印とはもともとお経を収めた証に
る。著者の実経験が伴うお話の数々だけ
た調理員︵給養員︶が毎食工夫を凝らし
像鑑賞や開運のパワースポットとしてな
寺院で頂いていたもので、今では神社で
でなく、茶の道を理解するための入門書
新茶の収穫期と言われる八十八夜が近
としてもお読み頂けるだろう。
付く今日この頃。著者の上品な語り口と
腕を競い合っている。今回はその中でも
も参拝によって神様とのご縁が結ばれた
本書では御朱印、神社の基本から、見
塩川いづみさんの粋なイラストを愉しみ
証として頂けるようになった。
る だ け で も 楽 し め る 御 朱 印 ギ ャ ラ リ ー、
ながら、今年の﹁お茶の味﹂を心待ちに
ているおかげで、同じカレーは一度も出
御 利 益 別 に ま と め ら れ た 神 社 ガ イ ド に、
PHP研究所
一四〇〇円
カレーをワンランクアップさせてみては。
載。お気に入りのレシピを見つけて、自宅
各艦船や基地の調理員たちは、互いに
てこない。
モデルコースなどが紹介されている。こ
お勧めの五十一種類のカレーレシピを掲
一四〇〇円
してはいかがだろうか。
新潮社
れから御朱印集めを始めてみたいという
一三〇〇円
方にも分かりやすく、開運のガイド本と
して楽しめる一冊。
ダイヤモンド・ビッグ社
− 26 −
実用書/地図・旅行書
語学・辞典
ボトムアップ式
映画英語のリスニング
恋するブルックリン
ズとして自然な英語の音変化、そして発
らいの分量でまとめている。東欧の文化
二二〇〇円
と言語に興味がある方にはお勧めである。
日本語のしくみ ︿新版﹀
現代書館
信練習ができるようになっている。
ネイティブがナチュラルスピードで会
話しているため、はじめは難しいが、音
のポイントでしっかりと音変化を理解し
﹁ 言 葉 の し く み ﹂ シ リ ー ズ は、 文 法 解
山田敏弘著
説よりも、その言葉の持つ特徴や面白さ
ていけば、字幕なしで英語が聴き取れる
一八〇〇円
耳になれるだろう。
は日本語編である。日本語なんて使いこ
に焦点を当てた入門書のシリーズ。本書
なせていると思っていても、いざとなる
DHC
チェコ語の隙間
森田勝之編著
﹁ボトムアップ式映画英語のリスニン
えば﹁木の下で﹂と﹁木の下に﹂の違い
取れないと感じてしまう。音変化には一
うに聞こえるために、英語が速くて聞き
今まで習った教科書的な英語とは違うよ
な 音 変 化 が 起 こ っ て い る。 そ の 変 化 が、
会話のやりとりが多く、その中では様々
生が減点されないようにコセコセとした
に対するモチベーションは高く、他の学
ブルガリア語を選考したK君の話。学習
る。ブルガリアには美人が多いと聞いて
めた味わい深い語学エッセイとなってい
リア語などにまつわる、著者の経験を絡
大半がポーランド、クロアチア、ブルガ
できる日本語から始めてみてはいかがだ
からこそ﹁楽しみ﹂にすぐ触れることの
から?﹂というあなた、最も身近である
と が あ る。﹁ 語 学 を 始 め て み た い け ど 何
言語独特の言い回しや考え方に触れるこ
いるものだけに、新しい発見がある。
じない︶など。普段意識しないで使って
では﹁ン﹂の音が違う︵唇を閉じる、閉
うか? あるいは﹁サンタ﹂と﹁サンマ﹂
と色々なところでつまづいてしまう。例
をあなたは外国人の方に説明できるだろ
東欧のいろんなことばの話
黒田龍之助著
チ ェ コ 語 と あ る が、
チェコ語を中心とした、東欧の言語全般
グ﹂シリーズの第三弾。ボトムアップ式
細部の理解を積み上げてから全体の理解
についてのエッセイである。
定の規則性があるので、それを理解すれ
日本語で訳してくる中、彼は的確に短い
一六〇〇円
− 27 −
とは、細部の音の聴き取りに重点を置き、
をしていく方法である。
ばリスニング力をあげることができる。
表現でピタリと決めてくる。他にも映画
東欧というとスラブ語族というわけで、
各シーン末には、音のポイント︵強弱
ろうか。
映画の英語では、短くスピードの速い
のリズムパターン・弱く発音される語や
の事や街中で目に付くものなどについて、
白水社
語学を勉強する楽しみの一つに、その
音など︶があり、単語だけでの発音やイ
それぞれの言語の特徴を二∼三ページく
ントネーションとは異なる、会話フレー
語学・辞典
児
童
アレハンドロの大旅行
書
イノシシのアレハンドロの家族はとて
きたむらえり さく・え
もおしゃべり。でも、
アレハンドロだけは、
年ぶりに続編を堪能することができま
円、 文 庫 版 上 下 巻 各 六 五 〇 円 ︶ か ら 十
前作﹃風神秘抄﹄
︵徳間書店・二五〇〇
朝は、その影を絶とうと動き始めます。
小風さち文
夏目ちさ絵
こぶたのピクルスは学校へ行く前に忘
こぶたのピクルス
れ 物 が な い か、 し っ か り と 点 検 し ま す。
編入っています。最後のお話﹁ピクルス
一六〇〇円
した。
の海水パンツ﹂では、おしまいに海への
東京大空襲を忘れない
徳間書店
元気にでかけたピクルスでしたが、なぜ
か道で出会うのは忘れ物をした人ばか
り。みんなの忘れ物をかわりに届けてい
るうちに、ピクルスも何か忘れているよ
両親は心配になり、とうとう占い師に相
一本道を元気いっぱいにかけていくピク
かわいいこぶたのピクルスのお話が四
うな気がしてきました。
談します。
﹁ひとりであの丘の頂上まで行
ルスに夏の眩しさを感じました。
何 も 話 さ な い お と な し い 子 ど も で し た。
かせれば、話すようになるでしょう﹂と
一六〇〇円
の引き寄せる闇に呑まれそうになる頼朝
土地神の裁きを待つ身となります。自身
頼朝は、流刑地である伊豆の蛭が小島で
戦に破れ、味方と引き離された幼い源
一夜にして焼け野原となってしまった東
に、 新 た に 見 つ か っ た 戦 災 資 料 も 加 え、
の平和への祈りが込められた証言をもと
近くの命が奪われました。四名の生存者
が火の海となった東京大空襲では十万人
そして一九四五年三月十日、東京の下町
一 九 四 一 年 か ら 始 ま っ た 太 平 洋 戦 争。
瀧井宏臣著
は、不思議な存在感を持つ青年草十郎と
荻原規子作
あまねく神竜住まう国
福音館書店
言われた両親は、そうさせることにしま
した。アレハンドロが帰ってくるまでの
一三〇〇円
出来事が愉しく読める幼年童話です。
福音館書店
再会します。前作﹃風神秘抄﹄の主人公
一二〇〇円
京大空襲についてまとめられています。
講談社
でもある草十郎と妻の糸世、二人の抱え
る闇が自身と同じ根を持つと気づいた頼
− 28 −
児童書
達だった僕にとって、早く田舎を出ることを夢想してい
中学・高校丸刈りで女の子に持てず、ラジオだけが友
堀内
恭
洋楽︱︱特に英米ロックが百花繚乱の様相を呈してい
た日々。著者・オクダ少年はロックの虜になっていくが、
﹁田舎でロックンロール﹂
た 七 〇 年 代 に 中 学 か ら 高 校 時 代 を、 ラ ジ オ か ら 流 れ て
僕はポップスとロックの周辺をウロウロしていた。
く る ロ ッ ク ン ロ ー ル に 胸 踊 ら せ た 世 代︵ も う す ぐ 六 十
︶、しかも田舎で過ごしていた者にとって、本書は
− 29 −
才
そんな違いはあれど、田舎でロックンロールした︵成
長 し た ︶ 者 に と っ て、 窮 屈 な 学 校 生 活 や 校 則 か ら 解 放
し て く れ た の が、 ラ ジ オ か ら 流 れ る ロ ッ ク だ っ た と 断
ある友人にススメられた本書を、田舎の同級生にぜひ
前のない馬﹂
﹁ぼくとフリオと校庭で﹂等、ラジオのヒッ
ス ス メ た い。 そ し て 一 緒 に あ の 頃 の ロ ッ ク を 語 り 合 っ
言出来る。
僕もせっせと書きました。NHK﹁ヤング・ミュージッ
てみたい。
英朗著・一二〇〇円︶
*﹃田 舎 で ロ ッ ク ン ロ ー ル ﹄︵ K A D O K AW A・ 奥 田
︵五十七歳・フリー編集者︶
ク・ シ ョ ー﹂ で ロ ッ ク 映 像 初 体 験 ⋮⋮、 あ ゝ、 僕 も エ
時代。
い と 昼 食 代 を 貯 め て、L P を 買 い 何 十 回 も 聴 い た 学 生
P﹁ ア ビ ー・ ロ ー ド ﹂ 聴 い て た な ァ。 な け な し の 小 遣
僕 は ス テ レ オ 買 っ て も ら え ず、 セ コ い プ レ ー ヤ ー でL
七三年初夏にステレオを買ってもらう著者⋮⋮あゝ、
ルトン・ジョンにびっくりでした。
トチャートを十位から一位までノートに記す⋮⋮あゝ、
一九七二年、外国のポップスに夢中になる著者。﹁名
激しく共感できる、心をかき鳴らす快著だった。
!
!
A
A TT II O
ON
N
丸善
名古屋セントラルパーク店
丸善
八尾アリオ店
ジュンク堂書店
MARUZEN
三 宮 店
広 島 店
☎(052)971 1231 ☎(072)990 0291 ☎(078)392 1001 ☎(082)504 6210
〔営業時間〕10時∼ 21時
ジュンク堂書店
ロフト名古屋店
〔営業時間〕10時∼ 21時
〔営業時間〕10時∼ 21時
ジュンク堂書店
ジュンク堂書店
大阪本店
西 宮 店
〔営業時間〕10時∼ 22時
ジュンク堂書店
広島駅前店
☎(052)249 5592 ☎(06)4799 1090 ☎(0798)68 6300 ☎(082)568 3000
〔営業時間〕10時半∼ 20時 〔営業時間〕10時∼ 21時
ジュンク堂書店
ジュンク堂書店
名古屋店
難 波 店
〔営業時間〕10時∼ 21時
ジュンク堂書店
神戸住吉店
〔営業時間〕10時∼ 21時
ジュンク堂書店
松 山 店
☎(052)589 6321 ☎(06)4396 4771 ☎(078)854 5551 ☎(089)915 0075
〔営業時間〕10時∼ 21時
〔営業時間〕10時∼ 21時
〔営業時間〕10時∼ 21時
〔営業時間〕10時∼ 21時
MARUZEN
ジュンク堂書店
ジュンク堂書店
MARUZEN
四日市店
千日前店
芦 屋 店
博 多 店
☎(059)359 2340 ☎(06)6635 5330 ☎(0797)31 7440 ☎(092)413 5401
〔営業時間〕10時∼ 20時
ジュンク堂書店
滋賀草津店
〔営業時間〕10時∼ 21時
ジュンク堂書店
天満橋店
〔営業時間〕10時∼ 20時
ジュンク堂書店
三宮駅前店
〔営業時間〕10時∼ 21時
ジュンク堂書店
福 岡 店
☎(077)569 5553 ☎(06)6920 3730 ☎(078)252 0777 ☎(092)738 3322
〔営業時間〕10時∼ 22時
〔営業時間〕10時∼ 21時
ジュンク堂書店
ジュンク堂書店
京 都 店
上本町店
〔営業時間〕10時∼ 21時
〔営業時間〕10時∼ 21時
ジュンク堂書店
ジュンク堂書店
姫 路 店
大 分 店
☎(075)252 0101 ☎(06)6771 1005 ☎(079)221 8280 ☎(097)536 8181
〔営業時間〕10時∼ 21時
ジュンク堂書店
京都朝日会館店
〔営業時間〕10時∼ 20時
ジュンク堂書店
梅田ヒルトンプラザ店
〔営業時間〕10時∼ 21時
〔営業時間〕10時∼ 20時
ジュンク堂書店
MARUZEN
舞 子 店
天文館店
☎(075)253 6460 ☎(06)6343 8444 ☎(078)787 1250 ☎(099)239 1221
〔営業時間〕10時∼ 20時
MARUZEN &ジュンク堂書店
梅 田 店
〔営業時間〕11時∼ 22時
ジュンク堂書店
〔営業時間〕10時∼ 21時
ジュンク堂書店
近鉄あべのハルカス店
神戸さんちか店
〔営業時間〕10時∼ 20時半
ジュンク堂書店
鹿児島店
☎(06)6292 7383 ☎(06)6626 2151 ☎(078)335 2877 ☎(099)216 8838
〔営業時間〕10時∼ 22時
丸善
関西国際空港店
〔営業時間〕10時∼ 20時
ジュンク堂書店
〔営業時間〕10時∼ 20時
丸善
高 槻 店
岡山シンフォニービル店
〔営業時間〕10時∼ 20時
ジュンク堂書店
那 覇 店
☎(072)456 6486 ☎(072)686 5300 ☎(086)233 4640 ☎(098)860 7175
〔営業時間〕7時∼ 21時半 〔営業時間〕10時∼ 22時
〔営業時間〕10時∼ 20時
− 30 −
〔営業時間〕10時∼ 22時
II N
N FF O
O RR M
M
MARUZEN &ジュンク堂書店
札 幌 店
丸善
丸善
ジュンク堂書店
日本橋店
水戸京成店
吉祥寺店
☎(011)223 1911 ☎(029)302 5071 ☎(03)6214 2001 ☎(0422)28 5333
〔営業時間〕10時∼ 21時
MARUZEN
〔営業時間〕10時∼ 21時
〔営業時間〕9時半∼ 20時半 〔営業時間〕10時∼ 21時
丸善
札幌北一条店
丸善
そごう川口店
丸善
お茶の水店
ラゾーナ川崎店
☎(011)232 0222 ☎(048)259 5258 ☎(03)3295 5581 ☎(044)520 1869
〔営業時間〕10時∼ 21時
ジュンク堂書店
〔営業時間〕10時∼ 20時
MARUZEN
旭 川 店
丸広百貨店飯能店
〔営業時間〕
〔営業時間〕10時∼ 22時
月∼金10時∼ 20時半
土10時∼ 20時
丸善
日・祝10時∼ 19時
横浜ポルタ店
☎(0166)26 1120 ☎(042)973 1111
〔営業時間〕10時∼ 19時半 〔営業時間〕10時∼ 19時
ジュンク堂書店
多摩センター店
☎(042)355 3220
ジュンク堂書店
弘前中三店
大宮髙島屋店
〔営業時間〕10時半∼ 21時
☎(0172)34 3131 ☎(048)640 3111
〔営業時間〕午前10時∼
午後7時
〔営業時間〕10時∼ 21時
アークヒルズ店
☎(03)3589 1772
津田沼店
盛 岡 店
☎(019)601 6161 ☎(047)470 8311
〔営業時間〕10時∼ 21時
〔営業時間〕10時∼ 19時
日・祝10時∼ 18時
〔営業時間〕10時∼ 21時
丸善
有明ワンザ店
舞浜イクスピアリ店
仙台アエル店
☎(022)264 0151 ☎(047)305 5808
☎(03)5530 5701
〔営業時間〕10時∼ 19時半
〔営業時間〕10時∼ 21時 〔営業時間〕11時∼ 21時、
日・祝10時∼ 20時 土・日・祝10時∼ 21時
松戸伊勢丹店
仙台 TR 店
メトロ・エム後楽園店
☎(03)5684 5130
〔営業時間〕10時∼ 21時
☎(022)265 5656 ☎(047)308 5111
〔営業時間〕10時∼ 21時
〔営業時間〕10時∼ 21時
池袋本店
渋 谷 店
秋 田 店
☎(018)884 1370 ☎(03)5456 2111
〔営業時間〕10時∼ 20時
☎(03)5956 6111
ジュンク堂書店
新 潟 店
☎(025)374 4411
ジュンク堂書店
岡島甲府店
☎(055)231 0606
MARUZEN
松本店
☎(0263)31 8171
MARUZEN &ジュンク堂書店
新静岡店
〔営業時間〕
月∼土10時∼ 23時 ☎
(054)275 2777
日・祝10時∼ 22時 〔営業時間〕10時∼ 21時
丸善
ジュンク堂書店
郡 山 店
〔営業時間〕10時∼ 21時
〔営業時間〕10時∼ 21時
〔営業時間〕10時∼ 20時
ジュンク堂書店
MARUZEN &ジュンク堂書店
ジュンク堂書店
藤 沢 店
〔営業時間〕10時∼ 19時
丸善
ジュンク堂書店
ジュンク堂書店
ジュンク堂書店
〔営業時間〕10時∼ 21時
丸善
丸善
〔営業時間〕10時∼ 22時
☎(0466)52 1211
丸善
丸善
ジュンク堂書店
☎(045)453 6811
MARUZEN
ジュンク堂書店
プレスセンター店
丸の内本店
MARUZEN
名古屋栄店
☎(024)927 0440 ☎(03)5288 8881 ☎(03)3502 2600 ☎(052)261 2251
〔営業時間〕10時∼ 19時
〔営業時間〕9時∼ 21時
〔営業時間〕10時∼ 20時
営業時間は変更する場合がございます。ご了承ください。
定休日については、お手数をおかけしますが弊社 HP または直接各店までお問い合わせ下さい。
− 31 −
〔営業時間〕10時∼ 19時
│
五九五六 六一〇〇
丸善ジュンク堂書店特急便係
東京都豊島区南池袋二 一五 五
〇三
五九五六 六一二〇
〇三
http://www.junkudo.co.jp/
QR コード
い つ も﹁ 書 標 ﹂ を ご 愛 読 い た だ き ま し て
以下の通りです。
ありがとうございます。本誌定期購読料は
本にまつわるエッセイ、など本に関するもの。最近読んでおも
☆読者の皆様の投稿を募集しています。最近読まれた本の感想文、
定期購読料
年間一二三〇円︵送料込︶
現金書留もしくは八十二円切手十五枚で
│
お申し込み先
しろかった本、感動した本、考えさせられた本を教えて下さい。
四〇〇字∼六〇〇字程度で、おすすめの本のタイトル、出版社、
掲載分には二千円の図書カードを差し上げます。なお、原稿はお
〒
1710022
住所、氏名、年齢、職業を明記の上、お送り下さい。
六一一一
│
編集後記
│
返しいたしませんのでご了承下さい。
東京都豊島区南池袋二 一五 五
五九五六
FAX TEL
☆尚、本誌掲載と同時に、ホームページにも掲載させていただきます。
〒
〇三
丸善ジュンク堂書店﹁書標﹂編集室係
│
TEL
│
│
咲いているだろうか。毎年め
ぐりくる別れと始まりの季節
である。別れといっても、今
は昔ほどきっぱり離れてしま
うわけではないが、感傷的に
なることには変わりない。新
︵緒︶
しい出会いがある喜びを大切
にしたい。
− 32 −
│
│
│
春、四月。桜は入学式まで
PC ・スマートフォンから
ᛩ
Ⓜ
൐
㓸
1710022
﹁鯉の季節﹂
四月からの新生活で新しい土地でこの
﹁書標﹂を手にとっておられるお客様も
い ら っ し ゃ る か と 思 い ま す。 前 号 よ り
ジュンク堂書店だけでなく、丸善書店で
も配布が始まり、よりお手にとって頂き
やすくなりました。新たな、そして引き
続きのご愛顧をお願い致します。
さて、かくいう私も広島での生活が一
周年を迎えました。昨年の四月は慌ただ
しさの中で過ぎてしまい、あまり周りが
見えていなかったのですが、今年は少し
余裕を持って見渡すことができます。
そうやって見渡してみますと、この時
期の広島はとにかく﹁赤い﹂んです。百
応援歌がかかり、子どもはそれを口ずさ
る、そんな感じです。街中ではカープの
応援するために街ごと﹁赤く﹂なってい
プ﹂のチームカラーであり、地元球団を
ちろんこの赤は地元球団﹁広島東洋カー
商 店 街 へ 出 か け て も、﹁ 赤 ﹂ だ ら け。 も
貨 店 へ 行 っ て も、 ス ー パ ー へ 行 っ て も、
カープをこよなく愛し、応援し続けるカー
もなっている﹁広島東洋カープ﹂とその
﹁カープ女子﹂など、全国的にも流行に
ています。
予定で、まさに﹁カープワールド﹂となっ
ンに向けてユニホームの展示なども行う
拍車がかかり、さらにこれからのシーズ
赤いPOP、赤いポスターと、派手さに
が多く、それでなくても派手なところに
するとき 優
= 勝が見られるのか? 今か
ら期待が高まります。もちろん、その流
み歩いている、広島のカープファンへの
れに乗って我がカープコーナーも売上
﹁英才教育﹂は誠にいたれりつくせりだ
フェア﹂を開催しています。百貨店とい
増 ! となればこんなにありがたい話はあ
プファン。今年はその熱気が最高潮に達
うことで、普段なら落ち着いたレイアウ
そんな中、もちろん当店でも﹁カープ
ト を 心 が け る よ う に し て い る の で す が、
りません。がんばれ ! 広島東洋カープ !
なぁ、と感動すら覚えます。
ことカープ関連となると状況は一変しま
653- 1600013 0008
︵○
新︶
⋮⋮ ま、 私 は ○ 神 フ ァ ン な ん で す け
どね。
す。﹁ ち ょ っ と 派 手 す ぎ か?﹂ と 思 っ た
レイアウトですら百貨店担当者の方が
もともとカープ関連本は赤い装丁のもの
﹁ も っ と 派 手 で い い で す よ ! ﹂ と 仰 る。
二〇一五年四月五日発行
﹁書 標
第 号
ほんのしるべ﹂
頒価五十円︵本体四十六円︶
編集・発行人
工
藤
恭
孝
発 行 所
㈱丸善ジュンク堂書店 〒 東京都新宿区三栄町二十九 ニューフィールドビルディング
印 刷 所
㈱七
旺
社
〒 神戸市長田区一番町二丁目一
437