水素エネルギー社会 に向けた 潮流変化を捉えて

人とくるまのテクノロジー展2015
講演資料
水素エネルギー社会
に向けた
潮流変化を捉えて
2015年5月20日
Contents
Page
1. 水素エネルギー利用拡大に向けた現状と課題
•
水素エネルギー利用拡大の意義
•
各国での取り組み状況
•
課題はコスト
2. 課題への対応の方向性
•
コスト低減に向けた視点と事例
•
参考;Power to Gas / 定置型燃料電池スタディ
•
まとめ
3
17
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20150520_自動車技術講演会資料_final.pptx
2
1.
水素エネルギー利用拡
大に向けた現状と課題
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3
水素エネルギーの活用拡大は、我が国にとって大きな意義を有する
水素エネルギー活用拡大の意義
エネルギーセキュリティの確保
環境問題への対策
> 我が国のエネルギー自給率は先進国で最低
水準であり、原子力についても震災以後の
推進が困難に
> 多様なエネルギー源から製造可能で、地政
学的リスクの低い水素が現状打破の鍵に
> 日本政府は、2020年迄に25%、2050年迄に
80%のCO2を削減する方針
> 利用段階でCO2を排出しない水素活用により、
環境負荷低減、CO2フリーの実現が図れる
水素社会
の実現
> 燃料電池は、化学エネルギーを直接電気に
変換
> 燃料電池分野の特許出願数は世界1位で、
2位の5倍以上と、高い競争力を持つ分野
> 燃料電池の活用により、従来の発電形式
よりもロスの無い、高エネルギー効率を
実現可能
> 水素社会の推進により、莫大な市場ポテン
シャルの実現とその中での高い競争力獲得
が期待
省エネルギーの実現
Source: 経済産業省、各種雑誌・記事
新規市場創出・産業競争力強化
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4
この実現に向けて、事業者・政府・自治体がさまざまな取り組みを展開
してきた
国内におけるこれまでの取り組み
水素事業者
政府・自治体
FCV事業者
インフラ事業者
政府による普及支援
研究開発
> 水素の位置づけの明確化
> 90年代から開発開始
> 近年は、共同開発が進む
– 水素を将来の2次エネルギーの中核とし
て位置づけ
– トヨタ+BMV、日産+Daimer+Ford、ホンダ
+GM
> 技術開発
– 燃料電池やFCVに関する研究開発や実
証を実施
> 導入支援
– 水素STの設置費用の補助
> 規制見直し
– ガス保安法、消防法、建築基準法などを
見直し
> 国際標準化
自治体による普及支援
> 自治体独自の補助金や実証を実施
Source: 経済産業省、NEDO、各種雑誌・記事
コミットメント
> 水素関連の主要13社(OEMメーカー、石油やガス事業者)による共同声明
– 2015年からのFCVの国内市場への導入と、水素インフラの4大都市圏への先行整備
水素STの設置
販売
> 本格的な設置開始
> 販売開始
– JXや岩谷産業などが積極的に設置
低廉な水素の供給
– 2014年12月にトヨタが「MIRAI」の販売
を開始
> ロードマップを5年前倒し
– 2014年11月、岩谷産業はFCV用水素
を1100円/kg(HVの燃料代並み)で販
売開始
– JXも1000円/kgで追随
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5
政府・自治体は、補助制度による普及促進に、ともに積極的
水素ステーション・FCV普及の為の補助金制度
水素ステーション向け
FCV向け
水素供給設備整備事業費補助金(国)
クリーンエネルギー自動車等導入補助金(国)
> 2015年中に、4大都市圏中心に100台の水素ステーション
設置が目標
> 新車販売に占める、FCVやEV・PHV等の次世代自動車の
割合を高めることが目標
> H27年度予算は110億円。供給設備整備費用やFCVの
需要喚起の為の活動費用を補助
> H26年度予算は100億円。車両毎に購入補助金額は異な
り、トヨタのMIRAIは最大202万円の補助金が助成
> ”日本全国で76箇所の水素ステーションの設置が決まっ
た”(安倍首相 2015年4月)
水素ステーション設備等導入促進事業(東京都)
燃料電池自動車・バス導入促進事業(東京都)
> 2020年迄に、東京都に35台の水素ステーション設置が
目標
> 2020年迄に、都内でFCVを6,000台、FCバスを50台以上
導入することが目標
> H26年度予算は21億円で、移動式・固定式問わず整備費
や運営費迄含めて補助
> FCバス含めて24億円の予算で、車両購入金額を国の
補助金交付額に応じて補助
"鶏と卵のジレンマ"を乗り越えるべく、東京五輪をひとつのマイルストーンとして、
積極的な資金助成を実施し普及を後押し
Source: 経済産業省、東京都環境局、各種雑誌・記事
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欧州では、H2Mobilityプロジェクトのもと、民間企業(自動車、インフラ)と
政府が一体となって水素ステーション整備を推進している
欧州における水素エネルギー利用拡大への取り組み
水素ステーション FCVの普及台数
の設置数[ヵ所]
[千台]
1,800
ドイツ
1,000
400
50
2009.9 開始
現在16ヵ所
(2014.10時点)
2015
5
2023
2030
2015
150
2020
2030
2015年中に50箇所の設置を予定して
いたが、2016年中に遅れる模様
イギリス
1,150
2012.1 開始
現在約10ヵ所
(2015.3時点)
330
300
65
2015
2020
2030
ごく
少数
2015
10
2020
主要参画企業・組織
「H2Mobility」プロジェクトでの取組み
FCV導入による経済・環境への影響
を算定しつつ、アクションプラン策定
を主導
• 水素燃料電池自動車(FCV)の導
入を詳細に検討し、その排出削減
におけるメリットを定量化
• 水素技術を商用化する上で必要
な投資(水素ステーション含む)を
評価する
• FCVの製造において世界のリー
ダー的プレーヤーとなるための要
件を特定し、それによる自国への
経済的な影響(雇用の創出、地域
経済の活性化など)を評価
2030
2012年7月にはスイス、2013年6月にはフランスで同様に「H2Mobility」プロジェクトが開始
Source: NEDO、各種雑誌・記事
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アメリカでは、公共交通機関を中心に燃料電池バスの積極導入を進
めている
アメリカにおける取り組み
現状
公共機関への導入で既に実用化
計画
政府・民間企業が揃って乗用車での実用化を図る
> 連邦政府は、2015年度も1億ドル近くの予算を水素関連の技術開発
や実証を手当て
> 連邦政府は、毎年1億ドル近くの予
算を水素関連に手当て
> カリフォルニア州の公共バス会社
Golden Gate Transit社が2013年4月に
燃料電池バス運航を開始
政府に
よる
取組み
– 2014年末時点で16台導入
> カリフォルニアやコネチカット、メリーランド、ニューヨークなどの7州
では、2025年までに合計330万台のZEV1)を目標に
– 現在、州内で10箇所の水素ス
テーションが稼働中(2015.05)
> 東部の州でも2箇所の水素ステー
ションが稼働中(2015.05)
> 加州政府は、水素ステーション支援計画として建設費を予算化
– 2,000万ドル/年を予定
– 2017年までには68ヶ所のステーションが整備予定
– 但し、資金援助は100ヶ所を超えた後は打ち切る見通し
> トヨタやホンダなどのOEMが水素ステーション建設費用への資金援
助を計画
民間に
よる
– トヨタは720万ドルを拠出
取組み
– ホンダは水素ステーションを設置している「FirstElement Fuel社」に、
1,380万USドルの支援を実施
官民
共同
> 官民パートナーシップ「H2USA」において、2015年までにロードマップ
を策定し、2020年までにステーション建設を予定
1) Zero Emission Vehicleの略称
Source:Alternative Fuel Data Center、NEDO
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一方、韓国は、2013年に世界初の量産体制を構築したものの、その後
不況に伴い、普及が停滞している状況
韓国における取り組み
これまで
政
府
・
自
治
体
> 知識経済部を中心に水素・燃料
電池プログラムを推進
> 2012年、政府が普及目標を策定
– 2015年にはFCV1万台、水素
ステーション43箇所
– 2020年にはFCV10万台、水素
ステーション168箇所
現在
> 普及目標を大幅に下方修正
– 2020年にはFCV1000台、水素
ステーション23箇所
– ”下方修正の背景には、不況
今後
> ” 今年の夏に、今後の普及目標
が策定されるらしい”
のなか、現代自動車だけが
研究開発をしているFCV技術
に多額の補助金を交付する
ことへの批判が存在”
> FCV関連予算も35億ウォンから
20億ウォンに減額
F
C
V
事
業
者
> 現代自動車が中心となって、本
格展開の準備が進む
> 2013年、現代自動車が世界初
のFCV「ツーシン」の量産体制を
構築
Source: NEDO、各種雑誌・記事
> 2015年現在、2年間の累計販売
台数は約200台に留まる
– MIRAI発売を受け、販売価格
を8500万ウォンへと4割以上
引き下げ
> 水素ステーションは13箇所整備
されたものの、2015年年初に使
用者の少なさから1箇所撤退し、
現在12箇所に留まる
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普及拡大に向けては、コストが課題。経済合理性を伴う自律的展開に
向けた工夫が不可欠
水素エネルギー普及拡大に向けての課題
A 水素ステーション設置・維持コスト
B FCV購入コスト
設置・維持に係る費用が極めて高額であり、
インフラ事業者にとっての魅力度が低い
補助金により一定程度の助成はあるものの、
大規模な普及が期待できる状況にはない
> 国内固有の要因もあり、ステーション建設
費は1基約5億円と極めて高額
> 補助金を加味しても、現存車両の価格は
1台400~500万円と高額
– 厳格な安全規制
– 設備仕様の標準化の遅れ
– クリーンエネルギー自動車等導入補助金
– 燃料電池自動車促進補助金
> また、エンド需要の主となるFCVの量産、
普及についてもリスクが存在
> インフラ整備状況が弱いこともあり、OEM
側の生産計画も保守的
> 結果、インフラ事業者側には運営コストを
含めた事業性成立の目処が立たない
– トヨタのMIRAIは現状1日3台の生産に留まる
> 結果、量産化・コスト低減の見通しが
立たず、普及へのハードルとなっている
補助金依存で、五輪後にしぼむような、一過性の取組みに終わらせてはならない
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A 水素ステーション設置・維持コスト
水素ステーション建設費は約5億円と高額。水素供給のコスト構造に
占める割合も高い
国内水素ステーション建設コスト及び水素供給のコスト構造
水素ステーション整備費 ['13、億円]
水素供給のコスト構造1)
ガソリンスタンドに比して1基あたり約6倍のコスト
設置後の水素供給においても、ステーションコスト
(整備費の減価償却含)の負担が大きい
x5.8
製造・輸送コスト:
約38%
4.6
1.4
圧縮機
0.5
0.3
0.6
蓄圧機
0.6
その他
1.2
工事費
プレクーラー
ディスペンサー
0.8
(参考)
ガソリンスタンド
水素ステーション
('13年度実績平均)
10%
19%
原料水素費
15%
製造・輸送
固定費
製造・輸送
変動費
ST
変動費
ST固定費
26%
(人件費・地代等)
ST整備費
4%
26%
ステーション
関連コスト:約62%
1) ステーションの稼働率を100%と仮定した際の数値
Source: 経済産業省、各種雑誌・記事、Roland Berger
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A 水素ステーション設置・維持コスト
厳しい規制や仕様標準化の遅れにより、欧州に比して構成機器費用
が高い
日本と欧州の構成機器単価の差分・要因
水素ステーション構成機器単価1) [億円]
コスト差異の要因
差額
3.4
規制
1.9億円
圧縮機
1.3
調達・仕様
> 安全性を重視し、使用鋼材や
設計の基準がドイツより厳格
– 配管等に用いる鋼材
– 配管等の厚みを規定する
設計基準 等
0.5億円
1.5
圧縮機
蓄圧器
0.8
プレクーラー
ディスペンサー
その他
(配管等)
0.6
0.4
欧州
蓄圧器
0.2億円
0.5
0.3億円
0.6
0.4億円
0.1
0.2
0.2
0.2
0.5億円
> 使用できる容器の基準が
ドイツよりも厳格
> 構成機器の
一括調達が困難
> 設備仕様の
標準化が限定的
> -
プレクーラー
> (圧縮機と同様)
ディスペンサー
日本
1) 水素供給能力を340Nm3/hにそろえた場合の試算。又、共に充塡圧力70MPaに対応した固定式の水素ステーションと仮定し算出。(設計費・工事費除く)
Source: NEDO、資源エネルギー庁、燃料電池実用化推進協議会
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12
A 水素ステーション設置・維持コスト
例えば、圧縮機・ディスペンサーでは、使用鋼材及び配管等の設計基
準がドイツよりも厳しい
圧縮機・ディスペンサーにかかる日本とドイツの規制1)差異
使用鋼材
(配管等の)設計基準
規格上、日本ではドイツに比して水素脆化に対する
耐性に優れた鋼材に限定
日本では、ドイツに比して配管の金属部分を厚肉と
すべきという規格が整備
> 日本ではステンレス鋼(SUS316L)のみが使用鋼材
として認められている状況
> 日本では、設計係数2)を4倍以上とする一方で、
ドイツでは2.4~3倍程度
> 一方で、ドイツでは上記に加え、ステンレス鋼より
も耐性が劣るクロム・モリブデン鋼の使用も可能
> (参考)ステンレス鋼(SUS316L)はクロムモリブデン鋼よりも
耐性は優れる一方で、配管等が厚肉化・大型化し
操作性、性能面で劣るケースも
> 設計係数が大きいほうが配管等が厚肉化し、耐久
性面で優れる
【配管の模式図(イメージ)】
金属部分
クロム・モリブデン鋼
(ドイツで使用可能)
ステンレス鋼
(日本仕様)
ドイツ仕様
日本仕様
1) 依拠している法律として、日本では高圧ガス保安法、ドイツでは機器・製品安全法。規制が関連する事項については以下同じ
2) 設計係数とは、ある機器などがは正常に作動しなくなる最小負荷と、予測される機器への最大負荷との比のことをいう
Source: NEDO、資源エネルギー庁、経済産業省、燃料電池実用化推進協議会
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13
A 水素ステーション設置・維持コスト
また、設備仕様が標準化されておらず、ステーション毎にカスタマイズ
された仕様になっていることも、設計費等が高い要因となっている
水素ステーションの設計仕様
日本
(参考)ドイツ
水素ステーションの設備仕様が標準化されておらず、
ステーション毎に異なる仕様を用いて開発
パッケージ製品の開発が行われてお
り、仕様標準化も図られている模様
補助金交付が決定した
水素ステーションの
仕様数
計17種類
日本国内における
ステーション数
ステーション数に
比して多い仕様数
約50箇所
【(参考)補助金が交付された水素ステーションの仕様】
充填方式
差圧充填
差圧充填
差圧充填
差圧充填
差圧充填
差圧充填
差圧充填
差圧充填
差圧充填
差圧充填
直充填
直充填
直充填
直充填
直充填
直充填
直充填
圧縮機
数量
1
1
1
1
1
1
1
1
1
2
2
2
2
2
2
2
2
吐出能力(kMa)
340
340
340
340
340
600
600
600
600
600
1200
1200
1200
1200
1200
1200
1200
蓄圧器
容器の種類 本数(低圧) 本数(高圧)
鋼製
3
鋼製
3
鋼製
3
鋼製
3
鋼製
3
複合
3
複合
3
複合
3
複合
3
複合
10
8
鋼製
5
3
鋼製
8
1
鋼製
8
1
複合
2
2
複合
2
2
複合
2
2
複合
2
2
Source: NEDO、資源エネルギー庁、燃料電池実用化推進協議会
> リンデ社やエアリキード社がパッケージ
製品を開発し、日本に輸出
> 「リンデ社が開発した水素充填パッケー
ジを尼崎水素ステーションに採用」
(岩谷産業)
※但し、現時点では開発
から間もなく、実験段階
であるため、多様な設
計が行われているとい
う要因も想定される
【リンデ社の水素充填パッケージ
(イメージ図)】
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14
B FCV購入コスト
また、FCVの車両価格は、補助金を加味した上でも相応に高い
FCV普及促進策
FCVの車両価格 [万円]
(参考)新車購入価格分布('95-'07)
100%
補助金制度による助成を受けてもなお、400万円以上と高額
(参考)
700-800
724
202
101
トヨタ MIRAI
販売価格
政府補助金
東京都補助金
Source: 日本自動車工業会、各種雑誌・記事、Roland Berger
421
実質価格
ホンダFCV
販売予定価格
~120万円 ~200万円
38%
~300万円 301万円~
’95
16%
’97
15%
’99
16%
42%
26%
16%
’01
17%
40%
28%
15%
34%
30%
33%
16%
18%
’03
22%
42%
24%
12%
’05
23%
41%
22%
14%
’07
18%
42%
26%
14%
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15
水素エネルギー利用拡大に向け、FCV普及と補助制度の見通し不透
明もあり、水素インフラの充実への課題が大きい
水素インフラ拡大に向けた課題
一部の大手企業を除いては参入に踏み切れて
おらず、水素インフラの裾野は広くない
> 現環境下、水素インフラ事業に参入しうるのは
企業体力がある大手企業のみ
– 非常に高額の初期投資・回収期間の長さ
– 補助金の減少・打止めによる回収不能リスク
– "いつ採算が取れるのか見えない状況に変わりは無
い。国を信じて飛び込むしかない" (ガス大手企業)
> より事業性が担保されない限り、多くの中小
企業の参入意向は低い
– "ステーションを設置しても1日に1台客が来るかどう
か。何年も休業状態だ"
– "どこまで赤字を覚悟できるか、飛び込む決心が
つかなかった"
(以上、中堅ガス事業者)
– "水素社会が出来上がってからでは遅いが、もう少し
考えたい"
(関連中堅企業幹部)
> インフラ事業の経済合理性の確保が不可欠
Source: 各種雑誌・記事
不安定なFCV普及への見通し
> 現状、OEMのFCV生産能力は低く、大幅な需要
拡大が無い限り事業規模は小さい
– トヨタのMIRAIは当面1日3台しか生産不可能
– 今後3年で4倍の能力増強を予定するも依然小規模
> 車両価格の高さや現状のコスト低減状況に
鑑みるに、今後の需要拡大も見込みにくい状況
補助金の減少・打ち止めリスク
> 現在国や自治体によって多数実施されている
補助金制度は、これ以上の拡大が厳しい状況
– "もうめいっぱいで、これ以上は厳しい"
(経産相担当者)
> また、普及実現までの長期に渡って助成が
継続するかという点でも懐疑的な見方が存在
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16
2.
課題への対応の方向性
20150520_自動車技術講演会資料_final.pptx
17
これらの課題解決のために、システム全体の経済合理性を実現する
ための取り組みが必要
課題解決の方向性
総費用の
削減
イニシャル
コストの
軽減・希釈
量産化を
見据えた
開発
稼働の
上昇・維持
ランニングコストの軽減
> 想定される収入に見合った投資額の設定
> 初期投資負担の削減のための、仕様統合等も含む企業間等でのR&Dの統合
> 既存技術の最大活用、等
> 量産化によるコスト低減を意識したアプローチ
– 量産化が目指せるプロダクトデザイン;地域展開でモデルのレプリケーションを見越
した小規模システム・機器の設計開発。モジュール化で大容量も対応可、等
– 企業間等でモデル統一し、生産量を増加、等
> 潜在需要計算の上、供給(設備能力)と需要のバランスを確保
– 小規模需要でも稼動率を高められる小容量の設備開発
– 固定的需要の確保(フリートユーザー、移動式、等)
– 用途の拡大(FC、FCV、水素タービン以外。燃料用途、他)
> 各個別コンポーネントの技術革新による効率向上
> 希少資源を用いない製品の開発(プラチナ)等
技術革新のみに依存せず、ビジネスモデル上の工夫で経済合理性を実現するかが重要
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国内外でコスト低減に向けた様々な取り組みが進められている
海外事例
コスト削減へ向けた各社の取り組み状況
FCV
水素インフラ
製造~輸送
イ
ニ
シ
ャ
ル
コ
ス
ト
の
軽
減
・
希
釈
2
高圧水素輸送車の実装
> Air Products
供給
ステーション共同開発・共同設置
> H2 Logic
> トヨタ/日産/ホンダ
> 豊田通商/岩谷産業/太陽日酸
> Linde/Sandia Lab
圧縮機の共同開発
> Linde/エーデック
共通部品を利用した新製品開発
> Ballard Power Systems
燃料電池の共同開発
> BMW/トヨタ
> GM/NREL
b
モジュール型水素ステーション設計
> HydrogenXT
ステーション標準モデルの構築
> H2FIRST
量産化部品や電池の
開発
> GM/ホンダ
c
パッケージ型ステーション開発
> 本田技研工業/岩谷産業
移動式ステーション開発
> 豊田通商/岩谷産業/太陽日酸
フリート需要の取込み
> Air Liquide
公共/社用FCV
> Golden Gate
> La Poste
> 日野/トヨタ
a
1
その他
総費用の
削減
量産化
を見据えた
開発
稼働の
上昇・維持
ランニング
コストの軽減
液化水素開発
> 岩谷産業
有機ハイドライド
> 千代田化工建設
ステーション用途拡大
> 千代田化工建設
> 東芝
低コスト充填方法の開発
> Linde/エーデック
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19
1a 総費用の削減(水素インフラ)
Air Productsは、高圧水素輸送車を実装することで、ステーション側での
水素圧縮を簡素化し、コスト低減に寄与
Air Productsの高圧水素輸送車実装
高圧水素輸送車の実装
期待される効果
自社ステーションに高圧水素を供給する
トレーラーを実装
オンサイトでの水素圧縮が簡素化され、関連設備
投資や費用の削減に資する
> Air Products社は、水素ステーションSmartfuelを
グローバルに展開
従来
> 2014年、イギリスにてSmartfuelへの水素輸送を
担う高圧水素チューブトレーラーを導入
– 欧州の燃料電池水素共同実施機構(FCH-JU)の支援
を受けた取組み
– 従来同社が採用していた車両に比してより高圧の
水素を運搬可能な点が特徴
20MPaで輸送
トレーラー
Source: Air Products社HP、各種雑誌・記事
Smartfuel hydrogen high
pressure tube trailer
水素ステーション
FCV
> 比較的低圧でステーションまで水素を運搬
> 充填時70Mpaまで昇圧する必要有り
35MPa以上で
高圧輸送
導入後
トレーラー
Smartfuel
70MPaに圧縮し
充填
70MPaに圧縮し
充填
水素ステーション
FCV
> 従来の2倍近い高圧水素の状態でステーションまで輸送
> FCVへの充填時昇圧も従来よりも簡素化され、関連設備
投資・費用の削減・省スペース・安全性向上といった利点
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20
1a 総費用の削減(水素インフラ)
デンマークにおいては、地場企業がジョイントベンチャーを形成し、
各社のアセットを活かすことで負担少なくステーション整備を推進
H2 Logic主導のジョイントベンチャー形成
各社概要
H2 Logic
OK
> 自社技術をベース
としたステーション
を設置
> デンマークの水素
ステーション製造企業
> 自社ステーション"H2
Station"を欧州に広く
展開、豊富な設置実績
を有する
> 1913年創業のエネル
ギー会社
> デンマーク国内に約670
箇所のガソリンスタンド
を展開
Strandmø > 老舗の産業ガス製造
企業
llen
> デンマークで唯一の
水素電解製造工場を
保有
Source: 各社HP、各種雑誌・記事
> 2015年、3社で設立したJV
> 2015年中に5基のステー
ション設置が目標
> 3社でアセットを活用し合い、
個々のコスト負担を軽減
Danish Hydrogen Fuel
(DHF)
> 保有地・インフラ
をステーション
用に提供
> 自社プラントより
水素をステー
ションに供給
20150520_自動車技術講演会資料_final.pptx
21
1a 総費用の削減(水素インフラ)
国内FCVメーカーも、共同でのステーション運営支援や特許の無償
開放により、インフラ事業者のコスト負担軽減や、開発費削減を期待
国内FCVメーカーのインフラ費用低減支援
ステーション整備への共同出資
トヨタによる特許の無償開放
トヨタ、日産、本田は水素スタンドの運営コスト
の一部を共同で負担する事を発表
トヨタは、FCV普及へ向け独自保有特許の実施権を無償で
提供
> 2015年、トヨタ、日産、ホンダが合同で、水素
ステーション普及への支援を表明
> トヨタは2015年1月に、自社が保有する燃料電池関連
特許、約5,680件の実施権無償提供を発表
> 具体的な対象企業や支援規模は未定だが、
施設運営コストの一部を3社で負担する等の
形を想定
> 燃料電池スタック(約1,970件)・高圧水素タンク(約290
件)・燃料電池システム制御(約3,350件)等の根幹特許
については、2020年末までの実施権が対象
> 本取組みを通じて、FCVを含めた水素社会
実現の加速を図る
> 水素ステーション関連特許(約70件)については、特に
早期普及を図る為、特許実施権を期間を限定すること
なく無償で提供
G
新規水素ステーション
Source: トヨタ自動車HP、各種雑誌・記事
20150520_自動車技術講演会資料_final.pptx
22
1a 総費用の削減(水素インフラ)
岩谷産業の子会社であるエーテックは、独Lindeと連携し、圧縮機の
輸送コスト削減を進めると共に、より低コストの圧縮法を共同開発
エーテックのLindeと連携したコスト削減の取組み
圧縮機の輸送コスト削減
低コスト圧縮法の共同開発
圧縮機の最終アセンブリを日本で行うことで、
輸送に係るコストを削減
液体水素を高圧化できる低コスト圧縮法(昇圧ポンプを使用)をLindeと
共同開発している
ドイツ
圧
縮
機
の
使
用
日本
主要パーツ
追加パーツ
Lindeの基幹部品
を輸入
エーテックが
日本仕様に調整
完成品
> 従来エーテックの圧縮機は、日本から部品
を独に輸出し、Lindeが組立てて日本に返送
> 基幹部品を独から輸入し日本で最終組立て
を行うことで輸送コストを削減
Source: 各社HP、各種雑誌・記事
昇
圧
ポ
ン
プ
の
使
用
液化水素
貯蔵タンク
圧縮機
蓄圧器
プレクーラー
冷凍機
ディスペンサー
液化水素
貯蔵タンク
昇圧ポンプ
気化器
蓄圧器
ディスペンサー
35Mpaのみ
昇圧ポンプの利用により、圧縮機とプレクーラーが不要となり、
エネルギーも少量で済むため、コスト削減に繋がる
20150520_自動車技術講演会資料_final.pptx
23
1a 総費用の削減(水素インフラ)
また、Lindeはアメリカの研究機関Sandia Labとも共同し、新コンセプトの
水素ステーションを開発中
LindeとSandia Labの水素ステーション共同開発
提携の概要
ドイツのリーディングプレイヤー
とアメリカの研究機関が共同
> 2014年末、独Lindeと米Sandia
Laboratoriesが共同開発契約
(CRADA)の締結を発表
> 低炭素社会に向けたエネル
ギー・技術開発が目的であり、
燃料電池はその一つの要素
> 現在は、水素ステーション普及
を図るプロジェクトを推進
– 水素ステーションの消防規則に
おける性能規定の適用
– 液体水素に関する消防規則の
最適化
水素ステーションの消防規則における性能規定の適用
従来の設計とは異なるアプローチで安全を確保
従来
(仕様設計)
取
組
み
の 本取組み
概 (性能設計)
要
G
材料や寸法等の
仕様を細かく規定
仕様に従い
ステーション設計
e,g, 離隔距離Xm以上
配管口径X㎜以上
求められる
性能を発揮
e,g, 延焼防止
多重防護
G
細かい仕様に拘らず、 性能を満たす範囲で
求める性能を規定
柔軟に設計
e,g, 延焼防止
多重防護
e,g, 延焼防止のため
に、従来の設備離
隔ではなく、防火
壁の設置で対応
当初規定した
性能を発揮
e,g, 延焼防止
多重防護
期 > より柔軟な開発による水素ステーション普及の加速化
待
– スペースに制約がある既存GSへの水素供給設備の設置が円滑に
効
– 都市部に適した小型ステーション等、より低コストのフォーマット
果
開発の可能性も
Source: Linde社HP、Sandia LabHP、各種雑誌・記事
20150520_自動車技術講演会資料_final.pptx
24
1a 総費用の削減(水素インフラ)
カナダのBallard社では、過去製品と共通の部品を用いて新製品を開発
することで、新規開発のコストを低減
Ballard Power Systemsの共通部品利用によるコスト低減
HD7におけるコスト低減の取組み
製品開発の変遷
燃料電池寿命 [hr]
製品
P5
(2003)
HD6
(2008)
HD6 V2
(2011)
HD7
(2014)
コスト削減率
(対前モデル)
> 過去製品との間で共通したセルプラットフォームを
利用、新規開発コストを低減
NA
4,000
10,000
部品共通化をはじめとした種々のコスト低減施策が
取り入れられたモデル
30%
> また、他にも製造プロセス改善や構造簡素化に
よるコスト削減を企図
– MEA(膜/電極接合体)製造プロセスを自動化
– 総パーツ数や、可動パーツの割合を減少
12,000
15-20%
>15,000
HD7 V2
(201X)
Source: Ballard社HP、各種雑誌・記事
> 結果、前モデルHD6に比べて30-40%もの大幅な
開発費用削減に成功
30-40%
HD7燃料電池モジュール
>18,000
??%
20150520_自動車技術講演会資料_final.pptx
25
1a 総費用の削減(FCV)
一方、 FCV側でも、GMとNRELの燃料電池共同開発など、開発費用低
減のための取り組みが行われている
GMの燃料電池研究開発の効率化
GMの燃料電池開発ロードマップ
NRELとの共同開発
2016年以降に向けた製造コスト削減が目標
燃料電池スタックのコスト削減を目標として、研究機関と
燃料電池の共同研究開発を実施
'00
燃料電池の負荷追従性の向上
'07
-25℃でのコールドスタート
高出力密度の達成
累積走行距離300マイル達成
'09
迅速な燃料チャージ(3分以内)
コスト削減ロードマップの作成
'10
研究室レベルでの耐久性向上
'16-
製造コスト低下・実地での耐久性向上
'18-
各地へのステーション配備
Source: GM社HP、NRELHP、各種雑誌・記事
> 2014年、GMはエネルギー省傘下の研究機関、NRELと
の共同研究開発提携を発表
– 複数年・数億円規模の契約
– GMは2013年にもホンダと燃料電池量産化を目指す為の
共同開発契約を締結
> 燃料電池スタックのコスト削減という目標を達成する
為、互いのアセットを積極的に活用
– NRELの研究施設をGMが利用
– スタッフの協働以外にも、ノウハウ・設備・素材など、多面的
なリソースの共有化を図る
20150520_自動車技術講演会資料_final.pptx
26
1a 総費用の削減
総費用削減に向け、開発リソースの企業間での共用、既存技術・製品
の活用が有効
サマリー;総費用の削減
総費用の
削減
イニシャル
コストの
軽減・希釈
量産化を
見据えた
開発
稼働の
上昇・維持
ランニングコストの軽減
事例
示唆
> 高圧水素輸送車によるステーション
圧縮コストの軽減(Air Products)
> ステーション関連機能の外出し・
簡素化もコスト削減の方向性の一つ
> 地場企業でのJV設立による共同
ステーション設置(H2 Logic 等)
> 産業普及の裾野を広げる上では、
初期投資負担軽減の為の協業も一案
> 低コスト圧縮法の共同開発
(エーテック・Linde)
> 新コンセプト水素ステーションの共同
開発(Linde・Sandia Lab)
> 燃料電池製造コスト低減の為の共同
開発(GM・NREL)
> 他のプレイヤー(官民問わず)との
協業・アセット活用によって、そもそも
の開発費低減が可能
> 共通部品利用による燃料電池開発
コスト低減(Ballard Power Systems)
> 新規開発の際に、既存技術・製品を
最大限活用し開発費を軽減
> FCVメーカーの共同ステーション設置・
関連特許開放(Toyota 等)
> インフラ普及の為には、FCVメーカー
の協力も不可欠
> また、特許開放等、産業全体の競争
力強化を見据えた取組みも重要
20150520_自動車技術講演会資料_final.pptx
27
1b 量産化を見据えた開発(水素インフラ)
米国ベンチャー企業HydrogenXTは、将来的な量産化を見据えた
モジュール型ステーションを開発している
量産化を見据えた水素ステーション開発
HydrogenXT社の概要
量産化を志向したステーション開発
水素ステーション販売・運営を目指す
テキサスのスタートアップ
小型で拡張性の高いモジュール型ステーションを開発
> 元BPのRobert Wiseが創業したスタート
アップ企業
> 将来的に、水素ステーションの運営・
販売を目指す
– 現状シリーズAファンディングを受けている
段階
> 目下、自社でのステーション・関連アプリ
開発を行っている状況
> 現状開発中のステーションはモジュール構造が特徴
> モジュール単位では小型のステーションだが、需要に応じ
たモジュール拡張・大型化が容易に可能
– 現状製品(単一モジュール)は、FCV約5台分の水素を貯蔵可能
な小型製品
– 需要増加に伴う容量拡大も、単純なモジュールの追加により
可能
> 小型製品の為そもそも開発・製造コストが安く、また量産
化によるコスト低減も期待
– 量産化を志向したステーション開発
– ステーションの利便性向上に繋がるアプリ
開発
Source: HydrogenXT社HP
20150520_自動車技術講演会資料_final.pptx
28
1b 量産化を見据えた開発(水素インフラ)
将来の水素需要拡大、それに伴うステーション大型化の必要性まで
織り込んだ上での設計思想を持っている
HydrogenXTの水素ステーション展開への考え方
A
高
– 立地制限の解消しやすさ
– 1基あたりの設置コストの安さ
B
現状
A
> 消費者の需要を広く"面"で
満たせる体制を確保
短期的
な絵姿
> 各ステーションの稼働担保策
として、アプリによる利便性
向上も同時に実施
低
少
ステーション設置数
Source: HydrogenXT社HP、Roland Berger
B
需要拡大に
併せた大型化
> 大型ステーションに比べて
> 中長期的に見ると、水素需要
展開が容易な小型モジュール の拡大に伴い大容量のステー
ステーションを多数設置
ションが求められると思料
中長期的
な絵姿
1
基
あ
た
り
キ
ャ
パ
シ
テ
ィ
小型ステーション
設置による"面取り"
> 予め需要増大を織り込んだ
モジュール設計により、環境
変化への対応を志向
– 既存ステーションを容易に大型
ステーションにリプレイス
– 新規設置ステーションについて
も大規模な開発投資は不要
(既存モジュールの延長線上)
多
20150520_自動車技術講演会資料_final.pptx
29
1b 量産化を見据えた開発(水素インフラ)
米国は、水素インフラの課題解決を目指す官民共同プロジェクト、
H2FIRSTを発足し、標準ステーションモデル構築に取り組んでいる
H2FIRSTの概要及び取組み
H2FIRSTの概要
水素ステーション普及を目指す官民プロジェクト
設立
設立母体
A
> 米エネルギー省が導入した官民パートナー
シップ、H2USAを支援する新規プロジェクトと
して発足
> 水素ステーションの建設コスト・時間の削減
> 水素ステーションの有用性・信頼性向上
予算
> 約4億円(2014年度)
> NRELとSandia Labがプロジェクトを指導
> その他、多数の民間企業とも提携し推進
ステーションの受容性向上・品質保証
> 商用ステーションの性能試験方法の確立・実施及び
性能試験に利用するハードウェア開発が目標
> 2014年
目的
参加企業・
団体
主要なプロジェクト
B
ステーション構成部品の改良
> 構成部品や充填技術の改良によるコスト削減・
ステーションの信頼性向上を図る
C
標準ステーションモデルの開発
> ステーション設計を見直し、業界基準となる標準
モデル構築を目指す
D
水素ステーション市場調査
> 水素ステーションにかかる環境変化や問題を把握し、
喫緊の課題・今後の課題解決に利用
E
コンタミネーション検知システムの開発
> FCVへの悪影響を防止する為、ステーションにインス
トール可能なコンタミ検知システム開発が目標
Source: H2FIRSTHP
20150520_自動車技術講演会資料_final.pptx
30
1b 量産化を見据えた開発(水素インフラ)
標準ステーションモデルは、既存ステーションを元にした候補モデルを、
経済性や技術的実現性に基づきスクリーニングし構築する
標準ステーションモデル開発プロジェクトの概要・アプローチ
プロジェクトの概要
> コストや出力、信頼性、設置
目 面積等の各要素が標準化され
的
たステーションのモデル構築
推
進
母
体
> H2FIRSTの当該プロジェクト
チームが主導
> 加えて、アルゴンヌ国立研究所
やエネルギー省、H2USAのス
テーション研究グループも
共同し推進
期
待
効
果
> 標準モデル構築による、信頼
性の向上やコストの最適化
> また、標準モデルを各社が利
用することによる、量産化効果
も期待
Source: H2FIRSTHP
アプローチ
パラメーターの
把握・整理
> 稼働率や容量等、ステーションを構成しうる基本
変数・その幅を現存モデルを元に整理
コストを含む指標
の紐付け
> 上記パラメーター毎に、コストや整備・メンテナンス
頻度等の関連指標を紐付け
ステーション
コンセプト考案
> 水素普及シナリオと照らし合わせて、ステーション
コンセプト案を10-15案導出
コンセプトの
スクリーニング
> 経済性や技術的ハードルといった観点から初期
コンセプトをスクリーニング
選定コンセプトの
最適化
> スクリーニング後残ったコンセプトモデルについて、
コスト削減余地等を議論し最終化
最終コンセプトの
レビュー
> 外部有識者・ステークホルダーを交えレビューし、
標準化モデルを規定(3-5モデルを想定)
20150520_自動車技術講演会資料_final.pptx
31
1b 量産化を見据えた開発
海外プレイヤーは量産化を強く意識し事業を推進。官民パートナー
シップなど国が主導する形も有効ではないか
サマリー;量産化を見据えた開発
総費用の
削減
イニシャル
コストの
軽減・希釈
事例
示唆
> 量産化を見据えたモジュール型
ステーションの開発(HydrogenXT)
> 初期コスト希釈の為に、量産化を見据
えた開発は不可欠
> 加えて、水素社会の進展等、時系列
的変化に対してモジュール化で対応
することも一案
> 標準モデル構築の為の官民共同
プロジェクト(H2FIRST)
> 仕様共通化を至上命題として、業界
全体で取り組んでいくことが重要
> その際、官民パートナーシップ等、
政府が音頭を取る形式もありうる
量産化を
見据えた
開発
稼働の
上昇・維持
ランニングコストの軽減
20150520_自動車技術講演会資料_final.pptx
32
1c 稼働の上昇・維持(水素インフラ)
需要規模が小さい環境下でも高い稼働を実現するため、本田技研と
岩谷産業は小容量型ステーションを開発
本田技研・岩谷産業のパッケージ型ステーション展開
パッケージ型ステーションの展開
期待される効果
本田技研工業と岩谷産業は従来より小型のパッケージ型
ステーションの実証試験を開始
稼働率上昇によるコスト希釈、設置
費用・土地代などの固定費削減が期待
> 2014年、本田技研と岩谷産業が、パッケージ化した小型ス
テーション、"スマート水素ステーション"の開発を発表
> 小サイズ設計により、高稼働を実現
しやすく、固定費が希釈しやすい
– 製造から貯蔵、充填までの機能がパッケージ化されたステーション
– 現状供給能力は低く、ガス欠支援等小規模での水素提供を想定
> 本田技研工業の製造技術を利用することで、設備の小型化
を実現「高圧水電解システム」製造技術を採用
– 密閉空間で水素を製造する"高圧水電解システム"を利用
– 発生する水素ガスは自ずと高圧化する為、圧縮機が不要に
> 今後のコスト目標を、大型商用ステーションの約1割、5,000万
円程度と据えている
Source: 各社HP、各種雑誌・記事
> また、そもそもの固定費自体も小サ
イズ設計により圧縮可能
く設置工事がより
スピーディ・簡素に行える
– 製造時、圧縮機が不要な為関連コスト
を削減可能
– また、小サイズの為、土地代も低減
– 加えて、短期間・簡易に設置が可能な
為、工期が短縮され設置費用も削減
20150520_自動車技術講演会資料_final.pptx
33
1c 稼働の上昇・維持(水素インフラ)
また、移動型ステーションにより広い範囲の需要を獲得し、稼働率の
向上を狙う取り組みも見られる
豊田通商/岩谷産業/太陽日酸の共同事業
移動式ステーション
導入にあたってのメリット
豊田通商/岩谷産業/太陽日酸は移動式ST運営を
目的とした合弁会社を設立
稼働率向上による固定費希釈、設置関連コストの
削減が期待
> 2015年2月に移動式水素ステーションを運営する
新会社「合同会社日本移動式水素ステーション
サービス」を設立
> 移動式ステーションの特徴である新規需要の能動
的獲得が可能な為、高稼働をキープしやすい
– 資本金は3000万円
– 豊田通商は事業運営管理、岩谷産業と太陽日酸は
水素供給設備の製造、水素供給、現場管理を行う
> 3月下旬をめどに東京都千代田区で商業用の移
動式ステーション日本第1号を開業し、更に都内で
1ヶ所、愛知県で2ヶ所を開設する予定
> また、定置式に比べ、設置面積が3割程度で済み、
建設工期も6割で済むため土地・設置コストが安い
> 加えて、現地での配管や施工コストが不要なため、
現段階で約4-5億円の設置コストを半分の約2億円
まで抑えることができる
– 100Nm3/h、70MPaのスペック
ハイドルシャトル
Source: 合同会社日本移動式水素ステーションサービス社HP、各種雑誌・記事
20150520_自動車技術講演会資料_final.pptx
34
1c 稼働の上昇・維持(水素インフラ)
Air Liquide社は物流拠点へのフォークリフト向けステーション設置により、
固定需要を効果的に獲得
Air Liquideの物流企業へのステーション設置
物流拠点へのステーション設置
期待される効果
FCフォークリフトを導入する企業の物流倉庫内に、
ステーションを設置
固定的需要が獲得可能であり、需要予測・
コスト希釈が容易
> Air Liquide社は、FM LogisticsやIKEA等、大規模物流
機能を持つ大手企業に水素ステーションを設置
> 拠点内の水素供給を一手に担うことで、固定
的な需要を獲得、高い稼働率を実現出来る
– 2014年、IKEAの南欧物流の中核を担う仏サン=カンタン=
ファラヴィエの拠点に設置
– 2015年、FM Logisticsの流通プラットフォーム内にステーショ
ンを設置
> 設置先企業で稼働している、10-20台のFCフォーク
リフトに水素を供給
> 高稼働の実現によって、水素ステーション設
置コストを希釈し、早期の投資回収が期待
> また、今後のFCフォークリフト増強に伴いより
そのスピードの加速化が見込まれる
> 両社とも、今後のFCフォークリフト数増加を表明して
おり、更なる稼働向上が見込まれる
Source: Air Liquide社HP、各種雑誌・記事
20150520_自動車技術講演会資料_final.pptx
35
1c 稼働の上昇・維持(FCV)
一方、米カリフォルニア州の取り組みでは、公共交通機関へのFCV導
入によりステーションの稼働率の安定を狙う
カリフォルニア州への燃料電池バスの導入
バスの導入
(参考)政府・民間による実用化への取組み
公共機関への導入で既に実用化
政府・民間企業が揃って乗用車での実用化を図る
> サンフランシスコ市北部の公共バス会社
Golden Gate Transit社が2013年4月に燃料電池
バス運航を開始(2014年末時点で16台導入)
> 州政府は、水素ステーション支援計画として建設費を予算化
– 2016年までは2,000万ドル/年、それ以降は最大2,000万ドル/
年を予定
政府に
– 2014年には25ヶ所以上、2017年には68ヶ所のステーション
よる
が整備予定
取組み
– 但し、資金援助は100ヶ所を超えた後は打ち切る見通し
> 現在、州内で10箇所の水素ステーションが稼
働中(2015.05)
> 導入理由として、環境への考慮の他に、
ディーゼルの燃料費削減も挙げられている
> 2025年までに150万台のZEV1)を目標
> トヨタやホンダなどのOEMが水素ステーション建設費用への
資金援助を計画
– 削減できる二酸化炭素は年間100トン/台
– また、水素バスに切り替えたことにより、
削減できるディーゼルの費用は年間
$37,000/台
民間に
よる
取組み
– トヨタは720万ドルを既に拠出
– ホンダは水素ステーションを設置している「FirstElement Fuel
社」に、1,380万USドルの支援を実施
1) Zero Emission Vehicleの略称
Source: 各種雑誌・記事
20150520_自動車技術講演会資料_final.pptx
36
1c 稼働の上昇・維持(FCV)
同様に、La PosteはFCEVを自社配達サービスに試験的に採用し、ス
テーションの稼働を確保
La PosteのFCEV導入
La PosteのFCEV郵便配達事業概要
La Posteのビジネスモデル
フランス郵政公社(La Poste)はFCEVによる郵便配達サービスを
に試験展開
> 2014年2月から試験サービス開始
太陽光発電
燃料電池電気自動車
水を電解し、水
素を製造
> 都市地域環境の改善と、水素自
動車ビジネスを市民、企業家、政
策立案者に促すことを目的
> 採用するFCEVは、フランス企業
Symbio Fcell社製で、価格は約500
万円
> 以前使用していたEVと比べ、航続
距離は2倍の100KM以上に向上
> 冬では燃料電池の熱を運転室暖
房として使用でき、EVでの効率低
下を避けられる
Source: La Poste社HP、各種雑誌・記事
G
水素充填・
充電に戻る
小型水素タンク
レンジ
エクステンダー
郵便物配達
> 低価格のFCEV(500万円程度)を使用し、コスト
を抑える
> 小規模な水素ステーションでコストを抑える
20150520_自動車技術講演会資料_final.pptx
37
1c 稼働の上昇・維持(FCV)
国内でも日野とトヨタがFCバスの実証実験を共同で実施し、豊田市の
ステーション稼働に貢献している
日野とトヨタによるFCバス
2015年1月から、豊田市内を走る路線バスで路線運行を開始
導
入
先
> 名鉄バストヨタ営業所が担当
> 「とよたおいでんバス」の豊田東環状線(豊田市~三河トヨタ駅前)で一日3往復
運行(月曜日を除く)
トヨタの燃料電池自動車「MIRAI」向けに開発したシステムを、日野ブルーリボンハ
イブリッドノンステップ路線バスに搭載
ス
ペ
ッ
ク
> 搭載したシステムは燃料電池技術とハイブリッド技術を融合させた、「トヨタ
フューエルセルシステム(TFCS)」
> 加えて、出力を高めるためにFCスタックやモーターなどを2個搭載したほか、高
圧水素タンクを8本搭載
燃料となる水素の充填は、とよたエコフルタウン水素ステーションを使用
ST
> 岩谷産業、東邦ガスが運営
> 一般車とFCバスの両方が利用可能
> 能力は35/70MPa、2,000Nm3/h
路線バスの営業運行による実証試験を通じて、FCバスの実用性や有効性を検証
Source: トヨタ自動車HP、東邦ガスHP、記事検索
20150520_自動車技術講演会資料_final.pptx
38
1c 稼働の上昇・維持(その他)
また、ステーション稼働を担保する上では、FCV以外の用途への活用
も一案
東芝の家庭用発電システム実証実験
実証実験イメージ
2015年4月に開設された岩谷産業の日本初のショールーム併設型水素
ステーションにおいて、東芝が開発した純水素型燃料電池システムを
導入、実証運用を開始
(参考)燃料電池システム開発仕様
イワタニ芝公園水素ステーション
燃料
水素供給
> 純水素
G
発電効率 > 50%超
電力供給
総合効率 > 95%
純水素型燃料
電池システム
水素ステーション
耐久性
> 8万時間
起動時間 > 1~2分
発電時に発生
する熱を供給
自立機能 > あり
MIRAIショールーム
(ステーションに併設)
発電用途への水素共有も担うことで、ステーションの稼働が向上し、コスト希釈に貢献
Source: 東芝HP、各種雑誌・記事
20150520_自動車技術講演会資料_final.pptx
39
1c 稼働の上昇・維持
稼働率向上の為には、固定的需要を獲得する仕組み作り以外にも、
そもそもの水素供給用途の拡大もありうる選択肢
サマリー;稼働の上昇・維持
総費用の
削減
イニシャル
コストの
軽減・希釈
量産化を
見据えた
開発
稼働の
上昇・維持
ランニングコストの軽減
事例
示唆
> 小規模需要をミートする小容量ステー
ションの開発(本田技研・岩谷産業)
> 小規模需要環境下でも稼働率を担保
する為には、小容量設備開発が有効
> 移動型水素ステーションの共同開発
(豊田通商・岩谷産業・太陽日酸)
> 需要密度が低い中、移動型ステーショ
ンによる能動的需要確保も一案
> 物流拠点へのステーション設置
(Air Liquide)
> 公共交通機関へのFCV導入
(Golden Gate Transit、日野・トヨタ)
> 自社サービスへのFCV導入
(La Poste)
> 物流拠点や公共交通機関など、安定
した稼働が見込める形式でのステー
ション設置により事業リスク軽減
> 既存車両のFCV化により、固定的需要
が獲得可能なステーション設置候補
地を新たに形成することも重要
> 家庭用発電システムのステーションへ
の併設(東芝)
> ステーション稼働を担保・向上する上
で、FCV以外の用途開発も肝要
20150520_自動車技術講演会資料_final.pptx
40
2
ランニングコストの軽減(水素インフラ)
岩谷産業は、液体水素を活用し輸送効率を高めることで、水素
ステーションへの輸送コスト軽減を進めている
岩谷産業の液体水素の導入と開発
岩谷産業は今後の水素の大量流通を見越し、従来の圧縮
水素に比べて最大12倍の量を運搬可能な、液化水素に注目
> 水素を気体の状態で大量輸送する為には、約20MPaの高い圧力に
耐えうる大型ボンベを束ねたトレーラーに水素ガスを加圧充填して
輸送する必要
> この場合、車両の大きさや重さから約3,000m3が一度の運搬の限界
量に
電解装置
> 液化水素で輸送すると、液化された水素を凝縮するため、飛躍的に
輸送効率が上昇し、輸送コスト低減につながりうる
今後高圧ポンプが
70MPaへ対応すれば、
更なるコスト削減が
実現可能
> 高圧ポンプはリンデと
の共同開発
> ポンプの利用により、
圧縮機とプレクーラー
が不要となる
H
液化水素
H
圧縮水素
Source: 岩谷産業HP
20150520_自動車技術講演会資料_final.pptx
41
2
ランニングコストの軽減(水素インフラ)
一方、千代田化工は有機ハイドライドを活用した常温・常圧での水素
大量輸送技術によって、輸送コストの軽減を図る
千代田化工建設の有機ハイドライドでの大規模水素輸送
千代田化工建設の取り組み
有機ハイドライド技術詳細
石油精製及び石油化学製品の製造時、副次的に
生産される水素を調達
> 中東産油国では、石油精製時やプロパンガスの
脱水素時に水素ガスが発生
> 千代田化工業は、これらを供給源として、水素サ
プライチェーンの構築に着手
輸送において「スペラ水素」と呼ばれる、有機ハイド
ライドを活用した水素大量貯蔵輸送技術を活用
> 有機ハイドライドは千代田化工が世界で唯一持
つ技術
> 2013年9月30日、世界初の大型水素供給基地を
川崎に建設
Source: 各種雑誌・記事
トルエンを水素と反応させ、別の有機化合物とし
て貯蔵
> 通常有機ハイドライドは液体の為、ガスと比べ
ると潜在的な危険が小さい
> 石油化学プラントの技術やシステムがそのま
ま使用可能
> 加えて、常温・常圧での大量輸送が可能なた
め、輸送コスト低減に寄与
国内流通時にトルエンにかかる規制の大幅緩和
が課題
20150520_自動車技術講演会資料_final.pptx
42
2
ランニングコストの軽減(FCV)
英Amalystはプラチナを用いない代替触媒開発を進めており、今後FCV
製造コストの大幅な低減が期待される
Amalystの代替触媒開発
取組みの概要
期待される効果
大学発ベンチャーであるAmalyst社は、プラチナを
用いない代替触媒の開発に注力
プラチナの不使用により、FCV大衆化の鍵となる
製造コスト削減に寄与
> Amalystは触媒技術に強みを持つベンチャー
> 現在のFCV製造において、プラチナ関連コストは
非常に大きいポーション
– 2012年、University College London(UCL)からスピンアウト
– 触媒技術に強みを持ち、燃料電池や水電解槽領域で
の技術商用化が目標
> プラチナを使用しない代替触媒、AMCATを開発、
実用化を目指している
– 形態学的、熱力学的にプラチナに非常に類似した挙動
– プラチナの価格は1gあたり約5,000円
– FCV1台あたり50g以上のプラチナを使用する為、25万円
程度のコストに
> AMCATの実用化によって、上記コストが低減され、
従来より安価にFCVを製造することが可能に
– 一方、コストに関してはプラチナよりも廉価
> 2015年、UK Energy Innovation Awardで賞を獲得する
等、産業からの期待も高い
"FCVの低コスト化を進めていった時に、最後に残
るのが白金の使用量削減。白金はいずれは減ら
すか無くさなければならない"
(トヨタ自動車)
Source: AmalystHP、各種雑誌・記事
20150520_自動車技術講演会資料_final.pptx
43
2
ランニングコストの軽減
ランニングコスト低減については、水素輸送コストや燃料電池製造
コスト削減が図られているものの、技術革新に依拠する部分が大きい
サマリー;ランニングコストの軽減
総費用の
削減
イニシャル
コストの
軽減・希釈
量産化を
見据えた
開発
稼働の
上昇・維持
事例
示唆
> 液化水素の利用による輸送コスト
軽減(岩谷産業)
> 有機ハイドライドを活用した水素の常
温・常圧輸送(千代田化工建設)
> 技術革新による輸送容量の増加に
よって、輸送に係るランニングコストを
軽減しうる
> プラチナ代替触媒の開発(Amalyst)
> 希少資源を用いない製品開発により、
FCVの製造に係るコストを削減可能
ランニングコストの軽減
20150520_自動車技術講演会資料_final.pptx
44
ドイツでは、再生可能エネルギーの生産地から消費地への輸送に水
素活用をにらみ、水素でのエネルギー貯蔵技術の開発に注力
ドイツにおける水素によるエネルギー貯蔵の試みと背景
> 再生可能エネルギー
比率の上昇
> 需要地と生産地の
物理的距離
> 高圧送電網に代わる
ソリューションの必要性
> 再生可能エネルギー(特に風力)の割合が年々
高まっており、今後も継続
– 再生可能エネルギー電力は2005年~2008年
のみで10%から15%に増加
– 将来に向けて20%に引き上げる目標
風力発電所の
多いエリア
> ドイツの風力発電所はバルト
海や北海に面した風の強い北
部に立地しているが、需要は
南部に集中
> 高圧送電網の設置が必要となるが1)、
住民の反対や高コストが課題
> エネルギーを貯蔵し、時間をずらして送電する方法、貯
蔵したエネルギーをそのまま輸送する方法に注目が集
まっている
自動車工業が多いバイエル
ン州など、電力需要が大きい
南部エリア
> 2次エネルギーである水素の特性を活かし、エネルギー貯蔵技術の開発も実施・想定されている
> (再生可能エネルギーの供給安定化。その他産業用バックアップ、大規模容量の蓄エネルギー、など)
1) DENA(連邦政府等が出資しているエネルギー関係のシンクタンク)によると3,500kmの送電網が必要であり、総コストは130億ドルと試算
出所:(財)エンジニアリング振興協会、経済産業省、日本原子力研究開発機構
20150520_自動車技術講演会資料_final.pptx
45
P2Gは再生可能エネルギーによる余剰電力を活用し、水素とメタンを
製造する2段階のプロセスから成立
P2Gの仕組み
再生可能エネルギーによる断続的な発電
H2
電気分解
H2
H2
CH4
ガス網
工業用
Sources: Strategieplattform Power to Gas, dena
自動車燃料
自動車燃料
CO2
メタン化
発電
ガス貯蔵施設
熱利用
20150520_自動車技術講演会資料_final.pptx
46
様々な業界から多くのプレーヤーがP2G技術の研究・発展に向け協業
ドイツにおけるP2Gプロジェクト事例
次ページ以降詳細
プロジェクト名
実施事業体
Verbundprojekt "Powerto-Gas"
….
規模1)
実施状況
概容
0.25 MW 稼働中
太陽光発電から、水素を精製し、合成ガスを
製造。発電・熱利用等に活用
6.30 MW 稼働中
風力発電から、水素を精製し、メタン化する
ことで自動車の燃料に活用
2.00 MW 稼働中
風力発電から、水素を精製し、合成ガスを製
造。発電・熱利用・自動車燃料等に活用
0.025 MW 稼働中
最初の実証実験施設。再生可能エネルギー
から合成ガスを製造し、発電・熱利用等に活
用
CO2RRECT
0.30 MW 稼働中
再生可能エネルギーを使用し、水素とメタン
を精製し、CO2と反応させることでプラスチッ
ク製品の元となる化学原料を製造
Sunfire Power-to-Liquids
0.25 MW 計画中
再生可能エネルギーを使用し、水素を精製し、
CO2と反応させ、化学反応により石油代替燃
料を製造
Audi e-gas Projekt
Falkenhagen Power-toGas Pilot Plant
Verbundprojekt "Powerto-Gas" Alpha-Anlage
….
….
1) P2Gプロセスに用いられる再生可能エネルギーによる発電能力
Sources: FAZ, SolarFuel, E.ON, Audi, ZSW, HYDROGENICS
20150520_自動車技術講演会資料_final.pptx
47
Audiは現状ではP2Gからメタンガスを精製し、自動車の燃料として活用
しているものの、将来的に事業領域を拡大予定
気体燃料用途の事例 ~Audi e-gas Projekt①~
事業概要
[事業モデル]
> 水素をメタン化し、自動
車の燃料に用いたP2G
事例
[メリット]
> 石油に依存しない新しい
燃料
> 既存のインフラを活用可
能
[課題]
> 変換装置のコスト高
> FCV用途への拡大には
インフラ整備・コスト削減
将来は多用途に拡大した
い考えだが、足元で事業を
成立させるため現状では
事業領域を限定して展開
Source: Audi、各種HP
事業プロセス
発電
変換 / 貯蔵
利用
H2
風力発電設備
電力網
メタン化装置
電気分解装置
CNG充填装置
CNG車
排熱
CO2
CH4
バイオガス工場
現状事業領域
拡
大
予
定
事
業
領
域
ガス管
多用途
H2
水素ステーション
FCV
充電ステーション
EV
20150520_自動車技術講演会資料_final.pptx
48
CO2RRECTプロジェクトは、P2Gによりポリマーを精製し、化学製品原料
として用いることで、石油依存脱却を目指す
化学原料用途の事例 ~CO2RRECT①~
事業概要
[事業モデル]
> CO2を元に化学原料を
製造するP2G事例
> C1化学技術1)の応用
[メリット]
> 大量のCO2をリサイクル
> 産油国に左右されない
[課題]
> 化学反応ステップを多数
重ねるため、エネルギー
効率が悪い
> それによってコスト高に
事業プロセス
変換 / 貯蔵
発電
利用
CO2
液化装置
H2O
液化CO2
CO
H2
再生可能エネルギー
発電設備
電力網
熱
電気分解装置
転換装置
H2
化学原料
ポリマー
CH4
2020年を目処に実用化へ。
エネルギー効率の向上を
図り、コストを抑えた最終
製品を販売したい意向
メタン化装置
CO2
プラスチック
製品等
> CO2+H2 →CO+H2O
> CO2+CH4→2CO+2H2
1) C1化学技術:炭素を一つしか含まない物質を原料として、炭素数2個以上の化合物を合成する化学技術
Source: Bayer、各種HP
20150520_自動車技術講演会資料_final.pptx
49
RolandBregerでは、欧州の官民協力パートナーシップからの委託を受
け、 定置型燃料電池の商業化を進めるための方策について調査
調査経緯と目的
経緯
> 欧州水素・燃料電池官民パートナーシッ
プ(Fuel Cells and Hydrogen Joint
Undertaking (FCH JU)1)からの委託を受け
て調査
> 本年3月に調査結果を公表
目的
> 燃料電池の将来の市場ポテンシャルに関する共通
認識を確立すること
> 幾つかのマクロ経済シナリオに照らして、様々な技
術、潜在的な用途、業界展望、ビジネスチャンスを
理解すること
> オピニオンリーダーや産業界や政
策決定者への燃料電池に関する
理解の促進
1) EU委員会、水素・燃料電池に関わる産業界、大学などの研究機関で構成
Source: FCH JU Coalition, Roland Berger
20150520_自動車技術講演会資料_final.pptx
50
調査は、燃料電池に関係する30以上もの事業者の協力のもと行われ、
調査結果は彼らの共通理解となっている
調査メンバー
燃料電池業界プレイヤー(20社)
関連業界プレイヤー(6社)
燃料電池関連の業界団体(4組織)
研究機関(2機関)
行政(3セクター)
Source: FCH JU Coalition, Roland Berger
20150520_自動車技術講演会資料_final.pptx
51
調査では、燃料電池には大きな潜在市場とCO2排出抑制の可能性が
あるものの、コスト削減の必要性が浮き彫りに
調査結果概要
燃料電池は大きな市場潜在市場を持っている
定置型燃料電池は、熱源にガスを多く使用しているイギリスやドイツなどで、家庭・業務・
産業用のいずれにおいても、大きな潜在市場を持っている
CO2排出と一次エネルギー消費において大幅な削減が可能
その高い効率と技術の特性により、定置型燃料電池は、一次エネルギー消費量だけで
なく、CO2やNOxの排出量も削減
ボリューム拡大に伴い、経済性も競争力を有するように
現状では資本費の高さから競争力を持たないものの、量産化により、系統電力やガスボ
イラーといった従来技術を凌ぐ経済性に到達することが期待できる
商業化には3つの要素が必要
コスト削減、パフォーマンスの改善、政策支援の3つにより、燃料電池の商業化は可能に
Source: FCH JU Coalition, Roland Berger
20150520_自動車技術講演会資料_final.pptx
52
定置型燃料電池でも、量産が進むと、製造工程の自動化や部材共通
化を通じて、非常に大きなコスト削減が可能であるとしている
ボリューム増加と資本コスト1)の相関(家庭用における試算例)
1
2
標準化
一定のボリュームにより標準化が可
能に
> スタック製造や取付の標準化
-42%
ボリューム増加につれ、産業として
成り立つレベルに
> スタック製造や組立てで、部分的
な自動化
> システムや補機の仕様や部材が
共通化
-77%
3
自動化、アウトソース
さらに台数が増加し、市場における主要
技術に
> 主要工程の完全な自動化に加え、工
程の改善
> システムや補機のアウトソース
-80%
31,150
1
燃
料
電
池
台
あ
た
り
の
資
本
費
E
U
R
部分自動化、共通化
18,150
6,225
500
10,000
1社あたりの燃料電池製造台数[台]
100,000
[
7,250
]
現在
1) スタック、補助バーナー、関連システムなどの製造コスト、取付コ
スト(マージンは含まない)
Source: FCH JU Coalition, Roland Berger
20150520_自動車技術講演会資料_final.pptx
53
今後、我が国での水素エネルギーの活用を拡大するためには、量産
化を見据えた適正サイズの標準ステーション設計が重要と推察
今後の普及促進に向けての水素ステーション量産化の取組み
標準モデルの必要性
最適サイズ設計の考え方
今後を見据え、国内でも仕様
共通化を進めるべき
大型化のドライバー
> 現状、海外に比してステーショ
ンの仕様標準化の取組みは
なされていない
収益性
利便性・拡張性
> 大型のステーション程、設置・運営
に係る固定費が希釈され、高い収
益性を担保可能
> 小型ステーション程、立地上の制
約なく設置可能
> 容量拡大時の拡張性も高い
– 国内ステーションの仕様は多種
多様(50基に対して17種の仕様)
コスト
> 小型の方がトータルコストが安価
の為、普及が見込みやすい
– 海外では、共通化の取組み有
- 米国HydrogenXTのモジュール型
ステーション設計
- 米国H2FIRSTにおける標準ステーション
構築プロジェクト
等
> 今後の需要拡大に対応する為、
より将来を見据えた量産化可能
な標準モデルを構築すべき
小型化のドライバー
設置場所による制約
> 設置箇所に応じた消費者のニーズにより最適サイズは変動
(都市部のカーシェア用ステーション、郊外部の家庭用ステーション など)
> また、需要密度や水素製造・供給網の利用可能度によっても最適サイズは
変わりうる
ステーションのみならず、水素製造においても同様の配慮が有効
20150520_自動車技術講演会資料_final.pptx
54
量産化を含むコスト低減の取り組みは、企業枠を超えた枠組みで捉え
ることで、投資効率と産業競争力の更なる向上が期待される
企業を超えた枠組みでの取り組み拡大の有効性
企業視点
各社が独自に事業展開を進めているため、産業
発展のスピードは緩やか
企業の壁を超えて協業しつつ事業を展開。産業
として急速な拡大が実現可能
> プレイヤーは各社各様で独自に事業展開
> 各社、積極的に協業し事業を展開
> コスト低減の為の投資や取組みも企業内に
閉じたものになり、仕様の共通化も成されない
> コスト低減の為の投資や取組みも、企業間で
効果を享受可能。仕様共通化も進展
– 各社で仕様の異なる水素ステーション 等
> 結果として、産業としての投資効率は低い
ものに
> 水素関連事業全体の競争力を高めにくく、
水素エネルギー利用拡大のスピードは緩やか
な状態
– 例:独Lindeと米Sandiaの共同水素ステーション開発
– 例:米GM、NRELの燃料電池共同開発
– 例:米H2FIRSTのステーション標準モデル構築
> 結果として、産業としての投資効率が最大化
される
> EV等の他産業に比べても高い競争力を獲得し
やすく、水素社会のより迅速な普及に貢献
産業視点
20150520_自動車技術講演会資料_final.pptx
55
まとめ
水素エネルギーは、省エネ、エネルギーセキュリティ、温暖化対策に貢
献できる
水素技術には省エネ、エネルギーセキュリティ向上、環境負荷低減に大きく貢献できる
可能性があるからこそ、現時点で多くの課題が存在する水素技術を進展させようという
モチベーションとなっている
コスト競争力を持ってはじめて、他技術との勝負の舞台に上がることが
できる
しかし、水素エネルギーはエネルギーインフラの選択肢のひとつ。コスト競争力を持って
はじめて、他技術からの代替の選択肢としてなりうる
コスト競争力を高めるため、技術開発のみならず、ビジネスモデル上の
工夫も不可欠
新たな技術としての水素の競争力を高めるため、総費用の削減、量産化を見据えた開
発、稼動の上昇・維持といった観点でコスト競争力を高める必要あるが
そのためのビジネスモデルの工夫が求められる
強みを活かし、かつ高めるための技術開発も忘れてはいけない
純水素型燃料電池や、再エネからの電気分解などといった、水素の持つエネルギーセ
キュリティや温暖化に対する大きなポテンシャルを伸ばす技術開発も進めていく必要
20150520_自動車技術講演会資料_final.pptx
56
ご連絡先
遠山 浩二
プリンシパル
エネルギー担当
電話;03-3587-6359
E-mail;[email protected]