国道191号下関北バイパスが全線開通

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国道191号下関北バイパスが全線開通
3月28日、一般国道191号下関北バイパスが、
●下関駅∼安岡間が10分に
4車線で全線開通しました。これにより、下関
前述したように、下関北バイパスは、一部で
駅周辺から安岡方面にかけての車の流れが非常
は既存のルートが拡幅されたり暫定2車線で先
にスムーズになりました。
行供用されたりしているものの、その大部分に
ついては、今回いきなり4車線で新規のルート
●事業着手は1990年度
が開通しました。近年は、新ルートについては
一般国道191号は、下関駅前から海沿い中心
暫定2車線で供用開始し、折をみていずれ4車
に長門・萩方面に向かう道路です(最終的には、
線に、という供用パターンが多いのですが(例
益田を南下して広島市に至ります)。このうち、
、いきなり
えば、国道2号小月バイパスなど)
下関の市街地を通過する区間は、山の田交差点
4車線で供用開始された背景には、既存191号
を中心にかねてより激しい渋滞が発生していま
の渋滞緩和が目的であるため、2車線のバイパ
した。慢性的な渋滞は、移動が不便なだけでな
スではこのルート側への車のシフトは限定的で、
く交通事故の発生にも繋がりがちです。そこで、
充分な渋滞緩和につながらないだろうという思
市街地を迂回して海沿いを通るバイパス道路
(筋川町∼安岡駅前2丁目間6.8㎞)が計画さ
れたわけです(図参照)。
今回開通したのは汐入町∼安岡駅前2丁目
間の5.8㎞(図の青線ルート)。自動車専用道
路ではありませんが、ほとんど信号のない4
車線道路です(この5.8㎞区間のうち、南側
の1.1㎞は2006年に2車線で暫定供用されて
いましたが、このたびここも4車線化されまし
た)。なお、今回の開通区間以外の、南側部分
1㎞(筋川町∼汐入町)は、もともとの191号
ルートを2車線から4車線に拡幅する形で2004
年に開通しています。
今回の開通で下関北バイパスは全線開通とな
りました。事業着手されたのは1990年度(用地
買収等を経て工事着手に至ったのが1998年度)
でしたから、山の田交差点等を迂回するバイパ
ス道路建設という長年の懸案が、このたびよう
やく実現したことになります。
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やまぐち経済月報2015.4
いがあったようです。まだ開通したばかりで客
状況によって所要時間も変動しがちでした。渋
観的なデータは把握されていませんが、地元バ
滞が緩和されれば、これまでよりかなり短く、
ス会社によれば、既存ルート部分は早くも渋滞
しかも計算できる所要時間で通勤・通学できる
が著しく解消されているようです。
ようになります。
新ルートは、高架部分が多くて景色も良く、
一方、新ルートを通ることの効果としては、
60㎞/hで快適に走れます。この開通により、下
まず、安岡以北から下関駅方面へマイカー通勤
関駅∼下関市安岡支所間の所要時間は、一挙に
やビジネス移動する場合、アクセス時間が格段
10分に縮まりました。北バイパス事業が始まる
に短くなることが挙げられます。また、図にみ
前には28分かかっていましたし、今回の開通直
るように、下関沖合人工島「長州出島」とのア
前(一部の拡幅や暫定供用開始後)でも22分か
クセスが便利になりました。さらに、下関では、
かっていましたから、大変な時間短縮効果を生
九州から下関の川棚、角島方面を訪れる観光客
み出しているといえるでしょう。
が非常に多いのですが、これまでよりも格段に
なお、この区間は今後とも「下関北バイパス」
快適・短時間に川棚、角島方面に行けるように
と呼びならわされることとは思いますが、実
なりますので(観光シーズンは、特に渋滞が激
際には191号が2本になったわけではなく、こ
しかった)、今後観光の活性化も見込まれます。
のルートが191号そのものとなり、旧ルートは、
また将来、小倉と下関市彦島を結ぶ下関北九州
県道(下関港安岡線)と市道(汐入・山の田線)
道路(関門海峡道路)が開通したときには、下
に移管されました。
関北九州道路から彦島を北上して下関北バイパ
スに入り、そこからさらに目的地に向かって移
●見込まれる開通効果
動する、というのが主要な移動パターンになる
下関北バイパスの開通効果としては、まず、
ものと思われます。
前述した旧191号ルート部分における山の田交
差点を中心とした渋滞緩和が挙げられます。こ
このように、下関北バイパスの全通は、生活
れにより、たとえば朝夕の通勤・通学等も快適
利便性の向上や地域活性化など、様々な効果を
になることでしょう。下関市北部から下関駅に
発揮しそうです。やはり、地域にとって道路が
向かうメインのバスルートはこの旧ルート上に
整備されることは意義深いものです。
あり、そのバスはこれまで、渋滞のため移動に
下関エリアでの道路整備といえば、来年度、
多大な時間を要していました。また、その日の
国道2号小月バイパスの清末東交差点∼松屋ラ
ンプ間3.4㎞が4車線化され、これにより小
月バイパス5.8㎞の全線が4車線化されるこ
とになります。ここにきて、下関では国道191
号と国道2号と、2つのバイパス道路が、長年
の事業期間を経て、いずれも晴れて「完成」す
ることになるわけです。
(宗近 孝憲)
下関北バイパス新規開通部分
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