平成21年11月19日(木) LHDプラズマ実験日誌 (#666) ) テーマグループ (7)『MHD 平衡と安定性』 作成:渡邊 清政、吉村 泰夫、舟場 久芳 お問い合せ先:舟場 久芳 [email protected] 1. 実験日時 平成21年11月19日(木)16:15--18:45 平成21年11月19日(木) 2. 実験題目と実験条件及び放電番号概要等 磁場配位(Rax, Bt, γc, BQ) 実験題目 その他 ECH プラズマの BS 電流 (3.75m, 1.375T, 1.254, 100%) 放電番号 提案者 95411--95442 渡邊 清政 吉村 泰夫 ・入射パワー ECH 合計 1.9MW(3-5s)、 、NBI #1 6.0MW, #2 4MW, #3 2.5MW 3. 実験概要 背景と目的 環状磁場プラズマにおいて新古典輸送は小半径方向の輸送特性を説明できない。しかし、トカ マク実験によるとブートストラップ電流のような磁気面上の輸送特性は新古典理論で説明できるこ と示されている。また、LHD においても新古典理論は、径電場の計測結果と矛盾の少ない予測を 与えている。LHD のような非軸対称系では、新古典理論 により径電場に比例するブートストラップ電流が流れるこ とが予測されている[1]。ブートストラップ電流の径電場依 存性の再現を通じて、磁気面上の輸送現象を説明する 理論モデルとしての新古典理論の有効性検証すること が本研究目的である。 [1] N.Nakajima et al, J.Phys.Soc.Jpn. 61 (1992) 833 ( ) jBS ~ − L1e Pe + L1i Pi − (L1e − L1i )ene Er ' ( ' − L2e neTe + L2i neTe ' ' ) 軸対称性のない3次元磁場配位ではイ オンと電子が異なる衝突領域にある場 合、形状因子L1e, L1iが異なり、これが径 電場に比例するBS電流を駆動。 これまでの経過と今回の目標 ECH 放電のように、電子が 1/ν衝突領域、イオンがプラトー衝突領域にあり、正の径電場が生ず る場合は、圧力勾配に比例するブートストラップ電流と反対方向の電流が流れることが予測されて いる。実際、H-J の ECH 実験で、密度の減少(Er>0 が強くなる傾向あり)と共に観測トロイダル電流 の向きが通常のブートストラップ電流の向きと異なる観測結果があり、これが径電場の影響である ことが示唆されている[2]。 LHD でも、最近の HIBP の運転実績の向上、77GHz ジャィラトロンの増強と MSE 計測の適用、 電流時間発展評価コード整備の進展により、精度の高い非誘導電流分布の径電場、密度、温度 依存性データの取得が期待できる。今回の実験の目標は、ECH により 3s 以上のプラズマを生成 し、幅広い密度領域(0.5~2x1019m-3)で、ブートストラップ電流の絶対値の依存性を調べること、 HIBP による径電場分布、トムソンによる電子温度分布、電子密度分布、CXS によるイオン温度計 測、MSE 計測による電流分布計測の同時計測を行い、理論モデルとの詳細な比較を行うための データを収集することである。 [2] G.Motojima et al., Fusion Sci. Tech., 51 (2007) 122 . 1 結果 ECH の 3 秒以上の高パワー(19MW)入射はかなりの確率で可能であったが、1~2x1019m-3 の ECH プラズマを1.5 秒以上の保持するガスパフ運転手法が確立する前に ECH の 3 秒以上入射を 行ってしまった。その結果、真空排気装置クライオポンプの温度上昇させ、真空悪化を引き起こす など、密度制御手法の確立に手間取った。このことが原因で、ECH の 3 秒放電に対する密度スキ ャンデータは数ケースの取得に留まった。Ti 計測は、NBI4 号機運転時の密度制御手法を探索す る時間がなく、計測をあきらめた。 しかしながら、HIBP 計測による電場計測と、電子密度、温度分布の同時計測データは収集で きた。図1は 2 種類の衝突(密度)領域の電流の時間発展の波形とベータ値、衝突頻度(Wp と ne から、平均値として評価)の時間変化を示す。平均的な衝突頻度が 10-2 程度の場合は、通常のブ ートストラップ電流と反対向きに流れる電流が観測された。その時の密度、温度分布を図 2 に示す。 比較的衝突頻度が高い放電では、中心付近で密度勾配が正になっているが、プラズマ境界での 非誘導電流は通常のブートストラップ電流の向きと同じで、中心付近で密度勾配による電流の向 きの逆転の効果は小さいと予測される。したがって、低衝突放電でも、中心付近で密度勾配が正 となっていることによる非誘導電流の向きの逆転の効果は小さいと推測している。 今後、径電場の分布等とあわせた理論予測と実験結果の比較を進めていく予定である。 10 5 4 ECH #95439 2 #95439t3.0s ne(e19m-3) 3 2 0 -5 0.4 0 #95440 00 10 0 #95440 2 2 3 #95439 ν =ν /[ε e -2 10 1 4 3 ** 10 3 1.5 h 4 (v /qR)] Te(keV) 0 4 #95439 1 -1 0 1 ECH 1 2 0.2 1 0 2 #95440t3.0s T (keV) e 1 1 0 2.5 -3 3 n (e19m ) e 3.5 4 4.5 0 5 T #95440 2 3 time (s) 4 図 2 図 1 の t=3s 時の電子密度、温度 分布 図 1 衝突頻度が異なる場合の観測ト ロイダル電流の時間変化とベータ値、 衝突頻度の時間変化 2
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