日本ガイシ(5333 東証 1 部) - ファーストメイク・リミテッド投資顧問

2009/5/29
ファーストメイク・リミテッド 投資顧問
No.393
週刊レポート
■参考銘柄
日本ガイシ(5333 東証 1 部)
日本碍子日足一目均衡表
2,300
09/5/28現在
在
2,000
1,700
転換線
基準線
先行スパン1
先行スパン2
800
5/28 株価 1680 円(100 株単位)
連結 PER
22.8 倍
連結 PBR
1.94 倍
連結 ROE
1,400
1,100
【世界最大のガイシメーカー、旧森村系】
8.14%
発行済株式数
337,560 千株
配当利回り
1.31%
遅行スパン
年初来高低
08/04/16
08/04/23
08/05/01
08/05/12
08/05/19
08/05/26
08/06/02
08/06/09
08/06/16
08/06/23
08/06/30
08/07/07
08/07/14
08/07/22
08/07/29
08/08/05
08/08/12
08/08/19
08/08/26
08/09/02
08/09/09
08/09/17
08/09/25
08/10/02
08/10/09
08/10/17
08/10/24
08/10/31
08/11/10
08/11/17
08/11/25
08/12/02
08/12/09
08/12/16
08/12/24
09/01/05
09/01/13
09/01/20
09/01/27
09/02/03
09/02/10
09/02/18
09/02/25
09/03/04
09/03/11
09/03/18
09/03/26
09/04/02
09/04/09
09/04/16
09/04/23
09/05/01
09/05/13
09/05/20
09/05/27
09/06/01
09/06/06
09/06/11
09/06/16
09/06/21
09/06/26
500
ポイント1
1010-1727 円
売買高 10 日移動平均
2023.4 千株
世界最大の電力向けガイシメーカー、旧森村グループ
電力用ガイシでは世界最大手の日本ガイシ。本社を名古屋市瑞穂区に置き、セラミックスの製造を主力とする窯業
企業集団の森村グループの一員。「名古屋銘柄」の中核を成している。100 万ボルトの超高圧送電線用のガイシを製
造できるのは世界でも同社だけという特殊技能を有する。日本陶器(現ノリタケカンパニーリミテド)からガイシ製造部門
が分割するという形で 1919 年に設立された。旧森村グループが一業一社主義を採っていることから、同社からは 1936
年に自動車用スパークプラグの世界的企業である日本特殊陶業が分離独立していった。
現在の主力事業は、(1)電力事業、(2)セラミックス事業、(3)エレクトロニクス事業、の3つの分野に分かれており、
それぞれ売上高に占める割合は 2009 年 3 月期の決算で、電力事業が 829 億円で 30%、セラミックス事業が 1308 億
円で 47%、エレクトロニクス事業が 595 億円で 22%となっている。ここ数年は欧州の自動車業界で急激に高まってきた
環境配備への意識から、排ガス浄化装置用触媒担体が飛躍的に売上を伸ばしてきたが、昨年来の世界的な金融収縮
による影響で自動車業界が壊滅的な打撃を受け、それに伴って同社のセラミックス事業も大幅な後退を余儀なくされ
た。特に上半期までは好調だったものの下期より急激に落ち込み、結果的に前期の売上高は 2732 億円(前年比▲
25.1%)、経常利益は 314 億円(▲54.6%)、純利益は 244 億円(▲46.8%)と大きく落ち込んだ。今期もまだ減収減益の
見通しは続いているが、ただし前提とする為替レートは 1 ドル=90 円、1 ユーロ=120 円であり、他の上場企業よりもか
なりシビアに計画を立てている。全世界が直面する課題としてエネルギー多消費的な発展形態からの変革が求めら
れ、今後は同社の電力貯蔵用 NAS 電池の需要増大などの拡大が期待されている。
この資料はファーストメイク・リミテッドが会員のみに発行するものです。当資料に記載されている数字・意見等は、当社がその正確性を保証するものではありません。また、投
資に関する最終判断はご自身で行われますよう、お願い申し上げます。加えて、当資料の著作権はファーストメイク・リミテッドに帰属し、いかなる方法によっても、全部もしくは
一部を無断で複製・転用・配布・転送することを禁じます。
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東京都千代田区岩本町 2−8−9
TEL:03-5821-7781
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FAX:03-5821-5600
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ポイント2
電力関連事業が収益の屋台骨を支える
電力事業では、発電所で発電された電力エネルギーを安全、確実に送り届けるガイシの製造では世界トップの実績
を誇る。世界でも同社しか製造できないとされる 100 万ボルト級の送電機器用ガイ管は全長 11 メートル半、最大径 1.6
メートルというまさに世界最大規模の磁器製品である。その最新製造技術から輸送方法を含めて世界から高く評価さ
れており、さらにはガイシ洗浄装置、避雷ガイシ装置など周辺製品でも高い信頼性を確保している。
売上高の過半近くを稼ぎ出すセラミックス事業は、自動車の排ガス浄化装置、ハニカムセラミックス「ハニセラム」が
世界各国の自動車メーカーにこぞって採用されている。「ハニセラム」の格子状の壁の厚さは 0.1 ミリと新聞紙 1 枚の厚
みしかない。壁の厚みを薄くすると、同じ容積でも表面積をより広くとれるため排ガス浄化性能が一層高まる。そのため
にさらに壁の薄い「ハニセラム」の開発に取り組み、今では 0.05 ミリという、ティッシュペーパーほどの超薄壁ハニセラム
を実現させた。それが世界の排ガス浄化装置のデファクトスタンダードとなっている。また欧州を中心にディーゼルエン
ジン用排出ガス浄化装置・DPE(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)やセラミックスを応用した排出ガスセンサー
など、環境保全や省エネルギーを実現する数々の製品を送り出している。
ファインセラミックスを応用したエレクトロニクス事業では、セラミックスの持つ強度、軽量性、耐熱性、耐食性などを
生かして半導体製造プロセス用のセラミック部品に多用されている。さらにバネ特性や導電性に優れるベリリウム銅
も、パソコン用コネクタや IC ソケット、マイクロモーター、リレーなどにバネ材料として広く用いられる。
大幅に落ち込んだとはいえ、今 2010 年 3 月期は旧森村グループの中でも唯一、最終黒字を確保する見通しを維持。
目下のところ最大の利益源は、意外にも電線の絶縁部品であるガイシである。同社の創業ビジネスとして長らく屋台骨
を支えてきたが、最近では国内ではほぼ市場は飽和状態に達した。しかしインフラ投資が猛烈な勢いで進む中国など
新興国では、送電網整備が急速に拡大しており、同社製品には依然として引き合いが強い。この分野での世界トップ
企業として供給責任を立派に果たしている。
ポイント3
テクニカル : 目先の半値戻りを達成
2006 年後半から始まった雄大な上昇相場が潰え、昨年 1 年間をかけて株価は 1000 円割れまで、ほぼ入って来いの
展開となった。それが今年春先からのリバウンド相場によって、直近高値からの押し幅の半値戻りまで回復。現在はそ
のレベルでの売り物をこなす展開となっている。商品市況の回復とともに株価にも騰勢が戻ってきており、当面の目標
は昨年央の 2500 円レベルとなろうか。
この資料はファーストメイク・リミテッドが会員のみに発行するものです。当資料に記載されている数字・意見等は、当社がその正確性を保証するものではありません。また、投
資に関する最終判断はご自身で行われますよう、お願い申し上げます。加えて、当資料の著作権はファーストメイク・リミテッドに帰属し、いかなる方法によっても、全部もしくは
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ポイント4
蓄電池は「スマートグリッド」の中核技術となりうる
そして今新たに注目を集めているのが、電力事業のNAS電池である。NAS電池は「ナトリウム硫黄電池」を指し、高
エネルギー密度で高効率の蓄電池として着目されてきた。大容量の電気を蓄えられることができ、負荷変動を平準化
する特性に優れていることから、最近では電力需要の変動を解決する手段として重要な位置づけを帯びている。通常
は負荷の低い夜間などの時間帯に充電して、ピーク時間帯の昼間に発電するという運用ができ、需要サイドで設置す
る場合には電気料金の削減や電力の品質向上を図ることができる。当初は工場などの非常用電源としての運用を目
指していたのだが、最近では太陽光発電や風力発電などの出力が不安定な自然エネルギーの供給安定に役立つこと
が注目され、需要が急拡大している。日本風力発電の発電設備には同社の NAS 電池が必ず併設されており、小牧工
場では増産が続けられている。
5 月 28 日の日本経済新聞によれば、経済産業省は需要が急拡大している蓄電池の普及促進に向けて総合的な対
策を講じることになったという。電気自動車向けや自然エネルギー向けに急拡大する蓄電池の需要に備えて、経産省
が主導する形で電池、素材、自動車メーカーなどによる「蓄電池システム産業戦略研究会」を設置。今年 10 月にも報
告書をまとめ、蓄電池の普及に向けた法改正や規制緩和、予算対応につなげる考え。蓄電池は、風力や太陽光など
自然エネルギーによる電源をシステムに組み込む次世代送電網「スマートグリッド」でも欠かせない技術と位置づけら
れている。まさに時代の風を受けて同社の快走が始まろうとしている。
業績(連結・億円・前期比%)
売上高 2008/3
3,648
13.9
2009/3
2,732
-25.1
2010/3予
2,300
-15.0
経常利益
693
37.7
314
-54.6
160
-49.0
純利益 459
56.1
244
-46.8
110
-55.0
EPS
136.2
73.5
33.6
(四季報より)
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