Instructions for use Title 遠赤外線の加熱特性 (第3報) : 熱 - HUSCAP

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遠赤外線の加熱特性 (第3報) : 熱移動解析
韓, 忠洙; 夏賀, 元康; 伊藤, 和彦
北海道大学農学部邦文紀要, 17(2): 137-150
1990-08-31
DOI
Doc URL
http://hdl.handle.net/2115/12125
Right
Type
bulletin
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17(2)_p137-150.pdf
Instructions for use
Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP
北大農邦文紀要 1
7
(
2
):
137~150 , 1
9
9
0
遠 赤 外 線 の 加 熱 特 性 ( 第 3 報〉
一一熱移動解析
韓忠沫・夏賀元康・伊藤和彦
(北海道大学農学部農畜産加工機械学教室〉
(平成 2年 5月 3
1日受理)
StudiesontheHeatingCharacteristicsof
FarInfraredRays CPart 3
)
A
n
a
l
y
s
i
so
fHeatT
r
a
n
s
f
e
r
ChungSuHAN,MotoyasuNATSUGAandKazuhikoITOH
a
c
u
l
t
yo
fA
g
r
i
c
u
l
t
u
r
e,
(
L
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b
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r
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fA
g
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c
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l
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g
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r
i
n
g,F
HokkaidoU
n
i
v
e
r
s
i
t
y,S
a
p
p
o
r
o,]
a
p
a
n
)
1.緒言
Thermocouple
遠赤外線による伝熱が対流伝達および近,中赤外
十1
5
線による放射伝熱よりも優れているとする理由に,
遠赤外線が被加熱体の内部深くに直接浸透し,内部
において熱エネルギに交換されることが上げられて
いる。しかし,この考え方に対し遠赤外線の物体内
部への浸透は,表面からごく浅い部分に限られてい
るとする説もあり,現在は定説がないは)。前報 3,
4) ま
"
'
'
一
一
一
Temperaturer
e
c
o
r
d
e
r
でに,遠赤外線の加熱特性として材料の色と吸収熱
量の関係および遠赤外線加熱による色素の分解度に
ついて述べた。
本報では,遠赤外線の熱移動状態を可視化する方
法として,常温下でデンプンの糊液がヨード反応で
青紫色を呈し, 6
0
'
C以上の温度に加熱すると透明に
なる性質を利用し,これを数値化し 5) さらに材料内
F
i
g
.1
. S
chematic diagram f
o
r t
e
m
p
e
r
a
t
u
r
e
m
e
a
s
u
r
i
n
ga
p
p
a
r
a
t
u
s
部の温度変化を測定して遠赤外線放射体から放射さ
れるエネルギの伝熱過程を理論的に究明することを
図に示すように,スチロール角型ケース (
215X
目的とした。
5
5x1
5
5x3
3mm)にアグリル板(厚
1
3
6x2
8m m,1
1
1
. 実験方法
さ 1mm)を用いて 4本の柱を製作しこれをケース
A
. 実験装置および供試材料
の中央部分に取り付けた。
この柱の上に銅・コンスタンタン熱電対 C
c
t0
.
2
1.実験装置
熱移動距離測定に用いた実験装置および熱源は前
mm)を貼り被加熱物表面と表面から 2
,4
,6m mの
報 4) で、述べたものと同じである。 F
i
g
.
1に被加熱物
深さの温度を測定した。温度変化は自動温度記録計
CEKO,SOLACI
I
I
) を用いて測定した。
内部の温度測定部分の概略図を示す。
1
3
7
1
3
8
北海道大学農学部邦文紀要第 1
7巻 第 2号
遠赤外線の熱移動状態を可視化するための実験に
2
. 供試材料
供試材料はデンプンと寒天を用いた。試料の墨色
E
試料の調整法
U
試薬としてヨウ素とヨウ化カリウムを用いた。
B
.
F北福市﹃
E
斗
十
一
土
,
一
十
一
は上記の 4本の柱を取り付けていない角型ケースを
用いた。
試料の調整はまず可溶性デンプン 5
0gに蒸留水
750mlを加え,弱火で溶かして糊化した。その後,
寒天 20gを蒸留水 750mlに溶かしたものを加えた。
混合液の温度が室温まで‘下がった後,ヨード液 4
0
ml(ヨウ素:0.2%. ヨウ化カリウム:2.0%)を入
C
o
l
o
r
e
dp
a
r
t
T
r
a
n
s
p
a
r
e
n
tp
a
r
t
れながらよく混ぜると青紫色に発色する。この液を
スチロール角型ケースに注ぎ,室温まで冷却して固
めた。これを試料として下記の条件で加熱した。
C
.
実験条件
加熱方法として面状遠赤外線放射体,棒状遠赤外
線放射体および近赤外線ランプによる放射加熱法と
オーブンを用いた熱風加熱法を採用した。遠赤外線
放射体への供給電圧は 100V. 加熱時聞は 2
0分と
し,近赤外線ランプの加熱時聞は 8分とした。熱風
協協mム~努
加熱は 1
0
0
'
Cで 4
0分間行った。
実験条件を Table1に示した。
b
D
. 熱移動距離の測定方法
加熱が終了した後,試料を直ちに水道水によって
F
i
g
.2
. M巴a
s
u
r
i
n
g methods o
fh
e
a
tt
r
a
n
s
f
e
rd
i
s
.
t
a
n
c
e
冷やし次のように測定を行った。
Fig.2aに加熱された試料のスライス方法を示し
T
こ
。
試料に対してそれぞれ 12mm間隔で 1
0箇所,近赤
外線ランプの場合は 1
0等分した試料に対して 1
0
Fig.2aに示すように遠赤外線放射体により加熱
m m間隔で 1
2箇所において試料の透明になった部
された試料の場合は透明になった部分の中心から左
分の深さをノギスで測った。実験は同一条件で 2回
右をそれぞれ 10mmずつ 1
0等分した。
反復した。
Fig.2bは 1
0等分した試料の熱移動距離の測定方
I
I
I
. 熱移動の解析法
法を示した。
図のように,薄い刃物で透明になった部分を分離
する。遠赤外線放射体で加熱した場合は 1
0等分した
遠赤外線放射体を用いて被加熱物を加熱する際,
放射体から放射されるエネルギが被加熱物体の表面
から内部へ移動するメカニズムを理論解析する。
T
a
b
l
e1
. E
x
p
e
r
i
m
e
n
t
a
lc
o
n
d
i
t
i
o
n
s
Heats
o
u
r
c
e
Fig.3は遠赤外線放射体と被加熱物の間との熱移
H
e
a
t
i
n
g
S
e
r
v
i
c
e D
巴
i
s
t
a
n
c
v
o
l
t
a
g
e
(
V
) (mm) t
i
m
e
(
m
i
n
)
Fari
n
f
r
a
r
e
d
p
a
n
e
lh
e
a
t
e
r
Fari
n
f
r
a
r
e
d
t
u
b
u
l
a
rh
e
a
t
e
r
l
OO
7
5
2
0
l
OO
7
5
2
0
I
n
f
r
a
r
e
dlamp
1
0
0
1
0
0
8
Heateda
i
r
lWC
4
0
動のメカニズムを示したものである。
A
.
遠赤外線放射体の熱損失
熱が移動するには伝導,対流,放射三つの伝熱方
式がある。遠赤外線放射体へ供給されたエネルギは
全て放射エネルギに変換されて被加熱物に伝達され
るのではなく,周囲の雰囲気の条件により放射体の
各表面からの対流による損失もある 6,
7刻
。
1
3
9
韓・夏賀・伊藤:遠赤外線の加熱特性(第 3報
〕
Nu
h
c
A
k
L
o
s
so
fn
a
t
u
r
a
lc
o
n
v
e
c
t
i
o
n
Q
c
v
熱伝導率
[一]
[W/m2oK]
2
[m
]
[W/moK]
対流伝熱量
[W]
ヌセルト数
対流熱伝達係数
伝熱面積
制調
ω
ω
るものを求めた。空気物性値は次の式を利用して求
めた 10)。
)X
μ=1
.7
5
8X10-6X380/(380+
tA
[
C
2
7
3+t
A
)
/
2
7
3
]1.5
)にり
ω
ω
M
W﹀ω
岡
山
一
切
口ω判伺︻口。円相吋い。a
、
同
H。 。
m。
ロ
。5
υ
ω ﹀口。u
ロ
パE
ωい
、
同
CL-。ω
上式に用いた空気物性値は平均境膜温度的に対す
)XP/760
ρ=0.13186X2
7
3
/(
2
7
3+t
A
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
・
・
・
(
7
)
ν=μ/ρ...・ ・
.
.
.
.
.
・ ・ ・・
.
.
.
.
.
・ ・ ・ ・..……… (
8
)
H
H
H
H
H
H
H
.
.
…
.
.
.
・ ・..………… (
9
)
tA=(to-t1
)
/
2 ……...・ ・
H
H
a=k/Cp・7・
1
0
)
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
…
・
…
・
・
・
・
・
…
…
・
・
・
・
…
・
・
・
・
・
・
…(
F
ig
.3
. H
e
a
tt
r
a
n
s
f
e
rp
r
o
c
e
s
s
i
n
gb
e
t
w
e
e
nf
a
ri
n
f
r
a
.
r
e
dh
e
a
t
e
ra
n
ds
a
m
p
1
e
.
ここで
粘性係数
放射エネルギの被加熱物の内部への熱移動を分析
ρ
密度
するためには,まず放射体の熱損失を求め,正味放
P
射エネルギを計算する必要がある。
本実験は常温の実験室で行ったので,自然対流に
hkG
μ
よる熱損失が生じる。そこで理論式によってこれを
r
求め,正味放射エネルギ量を算出した。
自然対流の過程は次の三つの無次元数の関係で表
す日, 8,
9
) ことができる。
Gr=gβ1
3
(
To-T1) /ν ・ ・
.
.
.
.
.
・ ・
.
.
.
.
.
・ ・
.
.
…(
1
)
Pr=ν/a…
.
.
.
・ ・
.
.
.
.
.
・ ・
.
.
.
.
.
・ ・
.
.
.
.
.
・ ・
.
.
.
.
.
・ ・
.
.
(
2
)
H
H
H
H
H
H
H
H
N
u
=
h
c
l
/
k
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.・
・
・
・(
3
)
この三つの式を用いて対流熱伝達係数を見いだ
2
[kgos/m
]
2
[
k
g
o
s/m4
]
圧力
[mmHg]
平均境膜温度
[
O
c
]
熱伝導度
定圧比熱
[W/moK]
口/kgoK]
空気の比重量
3
[kg/m
]
式(
4
)の Nuの計算は面状遠赤外線放射体の場合,
放射体が直方体であるため各面に適応する式が違
い,また無次元数 GrXPrの値により境界層の流体
の流れが層流と乱流に区別され,求める式も異な
る6,
7
.
8
.
9,
1
1,
1
2
)。
F
i
g
.
3に示す A面のように水平平板(遠赤外線放
し,対流伝熱量を求めた。
射体〉が下向きの場合, GrXPr の値が 3XI05~3x
式(
3
)は
hc=Nuk
/
l…...・ ・
.
.
.
.
.
・ ・
.
.
.
.
.
・ ・
.
.
.
.
.
・ ・
.
.
…
(
4
)
1
010範囲であれば層流となる。本装置の場合,A面に
おける GrxPr値 が 4
.226X107であるため層流と
で整理できる。従って対流伝熱量は次式で表される。
判断した。適応する式は次のとおりである。
H
H
H
H
Q
c
v
=
h
c
A
C
t
o
t
l
)…
.
.
.
・ ・
.
.
…
…
.
.
.
・ ・
.
.
.
.
.
・ ・
.
.
(
5
)
H
H
H
gβfTT
Gr
ν
Pr
a
Nu=O.27CGrxP
r
)
1
1
4・・……-・・………………・(
1
1
)
グラスホフ数
B面のように水平平板が上向きの場合, GrxPr
の値が 105~2X 1
07範囲であれば層流となる。 B面
重力加速度
の GrXPrの値が 5
.704X107であり,乱流と判断し
ここで?
[一]
[
m
/
s
e
c2]
l
/K]
平均体積膨張係数 [
m
]
放射体の平均長さ [
,
] t
o
:[
o
CJ
放射体の表面温度 [K
:
[
K
,
]
t
[
o
C
]
周囲空気温度
1
2
[m/
s
]
動粘性係数
プラントル数
[一]
2
/
s
]
空気の温度伝導率 [m
た。適応する式は次のとおりである。
Nu=0.14CGrXP
r
)1I3 …・・………………...・ ・
(
1
2
)
H
04
C面と D面は垂直平板で、あり, GrXPrの値が 1
~109 範囲であれば層流となる。 C , D面の GrXPr
の値がそれぞれ 3
.
0
9
1X1
05
,3
.
3
6
8X1
05であるため
層流と判断した。適応する式は次のとおりである。
Nu=O.59CGrXP
r
)
1
1
4・・………………………・(1)
3
1
4
0
北海道大学農学部邦文紀要第
従って遠赤外線放射体の 6面から自然対流によっ
1
7巻 第 2号
Hs
て損う熱量は Nuと式 (
4
),(
5
)を用いて求められる。全
被加熱物の表面温度における飽和絶対湿
[
k
g
/
k
g
'
]
[
k
g
/
k
g
'
]
度
Ha 空気中の絶対湿度
c
vは
体の対流損失熱量 Q
QCV=qA十 qB+2qc+2q
n…
・
・
…
.
.
.
.
.
.
.
・ ・・・
.
.
(
1唱
H
H
H
ここで物質伝達率は熱伝達係数を求める際と同じ
方法で、求めた。ただし,プラントル数の代わりにシュ
となる。
ここで、
Q
c
v 放射体の全体対流損失熱量
[W]
q
A :F
i
g
.
3のA面からの対流損失熱量 [W]
q
B :F
i
g
.
3のB面からの対流損失熱量 [W]
2q
c:F
i
g
.
3の C面およびこれに対面する面か
[
W
]
らの対流損失熱量
2q
n:F
i
g
.
3のD面およびこれに対面する面か
[W]
らの対流損失熱量
B
. 正味放射エネルギの理論解析
ミット数, ヌセルト数の代わりにシャーウット数を
1
6,
1
7
)。
それぞれ利用し,物質伝達率を求めた 6削 5,
Sc=l
ノ/
D
.
.
.・・・・
.
.
…
…
…
.
.
.
・ ・..…………… (
1
7
)
S
h
=
a
n
l/D.
・ ・・・
.
.
…
.
.
.
・ ・
.
.
.
.
.
・ ・
.
.
.
.
.
・ ・
.
.
(
1
8
)
H
H
H
H
H
H
H
H
H
H
[一]
[一]
S
c
S
h
シュミット数
D
空気中における水蒸気の拡散係数
シャーウット数
[
m
'
/
s
e
c
J
ここで拡散係数 Dは
正味放射エネルギとは被加熱物体の温度上昇に利
用されたエネルギすなわち,顕熱と定義する。従っ
て,正味放射エネルギは入力エネルギから前述した
対流伝熱損失量および被加熱物表面からの損失と被
加熱物の表面水分蒸発に必要な蒸発潜熱量を除いた
熱量である。
被加熱物の表面に到達した放射エネルギは吸収,
透過され,一部は空気中へ反射される。なお,遠赤
外線の透過力は弱く,従って透過は無視することと
した。
D=DoCT/
2
7
3
)
m
O
.
0
3
3
/
P
).
・ ・・・
.
.
.
.
.
・ .
・.
(
1
9
)
H
H
H
H
として求められる。ここで
D
o :O
'
C大気圧下で空気中における水蒸気の
[
0
.
2
2
0X 1
0
4
m
'/
s
]
拡散係数
T
境界層の絶対温度
[
K
]
m :0
" H,
Oの場合 1
.
7
5,他の気体では 2
.
0
圧力
[
k
g
/
c
m
'
J
P
シャーウット数は自然対流の場合,
ScxGr~2x
1
07 であれば
S
h=0.
1
6
C
S
cXG
r
)
1
1
3
.・
・
・
・
…
・
・
・
・
…
・
・
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
・
・
…
・(
2
0
)
1
. 被加熱物表面からの蒸発潜熱損失
であり,式 1
(副との関係から整理すると物質伝達率は
正味交換放射エネルギ(以下,交換エネルギで、示
次式から求めることができる。
す〉のうち,一部は被加熱物の表面から水分を蒸発
させる時使われる。
実験試料は水分が 96%であり,自由水と仮定し,
・
.
.
…
…
.
.
.
・ ・
.
.
…
…
・(
1
5
)
H
H
ただし,
蒸発速度
L
被加熱物の表面温度における蒸発潜熱
表面からの水分蒸発に必要な潜熱量 [W]
[
k
g
/
s
e
c
]
m
[
k
J
/
k
g
]
Am 被加熱物の表面積
蒸発速度 wは次の式で表せる。
w=a
n/CHs-H
a
)X3
6
0
0・・・
.
.
.
.
.
・ ・・・
.
.
…(
1
6
)
H
H
H
H
H
ただし,
I
H
2
. 被加熱物表面からの対流熱損失
損失熱量の計算は前述した放射体の上向き面の損
失熱量計算と同じ式を用いた。
被加熱物表面からの時間 θにおける対流損失熱
量は次式から求められる。
q
v
w
偽
H
従って (
1
5
),(
1
6
),(
21)式により蒸発潜熱が求められる。
蒸発潜熱量と水分蒸発速度との関係は次の式で表わ
3,
1
4
)
。
せる 1
。
=0.28wLA
.
.…
.
.
.
.
.
・
m.
1
a
n
=
0
.
1
6
C
S
cX G
r
)
13
D/l…
.
.
.
・ ・
.
.
.
.
.
・ ・
.
.
…
…
白
1
)
:物質伝達率
境膜層の温度における比重量
[
m
/
s
e
c
]
3
[kg/m]
Qk=h
A
m
[
t
m
(
8
)一t
l
J…
…
.
.
.
・ ・
.
.
…
.
.
.
・ ・
.
.
.
.
(
2
2
)
c
H
H
ここで、
t
m
C
θ
)
:時問。における被加熱物の表面温度
[
'
C
]
[
'
C
]
h
c 対流熱伝達係数
[
W
/
m
'・
'
C
]
Am 被加熱物面積
[
m
'
J
Qk 被加熱物表面からの対流損失熱量 [WJ
3
. 放射体と被加熱物との交換エネルギ
t
1
周囲空気温度
放射体と被加熱物との聞の交換エネルギは次式に
より求めることができる 8
,
1
8,
1
9,
'
0,
'
1
)。
1
4
1
韓・夏賀・伊藤:遠赤外線の加熱特性(第 3報
〕
8
)J …
'
"
・ ・..……側
QR=Feσ[AoToCAmTm4(
供給して加熱する場合を考える。被加熱物の表面か
ただし,
ら深さ xにおける温度分布は時間の関数として表
H
e=l/[
(
1
ε
/。
)
+C1/em)一1]….......…・…・…… (
2
4
)
され,まず一定温度で加熱される場合,温度分布 t
ここで、
(x, θ) に対する熱伝導微分方程式は
QR
[WJ
ルギ
F
遠赤外線放射体と被加熱物との形態係数
[一]
白
。
2T 1oT
o
x2 αδ0
遠赤外線放射体と被加熱物との交換エネ
.放射体の放射率
[一]
22mo
である 8,
初期条件と境界条件は
;(x)=t;-tl と定義すると
T=tー t
l, T
θ =0;0 三五 X~玉 L
σ :ステファン・ボルツマンの定数
Ao
放射体の表面積
.
.
.
.
(
21
)
2
[
5
.
6
7X 1
0
-8W /m
.
k
勺
[m2]
で、
.
.
.
.
.
・ ・
.
.
.
・ ・
..
(
2
8
)
T=T , (x) …
H
H
.
.
.
・ ・
.
.
.
.
・ ・
.
.
.
.
.
・ ・
.
,
…
・0
的
x=O;8>0で T=O…
.
.
.
.
.
・ ・
.
.
.
.
.
・ ・
.
.
…(
3
0
)
x=L;θ>0で'T=O ・・ ・
H
H
H
H
H
H
H
である。
To
放射体の表面温度
[
K
]
e
m
被加熱物の放射率
[一]
ここで
被加熱物の表面積
[
mJ
t
;
被加熱物の初期の表面温度
[
'
c
]
t
l
一定加熱温度
[
'
c
J
t
こ
経 時 変 化 θによる被加熱物の深さ xi
Am
2
Tm(8):時問。における被加熱物の表面温度
[
k
]
[
'
c
J
おける温度
形態係数 Fは次式により求めた 15)。
F=2/πXY{
Jn[c1+X2
)c1十 Y2
)
/
(
1+X2
+y2)J同 十
2
x行 平 子 tan-1(X/';1+y )+Y .
;1+
X2 t
a
n
-1
(Y/、庁工玄2)_Xt
a
n
-1
X-Yt
a
n
-1
Y
}
.
.
.
.・ ・
.
.
..
(
25
)
x
[mm]
被加熱物の深さ
θ :被加熱物の加熱時間
[
s
e
c
]
7
)の解を求めるため変数分離法 (
S
e
p
a
r
a
t
i
o
no
f
式(
H
ここで、
一]
X=a/b,Y=c/b
a
放射体の長さ
[mJ
b
放射体と被加熱物との距離
[mJ
c
放射体の幅
[mJ
v
a
r
i
a
b
l
e
smethod) を利用し,熱伝導微分方程式の
解を次のように仮定する。
T=XYここで X=X(x),Y=Y(θ〉
.
.
.
.
.
・ ・
.
.
…
…(
3)
T(x, 8)=X(x)Y(8) …
1
'
"
・ ・
H
従って,被加熱物へ伝達される真の正味放射エネ
この仮定は境界条件を満足する解が存在する時だ
31)を微分すると
け成り立つ。式 (
θ
2T ~;" oT
~~
;
一
一 =XY
:
-=Xy, ox
o8
“
ルギ(顕熱)は遠赤外線放射体と被加熱物との交換
v
エネルギ QRから被加熱物表面からの蒸発潜熱 q
および被加熱物表面からの対流損失熱量 Qkを除い
たもので次式に示す。
QTR=QR-qv-Qk…
.
.
,
・ ・
.
.
…
…
.
.
.
・ ・ ・・
.
.
一
位
。
H
H
H
H
ここで
Q
T
R 初加熱物へ伝達される放射エネルギの中
での顕熱
[
W
]
C
. 試料内部の熱エネルギの移動解析
遠赤外線放射エネルギによって被加熱物が加熱さ
れる場合,エネルギは表面から内部へ移動し,内部
H
21)へ代入すると
これを式 (
XY=YX・1
/
α になり,両辺を整理すると
X
Y
XαY
となる。ここで左辺は Xのみの関数であり,右辺は
θのみの関数になる。すなわち Xと Oが独立変数で
あるため両辺は独立的で、あり,これは両辺が任意の
常数 A
2 と同じであることを意味する。従って上式は
X Y _1
2
.
XαY
の温度が経時的に変化するため非定常の熱伝達とし
となり,次のように 2つの線形微分方程式が得られ
て解析を行った。
る
。
温度が t
,で維持されている場合,急に表面を一定温
・
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
・
・.
12X=0・
(
3
2
)
X -,
.
.
.
.
.
・ ・・・
.
.
.
.
.
・ ・
.
.
.
.
.
・ ・
12y=O・ ・・
3
3
)
Yー α,
・(
度で加熱する場合,または急に表面へ一定な熱量を
3
2
),(
3
3
)の解 X,Y を求めると T=XYは時間 θに
式(
まず被加熱試料を半無限個体と仮定し,初期表面
H
H
H
H
H
H
H
1
4
2
北海道大学農学部邦文紀要第 1
7巻 第 2号
対して式(
2
8
)を満足する。
る。一般解は Y=e-θ
λ'
aである。 T=XYであり,式
すなわち
倒
, (
3
3
)の一般解を代入すると
T(O,θ)=X(O)・
Y(θ)=0
T =(Acost
l
x
+Bs
i
nt
l
x
)
e θAa
.
.
.・・..………側
T(L, θ)=X(L)・
Y(B)=O
となり,式聞の解になる。式闘は境界条件式 (
2
9
)によっ
2
H
Y三 Oなら T=Oであり,従ってこれは無意味であ
3
0
)によって
て T=Oになり, A=Oである。そして式 (
る
。
T=Oになり,
θ
2 である。
T =(Bs
i
nt
lL)e→A'aα
'
t
l
Y辛 Oなら X(O)=0,X(L)=0…
…
…
.
.
.
・ ・
..
(
3
4
)
H
T三 Oであるため B宇 Oの条件を選択する必要があ
になる。
3
3
)の解は,1'の符号によって変わる。
従って式問, (
正確な解を求めるためには境界条件を用いて可能な
解をすべて求めた後適当な解を選ぶ。
解を求める方法は l
t2の符号によって次のように
三つの方法がある。
2
l=0の場合
①t
式聞は X=Oとなり,積分すると
X=a,X=aX +bとなり,式。4
)のX(O)=Oにより
b=O, a=Oとなる。
従って X三 Oであるため T=Oは無用解である。
2
②t
l>0の場合
式。)
2はそのまま X-tl2
X=0となり,この 2階斉次
微分方程式の一般解は次の特性方程式により求めら
x2t
l2=0の根は x=:
t
t
Iであり,基本系は X1=
eAX,X1= e
-AX となる。
従って一般解は
X+Be-A
Xであり,ここに式倒を代入する
X=AeA
と A=-Bになるため X三 Oが得られる o しかし境
界条件が満足できなし、。
③t
l2<0の場合
式闘は X+tl2
X=0となり,一般解を求めるため
の特性方程式で直すと
X
A'as
T =~ B(
A)e-8
i
nt
l
xとなり,この式は
にB(tl)e-8A sintlxdtl
T=
+
t
l=0であり,根は x=:
tt
l
iであり,
2
基本系は
となる。そして式仰は初期条件である式側 (T=Ti
(x), θ=0) により
T i (か l~oB(仇削'a sint
l
xd
t
l
E
u
l
e
r公式により X,
! X2
は次のように表される。
X1=cost
l
x
+
s
i
nt
l
x,X2
=COSt
l
x
s
i
nt
l
x
従って一般解は
X=Acost
l
x
+Bs
i
nt
l
xである。
3
4
)の条件により X(O)=Aであり, X(L)= Bs
i
nt
l
式(
i
nl
tL=Oまたは
Lである。また条件 X(L)=Oは s
1
:
0T
おs
i
nl
tx
dxで置換できる。従って式(酬は
i(
のように示すことができる。
山
主
。 Ti(土)
[
1
:
0e
削
'
a叫
まず Aに対する積分を行い,整理すると
局りこ。 T (幻[e
T = 1/2
十 げ/48α-
i
e-(x+x)'/48
α
,J
d土
・
H
・・
.
.
.
.
.
・ ・
.
.
…
…
・
…
.
.
.
・ ・
.
.
…(
3
8
)
H
H
H
ここでト
平2
=(士平 x)2/4B
α
土=
21
五
百
万:
tx,d土=2f
(
i
t
id7
}
土=0の場合平=平 x
/
2f
(
i
t
i
士=∞の場合7}=∞
この条件を式 (
3
8
)へ代入すると
日=U
T
巴
T〆
/而
ι
ι
L
λ
ν
d
E
〆
百E
ム
ん
/
レ
.
;
百
(
レ
二
与
}
一
e
[
山
丈
l
に〆 什2仔 尻
B尚
d7
断
X/
H
z
庁
7
[
[
山
l
丈
に
:
:
;
;
乙
;
〉
乙eFf
吋,
dl
となり,
T
引
i
=巴
T
;
〆
/
/
,
f
戸パ一→
4ηH 甲
r I"x/2/a百
T/Ti=2,(7r1
)
0
1
e
.
'd7
}l=erf(X)
・
・(
3
9
)
となる。
2
式闘も t
l<0の場合
Y+α,
l
t2
y=0となり, dY/dθ=一 副 2yと整理でき
士s
i
nt
lxdt
l
]
d土
tl=nπ/Lであり,式。4
)を満足する式(
3
2
)の解を得られ
る
。
聞
o
u
r
i
e
rs
i
n級数であり, B(
A
)=2/
7
r
この式は F
であり,
X1=eλぺ X2=eλi
Xとなる。
側
'
a
T=
れる。
2
i
nt
lL=O結局 tlL=nπ である。これを
る。従って s
級数解で表すと
ここで
T=t-tl,Ti(x)=ti一t
1 であり,
1
4
3
韓・夏賀・伊藤.遠赤外線の加熱特性(第 3幸
匠
〉
X=x/2f(i8である. e
r
f
(
X
)は誤差関数で数表8) か
赤外線加熱による被加熱物の深さ x における温度
ら求めることができる。
が推測可能である。
すなわち,一定な加熱温度 t
l (本実験では熱風温
I
V
. 実験結果および考察
度〉で初期表面温度 tiである被加熱物を加熱すると
き時間の変化による表面からの距離 xにおける温
A
. 遠赤外線面状放射体の加熱による熱移動距離
度変化 tは側式を整理すると
の可視化
t(x, θ
)=erf(X)x(
ti一t
)+t1・ ・・
-(
4
0
)
.
.
.
.
.
・ ・
1
H
H
H
なお,均一な温度分布の被加熱物に対して急に表
面へ一定な熱流速を供給して加熱する場合を考え
F
i
g
.
4に面状遠赤外線放射体を用いて加熱時聞を
2
0分間とした場合の試料内部への熱移動状態を示
す
。
る。前述したように被加熱物の表面からの距離 x に
本図に示すように,試料両端の部分である Y方向
よる温度分布を時間の関数として表される。式仰の
の
1
, 2
,9
,1
0の位置より中央部分である Y方向の
熱伝導微分方程式に対して被加熱物を一定な熱流速
4, 5, 6の位置において 6
0
'
C以上の温度を示す部
で加熱するとき,初期条件と境界層の条件は
分(加熱されて透明になった部分)が深くなった。
θ=0;
0三
五 x三
五 Lで t
=ti(x).
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
・ ・
・
…・
・4
(
1
)
θ孟o
;X=Oで QTR=- k
(
J
t
/Jx) …
.
.
.
・ ・
.
.
.
.
ω
)
被加熱物を 2
0分加熱した場合,放射体中心部に対
H
H
となる。この条件により式仰の解を求めると一定な
応する試料中央部分の 6
0
'
C以 上 を 示 す 部 分 は
3.0~4.5mm であった。一方放射体の両端に対応す
表面熱流速で初期表面温度しである被加熱物を加
る試料両端の部分における 6
0
'
C以上を示す部分は
熱する時深さ x における温度変化 tは
1. 5~3.0
t(x, θ)-t
;
m mであった。
以上のように,
ヨード・デンプン反応を利用して
=2QTRf
(
i
8
7
7
rXexp[-(x引 a8)]/k1A-QTR土
×
[
l
e
r
f
(
土/
2f(i8)]/klA …
.
.
.
・ ・
.
.
.
.
.
・ ・・・
.
.
附
遠赤外線の放射エネルギの伝達される過程を可視化
ここで
被加熱物の各部分の熱移動距離に差が生じたことに
H
QTR
H
H
H
被加熱物へ伝達される放射エネルギの中
での顕熱量
k1 被加熱物の熱伝導率
σ :被加熱物の温度伝導率
正 :被加熱物の任意の深さ
および数値化することができた。そして,加熱した
対しては次のことが考えられる。遠赤外線放射体の
[W]
2
・
[W/m
K]
表面温度分布は中央部分と端の部分との温度差が
2
物との聞の交換エネルギに影響を及ぼすためであ
[m/
s
e
c
]
[mJ
θ :被加熱物の加熱時間
[
s
e
c
]
は
そして k1 A
ndersenの式を利用し, αは次式を
70~100'C ぐらいあり,この温度差が放射体と被加熱
る
。
放射体の温度むらに関しては遠赤外線放射体の製
tlmm
制4
叫}
利用して求めた 2
lOmm"",-20mm
k1=MKw十 (
α
1 恥心
4
)Ksx0.
5
7
7
9
",
…
.
.
.
…
.
日
.
.
.
…
.
日.
.
い
.
….
…
.
口
.
.
(
住4
的
α=k1/
C
Y
♂
P.
M
被加熱物の全量を 1としたときの含水率
[小数表示]
2
[W/m
.
K
]
2
[W/m
.
K
]
Kw 水の熱伝導率
Ks 固形物の熱伝導率
Cp
被加熱物の比熱
Y
被加熱物の比重量
e(6
ω
詰
喜 ~4
匂
[
J/kg.K]
[kg/m3]
ち
Cp は S
i
e
b
e
lの式を利用して求めた 24)。
Cp=0.008M十 0
.
2
0
0・
…
…
.
.
,
・ ・……'"・ ・
・
…
・
血
砂
H
M
湿量基準含水率
H
[%]
以上の結果,式 4
(伽ミら熱風加熱による被加熱物の
深さ x における温度が推測可能であり,式仰)から遠
9¥
斗/<p
1
0T
.
F
ig
.4
. V
i
s
i
b
i
l
i
t
yo
fs
a
m
p
l
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i
m
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0m
i
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.
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1
4
4
北海道大学農学部邦文紀要
第
1
7巻 第 2号
EA
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出し日
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n
f
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a
r
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e
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.
e
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i
n
g t
i
m
e 2
0
i
n
g
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T
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b
u
l
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r h
e
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e
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i
n
g
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e
a
t
i
n
gt
i
m
e8m
i
n
.
)
m
i
n
.
)
造過程の問題であり,用途により適切な放射体を選
んで使わなければならなし、。
しかし,熱の伝達速度が従来の熱風よりは速いた
め乾燥時聞が短縮できることが考えられる。
り大きかった。
試料内部への熱移動状態は前述した面状および棒
状遠赤外線放射体の場合と同様な傾向を示した。
被加熱物を 8分加熱した場合,放射体中心部に対
F
i
g
.
5に棒状遠赤外線放射体を用いて加熱時聞を
0
'
C以 上 を 示 す 部 分 は
応する試料中央部分の 6
2
0分間とした場合の試料内部への熱移動状態を示
2.9~5.9mm であった。一方,ランプの周りに対応
した。
する試料両端の部分は 0.0~4.5mm であった。
本図より,試料内部への熱移動状態は面状遠赤外
線放射体の場合と同じ傾向を示した。
被加熱物を 2
0分加熱した場合,試料両端の 6
0
'
C
面状と棒状放射体に比べて加熱時聞が短いにも関
わらず試料の中央部分の熱移動距離が深い原因とし
て,近赤外線ランプの形状は中心部だけ発熱する
以上の温度を示す距離は面状放射体に比べて差が大
フィラメント(色温度 2
4
0
0K)があり,フィラメン
きく 0.0~3.2mm であった。これに比べて放射体の
トに対応する試料中央部分は交換エネルキeが多く,
中央部に対応する加熱部分は 2.0~5.5mm であっ
従って被加熱物の温度上昇が速くなるためである。
た。このように中央部分と両端との熱移動距離の差
なお,両端の部分の場合,フィラメントから放射す
が大きい原因は,棒状遠赤外線放射体の中央部分と
るエネルギの被加熱物に当たる角度が直角より小さ
両端の部分との表面温度差のため交換エネルギの差
いほど交換エネルギは少なくなるため熱移動距離が
が大きく,さらに棒状放射体ゆ 1
4
.
2
)の場合,幅 1
2
5
浅かったと考えられる。
m mの反射板によって後方への放射エネルギを反射
前述したように,近赤外線の加熱の特徴としては
して加熱する部分が多く,放射エネルギを被加熱物
加熱できる面積は狭いが,高エネルギ源として短い
へ直接交換する面積が狭いためで、ある。
時聞に深い所まで加熱できることと言えよう。ただ
面状および棒状遠赤外線放射体は各々の加熱特性
し,中央部分だけ深く加熱する短所がある。従って,
を持っているが,被加熱物を均一に加熱するために
初期水分が高い農産物および食品を乾燥する際,熱
は面状放射体が望ましいと考えられる。
源として好ましくないと考えられる。
F
i
g
.
6は近赤外線ランプを用いて加熱時聞を 8分
間とした場合の試料内部への熱移動状態を示した。
一方,熱風 1
0
0
'
Cによって被加熱物を 2
0分間加熱
した場合,被加熱物の 2, 4, 6mmの位置の温度
本図にしめすように,試料の周りの部分と中央の
はそれぞれ 4
0
.
9,4
0
.
0,3
9
.6
'
Cであり, 4
0分間加熱
部分との熱移動距離の差が面状および棒状放射体よ
した場合,それぞれ 4
8
.
6,4
8
.
0,4
8
.
4
'
Cまでしか上
1
4
5
韓・夏賀・伊藤遠赤外線の加熱特性(第 3報
〉
昇しなかった。従って,試料の温度が 6
0
'
C以上にな
らない場合は完全に透明にならないので熱移動距離
も小さかったと判断される。
放射面以外の面からの損失は完全に防止すること
はでぎないが,断熱材を利用してある程度防ぐこと
を数字で表すことができなかった。
以上の結果から,被加熱商に伝達される熱量が最
も大きな熱源は近赤外線ランプであるが,中央部分
に放射エネノレギが集中して加熱むらが大きくなり,
ができると考えられる。
c
. 正味放射エネルギの計算
1
. 被加熱物表面での蒸発潜熱量と境界層におけ
る物性値
熱風加熱は伝熱速度が遅い。
伝熱速度,加熱むらなどを考えると面状遠赤外線
Table3は被加熱物と空気層の間との境界層にお
放射体を熱原として利用するのが望ましいと判断さ
ける物性値と被加熱物表面からの水分蒸発に必要な
れる。
蒸発潜熱量,拡散係数,物質伝達率および蒸発速度
B
. 遠赤外線放射体からの自然対流の熱損失と無
を示したものである。
表に示すように,経時変化にともない拡散係数,
次元数
Table2に面状遠赤外線放射体の放射面 (A面)と
物質伝達率は大きくなり,さらに必要な蒸発潜熱量
それ以外の面 (B, C, D面)について前述した理
も大きくなり,蒸発速度も速くなる傾向が認められ
論式により,対流伝達係数を求めるための無次元数
た
。
これは遠赤外線放射体による被加熱物の加熱時聞
および対流熱損失の計算値を示した。
表に示すように,遠赤外線放射面である A面から
の自然対流熱損失は 45.7Wで一番大きく,次が放
が長くなると,被加熱物の表面温度が上昇し,境界
層の温度も上昇する。従って,境界層の温度が高く
射 面 の 反 対 側 の 水 平 面 で あ る B面 で 23.3Wであ
なると表面からの蒸発する水分の拡散係数と物質伝
り,次が放射体の横の垂直面の D, C面でそれぞれ
達率も大きくなり,空気層との蒸気圧差も大きく
1
4
.
9,4.8W の熱損失があった。ただし,横の垂直
なったため表面からの水分の蒸発速度も速くなった
面はそれぞれ両面が存在するためその値の 2倍にな
と考えられる。
そして,表面からの水分蒸発に必要な蒸発潜熱は
る
。
この場合の遠赤外線放射体への入力エネルギは
前述した(15
)
式に示すように被加熱物の蒸発速度に比
415Wであり,放射体の 6面から自然対流によって
例して増加し,そのうえ予熱期間中の放射エネノレギ
損失する熱量は 1
0
8
.
4W であった。従って,全体の
は顕熱として利用されるが,経時変化とともに被加
入力エネルギの 26%が自然対流により損失する。
熱物の表面の水分の蒸発潜熱として利用されるため
今回の実験で熱損失に最も大きな影響を及ぼした
大きくなったと考えられる。
3
57
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Cと 362.5cm'である A面が熱損失が最も大き
2
. 被加熱物表面からの対流鮒員失計算
Table4は被加熱物の表面温度による無次元数の
かった。遠赤外線放射面の反対側の水平面である B
変化と遠赤外線放射体と被加熱物との交換エネルギ
面の面積は放射面とほぼ同じであるが,表面温度が
のうち自然対流損失量を計算したものである。
因子は,放射面の温度と表面積であり,それぞれ
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Cで放射面より低いため周囲温度との差が小
さく,熱損失が小きかったと判断される。水平面に
比べて垂直面の面積は 1/2.5~1/8 に相当し,熱損失
表に示すように,被加熱物の表面温度が上昇する
ほど損失熱量が増加する傾向を示した。
)式に示すように周囲の空気層と被加
この原因は(22
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北海道大学農学部邦文紀要第 1
7巻 第 2号
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7
〕
韓・夏賀・伊藤:遠赤外線の加熱特性(第 3報
熱物の表面温度との差が損失熱量に影響を及ぼすた
温が上昇するため,交換エネノレギの内 90%以上が被
めである。すなわち,被加熱物の表面温度が上昇す
加熱物の温度上昇に使われ,顕熱が増加する。しか
ることにより周囲の空気温度と差が大きくなるため
し,被加熱物の温度が上昇することにより顕熱は減
である。
少し,交換エネルギが蒸発潜熱として使われる分が
3
. 放射体と被加熱物との交換エネルギと顕熱
増える。
Table5に遠赤外線放射体と被加熱物の表面温度
D
. 測定温度と理論計算温度との比較
F
i
g
.7a,b,cに遠赤外線放射体によって被加熱物
変化にともなう交換エネルギと被加熱物の加熱に使
を加熱した時,表から 2, 4, 6mm深さの温度変
われた顕熱の計算値を示した。
表に示すように,交換エネルギは被加熱物の表面
化の測定値と理論値の比較を示す。
温度の上昇によって大きな減少は認められなかった
本図に示すように,各深さにおける温度の測定値
が,顕熱として使われる放射エネルギは経時変化お
4
3
)を用いた理論値とはほぼ一致することが認め
と式(
よび表面温度の上昇により大きく減少した。
られた。
放射体から被加熱物への交換エネノレギは
そして,前述した F
ig.4の熱移動距離測定値によ
W であり,これが顕熱および潜熱に
れば加熱して 2
0分経過したとき熱移動距離が中央
96.25~93.93
使われ,被加熱物の表面からの自然対流損失分も含
まれる。
8
0
2
3
),(
2
4
),凶式を用いて計算した。
交換エネルギは(
.
. .
被加熱物を加熱すると予熱期間として被加熱物の品
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7巻
第
2号
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伺
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C以上であることを意味する。 Fig,7より加熱時
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A
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このように両者が等しい値を示すことから放射体
と被加熱物との聞は放射伝達過程として解釈でき
A
』
邑
よって加熱すると L、う解釈より被加熱物の表面から
。
。
の非定常熱伝導として解釈するのが望ましいと考え
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温度の測定置 2
,4mmの場合,非定常熱伝導式(
3
9
)
5
0
を用いて被加熱物の内部温度の計算値は測定値の温
-
度と一致することが認められた。測定位置 6mmの
遠赤外線加熱と熱風加熱との温度上昇を比較して
みると,遠赤外線加熱の場合の加熱 8分後深さ 6
m mの位置が 5
0
'
Cぐらいまで上昇するが,熱風加熱
の場合 4
0分ぐらいで等しい温度になった。このよう
に遠赤外線加熱が熱風加熱より被加熱物の内部温度
ロ
ロ
白
日
日
ロCalcu!atedva!ues(6mm)
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からも熱が伝導され,下の面から近い 6mmの位置
にも影響を及ぼすためで、ある。
-
-
ロ
凸
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風加熱の場合被加熱物の全方面から加熱し,下の面
・
8
0
0s
e
c以後 4mmと 6
じになる。このように加熱 1
m mの位置の測定値の温度が等しくなる原因は,熱
)EEEEEω
(U
後からの測定値の温度が 4mmの位置の測定値と同
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4
3
場合も,ほぼ一致しているが,加熱時間 1
8
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0s
e
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2,
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化の測定値と理論値を比較したものである。
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畠
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0
'
Cの熱風によって被加熱物を
企
3
3
0
る。しかし,電磁波のように被加熱物の分子振動に
加熱した時,表面から 2
,4
,6mmの深さの温度変
且
A
間2
0分の被加熱物の深さが 4mmの位置で測定値
していることが分かった。
2,
4
0
0
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の部分の場合 4mm前後であり,この位置の温度
および理論値が 6
1
'
C前後を示しており,両者が一致
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1
4
9
韓・夏賀・伊藤:遠赤外線の加熱特性(第 3報)
を速く上昇させた。これは両者のエネルギの伝熱過
率的であると考えられる。
程が異なると同時に被加熱物へ伝達される熱量にも
伝熱速度,加熱むらなどを考えると面状遠赤
差があるためとも言える。しかし,熱風加熱を利用
外線放射体を熱源として利用するのが望ましい
して遠赤外線加熱と同じエネルキ'量を被加熱物へ伝
と判断される。
熱するためには,相当な燃料あるいは電力量が必要
であろう。従って,熱風を利用するよりは遠赤外線
の方が省エネルギ的な熱源として十分価値があり,
効率的であると判断される。
V
.要 約
遠赤外線加熱における浸透深度の測定方法や評価
方法および遠赤外線放射体からの放射エネルギの伝
熱過程の理論解析がまだ確立されていなし、。
そこで,本研究では遠赤外線放射体からの放射エ
ネルギの伝熱過程を理論的に究明し,
ヨード・デン
プン反応を応用して遠赤外線の熱移動状態を可視化
および数値化することを目的とした。また,対照区
として熱風加熱実験区を設けた。以下にその結果を
示す。
1
. 遠赤外線の放射エネルギの伝熱過程を寒天お
よびヨードとデンプン反応を用いて可視化およ
び数値化することができた。
しかし, 1
0
0
.
Cの熱風加熱の場合,被加熱物が
6
0
.
C以上にならず, ヨード・デンプン反応によ
る伝熱過程の可視化および数値化はできなかっ
た
。
2
. 非定常熱伝導式闘は水分が含まれている被加
熱物を使う際,被加熱物の表面からの蒸発潜熱
および対流損失を考慮する必要がある。
3
. 測定温度と理論計算温度がほぼ一致したた
め,遠赤外線による加熱特性は物質の中まで浸
透して分子振動により内部を加熱するのではな
く,大部分は被加熱物の表面からの伝導による
加熱過程であると判断される。
4
. 被加熱面に伝達される熱量が最も大きい熱源
は近赤外線ランプであるが,中央部分に伝達さ
れる熱量が集中して加熱むらが大きかった。そ
して,熱風加熱の場合,伝熱速度が遅いため加
熱時間すなわち乾燥時聞が長くなる。
5
. 遠赤外線加熱が熱風加熱より被加熱物の内部
温度が速く上昇するため省エネルギ的である。
遠赤外線加熱による被加熱物表面へ放射される
エネルギは近赤外線ランプより少ないが,むら
がすくないため加熱および乾燥の熱源として効
引用文献
1.伊藤和彦:遠赤外線の農産物への利用.農産物流通
技術研究会第 5
9回: 1
21
.1
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. 肥後温子・電子レンジ・マイクロ波食品利用ハンド
ブック. 日本工業新聞社: 2
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受熱板の色調と吸収熱量について.北大農邦文紀,
1
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色素の分解度.北大農邦文紀, 1
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布.食品加工技術, 7
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. HOLLAND著,若林嘉一郎訳:伝熱工学.培
風館: 2
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.P. HOLMAN: Heat Transfer
. McGRAW
8
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HlLL: 1
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n
e
e
r
i
n
gheatt
r
a
n
s
f
er.丸善: 1
8
2
2
3
0
.1
9
7
7
1
0
. 空気機械工学便覧委員会編:空気機械工学便覧コ
ロナ社: 1
9
.1
9
7
9
1
1
.J
I
I口将徳:遠赤外放射加熱の板ガラスへの応用.電
熱
, 3
0・6
5
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9
.1
9
8
6
1
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. 清水賢:遠赤外線による加熱理論,遠赤外線利用
の最新技術.工業技術会 6
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1
3
.S
.M. HENDERSONandR
3
2
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.
訳.農業プロセス工学.東京大学出版会・ 2
1
9
7
2
1
5
.1
9
8
6
1
4
. 日本機械学会編:蒸気表. 4
9
1
0
6
.
1
5
. 化学工学協会編・化学工学便覧.丸善:9
1
9
8
8
4
4
4
.
1
6
. 井上宇市・空気調和ハンドブック.丸善: 1
1
9
6
7
1
7
. 小林清志:移動論,流体運動量・熱・物質,朝倉書居:
1
9
1
2
2
4
.1
9
7
3
6
1
3
7
6
.
1
8
. 化学工学協会編:化学工学便覧.丸善: 3
1
9
8
8
1
9
. 室蘭テクノセンター:チコリ,午芳等農産物の乾燥
1
51
.1
9
8
9
装置の開発. 4
n
d
u
s
.
2
0
. 清水賢・遠赤外線利用技術. New food i
t
r
y,2
9
(
4
):4
9
.1
9
8
7
2
1
.)
1
1口将徳:遠赤外線加熱の原理と応用.燃料および
燃焼, 5
2
:8
3
9
8
5
7
.1
9
8
5
北海道大学農学部邦文紀要第 1
7巻 第 2号
1
5
0
2
2
.P
.J
. SCHNEIDER: C
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