124247-2 *2006年8月改訂 (新様式第1版) 製造販売承認番号 21200AMZ00553 ブロムペリドールキット 血中ブロムペリドール測定用試薬 登録商標 [体外診断用医薬品] この添付文書をよく読んでから使用して下さい. ■操作上の注意 1. 測定試料及び採取方法 (1) ヒトの血清又は血漿を試料とすること. (2) 血漿として採取する場合は,抗凝固剤としてヘパリンナトリ ウム,EDTA,クエン酸塩などを用いることができる.分離 剤入り採血管で採取する場合は,ブロムペリドール濃度の低 下が見られることがあるので,遠心後直ちに血清を別の試験 管に移し替えること. 2. 測定に影響を与える因子 (1) 妨害薬剤 抗精神病薬のハロペリドールはブロムペリドールとほぼ同等 の交差反応をし,塩酸モペロンはブロムペリドールと16.3% 交差した.ブロムペリドールのヒトでの代謝物であるブロム ペリドール還元体とは14.6%交差した.他の抗精神病薬,抗 パーキンソン病薬,抗てんかん薬との交差反応率は0.2%以 下であった. ■全般的な注意 ・本試薬は体外診断用医薬品であるので添付文書記載の使用目的 以外のことには使用しないこと. ・診断は他の関連する検査結果や臨床症状等に基づいて総合的に 判断を行なうこと. ・測定は,必ず添付文書記載の操作法のとおりに実施し,添付文 書以外の使用方法で得られた結果は保証できないため診断に用 いないこと. ・測定に使用する機器の取り扱い説明書をよく読んでから使用す ること. ■形状・構造等(キットの構成) * マーキットM ブロムペリドールⅡ 1キット〔96回用(標準曲線 用を含む)〕は次の試薬から構成されている. 標準試薬0 (凍結乾燥品) …1瓶(0.5mL分) 標準試薬2.5(凍結乾燥品) …1瓶(0.5mL分) 1瓶中ブロムペリドールとして1.25ng 標準試薬5 (凍結乾燥品) …1瓶(0.5mL分) 1瓶中ブロムペリドールとして2.5ng 標準試薬10(凍結乾燥品) …1瓶(0.5mL分) 1瓶中ブロムペリドールとして5ng 標準試薬20(凍結乾燥品) …1瓶(0.5mL分) 1瓶中ブロムペリドールとして10ng 標準試薬40(凍結乾燥品) …1瓶(0.5mL分) 1瓶中ブロムペリドールとして20ng 標識抗原 (ボトル番号1) ……1瓶(8mL) 成分 パーオキシダーゼ標識ブロムペリドール原液 抗体-1(ボトル番号2) ……1瓶(8mL) 成分 抗ブロムペリドール抗体(ウサギ由来ポリクローナル抗 体)原液 抗体-2結合ウェル…96ウェル(8ウェルブレーカブルストリップ ×12列) 成分 抗ウサギIgG抗体(ヤギ由来ポリクローナル抗体)結合ウ ェル 洗浄原液 (ボトル番号3) ……1瓶(90mL) 基質液 (ボトル番号4) ……1瓶(15mL) 成分 テトラメチルベンジジン,過酸化水素 反応停止液 (ボトル番号5) …1瓶(15mL) 上記構成試薬のほか,標準曲線作成用グラフ用紙3枚が添付され ている. マーキットM ブロムペリドールⅡの交差反応性 薬物 ブロムペリドール (代謝物) p-フルオロフェニ ルアセトウル酸 p-フルオロベンゾ イルプロピオン酸 p-フルオロフェニ ル酢酸 ブロムペリドール のピペリジン部分 ブロムペリドール 還元体 (抗精神病薬) ハロペリドール 塩酸モペロン チミペロン スピペロン 塩酸フロロピパミ ド スルピリド マレイン酸レボメ プロマジン クロルプロマジン ■使用目的 交差率 (%) 100 <0.01 <0.01 <0.01 <0.1 14.6 93.5 16.3 0.2 0.1 <0.1 <0.01 <0.01 <0.01 薬物 (催眠薬) ニトラゼパム (抗パーキンソン 病薬) 塩酸ビペリデン トリヘキシフェニ ジル アマンタジン プロメタジン (抗てんかん薬) フェニトイン フェノバルビター ル プリミドン カルバマゼピン バルプロ酸ナトリ ウム トリメタジオン メタルビタール ゾニサミド エトトイン アセタゾラミド エトサクシミド スルチアム 交差率 (%) <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 (2) 妨害物質 ヘモグロビン1200㎎/dL,遊離型ビリルビン18.7㎎/dL,抱 合型ビリルビン20.4㎎/dLまで測定に影響を及ぼさなかった. 乳びはホルマジン濁度2780度まで添加しても測定値に影響 しなかった. (3) 異常検体 各種異常検体について調べた結果,35例の自己抗体陽性血清 のうち,リウマチ因子陽性血清2例,抗天疱瘡抗体陽性血清 1例,ASO陽性血清1例の計4例の血清は異常高値に出るな ど測定への妨害が認められた. 自己免疫疾患患者の検体によっては非特異的反応が起こりう るので,診断は他の検査や臨床症状等を考慮して総合的に判 断すること. 血清中又は血漿中ブロムペリドールの測定 ■測定原理 マーキットM ブロムペリドールⅡは,マイクロストリップウェル を用いた競合的酵素免疫測定法に基づく血清又は血漿中ブロムペ リドール測定用キットである.即ち,検体中のブロムペリドール とパーオキシダーゼ標識ブロムペリドール(標識抗原)とを抗ウサ ギIgG抗体(ヤギ由来ポリクローナル抗体)結合ウェル(抗体-2結 合ウェル)中で,抗ブロムペリドール抗体(ウサギ由来ポリクロー ナル抗体) (抗体-1) に対して,競合的に免疫反応させ,抗体-2結 合ウェルに結合した標識抗原のパーオキシダーゼ活性をテトラメ チルベンジジン−過酸化水素(基質液)を用いて測定し,標準曲線 から検体中のブロムペリドール濃度を求める. 1 (4) 検体の保存 検体を保存する場合は凍結しておくこと. (凍結保存で3箇月 間は安定である. )なお,凍結した検体を使用する場合は,室 温(15∼37℃) で徐々に融解し,使用前によく混和すること. 凍結融解の繰り返しは10回まで測定結果に影響を及ぼさない. 3. 操作法に関する注意 (1) 操作開始前に試薬を操作を行う室内温度(15∼37℃)に戻し ておくこと. (2) 標準溶液は二重測定で行う.操作に慣れるまでは検体も二重 測定することが望ましい. (3) 試薬の添加順序は必ず操作法どおりに行うこと.また検体, 標準溶液とも同一条件で行うこと. (4) ウェル間のコンタミネーションを防ぐため,液の泡立ちや周 囲への付着が起こらないようにすること. (5) 検体や試薬の微生物汚染,試薬間のコンタミネーションを避 けること. イル等でプレートを覆い,液を乾燥させないようにして15∼ 37℃,暗所で30分間静置してインキュベートする. (8) 各ウェルに反応停止液(ボトル番号5)100μLを添加し,マイ クロプレートミキサーで攪拌する. (9) 60分以内に,各ウェルについて主波長450nm (副波長620nm) の吸光度を測定する. 4. 標準曲線の作成と血中ブロムペリドール濃度の読み取り (1) 添付のグラフ用紙の横軸に標準溶液のブロムペリドール濃度 を,縦軸に吸光度をとる.次に各標準溶液に対して得られた 吸光度(二重測定の平均値)をプロットして標準曲線を作成し, この標準曲線より検体のブロムペリドール濃度を読み取る. (2) 本キットの最小測定濃度(1.25ng/mL)以下の値が得られた 場合には,「1.25ng/mL以下」 と表示する. (3) 高濃度(40ng/mL以上)の検体では,標準溶液0又は薬物の投 与を受けていない正常人の血清で希釈した検体について操作 し,得られた読み取り値に希釈した倍数を乗じて求める. 標準曲線の例 ■用法・用量(操作方法) 2.0 1. 準備する器具・装置 ピペット(10,500μL) ,マルチチャンネルピペット (50,100, 300μL) 及びリザーバー,メスシリンダー(500mL容等) ,マイ クロプレートミキサー,ELISA用ウォッシャー,マイクロプレ ートリーダー(主波長450nm,副波長620nm) その他;ストップウォッチ,ペーパータオル,アルミホイル等 2. 試薬の調製 (1) 標準溶液の調製 各標準試薬の瓶に精製水0.5mLを正確に加え,15分間放置後, 静かに混和して標準溶液を調製する. (本標準溶液を保存する 場合は蓋を締めて2∼10℃保存で1箇月,凍結保存で3箇月 以内に使用すること.なお,凍結融解を10回まで繰り返して も測定結果に影響を及ぼさない.) (2) 抗体-2結合ウェル 標準溶液及び検体数分のウェルを用意する.用意するウェル 数は1列あたり8ウェルを基本数として,端数を生じた場合 には,ストリップのウェルを必要数だけ折ってそのまま使用 する.ELISA用ウォッシャーを用いる場合には,反応に関与 しないウェル(例えば使用済みウェル等)を装着して1列あた り8ウェルになるようにする.使用しないストリップ及びウ ェルはフレームから外して元の袋に戻し,密封して2∼10℃ で保存する. (3) 洗浄液の調製 洗浄原液(ボトル番号3)の1容に対して精製水9容を加えて 10倍希釈する.調製後は封をして2∼10℃で保存し,1週間 以内に使用する. (4) 標識抗原,抗体-1,基質液及び反応停止液 そのまま使用する.保存する場合は蓋を締めて2∼10℃で保 存する.基質液(ボトル番号4)は光及び金属の存在で着色す るので遮光し,かつコンタミネーションを防止して保存する. 使用時には測定に使用する必要量のみを別の遮光した容器に 取り出し,元の容器は直ぐに保存する.一旦,別の容器に取 り出した基質液の使用残は,再び元の容器に戻さないこと. 3. 操作法 (1) 抗体-2結合ウェルを標準曲線作成用として12ウェル(6水準 ×2)及び検体測定用として検体数分のウェルを用意する. (2) 標準曲線作成用ウェルには各標準溶液10μL,検体用ウェル には検体10μLを入れる. (3) 各ウェルに標識抗原(ボトル番号1) 50μLを入れる. (4) 各ウェルに抗体-1(ボトル番号2)を50μL入れ,マイクロプ レートミキサーで攪拌する. (5) アルミホイル等でプレートを覆い,液を乾燥させないように して,15∼37℃で30分間静置してインキュベートする. (6) ELISA用ウォッシャーを用いて,反応液を除去するとともに 各ウェルに洗浄液300μLを加えて洗浄する.この操作を3回 繰り返す. ELISA用ウォッシャーを用いない場合は,ウェル 内の反応液を捨て,洗浄液300μLを各ウェルに満たして完全 に捨てるという操作を3回繰り返す. 洗浄後は,ペーパータオルの上で逆さに叩いて余分の液を除 く.(抗体-2結合ウェルが完全に乾かないうちに次の操作に 移る.) (7) 各ウェルに基質液(ボトル番号4)100μLを添加し,アルミホ 1.5 吸 光 1.0 度 0.5 0.0 0 (0.1) 1 10 100 標準溶液表示値 (血中ブロムペリドール濃度(ng/mL)に相当) ■測定結果の判定方法* 1. 判定方法* ブロムペリドールの血中濃度と臨床効果については,治療有効 濃度は類似化合物であるハロペリドールと同様に4∼20ng/mL との報告がある2).また,12∼13ng/mLを過ぎると新たな改善 例は出現しにくいという治療的飽和現象 (Therapeutic plateau) が報告され12∼14),総説ではブロムペリドールの至適血中濃度は 15ng/mL以下と報告されている15). 2. 判定上の注意 ブロムペリドールとハロペリドールが併用されている患者検体 についての測定値は,正確なブロムペリドールの血中濃度値と 合致しないので注意すること. ■開発の経緯及び臨床的意義 ブロムペリドールは,統合失調症にみられる幻覚・妄想等の症状 にすぐれた効果を発揮するが,一方では錐体外路症状,悪性症候 群等の副作用が知られている.血中ブロムペリドール濃度の測定 は,適正投与量の決定,投与スケジュールの設定,副作用発現の 回避,服薬状況の把握,ブロムペリドールのレスポンダーとノン レスポンダーの区別等の指標として有用性が示唆されている. 当社はブロムペリドールと同じブチロフェノン系に属する抗精神 病薬であるハロペリドールの測定キットを開発しており,本キッ トの技術を応用して血中ブロムペリドール濃度測定用EIAキット 「マーキットM ブロムペリドール」 を発売してきた.「マーキット M ブロムペリドールⅡ」はその改良型で,液状基質を用いること によって,これまで用時調製となっていた基質溶液調製の手間を 省き,さらに簡便に測定できるようになった.なお,本キットで の測定結果は「マーキットM ブロムペリドール」による測定値と よく一致する. ■性能 1. 感度 標準溶液0,2.5,5,10,20及び40について操作して吸光度A (0) ,A (2.5) ,A (5) ,A (10) ,A (20) 及びA (40) を測定すると き,次の①,②及び③に適合する. 2 ①A (0) とA (40) の吸光度差は0.8以上である. ②各希釈標準溶液の吸光度は,A (0) >A (2.5) >A (5) >A (10) >A (20) >A (40) である. ③別に希釈標準溶液1.25を調製し,これについて操作して吸光 度A(1.25)を測定し,A(0)及びA(2.5)と比較するとき,A (1.25) はA (0) より小さく,A (2.5) より大きい. 2. 正確性 ブロムペリドール濃度が5∼20ng/mLの範囲にある管理検体を 測定するとき,測定値は既知濃度の85∼115%である. 3. 同時再現性 ブロムペリドール濃度が5∼20ng/mLの範囲にある管理検体を 10回同時に測定するとき,吸光度の変動係数(C.V.)は10%以 下である. 4. 測定範囲 測定濃度範囲はブロムペリドール1.25∼40ng/mLである. 5. 相関性試験成績 本キット (Y) と既承認の体外診断用医薬品「マーキットM ブロム ペリドール」 (X) (大日本製薬,現:大日本住友製薬) との間で相 関性を検討した.血清56検体について測定を行ったところ,相 関係数r=0.998, 回帰式Y=1.03X−0.03と良好な相関性が 得られた.また,全血にブロムペリドールを添加した後,血清 及び血漿検体を得て本キットで測定し,血清検体と血漿検体の 相関性を求めた.本キットによる血清 (X) 及び血漿検体 (Y) の測 定値は相関係数r=0.995, 回帰式Y=0.99X+0.28とよく一 致していた.paired t-testの結果,血清検体と血漿検体の測定 値に統計上有意な差はなかった. (t=0.266,p=0.7963) 6. 較正用基準物質(標準物質) ブロムペリドール ■主要文献 1) 内海晴海,ほか:臨床薬理,24:469,1993 2) 五十嵐良雄, ほか : 臨床薬理, 17 : 367, 1986 3) 柴崎守和,ほか:精神薬療基金研究年報,24:225,1993 4) 藤井康男:神経精神薬理,7:649,1985 5) 千嶋達夫:聖マリアンナ医科大学雑誌,17:455,1989 6) 高木哲郎,ほか:臨床と研究,66:2670,1989 7) 諸川由美代,ほか:精神誌,89:741,1987 8) 千嶋達夫,ほか:日老医会誌,24:409,1987 9) 根岸協一郎,ほか:日老医会誌,26:92,1989 10) 大田郁也:九州神経精神医学,37:90,1991 11) 染矢俊幸,ほか:神経精神薬理,18 (1) :29,1996 12) Someya,T.,et al.:Journal of Clinical Psychopharmacology,20:175,2000 13) 広兼元太,ほか:臨床精神医学,25:1227,1996 14) 染矢俊幸,ほか:臨床精神薬理,1:39,1998 15) 渡辺昌祐,ほか:抗精神病薬の選び方と用い方 改訂3版 (新興医学出版社):58,2000 ■問い合わせ先* 大日本住友製薬株式会社 ラボラトリープロダクツ部 〒564−0053 大阪府吹田市江の木町33−94 TEL 06−6386−2164 FAX 06−6337−1606 ■使用上又は取扱い上の注意 1. 取扱い上(危険防止)の注意 (1) ウィルス 本キットの標準試薬にはヒト血清を用いていないので,標準 試薬からHBV,HIV及びHCVの感染の可能性はないと考えら れるが,取扱いに際してはウィルス感染の可能性のある血清 の場合と同様な取扱いをすること.検査に使用した検体,各 試薬,すべての器具・用具類は次のいずれかの方法で処理す ること.試料はHIV,HBV,HCVの感染のおそれがあるもの として取り扱うこと. 1) 3%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)にて5分間,100℃で 処理 2) 132℃で1時間オートクレーブにて高圧滅菌 3) 1mol/L水酸化ナトリウム溶液に1時間,室温で浸漬 4) 1∼5w/v%次亜塩素酸ナトリウムに2時間,室温で浸漬 (2) ピペッティング 検査に使用する各試薬,検体についてピペット操作を行う場 合は,いかなる場合も口で吸わないこと. (3) 標準のキャップを開封する際には手指を傷つけるおそれがあ るので注意すること. (4) 試薬が誤って目や口に入った場合は,水でじゅうぶんに洗い 流す等の応急処置を行い,必要があれば医師の手当等を受け ること. 2. 使用上の注意 (1) 使用期限を過ぎた試薬は使用しないこと. (2) 標識抗原,抗体-1,抗体-2結合ウェル及び基質液は必ず同一 ロットのものを使用し,他のロットのものと組み合わせて使 用しないこと. (3) 開封前の全試薬,調製後の標準溶液以外の試薬を,誤って凍 結させた場合は使用しないこと. 3. 廃棄上の注意 測定終了後の廃液は,前記1.(1) ウィルスの項に従って処理し た後,じゅうぶん量の水とともに廃棄すること. ■貯蔵方法・有効期間 〇貯法 遮光下,凍結を避け,2∼10℃に保存すること. 〇有効期間 2年(使用期限は外箱及びレーベルに記載) ■包装 マーキットM ブロムペリドールⅡ 1キット(96回用) 3 *製造販売元 大阪市中央区道修町2−6−8 4
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