18 ニュースレター Vol.18 2013 年 7 月 9 日発行 サラサヤンマ 今年もサラサヤンマの生息が確認されました。サラサヤンマは神奈川県・東京都で 絶滅危惧Ⅰ類に指定されている希少なトンボで、小網代は神奈川県全域でも数少ない 発生地の一つです。サラサヤンマの生態は謎が多く、ヤゴがなかなか見つからない事 で知られています。非常に不安定な湿地を生息場所としていると考えられていて、乾 燥化は大敵です。 そんなサラサヤンマですが、今年 5 月定例会での確認数は 19 頭と、これまでの 1 日 での観察個体数としては最も多い数を記録しました。この傾向が、今後も継続し、本 種の生息状況が大幅に改善されてゆくかどうか、今後もモニタリングを続け慎重に判 断しなくてはなりませんが、新しくつけたばかりの水路やできたての湿地で旺盛にホ バリングをするサラサヤンマが観察されるなど以前は見られなかった目覚しい変化が 現われています。湿地回復作業は今も急ピッチで進んでおり、湿地の面積は拡大しつ つあります。照度、流量、植生などが様々に異なる、可能な限り多様な湿地環境を創 出しつつ、サラサヤンマの動向を注視して行きたいと思います。 羽化したてのサラサヤンマ 1 かえってきたホタルの乱舞 今年 6 月、10 年ぶりに小網代の谷にゲンジボタルの乱舞が帰ってきました。調整会議に よる浦の川の日照回復作業がはじまってから 3 年、待望の復活です。ホタルの餌となるカ ワニナ・イシマキガイの数はここ数年で劇的に増えており、特に日照回復がはかられた場 所ではまだ川が暗かった 2008 年の何倍もの個体数を確認した箇所も少なくありません。当 然、それらを食料とするホタルも増える事が予想されましたが、ホタルが増えると言う事 は食物連鎖のピラミッドの上位の生きものが増えると言う事なので、簡単な事ではないと 思われ、すでにカワニナ・イシマキガイが相当な数に達していた昨年も本流全体で 100 頭 以上 200 頭未満程度しか確認されませんでした。 しかし、今年は魚類・昆虫類など様々な生物が順調に回復している事もあり、小網代に おけるホタル発生の初期である 5 月末から調査体制を敷き、週に 2~3 回の夜間調査を実施 しました。結果、今年の発生のピークは 6 月 8 日で、浦の川本流で 548 頭、南の谷も合わ せると 588 頭ものゲンジボタルが確認されました。多く見られる場所では一度に 50~60 頭 が飛びながら発光し、大変幻想的な光景が繰り広げられました。ただ、ゲンジボタルの発 生時期は短く、翌週には 10 分の 1 ほどに減少してしまいました。 ゲンジボタルの見事な乱舞が帰ってきた小網代の谷ですが、支流の谷までふくめれば日 照回復作業や湿原回復作業はまだまだ始まったばかりで、作業が進むにつれカワニナの生 息域は広がっていく事でしょう。そうすればさらに多くのホタルに出会えるかも知れませ ん。来年のオープンにはホタルの素晴しい観察会が開催できるといいですね。 ゲンジボタル 胸に十字模様がある ホタルの光跡 2 定例管理作業報告 原則として毎月第 3 日曜日に実施しています。(人数は生物調査チームも含む) ☆4 月 28 日(20 名) ・・・4 月 21 日雨天中止のため臨時作業を実施 ベンケイ橋から一本橋間のやぶの伐採(刈払機使用) ☆5 月 19 日(22 名) エノキ第 1 田んぼと高橋別荘上手の湿地を結ぶ水路の整備(刈払機、チェンソー使用) ☆6 月 22 日(22 名) ・・・6 月 16 日雨天中止のため臨時作業を実施 ・高橋別荘跡地の津波避難路の整備。平坦な部分及び斜面トレイル整備。 (刈払機使用) ・カニパトに向けて倉庫整理 ・真ん中広場の水路の分流堰の設置 3 水路の経過報告 5 月 19 日に開削した新水路が機能しているかどうか、6 月 16 日の雨天時に確認に入りました。経過は順 調で塩性湿地や干潟の葦原への好影響が期待されます。今後も経過をモニタリングしつつ慎重に作業して行 きます。 流量が増え、干潟にも変化があった 順調に流下する新水路 アマモ移植実験 東日本大震災の津波によって湾奥部に広がっていたアマモ場は壊滅し、その後経過を観察していましたが、 回復の兆しが見られないため、調整会議は地元漁協と連携して、アマモ移植実験を行いました。移植規模は 4 月 11 日に 300 株、6 月 10 日に 600 株です。幸い今期の実験結果は良好で、今後経過を見てより大規模な 移植に乗り出す予定です。 アマモの採取 移植されたアマモ 移植地で確認されたミミイカ 後日、確認されたコウイカの卵のう マモの採取 200 株を採取した。 4 浦の川生きもの通信 (江良) 5 小網代の干潟にまつわる物語 (江良) 移植されたアマモ 6 本活動は独立行政法人環境再生保全機構 地球環境基金の助成を受けて開催しました。 第6回こども小網代ボランティア・クリーンアップのご報告 小網代保全ならびに活用に、地元のこどもたち、各地の小網代ファンのこどもたちの参加を促すこと を主旨として、2013 年初夏のこども小網代ボランティア(ココボラ)イベントを開催しました。 参加者 40 名。前回までと同様、三浦市スカベンジ事業と共催、後援体制もすっかり定着しました。 次回もさらに広報を工夫してファンを増やすとともに、共催、後援者との連携を強化していく予定です。 ★日時:2013 年 6 月 22 日(日) 曇りときどき晴れ (6 月 16 日雨天により延期して実施) ・ 9:45 白髭神社前 または 9:00 三崎口駅改札集合 ・12:30 解 散 ★企画内容 ・ 9:30 受付開始 ・ 9:45 主催者・共催者挨拶 ・10:00 スタッフの案内で白髭神社から宮前峠を自然観察しながら移動。簡単なクリーンアップ。 河口の石橋から、干潟におり、干潟の生きものを観察。 ・11:30 お楽しみ水族館 小網代干潟のカニを中心に、野外水族館形式で紹介。 ・12:00 大蔵緑地で終了式 参加者に「干潟観察安全ガイド」を進呈。 ★ 主催:NPO 法人小網代野外活動調整会議 ★ 共催:三浦市 ★ 後援:神奈川県 (公財)かながわトラストみどり財団 小網代区 みうら漁業協同組合 (株)リビエラリゾート (株)京急油壺マリンパーク 京浜急行電鉄(株) 次 回 は 十 月 に 実 施 の 予 定 で す 。 7 2013 年 4~6 月主な活用・活動実績 トラスト緑地保全支援事業(地球環境基金助成事業としての調査・整備活動も含む) 4 月 28 日(20 名)、5 月 19 日(22 名)、6 月 17 日(30 名) 干潟調査 4 月 10 日(3 名)、4 月 11 日(3 名)、4 月 25 日(3 名)、5 月 13 日(2 名)、5 月 26 日(5 名)、5 月 27 日(2 名) 6 月 9 日(1 名)、6 月 10 日(3 名) 2013 年 4~6 月 小網代の森の主な利用実績 環境教育支援学校・団体(参加者数+スタッフ数) 4 月 21 日かながわトラストみどり財団自然観察会(8 名) 5 月 29 日 横須賀学院中学校(94 名+7 名) 4 月 27 日リビエラ海洋塾(15+1 名) 6 月 1 日 神奈川学園中学校(206 名+11 名) 4 月 29 日小網代の森と干潟を守る会定例観察会共催(24 名) 6 月 29 日横浜市立新橋小学校(111 名+6 名)雨天中止 6 月 15 日小網代の森と干潟を守る会定例観察会共催(24 名) 小網代学習ボランテイアウォーク 6 月 22 日 第 6 回こども小網代ボランティア(40 名) NPO法人小網代野外活動調整会議 4 月 21 日(雨天中止)、5 月 19 日(12 名)、 左記以外の案内、および、独自の観察会等 6 月 22 日リビエラ海洋塾(20+1 名) 6 月 17 日(雨天中止)、 事務局より ◆ カニパト実施のおしらせ 【カニパト2013の実施日程】(スタッフ集合 15時30 分三崎口、20時30分現地解散、プレのみ14時) プレ…7 月 21 日(日) 、ボランティアスタッフ研修を実施します Ⅰ期…7 月 27 日(土) ・28 日(日) Ⅱ期…8 月 10 日(土) ・11 日(日) Ⅲ期…8 月 24 日(土) ・25 日(日) 一般観察参加の方は詳細は別途「カニパト2013のおしらせ」を参照ください。ボランティアスタッフとして のご参加を希望する方は事務局までお問合せください。 ◆ 毎月第 3 日曜日の定例活動は 7~8 月の間お休みです。 ◆ 小網代学習ボランティアウォークは 7~9 月の間お休みします。10 月から再開します。第 3 日曜日 9 時 30 分三崎 口駅集合、長靴持参、汚れてもよい服装でお越しください。12 時現地解散。雨天の場合は中止します。 ◆ 2013 年度独立行政法人環境再生保全機構地球環境基金の助成が決定いたしました。 (活動名:小網代における河口 干潟・陸域湿地の総合的な保全・活用への協働的な取組み) ◆ 小網代応援団にご登録ください! 小網代を指定してくださるトラスト緑地保全支援会員の皆さんの自己申告を受け、調整会議と日常的に交流してい ただける小網代応援団の組織化を目指しています。小網代の森緑地の保全に協力していただけるトラスト緑地保全 支援会員 1000 名、応援団 300 名を目指します。小網代を指定して下さっているトラスト緑地保全支援会員であれ ばどなたでも登録できます。当事務局あて応援団登録申請お待ちしております。事務局より、特別自然観察会(年 2回実施予定)などのお知らせをさせていただきます。くわしくは事務局まで。 特定非営利活動法人小網代野外活動調整会議 連絡事務所 〒223-0053 神奈川県横浜市港北区綱島西 2-19-1 レーベンス綱島西 A 棟 TEL 045-540-8320 FAX 045-546-4344 ホームページ URL=http://www.koajiro.org/ E-mail:[email protected] 会費・寄付金払込先:郵便振替口座 00240-1-95307 特定非営利活動法人小網代野外活動調整会議 8
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