閲 覧 - 折戸の物理

「折戸の物理」
授業プリント
http://orito-buturi.com/
NO.34
170.(動く壁による反射音)
図のように,振動数 f0 の音を出す音源 S,
観測者 O,音を反射する壁 W が一直線上
壁W
音源S
観測者O
に並んでいる。観測者 O と壁 W がそれぞ
v
w
れ速さ v,w で図の方向に動いている。音
速を V として,以下の問に答えよ。
(1)観測者 O が観測する音源 S からの直接音の振動数を求めよ。
(2)壁 W が観測する音源 S から音の振動数を求めよ。
(3)観測者 O が観測する壁 W からの反射音の振動数を求めよ。
(4)観測者 O が観測する 1 秒あたりのうなりの回数を求めよ。
⇒セ:P.168 発例 2 問題 296,297
171. (風がある場合のドップラー効果)
図のように岸壁に向かって速さ u で進む
u
風
W
船が,岸壁からの距離が L のとき,振動数
岸壁
f0 の汽笛を T0 秒だけ鳴らした。岸壁に向か
って風速 W の風が吹いている。音速を V として以下の問に答えよ。
(1)岸壁にいる観測者が聞く,汽笛の振動数を求めよ。
(2)船上にいる観測者が聞く,岸壁からの反射音の振動数を求めよ。
(3)船上にいる観測者は,岸壁で反射された音を何秒間聞くか求めよ。
⇒セ:問題 298
172.(音源が動く場合のドップラー
効果)
図のように x 軸上を速度 u で正
方向に運動している音源 S がある。
音源S
u
x =0
観測者O
x
x =L
静止した観測者 O が x = L の位置にいる。時刻 t = 0 で,音源 S は原点を通過し,その瞬
間から時間 Δt の間,振動数 f0 の音を出した。音速を V とし以下の問に答えよ。ただし,V > u
とする。
(1)音源が出した音の波の数を求めよ。
観測者は,時刻 T で音を聞き始め,時刻 T+ΔT で,音を聞き終わった。
(2)観測者が聞く音の振動数 f を,f0,Δt,ΔT で表せ。
(3)T と T+ΔT を,V,u,L,Δt で表せ。
(4)(3)より ΔT を求め,f を,V,u,f0 で表し,ドップラー効果の公式と一致することを確認せ
よ。
173.(斜めドップラー効果)
図のように直線 AB 上を振動数 f0 の音を出しながら,速さ u で運動している音源がある。
直線から離れた点 O に観測者がいる。音速を V として以下の問に答えよ。
(1)図の P 点を通過した瞬間の,音源の観測者に対する速度の大きさを求めよ。
(2)図の P 点から出た音を観測者が観測
するときの振動数 f を求めよ。
A
P
u
B
Q
θ
V = 342m/s,u = 36m/s,f0 = 756Hz と
する。
O
(3)図の P 点の θ = 60°として,P 点から
出た音を観測者が観測するときの振動数 f を求めよ。
(4)図の Q 点から出た音を観測者が観測するときの振動数 f を求めよ。
(5)音源が B の方向に十分遠ざかったとき,観測者に聞こえる振動数はいくらになるか求め
よ。
⇒セ:問題 299,300
チャレンジしてみよう ⇒セ:326,327
174.(光の波長)
以下の(ア)~(キ)に適切な語句や数値を答えなさい。(ク)は①,②からを選びなさい。
人間の目が感じることが出来る光を( ア )という。(ア)の波長はおおよそ( イ )m ~
( ウ )m の範囲である。波長により色が違い,赤と青では( エ )の方が波長が長い。真空中
の光の速さは有効数値 3 桁で( オ )m/s である。真空に対するある媒質の屈折率を( カ )
屈折率という。同じ媒質でも波長により(カ)屈折率は異なり,一般にガラスや水などでは,波
長が( キ )ほど大きい。
また光は( ク:①横波 ②縦波 )である。
⇒教:P.180 問 11 セ:P.175 プロセス 2,4 問題 301
175.(媒質中の光)
真空中で波長 λ0 = 6.00 ´ 10-7 m の光が,水中に入射した。水の絶対屈折率は 1.33 であ
る。真空中の光の速度 c = 3.0 ´ 108 m/s として,以下の問に答えよ。
(1)この光の振動数を求めよ。
(2)この光の水中での速度,波長を求めよ。
⇒教:P.177 練習 8 セ:P.175 プロセス 1 問題 301
空気
176.(光の屈折)
図のように光が,空気中からガラスに入射した。図の線は光
30°
境界
の進行方向を表す。空気とガラスの絶対屈折率はそれぞれ,
1.0,1.5 である。
(1)屈折角を r として,屈折の法則より, sin r を求めよ。
(2)教科書等の三角関数の表を用いて,r のおおよその値を求めよ。
⇒教:P.177 例題 3 問題 302,303,305,306
ガラス
r
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NO.34 解答 1
170.(解説)壁での反射音のドップラー効果は,以下のように考える。
①まず壁を観測者と考え,壁が観測する振動数 fW を求める。
②次に,壁を音源と考え,振動数 fW の音を出すものとして計算する。
(1)観測者 O が観測する音源からの直接音の振動数 f 直は,
V +v
…(答)
f直 =
f0
V
(2)壁を動く観測者として考える。壁の観測する振動数 fW は,
V +w
…(答)
fW =
f0
V
(3)次に壁は動く音源となり,振動数 fW の音を出す。観測者 O が観測する振動数 f 反は,
V +v
(V + v )(V + w )
f反 =
fW =
f0
V -w
(V - w )V
…(答)
(4)単位時間あたりのうなりの回数は,f 反>f 直であるので,
(V + v )(V + w )
2(V + v )w
V +v
f0
f0 =
f0 f 反 - f直 =
(V - w )V
(V - w )V
V
…(答)
171.(解説)音波は媒質である空気に対して音速 V で進む。
風速 W の風がある場合,空気は地面に対して速さ W で動いていると考えられるの
で,
地上に対する音の速さは,
風下に進む音:V+W
風上に進む音:V-W
となる。
ドップラー効果を考える場合も,音の進む向きに注意して,音速を変えていけばよ
い。
(1)船から岸壁に向かう音の速さは,V+W である。岸壁で聞く音の振動数 f 岸は,
V +W
f0
f岸 =
…(答)
V +W - u
(2)岸壁は振動数 f 岸の音を反射する。岸壁から船に向かう音の速さは,V-W である。船上で
聞く音の振動数 f 船は,
V -W + u
(V - W + u )(V + W )
f船 =
f岸 =
f0
V -W
(V - W )(V + W - u )
…(答)
(3)船から出された音波には,f0T0 この波が含まれている。また,船上で反射音の継続時間
を t0 とすると,f 船 t0 の波が含まれている。この数は同じなので
f 0T0 = f 船 t0
∴ t0 =
f 0T0 (V - W )(V + W - u )
=
T0
f船
(V - W + u )(V + W )
…(答)
172. (解説)音源が動く場合,「音源からの音波の波長が変わる。」ためドップラー効果が起こ
る。これが基本的な考え方だが,この問題のような考え方もある。
(4)の答は,単にドップラー効果の公式であるので,正解はあらかじめわかるはず
である。(4)が導けない場合は,それ以前の(1)~(3)が間違っているということであ
る。
(1)音源は Δt の間,音を出すので,音の波の数は,
f0Δt 個
…(答)
(2)観測者はこの f0Δt 個の音を,ΔT の時間で聞くので,
観測者にとっての振動数 f = 単位時間あたり観測する波の数
f Dt
…①
…(答)
f = 0
DT
(3)時刻 0 で出た音は,速さ V で距離 L だけ進んで観測者に到達する。観測者に到達する
時刻 T は,
音源S u
L
観測者O
T=
…②
…
t =0
x
V
x =0
x =L
(答)
時刻 Δt で音源は x = uΔt
音源S u
のある。ここで出した音は,
観測者O
t = Δt
x
速さ V で距離 L-uΔt だけ進
x = 0 x = uΔt
x =L
んで,観測者に到達する。
観測者に到達する時刻 T+
ΔT は,
L - uDt
…③
…(答)
T + DT = Dt +
V
(4)②,③式より ΔT を求める。
L - uDt L (V - u )Dt
Dt
V
DT = (T + DT ) - T = Dt +
- =
∴
=
V
V
V
DT V - u
f 0 Dt
V
f
f =
=
ゆえに,①式を用いて
…(答)
DT V - u 0
音源が動く場合のドップラー効果の公式どおりとなる。
173.(解説)音源と観測者が一直線上にない場合は,観測者と音源を結ぶ方向(視線方向)
の速度成分を考える。後は,通常の公式に
従えばよい。
P
u
(1)図より,音源の観測者の方向の速度は,ucosθ
θ
である。
ucosθ
(答) ucosθ
(2)音源が ucosθで動く場合のドップラー効果であ
るので,観測される振動数 f は
観測者の方向
V
・・・①
…(答)
f =
f0
V - u cos q
(3)①式に与えられた数値を代入する。
342
342
…(答)
´ 756 =
´ 756 = 798Hz
f =
342 - 36 ´ cos 60°
342 - 18
(4)Q 点では,θ = 90°で, u cos 90° = 0 である。つまり,音源の観測者に対する速度は
0 であるので,ドップラー効果をおこさない。
f = 756Hz
…(答)
(5)十分遠ざかったとき,θ = 180°としてよい。音源の観測者に対する速度は,
u cos 180° = -u = -36m/s
つまり,速さ u = 36m/s で遠ざかると考えてよい。
342
f =
´ 756 = 684Hz
…(答)
342 - (- 36)
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NO.34 解答 2
174.(解説)人間の目に見える光を可視光(線)という。光の色は波長によって決まる。色の並
びや,おおよその波長は覚えておこう。
真空中の光の速さ c は,自然科学で基礎となる値である。真空中の光の速さより
速いものはない。また,長さの定義でもある。
ある媒質の真空に対する屈折率を絶対屈折率という。光の場合,一般に「屈折
率」というときは,この絶対屈折率を指すことが多い。同じ物質でも,屈折率は波
長によって異なり,一般に波長が短いほど(絶対)屈折率は大きい。このため,い
ろいろな色(波長)の混ざった光を屈折させると,波長により曲がり方が異なり,色
に分解される。これを光の分散という。
光は横波である。これは偏光などによって確かめられる。
(ア) 可視光(線)
(イ) 3.8×10-7
(カ) 絶対
短い(小さい)
(キ)
(ウ) 7.7×10-7
(エ) 赤 (オ)
3.00×108
(ク) ①
175.(解説)ある媒質の真空に対する屈折率を絶対屈折率という。真空中の光速を c とすると,
絶対屈折率 n の媒質中の光速 v は,
c
v=
n
また,真空中で波長λ0 の光の,媒質中での波長λは,
l
l= 0
n
3.0 ´ 108
c
=
= 5.0 ´ 1014 Hz
f =
(1)光も波である。振動数 f は
…(答)
l0 6.0 ´ 10- 7
(2)媒質中での光の速度 v,波長 λ は,公式より,
c 3.0 ´ 108
…(答)
=
= 2.25 ´ 108 ≒ 2.3 ´ 108 m/s
1.33
n
l
6.00 ´ 10 -7
…(答)
= 4.511 ´ 10 - 7 m ≒ 4.51 ´ 10- 7 m
l= 0 =
n
1.33
v=
176.(解説)媒質 1 から入射角 i で,媒質 2 に光が入射する。屈折角 r とする。媒質 1,2 の
絶対屈折率を n1,n2 とすると,屈折の法則は,
sin i n2
=
= n12
sin r n1
である。n12 を,媒質 1 に対する,媒質 2 の相対屈折率という。
さらに媒質 1,2 中の光の速さを,波長をそれぞれ v1,v2 と λ1,λ2 とすると
sin i v1 l1 n2
=
=
=
= n12
sin r v 2 l2 n1
となる。
(1)屈折の法則より,
sin 30° 1.5
1
=
∴ sin r = = 0.333 ≒ 0.33
…(答)
sin r
1 .0
3
(2)三角関数の表を利用して,
, sin 20° = 0.3420
sin 19° = 0.3256
であるので,0.33 により近い 19°と考えて良い。
19°
…(答)
もう少し,詳しく計算すると,19°と 20°の間の正弦関数を直線と見なして
0.333 - 0.3256
19 +
= 19.45 ≒19.5°
…(答)
0.3420 - 0.3256