Contents M 情報提供資料 アジア・マーケット・マンスリー 2017年3月号 アジア・マーケット・マンスリー 2017年3月号 経 済 調 査 部 【インドネシア】 出張報告:ジャカルタ知事選挙等から不透明感が残る中、拡大を続ける景気・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1ページ 【エマージング・マーケット・ウォッチ】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7ページ 【インドネシア】 出張報告:ジャカルタ知事選挙等から不透明感が残る中、拡大を続ける景気* 【図1】 底堅い民間消費と反落した政府消費、プラスとなった純輸出(左) XXXXX 政府支出の急減で鈍化した10-12月期のGDP成長率 (%) 今年2月の中旬、インドネシアの投資環境調査のため同国に出張し、中央銀行、財 12 務省、民間金融機関などと面談。また、同国を含む東南アジア諸国への証券投資の 10 拠点であるシンガポールの金融機関とも面談し、海外投資家の動向等について聞き 8 取り調査を行いました。本稿では、マクロ経済運営の方向性、為替・資金・債券市場 の動向などにかかわる政策当局関係者や市場参加者の見方などを紹介します。 2月6日、政府は昨年10-12月期の実質GDPが前年比+4.9%と前期の+5.0%より減速し、 市場予想(Bloomberg集計の中央値)の+5.0%を下回ったことを公表。昨年通年の成長 率は+5.0%と前年の+4.9%よりわずかに改善しました。 実質GDP前年比と需要項目別寄与度(四半期) 実質GDP 4 2 0 -2 -4 10-12月期のGDP統計の需要側では、政府支出の落込みが目立ちます(図1左)。民間 消費が堅調さを保ち固定資本投資が加速したものの、政府消費の下げ幅が拡大。こ の結果、内需(在庫投資を除く)は同+3.9%と前期の4.1%を下回りました。一方、輸出 の回復に伴って外需(純輸出)の寄与度がプラスに転じ、内需減速の影響を和らげまし た。民間消費は前年比+5.0%と前期と同率の堅調な伸び。物価の沈静化による家計の 購買力の上昇、降雨量の回復や一次産品価格の上昇(図1右)に伴う農業所得の改善、 消費者信頼感の回復などが背景です(図2左)。政府消費は同▲4.0%と前期の▲2.9%よ 50 40 6 30 天然ゴム: 4 TSR20 (右軸) 20 注) キログラム当たり価格 直近値は2017年3月8日 10 0 -8 2006 2008 2010 2012 2014 2016 (年) 0 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 (年) 出所)インドネシア中央統計局(BPS)、CEIC 【図2】 改善する消費者信頼感(左)、加速する農林漁業生産(右) (ポイント) 120 消費者信頼感指数(月次) 12 115 総合指数 105 や前年同月の高ベース、歳入の低迷を受けて(図3左)政府が歳出の削減を図ったこと 95 80 75 引上げ前の駆込み購入の影響にもよるとみられます。在庫投資の寄与度は+1.2%ポイ 70 8 農林漁業 サービス 建設 製造 鉱業 4 2 0 85 げ幅が縮小し、商用車等への投資も+27.4%と前期の+14.8%より急伸。1月の自動車税 実質GDP前年比: 産業別 (四半期) 6 90 +4.1%と前期の+5.0%より鈍化したものの、設備投資が▲1.9%と前期の▲9.5%より下 (%) 10 110 100 ントと前期の+0.1%ポイントより上昇。前年同期の落込みからの反動が生じました。 60 8 注) 直近値は2016年10-12月期 り下げ幅が拡大。昨年度初からの予算の前倒し執行の反動(年度末にかけての息切れ) 等によります。固定資本投資は同+4.8%と前期の+4.2%より加速。建設投資が同 70 (左軸) 2 -6 (千ルピア) パーム原油 10 純輸出 在庫投資 固定資本 投資 民間消費 政府消費 統計誤差 6 一次産品価格 (日次) (千ルピア) 12 -2 雇用環境 -4 -6 注) 直近値は2017年1月 注) 直近値は 2016年10-12月期 -8 65 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 (年) 2006 2008 2010 2012 2014 2016 (年) 出所)インドネシア銀行(BI)、インドネシア中央統計局(BPS)、CEIC 巻末の留意事項等を必ずご覧ください。 (*)本稿は、「エマージング・マーケット・マンスリー」にも掲載しています。 1 M アジア・マーケット・マンスリー 2017年3月号 農林漁業と鉱業が加速、製造業やサービス部門は減速 外需では、総輸出が同+4.2%と前期の▲5.6%より反発し、9期ぶりのプラスの伸びに。 一次産品と工業製品ともに伸びが加速しました。固定資本投資の回復に伴って石油ガ 【図3】 近年低迷する政府歳入と伸びを続ける政府歳出(左) (兆ルピア) 2,000 中央政府の歳出入 (月次) (%) ス以外の財輸入が伸びたことから、総輸入も同+2.8%と前期の▲3.7%より反発。この 1,800 結果、純輸出の寄与度は+0.3%ポイントと前期の▲0.5%ポイントより反発しました。 1,600 50 生産側では、農林漁業や鉱業など一次産品関連部門が加速する一方、政府支出の減 1,400 40 速などを受けて製造業、建設業、サービス部門が鈍化しました(図2右)。農林漁業は同 1,200 +5.3%と前期の+3.0%より加速。降雨量の回復に伴って農作物が同+14.0%、プランテー 1,000 20 ション作物が同+5.1%と前期より上昇しました。鉱業は同+1.6%と前期の+0.3%より加 800 10 600 0 速しました。金属鉱石が同+10.1%と前期の+7.6%より加速。輸出の伸びが背景です。 製造業は同+3.4%と前期の+4.5%より減速しました。輸出の伸びにけん引されて運輸機 器など一部の部門の伸びが加速したものの、その他多くの部門の生産が減速。政府歳 出の急減速の影響とみられます。建設業は同+4.2%と前期の+5.0%より減速。政府が昨 年度初より歳出の前倒しを図ったことに伴って、年度末の10-12月期の公的建設の伸び 0 今年は都市部家計に逆風、農村部家計に追い風が吹くか 10-12月期のサービス部門による生産は同+4.8%と前期の+5.4%より鈍化。底堅い民 -10 注) 12ヵ月移動累計 直近値は2016年12月 (%) に伴って公共サービス等が同+0.3%と前期の+7.0%より減速し、融資の伸びの鈍化に 80 2005 2008 40 費を抑制するでしょう。政府は、今年初に予定していた燃料小売価格の引上げ実施を 20 伸びるとみられます。けん引役が都市部から農村部の家計にシフトしつつ、民間消費 は引続き底堅い拡大を続けると予想されます。また、年度末の12月にかけて減速した 政府の経常歳出は、1月の新年度入りに伴って正常化し再加速するとみられます。政府 主導のインフラ投資も徐々に加速し、民間投資を誘発するでしょう。 2014 (年) -30 2006 (%) 120 注)売上台数の3ヵ月 移動平均前年比 直近値は2017年1月 60 家計向けの電力料金の引上げ(今年1月に実施済)や燃料小売価格の引上げが同部門の消 に伴う農業生産の改善に伴って、スマトラ島など外島部の農村部家計の消費は底堅く 2011 3ヵ月移動平均 -20 耐久財販売の前年比 (月次) 2008 2010 2012 2014 2016 (年) 商用車販売等の前年比 (月次) 注) 3ヵ月移動平均前年比 直近値は、 2017年1月 100 80 四輪車 燃料価格の低下に伴う都市部家計の購買力の改善は一巡しつつあり、今後は低所得 られます。一方、パーム油や天然ゴムなど一次産品価格の上昇(図1右)や降雨量の回復 30 【図4】 二輪・四輪車販売(左)と商用車販売・資本財輸入は回復基調(右) 間消費を背景に卸売・小売が加速し情報通信も堅調であったものの、政府消費の落込み 見送ったものの、後述するとおり、今年半ばにはこれが実施される可能性が高いとみ 原数値 出所)インドネシア財務省、インドネシア・セメント協会、CEIC 100 伴って金融・保険も同+4.2%と前期の+9.0%より鈍化しました。 歳入 2002 が鈍化したとみられます。また、大雨による建設活動への下押しも生じた模様です。 注) 直近値は、2017年1月 60 歳出 400 200 セメント販売量前年比 (月次) 70 60 40 20 0 0 -20 -20 二輪車 -40 -60 2006 資本財輸入額 2008 2010 2012 2014 -40 2016 (年) -60 2009 商用車販売台 2011 2013 2015 2017 (年) 出所)ASTRA International、インドネシア自動車工業会、インドネシア中央統計局(BPS)、CEIC 巻末の留意事項等を必ずご覧ください。 2 M アジア・マーケット・マンスリー 2017年3月号 民間消費等にけん引され今年初より景気は徐々に加速か しかし、後述するとおりジャカルタ知事選挙は4月19日に決戦投票を行うことが決定。 しばらく政治的な不透明感が残るため、民間投資の本格的な回復は早くとも今年後半 からとなるとみられます。昨年後半にかけてやや鈍化した景気は、今年前半より緩や 【図5】 世界景気の回復とともにプラスに転じた輸出入額の前年比(左) (%) 80 輸出入の前年比と貿易収支 (月次) の+3.5%より上昇(図7左)。12月に+3.0%まで低下した後に2ヵ月連続で加速しました。 実施。また、補助金対象外の電力料金が昨年2月に低下した反動(ベース効果)も働きま した。食品も同+4.4%と前月の+4.1%より上昇。穀物等が落込んだものの、野菜や香辛 料が加速しました。コア物価は同+3.4%と前月と同率でした。足元では期待インフレ 25 貿易収支 40 (線:左軸) 20 上昇により石油公社の収益は低下しており、年内の引上げは不可避とみられます。 燃料価格引上げ等から今後上昇が見込まれる消費者物価 加えて、国際的な一次産品価格の上昇も各種物価に波及するでしょう。パーム油価 -40 -20 -15 -20 注) 通関統計 直近値は2017年1月 -60 2009 -25 -30 2011 2013 2015 -35 (年) 2017 (年) 2012 2013 2014 2015 2016 2017 【図6】 石炭とパーム原油の輸出量が回復(左)、底打ちした銀行貸付(右) (%) ます。一方、食品物価は落着いた推移が見込まれます。3月からは、雨季作物の収穫が 120 (%) 一次産品輸出量の前年比 (月次) 45 注) 3ヵ月移動平均 直近値は2016年11月 ネシア銀行(BI)の物価目標(+3-5%)内に留まる可能性が高いと考えられます。 40 100 90 預貸率 80 (右軸) 30 パーム原油 (%) 貸付(左軸) 35 80 燃料小売物価の引上げ等に伴って今年半ばに+4%台後半まで上昇するものの、インド 預金・貸付の前年比と預貸率 (月次) 40 100 60 25 70 20 60 15 20 会合で政策金利を4.75%で据置くことを決定。Bloomberg集計では、エコノミスト19人 0 10 全員が据置きを予想しており、市場予想通りの政策決定でした。据置きは昨年11月よ -20 5 り4回連続となります(図9左)、昨年1月より10月にかけての累計1.5%ポイントの引下げ -40 2008 によって、今回の利下げサイクルはひとまず終了した模様です。 総輸出(線) -30 出所)インドネシア中央統計局(BPS)、CEIC 140 物価が緩やかに上昇する中、BIは金利の据置きを続けています。2月16日、BIは政策 -5 0 -10 造コストも増加。鉄鉱石と鋼材価格の上昇も加わり、建材の価格も上昇するとみられ を左右する賃料は落着いた動きを続けるとみられます(図8右)。総合物価の前年比は、 石油・ガス 0 -20 160 し米価を押下げるでしょう(図8左)。また、住宅市場では過剰在庫が目立ち、コア物価 (線:左軸) パーム油等 5 10 -10 格の上昇に伴って石鹸や化粧品の価格が上昇し、石炭価格の上昇に伴ってセメント製 本格化。雨季(昨年11月~)の降雨量が十分であったため、米の収穫量が前年比で増加 10 輸入 0 その他 15 20 (棒:右軸) 輸出の前年比と寄与度 (月次) 注) 直近値は 2017年1月 20 輸出 率が上昇(図7右)。家計は近い将来の燃料小売価格の引上げ等を意識しています。政府 は今年1月に実施予定であった燃料小売価格の引上げを見送り。しかし国際原油価格の 30 30 燃料が同+2.9%と前月の▲0.6%から反発し12ヵ月ぶりのプラスとなり、総合物価を押 上げました。政府は1月下旬より低所得家計向けの電力料金の引上げ(補助金の削減)を 40 60 かに加速し、今年通年の成長率は+5%台前半と昨年の+5.0%を上回ると予想されます。 物価は足元で緩やかに上昇しています。2月の総合消費者物価は前年比+3.8%と前月 (%) (億米ドル) 石炭 2010 2012 2014 2016 (年) 50 預金(左軸) 40 注) 直近値は 2016年12月 0 2006 30 2008 2010 2012 2014 2016 (年) 出所)インドネシア中央統計局(BPS)、インドネシア銀行(BI)、CEIC 巻末の留意事項等を必ずご覧ください。 3 M アジア・マーケット・マンスリー 2017年3月号 【図7】 底を打った消費者物価(左)、上昇するインフレ期待指数(右) 市場は利下げサイクルは終了との見方を広く共有 BIの声明は、米国による財政拡張と金融引締めはドル高の促す可能性があると警戒 感を表明。また、米国による貿易保護策、英国による強硬なEU離脱、複数の欧州諸国 20 の政治状況が国際貿易量を抑え不透明感を高めるかも知れないと、不透明な対外環境 18 に言及しました。BIは、景気回復速度の緩さに不満を持ちつつも、米国の利上げ加速 16 の可能性もある中で自国通貨の下落を促しかねない追加利下げを行うことは難しいと 14 考えている模様です。今回面談したBI高官も、追加利下げの余地は「殆どない」と説明。 12 利下げサイクルは既に終わったとの見方は現地市場参加者に広く共有されていました。 BIは、2月初より資金吸収を固定金利から入札による変動金利に変更。2015年8月に ルピア相場の安定化のために導入した固定金利による資金調節制度を従前の変動金利 に戻しました。これまではBIが資金吸収を固定金利で行い、資金吸収オペが行われる 期間1年までの利回り曲線を事実上BIが固定。市場の需給を反映した金利形成がおこな 注) コア物価:生鮮食品と 管理価格品目(燃料、 電力等)を除く 直近値は2017年2月 170 総合物価 160 150 130 2008 2010 2012 2014 2016 (千ルピア) 12 食品小売価格 (日次) 注) キログラム当たり価格 直近値は2017年3月9日 11 の介入を行って両市場を安定化。この過程で保有国債を積上げ、日々のレポ取引の担 10 9 2012 2014 (年) 2016 70 90 60 80 50 40 8 30 7 赤唐辛子 (右軸) 6 2011 2013 (%) アパート価格・賃料の前期比 (四半期) 注) ジャカルタ首都圏のアパートの 平米当り販売価格と賃料 直近値は2016年10-12月期 40 販売価格 30 50 米 (左軸) 潜在的な資金の取り手は中小銀行。しかし、彼らの多くはレポ取引の経験や知識もな 長行である大手外銀を中心に教育プログラムが実施されているとのことでした。 100 60 高官によれば、目下の課題は担保となるSPNの発行残高不足と資金取引需要の少なさ く、日々の担保洗換え(m-t-m)なども難しい模様です。現在は金融市場委員会の共同会 (千ルピア) 70 節を円滑に行うためにも重要であり、その育成は優先課題である模様です。 とのことでした。現在、多額の流動性ゆえに大手銀行と大手外銀は借入需要がなく、 2010 (年) 【図8】 鈍化するコメの小売価格(左)、落込むアパート賃料(右) 節の比重を高めています。市場のリスク許容度が低下し海外投資家が保有するSBNを し、大手外銀の一部は、同国法制との整合性等が定かでないため未調印とのこと)。BI 3ヵ月後 出所)インドネシア中央統計局(BPS)、インドネシア銀行(BI)、CEIC 中央銀行は資金調節を債券レポ取引にシフト 既に多くの銀行(主要外銀も含む)が国際マスター・レポ契約(GMRA)に調印済み(ただ 注) 直近値は 2017年1月 140 コア物価 2006 の債券レポ取引の普及を図っているとのことでした。 保として活用しているとのことでした。銀行間レポ市場の活性化は、BIによる資金調 6ヵ月後 180 4 0 インフレ期待指数 (月次) 190 6 の資金取引を促し金融市場の発展を促す意図もあると説明。現在は、とりわけ銀行間 売却しルピア建ての売却代金を米ドルに交換する局面で、BIは国債市場と為替市場で (ポイント) 200 8 われないという弊害がありました。今回面談したBI高官は、上記の制度変更は銀行間 (SBI)に代わり、ルピア建ての国債(SBN)や短期国債(SPN)によるレポ取引による資金調 消費者物価の前年比 (月次) 10 2 BIは、1980年代半ばより資金吸収の主たる手段として発行してきた中央銀行手形 (%) 2015 2017 20 10 20 0 10 -10 0 -20 (年) 賃料 2008 2010 2012 2014 2016 (年) 出所)インドネシア商業省、インドネシア銀行(BI)、CEIC 巻末の留意事項等を必ずご覧ください。 4 M アジア・マーケット・マンスリー 2017年3月号 【図9】 昨年11月より政策金利を据置き(左)、増加基調の外貨準備(右) 債券レポ市場など銀行間市場の育成に取組む当局 大手銀行と中小銀行の財務力格差は大きく、大手行は中小銀行への与信枠(クレジッ (%) ト・ライン)を設定しいていないため、銀行間の無担保貸付も不活発。BI高官によれば、 大手行は余剰資金の9割程度をBIに預入れている模様です。BIは、担保付のレポ取引が 政策金利と銀行間金利 (日次) 14 銀行間翌日物 注) 政策金利は2016年8月19日 金利(細線) よりBI金利→7日物 12 1月初より大手米国銀行が国債のプライマリー・ディーラー(PD)資格を剥奪されたこ 政策金利 翌日物貸出金利 主要外銀による粘り強い説得でこれを思い留まったとの指摘も聞かれました。 ジャカルタ知事選挙は4月の決選投票が確定 政治面では、2月15日のジャカルタ知事選挙が強い関心を集めていました。現職のバ 6 4 ジョコ大統領がジャカルタ知事を務めた際に副知事であったアホック氏は高い行政 2 2007 トップであった同知事の支持率は、上記発言が問題化した直後に10%と最下位にまで 低下。しかし、その後選挙直前にかけてアニス氏と僅差の30%前後まで回復しました。 2011 2013 2015 2017 (年) 直近値:2017年2月 400 2008 15,000 2010 2012 2014 2016 (年) 【図10】 経常収支は対外配当支払い等で4-6月期に季節的に悪化 (右) 主要新興国通貨の対米ドル相場騰落率 (億米ドル) (2016年12月30日~2017年3月9日) アジア NIEs 東南 アジア 南アジア 中南米 的なミスを犯しました。イスラム系団体は知事にイスラム教徒を選ぶべきとの主張を ば、最大5年の懲役が科される見込みです。高い指導力と実行力ゆえに45%と3候補中 2009 14,000 外貨準備(棒:左軸) 出所)インドネシア銀行(BI)、CEIC、Bloomberg 同氏は歯に衣着せぬ発言でも知られ、昨年9月末の演説でのイスラム教の聖典への言及 強めており、知事の退任や拘留や投獄を求める運動も活発化。上記罪状で有罪となれ 13,000 500 手腕で知られます。ジョコ氏の大統領就任に伴って知事に昇格し、知事選は今回が初。 を巡って宗教冒涜罪に問われるなど、華人系キリスト教徒という少数派としては致命 12,000 600 (コリドー下限) のアホック氏が過半数に足りず、得票数2位のアニス氏との決選投票が4月19日に行わ れることが決定。世論調査と市場の事前予想通りの結果となりました。 11,000 700 FasBI金利 スキ・チャハヤ・プルナマ知事(通称アホック)、アニス・バスウェダン元教育相、アグ ス・ユドヨノ氏(ユドヨノ前大統領の長男で軍部出身)の三つ巴の選挙は、得票数トップ 10,000 800 き合い方の難しさを感じさせました。なお、当局は全てのPDに対して「明確な根拠な く投資環境を批判するレポートを公表しない」との念書を求めることも検討したものの、 9,000 ルピア高 ↕ ルピア安 900 と2015年のルピア建て国債見通しの引下げも財務省幹部の怒りを買っており、今回3回 目となったのでPD資格剥奪という措置に至ったのではないかと指摘。同国当局との付 直近値:2017年3月9日 1,000 (コリドー上限) 8 ダーウェイト」に引下げたことが資格剥奪の原因という報道は「おそらく事実」というの が現地の市場参加者に共通する見方でした。一部の市場参加者は、同社による2010年 8,000 1,100 とも、現地市場参加者の話題でした。1月初の記者会見で、財務省高官は同社のレポー トは「信用できない」と批判。同社がインドネシア株式を「オーバーウェイト」から「アン 1,400 1,200 10 (ルピア/米ドル) ルピア相場 (線:右軸) 1,300 リバースレポ金利に変更 直近値は2017年3月9日 普及すれば中小銀行への貸付も活性化すると期待しているとのことでした。 ((( (( 為替相場と外貨準備 (億米ドル) 1,500 欧州 中東 アフリカ 80 韓国 台湾 シンガポール マレーシア タイ フィリピン インドネシア インド ブラジル メキシコ コロンビア ペルー ポーランド ハンガリー トルコ 南アフリカ (%) 経常収支の四半期別平均額 注) 1994-2016年の経常収支の 四半期別単純平均額 60 貿易 40 20 0 -5 所得 経常収支 -4 -2 0 2 4 6 経常移転 (線:右軸) -60 -6 15 5 サービス -20 -8 20 10 0 -40 (億米ドル) 1-3 月期 4-6 月期 -10 -15 7-9 月期 10-12 月期 出所)インドネシア中央統計局(BPS)、CEIC、Bloomberg 巻末の留意事項等を必ずご覧ください。 5 M アジア・マーケット・マンスリー 2017年3月号 現ジャカルタ知事敗北ならジョコ政権に逆風か アグス氏の支持母体が強硬派イスラム教徒に限られるのに対し、穏健派イスラム教 徒を支持母体とするアニス氏は、アグス氏を支持していた強硬派のイスラム教徒の支 持を集められる見込みです。仮にアグス氏との決選投票であれば、穏健派イスラム教 徒の票が流れアホック氏勝利の可能性が高かったものの、相手がアグス氏であれば、 アホック氏の敗北の可能性は高いとの指摘が複数の市場参加者から聞かれました。 【図11】 2013-14年当時に比べ、大きく縮小した経常赤字 (億米ドル) 120 125 80 100 60 経常移転 40 20 別州予算に依存。知事が実行力に優れたアホック氏から穏健で慎重なアニス氏に交代 0 した場合、インフラ投資が遅延するとみる市場参加者が多いようです。ジョコ大統領 -20 がジャカルタ知事から大統領に転じて以降、同知事職は大統領候補への登竜門とみな -40 されています。プラボウォ・グリンドラ党党首はアニス氏を支持しており、同氏勝利な -60 ら次期大統領選挙を意識し、ジョコ大統領との対決姿勢を強化する可能性が高い模様 -80 です。現在、プラボウォ氏は政権への攻撃を控えているものの、こうした状況は変化 -100 する可能性があるとみられます。また、連立与党に参加したゴルカル党は日和見主義 -120 ルピアは4-6月期に軟調となりその後は底堅く推移か (億米ドル) 150 100 ジャカルタ市内の公共交通機関などのインフラ投資は、国家予算よりジャカルタ特 であり、ジョコ大統領と距離を置き始める可能性も無視できない模様です。 経常収支 (四半期) 国際収支 (四半期) 総合収支 75 その他 投資 50 財貿易 サービス 経常収支 25 直接投資 0 経常収支 証券投資 -25 -50 所得 -75 -100 注) 直近値は 2016年10-12月期 2006 2008 2010 2012 2014 2016 注) 直近値は 2016年10-12月期 -125 -150 (年) 2006 2008 2010 2012 2014 2016 (年) 出所)インドネシア銀行(BI)、CEIC 【図12】 インドネシア出張時の撮影写真より 通貨ルピアは、年初より3月9日にかけて対米ドルで+0.64%上昇(図9右)。フィリピン (同▲1.31%)やマレーシア(同+0.58%)を上回るも、韓国(同+4.31%)、台湾(同+3.99%)、 シンガポール(同+1.85%)等に劣りました(図10左)。昨年11月8日の米大統領選挙から年 末にかけての米ドル高局面での下落率が▲2.9%と韓国の▲6.1%を下回り、年初からの ドル安局面での反発は限定的。また、主要先進国と中国の景気が同時に拡大しアジア 諸国からの輸出数量が伸びる中で、内需主導の同国より外需依存度の高く株式市場の 規模の大きい韓国、台湾、シンガポール等が選好されている面もあるとみられます。 今後は、4月のジャカルタ知事選挙の決選投票にかけて高まる政治的な不透明感、対 外配当支払等に伴って4-6月期に悪化する経常収支の季節性(図10右)などから、ルピア は一時的にやや軟調となるでしょう。しかし、底堅い景気拡大、相対的に高い実質金 利、縮小する経常赤字(図11)、増強された外貨準備(図9右)、健全な財政運営、現政権 の経済改革に伴って改善する成長力、改善する交易条件など、同国通貨の支援要因は 健在です。当面やや軟調な展開が見込まれる同通貨もその後は底堅く推移し、相対的 写真) 左上:ジャカルタ市内のインドネシア 財務省債務管理局(DMO) 左下:建設中の高層ビル (ジャカルタ中心部) 右上:ジャカルタの金融街に駐車する 国内最大手会社のタクシー に高金利の同通貨への投資の総合収益率は相応に高くなると予想されます。(入村) 出所:筆者撮影 巻末の留意事項等を必ずご覧ください。 6 M アジア・マーケット・マンスリー 2017年3月号 【アジア・マーケット・ウォッチ】 (1) 株価 (すべて指数) 中国 90 台湾 390 370 80 香港 15,000 14,000 600 350 70 330 13,000 60 310 12,000 韓国 650 550 290 50 40 250 2013 2014 2015 2016 10,000 2013 (年) 500 11,000 270 シンガポール 2014 2015 2016 450 2013 (年) 2014 マレーシア 1,900 2015 2016 2013 (年) タイ 680 2014 2015 2016 (年) 2016 (年) 2016 (年) インドネシア 600 7,000 550 6,500 500 6,000 450 5,500 400 5,000 660 1,800 640 1,700 620 600 1,600 580 1,500 560 540 1,400 520 1,300 500 2013 2014 2015 2016 350 2013 (年) フィリピン 2014 2015 2016 4,500 2013 (年) ベトナム 1,500 700 1,400 650 1,300 900 450 2014 2015 2016 (年) 850 1,100 800 950 700 900 650 600 800 550 700 2014 2015 2016 (年) 2015 750 850 2013 2014 スリランカ 1,150 750 2013 2013 (年) 1,000 550 500 2016 1,050 1,200 1,000 2015 インド 600 1,100 2014 500 2013 2014 2015 2016 (年) 2013 2014 2015 注1)直近値は、2017年3月9日。 注2)ベトナムとスリランカはMSCIフロンティア・マーケット インデックス、その他はMSCI オールカントリー・ワールド インデックスの国別指数(現地通貨ベース、配当込み)。 巻末の留意事項等を必ずご覧ください。 出所)MSCI、Bloombergより当社経済調査部作成 7 M アジア・マーケット・マンスリー 2017年3月号 【アジア・マーケット・ウォッチ】 (2)自国通貨建国債利回り (%) (%) 中国 5.0 4.5 (%) 台湾 1.4 (%) 香港 1.8 1.6 1.2 韓国 3.5 3.0 1.4 4.0 1.0 1.2 2.5 0.8 1.0 2.0 3.5 3.0 0.8 0.6 2.5 2.0 0.4 2013 (%) 2014 2015 2016 0.4 2013 (年) シンガポール (%) 2.5 1.5 0.6 2014 2015 2016 1.0 2013 (年) マレーシア 2014 4.0 4.0 3.5 3.8 3.0 3.6 2.5 3.4 2.0 3.2 1.5 2016 2013 (年) タイ (%) 4.2 2015 (%) 2014 2015 2016 (年) 2016 (年) 2016 (年) インドネシア 10.0 9.5 2.0 9.0 1.5 8.5 8.0 7.5 1.0 7.0 0.5 3.0 2013 2014 2015 2016 フィリピン (%) 1.0 2013 (年) 2014 9.0 5.0 8.0 4.5 2015 2016 6.0 2013 (年) ベトナム (%) 5.5 6.5 2014 2015 2016 2013 (年) インド (%) 2014 スリランカ (%) 9.5 13.0 9.0 12.0 8.5 11.0 7.0 8.0 10.0 6.0 7.5 9.0 7.0 8.0 6.5 7.0 2015 4.0 3.5 5.0 3.0 2.5 4.0 2013 2014 2015 2016 注) すべて5年国債利回り、直近値は、2017年3月9日。 巻末の留意事項等を必ずご覧ください。 (年) 6.0 2013 2014 2015 2016 (年) 6.0 2013 2014 2015 2016 (年) 2013 2014 2015 出所)Bloombergより当社経済調査部作成 8 M アジア・マーケット・マンスリー 2017年3月号 【アジア・マーケット・ウォッチ】 (3)アジア通貨の対ドル相場 中国元 6.0 台湾ドル 29 香港ドル 7.74 6.2 30 7.76 1,050 6.4 31 7.78 1,100 6.6 32 7.80 1,150 6.8 33 7.82 1,200 7.0 34 2013 2014 2015 2016 7.84 2013 (年) シンガポール・ドル 2014 2015 2016 マレーシア・リンギ 1.20 1.25 30 3.2 31 2014 2015 2016 2013 (年) 2014 2015 2016 (年) インドネシア・ルピア 10,000 アジア通貨高 ドル安 11,000 32 3.6 1.35 アジア通貨安 ドル高 タイ・バーツ 3.0 3.4 1.30 アジア通貨高 ドル安 1,250 2013 (年) 韓国ウォン 1,000 33 12,000 34 13,000 3.8 4.0 1.40 35 4.2 1.45 1.50 4.6 2013 2014 2015 2016 (年) 37 2013 フィリピン・ペソ 2014 2015 2016 45 47 49 60 130 62 135 64 140 66 145 68 150 23,000 2015 2016 (年) 70 2013 2014 2015 注) 単位は、アジア通貨/米ドル(1米ドル=アジア通貨)、直近値は、2017年3月9日。 巻末の留意事項等を必ずご覧ください。 2016 (年) 2014 2015 2016 (年) スリランカ・ルピー 21,000 22,500 2014 2013 (年) 125 50 51 2016 インド・ルピー 22,000 48 2015 58 21,500 46 2014 20,500 43 44 アジア通貨安 ドル高 15,000 2013 (年) ベトナム・ドン 42 2013 14,000 36 4.4 アジア通貨高 ドル安 アジア通貨安 ドル高 155 2013 2014 2015 2016 (年) 2013 2014 2015 2016 (年) 出所)Bloombergより当社経済調査部作成 9 M アジア・マーケット・マンスリー 2017年3月号 留意事項 ◎投資信託に係るリスクについて ◎為替変動リスク 投資信託は、主に国内外の株式や公社債等の値動きのある証券を投資対象としているため、当該資産の市場に おける取引価格の変動や為替の変動等により基準価額が変動します。したがって、投資者のみなさまの投資元本 が保証されているものではなく、基準価額の下落により損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。運用 により信託財産に生じた損益はすべて投資者のみなさまに帰属します。 投資信託は預貯金と異なります。また、投資信託は、個別の投資信託毎に投資対象資産の種類や投資制限、取 引市場、投資対象国等が異なることから、リスクの内容や性質が異なりますので、ご投資にあたっては投資信託 説明書(交付目論見書)、目論見書補完書面等をよくご覧ください。 海外の株式や公社債、REIT、オルタナティブ資産は外貨建資産ですので、為替変動の影響を受けます。そ のため、為替相場が円高方向に進んだ場合には、投資元本を割り込むことがあります。 新興国への投資は上記リスクに加えて以下のカントリーリスクを伴います。 ◎投資信託に係る費用について ご投資いただくお客さまには以下の費用をご負担いただきます。 ■購入時(ファンドによっては換金時)に直接ご負担いただく費用 ・購入時(換金時)手数料 … 上限 3.24%(税込) ※一部のファンドについては、購入時(換金時)手数料額(上限 37,800円(税込))を定めているものがあ ります。 ■購入時・換金時に直接ご負担いただく費用 ・信託財産留保額 … ファンドにより変動するものがあるため、事前に金額もしくはその上限額またはこれらの 計算方法を表示することができません。 ■投資信託の保有期間中に間接的にご負担いただく費用 ・運用管理費用(信託報酬) … 上限 年3.348%(税込) ※一部のファンドについては、運用実績に応じて成功報酬をご負担いただく場合があります。 ■その他の費用・手数料 上記以外に保有期間等に応じてご負担いただく費用があります。投資信託説明書(交付目論見書)、目論見書 補完書面等でご確認ください。 ※その他の費用・手数料については、運用状況等により変動するものであり、事前に金額もしくはその上限 額またはこれらの計算方法を表示することができません。 お客さまにご負担いただく費用の合計額もしくはその上限額またはこれらの計算方法は、購入金額や保有期間 等に応じて異なりますので、表示することができません。 《ご注意》 上記に記載しているリスクや費用項目につきましては、一般的な投資信託を想定しております。費用の料率につ きましては、三菱UFJ国際投信が運用するすべての公募投資信託のうち、ご負担いただくそれぞれの費用にお ける最高の料率を記載しております。投資信託に係るリスクや費用は、それぞれの投資信託により異なりますの で、ご投資をされる際には、事前によく投資信託説明書(交付目論見書)、目論見書補完書面等をご覧ください。 各資産のリスク ◎株式の投資に係る価格変動リスク 株式への投資には価格変動リスクを伴います。一般に、株式の価格は個々の企業の活動や業績、市場・経済の 状況等を反映して変動するため、株式の価格の下落により損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。 ◎カントリーリスク 新興国への投資は、先進国への投資を行う場合に比べ、投資対象国におけるクーデターや重大な政治体制の変 更、資産凍結を含む重大な規制の導入、政府のデフォルト等の発生による影響を受けることにより、市場・信 用・流動性の各リスクが大きくなる可能性があります。この場合、有価証券等の価格の下落により損失を被り、 投資元本を割り込む可能性が高まることがあります。 本資料に関してご留意頂きたい事項 ■本資料は、投資環境等に関する情報提供のために三菱UFJ国際投信が作成した資料であり、金融商品取引法に 基づく開示資料ではありません。本資料は投資勧誘を目的とするものではありません。 ■投資信託は、預金等や保険契約とは異なり、預金保険機構、保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。 銀行等の登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の補償の対象ではありません。 ■投資信託は、販売会社がお申込みの取扱いを行い委託会社が運用を行います。 ■本資料の内容は作成時点のものであり、将来予告なく変更されることがあります。 (作成基準日:2017年3月10日) ■本資料は信頼できると判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性等を保証するもので はありません。 ■各ページのグラフ・データ等は、過去の実績・状況であり、また、見通しないし分析は作成時点での見解を示 したものです。したがって、将来の市場環境の変動や運用状・成果を示唆・保証するものではありません。 また税金・手数料等は考慮しておりません。 ■本資料に示す意見等は、特に断りのない限り本資料作成日現在の三菱UFJ国際投信経済調査部の見解です。 また、三菱UFJ国際投信が設定・運用する各ファンドにおける投資判断がこれらの見解に基づくものとは限りま せん。 ■投資信託をご購入の場合は、販売会社よりお渡しする最新の投資信託説明書(交付目論見書)の内容を必ずご 確認のうえ、ご自身でご判断ください。 ■クローズド期間のある投資信託は、クローズド期間中は換金の請求を受け付けることができませんのでご留意 ください。 本資料中で使用している指数について MSCI オールカントリー・ワールド インデックス、 MSCIフロンティア・マーケット インデックス(出所:MSCI):ここに掲載される全ての情報は、 信頼の置ける情報源から得たものでありますが、その確実性及び完結性をMSCIは何ら保証するものではありませ ん。またその著作権はMSCIに帰属しており、その許諾なしにコピーを含め電子的、機械的な一切の手段その他あ らゆる形態を用い、またはあらゆる情報保存、検索システムを用いて出版物、資料、データ等の全部または一部 を複製・頒布・使用等することは禁じられています。 ◎公社債の投資に係る価格変動リスク 公社債への投資には価格変動リスクを伴います。一般に、公社債の価格は市場金利の変動等を受けて変動する ため、公社債の価格の下落により損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。 ◎信用リスク 信用リスクとは、有価証券等の発行者や取引先等の経営・財務状況が悪化した場合またはそれが予想された場 合もしくはこれらに関する外部評価の悪化があった場合等に、当該有価証券等の価格が下落することやその価値 がなくなること、または利払いや償還金の支払いが滞る等の債務が不履行となること等をいいます。この場合、 有価証券等の価格の下落により損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。 ◎流動性リスク 有価証券等を売却あるいは取得しようとする際に、市場に十分な需要や供給がない場合や取引規制等により十 分な流動性の下での取引を行えない場合または取引が不可能となる場合、市場実勢から期待される価格より不利 な価格での取引となる可能性があります。この場合、有価証券等の価格の下落により損失を被り、投資元本を割 り込むことがあります。 国内株式・国内債券への投資は上記のリスクを伴います。海外株式・海外債券への投資は上記リスクに加えて以 下の為替変動リスクを伴います。 巻末の留意事項等を必ずご覧ください。 10
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