太陽光発電システム搭載邸のゼロエネルギー達成度 及び蓄電池搭載邸の運転実績調査(2016)について ~ゼロエネルギー住宅の普及強化、エネルギー自給自足型住宅を目指して~ ■ZEH相当以上のゼロエネルギー邸が 65%、家電込みゼロエネルギー邸も 40%に ■光熱費ゼロ以下邸が 70%を占める ■FIT終了後を見据えた蓄電池搭載邸の電力自給率は45%に 2017 年 3 月 9 日 積水化学工業株式会社 積水化学工業株式会社 住宅カンパニー(プレジデント:関口俊一)では、このほど太陽光発電システム (以下、PV)とホームエネルギーマネジメントシステム(以下、HEMS)搭載住宅のゼロエネルギー 達成度及び蓄電池の運転実績調査を実施しました。 今回は、2015 年 1 月~12 月の間にご入居済みセキスイハイムのうち、2,658 邸の 2016 年 1 月~12 月 の消費電力量・発電電力量・電力量収支について、設置されているコミュニケーション型HEMS 「スマートハイム・ナビ」のデータを活用し分析。その結果、①家電込みゼロエネルギー邸が 40%、 ②ZEH相当邸が 25%に達し、ZEH相当以上のゼロエネルギー邸が 65%(①、②の合計)に達してい ました。また、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(以下、FIT)の買い取り期間の終了後を見据え、 定置型リチウムイオン蓄電池「e‐Pocket(イー・ポケット) 」の搭載邸 757 邸における蓄電池の放電量の 実績把握と、将来の電力の自給自足を想定した運転の効果を試算検証しました。その結果、ゼロエネルギー が実現可能なPV容量の邸に蓄電池を併設した場合、電力自給率を 45%に高めることができ、今後拡大が 期待されるエネルギー自家消費型住宅への道筋がつけられました。 調 査 結 果 の ポ イ ン ト 1.太陽光発電システム搭載邸のゼロエネルギー達成度調査 (1)ZEH相当以上のゼロエネルギー邸が 65%、家電込みゼロエネルギー邸が 40%に ①「家電込みゼロエネルギー邸」が 40%、②「ZEH相当邸」25%となり、 この結果、PV搭載邸の65%(①、②の合計)がゼロエネルギーを達成しました。 (2)家電込みゼロエネルギー邸の年間光熱費収支は約 17.6 万円のプラス 電力量収支は「家電込みゼロエネルギー邸」でマイナス 3,341 ㎾h/年 (中央値) 、年間光熱費収支では、プラス 17.6 万円(中央値)となりました。 (3)光熱費ゼロ※1以下邸が 70%を占める ①、②のゼロエネルギー達成邸ではほとんどが、③「Nearly ZEH相当邸」 の約 4 割が光熱費ゼロ以下となっていました。 N=2658 2.蓄電池搭載邸の運転実績調査 蓄電池搭載邸の放電量の実績把握と将来の電力の自給自足を想定した運転の効果を試算検証するため、 「蓄電池搭載実邸の運転実績調査」も実施しました。 (1)グリーンモード※2時の蓄電池稼働率は 80%(計算値) グリーンモード運転の場合は、年間の放電量試算結果は中央値で 1,750 ㎾h/年、容量あたりの放電 量は 251 ㎾h/年、平均稼働率は約 80%となり、より蓄電池を活用できることが分かりました。 (2)グリーンモード時の電力自給率は 45%(計算値) グリーンモード運転の場合、電力自給率は 45%。ゼロエネルギー達成度調査の母集団全てが蓄電池なし とした場合、電力自給率は 23%と想定され、22%向上することが分かりました。 ※1 光熱費ゼロ:PV余剰電力の売電収入が電力会社への支払い金額(買電)を超えるもの ※2 グリーンモード:自立優先モード、PVから充電し、夜から朝に放電 1 ■今回の調査の背景と狙いについて 2015 年 12 月に「ZEHロードマップ検討委員会」にて、国のZEH定義が明確化され普及の方策が示さ れました。当社では国のエネルギー基本計画にZEH普及が明記された 2010 年より「PV搭載住宅の電力 量収支実邸調査」を実施してきました。これは、ロードマップ委員会取りまとめに記載されている「自主的 な目標設定と進捗管理」 「家電等を含む実際のエネルギー消費量とZEHの定義で対象としているエネルギ ー消費量の違いについてのわかりやすい情報提供」を先取りするものと捉えています。また、2017 年 1 月 の経済産業省新エネルギー小委員会資料では、エネルギー貯蔵技術、再エネ自家消費電力量のあり方等が 今後の検討課題にあげられており、今後PV電源の有効活用策として蓄電池との併用が想定されますので、 今回はすでに併用導入しているお客様の実績を調査しました。 ■調査概要 1.太陽光発電システム搭載邸のゼロエネルギー達成度調査(2016) 調査目的:PV搭載住宅の消費電力量、発電電力量、電力量収支の把握 調査対象:セキスイハイムでHEMS設置のオール電化※3&PV搭載邸(2015 年 1 月~12 月の間に入居) に対して、2016 年 1 月~12 月の消費電力量、発電電力量などを調査 調査地域:全国(有効母数 2,658 邸) ※3 HEMS設置のオール電化の定義:調理・給湯・暖房に電気以外(灯油、ガス等)を使わないユーザーで、 HEMSにより全消費電力量が計測されている邸 ※4 今回の調査では家電消費電力を分離して測定できていませんので、省エネルギー基準における家電消費電 力相当(120 ㎡以上の住宅で 2,173kWh/年)を使ってゼロエネルギー達成度を計算しています。 2.蓄電池搭載邸の運転実績調査(2016) 調査目的:蓄電池搭載邸における放電量の実績把握 将来の自給自足を想定したグリーンモード運転の効果を試算・検証 調査対象:上記1.のゼロエネルギー達成度調査該当邸の内、蓄電池を搭載している邸に対して 2016 年 1 月~12 月の放電電力量等を調査 調査地域:全国(有効母数 757 邸) ■調査結果の概要 1.太陽光発電システム搭載邸のゼロエネルギー達成度調査 (1)ZEH相当以上のゼロエネルギー邸が 65%、家電込みゼロエネルギー邸が 40%に ①「家電込みゼロエネルギー邸」が 40%、②「ZEH相当邸」25%この結果、ZEH 相当以上のゼロエネ ルギー邸が 65%(①、②の合計)に達していたことが判明しました。 2 (2)家電込みゼロエネルギー邸の年間光熱費収支は約 17.6 万円のプラス 「家電込みゼロエネルギー邸」 (上記円グラフ①)は 1073 邸で、家族数の平均値は 3.4 人、中央値はP V搭載容量 8.91 ㎾、発電電力量 10,118 ㎾ h/年、消費電力量 6,777 ㎾ h/年となり、電力量収支はマイ ナス 3,341 ㎾h/年でした。 A:⺟集団 ①〜④合計 電⼒量収⽀ <中央値> PV搭載容量 発電量 内⾃家消費量 消費電⼒量 電⼒収⽀ 家族数<平均値> B:家電込みゼロエネルギー ① 2016年 2015年 2014年 2016年 2015年 2014年 5.70 6524 1760 7676 1152 3.6 5.33 6210 1795 7887 1677 3.6 4.8 5877 1739 8123 2246 3.6 8.91 10118 1659 6777 -3341 3.4 7.92 9073 1572 6177 -2896 3.4 5.51 6794 1276 5482 -1312 3.1 kW kWh/年 kWh/年 kWh/年 kWh/年 ⼈ 光熱費に換算すると「家電込みゼロエネルギー邸」の中央値は、売電で電力量 8,459 ㎾ h/年、収入 28.4 万円。また、買電で電力量 5,118 ㎾ h/年、支出 10.8 万円となり、光熱費の収支はプラス 17.6 万円となっていました。 A:⺟集団 ①〜④合計 光熱費収⽀ <中央値> B:家電込みゼロエネルギー ① 2016年 2015年 2014年 2016年 2015年 2014年 4764 5916 -33.6 21.2 4415 6092 -37 20.6 4138 6384 -38 20.5 8459 5118 -33.6 21.2 7501 4605 -37 20.6 5518 4206 -38 20.5 kWh/年 売電⾦額 -160,000 -163,000 -157,000 -284,000 -278,000 -210,000 円/年 買電⾦額 125,000 125,000 131,000 108,000 95,000 86,000 円/年 年間光熱費収⽀ -35,000 -38,000 -26,000 -176,000 -183,000 -124,000 円/年 売電電⼒量 買電電⼒量 売電単価 ※5 買電単価 ※6 kWh/年 円/kWh 円/kWh ※5 売電単価:エリアごとに異なる売電単価を調査棟数比で案分した値 ※6 買電単価:燃料調整費、再エネ賦課金等も考慮し弊社で算出した想定値 2016 年は前年に比べ電力収支は改善した一方、光熱費収支に関して悪化していますが、これは売電価格が 約 3.4 円/㎾ h 低下したこと、買電価格が 0.6 円/㎾ h 上昇したことによるものです。 (3)光熱費ゼロ以下邸が 70%を占める 売買電力量と売買単価の掛け合わせによる個別邸の光熱費試算を行ったところ、①「家電込みゼロ エネルギー邸」及び②「ZEH相当邸」ではほとんどが、③「Nearly ZEH相当邸」の約 4 割が 光熱費ゼロ以下となり、全体では光熱費ゼロ以下邸が 70%を占めていました。 3 2.蓄電池搭載邸の運転実績調査 蓄電池搭載邸の放電量の実績把握と将来の電力自給自足を想定した運転の効果検証のため、FIT適用 中のユーザーが利用している経済モードと、FIT終了後に運用が予想されるグリーンモードの 2 つを対象 に「運転実績調査」を実施しました。経済モードは実際の運転実績値を、グリーンモードは消費電力量、 発電量の年間実績に基づく試算値にて分析を行いました。 * 当社の搭載している蓄電池はグリーンモード(自立優先モード:PVから充電し、夜から朝に放電) 、経済モード(経済 優先モード:深夜電力を充電し朝晩に放電) 、非常運転モード(停電時モード)の 3 つのモードで運転ができます。 * 757 邸(前年 1368 邸)を対象にしており、平均容量は 6.98 ㎾h/邸(前年 6.67 ㎾h/邸)となっています。 (1)グリーンモード時の蓄電池平均稼働率は 80%(計算値) 経済モード運転の場合、年間の放電量実績は中央値で 1,401 ㎾h/年(前年 1,312 ㎾h/年) 、容量 あたりの放電量は 201 ㎾h/年(同 197 ㎾h/年) 、平均稼働率は約 65%となっていました。一方、 グリーンモード運転の場合は、 年間の放電量試算結果は中央値で 1,750 ㎾h/年 (同 1,590 ㎾h/年) 、 容量あたりの放電量は 251 ㎾h/年(同 238 ㎾h/年) 、平均稼働率は約 80%となり、より蓄電池を活用 できることが分かりました。 蓄電池の放電量比較 (kWh/年) 経済モード運転(深夜電⼒を充電) 中央値は 1,312 ㎾h/年(2015 年) 中央値は 1,401 ㎾h/年(2016 年) グリーンモード運転(PVから充電) 中央値は 1,590 ㎾h/年(2015 年) 中央値は 1,750 ㎾h/年(2016 年) *放電可能量約 6 ㎾h/日の蓄電池を採用、1 年 365 日フル稼働したとすると、最大 2,200 ㎾h(≒6×365)の放 電が可能。想定される稼働率は 経済モードで 1,401 ㎾h/2,200 ㎾h≒65%、グリーンモードで 1,750 ㎾h /2,200 ㎾h≒80% (2)グリーンモード時の電力自給率は 45%(計算値) また、グリーンモード運転の場合、電力自給率は 45%となりました。今回のゼロエネルギー達成度調査 の母集団全てが蓄電池なしとした場合の電力自給率は 23%(≒1,760 ㎾ h/7,676 ㎾ h)と想定され、22% 向上することが分かりました。 (何れも中央値) 蓄電池のグリーンモード運転の効果 売 電 率= A /(発電量) 電⼒⾃給率=(C+E)/(消費電⼒量) 当社では、将来的にFITの買い取り期間が終了した後に想定される電力購入単価がPV発電電力の売電 単価を上回るようになった際に、 PV電源の有効活用策として、 蓄電池の搭載等をさらに推進していきます。 この件に関するお問い合わせは下記までお願いします。 積水化学工業株式会社 〒105‐8450 東京都港区虎ノ門 2-3-17 虎ノ門 2 丁目タワー ■住宅カンパニー 広報・渉外部 塩、辻、岩本 ℡:03‐5521‐0584 4
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