タイにおけるムスリム市場への対応について バンコック駐在員事務所 小沢 康正 サワディーカップ。今回は『タイにおけるムスリム市場への対応』についてレポート致します。 今顕在化しつつある巨大市場「ムスリム市場(ムスリムとは神に帰依する者を意味するアラビア語でイスラム教徒の こと)」に対して、海外の非ムスリム国(ムスリムが居住している割合の少ない国)の都市や市場が、どのように対応して いるかについて研究されておかれることはとても重要なことであろうと考えます。そこで今回はタイにおけるムスリム市場 への対応についてまとめましたので、ムスリム向けの商売を検討される際の一助としていただければ幸甚です。 クレジットカード大手のマスターカードではムスリムに評価の高い観光国を数値化した Global Muslim Travel Index 2016 を発表しています。タイは非ムスリム国人気ランキングでシンガポールについで第 2 位となっており、2014 年にタイ観光 省が発表したムスリム観光客数は約 4 百万人で、タイ国内ムスリム人口も約 4 百万人となっています。 ムスリム観光客が増加している要因の一つとして、タイのメディカルツーリズムの発展を挙げることができると思います。 タイのメディカルツーリズムは 2000 年頃から急速に成長し、各高級民間病院は国際認証の JCI 認証を取得し、海外富裕 層患者を受け入れています。2016 年時点でおよそ 2.5 百万人以上が医療目的や検診目的でタイを訪問しています。 タイ・バンコックで高級病院チェーンを運営しているバンコク・デゥシット・ホスピタルでは、病院一階フロアにてムスリム 国からの海外旅行者向け通訳サービスや診察フォローサービスを実施、ビザの延長サービスまで対応しています。 また同チェーンの中核病院であるバムルンラード・ホスピタルでは海外からの患者売上貢献比率が 65%を超えており、 単純計算で 20 万人のムスリムが同病院を医療目的で訪問しています。 上記のように、タイではムスリム対応で成果を出している事例はありますが、日本においては現実的にはまだまだムス リムの方を迎えるに十分な準備・PR 等が足りておらず、ムスリム対応により大きなメリットを感じたという事例が多くない 状況です。 しかし成果を出しているタイ政府は 2015 年、ハラル対応のレストランなどを検索できるモバイルアプリを導入。近年増 えつつあるムスリム観光客への対応を重視しています。 またバンコックで初となるムスリム観光客へ対応した「ハラル・ホテル」が 2015 年にオープンしました。モスクのような 外観をとりいれた4つ星ホテル「アル・メロス」には、礼拝のための部屋が2つ、ハラル対応メニューを置くレストランが3つ あり、ムスリム観光客の取り込みに注力しております。 巨大市場「ムスリム市場」への対応は一筋縄ではいきませんが、先行者メリットを享受すべく検討してみてはいかが でしょうか。 2903 広告審査済
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