俳句の世界 前編 柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺 目次 ①私の城下町 ②不思議の森 ③男のブランド ④渡来草 ⑤オランダからの贈りもの ⑥コスモス ⑦自由の旗 ⑧日本の秋 ⑨落栗 ⑩石積 ⑪黒葡萄 ①私の城下町 日本情緒豊かな博多の町を旅していたら 突然、江戸時代にタイムスリップしてしまった どれぐらいの時間が経過しただろう? わたしは、格子戸をくぐり抜け、空を見上げていた あたりは、もう、夕景色 鳥たちも列を組んでネグラに帰って行く 実に長閑(のどか)だ 誰が歌うのだろう?子守歌だけが聞こえてきた ②不思議の森 今まで 鳴いていた あたり一面は 一瞬 鳥たちの声も 消え 静寂に包まれた カシャッ 愛子のカメラのシャッターの音だけが 私は ここに 来た覚えは無い でも、昔 見た様な情景に 将来 再び ここに来る様な 懐かしさが沸く 運命的なものも 何故だろう? 彼女は 木霊した しばし 我を忘れていた 感じる ③男のブランド 写真の男は吾輩だ。この凛々しい姿を見てくれ! エルメス?シャネル?ブルガリ?舌をかむ様な名前だ 女性って、ブランドが余程、お好きと見える 男は、そんな虚飾のブランドなど歯牙にもかけず、前進あるのみ 肩ひじ張って歩いた為か?少し、疲れた。ここで、一服。 胸ポケットからシガレットケースを取り出す やっぱり、煙草は「マールボロ」だな! ④渡来草 「渡来草」。あまり馴染みのない言葉。多分、近隣から、我が国にやってきたのだろう。 動物の外来種とは違って、植物の場合は、生態系を崩さないのだろうか? こんな野暮な心配は止めて、この草の堂々たる姿を鑑賞しようではないか! しっかり、異国の地で根を張り、黄金に輝いているではないか! だが、住み慣れた土地ではなく、馴染みのない土地で、生き抜くということは、きっと、 大変なことだったろう? ああ、何と崇高な、雑草の生命力。我々、人間もこうありたいものだ! ⑤オランダからの贈りもの 今では、オランダという国は、サッカーのワールドカップぐらいの時にしか馴染みのない 国だが、我が国にとって、非常にお世話になった国だ。この国が無ければ、明治維新も なく、我が国の近代化もなかった。オードリーは、神戸で日本とオランダの絆を感じた 様であるが、大阪にも適塾という私学があった。大村益次郎とか福沢諭吉という、日本 の近代化の推進した若者たちが、ここで蘭学を学び、西洋の知識を吸収したのだ。 そういう観点に立ってみれば、中国も韓国も、我が国が、大変、お世話になった国。 冷静になって、もう一度、絆について、考えても良い機会かも知れない ⑥コスモス 心を癒してくれる写真だ。俳句も良い。でも、何故、こんな可憐な花が 雄大な、宇宙という意味を持つ「コスモス」と名付けられたのだろう? この花を見守る様に、周囲の、あらゆる植物たちが、否、動物たちも含め、 秩序正しく、しかも、伸び伸びと、棲息しているからか。 まるで、このブログに登場するヒララ姫やオードリー姫のようだ。 ⑦自由の旗 発祥は、信仰の自由を求めたピューリタンが、メイフラワー号に乗り、やってきた17世 紀。建国は、宗主国イギリスの圧砕から独立を勝ち取った18世紀。 現在では、「自由の女神」の像が、世界の人々を迎え、要請があれば、自由を守るため、 どこにでも駆けつける。自由の国の盟主、アメリカ合衆国。 彼らは、国歌「星条旗よ 永遠なれ」を高らかに歌い、空にアメリカンフラッグを翻す。 ところで、彼らが守る「自由」とは何なんだろう?作者は疑問を投げかけたい。 僕たちにとっても、一度、冷静になって、考えても良い機会かも知れない ⑧日本の秋 日本の秋。我が国には、四季がある。 春の樹々が芽吹く風景も好きだが、成熟の秋の風景も味わい深く、大好きだ。 「散る葉さえ」なんと謙虚な言葉だろう。その散りゆく葉が、 「大地を彩っている」という。 何と味わいのある日本の秋だろうか?ワビ・サビの世界だ。 葉は、ひときわ鮮烈な輝きを放って散っていく。それが、僕たちの心をうつのだろう。 美しく紅葉するには、気温の大きな寒暖差が必要とのこと。 僕たち、これからの人生の総仕上げをするにあたって、様々な出来事が、起きるかも知れ ない。しかし、僕は、紅葉の如く、美しく散りたいと思う。 ⑨落栗 晩秋の森の中で。風のいたずらか、それとも自分の重さで落ちたのか。落ち栗が転がってい る。誰も、気がつかない。気がついても、他人を寄せ付けないようなイガのため、拾う者は 居ない。しかし、堅い針の殻からつややかな実が。 人間だってそうだ。口ベタのためか、心を閉ざし、他人を寄せ付けない雰囲気の方が、結 構、居るものだ。しかし、一旦、心を開くと、誠実な人柄が見えてくるものだ。 オードリーは、晩秋の景色を愛でながらも、同時に「どんな人にでも、先入観を捨てて、 話していきなさい」と諭しているのだろう。そう思えてならない句でもある ⑩石積み 土井晩翠の作詞した「荒城の月」で、夜半(よわ)の月に照らし出された、 かつて栄えた古城は、ものの哀れを誘うが、この写真の城は、天守すら無い。 過去の戦火で焼失したのだろう。今は、再建も見捨てられ、石積みがあるだけ。 最盛時は、多くの武士が、町人が、生き生きとして、往来したことだろう。 そして、幾組の物語が繰り広げられたのだろう? それを知っているのは、この石積みだけ ⑪黒葡萄 秋の夕暮れ。古都の茶店で、葡萄を頬張りながら談笑する 元気一杯の女高生の一群が、葡萄を頬張っている。青春真っ盛りだ! 秋色とは、夕日に照り輝く、顔女たちの指先の果汁の色だ。健康の色だ。 葡萄じゃなく、柿では、ここで、法隆寺の鐘が鳴るのだろうが。
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