郡市医師会より 老舗料亭のオードブル 佐々木綾子

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郡市
医 師 会 より
老舗料亭のオードブル
佐 々 木 綾 子
村上市岩船郡医師会は会員数の少ない医師会で
なっており、意匠を凝らした天井や壁、古い硝子
すが、毎月1回開催される学術講演会は盛況で、
を使った窓などを見ることができます。部屋は大
多くの先生方が参加されます。もちろん研修が目
広間の他に大小の座敷があり、2名から10名様ま
的ですが、講演会終了後に医師会館で開催される
で幅広く利用でき、ひとつひとつに個性的なしつ
懇親会も楽しみの一つです。それは提供される
らえがされています。こちらの「鮭の酒びたし」
オードブルが、地元の老舗料亭で料理されたもの
は絶品で、少し焼いても美味しくいただけます。
で、とても美味しいからです。
善蔵(ぜんぞう)は東京・築地の有名割烹「日
毎月順番に違うお店にお願いしていますが、新
本料理つきぢ田村」で修行を積んだ料理人「晃央」
多久、能登新、吉源、善蔵、千渡里などが特に好
が主に腕を振るいます。ふるさと村上ならではの
評です。村上市街はお城山を中心にして、朝日連峰
「素材」を無駄なく美味しく活かし、たくさん手
を背に、三面川が日本海に注ぐ歴史ある城下町で、
を加えるのではなく、
「素材」に合った正直な料
人口の割には立派な割烹・料亭が多い地域です。今
理を頑に守り続けていきたいと話しています。毎年
回はそれらのお店をいくつかご紹介したいと思います。
11月には、三遊亭王楽さんによる「〆張鶴しぼりた
新多久(しんたく)は慶応3年(1867年)創業
て落語会」が開催され、
いつも満席の盛況ぶりです。
で、「錦鱗閣」、「新多久」と名前を変えましたが、
千渡里(ちどり)は料亭ですが、カジュアルに
平成18年4月に新たな出発をして10年になりま
も楽しむことができるお店です。ご家族での食事
す。春には桜マス、夏には岩ガキや三面川の鮎、
から、各種会合接待・ご宴会など幅広いジャンル
秋には鮭、冬はのど黒にズワイ蟹、年中通しての
で活用できます。気軽に利用できるカウンターや
村上牛。ランチもおすすめです。本館も立派です
小上がりは、夜になると地元常連さんの集まる場
が、離れの個室「松風」は12畳ほどの広さで、気
所となります。一人で行っても、女将さんや娘さ
持ちよく手入れされた庭に面し、軒先には村上名
んたちが優しく話し相手をしてくれます。
「ダア
物の鮭が吊されています。12名くらいまでのグ
マタ丼」という変わった名前の海鮮どんぶりが有
ループにおすすめです。
名です。ダアマタとは村上弁で「当たり前」とい
能登新(のとしん)は江戸時代から続く創業
う意味です。美味しいのは当たり前?のどんぶり
270年の老舗で、鮭料理の種類の多さは村上一で
でしょうか。
しょう。また、村上牛本来の油の甘みをいかした
県北村上にも遅い春が訪れ、3月1日から4月
「にぎり寿司」や、村上牛と村上茶をコラボさせ
3日まで、
「第18回城下町村上町屋の人形さま巡
た、村上牛の「茶ぶちゃぶ」が好評です。これは
り」が開催されます。また7月6日、7日は新潟
沸騰させた村上茶の中で、牛肉をしゃぶしゃぶに
県無形民俗文化財にも指定されている村上大祭が
することで、牛肉の生臭さが消え、お茶のうまみ
行われ、19台の絢爛たる「おしゃぎり」が練り歩
がプラスされるというものです。
き、いつもは静かな町を熱気に包みます。そして
吉源(よしげん)も江戸時代から180年の歴史
宮尾酒造、大洋酒造のお酒も皆様をお待ちしてお
を持ち、現在のご店主で6代目に当たります。建
ります。
是非、
足をはこんでいただければ幸いです。
物は重厚な和風建築で、国の登録有形文化財と
新潟県医師会報 H29.2 № 803
(村上市岩船郡医師会理事)