水産業復興へ向けた現状と課題

水産業復興へ向けた現状と課題
平 成 2 9 年 3 月
目
東日本大震災からの水産の復旧・復興状況
1 水揚げについて
次
5 水産加工・流通施設の復旧・復興について
製氷・貯氷施設(宮城県気仙沼市)
ワカメ一次処理施設(岩手県宮古市)
水産加工施設(宮城県石巻市)
被災3県(岩手、宮城、福島) の水揚状況の推移
2 漁港の復旧について
漁港施設の災害復旧工事の実施状況
各漁港の復旧について
大船渡漁港(岩手県大船渡市)、大槌漁港(岩手県大槌町)、
気仙沼漁港(宮城県気仙沼市)、女川漁港(宮城県女川町)、
石巻漁港(宮城県石巻市)、志津川漁港(宮城県南三陸町)、
松川浦漁港(福島県相馬市)
3 漁船漁業の復旧・復興について
共同利用漁船等復旧支援対策事業:岩手県宮古市・岩手県釜石市
漁業・養殖業復興支援事業:さんま棒受網漁船(岩手県大船渡市)
漁業・養殖業復興支援事業 復興計画認定状況
4 養殖業の復旧・復興について
ワカメ:岩手県田老町
カキ:宮城県石巻市
6 漁場の復旧について
7 水産物の放射性物質調査について
8 海水・海底土のモニタリングについて
9 福島県の漁業再開について
10 風評被害対策について
(巻末参考)
災害復旧工事の円滑な執行について
住まいの場の復興
生業の場の復興
東日本大震災からの水産の復旧・復興状況
•
•
水揚げについては、震災前年比で水揚量70%、水揚金額90%。
漁港の復旧については、被災した漁港の99%が陸揚げ可能。
項目
0
1 水揚げ
岩手・宮城・福島各
県の主要な魚市場の
水揚げの被災前年比
(22年3月-23年2月
合計)
(319漁港が被災)
陸揚げ岸壁の機能回
復状況
進捗状況・現況
40
60
20
39 %
H23.2-24.1
(181 千t)
62 %
水揚量
H26.2-27.1
H27.2-28.1
70 %
79 %(367千トン)
74 %(345千トン)
H24.2-25.1 H25.2-26.1
(285千t) (325千t)
47 %
70 %
水揚金額
H24.2-25.1
(560億円)
H28.2-29.1
(323千トン)
81 %
93 %(743億円)
87 %
90 %
H25.2-26.1 H26.2-27.1
(649億円) (695億円)
H28.2-29.1
(722億円)
(潮位によっては陸揚げ可能)
平成25年3月末現在
47%(149漁港)
36%(115漁港)
(全延長の陸揚げ機能回復)
(部分的に陸揚げ機能回復)
83%(264漁港)
15%
(48漁港)
3%
(9漁港)
2 漁港
平成27年3月末現在
65%(208漁港)
31%(99漁港)
96%(307漁港)
1%
(2漁港)
平成29年1月末現在
82%(262漁港)
17%(54漁港)
99%(316漁港)
平成25年3月末実績
平成27年3月末実績
平成29年1月末実績
(約113kmの岸壁が被災)
被災岸壁の復旧状況
28%
65%
77%
備 考
岩手 57%
( 79.4千㌧)
宮城 76%
( 235.6千㌧)
福島 75%
( 8.2千㌧)
70 %
H27.2-28.1
H23.2-24.1
(375億円)
(%)
100
80
岩手 84%
( 162.9億円)
宮城 93%
( 549.1億円)
福島 55%
( 9.9億円)
[岩手県]
久慈、宮古
釜石、大船渡
[宮城県]
気仙沼、女川
石巻、塩釜
[福島県]
小名浜
○平成28年度末までに、被災した
漁港の全てにおいて、岸壁の復旧
により陸揚げが可能(部分的に可
能な場合を含む。)となることを
目指す。
また、平成30年度末までに防波
堤等を含め全ての漁港施設の復旧
完了を目指す。
○平成29年1月末現在、被災した
319漁港のうち、99%にあたる
316漁港において、陸揚げが可能
(部分的に可能な場合を含む。)。
岩手県、宮城県、福島県の内訳
は次のとおり。
岩手県:100%(108漁港)
宮城県: 99%(141漁港)
福島県: 80%( 8漁港)
○北海道、青森県、千葉県で被災
した岸壁は、復旧完了済み。
1
東日本大震災からの水産の復旧・復興状況
•
•
漁船の復旧目標(2万隻)については、92%まで進捗。
直近年のワカメ、ホタテ、ギンザケの養殖生産量は、震災前年比で約7~9割。
項目
0
進捗状況・現況
40
60
20
3 漁船
岩手 4,217 隻
宮城 3,186 隻
福島
192 隻
(約2.9万隻が被災)
復旧目標(27年度末ま
でに2万隻)に対する状
況
46%
(9,195隻)
※24年3月末時点
(%)
100
80
岩手 8,852 隻
宮城 7,284 隻
福島 362 隻
岩手 7,768 隻
宮城 5,358 隻
福島 256 隻
77%
92%
(15,308隻)
(18,439隻)
※25年3月末時点 ※28年12月末時点
備 考
24年度中に、水産基本計画
の目標(25年度末までに1万2
千隻)は達成。
平成28年度以降は原発事故
の影響で復旧が遅れている福
島県について被災地の要望を
踏まえ回復を目指す。
ワカメ養殖( 22年漁期 (2~5月) 34,439トン )
23年漁期
3,742トン
( 11 % )
26年漁期
23,100トン
( 67 % )
25年漁期
24年漁期
27,379トン 30,414トン
( 79 % ) ( 88 % )
28年漁期
27年漁期
24,597トン
25,799トン
( 71 % )
28年漁期 24年漁期
27年漁期
23年漁期
( 75 % )
25年漁期
5,358トン 5,633トン
7,205トン
0トン
( 39 % ) ( 41 % ) ( 52 % ) 8,502トン
(0%)
( 61% )
26年漁期
6,904トン
カキ養殖(22年漁期(9~5月)4,031トン)
( 50 % )
25年漁期
26年漁期
23年漁期 24年漁期
27年漁期
1,476トン
2,139トン
354トン 719トン
2,360トン
( 37 % )
( 53 % )
( 9 % )( 18 % )
( 59% )
コンブ養殖( 22年漁期 (3~8月) 13,817トン )
養殖
4
岩手県・宮城県の主要な
養殖品目の漁協共販数量
の被災前年比(22年漁期)
※ワカメ、コンブ、ギンザ
ケ養殖の直近完了漁期は平
成28年漁期。
ホタテ養殖(22年漁期(4~3月) 14,873トン)
23年漁期
56トン
( 0.4 % )
24年漁期
5,130トン
( 34 % )
25年漁期
9,245トン
( 62 % )
26年漁期
11,677トン
( 79 % )
ギンザケ養殖( 22年漁期(3~8月) 14,750トン )
23年漁期
0トン
( 0%)
24年漁期
9,448トン
( 64 % )
25年漁期
11,619トン
( 79 % )
26年3月末で養殖業再開希望
者の養殖施設の整備が完了。
※
コンブ養殖は、同一施設で生
産できるワカメ養殖への転業や
低気圧被害等により、生産が伸
び悩んでいる。
※
カキ養殖は、むき身加工の人
手不足等により、生産が伸び悩
んでいる。
27年漁期
12,313トン
( 83 % )
26年漁期
11,978トン 28年漁期
( 81% )12,159トン
( 82% )
27年漁期
13,007トン
( 88 % )
2
東日本大震災からの水産の復旧・復興状況
加工流通施設の復旧については、再開を希望する水産加工施設の約9割が業務再開。
がれきにより漁業活動に支障のあった定置及び養殖漁場のほとんどで撤去が完了。
•
•
項目
5
0
被災3県で被害があった
産地市場(34施設)
加工
流通
施設
進捗状況・現況
40
60
20
65%
(22施設が業務再開)
※23年12月末
(%)
100
80
岩手:100 %(13施設)
宮城:100 %( 9施設)
福島: 8 %( 1施設)
68 %
(23施設が業務再開)
※29年1月末
備 考
岩手県及び宮城県の産地市場
は、22施設すべてが再開。
岩手: 92%(183施設)
宮城: 94%(424施設)
福島: 81%(122施設)
被災3県で再開を希望する
水産加工施設(804施設)
55%
74%
(418施設が業務再開)
※24年3月末
(608施設が業務再開)
※25年3月末
6 がれき
岩手: 94 %(127ヶ所)
宮城: 96 %(831ヶ所)
福島:要望なし
がれきにより漁業活動に支
障のある定置漁場
992ヶ所
(再流入箇所含む)
がれきにより漁業活動に支
障のある養殖漁場
1,130ヶ所
(再流入箇所含む)
岩手: 97 %(138ヶ所)
宮城:100 %(850ヶ所)
福島:要望なし
91%
(729施設が業務再開)
※28年12月末
99%
(988ヶ所)
※29年1月末
95 %
(958ヶ所)
※24年3月末
岩手: 93 %(143ヶ所)
宮城: 72 %(655ヶ所)
福島: 50 %( 3ヶ所)
岩手: 98 %(159ヶ所)
宮城: 99 %(944ヶ所)
福島:100 %( 11ヶ所)
75 %
99%
(801ヶ所)
※24年3月末
(1,114ヶ所)
※29年1月末
がれきの残る一部の漁場につ
いて、29年度も引き続き支
援を実施。
福島県においては、10市町
から定置・養殖漁場以外の漁
場の支援要望があり、新地町
及び相馬市については大部分
でがれきの撤去が完了。南相
馬市でがれき回収に着手。
(28年12月末時点)
3
1 被災3県 (岩手、宮城、福島) の水揚状況の推移
(t)
(3県)
・サンマについては、漁場が遠くに
形成されたため、水揚げが少なかっ
た。
・アキサケは、平23、24年級の放
流数が震災の影響により減少したこ
とに加え、海洋環境の変化などによ
り、漁獲量は前年より約2割減少し
た。
・サバについてはまき網船による水
揚げが増加したため、前年を上回っ
た。
・スルメイカについては、漁獲の主
体となる冬生まれ群の資源量が減少
したため、水揚げが少なかった。
・カツオの水揚げは、ほぼ前年並み
となった。
(t)
(岩手県)
・サンマについては、漁場が遠く
に形成されたため、水揚げが少な
かった。
・アキサケは、震災の影響に加え
海洋環境の変化などにより、漁獲
量が半減した前年よりさらに約1
割減少した。
・サバの水揚げは、ほぼ前年並み
となった。
・スルメイカについては、漁獲の
主体となる冬生まれ群の資源量が
減少したため、水揚げが少なかっ
た。
・カツオの水揚げは、ほぼ前年並
みとなった。
(t)
(宮城県)
・サンマについては、漁場が遠く
に形成されたため、水揚げが少な
かった。
・アキサケは、震災の影響に加え
海洋環境の変化などにより、漁獲
量は前年より約4割減少した。
・サバの水揚げは、まき網船によ
る水揚げが増加したため、前年を
上回った。
・スルメイカについては、漁獲の
主体となる冬生まれ群の資源量が
減少したため、水揚げが少なかっ
た。
・カツオの水揚げは、ほぼ前年並
みとなった。
(t)
(福島県)
・サンマについては、漁場が遠
くに形成されたため、水揚げが
少なかった。
・アキサケは、試験操業のうち
の一部の漁法で少数が漁獲され
るのみである。
・サバの水揚げは、まき網船に
よる水揚げが増加したため、前
年を上回った。
出典
漁業情報サービスセンター
聞き取り及びHP
4
2 漁港の復旧について①
○平成29年1月末で被災漁港319漁港のうち316漁港で陸揚げ岸壁の機能が回復。
○平成29年1月末で約86.9kmの被災岸壁が復旧。
漁港施設の災害復旧工事の実施状況
県名
陸揚げ岸壁の機能が回復した漁港
(H29年1月末現在)
被災漁港数
全延長が回復
被災岸壁の復旧延長
(H29年1月末現在)
部分的に回復
岩手
108
97漁港( 90%)
11漁港(10%)
35.4km( 86%)
宮城
142
100漁港( 70%)
41漁港(29%)
34.6km( 64%)
福島
10
7漁港( 70%)
1漁港(10%)
6.9km( 94%)
茨城
16
15漁港( 94%)
1漁港( 6%)
8.6km( 93%)
その他
43
43漁港(100%)
319
262漁港( 82%)
計
-
1.4km(100%)
54漁港(17%)
復旧岸壁での水揚げ(宮城県女川漁港)
86.9km( 77%)
岸壁の復旧状況(岩手県音部漁港)
被災後
復旧後
5
漁港の復旧の事例(大船渡漁港(岩手県大船渡市))
漁港の概要
● 岩手県大船渡市、第3種、県管理
岩手県
復旧の概要
● 平成29年1月末現在、被災岸壁延長3,512mのうち、2,554mが復旧完
了(約7割)。陸揚げ岸壁については、約8割が利用可能。
●
被災当時の状況
位置図
盛岡
大船渡漁港
今後、残された防波堤等の早期復旧に取り組む。
● 平成26年4月「大船渡新魚市場」の一部供用を開始し、平成28年2月に
全ての施設が完成。
~本復旧工事の実施状況~
~漁業活動の再開状況~
満潮時冠水解消
施工前(岸壁の沈下)
施工後(岸壁嵩上げ)
水揚げが可能に!!
岸壁嵩上げ後
漁船係留状況
大船渡新魚市場(H27.7)
さば水揚げ(H28.7)
さんま水揚げ(H28.10)
かき種苗間引き(H28.5)
6
漁港の復旧の事例(大槌漁港(岩手県上閉伊郡大槌町))
漁港の概要
● 岩手県上閉伊郡大槌町、第3種、県管理
復旧の概要
● 平成29年1月末現在、被災岸壁延長2,637mのうち、2,133mが復旧
完了(約8割)。陸揚げ岸壁については、全ての施設が利用可能。
●
今後、残された護岸等の早期復旧に取り組む。
被災当時の状況
位置図
岩手県
盛岡
大槌漁港
● 平成25年12月に「大槌新魚市場」が完成し、屋内での作業が可能とな
り品質が向上。
~本復旧工事の実施状況~
施工前(岸壁の倒壊)
施工前(物揚場の倒壊)
~漁業活動の再開状況~
施工後(岸壁復旧)
大槌新魚市場(H25.12)
施工後(物揚場復旧)
サケ水揚げ(H25.10)
アワビ水揚げ(H25.12)
サケ水揚げ(H25.10)
7
漁港の復旧の事例(気仙沼漁港(宮城県気仙沼市))
被災当時の状況
漁港の概要
● 気仙沼漁港:宮城県気仙沼市、特定第3種、県管理
位置図
気仙沼漁港
復旧の概要
● 平成29年1月末現在、被災岸壁延長4,066mのうち、2,904mが復
旧完了(約7割)。主要な陸揚げ岸壁については、水産庁が災害復旧工
事を実施し、平成26年10月に復旧完了。
● 今後、残された臨港道路等の早期復旧に取り組む。
● 現在、魚市場の整備を平成29年度内の完成を目標に実施中。
宮城県
仙台
平成23年6月19日 朝日航洋(株)撮影
~本復旧工事の実施状況~
~漁業活動の再開状況~
サンマの水揚げ
岸壁の復旧工事
施工前
施工前
津波による
岸壁流出
施工後
岸壁の嵩上げ復旧
前面側に変位し、沈下
施工後
岸壁の嵩上げ復旧
セリの様子
8
漁港の復旧の事例(女川漁港(宮城県牡鹿郡女川町))
被災当時の状況
漁港の概要
● 女川漁港:宮城県牡鹿郡女川町、第3種、県管理
位置図
復旧の概要
● 平成29年1月末現在、被災岸壁延長2,990mのうち、2,611m
が復旧完了(約9割)。陸揚げ岸壁にあっても、約9割が利用可能。
女川漁港
宮城県
仙台
● 今後、残された臨港道路等の早期復旧に取り組む。
● 魚市場について、東棟が平成27年6月、中央棟が平成28年8月に完
成。西棟については、平成29年4月に完成予定。
平成23年6月19日 朝日航洋(株)撮影
~本復旧工事の実施状況~
物揚場の復旧工事
岸壁の復旧工事
施工前
~漁業活動の再開状況~
岸壁が沈下
施工前
沈下により海水が
流入し、冠水
中央棟
東棟
女川魚市場
施工後
施工後
岸壁の嵩上げ復旧
物揚場の嵩上げ復旧
カツオの水揚げ
9
漁港の復旧の事例(石巻漁港(宮城県石巻市))
漁港の概要
● 石巻漁港:宮城県石巻市、特定第3種、県管理
被災当時の状況
位置図
復旧の概要
● 平成29年1月末現在、被災岸壁延長3,346mのうち、2,845mが復
旧完了(約9割)。主要な陸揚げ岸壁については、水産庁が災害復旧工事
を実施し、平成26年10月に復旧完了。
● 今後、残された防波堤等の早期復旧に取り組む。
石巻漁港
仙台
宮城県
● 水産物の高度衛生管理に対応した魚市場が平成27年9月に完成
平成23年6月9日 朝日航洋(株)撮影
(石巻市)。
~本復旧工事の実施状況~
岸壁の復旧工事
~漁業活動の再開状況~
臨港道路の復旧工事
石巻市魚市場(H28.1)
施工前
施工後
岸壁が沈下
岸壁の嵩上げ復旧
施工前
満潮時に海水が
流入し、冠水
施工後
道路の嵩上げ復旧
完成した魚市場内
のセリの様子
10
漁港の復旧の事例(志津川漁港(宮城県本吉郡南三陸町))
被災当時の状況
漁港の概要
● 志津川漁港:宮城県本吉郡南三陸町、第2種、県管理
位置図
復旧の概要
志津川漁港
● 平成29年1月末現在、被災岸壁延長1,568mのうち、1,541mが復
旧完了(約9割)。陸揚げ岸壁にあっても、約9割が利用可能。
● 今後、残された臨港道路等の早期復旧に取り組む。
仙台
● 水産物の高度衛生管理に対応した魚市場が平成28年6月に完成(南三陸
町)。
宮城県
平成23年3月28日 朝日航洋(株)撮影
~本復旧工事の実施状況~
~漁業活動の再開状況~
岸壁の復旧工事
岸壁の復旧工事
施工前
施工前
岸壁の沈下
岸壁の沈下
完成した魚市場内
でのセリの様子
施工後
施工後
岸壁の嵩上げ復旧
南三陸町魚市場(H28.6)
岸壁の嵩上げ復旧
11
漁港の復旧の事例(松川浦漁港(福島県相馬市))
魚市場(原釜地区)の被災
漁港の概要
● 松川浦漁港:福島県相馬市、第3種、県管理
復旧の概要
● 平成29年1月末現在、被災岸壁延長2,660mのうち、2,600mが
復旧完了(98%)。陸揚げ岸壁にあっては、全箇所の利用が可能。
●
今後、残された臨港道路等の早期復旧に取り組む。
●
海水浄化施設、給油施設、魚市場等の共同利用施設については、完成。
位置図
松川浦漁港
~漁業活動の再開状況~
福島市
魚市場(H28.9供用開始)
福島県
~本復旧工事の実施状況~
岸壁の被災
岸壁の復旧
魚市場での荷捌き
漁港全景写真(H28.3)
12
3 漁船漁業の復旧・復興について
<共同利用漁船等復旧支援対策事業>
(平成23年度補正予算387億円、平成24年度当初予算39億円、平成25年度当初予算29億円、
平成26年度当初予算17億円、平成27年度当初予算11億円、平成28年度当初予算4億円)
<漁業・養殖業復興支援事業>
(平成23年度補正予算818億円、平成24年度当初予算106億円)
漁船などに被害を受けた漁業者のために、漁業協同組合などが
漁船、定置網などの漁具を導入する場合に、国は、事業費の1/3
を補助し、あわせて都道府県が事業費の1/3以上を補助。
地域の漁業者が新しい操業形態の導入など、安定的な水産物の
生産体制を構築する場合、必要な経費(人件費、燃油費、販売費な
ど)について、水揚げ金額では賄えない部分の9/10、2/3又は
1/2を国が支援。
共同利用漁船等復旧支援対策事業の実績
がんばる漁業復興支援事業の認定を受けた漁船
漁船
(28年12月末時点)
定置網
○北海道
22隻
○青森県
82隻
9ヶ統
○岩手県 6,485隻 229ヶ統
○宮城県 3,482隻 177ヶ統
○福島県
229隻
○茨城県
2隻
1ヶ統
○富山県
6隻
○三重県
6ヶ統
計 10,308隻及び422ヶ統
※「ヶ統」とは、定置網を数える単位
活 用 事 例
採介藻漁船※(岩手県宮古市)
平成23年7月、漁協から漁業
者に引渡し。
※船上からヤス等を用いて貝類や海藻を
採捕するための漁船
定置漁船 (岩手県釜石市)
岩手県釜石東部漁協が復旧した大型
定置の網起しの漁船(19t)。
主として、三陸で重要な魚種である「秋
サケ」を水揚げする。
(平成29年1月末時点)
○北海道
○青森県
○岩手県
○宮城県
○福島県
○茨城県
○千葉県
○富山県
漁船 船団・定置網
9隻
1隻
6隻
77隻
2ヶ統
7ヶ統
1ヶ統
4ヶ統
11ヶ統
3ヶ統
1隻
計 94隻 及び 28ヶ統
※「ヶ統」とは、船団や定置網を数える単位
活 用 事 例
全国さんま棒受網地域漁業復興プロジェクト
さんま棒受網漁船 (岩手県大船渡市)
LED漁灯を活用した燃油消費量の削減、抵抗を受けない船形及
び低燃費主機関の導入よる低コスト化を図るとともに、漁獲直後に
船上で箱詰めを行い漁獲物の付加価値の向上を目指す。
13
漁業・養殖業復興支援事業
復興計画認定状況(平成29年1月31日時点)
青 森 県
宮 城 県
北海道
【漁船漁業】
平成23年 1件(八戸市)
平成24年 1件(八戸市)
平成25年 1件(八戸市)
H29.1.31現在:認定3件(1隻及び2ヶ統)
根室
岩 手 県
【漁船漁業】
平成23年 1件(大船渡市)
平成24年 3件(宮古市・釜石市、大槌町、大船渡市)
平成25年 5件(宮古市・釜石市、山田町、田野畑村、
大船渡市)
平成27年 1件(大船渡市)
平成28年 1件(宮古市・釜石市)
H29.1.31現在:認定11件(6隻及び7ヶ統)
【養殖業】
平成24年 32件(宮古市、山田町、大槌町、釜石市、
大船渡市、陸前高田市)
平成25年 7件(山田町、釜石市、大船渡市)
平成26年 2件(大船渡市)
H29.1.31現在:認定41件(493経営体)
八戸
田野畑
宮古
山田
大槌
釜石
大船渡
陸前高田
気仙沼
南三陸
東松島 女川
塩竃
石巻
亘理 七ヶ浜
魚津
千 葉 県
【漁船漁業】
平成24年 2件(銚子市、九十九里町)
H29.1.31現在:認定2件(3ヶ統)
福 島 県
【漁船漁業】
平成23年 2件(いわき市)
平成28年 1件(いわき市)
H29.1.31現在:認定3件(4ヶ統)
茨 城 県
東京電力
福島第一原発
富山県
いわき
その他
【漁船漁業】
平成23年 1件(北部太平洋大中型まき網・全体計画)
平成24年 2件(全国さんま棒受網・全体計画、
北海道根室市)
平成27年 1件(富山県魚津市)
H29.1.31現在:認定4件(10隻)
【養殖業】
平成24年 1件(三重県志摩市)
平成25年 1件(三重県南伊勢町)
H29.1.31現在:認定2件(19経営体)
【漁船漁業】
平成23年 4件(気仙沼市、女川町)
平成24年 8件(石巻市、気仙沼市、女川町、亘理町)
平成25年 1件(石巻市)
平成26年 1件(石巻市)
平成27年 4件(気仙沼市、女川町、石巻市)
平成28年 2件(気仙沼市、女川町)
H29.1.31現在:認定20件(77隻及び1ヶ統)
【養殖業】
平成23年 1件(東松島市)
平成24年 26件(気仙沼市、南三陸町、女川町、石巻市、
東松島市、塩竃市、七ヶ浜町、亘理町)
平成25年 4件(南三陸町、女川町、石巻市)
平成26年 1件(県下全域)
H29.1.31現在:認定32件(469経営体)
北茨城
三重県
南伊勢
志摩
神栖
銚子
九十九里
【漁船漁業】
平成23年 1件(神栖市)
平成24年 2件(北茨城市、神栖市)
平成26年 1件(北茨城市)
平成27年 3件(北茨城市、神栖市)
H29.1.31現在:認定7件(11ヶ統)
【漁船漁業】 認定50件、94隻及び28ヶ統
【養殖業】
認定75件、981経営体
※予算額 818億円(平成23年度3次補正)
106億円(平成24年度当初)
14
4 養殖業の復旧・復興について①
ワカメ養殖業における復旧事例
たろうちょう
岩手県(田老町漁協)
震災で、田老町漁協に所属するワカメ養殖
業者の養殖施設619台すべてが被災したが、
養殖施設については、平成27年12月末まで
に復旧がほぼ完了した。
平成23年秋からワカメ養殖を再開し、3年
目の平成26年漁期の生産量は、被災前の
70%まで回復した。
一方、4年目の平成27年漁期及び直近年
の平成28年漁期の生産量は、低気圧被害や
高水温による生育不良の影響があったもの
の、被災前の86%、84%となった。
なお、震災で被災した加工施設、冷蔵施設、
資材庫、計15棟については、4棟に集約し、
ボイル等の加工作業の効率化や、製品の均
質化を図っている。
震災前
(H22)
生産量
(トン:割合)
生産額
(百万円:割合)
H26.2-4月期
H27.2-4月期
H28.2-4月期
1,784
1,253
70%
1,530
86%
1,498
84%
193
93
48%
134
69%
159
82%
出典:田老町漁協
ワカメ養殖施設
収穫
出典:岩手県
出典:田老町漁協
陸揚げされた養殖ワカメ
ワカメ加工場
出典:田老町漁協
出典:田老町漁協
注:共販関係統計資料(JF岩手漁連)
ワカメの加工作業(くき取り)
加工ワカメ製品
15
4 養殖業の復旧・復興について②
カキ養殖業における復旧事例
いしのまきわん
宮城県(宮城県漁協石巻湾支所)
震災で、宮城県漁協石巻湾支所に所属する
カキ養殖業者の養殖施設1,253台すべてが
被災したが、養殖施設については、平成27年
12月末までに復旧が完了した。
現地では、平成23年10月からカキ養殖を
再開し、平成25年度漁期の生産量は被災前
の80%にまで回復した。
平成26年度漁期は種ガキの減耗のため生
産量は被災前の65%にとどまったが、平成27
年度漁期には、カキの生育にも恵まれ、生産
量は震災前の92%、生産額は99%まで回復
した。
出典:宮城県
養殖中のカキ
カキ養殖施設
出典:宮城県
収穫
震災前(H22)
生産量
(トン:割合)
生産額
(百万円:割合)
H25.9-H26.5
H26.9-H27.5
出典:宮城県
共同カキ処理場
H27.9-H28.5
328
100%
261
80%
212
65%
301
92%
427
100%
254
59%
354
83%
422
99%
注:漁協聞き取り
出典:宮城県
カキのむき身作業
出典:宮城県
むき身カキの洗浄作業
16
5ー① 水産加工・流通施設の復旧・復興について
製氷・貯氷施設の活用事例
<製氷・貯氷施設>
○施設の整備箇所 気仙沼市魚市場前
○総事業費 : 1,985,300千円
(国費 : 1,323,533千円)
○事業実施主体: 気仙沼漁業協同組合
○完成年月日 : 平成24年10月22日
○施設の規模、能力
製氷 110㌧/日
貯氷 3,700㌧
水産加工・流通施設の活用事例
<鮮度保持施設>
○施設の整備箇所:宮城県石巻市
○総事業費:1,320,429千円(国費:864,025千円)
○事業実施主体:渡波水産加工業協同組合
○完成年月:平成26年5月
○施設の規模、能力
冷凍・凍結庫30㌧/日、立体自動冷蔵庫3,920㌧
自動製氷 20㌧/日、自動貯氷庫75㌧
17
5ー② 水産加工・流通施設の復旧・復興について
~水産加工業の復興状況について~
○ 被災地の水産加工業の復興状況について、平成28年11月~平成29年1月にアンケート調査を実施。
○ 青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県の5県全体で、売上が8割以上回復した業者は47%であり、売上の回復
が遅れている。
○ 復興における問題点は、販路の確保・風評被害が31%で最も多い。次いで、人材の確保、原材料の確保も課題とし
て挙げられている。
売上の回復状況
全体
(240件)
青森県
(17件)
岩手県
(31件)
47%
6% 3%
2%5%
3%
4%
茨城県
(48件)
12%
10%
21%
13%
13%
8%
全体
10%
(240件)
%
6%
12%
3%
3% 3%
6%
41%
24%
12%
青森県
(16件)
77%
13%
2%
宮城県
2% 5% 7%
(88件) 3%
3%
福島県
(56件)
復興における問題点
10%
6%
26%
16%
19%
61%
11%
14%
17%
24%
11%
52%
13%
16%
5%2%5%
23%
13% 4% 4% 7%
9%
20%
4% 8%
8% 2% 6%
0%
20%
売上がない
20%以上30%未満
50%以上60%未満
80%以上90%未満
8%
6% 6%
10%
40%
60%
10%未満
30%以上40%未満
60%以上70%未満
90%以上100%未満
17%
23%
26%
14%
岩手県
(31件)
7%
宮城県
(89件)
10%
福島県
(56件)
12%
茨城県
(48件)
8%
25%
25%
39%
32%
21%
21%
7% 1%
14%
29%
30%
19%
31%
25%
6% 3%
7%
28%
10% 2%
23%
42%
2%
2%
26%
37%
7%1%
50%
80%
100%
10%以上20%未満
40%以上50%未満
70%以上80%未満
100%以上
0%
20%
施設の復旧
販路の確保・風評被害
資料:平成29年2月27日公表 水産庁「水産加工業者における東日本大震災からの復興状況アンケート(第4回)」
40%
60%
人材の確保
運転資金の確保
80%
原材料の確保
その他
100%
18
5ー③ 水産加工・流通施設の復旧・復興について
~水産加工業の復興に向けた取組について~
○ 売上の回復が遅れている水産加工業の復興を進めていくため、販路回復や新規開拓等に向けた取組を実施していくことが
必要。
○ 水産加工・流通の専門家による個別指導やセミナー等の開催、加工機器の整備等への支援を実施。
復興⽔産販路回復アドバイザー
2014年より、東北の⽔産物に詳
しく、商品開発や販路開拓のノウ
ハウに⻑けた者を「復興⽔産販路
回復アドバイザー」に任命。
マーケティングや新商品開発等を
⽀援。
アドバイザー数: 69名
(2017年1⽉現在)
東北復興⽔産加⼯品展⽰商談会
2016年6⽉に仙台で
開催(第1回⽬は
2015年)。東北地⽅
の⽔産加⼯業者等118
社が出展し、ブース展
⽰・個別商談・セミ
ナー等を実施。
2⽇間でのべ約5,000名が来場。
(新商品開発による販路拡⼤の事例)
サメの機能性効能を活かした「コ
ラーゲンつみれ」を商品化し、メ
ディアを使ったサメ⾁のPRを⾏
い、気仙沼のサメが注⽬される機
会を創出。
(労働⼒不⾜を緩和し、省⼈化した事例)
鮭フレークの製造⼯程で、最も⼈
員を必要とする頭部の切り落とし
や内臓処理を機械化することによ
り、製品鮮度品質の向上に加え、
製品原価の上昇を抑制。
19
6 漁場の復旧について
 本格的な操業再開に向けて、漁業者及び専門業者が行う漁場のがれき撤去を支援。
これまでの主な取組
○漁業者による取組
平成27年度までに、岩手県、宮城県及び福島県の3県において約102千トン
のがれきを撤去。平成28年度は、1月末現在で宮城県、福島県において約
329トンのがれきを撤去。
○専門業者による取組
(漁業者による撤去作業)
(専門業者による撤去作業)
岩手県、宮城県及び福島県の定置及び養殖漁場において、ほとんどの漁場でがれきの撤去を終了。
がれきの残る一部の漁場については、引き続き撤去を実施。
○漁場生産力向上のための技術開発調査等
平成24年度末までに藻場・干潟、沿岸漁場等の回復状況等の調査を実施し、この結果を踏まえ、平成25年度からは被災漁場
において沿岸漁業・養殖業を円滑に行うための改良漁具、漁場機能回復技術の開発等を実施(平成27年度で終了)。
これまでの成果
 定置漁場、養殖漁場、底曳網漁場をはじめ各種漁場でのがれき撤去が漁業・養殖業の再開に寄与した。
 沿岸漁業等復興のための技術開発により、改良漁具による効率的な漁獲方法等が明らかになった。
今後の主な取組
 今後も操業に支障のある漁場についてがれきの撤去を継続して実施。
20
7 水産物の放射性物質調査について
○ 調査にあたっては、主要生産品目及び前年度に50 Bq/kg超となった品目を調査。ま
た、表層、中層、底層といった生息域、漁期、近隣県の調査結果等を考慮。
○ 基準値に近い値が出た時や近隣県で高い値が出た時には、調査を強化。
○ 基準値を超過した場合、各自治体の要請による自粛や原子力災害対策本部長による出
荷制限の措置を実施。
自治体が中心となって調査計画策定
調査区域
 主要生産物
 50 Bq/kg超と
なったことのある
品目
>100 Bq/kg
調査頻度
 原則週1回
 漁期前の検査(カ
ツオ、サンマ等)
・1地点のみで基準値超え
となった場合は各自治体の
要請による自粛。
・複数の地点で基準値超え
となった場合は国による出
荷制限。
調査実施
 県域を区分
 各区域ごとの主要水
揚げ港で検体採取
調査対象魚種
≦100 Bq/kg
出荷
基準値に近い値となった場
合、出荷を自粛する自治
体・漁業団体もある。
調査強化
近隣県の調
査結果
自粛
出荷制限指示
基準値に近い値
【出荷制限等の実効性確保】
・対象魚種の水揚げは行わない(調査用検体を除く)。
・水揚げ港において市場関係者がこれを確認。
8
21
7 水産物の放射性物質調査について(福島県)
○ 福島県においては、平成23年4-6月期には100 Bq/kgを超える割合が約53%となっ
ていたが、事故後1年間でその割合は半減。平成24年4月以降は、事故後に50 Bq/kg以
上が検出された魚種に調査の重点を移して継続したが、それでも基準値を超える割合は低
下を続け、平成27年4-6月期以降は0.1%まで低下。
○ 海産魚においては、平成27年4月以降基準値を超えるものは検出されていない。
○ なお、試験操業を除き、沿岸漁業・底びき網漁業を自粛中。
100Bq/kg超
100Bq/kg以下
超過率
(検体)
総検体数:45,758検体
100Bq/kg超の検体数: 2,453検体
100Bq/kg以下の検体数:43,305検体
(超過率)
3,000
100%
44
15
2,500
3
2
0
0
6
35
3
1
114
2,000
52.7%
1,500
359
39.1%
34.6%
1,000
346
174
156 539 217 162
141
1,991 326
1,715 1,481 26.4%
404
22.1%
1,585 500
0
10
42
47
2
909 765 2,141 2,101 2,652 2,059 2,357 2,499 2,446 2,108 2,260 2,414 2,555 2,141 2,547 50%
2,188 0
12.8%
9.3% 7.6%
5.4% 2.2%
431 0.3%
0.1%
1,265 1.9% 1.7%1.6% 0.6% 0.4%
0.1%
0.1% 0% 0% 0% 0.1% 0%
H23 H23 H23 H24 H24 H24 H24 H25 H25 H25 H25 H26 H26 H26 H26 H27 H27 H27 H27 H28 H28 H28 H28 H29
4‐6 7‐9 10‐12 1‐3 4‐6 7‐9 10‐12 1‐3 4‐6 7‐9 10‐12 1‐3 4‐6 7‐9 10‐12 1‐3 4‐6 7‐9 10‐12 1‐3 4‐6 7‐9 10‐12 1
0%
21
22
7 水産物の放射性物質調査について(福島県以外)
○ 福島県以外においても、100 Bq/kgを超える割合は徐々に低下し、平成24年10-12
月期以降は1%を切るレベル。平成27年10-12月期は0.04%まで低下。
○ 海産魚においては、平成26年10月以降基準値を超えるものは検出されていない。
○ なお、基準値を超えている魚種は、国からの出荷制限指示等が出されているため、いず
れも市場に流通しないよう措置済み。
100Bq/kg超
100Bq/kg以下
超過率
(検体)
総検体数:57,646検体
100Bq/kg超の検体数: 542検体
100Bq/kg以下の検体数:57,104検体
(超過率)
100%
4,000
133
24
18
14
47
3,000
10
17
16
2
8
9
3
5
1
3
115
4
0
0
2
50%
2,000
42
3,463 1,000
1,556 2,025 34
35
6.6% 5%
0
498 652 2.6%
5.4% 3.7%
3,362 2,976 3,534 2,625 2,864 3,168 3,048 2,535 2,773 2,732 2,793 2,653 2,361 2,134 2,378 2,238 2,200 2,095 0
441 1.6% 0.5% 0.6% 0.7% 0.4% 0.6% 0.4% 0.3% 0.3% 0.1% 0.2% 0.1% 0.1%0.04% 0% 0.2% 0.1% 0% 0%
H23 H23 H23 H24 H24 H24 H24 H25 H25 H25 H25 H26 H26 H26 H26 H27 H27 H27 H27 H28 H28 H28 H28 H29
3‐6 7‐9 10‐12 1‐3 4‐6 7‐9 10‐12 1‐3 4‐6 7‐9 10‐12 1‐3 4‐6 7‐9 10‐12 1‐3 4‐6 7‐9 10‐12 1‐3 4‐6 7‐9 10‐12 1
0%
22
23
8 海水・海底土のモニタリング調査について
○ 福島県及び隣接県沿岸の海水・海底土中の放射性セシウム濃度は低下傾向。
海水(Bq/L)
5.1
海底土(Bq/kg乾土)
①
210
①
0.003
①
4.2
②
20
②
福島第一原発
170
0.003
②
2.5
③
9.2
③
960
③
9.3
0.003
(原子力規制委員会・文部科学省作成資料をもとに水産庁で編集)
24
9 福島県の漁業再開について


福島県沖における操業自粛が長期化する中、24年2月下旬に福島県漁連が福島県地域漁業復興協議会を設置。
24年6月下旬から、放射性物質の値が低い海域・種について試験的な操業・出荷を実施。
放射性物質の検査結果に基づき、順次対象種を追加するとともに操業海域を拡大。
◆福島県における漁業再開に向けた取組
~販売を伴う試験操業の実施~
試験販売時の放射性物質検査の概要
試 験 操 業 海 域 ( 平 成 2 9 年 1 月 現 在 )
○ 試験操業・販売に当たっては、①生鮮品については、
水揚げ時、②加工品については、水揚げ時と加工後の2
回、放射性物質の簡易検査を実施。
○ 検査結果等、試験操業の詳細は福島県漁連のHPで
随時公開。
http://www.jf-net.ne.jp/fsgyoren/siso/sisotop.html
漁獲物の流れ
加工品を検査
消 費 者
加工業者
流通業者
漁 業 者
漁獲物
を検査
・漁連が中心になって、放射性物質の検査、
販売物の管理等を実施。
今後の主な取組
 引き続き、福島県地域漁業復興協議会等における検討に参画し、漁業再開に向けた試験操業の取組を支援。
 福島第一原子力発電所の半径10km圏内を除く水域において、3月よりコウナゴを対象とした試験操業開始を決定。
25
(参考)福島県における試験操業・販売の状況
試験操業の対象種(平成29年1月31日現在:計97種)
【魚類 71 種】アイナメ、アオメエソ、アカカマス、アカガレイ、アカシタビラメ、アカムツ、アコウダイ、イシガレイ、イシカワシラ
ウオ、ウマヅラハギ、エゾイソアイナメ、オオクチイシナギ、カガミダイ、カツオ、カナガシラ、カンパチ、キアンコウ、キチ
ジ、クロウシノシタ、クロソイ、クロマグロ、ケムシカジカ、コウナゴ(イカナゴの稚魚)、ゴマサバ、コモンカスベ、コモンフ
グ、サブロウ、サメガレイ、サヨリ、サワラ、シイラ、ショウサイフグ、シラウオ、シラス(カタクチイワシの稚魚)、シログチ、
シロザケ、スケトウダラ、ソウハチ、タチウオ、チダイ、トラフグ、ナガヅカ、ナガレメイタガレイ、ニベ、ババガレイ、ヒガン
フグ、ヒラマサ、ヒラメ、ヒレグロ、ブリ、ホウボウ、ホシガレイ、ホシザメ、マアジ、マアナゴ、マイワシ、マガレイ、マコガレ
イ、マゴチ、マサバ、マダイ、マダラ、マツカワ、マトウダイ、マフグ、ミギガレイ、ムシガレイ、メイタガレイ、メダイ、ヤナギ
ムシガレイ及びユメカサゴ
【甲殻類 8種】 ガザミ、ケガニ、ズワイガニ、ヒゴロモエビ、ヒラツメガニ、ベニズワイガニ、ボタンエビ及びホッコクアカエビ
【イカ・タコ類 7種】 ケンサキイカ、ジンドウイカ、スルメイカ、マダコ、ミズダコ、ヤナギダコ及びヤリイカ
【貝類 9種】 アサリ、アワビ、エゾボラモドキ、シライトマキバイ、チヂミエゾボラ、ナガバイ、ヒメエゾボラ、ホッキガイ及びモス
ソガイ
【その他 2種】 オキナマコ、キタムラサキウニ
●底びき網漁業、刺網漁業、流し網漁業、沖合たこかご漁業、沿岸かご漁業、はえ縄漁業及び釣り漁業 上記97種類
●船びき網漁業 上記のうちイシカワシラウオ、シラウオ、コウナゴ(イカナゴの稚魚) 、シラス(カタクチイワシの稚魚)及び
サヨリ(5種類)
●潜水漁業 上記のうちアワビ、キタムラサキウニ(2種類)
●貝桁網漁業 上記のうちホッキガイ(1種類)
●アサリ養殖業 上記のうちアサリ(1種類)
●はもかご漁業、どう漁業 上記のうちマアナゴ(1種類)
※ 対象種追加の経緯は福島県漁連のHP参照 http://www.jf-net.ne.jp/fsgyoren/siso/sisotop.html
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10 水産物の風評被害対策
○ 水産物の信頼確保のため、関係都道県や業界団体と連携して、放射性物質調査を実施。平成23年3月から、調査の結果や
Q&Aを日本語及び英語でホームページに掲載し、正確でわかりやすい情報提供を実施。
○ 平成26年5月、3年間のモニタリング検査等の取組を総括し、「水産物の放射性物質検査に係る報告書について」として取りま
とめて公表するとともに、平成27年4月に新たな検査結果や調査研究を踏まえ当該報告書を更新・公表。これら報告書の英語
版も公表しており、国内外の消費者、外国政府等への説明に活用。
○ 消費者、流通業者や国内外の報道機関等に対して、平成29年1月末現在で計85回の説明会を実施(平成28年以降、平均月
1回以上の説明会を実施)。
放射性物質調査の実施・情報提供
・水産庁HPにおいて、水産物中の放射性物質の検査結果や、基準値の超
過率等について情報提供
水産物の放射性物質検査に係る報告書
(平成27年4月更新)
・原発事故以降のモニタリング検査等の取組を総括し、解説した「読めばわ
かる」報告書の作成
・消費者から専門家まで理解・活用できる内容
(魚種別の傾向、海洋モニタリングの情報、水産物の汚染メカニズムに係
る調査研究等)
・英語版を作成し、外国政府等への説明にも活用
説明会等の実施状況
・水産加工関係団体総会、研究者報告会での説
明
・東北復興水産加工品展示商談会、ジャパンイン
ターナショナルシーフードショーでのセミナー
・子ども霞が関デーでの展示及び説明 等
放射能と魚のQ&A(平成27年12月作成)
・水産研究・教育機構による消費者が放射能と魚に関わる内容を理解す
るための入門書
・放射能と魚に関わる重要な質問を15に絞り、科学的根拠に基づきその
回答を1ページに収めて解説
・リーフレット版を作成し、展示会等への説明や配布にも活用
平成28年11月20日Fish-1グランプリのステージ
イベントの様子
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(参考)復旧・復興事業の円滑な執行について
○被災自治体では、発注事務等の集中により技術職員の不足やノウハウ不足が顕在化していることから、
復旧・復興事業の円滑な推進のため、発注者の事務負担軽減策や効率化策を実施。
○ 被災地においては、多くの復旧・復興事業が進められることにより、技術者や技能者の不足、また、
それらによる労務費の上昇等を原因とした入札不調が発生していることから、関係省庁と連携し、円滑
な施工確保対策を実施。
被災自治体の発注事務負担の軽減策
復旧・復興事業の円滑な施工確保対策
○被災自治体への漁港関係職員の派遣
・漁港関係職員の被災自治体への応援派遣を全自治体へ協
力依頼し、水産庁からの派遣を含め、平成29年1月までに
3,296人月を派遣。平成28年度は月当たり県に20名、市町
村に30名が派遣されている。
○発注事務執行の迅速化・効率化
・数量計算等を簡略化する概算数量による発注や、発注件
数を削減するため複数の工事を大括りにした一括発注に
ついて通知
○CM(コンストラクション・マネジメント)方式の活用
・工事の設計、発注、施工の各段階で発注者の業務を民間
企業が支援するCM方式の活用について通知
○施工業者の技術者確保対策
・一人の主任技術者が管理できる近接工事等の明確化
・広域的に技術者の確保が図れる復興JV制度の創設
○発注工事の予定価格等の適切な算定
・実勢を反映した公共工事設計労務単価の設定
・地域要件の緩和など入札参加資格の見直し
・契約後の急激な物価変動に伴う請負代金額の変更
・地域外からの労働者確保に要する費用への対応
・建設資材の遠隔地からの調達に伴う設計変更の導入
・発注ロットの拡大を踏まえた間接工事費の算出
・日当り作業量の変化に対応した復興歩掛の適用
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(参考)住まいの場の復興
~ 被災の実状に応じた迅速かつきめ細やかな復興整備 ~
漁業集落防災機能強化事業では、被災地の漁業集落において、地盤の嵩上げ、生活基盤や防災安全施
設の整備等を実施し、災害に強く、生産性の高い水産業・漁村づくりを推進。
住まいの場の復興(高台移転・現地嵩上げ)については、36地区で実施しており、平成29年1月
末で約9割(31地区)整備済み。
高台移転の事例
(岩手県田野畑村、久慈市)
現地嵩上げの事例
(岩手県野田村)
野田村下安家地区
田野畑村
島越地区
羅賀地区
田野畑村が行う宅地造成、53戸造成済み。
久慈市
東日本大震災による大津波により、19戸の被害があり、高台移
転と地盤高を1.2~2.4m嵩上げを実施。
久慈湊・大崎地区
久慈市が行う宅地造成は15戸造成済み。
玉の脇地区
下安家地区の現地嵩上げ(9戸)及び高台造成による宅地造成
(4戸)13戸造成済み。
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(参考)生業(なりわい)の場の復興
(岩手県
釜石市
~ 国交省事業との連携による一体的整備 ~
花露辺(けろべ)地区の事例)
本地区は、津波により被害を受けたエリアは、国交省事業で高台住宅移転を行い、この移転元地は、
水産庁事業で水産関係用地・避難路等の整備を実施。
両事業の連携によって住まいの場と生業の場を一体的に整備することにより、災害に強く生産性の高
い漁業地域の復興を推進。
防災集団移転促進事業
災害公営住宅整備事業
・移転促進区域(2.0ha) 16戸
・移転先(自力再建宅地) 4画地
※H25.12 整備完了
住まいの整備
・住宅団地(0.18ha)
・RC4階 13戸
※H25.12 入居開始
既存集落
水産業共同利用施設復興整備事業
浸水ライン
(施設:漁協が管理・運営)
生業の場の整備
(位置図)
地区概要
漁港名:唐丹漁港(第2種)
地区名:花露辺(けろべ)
主な漁業:採貝採藻(ワカメ)
漁業集落防災機能強化事業
・移転跡地を活用した水産関係用地の整備
(養殖ワカメ等の漁具の保管用地として利用)
※H28.2 整備完了
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