労働力調査・一般職業紹介状況(2017年1月)

浜銀総合研究所 調査部
2017年3月3日
調 査 速 報
労働力調査・一般職業紹介状況(2017年1月)
新規求人数が 2016 年6月以来の前月比減少
副主任研究員
鹿庭 雄介
045-225-2375
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要 約
 1月の完全失業率は3.0%に低下(改善)した一方で、雇用者数は前月比-0.2%とやや減少。
 同月の有効求人倍率は1.43倍(前月も1.43倍)と、引き続き高水準を維持。
 新規求人数が2016年6月以来の前月比減少。これを受けて新規求人倍率も低下。
1.1月は失業率が再び低下(改善)
。雇用者数はやや減少。
総務省が発表した労働力調査によると、
2017 年1月の完全失業率
(季節調整値)
は 3.0%と前月から 0.1%
ポイント低下した(図表1)
。失業率の分母に含まれる就業者数(雇用者数+自営業主+家族従業者)の増加
や、非労働力人口の増加(働く意思を持つ人の減少)が失業率の押し下げ要因となった(図表2)
。就業者
数の増加による失業率の低下はよい結果であるものの、非労働力人口の増加による失業率の低下は、職探
しをあきらめた人が増加したことを反映している可能性もあり、必ずしも好ましい結果とは言えない。
図表1 完全失業率
図表2 完全失業率の変動要因
前月差、%ポイント
0.6
%、季調済
3.6
就業者要因
15歳以上人口要因
非労働力人口要因
失業率前月差
0.4
3.5
0.2
3.4
0.0
3.3
-0.2
3.2
-0.4
3.1
-0.6
3.0
2015年
2016
2017
(注)失業率=失業者数/(失業者数+就業者数)
就業者要因…就業者の増加は失業率の低下に寄与する。
非労働力人口要因…非労働力人口の増加は失業率の低下に寄与する。
15歳以上人口要因…15歳以上人口の増加は失業率の上昇に寄与する。
(総務省「労働力調査」より当社作成)
2.9
2015年
(総務省「労働力調査」)
2016
2017
図表3 雇用者数
図表4 雇用者数(雇用形態別)
前年比、%
万人、季調済
5,800
3.5
3.0
正規の職員・従業員
非正規の職員・従業員
2.5
5,750
2.0
1.5
5,700
1.0
0.5
5,650
3か月後方移動平均
0.0
-0.5
-1.0
5,600
2015年
2016
2015
2017
2016
2017
(総務省「労働力調査」)
(総務省「労働力調査」)
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浜 銀 総 研
調 査 速 報
また、雇用情勢を判断する上で重要な指標の1つである雇用者数は前月比-0.2%(5,787 万人)と減少
に転じた(図表3)
。なお、雇用形態別にみると、正規の職員・従業員が前年比+1.9%と2か月連続で伸び
率を高めたのに対し、非正規の職員・従業員は同+0.1%と伸び率が鈍化している(図表4)
。
2.有効求人倍率は前月比横ばい。新規求人倍率は前月から低下
次に、厚生労働省が発表した一般職業紹介状況をみると、1月の有効求人倍率(有効求人数/有効求職者
数)は 1.43 倍と前月から横ばいと高水準で推移しており、引き続き労働需給はタイト化していると考えら
れる(図表5)
。なお、新規求人倍率(新規求人数/新規求職申込件数)は 2.13 倍と前月(2.19 倍)から
低下した(図表6)
。これは分子の新規求人数(前月比-2.9%)が 2016 年6月以来の減少に転じたためで
あり、先行き企業の採用マインドの動きには注意する必要があろう。
もっとも、足元の雇用情勢は改善基調で推移していることには変わりがなく、今後も雇用の増加が個人
消費を下支えする状況が続くとみられる。
図表5 有効求人倍率
図表6 新規求人倍率
倍、季調済
倍、季調済
1.45
2.2
1.40
2.1
1.35
2.0
1.30
1.9
1.25
1.8
1.20
1.7
1.15
1.6
1.10
2016
2015年
2017
2015年
2016
2017
(厚生労働省「一般職業紹介状況」)
(厚生労働省「一般職業紹介状況」)
図表7 都道府県別有効求人倍率(就業地ベース)
倍、季調済
全国(1.43倍)
神奈川県(1.27倍)
沖縄県
鹿児島県
宮崎県
大分県
熊本県
長崎県
佐賀県
福岡県
高知県
愛媛県
香川県
徳島県
山口県
広島県
岡山県
島根県
鳥取県
和歌山県
奈良県
兵庫県
大阪府
京都府
滋賀県
三重県
愛知県
静岡県
岐阜県
長野県
山梨県
福井県
石川県
富山県
新潟県
神奈川県
東京都
千葉県
埼玉県
群馬県
栃木県
茨城県
福島県
山形県
秋田県
宮城県
岩手県
青森県
北海道
2.0
1.8
1.6
1.4
1.2
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
(注)就業地ベースとは、求人倍率の計算の際に、受理地別の求人ではなく、実際に就業する地域別に集計した求人を用いたもの
である。受理地別に求人を集計すると、本社が多い東京や大阪で求人が多くなり、その近隣の府県で求人が少なくなるとい
う問題が発生する。これを用いて求人倍率を計算すると、東京、大阪の求人倍率が高くなり、その近隣の府県の求人倍率が
小さくなる。各都道府県ごとの労働需給をみる上では、実際に就業する地域ごとに集計された求人数を用いた方が望まし
いと考えられる。
(厚生労働省「一般職業紹介状況」)
本レポートの目的は情報の提供であり、売買の勧誘ではありません。本レポートに記載されている情報は、浜
銀総合研究所・調査部が信頼できると考える情報源に基づいたものですが、その正確性、完全性を保証する
ものではありません。
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