⽇興リサーチレビュー 2017 年 2 ⽉ ヘッジファンド概況(2017 年 1 ⽉) 資産運⽤研究所 アナリスト 野⾸ ⽂徳 当⽉(2017 年 1 ⽉)のヘッジファンドの資⾦動向やパフォーマンス概況は、以下のとおりである。 (データの 出所はユーリカヘッジ。資⾦動向はユーリカヘッジのデータベースのうち 2017 年 2 ⽉ 20 ⽇時点で報告があっ た 68.88%のファンドに基づく推計値であり、パフォーマンスは 2 ⽉ 23 ⽇時点で取得したヘッジファンド・イ ンデックスより作成。) 1. ヘッジファンドの資⾦動向 〜2016 年 4 ⽉以来、9 ヶ⽉ぶりの資⾦純流⼊〜 当⽉は、ヘッジファンド全体で 13 億ドルの運⽤益が⽣じ、12 億ドルの資⾦が純流⼊した。その結果、 当⽉末の運⽤残⾼は、前⽉末から 25 億ドル増加し、2 兆 2,273 億ドルとなった(図表 1)。なお、運⽤ 残⾼の増加は 2016 年 7 ⽉以来で 6 ヶ⽉ぶりとなる。また、資⾦の純流⼊は 2016 年 4 ⽉以来で 9 ヶ⽉ ぶりとなる。 戦略別にみると、運⽤益は株式ロング・ショート(23 億ドルの運⽤益)が最も⼤きく、資⾦の純流⼊ でも、株式ロング・ショート(16 億ドルの純流⼊)が最も⼤きかった (図表 2,3)。 投資地域別にみると、運⽤損益は北⽶が 6 億ドルの運⽤益となるなど、⽇本を除くいずれの地域もプ ラスであった。資⾦の純流出⼊では、前⽉に引き続き欧州が純流出(4 億ドル)となったが、その他の 地域は前⽉までの資⾦流出の流れから⼀転し、純流⼊となった(図表 4,5)。 2. ヘッジファンドのパフォーマンス概況 〜破綻債券のリターンが 11 ヶ⽉連続のプラス〜 ユーリカヘッジ・ヘッジファンド・インデックスの直近 1 年間の戦略別パフォーマンス概況は以下の とおりである(図表 6,7,8)。 (インデックスの概要は巻末 Appendix を参照) 当⽉はマネージドフューチャーズ、マクロのリターンがマイナスとなったが、その他の 7 戦略は、リ ターンがプラスとなった。なかでもイベント・ドリブン(+2.14%)が最も⼤きく、株式ロング・ショ ート(+1.69%)、破綻債券(+1.61%)と続く。なお、破綻債券は 11 ヶ⽉連続のプラスリターンとな る。直近 1 年間のリターン/リスク⽐をみると、マネージドフューチャーズを除く 8 戦略はすべてプラ スで、2.00 を超える⽔準となっている。 ※なお、この戦略別リターンに使⽤している指数は、単純平均で計算されているので、図表 2 の運⽤損益の符号 と⼀致しないことがある。 本資料は、信頼性の高いデータから作成されておりますが、当社はその正確性・確実性に関し、いかなる保証をするものではございません。本資料は、 情報提供を目的としており、投資勧誘を目的としたものではございません。証券投資に関する最終判断は、投資家ご自身の判断でなさるようにお願い いたします。本資料の著作権は当社に帰属し、本資料の転用および販売は固く禁じられております。 1 ⽇興リサーチレビュー 1. ヘッジファンドの資⾦動向 図表 1 ヘッジファンド全体の資⾦動向 ※グラフの⾒⽅:左から順に「前⽉末の運⽤残⾼」 「該当⽉の運⽤損益」 「該当⽉の純流出⼊」、 左記 3 点を合計した「該当⽉末の運⽤残⾼」が並んでいる (億ドル) 22,800 当⽉ 22,600 22,400 22,200 22,000 22,624 56 -70 22,610 52 -83 22,579 -25 -116 22,438 運用 残高 運用 損益 純流 出入 運用 残高 運用 損益 純流 出入 運用 残高 運用 損益 純流 出入 2016/7 2016/8 2016/9 運用 残高 2016/10 -8 運用 損益 -150 22,280 171 -203 22,248 純流 出入 運用 損益 純流 出入 運用 残高 2016/11 運用 残高 13 12 22,273 運用 損益 純流 出入 運用 残高 2016/12 2017/1 (参考)ユーリカヘッジ・ヘッジファンド・インデックスのリターン(%) 2016/8 0.26 2016/9 0.52 2016/10 -0.31 2016/11 0.33 2016/12 0.93 2017/1 0.95 ※ 当インデックスは単純平均で算出されている。 本資料は、信頼性の高いデータから作成されておりますが、当社はその正確性・確実性に関し、いかなる保証をするものではございません。本資料は、 情報提供を目的としており、投資勧誘を目的としたものではございません。証券投資に関する最終判断は、投資家ご自身の判断でなさるようにお願い いたします。本資料の著作権は当社に帰属し、本資料の転用および販売は固く禁じられております。 2 ⽇興リサーチレビュー 図表2 ヘッジファンドの戦略別資⾦動向 (億ドル) 投資戦略 株式ロング・ショート マルチ・ストラテジー イベント・ドリブン マネージドフューチャーズ マクロ 債券アービトラージ アービトラージ リラティブバリュー 破綻債券 その他 全体 1月末 1月末 12月末 1月中 1月中 運用損益+ 運用残高 構成比 運用残高 運用損益 純流出入 純流出入 b c a+b+c 7,78 0 3,59 4 2,10 5 2,49 7 1,50 6 1,59 8 1,35 3 65 7 58 1 60 4 22,27 3 34.9 % 16.1 % 9 .5 % 11.2 % 6 .8 % 7 .2 % 6 .1 % 2 .9 % 2 .6 % 2 .7 % 100.0 % a 7,740 3,596 2,102 2,511 1,517 1,592 1,347 659 580 603 22,248 23 -3 2 -13 -2 2 1 0 2 1 13 16 -0 1 -1 -10 4 5 -2 -1 0 12 b+c 39 -3 3 -15 -12 6 6 -2 1 2 25 図表3 運⽤残⾼の戦略別構成⽐(2017 年 1 ⽉末) リラティブバリュー その他 657 破綻債券 604 2.9% 2.7% 581 2.6% アービトラージ 1,353 6.1% 債券アービト ラージ 1,598 7.2% 株式ロング・ショート 7,780 34.9% マクロ 1,506 6.8% マネージドフュー チャーズ 2,497 11.2% イベント・ドリブン 2,105 9.5% マルチ・ストラテジー 3,594 16.1% 本資料は、信頼性の高いデータから作成されておりますが、当社はその正確性・確実性に関し、いかなる保証をするものではございません。本資料は、 情報提供を目的としており、投資勧誘を目的としたものではございません。証券投資に関する最終判断は、投資家ご自身の判断でなさるようにお願い いたします。本資料の著作権は当社に帰属し、本資料の転用および販売は固く禁じられております。 3 ⽇興リサーチレビュー 図表4 ヘッジファンドの投資地域別の資⾦動向 (億ドル) 投資地域 1月末 1月末 12月末 1月中 1月中 運用損益+ 運用残高 構成比 運用残高 運用損益 純流出入 純流出入 b c a+b+c 1 4,970 5,056 1,534 546 168 2 2,273 北米 欧州 アジア(除く日本) 中南米 日本 全体 6 7.2% 2 2.7% 6.9% 2.5% 0.8% 10 0.0% a 14,953 5,059 1,529 541 167 22,248 6 1 3 2 -0 13 11 -4 2 3 0 12 b+c 17 -3 5 5 0 25 図表5 運⽤残⾼の投資地域別構成⽐(2017 年 1 ⽉末) 日本 アジア(除く日本) 中南米 168 546 1,534 0.8% 2.5% 6.9% 欧州 5,056 22.7% 北米 14,970 67.2% 2. ヘッジファンドのパフォーマンス概況 図表 6 戦略 ①株式ロング・ショート ②マルチ・ストラテジー ③イベント・ドリブン ④マネージドフューチャーズ ⑤マクロ ⑥債券アービトラージ ⑦アービトラージ ⑧リラティブバリュー ⑨破綻債券 ⑩TOPIX(配当込) 2016 /2 -0.72 0.01 0.23 1.75 0.38 -0.38 0.00 -0.44 -0.91 -9.34 2016 /3 2.36 1.94 3.21 -1.29 0.04 1.66 1.76 2.15 2.24 4.83 2016 /4 0.88 1.01 1.68 0.08 0.79 1.14 0.64 1.81 1.74 -0.49 直近 1 年間の⽉次リターンの推移 2016 /5 0.70 0.09 1.19 -0.52 -0.27 0.58 0.87 0.57 2.44 2.93 2016 /6 -0.61 0.26 -0.16 2.27 0.69 0.49 -0.29 0.04 0.66 -9.59 2016 /7 2.33 1.48 2.10 0.48 0.86 1.30 0.72 1.74 1.45 6.18 2016 /8 0.83 0.18 1.44 -1.73 -0.23 0.88 0.59 0.80 1.31 0.55 2016 /9 0.99 0.55 0.81 -0.25 -0.21 0.41 0.57 0.52 1.21 0.34 2016 /10 -0.34 0.36 -0.63 -1.52 0.03 0.47 0.02 -0.46 1.38 5.31 2016 /11 0.68 -0.40 1.53 -0.15 0.49 -0.21 0.46 0.82 1.32 5.49 2016 /12 0.90 0.86 1.89 0.61 1.46 1.05 0.52 0.46 1.69 3.47 2017 /1 1.69 1.25 2.14 -0.55 -0.02 0.87 0.35 1.04 1.61 0.22 (%) 直近1年間 リターン リスク 10.07 3.51 7.82 2.38 16.50 3.74 -0.91 4.23 4.07 1.87 8.56 2.05 6.39 1.79 9.41 2.90 17.35 2.94 8.61 18.46 本資料は、信頼性の高いデータから作成されておりますが、当社はその正確性・確実性に関し、いかなる保証をするものではございません。本資料は、 情報提供を目的としており、投資勧誘を目的としたものではございません。証券投資に関する最終判断は、投資家ご自身の判断でなさるようにお願い いたします。本資料の著作権は当社に帰属し、本資料の転用および販売は固く禁じられております。 4 ⽇興リサーチレビュー 図表 7 直近 1 年間のリターン・リスク(2017 年 1 ⽉末) 20 ⑨破綻債券 リターン (%) リスク リターン/リスク比 順位 (%) 順位 ①株式ロング・ショート 10.07 3 3.51 2.87 7 ②マルチ・ストラテジー 7.82 6 2.38 3.29 5 ③イベント・ドリブン 16.50 2 3.74 4.41 2 ④マネージドフューチャーズ -0.91 9 4.23 -0.22 9 ⑤マクロ 4.07 8 1.87 2.18 8 ⑥債券アービトラージ 8.56 5 2.05 4.18 3 ⑦アービトラージ 6.39 7 1.79 3.56 4 ⑧リラティブバリュー 9.41 4 2.90 3.25 6 ⑨破綻債券 17.35 1 2.94 5.91 1 (分析期間) 2016年2月~2017年1月の月次リターンデータ ③イベント・ドリブン 15 戦略 ー リ タ ⑧リラティブバリュー ( % ①株式ロング・ショート ⑥債券アービトラージ 、 ) ン 年 率 10 ②マルチ・ストラテジー ⑦アービトラージ 5 ⑤マクロ 0 ④マネージドフュー チャーズ -5 0 1 2 3 4 5 6 7 8 リスク(年率、%) 図表 8 直近 1 年間の指数の推移(2016 年 1 ⽉末=1.0) ※ 図表 1〜5 はユーリカヘッジより⽇興リサーチセンター作成 ※ 図表 6〜8 はユーリカヘッジ、トムソンロイターより⽇興リサーチセンター作成 ※ 分析には 2016 年 2 ⽉〜2017 年 1 ⽉の⽉次リターンデータを使⽤ 本資料は、信頼性の高いデータから作成されておりますが、当社はその正確性・確実性に関し、いかなる保証をするものではございません。本資料は、 情報提供を目的としており、投資勧誘を目的としたものではございません。証券投資に関する最終判断は、投資家ご自身の判断でなさるようにお願い いたします。本資料の著作権は当社に帰属し、本資料の転用および販売は固く禁じられております。 5 ⽇興リサーチレビュー Appendix ユーリカヘッジ・ヘッジファンド・インデックス(Eurekahedge Hedge Fund Indices)は、 ユーリカヘッジが保有するヘッジファンド・データベースのファンドを組⼊れている。 この指数には 10 本の戦略別サブインデックスがあり、各戦略の概要は以下のとおりである。 アービトラージ(Arbitrage) 異なる市場において、同⼀商品の価格が異なるという市場の⾮効率性を利⽤し利益を上げる戦略。 マネージドフューチャーズ(CTA / Managed Futures) 商品先物、オプション、先物為替取引に直接または商品投資顧問業者を仲介し投資する戦略。 破綻債券(Distressed Debt) 財務、もしくは経営⾯で困難に陥った企業の債券に投資し、その後の企業の信⽤⼒回復に伴う債券価格の上昇 から利益を上げる戦略。 イベント・ドリブン(Event Driven) 近い将来に予想される、もしくは起きる可能性のある企業の合併、公募増資、買収などのイベントを利⽤した戦略。 債券アービトラージ(Fixed Income) フィックスト・インカム証券とそのデリバティブ商品においてロングとショートのポジションを組み合わせる戦略。 株式ロング・ショート(Long / Short Equities) 価格が上がる⾒込みの株式をロングし、逆に下がりそうな株式をショートし、相場のトレンドに左右されずに 利益を上げる戦略。 マクロ(Macro) トップダウン型のマクロ的な視野(⾦利や通貨など)に基づいて投資ポジションを取る戦略。 マルチ・ストラテジー(Multi-Strategy) 複数の投資戦略を組み合わせた戦略。 リラティブバリュー (Relative Value) アセット間のミスプライスを利⽤し、低リスクで収益を追求する戦略。 その他(Others) 他のヘッジファンド戦略で使⽤されている多様な投資機会にアロケーションを⾏う戦略。 ≪以下にユーリカヘッジの免責事項を引⽤する≫ Eurekahedge(“ユーリカヘッジ”)のデータは、各運⽤機関及び外部の情報を元に作成しております。ユーリカヘッジ及びその関係者は情報の正確性、完全性、市場性、仮定、 計算などについて保証を⾏っておりません。情報の閲覧・利⽤者は、データの使⽤に際して、情報における全てのリスクを認識し、負う必要があります。ユーリカヘッジで はデータ及び情報に基づくいかなる理由の損害に関しても責任を負いかねます。データは、特定のファンド、有価証券、または⾦融商品、企業への投資に関する勧誘或いは 販売勧誘を構成するものではなく、また、⾦融機関や専⾨家としての助⾔として解釈されるべきではありません。Copyright © 2011 Eurekahedge Pte Ltd 本資料は、信頼性の高いデータから作成されておりますが、当社はその正確性・確実性に関し、いかなる保証をするものではございません。本資料は、 情報提供を目的としており、投資勧誘を目的としたものではございません。証券投資に関する最終判断は、投資家ご自身の判断でなさるようにお願い いたします。本資料の著作権は当社に帰属し、本資料の転用および販売は固く禁じられております。 6
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