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事例紹介 /北海道産酒を欧州リゾート市場へ!〜~デザ
インの⼒力でマーケティングを強化〜~北海道広域道産酒
協議会(⽥田中酒造・国稀酒造・⾼高砂酒造・⽇日本清酒)/JTB
北海道/経済産業省) 2016 年6⽉月より、北海道広域道産酒協議会では北海道産酒の欧州ブランディングのためのデザイン⼒力強化事業
を実施しました。JTB 北海道、および北海道経済産業局、会員制シェア⼯工房 Makerʼ’s base との共同プロジェク
トとなります。今回はこの中での北海道産酒の欧州市場向けデザイン開発についてご報告をさせていただきます。 <今回のプロジェクト> ①デザイン検討委員会の開催②商材・デザイン開発(デザインコンテストの開催)③試作品の企画と制作④
スペインでのデザインマッチングの開催 ④欧州市場の知財調査⑤デザイン開発ノウハウを⼀一般公開という
6つのステップで構成されたプロジェクト。 ここでは、その中でも主に②③④の道産酒のデザイン開発についてご紹介いたします。
プロジェクト概要 [⽬目的] 北海道広域道産酒協議会は、北海道の酒造 4 社(⽥田中酒造、国稀酒造、⾼高砂 酒造、⽇日本清酒)の輸出促進を⽬目的と
し、㈱JTB 北海道及び北海道経済産業局、北洋銀⾏行、Makerʼ’s Base と協⼒力して、デザインの⼒力でマーケティン
グを強化する事業を展開。 [背景] 世界的な健康志向の⾼高まりによる和⾷食ブームや訪⽇日外国⼈人客の増加等もあり、近年は⽇日本酒の関⼼心が⾼高まり、そ
の輸出は増加傾向にあります。この背景のもと、これまでに欧⽶米・アジア向け販路拡 ⼤大事業を実施する中、欧
州有数の⾼高級リゾート地「スペイン・イビサ島」への輸出まではたどり着いていました。 ⼀一⽅方、「味は良い、
しかし、海外向け商品デザインに課題あり」との指摘もあり、今回デザインを強化することで、更なる販路拡⼤大
を⽬目指しました。 [⼯工程] ●商材・デザイン開発(デザインコンテストの開催)(2016 年 10-‑11 ⽉月) 道産酒のアイデンティティを⽰示す 「各社共通ロゴ」や「商品(瓶)ラベル」のデザインを Makers' Base がコンテ
スト形式で⼀一般募集。 328 作品(230 名)の応募があり、審査会により、ロゴ 5 作品、ラベル 6 作品の計 11 作品を選定。 (コンテストの概要はコチラ(ロゴ)http://makers-‑base.com/blog/5110/とコチラ(ラベル)
http://makers-‑base.com/blog/5120/から。 ●コンテスト概要 (1)募集対象者:メイカーズベース会員をはじめ全国のデザイナー、クリエイターなど (2)募集分野・テーマ 【各社共通ロゴ】 テーマ「雪/SNOW」北海道の象徴である「雪」。 上質な雪解け⽔水からできる⽇日本酒であることをシンプルに現すテーマ。 【ラベル】 ⽥田中酒造「純⽶米吟醸宝川」⽤用商品ラベル・國稀酒造「暑寒しずく」⽤用商品ラベル (3)⼊入賞・特典 ・⼊入賞 (各分野)最優秀賞1作品、優秀賞複数 ・特典 (最優秀賞)スペイン現地商談会参加、本採⽤用に⾄至った場合の契約等 (4)応募総数:328作品・230名 (内訳)・共通ロゴ:216作品 ・「純⽶米吟醸宝川」ラベル: 54作品 ・「暑寒しずく」ラベル: 58作品 ●コンテストの受賞作品 審査会では1、⾒見た⽬目のデザイン性 2、分かりやすさ 3、汎⽤用性 この3つのポイントで優秀作品が選定さ
れました。 <受賞したデザイナー諫武朋枝さんのコメント> “私は、デザインは、引き算だと考えています。 ロゴは、覚えてもらうためのツールです。 数ある情報をいかに整理して余計な要素は引き算して⾏行く。 その点に注意し、北海道の形をできるだけシンプルに表現できるよう⼼心がけました。 雪は、雪の結晶で複雑化させないこと。 そして「雪」と「北海道」の 2 つを組み合わせ、最も整理した情報だと感じるイメージをロゴとして形にしまし
た。 「四⾓角い形」は北海道。「放射状の8つの線」は、雪解け⽔水によりつくられた上質なお酒が世界に広がる様。 同時に「⼋八⾓角形の雪の結晶」を表現し「末広がり」「無限∞に広がる」と⾔言う意味を込めました。” その他のコンテストの優秀作品はコチラから。(http://makers-‑base.com/blog/5265/) ●試作品の企画と制作(2016 年 11 ⽉月) 選定されたデザインは、Makers' Base 内にある最新式のデジタル加⼯工機器を駆使して試作。ロゴコンテストの
試作品は、ボトルタグ(アクリル/和紙/⽊木)、コースター(アクリル/タイル/コルク)、下敷⽣生地、ボトルクー
ラー、カッティングボード、ぐい飲みをセットとしてロゴを⽤用いて制作。当初予定では最優秀の1作品のみ制作
の予定だったのですが、プロジェクトの効果を考え、優秀賞4作品も含めた合計5作品についても制作しました。 スペインでのデザインマッチングの開催 (2016 年 12 ⽉月) デザインマッチングは、イビサ島1箇所、バルセロナ2箇所の合計3箇所で開催。 【VINO & CO】 イビサ島のホテルやレストランにワインや飲料を納品する有⼒力卸・⼩小売事業者。 地元ワインメーカー、ホテル、レストランなどの関係者が 50 名以上参加。 オーナーの Jeroen Hamersma
⽒氏は、関係者の⼈人望も厚い「イビサ島のキーパーソン」。 現地のヒアリングは以下のとおり。 デザインについて ●消費者は⼀一瞬で⽬目を引く、シンプルでキャッチーなラベルやロゴを好む。そして、ボトルを⼿手にとっ
てから、ラベル(⽇日本酒)のストーリー性などを読み取ろうとする。今回の作品は、⼤大変素晴らしいも
のばかり。 ●ワインと同様、⽇日本酒も⾃自然から⽣生まれるイメージがある。雪、⽔水、⽊木、⼭山など⾃自然を連想させるデ
ザインは、共感が持てる。クリスマスを連想させるデザインもあり、季節性があって良い。動物のデザ
インを⼊入れると「愛情」が連想され、⼥女性が好感を持つケースも多い。 ●今回の瓶は光沢のあるものなので、ラベルはマットタイプ(つや消し)の⽅方が良い。和紙素材であれ
ば、更に⾼高級感も出る。 ●商品名が⻑⾧長いと分かりにくい(宝川「TAKARAGAWA」、暑寒しずく「SHOKANSHIZUKU」)。 海外向けの商品名を検討する必要も。 ●酒器、コースター、ボトルタグなどの付属アイテムも良い。⼀一式でディスプレイすると提案⼒力がある
し、セット購⼊入も⾒見込める。 【BOUZU tapas japonesas】 バルセロナの和⾷食居酒屋 在バルセロナ⽇日本国総領事館の渡邉総領事をはじめ、シェフ、バイヤー、有名ブロガーなど 20 名以上が参加。 オ
ーナーの村上隆⼆二⽒氏は 8 年前にこの店をオープン。バルセロナで「夏祭り Matsuri」を主催するなど、⽇日本⽂文 化
の発信にも積極的。 【MOB/Fablab バルセロナ】 バルセロナのシェア⼯工房 バルセロナのものづくりクリエイターが数多く集う。コワーキングスペース Mob も併設。様々なコラボも⽣生ま
れる。 この⽇日来ていたデザイナーからもフィードバックをもらう。 以上となります。全体を通して、ものづくり、そしてデザインの⼒力を活かすことで、マーケティングを強化する、
とても意義深いプロジェクトになったと感じました。 ●今後の展開まとめ (1)デザインの採⽤用 ロゴ:北海道広域道産酒⽤用議会の北海道ロゴマークとして採⽤用予定。今後の海外展開の際に、ノベルティとして
⾸首掛けやコースターとして展開、販売促進につなげたいと思います。 ラベル:酒造会社の海外展開⽤用商品ラベルとして採⽤用にむけデザイナーと酒造間でブラッシュアップ中です。ブ
ラッシュアップ後は海外輸出の際に使⽤用予定です。 (2)今後の輸出展開は、スペインやその他エリアへも波及効果の⾼高いイビサ島でのブランディングを強化しま
す。現地飲⾷食店やホテル等に確固たるルートを持つディストリビューターとの連携と信頼関係を⼤大切にし、本事
業にて得た評価、フィードバックを踏まえ、デザインの改良・ブラッシュアップを継続しながら、北海道産酒の
更なる販路拡⼤大、ブランディングを推進予定です。また道産酒を通じて北海道のプロモーションにも⼒力を⼊入れ、
インバウンド誘致にもつなげたいと思います。